平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

クイズヘキサゴン 夏のSP

2008年09月18日 | バラエティ・報道
★南紀白浜の夏合宿
 島田紳介という人は時代を的確に捉えていますね。
 さんまさんはひたすら笑いを追及するのに対し、紳介さんは時代にメッセージを贈る。
 昨日のヘキサゴンもそうだった。

 まずはヘキサゴンマネー。
 クイズに答えた順番で与えられるヘキサゴンマネーが違う。
 一番早く答えた人には一番多い金額。
 そしてお金がなくてはバスにも乗れない。
 これは現代のお金社会の象徴。
 クイズに一番に答えた人が得をするいうのは学歴社会の象徴。
 こうして紳介さんは現代の日本社会の本質をえぐり出す。

 そして同時にこんなメッセージも贈る。
 らくだと河童、スザンヌと上地さんの「これ何ですか?」の旅。
 彼らは土地の人の善意で様々な物をもらう。
 これはお金万能を否定するメッセージ。
 今までヘキサゴンマネーで描いてきたことの反対のメッセージ。
 お金がなくても善意で何かを得ることができるのだ。

 こんなメッセージもある。
 海釣り、川釣り対決。
 つるのさんは見釣りで沢山のかさごを獲れたのに、ラサール石井さんの釣れた鮎はゼロ。
 ラサールさんは学歴で優れていても自然に立ち向かった時は無力。
 逆につるのさんはテストの成績は悪いかもしれないが、仲間に魚を持って帰ることが出来る。
 学力は万能ではないのだ。

 こんな現実を紳介さんはバラエティの中で描いている。
 深読みのし過ぎだろうか?

★あらゆるバラエティを詰め込んだ内容
 今回のヘキサゴンは単なるクイズ番組ではない。あらゆるバラエティの要素を詰め込んでいる。
 海釣りは「いきなり黄金伝説」
 料理対決は「料理番組」
 スザンヌさんたちの旅は「旅番組」
 上地さんの逆ドッキリはもちろん「ドッキリ番組」
 そして告白クイズは「ねるとん」
 ラストの小島よしおさんたちの歌は「歌番組」
 これだけ詰め込めば面白くないわけがない。
 恐るべし島田紳介である。

★告白タイムは人間性が現れる。
 告白クイズの告白。
 男性陣が誰を選びどう相手を口説くかも興味深いが、女性陣の返事には頭の良さが現れる。
 無下に断ってはイメージダウンに繋がりかねない。
 今回一番人気だったのは安田美沙子さんだったが、ラサールさんに言った「アッキーナと間違えたから」という断り方はなかなか。
 野久保さんを受け入れた麻木さんの「日本中を敵にまわす」もいい答え。
 意外だったのはフジワラ・原西さんの告白に涙した赤井さん。予想外のリアクションだ。
 いずれにしてもこれはタレントさんの人間性を浮き彫りにする怖ろしい企画だ。

※追記
 紳介さんの時代へのメッセージは「アブラゼミ♂♀」の歌にも。
 『自分たちアブラゼミに比べたら人間に生まれたことはどんなに幸せか』
 この歌詞の内容は秋葉原連続殺傷事件の加藤容疑者へのメッセージではないか?
 「ブサイクだから自棄になる?アブラゼミと比べてみろ。そんなことで自棄になるな」
 とこの歌詞は言っている様に思える。


 ヘキサゴン 冬の京都SPの記事はこちら


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リンダ リンダ リンダ

2008年09月17日 | 邦画
★普通の青春ドラマだと山あり谷ありドラマチックに盛り上げていくものだが、この作品にはそれがない。
 淡々と軽音楽部の女子高生の日常を描いていく。
 それが妙にリアル。

 物語の発端はこう。
 学園祭前、ギターの萌が指を骨折!ブチ切れたボーカルの凛子と恵がケンカ!
 結果バンドが空中分解!!
 なかなかドラマチック。
 だが、その後がゆるい。
 恵(香椎由宇)は何となく学園祭に出演するか迷い、何となく韓国の留学生・孫(ペ・ドゥナ)にヴォーカルをやってみないかと声をかける。
 ブルーハーツをコピーすることになった経緯も何となくだ。たまたま再生したカセットテープに入っていたから。

★その後、恵たちは練習を始めるが、そこで描かれる友情も淡々としている。
 深夜練習をして学校の屋上で夕食を食べる時に「こういう時間は一生記憶に残るね」と友達と過ごす青春の一瞬を切り取ってみせる。
 そう、記憶に残る青春時代の思い出とはこういう何気ない時間なのだ。
 決して劇的な瞬間ばかりではない。

 留学生の孫は孤独だったが、バンドにいれてもらったことで恵たち友達が出来る。
 その喜びを彼女は洗面所でさりげなく「ありがとう」と語る。
 また自分が文化祭のライブでメンバー紹介をする姿を空想して喜びを感じる。
 仲間に囲まれてステージに立つ自分の姿こそ、孤独でない自分の姿なのだ。

 青春ドラマに必ずある恋愛も淡々としている。
 孫に告白する男の子。
 韓国語を使って告白。男の子の誠実な気持ちが伝わっていい告白シーンだが、孫の返事は
 「嫌いじゃないけど好きでもありません。仲間との練習があるから行ってもいいですか」
 とおよそ劇的とはかけ離れたもの。
 しかし、その中に思いがけなく告白された戸惑いとくすぐったいようなほのかな喜びとが感じられる。

★これら淡々とした中にある繊細さ。
 これを言葉で表すのは難しく実際に作品を見てもらうのが一番だが、ともかく何とも言えぬ雰囲気を醸しだしている。

 そしてラストは文化祭ライブ。
 静から動へ。
 このライブのシーンまでが<静>なので、逆にこの<動>のライブシーンが強いインパクトになる。

 この作品は青春映画の佳作だ。
 淡々とした中に見事に青春を描き出している。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相棒 -劇場版-

2008年09月16日 | 邦画
 「相棒-劇場版-」

★作品の構成要素
 作者の中ではまずふたつのモチーフがあった様に思われる。
・ひとつは『殺人サイト・人民法廷による連続殺人』
・ふたつめは『チェスによる犯人との頭脳合戦』

 次に事件には動機が必要。
 『劇場型快楽殺人』という選択肢もあったが、『難民キャンプで拉致されテロリストに殺された過去の事件』を持って来た。

 そして劇場版ということでストーリーの大きさも要求される。
 テレビ塔殺人、爆破殺人未遂と盛り上げておいて、ついに登場したのが東京ビッグシティマラソン。
 犯人のターゲットは3万人のランナーと15万人の大観衆という大がかりな仕掛け。

 また隠し味も忘れない。
 外務省S文書というスキャンダル。 

 これらふたつのモチーフ、動機、大がかりな仕掛けを組み合わせて作られたこの作品。
 わくわくさせられる素材てんこ盛りだが、クライマックスは今ひとつ盛り上がらなかった。
 盛り上がれるだけ盛り上げておいて息切れの感じ。
 マラソンの設定で予算がなくなったのか肩すかし。
 ネタバレになるので書かないが、ハリウッド映画なら絶対にスペクタクルシーンになってる。
 ここは残念。

★次々と変わっていく局面
 ただし次々と局面が変わっていく展開はさすが。(以下一部ネタバレ)
・猟奇的な殺人事件が爆破未遂事件へ
・それらが同一犯による連続殺人事件と判明
・殺人サイト(陣川が狂言まわしとしていい働きをしている)
・一連の事件に関連している少女・やよい(本仮屋ユイカ)から動機と犯人が確定
・右京(水谷豊)と犯人とのチェス対決
・チェス対決が意味するもの
・東京ビッグシティマラソン

 事件が次々と違う顔を見せていく。
 事件がどんどん大きくなっていく。
 これらはサスペンス&アクション映画には不可欠なもの。
 ひとつの所に留まっていっては観客は退屈してしまう。

★右京が熱くなる時
 しかし事件が大規模になっても右京さんは変わりませんね。
 常に<冷静>。
 少しあせるくらい。
 そんな<冷>で<静>な右京さんが<熱く><動く>時が最大の見せ場。
 それは薫(寺脇康文)がピンチになった時。
 これが「相棒」の「相棒」たる所以。
 薫の熱さが右京に伝わるのでしょうね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

篤姫 第37回「友情と決別」

2008年09月15日 | 大河ドラマ・時代劇
★「人は力で動かすものでなく心で動かすものですよ」
 力で幕政改革を行う久光(山口祐一郎)に疑問を持つ帯刀(瑛太)に勝麟太郎(北大路欣也)が言った言葉。
 
 人は心にもやもやを感じる時、何とか形にしたいと思うもの。
 この時の帯刀がそうだった。
 目的のためには手段を選ばないことへの疑問、しかし幕政改革は行わなくてはならない。
 でも自分はどうしたらいいかわからない。
 その答えを与えてくれたのが勝。
 「人は力で動かすものでなく心で動かすものですよ」
 これで帯刀の心がかたまった。

 そして言葉は伝播する。
 天璋院(宮崎あおい)に再会した帯刀は同じ言葉を伝える。
 勝→帯刀→天璋院。
 同じ言葉を持つことによる絆。
 「人は力で動かすものでなく心で動かすものですよ」
 という言葉により3人はそれぞれの役割を果たしていくのだろう。

★「わたしは故郷を捨てることはできません」
 天璋院のもやもやに形を与えたのが、この和宮(堀北真希)の言葉。
 徳川か薩摩か?天璋院の中にはまだこの葛藤がくすぶっている。
 薩摩をまだ愛しているし尚五郎との友情も捨てきれない。
 天璋院はこの和宮の言葉に救われた。
 尚五郎との友情を確認し故郷が間違った方向に行かない様、尚五郎に託した。

★生麦事件
 これは「人は力で動かすものでなく心で動かすものですよ」という言葉のアンチの事件。
 力で相手を動かすことは憎しみしか生まない。
 力には力の報復を受ける。
 結果、起こった薩英戦争。

 今回は「人は心で動かすもの」というテーマで貫かれた話だった。

※追記
 天璋院と帯刀の再会。というより於一と尚五郎の再会。
 立場は違えど、ふたりは変わっていなかった。
 手段を選ばない薩摩のことで悩んでいる帯刀はまさに尚五郎。
 天璋院も尚五郎に対しては於一。
 碁盤で対峙すれば昔に戻れる。
 この再会は史実ではないだろうが、ドラマとしてはあり。

 「またあなたに会えますように」というせりふもいい言葉ですね。
 平和な時代になってふたりが囲碁をする姿が目に浮かぶ。


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上海タイフーン

2008年09月14日 | 職業ドラマ
★中国ビジネス
 NHKの土曜ドラマは現代社会のテーマを的確に切り取って見せてくれる。
 今回は中国ビジネス。

 主人公・アパレル会社主任・野村美鈴(木村多江)は中国との合弁会社で女性用下着を製作し売ろうとしている。
 しかし色の問題で対立。
 中国では赤は縁起のいい色。絶対に売れるという中国の出資者・曹飛(ピーター・ホー)に対し美鈴は契約通り指定の色のピンクを主張。赤だとブランドイメージが崩れるというのだ。
 色に対する価値観の違い。
 「今すぐ利益をあげたい」という考えと「ブランドを守りたい」という考えの対立。
 おまけに曹は交渉相手として手強いし、工員達は「やり直しをするのは許せない」とストライキを行ってしまう。

 ここには異文化でビジネスをする難しさがある。
 カエルの泣き方は「グアグア」と「ゲロゲロ」だし。
 こういう素材を選んだ所は好感が持てる。
 日テレでも観月ありささんで中国ものが10月から始まるらしいが比較が楽しみ。
 
★美鈴というキャラクター
 美鈴は30歳。
 ブランドのアパレルメーカーでバリバリやってきてプライドもある。
 それ故、中国のやり方に迎合してしまう会社の姿勢に怒って辞めてしまう。
 だが会社を辞めてひとりの人間として世の中に立ち向かわなければならなくなった時、自分のプライドや自信がどんなに根拠のなかったことかを思い知らされる。
 再就職は決まらない。(それなりに実績を積んできた人間はプライドが高く使いづらいのだそうだ)
 そして恋人には別れようと言われる。(目の前の仕事に没頭するあまり、相手が何を望んでいるかに気がつかなかったのだ)

 なかなか丹念な人物の描き込みだ。
 主人公をどん底にまで落としてみせる作劇も見事。

 そして第1話はそんな美鈴が中国にやって来る所で終わる。
 すべてを失った美鈴だが、まだちっぽけな自信とプライドは残っていたらしい。
 中国で成功してリベンジしようというのだ。
 しかし中国で成功した女社長・三井香(松下由樹)は「ああいうのがすぐに逃げ帰るのよ」と語り、不動産屋で働く遠野麻里(MEGUMI)は3万円の汚い部屋に嘆く美鈴に強い覚悟がないことを見抜く。

 さてこんなプライドだけで甘ちゃんの美鈴が厳しい中国社会でどの様に成長していくか?
 見栄えがよくてご都合主義の民放ドラマに飽きてきただけにどの位骨太のドラマを見せてくれるか楽しみ。
 脚本は「CHANGE」の福田靖さんか……。
 あの作品は「見栄えがよくてご都合主義のドラマ」だったけど、今回はどうだろう?


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コード・ブルー 最終話

2008年09月12日 | 職業ドラマ
★林宏司脚本
 この作品の脚本は「医龍」の林宏司さん。
 ある意味、この作品は「医龍」の変奏ですね。

 例えば高速道路で多重衝突事故。
 コンテナに挟まれている夫を助けようとする藍沢(山下智久)たちだが、ガソリン引火の怖れが……。
 これは「医龍」で手術中、術前に予想も出来なかった病巣が見つかったり事故でドナーの心臓が運べなかったのと同じ。
 何とか夫を助け出してトンネルから出てくる藍沢たちのスローモーションはまさに手術を終えたチームドラゴンのスローモーション。

 主人公像もそう。
 林さんは、天才的技術を持ち強い医者としての信念を持つ朝田のキャラを180度変えた。
 それが藍沢だ。
 藍沢はまだ発展途上だし精神的にも弱い。
 脇キャラは「医龍」と同じ。
 それぞれに自分の問題を抱えていてそこから抜け出せないでいる。

 「医龍」そしてこの「コード・ブルー」で林さんは医療ドラマの独自のスタイルを確立した。

★群像劇の難しさ
 ただしこの作品、群像劇の難しさを実感した作品でもあった。
 「ER」の様なスタイルを狙ったのだろうが、日本のドラマはどうしても<情>を大事にするため描き込みが薄くなる。
 藍沢のおばあちゃん話や藤川(浅利陽介)のお母さん話などはやはり日本的。
 理性的でスタイリッシュな映像はまだ日本の土壌には合わない。

★締めくくりは黒田(柳葉敏郎)の言葉。
 医者が患者を救うことの意味を藍沢に問われて黒田は言う。
 「10分かも知れん。1時間、1日、1年かも知れん。だがそのわずかな時間が時に人生の意味を変える。そのために腕を磨く。俺は生きて息子に会えた」

 人は最後の最後まで生きなければならない。
 現在が絶望だらけでも10分、1時間、1日、1年後には希望を待っているかもしれない。
 生きて息子に会えた黒田の様に。
 だから「自分の人生は悲惨でつらいことばかりだった」と自棄になったり自殺したりするのは傲慢だ。
 最後の最後まで生きて決めるものだ。
 最後の最後まで希望と自分とは何かを模索すべきだ。
 黒田は絶望の中で自分を見出した。
 黒田は言う。
 「俺の腕は戻らん。その代わり医者を続けてれば1つや2つの救える命はある」
 腕が動かなくなったことは死にたくなるようなつらいこと。
 しかし生きた結果、息子に出会えた。
 「1つや2つの命を救うために」藍沢達に指示を出す医者としての自分を見出した。
 そして懸命なリハビリ。
 絶望を乗り越えて雄々しく生きる黒田。
 見事な生き様だ。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

正義の味方 最終話

2008年09月11日 | ホームドラマ
★お姉妹
 もつれにもつれる槙子(山田優)と良川(向井理)。
 コメディなのによくここまでフクザツに絡まった。
 絡まった糸を解く方法は……子供。
 だがイマイチ説得力がない。残念。

 この作品、姉妹の物語だったんですね。

 何よりも姉を優先する妹。
 妹をこき使って自分の欲望をかなえる姉。
 通常の姉妹の形とは大きくかけ離れているが、この関係が容子と槙子の姉妹の形。
 人は様々、姉妹も様々。
 こんな姉妹の形でも絆はしっかりある。深読みすればSMの関係。

 クライマックスはこう。
 責め立てられる槙子に容子(志田未来)は「お姉ちゃんの悪口を言わないで下さい!」
 何だかんだ言っても容子は槙子のことが好きなのだ。
 槙子も容子のために言う。
 「欲しいものは取りにいけ!」
 槙子も一応容子のことを気にかけている。
 ふたりの絆を感じさせるエピソード。

★容子にとって幸せな場所とは?
 容子は姉のことならあんなに行動力があるくせに自分のことだとウジウジでてんでダメ。
 陸(本郷奏多)のことでも姉に命令されて、やっと動けた感じ。
 少しは自分のために生きればいいのだろうが、今度はジュンくんの育児でかないそうもない。
 でも容子にはそれが心地いいのでしょうね。
 五郎が春子といっしょにいて幸せな様に。

 まあこの作品について結論を言えば
 『人はそれぞれ、幸せもそれぞれ。自分の心地いい居場所、幸せを探せばいい』
 『どんないびつな関係でもバラバラな家族よりはマシ。当人同士が幸せならいい』ということでしょうね。
 故・赤塚先生の言葉を借りれば「これでいいのだ!」

 すべてを肯定する所に喜劇の本質がある。

※追記
 槙子のせりふ。
 「間に合わないわよ。欲しいものは欲しいとハッキリ言わなければ、手に入らないのよ!行きなさい!」
 もしかしてこれの真意は陸のことじゃなくて『弁当がほしかった』ってこと?
 他の方のレビューを読んで気がついた。
 ふたとおりに解釈できるせりふ。
 うーん奥が深い。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナイロビの蜂

2008年09月10日 | 洋画
★物語の概略は次の様なもの

 アフリカのナイロビでイギリスの外交官として働くジャスティン(レイフ・ファインズ)。
 ある日、弁護士で救援活動家の妻テッサ(レイチェル・ワイズ)は強盗のよる襲撃で殺されてしまう。
 それを信じられないジャスティンは妻の死の原因を追うが、様々な疑惑が浮かび上がってくる。
 「妻は不倫していた?」
 「世の不正を暴くという正義のために妻は外交官の自分を利用していた?」
 不信と戸惑いの中ジャスティンはさらに原因を追っていきある真実にたどり着く。

★21世紀は『富の分配』の時代と言われる。
 一極に集中した富。
 例えば日本やアメリカ、ヨーロッパ、中東の石油産油国。
 これらに富が集中し過ぎているためアフリカなどが飢餓に苦しんでいる。
 集中した富を再分配しなければならない。

 集中した富は何もお金だけではない。
・例えば投機のためのトウモロコシ。
 トウモロコシが高価になったためアフリカの人は買えない。
 値があがるのを待って倉庫にしまってあるトウモロコシをアフリカに配分すれば飢えで死ぬ人はいなくなるのにそれが出来ない。
・例えば日本の霜降り牛
 霜降り牛一頭を作るためにどれだけの穀物が消費されているか。

 こう書きつつも自分は大したことを出来ないでいるのだけれど、少なくとも自分の生活が遠く離れたアフリカの人達を犠牲にして成り立っていることを知らなくてはならない。

 この作品「ナイロビの蜂」もそんな世界の現状を背景にした作品。
 以下ネタバレになるが

 妻テッサが殺された理由は彼女がアフリカを舞台にしたある事件を追っていたため。
 その事件とは『薬品メーカーによる現地の人々を使った人体実験』。
 テッサはそれを告発しようとして殺されたのだ。
 モルモット代わりにされるアフリカの人達。
 この作品はフィクションだが『世界中がアフリカを食い物にしている現実』が投影されている。

 環境問題を含め暴走する資本主義はそろそろ限界に来ている。
 新しいルール作り、新しい価値体系が必要だ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あいのり 9/8

2008年09月09日 | バラエティ・報道
★リアルな女性心理
 「これから恋愛が楽しい22才の男の子が『最後の恋愛にする』なんてウソっぽい。こーすけは自分を騙そうとしているのではないだろうが、時が経てば『最後の恋愛にする』なんて言葉は彼の中でなくなってしまうだろう」
 これがこーすけの真剣なアプローチに30才のよっこが抱いた疑問・想い。
 実にリアルだ。

 桃は「こーすけの気持ちはよっこにあるのはわかっているから、自分からは踏み出せない」。
 かつてのヒデをめぐるおまみと高野のバトルを知る人には、この桃の想いは微笑ましい。
 同時にこういう心の動き方をする女の子もいるんだということがわかる。

 ヤマジは仏教寺院の石像に「どこの美容院に行っているですか?」と問いかける。
 実にユニーク。
 同時に助け合って楽しく生きているラオスの人達には「他人に必要にされるって素晴らしいこと」と感想。
 これは彼女の本質の裏返し。
 ヤマジに怒られるかもしれないが、彼女は今まで「他人に必要とされず」にひとりで生きてきた女の子なのだろう。

 「あいのり」にはリアルな人間の姿がある。
 これに比べれば日本のドラマの登場人物たちは何と定型化されていることか。
 誰もが予想できる当たり前の心の動きしかしない。
 例えばヤマジを主人公にしたドラマを作れば、かなりユニークなドラマになるだろう。
 この辺に新しいドラマの可能性がある様に思える。

★言葉は伝わらない
 それにしても言葉とは何と空しいものだろう。
 こーすけのよっこへの言葉は心から語っている真剣なものだろう。
 なのに伝わらない。
 あるいは『最後の恋愛にする』という言葉はよっこが言うように日本に帰ってしばらくすれば(他の魅力的な女の子が現れて)霧散してしまうものかもしれない。
 人の心は変わる。
 自分が信じて語った言葉も時間がたてば変化していく。
 こう考えてみると言葉は本当に空しい。

 こうした言葉の空しさを認識して生きていけば、われわれは少しはマシに生きていけるかもしれない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

篤姫 第36回「薩摩か徳川か」

2008年09月08日 | 大河ドラマ・時代劇
★それぞれのリアクション
 京にのぼり幕政改革を迫る薩摩藩。
 大奥で四面楚歌の天璋院(宮崎あおい)。
 天璋院(宮崎あおい)に対するそれぞれのリアクションが面白い。
・重野(中嶋朋子)は全面信頼。
・滝山(稲森いずみ)は「天璋院様は信ずるに足る」と言いつつ薩摩のことは「外様の分際で」と非難。
・本寿院(高畑淳子)はすべて天璋院の策謀と疑う。
・家茂(松田翔太)は信じるが、聡明な彼もまわりの意見に流されて……。
 リアクションが違う形で描かれることでキャラクターを描き分けている。

 それにしてもこの時の天璋院はつらかったでしょうね。
 まわりに重野以外信じてくれる者がいない。
 徳川か薩摩かで自分の心も引き裂かれている。
 さて天璋院はどう自分の心に決着をつけたか?
 それは自分は徳川の人間であるという決心。
 以前にも家定(堺雅人)に同じことを言っているのでその決断は当然だが、薩摩の思い出の品を燃やしていくのは天璋院らしい。
 具体的な行動で描写しているので視聴者にも伝わる。

★和宮(堀北真希)は天璋院に自分の姿を見る。
 天璋院と和宮の関係は面白い。
 実はふたりは合わせ鏡。
 使命を持って徳川家に嫁ぎ、夫を愛した。
 今回薩摩が徳川家の敵になったのを見て、和宮も自分の未来を見る。
 将来朝廷も幕府と敵対する時が来て自分も天璋院と同じ立場になる。
 その時に自分はどちらの立場に立つのか?
 薩摩の品を火にくべる天璋院の姿を見る和宮のカットは、せりふはないがそれを物語る。
 描写としてうまい。

 さて来週はもうひとつの合わせ鏡・帯刀(瑛太)と天璋院の対面がなされるらしいが、これは見物!
 天璋院は帯刀の気持ちを知っているし。
 さすが高視聴率番組だ。

※追記
 有馬(的場浩司)の突出は単なる暴走ではなかった。
 自らが薩摩藩に斬られることで島津久光(山口祐一郎)の評判が高まる。
 そして朝廷の信頼が得られるという深謀遠慮。
 実際に有馬の手紙があったかどうかは定かでないが、有馬の真意を様々に解釈するのは歴史の楽しみ。
 いずれにしても歴史を動かすにはブルドーザーの様な存在が必要なんですね。
 ブルドーザーが切り開いた後に道を舗装・整備する人間が出てくる。
 それは大久保(原田泰造)や桂小五郎。
 大久保、西郷の生き様にも今後注目だ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする