■志木武彦著『一市民が斬る!!最高裁の黒い闇 国家謀略を追った2000日の記
録』(鹿砦社2015年8月15日刊\1400+税)
第一回
P12-
・まさか一チミンが書いたブログ記事mに対して、知名度のある前国会議員が名
誉棄損裁判を起こすことなどありえないと思っていた。が、現実は私に 対して
裁判が提起されたのだ。訴状には、原告として[森裕子]の文字があった。森氏
は生活の党の大幸代表である。請求額は500万円。さらにブロ グに掲載した記事
の削除や私の言論活動を制限するように求める請求項目もあった。
・森氏が起こした裁判の発端は、2009年に小沢一郎氏が市民団体あら政治資金規
正法違反で東京地検特捜部に告発されたことである。歯科h死、東 京地検特捜
部は、嫌疑不十分で小沢氏を不起訴にした。ところが事件が落着したわけではな
かった。市民グループが検察審査会に不服を申し立てたの だ。
・検察審査会と言うのは、刑事事件が不起訴になった場合、それが正当な判断か
どうかを審査するための機関で、裁判員制度を同様に有権者から無作為 に選ば
れた一般市民が審査員を務める。[検察]という名前を付しているが、最高裁判
所事務総局に所属する組織である。したがって小沢氏の件で不服 申し立て先と
なった東京検察審査会は、東京地裁の中にある。審査員の日当や交通費などの経
理処理も東京地裁の出納課が行っている。
・東京地検特捜部は、小沢氏を不起訴にしたが、その判断が適切であったか否か
を巡り、東京検察審査会が審査することになったのである。そして小沢 慈円を
担当することになったのは、東京第5検察審査会である。検察審査会の規則によ
ると、同じ事件で2ドにわたって基礎を相当とする決議が下され た場合、被疑者
は強制的に法廷に多多sれる。このように有権者による審判制度を設けること
で、本来、起訴されるべき人物が不起訴になる事態を防い でいるのである。最
も後述するように、検察審査会には、国民が知りえない止みあある野だが、少な
くとも表向きは、民主国家が打ち立てた制度に他な らない。結論を先に言え
ば、メディアでも大々的に報じられたように、第5検審は、小沢氏に対して2度
にわたり自走相当の決議を下した。これにより お座w氏は強制的に刑事裁判の
法廷に立たされることになったのである。
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▼『一市民が斬る!! 最高裁の黒い闇』(鹿砦社)の書評
評 者 元在レバノン大使 天木直人
凄い本が出た。志岐武彦氏の手になる「一市民が斬る!! 最高裁の黒い闇」
(鹿砦社)がそれだ。この書はその副題が語っているとおり、著者 がこの国の
最高権力者である最高裁を相手に闘った2000日の記録である。
実は私はこの著書の中に出てくる通り、小沢一郎を嵌めた検察審査会の国策捜査
を追及する過程で、著者の志岐 氏と出会い、ともに協力して検察審査会の不正
を暴こうとした一時期がある。その作業の過程で、この国の司法のすべては最高
裁の仕業である 事を知った。
しかし、たとえそうであったとしても、最高裁を追い詰める事はほとんど不可能
である。なぜならば政治家も官僚 もメディアも、最高裁には楯突けないから
だ。だから私は途中であきらめた。その私が脱帽する志岐氏の執念がこの本を世
に送り出したのだ。
この本に書かれている事が事実であるかどうかは、最高裁が自らそれを認めない
限り誰も挙証出来ない。だからこの書も一笑に付されて終わるだ ろう。しかし
私は自らかかわった経験から、ここに書かれている事は限りなく真実であると
思っている。
最高裁はあの田中耕太郎最高裁長官が1959年の砂川判決で見せた通り、日本
の司法を米国に追従して歪めた組織だ。その事が米国の機密公電 の公開で明ら
かになっている。
私は、「裁判が日本を変える」(日本評論社)を書いて最高裁の裏金疑惑を告発
した生田暉雄弁護士(元裁判官) や、「絶望の裁判所」(講談社現代新書)を
書いて最高裁の救いがたい実態を明らかにした瀬木比呂志明治大学教授(元裁判
官)と懇意にして きた。彼らが一様に指摘することは、最高裁は決して名誉棄
損で訴えたりはしない。無視することによってそれらの告発を葬り去ろうとする
姑 息さこそが最高裁の真骨頂だ。
何よりも、私は最高裁を許せない。イラク戦争に反対して小泉政権に意見を具申
した特命全権大使の私を解雇した竹内行夫外務事務次官を、事も あろうに判事
として天下りさせたのが最高裁だった。憲法違反のイラク戦争協力をした人物が
よりによって最高裁判事に天下りしたのである。 それで法の番人とは悪い冗談だ。
そして、司法改革という名の下に検察審査会に強制起訴の権限を与えたのも最高
裁だ。その検察審査会がこの書 に書かれている通り架空議決で小沢一郎を起訴
したとすればどうか。
この書に書かれている内容をどのように受け止めるかは読者の自由である。しか
し、これだけは知っておいたほ うがいい。この国の権力者が一番恐れるのは世
論と言う名の国民の怒りである。そのためには権力者はあらゆる不都合を隠そう
とする。すべて は権力者を疑うところから始まるのである(了)