福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

四国88ヶ所お遍路の旅 その四

2015-09-12 | 講員の巡礼(お四国他)ほか投稿
 四国88カ所お遍路の旅  ~その四~
   
高知自動車道から国道32号線に入り緑の映える田の間を抜けてすぐに、バスは、国分寺に。このあたりは、紀貫之のいた国府から1キロあまり。
「をとこもすなるにきというものを、をんなもしてみむとてすなり…」で始まる紀貫之の書いた土佐日記*1のことを思い出す。
           *1--- 土佐日記は貫之が、任期を終えて土佐から京へ戻るまでの55日間を女性に仮託して仮名文でかいた紀行日記---

聖武天皇が、全国68ヶ所に国分寺を建立したのは天平13年のころ。国分寺の多くは衰退したが、四国には、それぞれの国に、国分寺が残っている。



第29番札所国分寺
    創建:行基-------後に弘法大師がこの寺を訪れ秘法を修し 、札所に定める。
    本尊:千手観音
 
仁王門を潜ると、参道の両側には枝葉が鬱そうと重なり合って生い茂る杉と桜の大木。木漏れ日が石畳に光る。
少し先の正面に庭園を前にして本堂が、落ち着いた風情で佇んでいる。こけら葺き、寄せ棟造りで、内部の海老紅梁は土佐最古。国の重要文化財に指定
されている。長宗我部元親が、永禄元年に再建。

本堂を背にして見る境内には、木々の根元に、杉苔が緑の絨毯のように広がり、心を和ませる。自然の色合いの暖かさは、心を落ち着かせてくれる。
1250年余の面影を残す境内は、国の史跡に指定され、「土佐の苔寺」ともいわれているという。 本堂、大師堂で納経



第31番札所竹林寺
    開基:行基
    本尊:文殊菩薩
    
高知県の東、 五台山は全山が公園になっていて、山の頂上に、竹林寺がある。境内からは、明るい光の中に、高知市街を初め、浦戸湾から桂浜まで一望
できる。太平洋を望む、土佐に来て、有名な浜を見ている自分。巡礼に来なければ、この様な素晴らしい景色に巡り会えることもなかった。御大師様に
導かれてここまで来たと思うと、ありがたいおかげを感じる。

本堂は、大きな木々に囲まれている。どっしりとした重厚な屋根の下には、ご開創1200年のお祝いの五色の幕が下がっている。本堂正面左右にも、五
色の吹き流しが、風に揺れ、おめでたさがよりいっそうに伝わる。ここは参拝客が多く境内は人で溢れている。本堂「文殊堂」は、江戸時代前期の建立で
国の重要文化財。本堂の左手に大師堂。 本堂、大師堂で納経。青空の下、巡礼仲間と心を一つに、読経していると、自然の中にとけ込んでいくような、
透明な気持ちになる。

「縁起」では、聖武天皇が中国・五台山*2に登り、文殊菩薩に拝した夢を見た。天皇は、行基に五台山の霊地に似た山をさがし、寺を建立するように命じた。
行基はこの地が霊地と悟ったため、菩薩の像を刻んで本尊として堂宇をたてた。その後、弘法大師がここに滞在して瑜伽行法を修法し、堂塔を修復、密教
霊場にされたという。

*2---五台山:中国では山西省にある標高三千メートルの霊山。文殊菩薩の霊場として栄えた。高知の五台山は標高百四十五メートル。(霊場会HPより)

本堂などのある境内より高い、20段ほどの階段をあがったところに、朱塗りの五重の塔が、天に向かってそびえるように大きく、堂々とある。朱と白のコ
ントラストが、日に映えて、きらきらと輝き、見ていると元気が涌いてくる。塔の真下で塔の上まで見ようとすると傾けている首が痛いほど。五重塔は昭和
55年の建立。高さ31.2mメートル、総檜造り、鎌倉時代初期の様式。

竹林寺は気になる見所が多い。

 :竹林寺の山門左手の宝物館には藤原時代から鎌倉時代にかけての国指定重要文化財の仏像17躰が収蔵されている。
 :庭園は夢窓国師の作と伝えられ、国の名勝指定。
 :学僧・名僧があつまる「南海第一道場」とされた学問寺院としても知られる。
 :土佐の高知の播磨屋橋で坊さんかんざし買うを見た…で有名な「よさこい節」の舞台である。純真、お馬のロマンスの主人公純真は竹林寺の脇坊妙高寺
  の僧であった。
 :門前横には高知が生んだ世界的な植物学者、牧野富太郎博士(1862〜1957)の記念館と県立牧野植物園がある。  -----つづく---- < K&K>

                                                                 
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