JRでは、新幹線を含めて100以上の特急列車が走っています。
しかし、その特急列車は、JRの収益にどれだけ寄与しているのでしょうか?
それでなくとも、特急列車が少なくなってきており、寝台特急もどんどん消えてます。
1999年には、128の特急列車と15の寝台特急が走っていましたが、それが20近くの特急列車が消え、寝台特急も6列車となりました。
逆に新幹線は延伸され増加されていることから、JRとしては新幹線に鉄道経営資源を集中してきているようです。
在来線の特急列車も儲からなくては消えて行く運命にあります。
では、JR各社の特急列車の収益はどうなのでしょうか・・・・
JR北海道 JR東日本 JR東海 JR西日本 JR四国 JR九州
1人1㌔ 運賃収入 12.3 10.7 12.4 10.6 12.7 11.3
1人1㌔ 料金収入 3.8 2.3 8.3 3.3 3.8 3.2
運賃+料金 16.1 12.9 20.8 13.8 16.5 14.5
料金の占める割合 23.6% 17.8% 39.9% 23.9% 23.0% 22.1%
単位:円
特急列車に乗車するには、運賃である「乗車券」のほか、「特急料金」が必要です。
上記の表の料金は、特急料金、グリーン券などの「特別車両料金」、寝台車の「寝台料金」個室などの「コンパートメント料金」、指定席を利用する際の「座席指定料金」などがあります。
上記の表で分かる通り、料金の占める割合は、東日本の17.8%が一番少なく、東海が一番多くなっています。
料金は、JR各社ともほぼ収入の四分の一を占めていますが、これは、なにも新幹線だけが影響しているのではなく、その地方の特殊性などの事情が加味されています。
つまり、東日本や西日本は、料金が伴わない都会部の電車の発達などで料金の占める割合が少なくなっています。
JR東海は、新幹線の影響があり、料金収入が増えています。
JR北海道やJR四国、JR九州には、観光用の特急の本数の割合が多いからが原因ではないでしょうか?
しかし、これだけでは、特急などの料金が、営業損益にどれだけ影響しているのか分かりません。
そこで、JR旅客会社の旅客運輸に係る営業費、及び営業損益について調べると
JR北海道 JR東日本 JR東海 JR西日本 JR四国 JR九州
1人1㌔当たり
営業費(円) 24.7 12.1 16.7 14.4 24.9 17.8
運賃だけの
営業損益
(百万円) -27,544 250,184 271,733 44,754 -8,105 -10,949
1人1㌔当たり
料金を除く
営業損益 -12.5 -1.4 -4.3 -3.9 -12.2 -6.5
料金を含む
営業損益 -8.6 0.8 4.1 -0.6 -8.4 -3.3
以上より、料金を除く営業損益は、JR各社全部がマイナスとなっています。
料金を含めても、黒字はJR東日本とJR東海だけですが、赤字巾は減少しています。
JR各社とも特急列車を運行しなくては、商売が出来ない状態になっています。
特急列車の運行は、各社とも営業戦略上重要になってきています。
問題は、別に料金を取る以上、どのようなサービスを提供するかが智恵の出し合いとなっています。
蛇足ながら、特急料金などの料金は、国土交通省の認可または届け出が必要であり、サービスに値しない料金設定は、当然の事ながらできないことになっています。
上記資料は、国土交通省鉄道局監修 「鉄道統計年報」 2009年度調べ