【モスグリーンパネルとソーラパネルの複合配置システム】
コケで表面を覆った琵琶湖のヨシ製の緑化パネルが、滋賀県多賀町の保育園屋上に今春設置されている。
これは、コケとヨシのパネルは、コケ栽培で地域おこしを目指す町内のNPO法人「モスグリーンEco
」が4年前に開発されたもの。一枚約30センチ角で、水質浄化作用を保つため湖岸で刈られたヨシを4
層に重ね、町内で育てたスギゴケを表面に定着させた。朝露などを吸収して育つスギゴケは乾燥に強く、
水やりなどの手間がほとんどかからないという。また、滋賀県立大(彦根市)との共同実験では、コンク
リート屋根に敷くと建物内が6度近く下がり、建材樹脂パネルの2倍近い効果があったという。同園では
空調を抑えつつ快適に過ごせるよう、園児が昼寝をする保育室の上部分に設置。同法人はコケ栽培を地元
の授産施設などに委託しており、パネル普及で障害者の仕事増にもつなげる。大辻誠男理事長は「省エネ
効果が高く、軽量で設置も容易。公共機関を中心に広めたい」とのこと。建造物の屋上床面や壁面に植物
を植生・繁茂させて冷房負荷を軽減し、CO2排出の減少に寄与する方法のアイデアが提案されているが、
従来法では、緑化パネルはポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの樹脂発泡体をベースに石油
資源に依存している。無機発泡体をベースにしたパネルもあるが、パネル製造過程でのエネルギ消費が大
きく、CO2排出の減少という目的にそぐわない。そこで、毎年再生産される植物由来の素材を用い、か
つ冷房負荷を軽減しCO2排出の減少に寄与する、断熱性の高い緑化パネルとその緑化パネル用の基体及
びその製造方法だ。
【符号の説明】
1.1a:緑化パネル 4:面状集合物 6:積層体 8:多孔性シート 10、10a、
10b、10c、10d、10e:緑化パネル基体 14:植物 18:縫糸 20:土の層
22:面状物 21:扁平化した植物茎 24:網 30:係着部 40:面状集合物 42:
層状物 44:積層物 50:プレス盤 52:最外層 54:層 55:ストッパ 60:
緑化パネル構造 70:面状扁平集合物
この緑化パネルは、建造物の内外壁面や屋上面、床面などに植物を外側にして敷設し、日射に
よる輻射熱の遮熱や、植物の水分蒸散による冷却効果をもたらし、建造物の冷房負荷低減に寄
与。また、積層体の空洞や空隙の断熱効果を有し、CO2の減少や、ヒートアイランド現象の
解消に寄与できる。また、植物茎からなるかさだかな積層体には断熱による保温効果があり、
冬場においては、緑化パネルを敷設した建造物は保温性が高まる。さらに、さらには、この緑
化パネルは吸音効果を有し、敷設された壁面や床面の周辺の騒音の緩和に役立つので、例えば、
防護壁や高速道路の防音壁に敷設して防音効果を高め、周辺雰囲気の冷却効果を得られる。植
物茎には、葭の茎、麦藁、稲藁、コウリャンの茎、トウモロコシの茎、サトウキビの茎、その
他イネ科植物の茎、なかでも葭の茎は高強度で中空部を有する葭の茎はよしずなどに用いられ
るもので、葭は葦、芦、蘆とも表記されアシともヨシとも発音、多孔性シートには和紙、不織
布、織布、編物、などの繊維集合体シートが好適だという。実績次第では、全国的に波及して
いくだろうと思われる。なんだら、ソーラパネルとモス・グリーンの複合配置による発電・断
熱・保温効果が期待できる。特に、高温によるシリコン系太陽光パネルの出力低下対策にある
かもしれない。
【アルミの透明導電性フィルム?!】
京都薄膜応用技術研究所は、太陽電池やタッチパネルに使われる透明導電材料で、現在主流の
インジウム・スズ酸化物(ITO)膜を超える低抵抗、高透過率の導電膜を開発、9月にもサ
ンプル出荷するという。低温プロセスで高分子フィルムに成膜、太陽電池の光電変換効率向上
や、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)などフレキシブルディスプレー向けに提案する。
2015年に1億円超の売り上げを目指す。ロールツーロール方式のテストプラント6月に約1億
円を投じてロールツーロール方式の「スーパー透明導電膜」テストプラントを完成した。量産
技術の確立に向け調整を進める。300ミリメートル幅の基材に連続成膜できるようになったこ
とで量産を前提にした技術提案に着手する。
【符号の説明】
1 透明断熱シートの基体シート 2 極薄金属膜 3 窒化アルミニウム薄膜 4 酸窒化アル
ミニウム薄膜 5 酸化アルミニウム薄膜 11、21 スパッタターゲット 12、22 ター
ゲット磁極 13、23 補助磁極 14 スパッタガス供給口 15、25 反応ガス供給口
16 プラズマ領域
今回の発表に先立ち、開発チームは「透明断熱シート」の製法を新規考案する(上図)。従来、
光選択透過性断熱シートには、熱線反射フィルム、透明断熱フィルム等の名称で市販され、透
明断熱積層体の光学薄膜等多くある。透明断熱積層体は透明セラミック薄膜の多層積層体でも
可能だが、セラミック薄膜のみで高度な光選択性を求めると多くの層数を必要とし、中間層の
屈折率の大きな金属膜を間に挟み、セラミック薄膜と金属膜との組み合わせで透明断熱積層体
を形成させるのが一般的である。従来の透明断熱シートの普及が進まない原因としては、透明
断熱積層体の性能面が不十分であり、広い面積で使用されるベース資材であり、使用材料や製
法面から価格が高価である。高い透明性(具体的には可視光透過率が70%以上)と高い断熱性
(具体的には赤外線透過率が35%以下)との両立が求められているが、透明性と断熱性は相反
する特性で、このような特性を併せ持つ実用的な透明断熱シートがなかった。この問題解決す
るため、プラスチックの透明な基体シート上に、導電性金属薄膜と当該導電性金属薄膜の上下
に積層したセラミック薄膜で構成した多層膜の透明断熱シートで、導電性金属薄膜がアルミニ
ウムやアルミニウム合金で、セラミック薄膜がアルミニウムやアルミニウム合金の窒化膜、酸
窒化膜及び酸化膜を含んでいることを特徴とした透明断熱シートで、従来の性能面及びコスト
面での不十分さを克服、良好な透過性と断熱性を併せ持つ透明断熱シートを、希少材料である
高価な銀合金薄膜や酸化インジウム(ITO)薄膜を使用せずに、高性能な透明断熱シートを
安価につくる特許を取得している。
実施例として下表が提示されている。例えば、基体シートとして50mm×50mm×100μmのPETフィ
ルム(波長550nmの可視光透過率95%)を用いて、N-MHVスパッタ装置によりシート上に膜
厚10nmのアルミ薄膜を形成し。詳しくは、成膜する材料であるアルミニウム(純度5N)をタ
ーゲットに設置、PETフィルムを脱脂、洗浄、乾燥後、基体シートを基板ホルダーにセット。
その後、真空チャンバー内を10-5Pa以下に真空排気し、スパッタガスであるArガスを所定流
量(99cc)供給して、真空チャンバーを所定の真空度0.3Paに設定し、スパッタ電力500Wを印
加し、1分間のスパッタリングで、10nmのAl薄膜を形成した。得られた薄膜について、波長
550nmの可視光透過率を測定。
※MS法とは、通常マグネトロンスパッタ法のこと。
なお、N-MHVスパッタ法とは低温・低ダメージ成膜を可能とする新型スパッタ方式で、従
来の対向ターゲットスパッタ(FTS)法と比べ、ターゲット間の距離を変えることなく、基
板へのプラズマの影響や二次電子等の荷電粒子を有効に閉じ込め、低温・低ダメージ成膜を実
現。以下にN-MHVスパッタ法とFTSスパッタ法のカソード部の概観を下図に示す。本装
置は通常の平行カソードを基板側に開口(片側数度~数十度)させるとともに、ターゲット磁
極に加え、それぞれのターゲットを囲むように外部磁石を配置していることを特徴とする。
【世界初の超小型ラマンシリコンレーザー】
実現不可能だといわれていた、超小型で省エネのシリコンレーザーを大阪府立大の高橋和特別講師
などのチームが開発した。電気の代わりに光を使った超高速の光コンピューターヘの応用が期待され
る。計算素子に使われるシリコンは光りにくく、レーザーの光源には不向きとされていたが、チームは
シリコンの結晶に規則正しい穴をあけて、光を閉じ込める「フォトニック結晶」を作製。穴の大きさや結
晶の方向を工夫して強い光が発振できるようにした。大きさは従来のシリコンレーザーの1万分の1以
下、消費電力は2万分の1以下という。
現在では、CPUの消費電力の半分以上(場合によっては80%)が、電気配線で占められ、こ
の問題を解決するためには、CPU間をつなぐ電気配線を光配線に置き換え、光で情報伝達を
行う技術が実用化直前にあり、近い将来にはCPU内まで光配線を広げていくことが現実的課
題となり光と電子が融合した理想のシリコンチップの実用化が待たれていた。光配線には発熱
がなく、1つの配線で大容量伝送が可能、超高速というメリットがり、。安価なシリコンだけ
で光配線を行うことは理想だが、そのため光配線に必要な要素技術の多くは、シリコンを用い
て実現されてきたが、光配線の根源であるレーザー光の発生だけは、シリコンでは困難でした。
身の回りで利用されている半導体レーザーは、シリコンよりもずっと高価なインジウム、ガリ
ウム、アルミニウムなどの元素から作られています。ところが21世紀に入り、ラマン効果を
用いた発光方法(下図)でシリコンレーザーを作る試みが出現して、2005年に米国インテル社
がラマンシリコンレーザーの室温連続発振を報告。これは、現在でも唯一のシリコンレーザー
だったが、エネルギー消費が大きく(20nW以上)、素子サイズも大きい(1cm以上)という
致命的な問題があった。
(1)通常は、光共鳴装置のサイズを小さくすると、レーザー発振のための重要な性能指標で
あるQ値(光閉じ込めの強さを表す)が小さくなるが、研究グループが用いたフォトニック
結晶共振器は世界最高の性能を持っており、サイズを小さくしても高いQ値を保つことがで
きる。これにより微小領域に強く光を閉じ込める。
(2)空間パターン(空間対称性)が悪いため、従来は不用と考えられていた光共鳴状態から
の発光をレーザーの駆動力として用い、ここから発生したラマン光を、世界最高Q値の光共
振器に閉じ込める。
(3)光共振器を作製する方向を、応用上は不適当と考えられていた結晶方向に変更しました
(従来の方向から45度傾いた[100]方向)。すると、2つのマイナスの特徴が打ち消
しあって、逆にラマン効果を高めるために理想的となった。
(4)フォトニック結晶の空気孔の直径を変えるだけで、全ての光通信波長帯で利用できるよ
うになった。これにより光配線の大容量化が期待できる。
(5)インテル社のレーザーの光共鳴装置はPiN構造だが、今回のレーザーは必要としない
ため、ドーピング、メタルコンタクト、パシべーションなどのプロセスが不要。単純にいえ
ば、シリコン基板に穴を開けるだけで今回のレーザーはつくれ金属元素が不要だ。
以上の理由から、ラマンレーザーは、光励起型のため応用範囲が制限されるが、今回1μW程
度の励起パワーでレーザー発振が可能になったことにより、効率の悪いシリコンの発光でもエ
ネルギー源に用いることができ、汎用性の高い電流注入型のレーザーへの展開も期待でき、シ
リコン分野に革命を与える第一歩となると期待されている。超小型のシリコンレーザーを光源
に用いて光と電子が融合したシリコンチップが実現すれば、パソコンの省電力化、低騒音、高
速化などが期待できるとともに、次世代スーパーコンピューターの開発も勢いづきます。また、
安価なシリコンレーザーは、環境モニタリング、生体センサーなどの光源として期待でき、光
配線よりも、こちらの方の実用化が早まる可能性すらあるという。今回の成果は、さまざまな
産業創出を可能とし、日本の半導体産業の競争力につながると期待されている。
ここまで書き終えて、さて、今日は何をしていたのか?!と思うほど頭の中はパンパン状態だ。
あっそうだ、日本産烏龍茶「香寿」をサイトアップしていたっけと思い出す。体調は決して良
くないが、気がつけばのめりこんでいた。ところで「水分子の同位体」て何だっけ?!(正解
は質量差)。