【有機薄膜エレクトロニクスとネオコン】
7月26日、3g/m2と世界最軽量、2μmと世界最薄であると同時に、くしゃくしゃに折り曲
げても動作する超薄型有機LEDを開発したと発表。同成果は、東大大学院工学系研究科
の染谷隆夫教授、関谷毅准教授らによるもの。オーストリアのヨハネス・ケプラー大学の
Siegfried Bauer教授、Niyazi Serdar Sariciftci教授のグループと共同で行われた。詳細は7
月28日に「Nature Photonics」へ掲載された。この研究グループは先日(25日)も、世界最
軽量、世界最薄の柔らかい電子回路の開発に成功したことを発表したばかりだ。
こうしてみると、『ドグ・ホリデイの忘れ物』で掲載した「NEOCONVERTECH 創業論」
はいよいよ本格的な事業領域として具現化することを意味しているんだと、思わずニヤッ
いてしまったが、耐久性・信頼性などの評価などハードルは多いのだが、過去30年間のキ
ャリアと思索の結果のひとつの到達点に過ぎず、「ネオコンバーテック」はこれらを含め
た未来産業領域として見据えたものとして間違いなかったのだと確信する。そのことは、
一旦横に置いておいて、染谷研究グループの2つの成果を俯瞰してみる。まず、世界最軽
量、世界最薄の柔らかい電子回路「特開2012-053050|非単結晶トランジスタ集積回路」か
ら看てみる。
【符号の説明】
1,11,12,14,21,24,38,61,64,66,71 高分子フィルム 2,
3,17,18,27,28,34電極 4,72 ゲート電極 5,73 ゲート絶縁
膜 6,26,75 有機半導体層 7,77 ソース電極 8,78 ドレイン電極
9,16,39,62 有機トランジスタ 10 シート 12,22 共通電極 13,
74,76 絶縁膜 15 静電容量型圧力センサ 23 高分子圧電材料部 25 歪セ
ンサ 31 開口部分 32 遮光部分 33 透明高分子フィルム 35 N型有機半導
体 36 P型有機半導体 37透明電極 40 光 41 対象 51 センサアレイ
52 ロー(行)デコーダ 53 カラム(列)セレクタ 63 保護用ゴムシート 65
感圧導電ゴム
上図の非単結晶トランジスタ集積回路は、高分子フィルムと、高分子フィルムに設けた共
通電極と誘電体と第2の高分子フィルムと圧力が加えられた際に、誘電体の厚さの変化量
を容量の変化として読み出す圧力センサと、圧力センサを読み出すための非単結晶トラン
ジスタを具えることで、多機能化した非単結晶トランジスタ集積回路を提供できるという
もの。また、有機LEDの開発の決め手は、表面が粗い1マイクロメートル級の高分子フ
ィルムに、ダメージを与えずに有機LEDを製造する低温プロセスを、高温で高エネルギ
ープロセスが必要な酸化インジウムスズ(ITO)の透明電極を利用せず、低温かつ低損
失で形成可能な導電性高分子、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(ス
チレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)を電極(陽極)に活用。陰極には、フッ化リ
チウム(LiF)薄膜を挿入したアルミニウム電極を採用し、伸縮可能なゴムの上にこの
柔らかい有機LEDフィルムを張り付けることで、アコーディオンのような波型形状の有
機LED(上図)を実現し、百%の伸縮することができるゴムのように伸縮自在な有機L
EDの開発に成功した。このように着実に、世界を牽引する高付加価値の産業技術が形成
されていることを確認した。
【スターウォーズ・デザイン:エピソードⅠ】
すべてはでデザインで決まる。
シード宮殿
フランク・ロイド・ライトが晩年に設計したマリン・カントリー・シビック・センターと、イスタンブールの
ブルー・モスクに影響され、シード宮殿は周辺の自然環境とうまく調和するようデザインされた。
シード宮殿と都市建築
ダグ・チャンは、ハイテクな街灯と突き出し燭台式電灯、それに古典的なベネチア式建築
を組み合わせるという特異なやり方で、シードの「時代を超越した外観」を創り出した。
【さらば新自由主義】
わが家で最近様変わりしたことが静かに進行している。それはといえば、家庭菜園。庭い
じりはすっかり彼女の専業に移った。それというのもわたしの性格が少なからず関係し、
或ることに熱中しても、或る了解点を超えるとサット引き下がるというもの。絵画とか楽
器だとかスポーツだとかで熱中していても、これ以上目標を引き上げれば、時間が割かれ
てしまうという理由がそれ。“テーブルファーム”(『テーブルファーム巡礼の明日』)
という概念を思いついた時点で結論するのだが、決着は「培養土解体新書」という着想か
ら“脱土壌育成技術”という概念への確信が生まれた時点でついていた。後は「時間×お
金」と本人の「やる気」だけということになる。
さて、昨日今日と大雨で、津和野は史上最大雨量を記録したとか、大規模気候変動の本格
化だ。少々窮屈な、野放図な放任・市場・自由に対する社会的なコントロールを必要とす
る時代でもある。このような動乱期の政治的な変化を簡単なフレーズでいえば“さらば新
自由主義、ウエルカム・グリーンリベラリズム”ということに、技術工学・産業的には、
“ネオコンとグリーンの融合”ということになる。