極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

デジタル革命は地球を救えるか。

2014年07月15日 | デジタル革命渦論

 

 

 【オールソーラーシステム完結論 Ⅴ】

チューニングの前に』(2014.03.28)で記載したように――色素増感太陽電池は、「電荷分離を
起こすにはちょうど良いけど、光吸収が弱い物質」と「光吸収が強い物質」を組み合わせ役割分担
させることで発電する素子であるが、ペロブスカイト系は「自分のところで光を吸収して、単独だ
けでも、そのまま電荷分離を起こし起電力を生んでいる」可能性がある(中略)酸化チタンや酸化
亜鉛がなくとも、あるいはない方が良いということにもなり、
議論を整理する必要がでてきたとい
うわけで、(薄膜型)有機/無機のハイブリット化合物系半導体太陽
電池というカテゴリーに分化
される事態に直面したという、なんともやるせない思いが去来せぬも
のではないが、(前述の)光
触媒や(この)太陽電池を理論科学によるチューニング(電算機による構造設
計)による最適化の
前に基礎研究に立ち返ってみる必要がある。そのことを見越して、わたし(た
ち)は、いちはやく
量子スケール電子デバイスあるいは量子スケール太陽電池(=光電変換素子)と
呼んでいたのだが、
「4酸化3スズ」のように、変換効率が20%超えしてくる日も近い――と掲載したことがある。

 

ところで、『色素増感太陽電池ホームページ』の「不定期日記」の韓国で開催された "SISF2014
(成均館国際ソーラーフォーラム (Sungkyun International Solar Forum) SISF2014)の報告によると、
色素に代わるハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶構造もつ、ハイブリッド(有機・無機複合化合物)
を大気中の自己組織化反応で生成した光吸収剤(下図参照)――ハロゲン化メチルアミンとハロゲ
ン化鉛を有機溶液で混合――を用いることで、変換効率の高い、しかも、作製プロセスが単純でつ
くれるためコスト逓減が可能となるという。色素に代えた吸収係数の高い化合物半導体のナノ結晶
粒子(量子ドット)作製は、従来法ではスピンコートする。例えば、宮坂力らの
グループによると、
臭化鉛系化合物では、有機色素のブロードな吸収と異なり、ナノ結品粒子の強
いバンドギャップ吸
収を反映する光電変換作用スペクトルが、可視光の600ナノメートルを吸収端と
して得られ、光電
流の量子効率は80%に到達することが報告されている(2010.06.24「多孔質半導
体と導電性ポリマ
ー・炭素複合材料を用いる固体光電変換素子の構築」下図クリック)。
また、ヨウ化鉛系のナノ結
品では800ナノメートル
までの吸収端をもつ黒色の(可視光を全吸収する)が得られ、光吸収を強
めることで、電子受容体の酸化物半導体層を現状の10マイクロメートル
から、3マイクロメートル
まで薄膜化できる可能性も示されている。


 


※ 特開2014-072327 有機無機ハイブリッド構造からなる光電変換素子  

そこで、上記の  "SISF2014の報告で、同じハロゲンでも塩素系はアニール時間が短く、塩素イオン
と塩化メチルアミンは犠牲剤や界面活性剤と機能し、平面層造の場合、再結合抵抗(Rct)は、酸化
チタン多孔層がある場合より、1桁高く、このように、前駆体組成物の厳密な条件選択は、ペロブ
スカイトの形成にとって重要である(Dr. Kai (NREL, USA))。また、ヨウ化鉛
飽和溶液に別な溶媒を添
加して均一な核発生を促し、そのまま結晶成長させることで(Single process)で ペロブスカイトを
成膜。逐次堆積(Sequential deposition)よりも高い効率と高い再現性をもたらすことが、さらには
(1)ペロブ
スカイト層がオストワルト則(Ostward ripening)に従って結晶成長し、 (2) 各粒子は単
結晶あるこ
と、(3)結晶内には欠陥と不整合が存在すること、(4)平面構造の場合、 Voc=1.04V, Jsc=
21.1, FF=0.74, η=16.2%であったことが報告され(Yi-Bing Cheng(Monash University, AU))、
下図のよ
うに、従来のスピンコート(図/上)法とヨウ化鉛飽和溶液に、別の溶媒(?)を添加するスピン
コート(FCD工程)法(図/下)は、単結晶の膜形成されることが報告されている。

 

DMFN,N-ジメチルホルムアミド

今後どのような展開なるのかわからないが、20%を越えるような高効率でローコストなハイブリッ
ド固体型薄膜太陽電
池が開発され、市場形成してくるものと期待している。なお、上図の詳しい技
術報告は近々提出されるとのこと。 

 

 



【7ナノメートル時代のマルチゲート素子事情】 

2013年の世界半導体市場は、史上初めて3000億米ドルを突破した。2014年に入っても好調は続いて
いる。2014年1月の世界市場は対前年同月比で8.8%、同年2月は11.4%増と盛況だが、2014年の半
導体業界の動向は、グローバルには16/14nm 製品の生産開始がある。モバイル製品の高性能化・高
速化・低消費電力化の激烈な競争の中にあり、16/14nm製品は22/20nm製品以上に先端ファウンドリ
ーへの引き合いが多い一方で、昨年中に生産開始するはずだった米Intel社の14nmプロセッサが、製
造プロセスで発生する欠陥の密度が所定値まで減らせないとの理由で、製造開始時期が延期されて
いる。

その量産ラインとして新築した「Fab42 (米国アリゾナ州)」の稼働開始も当分延期となっている。
Intel社にとりこのラインのプロセスは、マルチゲート素子であるFinnFET第2世代に当たる。こ
Finプロセスには慣れているが、アスペクト比のおおきなtall FINの採用で、製造の困難さが増し
ているのではと推測されており、たとえ技術的な壁は越えることができても、コストが高騰による
経済的な壁を突破できるかどうか注目されている
一方で、台湾TSMCは28nmプロセス立ち上げでて
こずり、初めから大量注文してきた米Qualcomm社、米NVIDIA社始め大手顧客への納期遅れが発生
した。零細顧客と化した日本の携帯電話メーカーは、「Snapdragon」が思うように入手できず、ス
マートフォンの発売延期や中止に追い込まれたのは記憶に新しい。FinFETの製造経験が全くない
TSMCが、20nmプレーナ・プロセスを立ち上げ、すぐさま16nm Finプロセスを前倒しで立ち上げら
れるかが注目されてる。


● 2015年の半導体製造装置市場、2000年以来2番目の高水準へ

そのような中今月に入りIBMは、7nm以降の半導体微細加工技術と、シリコンに代わる新材料によ
るチップデバイス技術の開発を主とした研究開発を実施すると発表。今後、5年間で30億米ドル(
約3000億円)を投資するという。
今回、実施を決めた半導体チップデバイス関連技術に関する研究
開発プログラムは、主に2つのプログラムで構成される。1つは、7nm以降の微細加工技術の確立
を目指すもの。もう1つは、物理的な課題を多く抱えるシリコンに代わるデバイス向けの新たな材
料に関するもの。IBMは、今後数年間で、14nmや10nmへと半導体加工技術が微細化されるとの見通し
を示しつつ、「10年後に7nmあるいはそれ以降に微細化するためには、半導体のアーキテクチャなら
びに製造向けの新しいツールと手法にかなりの投資とイノベーションが必要になる」とし、10年後
の7nmプロセス技術確立を見据えて研究開発を行う見込みだ。

そこで、シリコンを置き換える新材料として「Ⅲ-Ⅴ族半導体」やカーボンナノチューブ、グラフ
ェンなどを候補に開発を進める方針。また次世代低電力トランジスタとして、トンネル電界効果ト
ランジスタ(TFET)の研究を行う。TFETは、トランジスタ中を流れる電流をドライブするためにバ
ンド間トンネル現象の量子力学効果を応用するもので、相補的CMOSトランジスタと比べて百倍の電
力低減を達成でき、「CMOSテクノロジーとTFETテクノロジーを融合させることにより、低電力集
積回路を向上させることができる」(IBM)とする。その他、光配線技術や新メモリ技術、量子コ
ンピューティング/コグニティブ・コンピューティングを支えるアーキテクチャの研究開発も行うと
のことだが、この背景には、IBMは、2014年に各地の人員を整理するなど業績が芳しくなく、半導
体事業では製造工場の売却がうわさされる状況があるなかでの、今回の大型投資の決定である。




とは言え、半導体製造装置/材料関連の業界団体であるSEMIは、2014年年央時点の半導体製造装置
市場予測を発表し、2015年の半導体製造装置(新品)販売額が425億米ドルに達するとの見通しを
示した。
半導体製造装置の販売額は、2012年、2013年と2年連続で前年比減となったが、2014年は
前年比20.8%増という高い水準での反転が予測された。販売増を引っ張る要因としてSEMIは、「20
nm以下の最先端微細プロセス技術関連投資」、「NAND型フラッシュメーカーの『3D NAND』など
最先端技術への投資や生産能力増強」、「DRAMでのモバイル用途向け技術アップグレード投資」「
フリップチップ/ウエハーレベルパッケージなど先進パッケージに関する生産能力増強」を挙げて
いる。
2015年の半導体製造装置販売額についても、「世界のあらゆる地域で投資額の増加を予測し
ている」とし、2014年(予測)比10.8%増の425億米ドルに達すると予想。なお、425億米ドルの市
場規模は、過去最大だった2000年の477億米ドルに次ぐ、史上2番目の規模に相当する



半導体の市場動向を考えたのは久しぶりになる。そこで、原命題の「デジタル革命は地球を救える
か」を再確認することで、どちらか言うと太陽電池に偏りがちの情報を校正する?意味で掲載した。
そして、改めて専門用語が多すぎることに戸惑ったりしていたが、どうにか2日間に渡り情報を整
理、頭の中を整頓した。かってのように垂直統合や水平統合はできないかもしれないが、パワー半
導体・太陽電池・発光ダイオードなどの環境・省エネ領域などの半導体デバイス製造への特化が有
利と考えている。

 




●防水ジャケットとして使えるバックパック



異常気象現象の頻発時代にはこういうバックパックも必要かもしれないか?!

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1 コメント

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旋盤工の魂 (ものづくりエンジニア)
2021-09-11 14:40:12
元日立金属で現在ダイセルの久保田邦親博士(工学)の開発したSLD-MAGICという開発特殊鋼はスタンダードというかなかなのロングセラー素材となりましたね。なんとなく削っていると小関 智弘の春は鉄までが匂った (ちくま文庫)の話が思い起こされる逸品ですね。
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