彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」。
Sakura - Masa Takumi feat. Ron Korb & Nadeem Majdalany (65th
Grammy nominated song )
ところで、彼女が五月に安曇野にもう一度行きたいと切り出したので
「いこう」と即答し、「山葵畑と柳吹雪か」「いいね。上手くきみを
撮れたね・・・それに信濃の十割りそばを食べよう」というと「信濃
サーモンもね」と応じた。
横道にそれた。インストゥルメンタルアーティストとして活躍する宅
見将典が、Masa Takumi名義でリリースした『Sakura』にて『第65回グ
ラミー賞®』最優秀グローバル・ミュージック・アルバムを受賞(おめ
でとう!)。 Masa TakumiはSly & Robbie and The Jam Mastersのメンバ
ーとして参加したレゲエアルバムが第56回・57回にもノミネートされ
ておりは、叔父は西城秀樹(面影が重なる風貌)。グラミー賞の部門
は毎年80以上のカテゴリーがあり、有名な「レコード・オブ・ザ・イ
ヤー」や「アルバム・オブ・ザ・イヤー」といった、世界のモンスタ
ー級アーティストがしのぎを削っている部門だけでなく、英語で歌っ
ていないアジア人でも目指せるカテゴリーもいくつかある(懐が深い)。
017年は移民弁護士に相談して様々な審査を受け、年末にようやくO-1
ビザ(アーティストビザ)を取ることができました。その年に2枚目も
制作してエントリー、結果でずで、2018年の頭からロサンゼルスに移
住して3枚目を作り始め、周波数など音響的な面で、米国音楽の帯域が
主にベースとリズムで重要なのは低音。日本の曲はテンポが速いもの
が多く、低音を出すとスピード感がなく、米国ではアップテンポ曲は
すくなく、ポップスとJ-POPの違いに気づく。そしててボーカルの違い。
逆にアメリカのボーカリストは、アジア人のような声は出せず、どっ
ちが良い悪いではなく、“楽器”として違うと話す。例えば同じ弦楽
器でも三味線とギターではまるで違う音が出るようなイメージに近い。
だから日本人がどんなに流暢な英語で歌っても、違う楽器として認識
され、オケのプロダクションが変わる。今は特にヒップホップ時代、
ローエンドをすごく強調される、J-POPがなじんでいたので、そこは全
然気づかず、昔はダンスミュージックも全然作れなかった。
その後2019年にDA PUMPの「P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバ
ル~」の作曲・編曲で、第61回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞。
ロサンゼルスでの経験が、J-POPにも活かせた。で、5作目は、これま
での経験を総動員し、今まで「ワールド・ミュージック」という名前
だったカテゴリーが、2年前から「グローバル・ミュージック」に変わ
ってここの基準なら私の音楽が合うんじゃないかと思って。サウンド
面では、4枚目の時に琴や三味線を使っていたので、その流れで5枚
目を作るが、ただ規定が細かく、「グローバル・ミュージック」は民
族楽器が51%以上使われている必要がある(なんと規定的/開明的か)。
4枚目は和楽器をフィーチャーした曲が8曲中4曲だけだったのでエン
トリーできずにいた。もっと和楽器の曲を増やすイメージで、ロサン
ゼルスで知り合ったカナダやロサンゼルスのミュージシャンにフィー
チャリングで参加してもらって。そういう風にしたら、「グローバル・
ミュージック」というカテゴライズにしっくりくる作品が完成した。
和楽器だけじゃなく、アフリカのコラというハープや、ンゴニという
弦楽器、ネイティブアメリカンフルートやバンブーフルートなど、ア
ジアや世界の楽器を取り入れ、”アジアン・テイスト感”を押し出し
たのも功を奏したという。
via グラミー賞に挑戦し続けてきた中で得た“大切な財産”Real Sound
【再エネ革命渦論 84: アフターコロナ時代 283】
● 住友商事、光触媒系燃料製造プロジェクトに参画
安価な原料のみを用いて、光の力だけでアンモニアをきれいに燃える
水素燃料に変換する拡張性のある触媒を作製した。液体アンモニアは、
1分子に窒素原子1個と水素原子3個を含むため、輸送が容易で、多くの
エネルギーを含む。新しい触媒は、この分子をクリーンな燃料である
水素ガスと、地球大気の最大の構成要素である窒素ガスに分解する。
また、従来の触媒とは異なり、熱を必要としない。その代わり太陽光
やエネルギー消費の少ないLEDなどの光からエネルギーを得ることがで
きる。 この研究は、鉄が効率的なプラズモン光触媒になり得る。また、
光触媒は、安価なLED光源で効率的に行えることも実証。
研究者たちは、銅と鉄でできたアンテナリアクター粒子がアンモニア
の変換に非常に有効であることを明らかにした。この粒子の銅製のエ
ネルギーハーベスティング部分は、可視光からエネルギーを取り込む。
2022年11月24日、ライス大学らは、Cu(銅)-Fe(鉄)プラズモニック光触
媒を使って、低コストでアンモニアから水素を作る技術を開発。研究
チームは、地球に豊富に存在する遷移金属であるFe(鉄)とCu(銅)を触
媒に選択した。まず、LEDから照射される波長470nmの光によって、Cu
原子が「ホットキャリア」という高エネルギーの電子を生成する。こ
のホットキャリアが、Fe原子に結合しているアンモニアの分解を進め
ることで、水素を得ることができるという仕組で、この仕組みはプラ
ズモニック光触媒反応と呼ばれる。
【関係情報】
・論文: 2022 Nov 25;378(6622):889-893. doi: 10.1126/science.abn5636.
Epub 2022 Nov 24、Earth-abundant photocatalyst for H2 generation
from NH3 with light-emitting diode illumination
・表面プラズモン;surface plasmon ( via jp.Wikipedia )
2023年1月30日、住友商事はノルウェーのエネルギー大手Equinor社の
コーポレートベンチャーキャピタルであるEquinor Venturesと共同で
米国のスタートアップであるSyzygy社が米RTI Internationalと行う、
光触媒技術を用いたサステナブル燃料製造のプロジェクトに参画。こ
の光触媒技術を用いたサステナブル燃料製造のプロジェクトは世界初
の取り組み。今回、住友商事が参画するプロジェクトでは、Syzygy社
の技術を用いてメタンとCO2から合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガ
ス)を製造した後、RTI Internationalの設備を用いて従来のジェット
燃料、ディーゼル、ガソリンの代替になり得るSAF(持続可能な航空燃
料)やメタノールなどのさまざまな低炭素燃料を製造する。また、原
料となるメタンにバイオガスを使用することで、より低炭素の燃料の
製造も検討する。
【関連情報】
・光触媒を利用した世界初のサステナブル燃料製造、住友商事がプロ
ジェクトに参画:省エネ機器、スマートジャパン、2023.2.1
・Syzygy plasmonics incPatents, PatentGuru;
・US20190287769A1 反応器、該反応器を含むシステム、並びにその製造方
法及び使用方法
【要約】 基板を処理するための反応器、ならびに該反応器を製造およ
び使用するための方法が開示されている。具体的には、反応器は、ガ
ス化合物を形成する材料を含むことができる。その後、ガス化合物は
反応器から容易に除去されるため、そうでなければ発生する反応器内
の基質の汚染を低減または回避する。
● 再生可能エネルギーを利用してアンモニアを製造
東京工業大学発スタートアップのつばめBHBは、アンモニアの小型商
用プラントの設立と実証に乗り出す。新潟県柏崎市に同社で初とな
る商用プラントを建設するほか、海外での再生可能エネルギーを活用
したアンモニア製造を検討する。東工大が開発した触媒を使うこと
で温和な条件で製造できるようになる。需要地でのアンモニア製造
事業を促進する。東京工業大学発スタートアップのつばめBHBは、ア
ンモニアの小型商用プラントの設立と実証に乗り出す。新潟県柏崎
市に同社で初となる商用プラントを建設するほか、海外での再生可能
エネルギーを活用したアンモニア製造を検討する。東工大が開発し
た触媒を使うことで温和な条件で製造できるようになる。需要地で
のアンモニア製造事業を促進する。
つばめBHBは2023年1月には、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国
営石油会社(ADNOC)とアンモニア製造に向けた共同調査に入る契約
を交わした。将来、UAEの再生可能エネルギーを利用して価格競争力
のあるアンモニア製が目標。 アンモニアは、肥料やプラスチックの
原料として世界中で利用されている。輸送や貯蔵が容易なうえ、燃
やしてもCO2を出さないことから、近年はクリーンエネルギーとして
注目されている。一方、現状のアンモニア製造には大規模な設備が
必要になり、生産現場も限られるため、遠く離れた需要地へ輸送す
るのにコストがかかる。そのため、インフラが整っていない場所で
も容易に設置・稼働できる小型プラントの引き合いが強まっている。
図1.(a)リチウム空気電池の構成図。 (b) 充放電反応後の負極の断面SEM
像 (保護膜なしの場合) 。100 μmの厚みだった金属リチウム負極が50 μm程
度の厚みまで減少しており、金属リチウム負極が著しく劣化しています。(c)
固体電解質を保護膜として導入した場合のリチウム空気電池の構成図。(d)
充放電反応後の負極の断面SEM像 (保護膜ありの場合) 。初期の100 μmの
厚みをほぼ維持しており、劣化が大幅に抑制されています。スケールバー :
20 μm
● リチウム空気電池の劣化反応機構解明
023年1月、物質・材料研究機構(NIMS)やソフトバンクやオハラと共同で、
リチウム空気電池の劣化反応機構を解明したと発表した。これに基づ
き、金属リチウム負極の劣化を抑えるための軽量な保護膜を導入し、
サイクル寿命を大幅に向上させることに成功。2018年にはソフトバン
クと共同で「NIMS-SoftBank先端技術開発センタ」を設立し、リチウム
空気電池の実用化研究を行ってきた。そして2021年に、重量エネルギ
密度が500Wh/kg級のリチウム空気電池を開発。ただ、開発品のサイク
ル寿命は10回以下であり、実用化に向けてはその回数が課題となって
いた。
リチウム空気電池は、多孔性カーボン膜、セパレーター、金属リチウ
ム箔(はく)を積層した構造となっている。放電反応を見ると、負極
で金属リチウムが電解液に溶出し、正極で酸素と反応して、過酸化リ
チウムを析出。充電反応はその逆で、正極の過酸化リチウムが分解し
て酸素を放出し、負極では金属リチウムが析出。これまで試作してき
たリチウム空気電池について、内部の複雑な化学反応を解析し、サイ
クル寿命が低くなる要因などを調べてきた。今回は走査型電子顕微鏡
(SEM)を用いて、充放電反応後の負極断面を観察。この結果、金属リ
チウム負極の厚みが当初の100μmから、約50μmに減少していること
が分かった。リチウム空気電池セル内部のガスを分析したところ、正
極における副反応(溶媒の分解反応など)に伴って発生する水や二酸
化炭素が、負極側で反応している可能性が高いことがわかった。研究
チームはこれら副反応生成物が、金属リチウムの負極を劣化させる原
因ではないかと推定。そこで、正極と負極の間に、保護膜として厚み
90μmの固体電解質を導入したリチウム空気電池を新たに作製。正極か
らの水や二酸化炭素といった副反応生成物が混じり合うことを抑制す
るためである。保護膜を導入したリチウム空気電池を用い、充放電反
応試験を行った。この結果、金属リチウムの負極の厚みは、初期の100
μmをほぼ維持しており、劣化が抑えられていることが分かった。
【結果】
保護膜として導入した厚み90μmの固体電解質は極めて重たい材料で、
リチウム空気電池の高い重量エネルギー密度を損なうため、厚み6μm
の固体電解質を開発し、負極の保護膜としてリチウム空気電池に搭載
した。試作したリチウム空気電池の重量エネルギー密度400Wh/kg超え
る。この値は従来のリチウムイオン電池の2倍以上である。しかも、
20サイクル以上の安定した充放電反応が行われることも確認した。
【掲載論文】
題目 : Chemical Crossover Accelerates Degradation of Lithium Electrode
in High Energy Density Rechargeable Lithium-Oxygen Batteries
著者 : 松田 翔一、小野 愛生、朝比奈 均、木村 伸、水木 恵美子、
安川 栄起、山口 祥司、久保 佳実、魚崎 浩平
雑誌 : Advanced Energy Materials
掲載日時 : 日本時間2023年1月30日
DOI :10.1002/aenm.202203062
図1.(a) [1]ロタキサン型π共役分子とコバルトクロリン錯体を用い
た無機有機ハイブリッド材料の模式図と構造式。 (b) 分子1-3を用い
たハイブリッド材料を電極とした、過酸化水素生成触媒の性能を示す
データ。1/FTOにおいて最も優れた触媒効率が示されている。
● 界面制御処理高性能有機無機ハイブリッド材料
床を整理整頓して触媒効率UP
2月6日、東京大学及び公立大学の研究グループは、有機材料と無機材料を
融合した有機無機ハイブリッド材料は、太陽電池や発光デバイス、触媒など
の分野で注目を集めているが、有機材料と無機材料が接する境界部分(界
面)において、分子がナノメートル(10億分の1メートル)スケールの制御不能
な塊を形成し、材料の機能やデバイス効率を低下させることが問題であった。
【要点】
1.有機無機ハイブリッド材料を用いた酸素還元触媒において、無機
材料上の有機分子を一つ一つ、環状の分子で覆う構造([1]ロタキサ
ン構造)を用いて制御することで、有機分子同士の凝集を防ぎ、高
効率・高選択的な触媒となることを明らかにした。
2.ハイブリッド材料の性能は、有機と無機の境界部分(界面)によ
って大きく左右されるものの、界面はナノメートルという非常に小
さな領域であるため、従来は人工的な制御が困難であった。
今回、[1]ロタキサン構造を用いることによって界面が整理整頓され
ハイブリッド材料の性能を向上させられることを初めて報告した。
3.一つ一つの分子が整理された界面を持つことが、ハイブリッド
材料の効率に効果的であることが示された。この設計は、触媒だけ
でなく太陽電池や発光デバイスにおいても、よりエネルギー効率が
高いデバイス材料の実現に貢献すると考えられる。
【掲載論文】
Sheng-Ying Chou, Hiroshi Masai,* Masaya Otani, Hiromichi V. Miyagishi,
Gentaro Sakamoto, Yusuke Yamada,* Yusuke Kinoshita, Hitoshi Tamiaki,
Takayoshi Katase, Hiromichi Ohta, Tomoki Kondo, Akinobu Nakada, Ryu
Abe, Takahisa Tanaka, Ken Uchida, Jun Terao*, "Efficient electrocatalytic
H2O2 evolution utilizing electron-conducting molecular wires spatially sepa-
rated by rotaxane encapsulation," Applied Catalysis B: Environmental: 2023
年2月3日, doi:10.1016/j.apcatb.2023.122373.論文へのリンク
✺ 太陽光パネル、熱分解処理装置を実用化へ 23年に初号
太陽光発電システムの開発・販売を手がける新見ソーラーカンパニー
(岡山県新見市)は太陽光パネルを約95%リサイクルできる熱分解装置
を実用化する。技術は開発済みで初号機を6月にも納入する。2030年代
から耐用年数を迎えた太陽光パネルの大量発生が見込まれている。二
酸化炭素(CO2)を出さない環境配慮型の装置として産業廃棄物処理業
者などのニーズを見込む。
● アルミフレームを外した廃棄パネルを同社の熱分解装
✔ 「盆と正月がいっしょに来る」とは良い意味で同じだが、経験的に
は、80年代を上回る仕事量で悲鳴をあげる情況で、情報が裁ききれ
ないのだ(わかってもらえるかな?!)。
この唄がぴったりか? 時代の荒野に!
新・国債の真実―99%の日本人がわかっていない
目次
はじめに
1章 まず「これ」を知らなくては始まらない―そもそも「国債」っ
て何だろう?(企業は金を借りて運営する、国も同じ;政府は予算
を立て、「足りない額の国債」を発行する ほか)
2章 世にはびこる国債のエセ知識―その思い込い込みが危ない(
何の知識もなく語っている人が多すぎる;「倹約をよしとする」と
「借金は悪」となる ほか)
3章 国債から見えてくる日本経済「本当の姿」―「バカな経済論」
に惑わされないために(なぜ財務省は「財政破綻する」と騒いで
いるのか?;財務省ロジックに乗っかる人々もいる ほか)
--------------------------------------------------------------
第3章
なぜ財務省は「財政破綻する」と騒いでいるのか?
このままでは、いずれ日本は財政破綻する。
そして、日本国債は暴落する。
こういわれるようになって久しいが、日本は二向に財政破綻しない
し、日本国偵は一向に暴落しない。その兆しを見せたことすらない。
財政破綻も国債暴落も、「要因」がほとんどないのだから当たり前だ
が、いまだにこう断じてはばからない人がいる。本当にわかっていな
い人たちは論外として、自分かちの利益のために「あえて恐怖を煽っ
ている人たち」もいるのだろう。
彼らは、データ的根拠や何をもって「暴落」とするのかを、示して
いない場合が多い。このことからも、単なるイメ犬ン戦略であること
がうかがわれる。
では、誰が、どのような利益のために、財政破綻や国債暴落を主張
しているのか。
一つは、財務省だ。ただし、これは表では絶対いわない。こっそり
と裏でいうのである。
まず前提として、財務省は一貫して「増税派」と思っておいて間違
いない。その理由は、税金をたくさん集めて財政再建したいから、で
はない。じつは増税すると財務省の予算権限が増えて、各省に対して
恩が売れて、はては各省所管の法人への役人の天下り先の確保につな
がるからだ。
驚いたかもしれないが、こうした思惑があるからこそ、財務省は「
いつだってスキあらば増税したい人たち」なのである。
なぜ増税が財務省の権限を増すことになるのか。単純な話である。
まず、予算を実質的に膨らませることができる。
こういうと、経済成長によって「税収」が増えても同じという声も
あるが、それは素人論議だ。経済成長があれば、要求官庁は経済成長
に見合う経費増も要求する。経済成長は財務省のおかげではないので、
「税収」増の分だけ予算増となっても、要求官庁は財務省に恩を感じ
ない。
ところが、「増税」であれば、その増加分は財務省のおかげとなっ
て、財務省はその分の予算配分をするとき、各省庁に恩をきせられる
のだ。予算増の恩恵を受けた省庁は、その見返りに自分の所管する法
人などに財務省からの天下りを認めてやる。
もちろん、この天下りは予算配分してもらった見返りであり、国民
の血税が使われている。
もう、1つは、増税するときには、必ずといっていいばど「例外措
置」が設けられる。
ー絹くたに増税するのではなく、「こういうケースは税が軽減される」
とか「今回の増税は、こういう業界は例外とする』といったように、
特定の業界や特定の層を優遇する措置がとられるのだ。
わかりやすい例でいえば、「生活必需品は増税されない」とか「新
聞は増税されない」などの「軽減税率」も要は例外措置である。
ただし、どういう場合に例外措置が設けられるかは、財務省のさじ
加減だ。
もっともらしい理屈をつけて例外措置を設けるが、そのじつ「この
業界を特例とすることには、どんな利益があるのか」という計算が働
いていると見ていい。これが、「あのとき優遇したのだから、引退し
た官僚の受け皿を提供しなさいよ」という具合に、天下り先の確保に
つながるわけだ。
まったく呆れた利己思考だが、実際に大蔵省(現・財務省)に身を
置いたことがある私が自らの体験からいう話である。
財務省ロジックに乗っかる人々もいる
財務省が「財政破綻する」といっていると、それに乗っかる人たち
も出てくる。
財務省の「御用記者」は財務省のポチだから、そうしたマスコミは
どうしても財務省寄りになる。つまり、マスコミが「財政破綻の危機
がある」と報じても、それは単に利己思考から増税したい、財務省の
口車に乗せられているだけと見ていいのだ。
意外なところでは、銀行や証券会社もいる。
「財務省が、財政破綻するといっている。財政破綻すれば国債が暴
落する」
こんな論法で、個人の投資を国債以外の金融商品へと誘導する魂胆
である。
あとで詳しく説明するが、国債は、個人でも買うことができる。た
だし政府から直接買うのではなく、銀行や証券会社を介して買う。と
ころが、個人の国債購入を仲介しても、銀行や証券会社には何のうま
みもない。
だから、銀行は、国債は白分たちで保有しておきたい。そして個人
に対しては、国債購入の仲介なんかするより、預金を集めたり、産額
保険(これは保険会社の商品だが、銀行が代理店になっている)を売
ったりしたい。
証券会社も同じで、白分たちの金融商品である投資信託などを売り
たい。
これが彼らの本心だ。
おそらく、銀行から「国債を買いませんか?」と勧誘を受けたこと
のある人なんて、いないだろう。売りたくない商品をすすめるはずが
ない。あるとしたら国債を寂っかかりにして、白分たちの金融商品に
誘導するためだ。
ためしに、銀行で「国債用の口座(国債を買うには、専用口座が必
要)を開きたい」
と言ってみるといい。「貯蓄口座を開きたい」と言ったときの歓迎ぶ
りとは打って変わって、怪冴な顔をされるに違いない。
あるいは証券会社なら、すんなり投資用の口座を開くことができて、
そこから国債を買うことも簡単にできるだろう。ただ、すぐに「投資
信託に乗り換えませんか?」といった勧誘がくるはずだ。
比較的手を出しやすい国債は「撒き餌」のようなものであり、最終
的にはより自分かちの儲けの大きい金融商品を買わせたいのである。
だから私などは、「お金はあるが、投資の素人」という人から相談
されたら、「まず銀行で国債を買ってみるといい。ただし、買うのは
国情だけ。その他の商品をすすめられても買わないほうがいい」とい
っている。押しの強い証券会社で買おうものなら、カモにされかねな
い。
なお、個人が国債を買うにはどうしたらいいかは、5章にざっと記
す。本書を読んで「日本は財政破綻しないし、日本国情は暴落しない」
と安心し、国債を買ってみたくなった人は、参考にしてほしい。
国情が「下落」することはある、それはいい
「日本国債は暴落する」という人のなかには、財務省のような明確な
魂胆ではなく、ふんわりした零囲気でいっている人も多いように見受
けられる。
そもそも彼らは、何をもって「暴落」とするのか。
財政破綻、つまり国が倒産したら、当然、その国の国債は紙くず同
然と化す。企業が倒産したら、その企業の株や社債が紙くず同然にな
るのと同じだ。
だが、ひょっとしたら「日本国債暴落論者」たちは、違う意味って
いるのかもしれない。彼らなりの「暴落」の定義によっては、「そう
いうことなら、そりゃ暴落するよね」という結論にもなりかねない。
たとえば国債価格が5%下がったら、それは「暴落」というのか。
日本が長く綻いたデフレを脱し、インフレになれば国低価格は当然、
下がる。国債の金利は基本的にインフレ率に比例する。単純にいえば、
インフレになれば金利は上がる。すると国債の相場価格は下がる。
その仕組みを簡単に説明すると、こういうことだ。
国債の長期金利の指標となる銘柄である、「新発10年物国債」は固
定金利だ。つまり、この国債が発行された時点での利率がずっと続く。
ところが買った後に新発国債の金利が上がると、それより前に設定
された金利は不利になって、この国債の価格が下がる。それもそのは
ずだ。これから国債を買う人からすれば、発行当初の利率が固定され
たままの国債より、金利がより高くなった直近の国債のほうがほしい。
要するに需要と供給の関係で、金利が高くなってからだと、金利が
より低いまま固定された国債には買い手がつきにくくなり、価格が下
がるというわけだ。
仮に、現在の国債の金利が1%でヽあとから5%に金利が上がった
としたら、どうなるか。
金利が上がったときの価格下落率は、その国債の償還年限に依存す
る。償還年限が大きいほど下落率が高くなる。
これは金利の変動に応じた、いねば当たり前の価格下落だ。それを
「暴落」とするのなら、日本国債が「暴落」することは十分ありうる。
ただし、一番の問題は、それをどう見るかだ。インフレ率が上がり
金利が上がることで、国債価格が下がる。元をただせば、この現象は、
それだけ経済成長率が高くなっているということなのだ。
金利1%の世界から5%の世界になるというのは、デフレからイン
フレ、不景気から好景気へと変化しているということだ。給料も上が
れば、消費も増えるし、投資も盛んになる。まとめていえば、経済が
活発に回りだす。
「暴落」という言葉をいたずらに恐れていると、こうした普通の、
むしろ「いい兆候」ともいえる国債価格の下落すら、「これが終わり
の始まりか」と受け取りかねない。「国債価格が下がること」自体を
悪いことととらえてしまうのだ。
しかしこれは、「経済成長しなくていい」「景気が上向かなくてい
い」といっているのと同じなのである。
根拠となるデータも、明確な定義も示さない、単に雰囲気だけで恐
怖を煽る「ふんわりロジック」ばかり見ていると、こんな勘違いに陥
る危険もあるということだ。
私はこうした人を相手にすることもあるが、その場合、暴落という
場合、どのくらいの期間内で何%下落することをいうのか間くことに
している。それでも答えないとき、償還期限10年償で、今より金利が
5%上がったら何%下落するのかを間いてみる。
雰囲気だけの人は、この簡単な質問にも答えられないはずだ。
この項つづく
風蕭々と碧い時代
Jhon Lennon Imagine
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