極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

引き寄せられる混沌

2022年05月08日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」


1.ズイナ 2.ヤシャビシャク 3.ヤブサンザシ 4.コマガタ
ケスグリ 5.スグリ

【おじさんの園芸DIY日誌:アジサイの移植Ⅱ】
植物の名前は、人名(氏名)が思い出せないのに、それはないよねと
引くのだが、普段から気をつけてないのに思い直す今日この頃。


小葉髄菜 Virginia sweetspire

あまり目立たない落葉低木であるが、五月から六月ごろに咲く総状花
序の白い花はよく目につく。若葉を食べる。髄は灯心として使われ、
花が詰まった茎にこの若葉がつくことでこの名がある。寄せ木に興味
があり、暇をみつけては近くの植物店を物色したりネットサーフして
いるが丈は「1500ミリメートル以下」(嵩超えは剪定)が基準。昨年、
つるバラがウイルスにより壊滅したので、今年は、梔の花を植え、現
在、紫陽花を試し植栽したが、萼アジサイ? ダンスパーティーの桃色
に魅せられ、「適切なアルカリ性培養土管理」の思案中。



【男子厨房に立ちて環境リスクを考える:家庭ごみゼロ計画Ⅱ】
「家庭ごみゼロ」の取り組みをはじめ約1ヶ月。各自治体にある「ご
みステーション」専用の圧電素子で計量器(専用計量アプリ搭載)で
定点測定することを思い描いたが、「先ず隗より始めよ」ということ
もあり、トラベルケース(Luggage Scales)用の電子はかり購入し、自
宅から排出する分別ごみの計量を来月の6月から2023年5月まで計量を
続ける。それにしても、タコメータがデジタル化されたように、当に
DX(Degital Transformation)時代!を実感。後は、故浜野保樹東大教授
曰く、コンテンツが命!とは表現しなかつたけれど、「最適アプリ開
発開発が当たり前の時代である。面白い。




【ポストエネルギー革命序論 432: アフターコロナ時代 242】
  現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」



  マイクロ波パワービーミングの大きな進歩
 米国海軍研究所(NRL)の研究者は、1キロメートルの距離で1.6キロ
ワットを送信することにより、地上マイクロ波電力ビームの実現可能
性を実証した。
 この技術の50年近くで最も重要な進歩となる。マイクロ波パワービ
ーミングは、指向性マイクロ波ビームによる自由空間全体での電気エ
ネルギーの効率的なポイントツーポイント転送。米国国防総省(DOD
が資金提供するSafe and COntinuous Power bEaming ? Microwave(SCOPE
-M
)として知られるプロジェクトは、そのような技術がより大きな規
模と距離で実現可能であることを証明することを目的としている。そ
の主任研究者は、海軍調査研究所(NRL)の高度な概念の責任者がク
リストファーローデンベック博士。 このプロジェクトを開始してから
わずか12か月後、NRLは、10ギガヘルツ(GHz)のマイクロ波ビーム
を使用して、1キロメートルにわたり1キロワットの電力を照射する
ことに成功。SCOPE-Mは、メリーランド州ブロッサムポイントの米陸
軍研究所とマサチューセッツ工科大学(MIT)の ヘイスタック超広帯
域衛星イメージングレーダー(HUSIR)送信機の2か所でパワービー
ムを実証。これらの目標を設定する理由は、この技術を以前に実証さ
れたものよりもさらに推し進めるためと、パワービーミング及びスペ
ースソーラーリードのポールジャッフェ博士は説明する。電力ロスの
大きい高周波数は使用せず、大雨の場合でも、電力損失は5%未満の
安価で産業成熟している10GHz帯を適用する。



 メリーランド州では、チームは目標を60%超え、1.6キロワット/キ
ロメートル強で照射。マサチューセッツ大学の研究グループは、同じ
ピーク電力を
達成できなかったが、平均は高く全エネルギーが送達・
供給できた。この実証実験成果は国際規格機関の認定を得た、安全制
限内の電力密度を使用し、地球・宇宙空間および宇宙から地球への電
力ビームロードを拓いた。これは、鳥、動物、人間ににとって安全で
あることをを意味する。過去のレーザーパワービームの実験では、は
るかに高いパワー密度を使用し、エンジニアはインターロックシステ
ムを組み込んだため、不審物が接近すると遮断するがSCOPE-Mでは、
それは不要となる程、電力密度が十分に低く、本質的に安全である。



DODは 宇宙からのワイヤレス電力伝送に特に関心が高い。SCOPE-M
プロジェクトの電子技術者の Brian Tierney博士は、SCOPE-Mに使用さ
れるのと同様のレクテナ(整流アンテナ)アレイは、宇宙空間の過酷
な真空及び過酷な温度環境で使用されるため、地上の電力ビームリン
クは宇宙電力ビームリンクは優れていた。地球への電力ビームの主な
利点は、攻撃に対し脆弱な軍隊への燃料供給を軽減。
軍事作戦にとっ
て重要。パワービーミングは究極のグリーンテクノロジー。断続的で
散発的な電力供給のみを提供する他のクリーンなエネルギー源とは異
なり、宇宙から地球に向けて放射される電力は、24時間、1年365日継
続供給を実現。今日、他の形のクリーンエネルギーでは不可能なこと
である。技術準備レベルの観点から、DODアプリケーションは理想的
なものだという。
わたし(たち)は、特許技術情報などから、日本の技術競合力は即戦
力状態にあると思っている。

【関連技術情報】
Research on Microwave Wireless Power Transmission Technology | JAXA |
Research and Development Directorate.
C. T. Rodenbeck et al., "Terrestrial Microwave Power Beaming," in IEEE
Journal of Microwaves
, vol. 2, no. 1, pp. 28-43, Jan. 2022, doi: 10.1109/JMW
.2021.3130765.


FIGURE 3 - available via license:
Creative Commons Attribution 4.0 International


  

書籍:大豆と人間の歴史
著者:クリスティン・デュボワ
【内容概説】
人類が初めて手にした戦略作物・大豆。その始まりは、日本が支配し
た満州大豆帝国だった。サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食
品・産業素材として広く使われ、南北アメリカからアフリカまで、世
界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。大豆が人間社会に投げかけ
る光と影、グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますと
ころなく描く。
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第8章 毒か万能薬か
救援物資としての大豆

 大豆とこうした貧困国の人々との関係はさらなる矛盾を生みだして
いる。
すでに見てきたように、世界中の困窮している地域では、食料
支援としての
大社は人々の命を枚うことができる。が、その地域の農
業をだめにすること
もある。あるいはこの両方が同時に起こることも
ある。さらに、発展途上国で
は小規模農家の大豆栽培によって、食料
の安全保障が向ヒする。しかし、裕
福な農家が人見を支配すれば小規
模農家は追い出され、自給自足用の食
料も取り上げられて、貧困層の
食料の安全は脅かされることになる。そして
最後に、大豆栽培は人間
が食べるたんぱく質を生みだす非常に効果的な方
法だが、大豆はその
多くが家畜の飼料となっている。

 世界中の大豆たんぱく貧のおよそ70パーセントが、
豚肉や鶏肉の
たんぱ
く質となって人間が摂取するという非効率的なプロセスで利用
されている。

 今日私たちの人員の利用方法は、増加しつつある飢餓状態の人類の
空腹を満たす最善のやり方ではない。
 大豆のゲノムのこみ入った事情は、大豆と人類のからみ合った関係
に匹敵するというわけなのだ。大豆は便利な食物だが、私たちはどう
いうものか友人でもあり敵でもある「フレネミー」に変え続けている。
私たちは栄養面では非常に複雑な行動や態度を取っている。そして、
人類は何事についても複雑にできており、経済的な観点から大豆をど
のように扱うかも多面的だ。時に迷路のようにこみ合った大豆貿易の
ありさまは次章で詳しく見ていく。

※フレネミーとは、「friend」と「enemy」を組み合わせた混成語で、
「友を装う敵」または「ライバルと同時に友である者」を意味する。

第9章 大豆ビジネス、大きなビジネス
  先物取引の対象として

  大豆は世界で最も多く栽培されている油糧作物で、他を大きく引き
離している。また農作物全体では四番目
に広い面積で耕作されている
(上位三つはトウモロコシ、小麦、それから米で、すべて穀類だ)。
大豆貿易の
国際性には目を見張るものがある。研究者マリアノ・トゥ
ルシは次のように指摘する。大豆は「パラグアイで
収穫され、貯でブ
ラジルに送られて輸出されるか、またはアルゼンチンに送られて加工
される。アメリカの本
部で事業が許可されて、ジュネーブでアジア向
けに販売される」。大量の大豆生産はその国際性と相まって、
生産重
量では国際取引されている作物の第三位だ。アメリカ産大豆はトウモ
ロコシに続いて商品価値の高い合
法的作物の世界第二位だ(両者を抜
いてマリファナが一位だろう)。大豆とその製品は世界六か国で最も
価値
の高い輸出作物となっている。アメリカ、ブラジル、アルゼンチ
ン、パラグアイ、ボリビア、ウルグアイだ。
国連食糧農業機関による
と、収穫された吉見の価値は2013年の調べで、世界中でなんと1
230奧ドルだ。
地球全体では年間およそ2000兆個の豆が生産さ
れている(1兆の2000倍)。もし2016年に収穫
されたすべて
の大豆を赤道にベルトのように並べるとしたら、地球のまわりをほぼ
40万周することになる。
このベルトを宇宙に向けてまっすぐに伸ば
すと、太陽に楽々届くだろう。実際、太陽まで往復50回の距離だ。

 しかし、国際宇宙ステーションでのいくつかの大豆栽培の実験が成
功した話は別として、大豆は宇宙には行
かない。大腿の行き先は動物
や人間の胃袋で、他には工業製品に使用されるものもある。大豆の移
動の流れは二つの強力な動機から生じる。金と栄養だ。詳細に見れば
どちらも複雑だが、動機としてわかりやすい。
 収入を得ることを考えるなら、農業は本来予測のつかない手段だ。
人間の力で完全に病虫害を制御することは不可能だ。天候を思いどお
りに操る力を持つどころか、産業革命以降の人類の生活様式は天候を
まさしくカオス状態にしているようだ。過剰生産も含めて、農家はこ
うした問題が作物の値段に影響を与えることに対して、防御策を取ら
なければならない。自分たちの重労働によって家族を養うことができ
るという、ほんの少しの保証が必要だ。収穫に対する先物取引は防御
のための一つの手段である。
 同意できるレベルで価格を固定することで、先物取引はロスのよう
な農家にも、加工企業にも、採算はより予測可能なものとなる。19
世紀中ごろにはシカゴ商品取引所(CBOT)で、こうした高度に特
化された現代の契約形式が編みだされた(大豆は1936年までは取
引がなかったのだが)。農民が自分たちの農産物を売りにやって来た
時初めて、過剰生産ですでに価格崩壊が起きていることを知らされる
といった、手に負えない農産物市場を商人たちは調整したいと希望し
た。作物の価格は時として非常に低く----他方輸送費は高い買い手を
探したり、買い手のもとに届けたりするよりも、道端で腐らせておく
方が安く上がることがあった。逆に、加工業----たとえばベーカリー
が反対の問題に直面する時もあった。未加工の状態の材料が少なく、
価格が高すぎて、加工業者たちは大変な苦労をして購人しなければな
らないといったことだ。そこで彼らは高くなった費用のほとんどを消
費者に回さざるを得なかった。パンやその他の必需食品の値段が急上
昇して不満を呼んだ。こうした問題の解決策、先物取引は、売り手と
買い手が細かく取り決め標準化した合意ということだ。どんな産物が、
どんな品質レベルで、どの量で、何月何日に、そして価格はいくらで
届けられるか、すべてについて具体的に規定されている。これは家具
店でリビングルームの家具一式を買って配達してもらう売買契約にサ
インするのと少しも違わない。契約書に記載されているのは、ブラン
ド、家具のスタイル、選んだ色や布地、セットに含まれる家具の個数、
配達日だ。契約はこのリビングルームの家具一式の価轄も具体的に決
めているので、購入社は契約にサインしてから家具が届くまでの間に、
希望した家具の価格が急上昇することを心配する必要がない。他の人
が払う価格が上がったとしても、自分の契約には何の影響もない売り
側にも利益がある、家具の価格の下落から保護されていて、売買契約
の中で取り決められた価格を信用してよいからだ。
 家具の通常の売買契約と農産物の先物取引の最も眠要な違いは,先
物取引は大豆のような原材料の実質見込日み価格をもとにしているか、
契約の当嘔者たちはどちらも通常お互いに実際の豆と現金を交換する
ことなく、契約を成立させているという点だ。その代わりに、商品取
引所はすべての買い手と売り手の間の動向を把握しており、契約満了
になると、誰か誰に納品すると指定する,この話をわかりやすくする
ために、ロス農場かブッシェルという単位で結ばれる。ブッシェル
の大豆を10ドルでフィ-ドロット杜(架空の会社】に7月18日に
届けるという契約をしたとしよう「現実の先物取引は何千ブッシェル
」という単位で結ばれる)。ロス農場がこの契約を結ぷのには、価格
が11ドルに上ってしまうのではないかと恐れているからだ。フィー
ドロット杜がこの契約をする理由山は、価格が11ドルに上がること
を心配するからだ。両サイドは価格の変動リスクを「ヘッジしている
」のだ。一日分のする賭けの損失を回避するのである。10ドルとい
う価格はCBOTの経理システムで取引粕として即座に記録される。
 しかし、どちらかの当事者が契約から早期に抜けたい場合、契約内
の義務を投機家に売却することかできる。これはフィードロット社に
とって望まLいことかもしれない。たとえぱ、フィードロット杜にキ
ャッシュフローの問題があって、現金か必要な場合だ。契約終了前に
大豆の値段か11ドルに上がるとしよう。1ブッシェル10ドルの契
約を売れば、新たに大豆を買うために、フィードロット社はもともと
Iけたいと思っていた価脩を払わなければならない。そこで、この潜
在的な問題を相殺するために、先物取引のフィードロット社の権利を
トレーダー・トリーシャに11ドルですでに売却しておいた。それに
よってフィードロット社は大豆を10ドルで買うという、ロスとのも
ともとの契約でなく、地元農家ニヤバイ・ネッドから11ドルで買うこ
とで、一ドルの損失となる。だが、もともと約束していて、CBOT
の台帳に記録してあったよりも高い額でロスとの契約をトリーシャに
売却したので、1ドルの利益が出た。1ドルの損失を1ドルの利益で
相殺して、リスクヘッジに成功したということになる。それではトリ
ーシャがこの契約を買うのはなぜか----フィードロット社のこの契約
の会計台帳を自分に移転せるためにトリーシャが金を払うのはなぜか。
その理由は相手方投資家の反対の戦略にある----運不運と大豆業界に
関する知識、警戒とスピードでトリーシャに大きな収益をもたらすこ
とができるという戦略だが、大損失につながる可能性もある。フィー
ドロット社は価格が過度に上昇するかもしれないともともと懸念して
おり、先物取引を使ってリスクの軽減を図ろうとしていた一方で、ト
リーシャは、価格はさらに上がるだろうという、危険を承知で期待を
抱いていたのだ。もし価格がブッシェル当たりコードルに一時的でも
上昇したら、トリーシャは即座に契約を投機家サムにより高い値段で
売る。11ドルの契約をコードルで売却するのだ。トリーシャは大豆
に一度も手をふれることなく、取引記録に1ブッシェルにつき「1ド
ルの利益」と記録される。
 サムはさらに価格が上がると期待しているが、市場の動向を読み違
える。ブラジルでの大豆の収穫が予想を上まわるだろうという発表が
あったのだ。大豆供給の増加が予測されたせいで、価格が落ちこむ。
サムが利益を得られるほどには価格はもとにもどらない。契約を11
ドルで買ったのに、結局10ドルより少し安い価格でハングリー・ホ
ッグズ社に売却すると、サムは損失を被ったことになる。CBOTは、
ハングリー・ホッグズ社が支払いの約束をして、例のブッシェル分の
大豆を手に入れる権利を有していることを帳簿に記録する。
 動物に餌として与えるために、ハングリー・ホッグズ社の社員が求
めるのは現実の大豆であって、投機的な意味の、即時の利益が手に入
る可能性ではない。契約が期限を迎えると、会社は豆を商品取引所で
回収するので、商品取引所は誰かにその配達を指示する。その指示先
はロス農場が自分のリスク回避戦略として先物取引し、自分の大豆の
権利を売った相手だが、結局また別の人になっているかもしれない。
もし配達する契約を割り当てられているのが大豆農家でない場合、そ
の人物または会社は、大豆を渡す契約を履行するために、大豆を現物
取引で時価で買わなければならない。
 コモディティ・ファイナンスの複雑さについてあまり知らない人に
は、こうした取引の抽象性を理解することは難しいかもしれない。し
かし、次の話はこれよりもいっそう複雑で抽象的だ。投資家は「オプ
ション」に金を払うことが可能なのだ。「オプション」とは先物取引
を特定の価格で購入する権利で、義務ではない。言い換えると投資家
は、手数料を払っておくことで、希望するなら、先物取引をその期限
が終了する前ならいつでもその価格で購入することができるというこ
とだ。
 さらに大豆の場合には、もう一段妙案がついている。契約は丸大豆
についてだけではなく、それとは別に大豆油やたんぱく質のための大
豆かすに加工された大豆についても結ぶことができるのだ。丸大豆の
契約と加工大兄の契約との価格差は、豆に加えられた加工の価値が反
映する。価格の違いのことは「クラッシュ・スプレッド」と呼ばれて
いる。丸大豆のままの状態からクラッシュされるまでの間のどこかの
時点での、価値の「スプレッド、値幅」を指しているからだ。クラッ
シュ・スプレッドは、丸大豆とそれに対する二通りの加工製品の供給
と需要の動きと、輸送費や加工費用の変化、そして三通りの異なる先
物市場での投機の動向とともに変動する。
 大豆加工会社はクラッシユ・スプレッドについて注意深く研究して
いる。そしてそれを使って、豆を粉砕する時期とその量を決定する。
すなわち、いつどれだけの量の加工品を売れば利益を最大にできるか
ということだ。彼らはまた大豆油と大豆かすについても先物取引を使
って金融リスクを回避する。他方で、投機家たちが再びこうした契約
を用いて手っ取り早く利益を得ようとねらっている。投機家たちがね
らっているのは、先物取引の価格が栽培や加工、そしてマーケティン
グの領域での現実の金融状況を正しく反映しなくなる瞬間だ。
 この食い違いにつけこんで、抜け目なく利益を求めて商売をするの
だ。投資家も投機家もどちらも二つの加工製品(大豆油と大豆かす)
の間の需要と供給の差を注視している。どの契約を買って、どの契約
を売るのか、そしてそれはいつかは、この見きわめにかかっている。
大豆油と大豆かすの、潜在的な傾向を根気よく研究しなければならな
い----たとえば、大豆油の競争相手として、やがて登場してくると思
われているマレーシアのパーム油の生産量はどうか。先物のトレーダ
ーたちは商品取引の専門用語や、それぞれどのように価値が設定され
るのか、詳しくなければならない。CBOTでは、丸大豆は1ブッシ
ェル当たりの価格がセント単位で、大豆かすは1トン(メートル法で
はない。約907キログラム)当たりをドル単位で、そして大豆油は
1ポンド当たりをセントで設定されている。中国の天運市にある丸大
豆商品取引所----CBOTに次いで二番目に大きな商品取引所----で
は、豆は1メートルトン当たり中国元で設定される。このすべてに加
えて先物取引につきものの金融リスク----加えて、近ごろの組織的な
巨額投資が先物市場で価格をゆがめていること----そして、大豆の先
物投機は気の弱い人には向かないということが明らかになってきた。
先物投機の金融リスクについては、1983年のヒット映画「大逆転」
の中ではっきりと表現されている。商品取引所に向かう道で、一人の
ベテランブローカーが自分の弟子のビリー・レイ・バレンタインに説
明しているシーンだ。

  「気持ちを大きく持て。前向きに考えろ。絶対に弱昧を見せるな
 よ。情け容赦なく攻めまくれ。安く買って高く売るんだ。怖いって
 ?それはやつらの問題だ。お前の経験なんぞ何の役にも立たん。今
 からお前が目にするのは死体の山だ。スーパーボウルもワールドシ
 リーズも、本当のプレッシャーがどんなものか知りもしない。この
 ビルの中に入った瞬間から、食うか食われるかだ。仕切り売り場の
 中に入ったら、友だちごっこは終わりだ。断固戦え。大豆で50万
 手に入れたかと思うと1発撃ちこまれて大逆転。お前の子どもは大
 学にも行かないし、お前のペントレーは再び奴らのものになる。わ
 かるか ?」



  この映画はトレーディングがどのように作動するかを象徴的に表現
しており、アメリカ合衆国商品先物取引委員会委員長ゲイリー・ジェ
ンスラーはこの映画を引き合いに出して、先物取引の規則を厳格化す
る必要があると国会で証言している。彼は新しい「エディー・マーフ
ィー」ルールを繰り返し要求した。エディー・マーフィーは映画の中
で、アメリカ合衆国農務省(USDA)の情報を悪用して大儲けした
人物、ビリー・レイ・バレンタインを演じている。未発表の政府情報
をもとにトレーディングを行うことは禁止されなければならないとい
う主張に議会は同意し、2011年、オバマ大統領はこの新しい法律
に署名した。

  大豆をめぐるスキャンダル
 金融の崩壊がここにぼんやりと見えてくる。商品取引のディーラー
たちが共謀してインサイダー取引をしたり、そうでなくても、制度の
裏をかいたり、市場を独占しようとしたりすると、金融市場は収拾が
つかなくなる。1963年、大豆油をめぐってじつにひどい事件が発
生した。アライド・クルード・ベジタブル・オイル社を経営し、農産
品の販売を行っていたアントニー・デ・アンジェリスが、常軌を逸し
た行動で衆目を集めた事件だ。デ・アンジェリスは「平和のための食
糧」プログラムを通じて長らく規格外の大豆油の輸送を行っていた。
あいにく、1960年代の初めに彼がとった行動は道義に反すると言
うだけでは足りない最低のものだった。
 この当時、ソビエトでは農産物の不足に陥っており、アメリカから
の大量の植物油の輸入に関心があるらしいという噂が広がっていた。
製品の販売と先物取引での儲けに期待しつつ、デ・アンジェリスは大
豆油と綿実油の積荷を購入し、ニュージャージー州で保管していた。
「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」紙が後日説明したところ
によると、「倉庫の物品受領書を使って、アライド社は銀行や投資会
社、ありとあらゆる種類の貸金業者を回って、油の買い増しのための
資金を借り入れた。担保として使われた油の一部はまだ支払いがすん
でいなかった」。
 当時、アメリカ国内は政治的緊張感を増していた。ソビエトとの農
業取引は何にせよ議論の的となった。些細な問題の一つ一つをめぐっ
て、連邦議会とケネディ政権、海運業界と外交、そしてアメリカとソ
ビエトが対立を深めた。あらゆる不安材料が商品価格の下落の原因と
なった。デ・アンジェリスの資金提供者たちは、契約書のとおりにデ・
アンジェリスはおよそ1900万ドル多く現金で支払わなければなら
ないと主張した。アライド社は支払いができず破産に及ぶ。「ニュー
ヨーク・ヘラルド・トリビューン」紙によれば、その直後、
アライド社の借権者たちは「ニュージャージー州ベイヨンのスパゲッ
ティのようなパイプやタンクが並んだ迷路で、何百万ガロンという植
物油を必死になって探しまわった」が、ほとんど見つからなかった。
到着する船の多くが水で満たされていて、油は水の表面にほんの薄い
層となって浮いており、これで検査官を馴していたことが発覚した。
イザドア・バーマッシュは『Great Business Disasters』に次のように書い
ている。

  これは、1960年代中盤に起きた大豆をめぐる大スキャンダル
 だった。……1億5000万ドルの詐欺事件。……1963年の大
 事件は立派な仲買業者アイラ・ハウプト社を廃業に追いこみ、他社
 へ吸収合併、20の銀行を不良債権で立ち往生させ、貿易会社に恥
 をかかせ、さらにその他の関連企業を破産の瀬戸際に追いこんだ。

 しかし、さらなる損失を加えると、この詐欺の価格は2018年の
購買力で表現すると、ほとんど14億ドルにもなる。最も大きな打撃
を受けた企業の1つがアメリカン・エキスプレス社だ。同社の株式は
この詐欺事件の余波で50パーセント下落した。しかし、金融の悪夢
は若き投資家ウォーレン・バフェットには明るい未来をもたらしてい
た。彼はアメリカン・エキスプレス社の株式の58パーセントをバー
ゲン価格で購入した。また、この事件を記事にした「ウォール・スト
リート・ジャーナル」紙の記者に幸運をもたらした。1964年のピ
ユーリッツアー賞を受賞したのである。
 その他にも発生したスキャンダルはある。1989年にはCBOT
は、当時セントラル・ソーヤ社を所有していたイタリアの会社フェル
ッチ社が、夏の大豆市場を買い占めようとしたと告発した。大豆価格
を効果的に支配するために、多数の先物取引と実際の収穫を買い占め
ようとしたのだった。CBOTはフェルッチ社に対し、強制的に大豆
の先物取引を売却させた。収益を失って激怒した会社はCBOTを訴
えて、CBOTの当局者に対しメディアの注目を集める運動を開始し
た。1992年、フェルッチ社とCBOTは、会社側がすべての訴訟
費用と165万ドルの罰金を支払った上、CBOTの会員資格を放棄
するが、不正は認めないという結論に到達した。
 1989年という年はCBOTには厳しい一年だった。二年間のF
BI捜査が山場に達したからだ。覆面捜査をするために商品取引のブ
ローカーとして幅広くトレーニングを受けたFBIのエージェントは、
CBOTやシカゴ・マーカンタイル取引所で働く「仲間の」ブローカ
ーや地元のトレーダーのうちの四六人を起訴するに十分な証拠を収集
していた。被告人らは自分が代表を務めている顧客から詐取した罪を
含む、複数の犯罪で告発された。8人の大豆トレーダーが罪状を認め、
寛大な扱いを受けた。10人は裁判で有罪判決が下され、罰金と損害
賠償を支払うか、収監されるか、あるいはその両者の罰を受けた。幸
い、最悪の詐欺行為に与していたのは、取引所にいた6000人のさ
まざまな作物の仲介業者のうちの明らかにごくわずかだった。 

                         この項つづく


河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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【きまぐれ読書録:営利組織会計管理学篇】

風蕭々と碧い時代


Imagine John Lennon



A Day in the Life   The Beatles

I read the news today, oh boy
About a lucky man who made the grade
And though the news was rather sad
Well I just had to laugh
I saw the photograph

He blew his mind out in a car
He didn't notice that the lights had changed
A crowd of people stood and stared
They'd seen his face before
Nobody was really sure
If he was from the House of Lords

Woke up, fell out of bed
Dragged a comb across my head
Found my way downstairs and drank a cup
And looking up I noticed I was late


Found my coat and grabbed my hat
Made the bus in seconds flat
Found my way upstairs and had a smoke
Somebody spoke and I went into a dream....

⮚ 本作制作のハイライトのオーケストラ演奏のレコーディングは、
レノンとマッカートニーがジョン・ケージやルチアーノ・ベリオなど
前衛音楽の作曲家に関心を持っていたことを反映。空白の24小節を埋
めるため、レノンは「オーケストラに一番低い音から最高音までを出
してもらうこと」、マッカートニーは「即興で誰とも被らないように
音を出してもらうこと」を提案]、ジョージ・マーティンはこの24小
節のために緩いスコアを書いた。マーティンによって書かれたスコア
は、無調のクレッシェンドであり、オーケストラが決められた枠組み
の中で即興演奏奨励。このレコーディングは、1967年2月10日にEMIス
タジオのスタジオ1で、マッカートニーとマーティンの指揮のもと、
総勢40名のオーケストラ・メンバーによって行なわれた。このレコー
ディングでは、通常使用していた4トラック・テープレコーダーでは
トラック数が足りず、エンジニアの尽力により、2台の4トラック・テ
ープレコーダーを同期させて録音[注 4]する技術が用いられた。
 尚、レコーディングされたオーケストラのブリッジ部分は、編集で
最後の歌詞の後にも加えられた。

●今夜の寸評:引き寄せられる混沌

偶発の連鎖が恐ろしい。有史以来最大で最長級のことが起こるやもし
れない。文字通り、手が小刻みに震える、といった感じだが、これが
思い過ごしであってくれればと祈る。



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