彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:10月20日】
今日こそは賀状投函霜の朝
高山 宇 (赤鬼)
浄土宗の祖・法然(法然房源空、1133~1212)は、平安時代末~鎌倉時
代初めの混迷期、「南無阿弥陀仏」の名号を称えることによって誰もが等
しく阿弥陀仏に救われ、極浄土に往生できることを説き、多くの支持を得
られた。
本展では、令和6年(2024)に浄土宗開宗 850年を迎えることを機に、法
然による開宗から、弟子たちによる諸流派の創設と教義の確立、徳川将軍
家の帰依によって大きく発展を遂げるまでの歴史を、国宝、重要文化財を
含む貴重な名宝によってたどります。
⛑️ 原発事故の除染土 来春に再生利用などの基本方針策定
へ 福島県外最終処分の推進も
政府は20日、福島第一原発の事故で生じた除染土の処理について、20日、
全閣僚で構成される会議の初会合を開いた。林官房長官は来年春頃までに
除染土の再生利用などにむけた基本方針をとりまとめることを指示した。
原発事故後の除染作業の際に取り除かれた土は現在、福島県内の中間貯蔵
施設に保管されていて、2045年までに福島県外へ最終処分することが法律
で定められているが、受け入れ先の確保などが課題となっている。こうし
た中、政府は除染土の公共工事での再生利用などを加速させるため、林官
房長官をトップとし、伊藤復興相や浅尾環境相など全閣僚が参加する会議
の初会合を開いた。この中で林官房長官は除染土の福島県外への処分につ
いて「福島県が原子力災害により、既に極めて重い負担を負っていること
を踏まえたもので、日本全体で取り組むべき課題」との認識を示した上で、
20205年春頃までに基本方針をとりまとめることを指示した。
具体的には▼再生利用の推進▼再生利用等の実施に向けた理解醸成、リス
クコミュニケーション、▼県外最終処分に向けた取り組みの推進以上、
を基本方針の三本柱として挙げている。またこの基本方針を実行するため
に、2025年夏ごろにロードマップを取りまとめることも指示した。
✳️ 容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」
😥 水素生成水が目に付く。その効能や安全性はどうなの?早速、ネッ
検索。その結果、話題にするほどではないね。「活性酸素を危険性(脳細
胞を傷つける)を除去」などの医療効果が「有効」との報告(関連論文は
提出されている)は少ないと言うことで本件は継続調査。
「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々!
独立行政法人国民生活センター 2016年12月15日
昨今、水素をうたった水(以下、「水素水」とします。)に関連する商品
が数多く販売されています。
飲用する水素水としては、アルミパウチやアルミボトル等に入れて販売さ
れているものや、水素水生成器により作るものなどがあります。一部の商
品のパッケージや取扱説明書には溶存水素濃度が表示されていますが、実
際に飲用する際に、どのくらいの濃度になっているのかは、分かりません。
眼精疲労に水素ガスを吸うと効果があるというぞ!(Dr Ishiguro)
✳️ オールソーラシステム (2017.12.11 ブログ掲載より)
© 日刊建設工業新聞
✳️ ペロブスカイト太陽電池が発電や施工で優位性
東京・千代田区は19日、ペロブスカイト太陽電池の実用化を目指して
7~10月に実施した実証実験の結果を公表。発電量は全期間平均で1日
当たり5・5キロワット時。出力は目標値の1・2キロワットを達成し、
最高値で1・6キロワットに達した。区は発電や施工性、メンテナンス、
景観配慮といった面で優位性があると総括。「実用化の見通しが立てば、
区有施設への活用を検討する」としている。実証実験はYKKAPの協力
の下、トレーラーハウスの窓に同電池を組み込んだ「発電ガラス」を取り
付け、JR秋葉原駅前に設置した。屋上にも太陽光パネルを置いた。外部
から給電を受けないオフグリッド環境にした上で、インフォメーションセ
ンターとして運営した。
期間中の平均電力自給率は88%だった。室内では液晶モニター2台のほ
か、エアコンとパソコン、扇風機が1台ずつ稼働。LED照明も利用。同
電池には発電の面でも優位性があった。空が曇ったり雨が降ったりした際
の、発電量の減少幅は、従来の太陽光パネルよりも小さく済んだ。YKK
APは今後、さまざまな気候条件での実証実験を続け、2026年度の実
用化を目指す。同電池は薄くて軽く、折り曲げも可能。ガラスと複合化す
れば、ビルのカーテンウオールを使った大規模発電などが可能になる見込
みで、期待が高まる。
経済産業省は40年ころ、同電池を原子力発電所20基分相当の規模に普
及させたい考え。11月26日に開いた「次世代型太陽電池の導入拡大及
び産業競争力強化に向けた官民協議会」の第8回会合に示した。24年度
内に策定する次期エネルギー基本計画に方針を盛り込む見通しだ。
ペロブスカイト太陽電池付き防音壁(試作品)
✳️ 鉄道の防音壁にペロブスカイト太陽電池
12月18日 、積水化学工業株式会社、東海旅客鉄道株式会社は、ペロブス
カイト太陽電池を搭載した防音壁の開発等を行うことについて共同開発契
約を締結し、このたび、試作品を開発した。今後は実用化に向けて、JR
東海の小牧研究施設等で実証実験を実施する。
尚、⓵防音壁に設置する太陽電池は、荷重を支える防音壁の基礎部等が大
規模な構造とならないよう、軽量であることが重要。また、列車の通過に
よる振動や風圧等を受ける条件下で使用できる必要。そこで、薄く軽量で、
柔軟なフィルム型ペロブスカイト太陽電池に着目し、防音壁への適用につ
いて検討を開始。②防音壁は寿命が長いため、メンテナンスにおいて太陽
電池のみを取り替えることを想定し、容易に脱着できるようなペロブスカ
イト太陽電池付き防音壁の試作品を開発しました(特許出願済)。
✳️ 欧州でもロボットがメガソーラー建設
メガソーラーの「モバイル工場」
10月23日、イタリアの産業用ロボット・メーカーであるコマウ(Comau)
はポルトガルの大手電力事業者EDPがスペインで建設するメガソーラー(
大規模太陽光発電所)「AutoPV」のプロジェクトで同社の太陽光パネル
設置ロボット「ハイパーフレックス(Hyperflex)」を試験的に採用する
と発表(図1)。
図1●EDPがスペインのメガソーラー・プロジェクトで採用するロボット
「ハイパーフレックス」(出所:Comau)
図2● 伊コマウが開発した太陽光パネル設置ロボット「ハイパーフレックス」
(出所:Comau)
コマウは世界第4位の自動車大手である欧州ステランティス傘下の産業用
ロボット・メーカーで、自動車製造、造船、物流などの分野で産業用ロボ
ットや自動化に関連する事業をグローバルに展開している。ハイパーフレ
ックスは同社が2023年6月に発表した太陽光発電向け産業用ロボットのシ
ステムであり、特許も取得している。異なる様々な太陽光パネルや架台(
追尾式を含む)に対応しているという。設置した架台に太陽光パネルを取
り付けるのではなく、鋼材に太陽光パネルを乗せてアレイ(太陽光パネル
を横桟に組み付ける設置単位)を配置し、組み付け後に設置場所まで運ぶ
工程を自動化した。一台で一度に48m2までのアレイを建設可能。
ハイパーフレックスを構成する設備は、心臓部である多軸型の垂直多関節
ロボット本体に加え、発電機、コンプレッサー、パネルの収納ラック、完
成したアレイを運ぶトロリー(車輪付きの台車)、制御装置、モータース
キッド(保護部材)などからなる(不記載)。
✳️ 2023年の新設太陽光、特高だけで20GW、前年比78%
増に
12月9日、2023年、米国では発電事業向け太陽光発電設備の設置容量が前
年比78%増と大きく拡大。ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence
Berkeley National Laboratory: LBNL)が、2024年10月に発表した米国に
おける発電事業用太陽光市場に関する最新の分析レポートによると、2023
年に新設・稼働した地上設置型メガソーラー(大規模太陽光発電所)プロ
ジェクトの合計は、連系出力で18.5GW、太陽光パネルの出力で23.9GWに
達した(図1)。
LBNLのデータ分析は、「発電事業用太陽光発電」の中でも、連系出力5M
W以上の地上設置型案件に調査対象を絞っており、日本国内でいうと特別
高圧送電線に連系するメガソーラーになる。2022年の新規・稼働容量は、
前年比16%減で一時的に市場は収縮したが、2023年には再び市場が大幅に
拡大したことになる。ちなみに、2023年末の米国における地上設置型メガ
ソーラーの累積設置量は連系出力80.2GWを超えた。
結晶シリコン系が72%
設置導入量を太陽光パネルのタイプ別に見てみよう。米国における発電事
業用メガソーラーでは、サイズは小さいものの、2010年まで薄膜系(化合
物型)が市場の大半が占めていた。その後、2015年以来、結晶シリコン系
のシェアが大きくなり、市場で主流となっている。2022年に結晶シリコン
系のシェアの成長が一時的に縮小したが、2023年にはシェアが72%と伸
び、薄膜系のシェアを大きく引き離した(図2)。
容量の推移(注:赤=追尾式、青=固定式、出所:Lawrence Berkeley
National Laboratory)
導入コストは1.43ドル/1W に低下
追尾式が拡大を続ける背景には、固定式に比べ発電量が伸びるため、米国
内の多くの地域で経済性が高まっていることがある。追尾式は、平均して
固定式よりも高コストであったが、その「プレミアムコスト(追加コスト)
」は低下しており、2016年など逆転する(安くなる)時もあった。ちなみ
に、追尾と固定を含めた地上設置型の太陽光発電設備を導入するコストは、
インフレ圧力のなか2023年も低下し続けた。2023年の平均は連系出力1W
当たり1.43ドル、太陽光パネルの出力1W当たり1.08ドルだった(図5)。
これは、2022年比で8%低下となっている。
図5●米国における地上設置型・太陽光発電設備の設置方式別・連系出力W
当たりの設置コスト(平均)推移(注:青=固定型、赤=追尾式、出所:
Lawrence Berkeley National Laboratory)
✳️ 世界最大オープン型洋上太陽光発電プロジェクト中国で稼働
11月15日、中国国家エネルギー集団は、国華投資山東墾利1ギガワット
(GW)洋上太陽光発電プロジェクトの最初の発電ユニットが13日、正常
に送電網に接続されたことを明らかにした。同プロジェクトは世界最大の
オープン型洋上太陽光発電プロジェクトであり、世界初のGW級海上太陽
光発電プロジェクトでもある。
世界最大オープン型洋上太陽光発電プロジェクトが中国で稼働
(2024年11月14日提供)(c)CGTN Japanese
このプロジェクトは、世界に先駆けて大型海上鋼トラスプラットフォーム
式固定杭基礎施工技術を採用し、2934基の太陽光発電プラットフォーム
を設置、各プラットフォームの長さは60メートル、幅は35メートルで、
中国の太陽光発電産業分野で初めて66キロボルトの海底ケーブル+陸ケ
ーブルの大容量・長距離送電技術を応用し、送電容量が大きく、コストが
削減。同プロジェクトが完全に送電網に接続された後、年間発電量は17
億8000万キロワット時に達し、中国の一般的な都市住民約267万人の1年
間の電力消費量をほぼ満たすことができ、年間約50万3800トンの標準石
炭を節約し、年間約134万4700トンの二酸化炭素排出量を削減できる見込
み。
今日の楽曲 関西万博オフィシャルテーマソング
『 コブクロ :この地球の続きを』
作詞・作曲:小渕健太郎・黒田俊介
● 今日の言葉:信頼喪失の時代
✳️ 信頼喪失の時代
12月9日に公表されたコラム(下の写真)をもって、2000年1月からスター
トしたポール・クルーグマン(2008年ノーベル経済学賞受賞)の「ニュー
ヨーク・タイムズ」紙の連載が終了した。彼はそのなかで書いている。
「私の考えでは、エリートに対する信頼が崩壊している。国民は、物事を
動かしている人々が何をやっているのか分かっているのか、あるいは彼ら
が正直であると仮定できるのか、もはや信じていない」と。
そして、「テクノロジー分野の大富豪たちが政治的立場を問わず広く賞賛
され、なかには国民的英雄の地位を獲得した者もいたのは、それほど昔の
ことではない」としながらも、「今、彼らや彼らの製品の一部は、幻滅や
それ以上のものに直面している」とのべている。オーストラリアでは16歳
未満の子供によるソーシャルメディアの利用が禁止されているほどだとい
う。
</button> 🤔 失われたマスメディアへの信頼
クルーグマン自身は書いていないが、マスメディアへの信頼も地に堕ちた
のではないかという話もしておきたい。たとえば、最近出版されたアンゲ
ラ・メルケルの回想録を読めば、日欧米の多くの人々が、マスメディアの
無視によって報じられていない事実に気づき、マスメディアへの不信を募
らせることになるだろうと...
ウクライナ戦争の遠因となった。2014年2月21日、ジョン・ミアシャイマ
ーシカゴ大学教授や私が当初から「クーデター」と呼んでいる事件につい
て、メルケルは、無視できない出来事としてつぎのように詳しくのべた。
「つい先週の金曜日(2014年2月21日)の午後、現職のヤヌコヴィッチ大
統領と、野党のヴィタリ・クリチコ、オレグ・チャグニボク(全ウクライ
ナ同盟「スヴォボダ」党首)、アルセニー・ヤツェニューク(野党の全ウ
クライナ同盟「祖国」の議会指導者)は、ウクライナの今後の政治方針を
定めた6項目の合意書に署名した。野党側の要求のひとつは、2004年の憲
法を復活させ、⓵2014年9月までに改正すること。②10日以内に国民融和
内閣の樹立。⓷さらに、新たな選挙法を可決し、欧州安全保障協力機構(
OSCE)の規定に従って2014年12月までに大統領選挙を早期実施するとだ
った。木曜日、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー外相
とポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は、EUの承認を得て、フラン
スのローラン・ファビウス外相とともにキエフを訪問し、ヤヌコヴィッチ
とマイダン広場での暴力行為終結につき交渉した。
その後、大統領執務室で正式に署名が行われた。バラク・オバマ米大統領
もプーチン大統領との電話会談で、合意を迅速に実施すべきだと主張した。
しかし、間もなく、マイダンでは合意を拒否し、ヤヌコヴィッチ大統領の
退陣を要求する声が大きくなった。署名した3人の野党指導者は、ある活
動家が発した『2014年2月22日の翌朝10時までにヤヌコヴィッチは権力を
放棄しなければならない』という最後通牒を支持。彼はその日の夜のうち
に市外へ逃亡した」
何が言いたいかというと、日欧米の読者の多くが2014年2月21日に起きた
出来事を知らないのではないかということだ。いったんはヤヌコヴィッチ
大統領と野党との協定がドイツ、フランス、ポーランドの外相らの見守る
なかで署名されたにもかかわらず、野党勢力によってあっさりと拒否され、
身の危険を感じたヤヌコヴィッチが脱出せざるをえなくなったという事実
(=クーデター)に気づいてほしいのだ。ヤヌコヴィッチを説得して、任
期より1年前倒しの2014年中の大統領選実施に同意させたロシア側の努力
も、無に帰したことになる。
本来であれば、結ばれた協定の実施を、ドイツもフランスもポーランドも
求めるべきであった。だが、日欧米のマスメディアは、メルケルが回想録
に書いた事実をこれまでほとんどまったく報道してこなかった。ゆえに、
多くの欧米人も日本人もこの出来事を知らないだろう。そのため、これら
の国の大多数は、2014年2月21日から22日の出来事の非道さに気づいてい
ない。オバマもメルケルもプーチンを裏切ったのであり、だましたとも言
える。その結果、2022年2月からはじまったウクライナ戦争の背景にこの
ときのクーデターへのプーチンの遺恨がある。それを世に知らしめようと、
私は拙著『復讐としてのウクライナ戦争』を書いた。
🪄『プーチン3.0』、『ウクライナ3.0』と合わせて
「ウクライナ戦争3部作」として読まれるべきものである。
✳️ マスメディア不信の広がり
2.0』を読んだ人は、このクーデターの卑劣さに気づくことができただろう。
同時に、マスメディアがまったく信頼できないことにも気づいたはずだ。
その証拠に、マスメディアの報道を読んでも、ウクライナ戦争の真相には
決してたどりつけない。2014年2月のクーデターを報じていないのだから。
ウクライナ関連の著作に対して、2024年度「岡倉天心記念賞」を授与され
ることになった私からみると、このクーデターを無視して、ウクライナ戦
争は語れない。しかし、米国のように、共和党支持のFOXニュースや「ニ
ューヨーク・ポスト」、民主党支持のCNN、「ニューヨーク・タイムズ」、
「ワシントン・ポスト」など、メディア報道自体が別れてしまっていると
ころでは、一つのマスメディアの報道に頼ることは偏向を意味してしまう。
他方で、主要マスメディアが報じない情報を、SNSから知ることができる
ようになった。SNSの情報は玉石混淆(こんこう)かもしれないが、それ
を知ることで、マスメディアの「嘘」を暴くことにつなげられる。
政治家、政府、マスメディアへの不信は、学者への不信にもつながってい
る。最初に紹介したクルーグマンは、最後のコラムの最後の一文として、
つぎのように記している。「しかし、今まさに台頭しつつある最悪な者に
よる支配、すなわちカキストクラシーに立ち向かえば、いずれはより良い
世界への道を見出すことができるかもしれない」どうやら、クルーグマン
は来月20日からはじまるドナルド・トランプ政権を暗に批判しようとして
いるようにみえる。そこで、「カキストクラシー」(kakistocracy)に
ついて、The Guardianの説明をみると、カキストクラシーはギリシャ語
のkakistos、つまり「最悪」から借用されたもので、それ自体はおそらく
原始インド・ヨーロッパ語のkakka、つまり「排便する」という意味から
きているらしい。
「ナンシー・フリードマンが2016年に言語に関するブログで書いたように、
「カキストクラシーとは 『クソによる政治 』である」と言える」、と
The Guardianは書いている。つまり、クルーグマンはトランプ次期政権が
「クソによる政治」であるとほのめかし、罵倒していることになる。実は
、The Economistも、「ドナルド・トランプの勝利は圧倒的なものだった
。彼の2期目も同様だろう。議会が彼を大きく縛ることはあまりなさそうだ
」という記事のなかで、「カキストクラシーとは、もっとも劣った、もっ
とも適格でない人々によって統治される社会である。今後4年間は、この言
葉が役に立つかもしれない」と記している。
✳️ 学者へのぬぐえぬ不信
残念ながら、紹介したクルーグマンの最後の言葉、「今まさに台頭しつつ
ある最悪な者による支配、すなわちカキストクラシーに立ち向かえば、い
ずれはより良い世界への道を見出すことができるかもしれない」に感銘を
受ける人は少ないだろう。なぜなら、もはや彼らのような学者に対する信
頼も薄らいでいるからだ。民主党支持者のクルーグマンは、11月の大統領
選後、トランプのホワイトハウス帰還に、「私は一市民として非常に恐怖
を感じている」と話している。「彼は権威主義的な衝動をもつ人物であり、
歯止めがほとんどないようにみえる」とのべている。トランプを批判する
のは自由だが、民主主義を標榜しながら、選挙に敗れてもなお、トランプ
を批判するばかりでは、いい加減、クルーグマンの言動もあきられてしま
うのではないか。それは、The Economistも同じである。もはや、批判だ
けをしていては、信頼の対象にすらなりえない。その批判が負け犬の遠吠
えのように聞こえてしまうからだ。現に、クルーグマンが推したカマラ・
ハリスは、大統領選で「惨敗」した。たぶん、日欧米諸国の至る所で、政
治家、政府、マスメディア、学者らへの信頼が揺らいでいる。そんななか
で、社会を少しでもいい方向に向けるためには、カキストクラシーといっ
た、レッテル付けされた「悪」に立ち向かうというよりも、まず、もう少し
信頼にたる情報提供者を見極めるという努力を積み重ねることではないか
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あのクルーグマン教授が最後のコラムで強調した「トランプ=カキストク
ラシー政治」とは?(現代ビジネス 2024.12.18) 評論家。1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術
博士。日本経済新聞社、朝日新聞社(モスクワ特派員)勤務を経て高知大
学大学院准教授などを歴任。陸海空およびサイバー空間の地政学・地経学
を研究。ウクライナ問題の第一人者。著書に『ウクライナ・ゲート』、『
ウクライナ2.0』、『ウクライナ3.0』、『プーチン3.0』、『復讐としての
ウクライナ戦争』、『サイバー空間をめぐる覇権争奪』(いずれも社会評
論社)、『ロシアの軍需産業』(岩波新書)、『「軍事大国」ロシアの虚
実』(岩波書店)、『ビジネス・エシックス』(講談社現代新書)、近著
に『ウクライナ戦争をどうみるか』(花伝社)や『知られざる地政学』〈
上下巻〉(社会評論社)がある。
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