極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

超越数と世界の終わり

2023年11月14日 | 環境リスク本位制

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。NHK
公式HPのシリーズが面白い。今回の
テーマは「超越数」。ウルトラスーパーすご
い数って一体どんな数? 21世紀の最新研究も登場! 今回は数の分類をめぐる
冒険。学校で教わる分類と言えば、無理数とかマイナスの数とか虚数とか…。と
ころが数学者たちは今も夢中になって数を分類し続けているだけでなく、人類は
いまだに全く数のことを理解できていない!と語る。中でも巨大な謎を秘めてい
るのは「超越数」。ウルトラスーパーすごい数とは何か? 「円周率パイは超越
数である」という2千年の難問をパンサー尾形が証明!「数の分類」
に隠された
魅惑に迫る!

尾形 貴弘(おがた たかひろ、1977年〈昭和52年〉4月27日 - )は、日本のお笑
い芸人、YouTuberであり、お笑いトリオ・パンサーのメンバー。アイドルグルー
プ吉本坂46のメンバー。宮城県桃生郡鳴瀬町野蒜(現・東松島市)出身。
 中央
大学文学部(東京都)卒業。

ところで、数学と料理レシピの問題解決に「フェルマーの定理」が関係有るなん
て考えもしなかったがこれも面白そうだ(見逃しもあるが)。人気漫画のドラマ
化なんだが、読んだことともないが、とかく、「アルゴリズム万能時代?」の所
為もあり数学がブームなのかもしれない。


『フェルマーの料理』 



時は2393年、世界はかつての面影をほとんど残していない――。本書は、世
界崩壊の300年後からいまの世界を俯瞰するという斬新なアプローチを採用す
ることで、従来のノンフィクションの手法では十分に語ることのできなかった、
あまりにも明白な「世界の危険な現状」を白日の下にさらすものである。

------------------------------------------------------------------------

1.5℃の炭素収支は2029年までに枯渇する
地球の平均気温の1.5℃上昇を防ぐための炭素収支は現在、以前の推計の半分に
過ぎず、二酸化炭素250ギガトン未満、または世界の年間排出量の約6年分に相当
する。 地球規模の排出量の新たな計算に基づくと、世界が化石燃料から移行す
るまでの時間は、これまで考えられていたよりもさらに短い。
------------------------------------------------------------------------
インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが主導した新たな研究によると、二
酸化炭素(CO2)排出量を大幅かつ急速に削減しなければ、世界は2030年までに
1.5℃の温暖化が固定化する可能性が50%あるという。Nature Climate Change に掲
載されたこの研究は、世界の炭素収支に関する最新かつ包括的な分析である。



図1.炭素収支の計算方法
a、参考文献に基づく、さまざまな要因が残りの炭素収支にどのように寄与するか
 を示す概略図。
b. 2010 年から 2019 年以降の CO2 が正味ゼロに達したときの、AR6データベー
 ス内の各シナリオの最新の MAGICC、FaIR、およびこれらの値の平均による温暖
 化への非CO2に寄与。左上のバーは、100 GtCO2 から予想される温暖化の中央値
 を示す。
指定された分位点への線形近似と、平均化されたデータ ポイントへの QRW近似の
分位点の両方をプロット。

炭素収支は、地球温暖化を一定の温度制限以下に抑えながら安全に排出できるCO2
排出量を定義。2015年に195カ国が採択したパリ協定は、世界の気温上昇を産業革
命前と比べて2℃未満に抑え、1.5℃に抑える努力追求を目指す。 残りの炭素予算
は、通常、これらの目標に対する進捗状況を評価するために使用される。 新しい
研究では、温暖化を1.5℃に抑える確率が50%の場合、炭素収支には現在247ギガ
トンのCO2が残っていると推定。これは、CO2排出量が年間約 41 ギガトンの2023
年のレベルに留まる、炭素収支は 2029年頃までに枯渇し、地球は産業革命前の
レベルより 1.5 ℃上昇を意味する。修正された予算は現在、2020年のレベルで
ある494ギガトンの半分に過ぎない。研究者らは、この変化の原因として、地球
規模の温室効果ガス排出量の継続的な増加や、エアロゾルの冷却効果の測定値の
改善など、いくつかの要因があると考えている。 後者は、2020年に導入された
船舶燃料に使用される硫黄の上限規制など、大気環境の改善と排出量削減のため
の対策により世界的に減少している。2℃未満に抑えるための予算は1,220ギガト
ンだが、2040年代後半までに現在の傾向では使い果たされる可能性がある。


図 2: 炭素収支に対するモデルとシナリオファミリーの影響。
a) 1.5℃の炭素収支。 b) 2℃の炭素収支。
AR6 データベースのシナリオを使用して、同じ SSPの同じモデルからのシナリオ
間を補間することにより、温暖化のピーク時の非CO2温暖化を推定 (すべてのシナ
リオ間を補間するすべての AR6を除く)。 a、IMAGE 3.0.1 シナリオの非CO2温暖
化に対するSSPファミリの影響 (SSPの完全なセットを備えた唯一のモデル)。 b.
少なくとも3つのシナリオがあるモデルのさまざまなモデルおよびシナリオに対す
る 1.5℃の予算。 すべてのAR6 シナリオは、同様に、すべての AR6シナリオ間の
非 CO2温暖化を補間。 箱ひげ図は中央値と25~75パーセンタイルの範囲を示す。
ひげは 10~90パーセンタイル値を示し、SSP/モデルグループごとに7ポイントが
表示。
一般に、シナリオは地球温暖化を一定の限界以下に抑えるように設計する。この
ようなシナリオは、すべてのGHG排出量を制限することを目的としており、多くの
場合、すべてのGHGに CO2換算価格を適用することによりモデル化される。したが
って、直観的には、総温暖化と非CO2GHGによる温暖化の間には単調な関係がある
と予想されるが、農業などの一部の活動では、CO2以外のGHGを完全に除去するに
は十分な緩和策が特定されず、CO2以外のGHGをゼロに削減するには明確な限界が
あることが特定されている。エアロゾル強制力は地球を冷却し、一般に CO2排出
量と同様に減少するが、これも予想される相関の強さを減少させる。通常、この
非 CO2 温暖化の下限は、温暖化を 2.0℃以下の制限経路が達成されており、温
暖化をさらに低いレベルに制限することを目指しても、それ以上顕著に低下しな
い。この非CO2排出量の下限は、CO2排出量が正味ゼロに達する頃に予想されるCO2
以外の温暖化を大幅に決定する。重要なのは、この最小床レベルは、モデル間お
よびモデル構成間の両方で大幅に異なる可能性がある。たとえば、将来の社会経
済的発展に関する仮定、モデルでどのような緩和オプションが可能か、または土
地の配置方法などに応じて異なる。土地システムがどのように扱われるかシナリ
オへの適合データにおける17~83%の不確実性範囲は、わずか約100GtCO2の予算
変化に対応するが、図 1bに見られるように、多くの個々のシナリオはこの範囲の
数倍外側にある。また、RCB に対するモデルと SSP シナリオ ファミリの影響も
調査します (図 2b)。 SR1.5 データベースの同様のプロットは、補足図 2 にあ
る。結果は組み合わせごとに明らかに異なるが、明確な傾向は現れず、AR6データ
ベース内のいくつかのモデルまたはシナリオファミリの過剰表現が体系的にバイ
アスを与える可能性があるという懸念を和らげる。RCBの計算。 この懸念は、分
布が大きく異なる AR6データベースとSR1.5 データベース間の変更による影響が
小さいことによっても緩和される (1.5℃のバジェットの50% では 1%未満の変
化、2℃では6%の変化sp;表 2)。シナリオのAR6データベースのシナリオを使用す
ると、さまざまな単一モデルと SSPの組み合わせで計算された 50% 1.5 ℃ バジ
ェット間の標準偏差が約 120GtCO2である。 すべてのモデルと SSP の組み合わ
せにおける値の範囲は、490 GtCO2から最小値の 80GtCO2。 SR1.5 データベース
で利用可能なシナリオで同じ分析を実行すると、同様の値が得られる。これは、
非CO2排出量の削減がどの程度成功するかに応じて、1.5℃のRCBが約 2倍変化す
る可能性があり、より正確なRC の推定には、正味ゼロへの非CO2経路を条件とす
る必要があることを強調している。同様に、一般的な中央推定値の代わりにこの
種の条件付きRCBを比較に使用すると、経路の地球温暖化パフォーマンスを評価
するための RCBの使用をより正確にできる。

非CO2温暖化のタイミング
RCBは、年間正味CO2排出量がゼロになるまでの累積CO2排出量として適切に定義
されるが、実質的にすべての経路において、正味ゼロに達する主要な GHG はCO2
だけです。他の長寿命 GHG の残留排出量は、地球が正味ゼロに達した後も温暖
化を続ける可能性があることを意味する。実際には、シナリオ データベースで
CO2正味ゼロに達するほとんどのシナリオは、CO2排出量が正味マイナスに達し、
これらのマイナス排出はすぐに他の要因による温暖化を打ち消す。 さらに、こ
の研究で使用された両方のエミュレータは、わずかに負のZECを持っている(IPCC
AR 評価に合わせて調整されているにもかかわらず、ZEC の評価値はゼロに近いが、
符号の信頼度は低いと報告されている。通常、エミュレーターのこの負のZECによ
り、今世紀末までのネットゼロシナリオにおける中央値気温の上昇が防止される。
これらの事実は、CO2以外の温暖化をいつ測定すべきかという問題を解決するもの
ではない。 非CO2温暖化のデフォルトの定義は、最近の IPCC RCB 推定と一致し
て、CO2排出量が正味ゼロになった時点での温暖化への非CO2寄与である。これに
は、CO2以外の温暖化を判断するために使用される時間を、エミュレータの温度
応答の時間的変化から切り離すという利点がある。これにより、たとえば、エミ
ュレータの負の ZECの影響が軽減される。ただし、ピーク温度時の CO2 以外の
寄与を推定していないため、特定の温度を超えないようにするためのタイミング
の選択は適切でない。 したがって、この仮定のバリエーションを検討。詳細は「
方法」で説明し、いくつかのシナリオについて図3 にプロットした。いくつかの
シナリオでは、異なるアプローチで非常に似た結果が得られるが、他のシナリオ
では、結果が 0.1℃以上異なる可能性があることがわかった。考慮できる代替ア
プローチには、モデルで報告されたネットゼロ日(排出量が最近の排出量と一致
するように調整される前のネットゼロ日)の時点での非 CO2 温暖化、次の時点
での非 CO2温暖化の可能性の最大値などがある。21世紀のあらゆる時点と、最高
総温度における非CO の温暖化。これらの測定値間の変更の影響を表 2で調査。
ほとんどの経路は正味ゼロに到達しないため、最初の 2つのアプローチの計算に
は寄与しない。これらのシナリオは 21世紀中にピーク温度に達せず、明確に定
義されたCB がないため、他のアプローチからも除外すると一般に結果が改善さ
れる。

図3 各エミュレータにおける時間の経過に伴う総CO2温暖化と非CO2温暖化の関係
a、MAGICC、 b、FaIR、 AR6 のさまざまなモデルからの 5つの経路は、さまざま
な経路で正味ゼロに到達するシナリオのタイプを代表するもので、CO2以外の温暖
化をいつ取るかについてのさまざまな定義が結果にどのような影響を与えるかを
示すマーカーとともに強調表示されている。同じシナリオが両方のプロットで同
じ色で強調表示される。実際のネットゼロは最終排出量データのネットゼロを指
すが、元のネットゼロは調和前のシナリオのもの。
     
AR6 WG1結果の推奨比較
AR6 WG1報告書から推奨アプローチに更新されたより最近の排出量が含まれる RCB
係数は、次のように要約できる
。気候エミュレータMAGICCのバージョンが更新さ
れ、FaIRからの計算が組み込まれた。シナリオのデータベースが SR1.5 から AR6
に変更された。非CO2傾向は、線形傾向の代わりに QRWを使用して検出された。
また、非CO2温暖化は、正味ゼロの時点ではなく、正味ゼロに達するシナリオか
らの総温暖化のピーク時に取得される。図4に見られるように、最近の排出、
MAGICC の再校正、および FaIR の追加が最も大きな影響を及ぼした。推奨予
算と以前の予算の差は 2℃と小さく、気温が 2.2℃を超えると、より高い温暖化
度に対する更新されたRCBは大きくなる。 さまざまな MAGICC および FaIR
ージョンの予算の図を補足図 1に示す。さまざまなエミュレータを含めることで、
CO2以外の仮定を明示するのと同様に、推定の堅牢性が向上。 総温暖化の関数と
して非CO2温暖化を推定するために非線形関係を適用すると、非CO2温暖化の時間
の選択とシナリオのデータベースの影響が少なくなる。

図4 計算の各修正による炭素収支の変化のプロット図
a、RCB は 50% の確率で 1.5 ℃。 b、50%の確率で2℃のRCB。 c、温度範囲の
RCB (WG1 と更新された予算のみを表示)。 不確実性区間は、CO2温暖化要因の
不確実性分布を考慮した 33 パーセンタイルと 66 パーセンタイルの予算を示す。
デフォルトのアップデートは、QRW を使用するまでの変更に対応している。aと
bでは、明るい青は各ステップの予算の増加を表し赤は予算の減少を表す。

これらすべての変更を加えた後、2022 年以降に開始される最適な (50%) RCB 推
定値は、温暖化を 1.5℃に制限するための RCBとして 250 GtCO2 (CO2 の影響の
不確実性から 17 ~ 83% の範囲: -170 ~ 840 GtCO2) となります。 非 CO2 強
制のモデル化された影響における同じ不確実性により、160 ~ 280 GtCO2 の範囲
が得られる。 これらの不確実性を、分位数に適合する一般化された極値関数(方
法で説明) を使用して組み合わせることができ、その結果、-200 ~ 830 GtCO2
の範囲が得られる。 CO2 以外の不確実性に関する偏りにより、両方の制限が低
下することに要注意。 2 ℃の場合、1,220 GtCO2(CO2からの650〜2,270 GtCO2、
CO2以外の不確実性を含むと600〜2,240GtCO2)になる。 66% または 90% の確率
で温暖化を 2℃に制限する場合、RCB はそれぞれ 940 および 500 GtCO2 と推定
される。 2022年に排出される 40 GtCO2は、温暖化を 2℃に抑える可能性がそれ
ぞれ 66% または 90% の確率で現在の CO2排出量の23年と12年に、50%の確率で
1.5 の確率で 6年間の CO2 排出にほぼ相当。これは、ネットゼロへの直線的な
経路に換算すると、2070年、2050年、2035年頃に世界のCO2 排出量がネットゼロ
に達することを意味する。
------------------------------------------------------------------------
インペリアル・カレッジ・ロンドンの環境政策センターの研究員であり、
この研
究の筆頭著者であるロビン・ランボル博士は、「我々の発見は、我々がすでに知
っていることを裏付けるものだ。気温上昇を1.5℃以下に抑えるのに、私たちはほ
とんど十分な努力をしていないということだ」と述べた。「現在、残りの予算は
非常に少ないため、世界に対する私たちの理解が少し変わるだけで、予算もそれ
に比例して大きく変化する可能性があります。しかし、推定によると、現在のレ
ベルでの排出量は10年未満です。排出量削減が進んでいないということは、排出
量削減が進んでいないということを意味します」 温暖化を安全なレベルに保つ限
界が急速に閉まりつつあることを、私たちはますます確信できるようになった。」
二酸化炭素以外のガスによる温暖化や、モデルでは考慮されていない排出による
進行中の影響など、他の要因の影響により、残りの炭素収支の計算には多くの不
確実性が存在する。この新しい研究では、更新されたデータセットが使用され、
以前の研究と比較して気候モデリングが改善され、これらの不確実性が特徴付け
られ、残りの炭素収支推定の信頼性が高まりました。 ランボル博士は、「温暖
化が少しでも進むと、人々と生態系の生活は困難になる」と述べた。 「この研
究は科学界からの新たな警告だ。これからは政府が行動するかどうかにかかって
いる。」 この問題は今日、これまで以上に重要になっています。 今年は記録が
始まって以来最も暑い年となる見込みで、最新のエルニーニョ現象が進行してい
るため、世界の平均気温上昇は少なくとも一時的にすでに1.5℃を超えている可
能性がある。 2030 年代、あるいはそれより早く、このレベルの気温上昇が毎年
標準になる可能性があります。 残念なことに、世界の指導者たちは危機感をほ
とんど、あるいはまったく持っていないようです。 度重なる行動の誓約にもか
かわらず、彼らは多数の新しい化石燃料プロジェクトを承認し続けている。 例え
ば、バイデン政権はアラスカ州のウィロー・プロジェクトにゴーサインを出した。
このプロジェクトには、最長30年間にわたり3か所で200本の油井を掘削すること
が含まれる。 その総CO2排出量は、新たに約70基の石炭火力発電所を建設するの
に相当する。 一方、リシ・スナック首相率いる英国は最近、最大の未開発油田
を含む100以上の新たな石油・ガス掘削プロジェクトを発表し、物議を醸してい
る。 昨年の政権交代にも関わらず、オーストラリアは100以上の新たな化石燃料
プロジェクトを推進しており、これらを合わせると2030年までに排出量が48億ト
ン増加する可能性がある。 太陽光発電や風力発電、電気自動車、実用規模のバ
ッテリー、その他のクリーンテクノロジーの展開は希望をもたらす。しかし、こ
れらのプロジェクトの急速な進展でさえ、ほぼ確実に遅すぎて1.5℃、おそらく
2℃の上昇を防ぐことはできないだろう。それを超えると、温暖化は壊滅的で制御
不能になり始める可能性がある。

地球に対する人類の影響がますます明らかになっていることは、私たちが生きて
いる異常な時代を思い出させる。解剖学的に現生人類は約20万年前に初めて誕生
し、テクノロジーの面ではほとんど何も持たずに小規模な狩猟採集民の集団とし
て誕生した。それ以来 2,000世紀の間に、私たちの人口は 80億人以上に急増し
た。私たちは地球全体で支配的な種となり、広大な都市を建設し、その活動によ
り陸、海、空、さらには宇宙さえも変えてきました。 影響のほとんどは、人間
の一生のうちに起きたものである。 この世界征服は非常に偉大で成功したもの
だが、皮肉なことに、オーバーシュートが完全に回復することのない一連の危機
を引き起こし、私たちの破滅となるかもしれません。 しかし一方で、これらの
危険は大きなチャンスでもある。 人工知能のパワーとスピードに導かれて産業
と社会を変革するというこの極めて重要な瞬間に私たちが近づく中、今後数十年
は私たちの歴史の中で最も重要なものとなる可能性がある。(via  ”Carbon budget f
or 1.5°C will be exhausted by 2029", Future Timeline. 10th November 2023)
※わたし(たち)は1億年先の話をしているのではない。「今そこにある危機」にある世界
を想定し、問題解決したいと思っているのだ。



マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
斎藤幸平/ 竹田真登
講談社(2023/10発売)

 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
  Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ
------------------------------------------------------------------------   
本日は先回のつづき。

    まえがき
    より自由で平等で、さらには持続可能な生活のための想像力と創迫力を育
 もうとする、クラインやピケティらの試みからも刺激を受けながら、本書は
 マルクスの理論を参照して、人新世にふさわしいポスト稀少性社会の姿を提
 示していきたい。もちろんそれは、ソ連型「社会主義」とはまったく異なる、
 新しい未来社会である。人類世という新しい地質学的概念を自然科学を超え
 て、経済学、民主主義、環境正義をめぐる現代の問題と結びつけることで、
 マルクスが構想していたエコロジカルなポスト資本主義の理念を現代に復活
 させることを目指ざすのだ。
  その際、本書のプロジェクトは、Marx-Engels-Gesamtausgabr」(MFGA
 ではじめて刊行された新資料を治用した近年のマルクス研究の成果に依拠し
 ている。とりわけMEGA第Ⅳ部門でマルクスの自然科学に問する研究ノ-
 ートが刊行され、マルクスの環境への関心が従来の想定よりもけるかに広い
 ことが判明してきている。
  これらのノートは長い間研究者によっても無視されてきたが、最近の研究
 では、マルクスは地質学、植物学、農芸化学の研究を通じて、気候変動や天
 然資源の枯湯玉壌養分、化石燃料、森林)、種の絶滅といった資本のさまざ
 まな掠奪行為を分析していたことが示されているのだ(Saito 2017)。
   その結果、マルクスの経済学批判のなかでも環境の領域こそが、人新世に
  おいてマルクスの知的遺産を再生させるための中心領域になっていると言っ
  ても誇張ではない。とりわけマルクスの「物質代謝の亀裂 metabolic rift」と
 いう概念は、現代資本主義が引き起こす環境問題に対する批判に不可欠な概
 念になっている(B.Clark 2002:Clark and York 2005,Longo, Clausen and Clark 20
  15:Holleman 2018):。
そこで本書第一部では、マルクス主義の理論的・方法論
 的基礎として物質代謝論を展開し、環境社会主義の基礎を準備する。その際
 には、マルクスだけではなく、フリードリヒ・エングルス、ローザ・ルクセ
 ンブルク、ルカーチ・ジェルジュ、メサーロシュ・イシュトヴアンといった
 マルクス主義者たちの議論を合わせて取り上げることで、「物質代謝 Stottw-
     echse1/metabolism
」という概念がもつ理論的射程を明らかにしていきたい。
   繰り返せば、このプロジェクトはたんにマルクスの物質代謝概念をより正
  しく理解するだけにとどまらない。「物質代謝の亀裂」という概念の展開に
  取り組む価値があるのは、環境危機に対するアプローチの仕方が異なれば、
  そこから出てくる危機への処方瀋も異なるからである。つまり、特定の理論
  へのコミットメントは実践的帰結を伴うのである。
   だからこそ「物質代謝の亀裂」の概念を批判する形で、人類世における人
  間と自然との関係を把握する「ポストマルクス主義」的な試みが現れてきて
  いる事実は、偶然ではない。その特徴は、哲学的な一元論ヘの傾倒である。
  そして、一元論の支捨者たちは、マルクス主義の「存在論的二元論」(Ca-
    stree 2013:177)が入新世における自然の存在論的地位を適切に理解できてい
  ないと批判する。資本主義が環境全体を徹底的に再構築するため、自然なる
  ものはもはや存在しない。自然は資本主義の発展を通して「生産」されるも
  のになっているというわけだ。そのような状況を前にして、一元論者は存在
 論的二元論を捨て、「ハイブリッド」や「ネットワーク」によって特徹づけ
 られた関係的思考で置き換えることを主張するのである(Moor 2015)。
  しかし、一元論は失敗したプロメテウス主義を入新世に蘇らせ、自然への
 さらなる介入を正当化することになりかねない。このような「地球構築主義
 Geoconstructivism)のアプローチは、入新世においてはすでに自然に対する
  人間の介入が多くなり過ぎていると主張する(ncyrat)。それゆえ、環境破壊を恐れ
  て介入を
止めようとする訴えは無責任であり、より酷い大惨事を招くという
  のだ。地球構築主義によれば、人間の解放につながるかはともかく、人類生
  存の唯一の道は、惑星全体をさらに徹底的に改変することによる地球のスチ
  ュワードシップしかないという。この新しいプロメテウス主義は、ポスト資
  本主義の未来像を刷新しようとするマルクス主義者たちにも影響を与えてい
 る(Mason 2015; Smicek and Williams 2016; Bastani 2019)。そこで本書の第二
 部では、マルクスの「方法論的二元論」と「物質代謝の亀裂」を擁護しなが
 ら、人類世におけるさまざまな一元論とプロメテウス主義に応答していきた
 い。
  現代の一元論とプロメテウス主義の理論的限界を批判的に検討したうえで、
 本書の第三部では晩期マルクスのポスト資本主義像をエコロジカルな視点か
 ら再検討していく。MEGA研究によって新たに浮かび上がってくるのは、
 マルクスが1868年以降、自然科学、人文科学、社会科学の学際的研究を
 通じて、理論的な大転換----アルチュセール的な意昧での「認識論的切断」
 (Althusser 2005)----を成し遂げたという事実だ。

  マルクスが最終的に獲得したポスト資本主義像は、「脱成長コミュニズム」
 と呼ぶべきものなのである。脱成長コミュニズムの理念は、「資本主義リア
 リズム」を克服することを可能にしてくれる。晩期マルクスに立ち返ること
 でこそ、人類世における未来社会の積極的な展望を提示することができるよ
 うになるのだ。これこそまさに、今日私たちがマルクスを読むべき理由であ
 る。しかし、もし実際にマルクスが脱成長コミュニズムを提唱していたのな
 ら、なぜこれまで誰も指摘しなかったのか、そしてなぜ、マルクス主義は生
 産力主義的な社会主義像を支持してきたのだろうか、と疑問に思うかもしれ
 ない。だが、実はその理由は簡単で、「マルクスのエコロジー」が長い間無
 視されてきたからである。  
  したがって、マルクスの脱成長コミュニズムを再構成するためには、まず
 マルクスのエコロジーの周緑化の歴史を系譜学的にさかのぼる必要がある。
 もちろん、この系譜はマルクス自身から始まる。第一章では、MEGAで公
 刊された自然科学に問するマルクスのノートを参照しつつ、「物質代謝の亀
 裂」の三つの次元と技術によって媒介される地球規模での時間的・空間的「
 転嫁」を展開していく。資本蓄積にとって自然の収奪が必須の前提だという
 洞察は、その後、ローザ・ルクセンブルクによって深められる。彼女は『資
 本蓄積論』において、資本主義の周縁部における人々や環境に対する破壊的
 作用を物質代謝論を用いて問題視していたたのだ。  
  とはいえ、ルクセンブルクは「物質代謝」という概念を取り上げる際、そ
 れをマルクス批判として定式化したのだった。彼女の批判は、マルクスの物
 質代謝論が当時でさえも十分に正しく理解されていなかったことを示唆して
 いる。このような誤解は、マルクスの著作の多くが未公刊であり、ルクセン
 ブルクもそれらをの傾倒である。そして、一元論の支持者たちは、マルクス
 主義の「存在論的二元論」(Castree 2013: 177)が入新世における自然の存在
 論的地位を適切に理解できていないと批判する。資本主義が環境全体を徹底
 的に再構築するため、自然なるものはもはや存在しない。自然は資本主義の
 発展を通して「生産」されるものになっているというわけだ。そのような状
 況を前にして、一元論者は存在論的二元論を捨て、「ハイブリッド」や「ネ
 ットワーク」によって特徴づけられた関係的思考で置き換えることを主張す
るのである(Moore 2015)。
   
                             この項つづく

------------------------------------------------------------------------

 風蕭々と碧い時

Kubo and the Two Strings





When you wish upon a star
Makes no difference who you are
Anything your heart desires
Will come to you

lf your heart is in your dream
No request is too extreme
When you wish upon a star
As dreamers do

Fate is kind
She brings to those who love
The sweet fulfillment of
Their secret longing

Like a bolt out of the blue
Fate steps in and sees you through
When you wish upon a star
Your dreams come true

1940年のディズニー映画『ピノキオ』の主題歌。コオロギ「ジミニー・クリケッ
ト」を演ずるクリフ・エドワーズが歌い、オープニングクレジットと最後のシー
ンで流れる。その年のアカデミー賞の作曲賞、歌曲賞を獲得した。この曲はオス
カーを獲得した最初のディズニーソングであり、「小さな世界」「ミッキーマウ
ス・マーチ」と並んでディズニーを象徴する代表的な曲として知られている。な
お、2004年に発表されたアメリカン・フィルム・インスティチュートによるアメ
リカ映画主題歌ベスト100の第7位に入いる。


●  今夜の寸評: 
ブギウギは癖になるの?

ブギ(boogie)とはスウィングまたはシャッフルのリズムによる反復フレーズで
ありブルース、スウィング・ジャズ、ロックンロールなどの音楽で用いられる。
ブギーとも表記される。「8ビート最高の芸術」とも言われ、ビートに習慣性が
あり癖になる点もよく指摘される。 元々ピアノで演奏されたブギウギ(boogie-w
oogie
)スタイルのリズムをギターやダブルベースなどの楽器に適用したもの。ア
ルバート・アモンズ、ミード・ルクス・ルイス、ピート・ジョンソンの "ブギウ
ギ・トリオ"は、ピアノ・トリオとして知られているという。 via Wikipedia



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SDGs事業万博時代 ② | トップ | スウィングとシャッフル »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

環境リスク本位制」カテゴリの最新記事