極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

チーズサラダでサプリ

2014年02月13日 | 医療健康術

 

 

 

   

【フード・ファントム・メナス(20)】 


 ハンバーグ・ハンバーガー

 ●チキンナゲットは注文しない

  ハンバーガーは、パテが牛肉や豚肉のものを二個食べれば、鉄だけは基準以上に摂
 れる。
  ところが、チキンハンバーガーだと基準に届かなくなり、チキンナゲットでは基準
 の半分以下になる。チキンナゲットは、添加物も多いので、食べない方がいい。
  牛と豚のハンバーガーでも、カルシウムとマグネシウムは大幅に不足している。
  カルシウム不足を補うには、飲み物に牛乳を選べばいい。マグネシウム不足を補う
 には、フライドポテトを食べることだ。
  野菜サラダを追加しても成分が流出している。その分は野菜ジュースで補強しよう。
  ハンバーグ定食には、フライドポテトやポテトサラダが付いている。
  それらの原材料に、ジャガイモ粉末が使われていると、加工の水煮工程でマグネシ
 ウムが抜け落ちている。ジャガイモの粉末を用いた成型フライドポテトやポテトサラ
 ダは、見た目は同じでも、マグネシウムの量が極端に少ないのだ。
  不足しているマグネシウムを、補強できるか、不足をさらに助長するかの差になる
 から、食べるときによく観察して、原材料を推定してみよう。


 カレー

 ●チーズをトッピングするとカルシウムが補える

  カレーはミネラルが多そヽっだが、大手カレーレストランチェーンのカレーやレト
 ル
トカレーは、カルシウム・マグネシウム・鉄が三つとも基準の半分以下しか摂れな
 い。

  そういうカレーは、素材を加えていく家庭のカレーとはまったく違っている。
  レトルトカレーやレストランカレーのニンジンやジャガイモ、肉は、中国などで
 ットして軽くゆでたものを冷凍して日本に持ってくる。それを水にさらして解凍し、
  異物がないようチェックするようになっているから、ここで、素材の成分がほとん
 ど
抜けてしまうのだ。
  カルシウムはチーズをトッピングすれば、補うことができる。
  しかし、外食では、マグネシウムと鉄を補うことはできないと考えておこう。
  栄養士は「コーンと肉をトッピングすれば、マグネシウムと鉄を補うことができる」
  と言うだろうが、コーンも肉も、水煮食品なのでミネラルが減っており、ミネラ
 を補うことはできないのである。

  レトルトカレーを食べる人は、チーズや煮干し粉末を常備しておき、それらをかけ
 て食べよう。これで、カルシウムと鉄は基準に達することになる。


 ラーメン・餃子

 ●味噌ラーメンに野菜炒めがおすすめ


  栄養不足を心配して、野菜炒めをのせたラーメンを食べる人が多い。これは正解だ。
  ラーメンのチェーン店二社で、390円の醤油ラーメンを注文し、こっそりと持ち
 帰って、混ぜて検査に出すと、カルシウムが非常に少なく、マグネシウムもかなり少
 なかった。
  スープをすべて飲み干せば、鉄は基準を超えるが、ナトリウムが過剰摂取になる。
  ラーメンに付け合わせることが多いギョーザも実測した。すると、有名店、冷凍、
 チルドの三種類のどれも、カルシウム・マグネシウム・鉄不足だった。ギョーザだけ
 で一食分のカロリーになるように食べても、基準の半分に達するかどうか、という少
 なさだ。
  ラーメンの付け合わせに食べる量だと、ギョーザでミネラルの補給はできない。
  煮干しでだしを取った無化調のラーメン店なら、何を注文してもいい。
  だが、普通のラーメン店では、味噌ラーメンに野菜炒めをのせたものや、担々麺を
 注文して、それに海苔を二大二人分トッピングし、さらに味玉を付けて、レシチンも
 補強して食べるのがいい。
 
  インスタントラーメンは、組に炭酸カルシウムなどの添加物を入れているので、カ

 ルシウムだけは基準を超えている商品が多い。だが、天然だしの代わりに化学調味料
 やタンパク加水分解物、酵母エキスなどを用いているので、これ以外のミネラルはほ
 とんど摂れない。添付されている具も成分を抜いたものだ。
  煮干し粉や海苔をたっぷり入れ、できれば肉野菜炒めや昧玉を入れて食べな健康を
 害することがある。



 
 寿司


 ●足すならアオサ汁がよい

  魚は、内臓まで食べるとミネラルを多く摂れる。しかし、刺身にすると、カルシウ
 ムや鉄が3分の1しか摂れなくなる。
  その刺身を、ご飯にのせたのが寿司だから、寿司にミネラルは期待できないが、実
 際はどうだろうと、100円寿司の持ち帰りセットを三社で、価格の上限が400円
 ぐらいの中級回転寿司を2社で買ってきて、それぞれ混ぜ合わせて実測した。
  想像どおり、カルシウム・マグネシウム・鉄は、まったく足りなかった。
  だが、中級寿司は、亜鉛が基準を超えていた。中級寿司には貝が入っていたからだ。
  亜鉛が不足すると、免疫力が低下して病気にかかりやすくなるので、寿司を食べる
 ときは必ず、貝類も食べるようしよう。
  その他のミネラルは、汁もので補給することになる。
  100円寿司のアサリ汁やシジミ汁に入っているアサリやシジミは、水煮した冷凍
 中国産を使っているから頼りにならない。アオサ汁なら、確実にネラルを補給できる。
 アラをとってアラ汁を出している寿司屋なら、どの汁ものでも大丈夫だ。


 スパゲティ

 ●せめてカルシウムだけでも粉チーズで補おう

  大手ファミリーレストラン三社で、異なる種類のスパゲッティを注文し、持ち帰っ
 て混ぜ合わせ、ミネラルを実測した。
  すると、カルシウム・マグネシウム・鉄は、まったく足りなかった。
  粉チーズがかかったスパゲッティがあるのに、カルシウムは基準の半分以下。ひき
 肉がたっぷり入っているスパゲッティもあるのに、鉄も基準の半分だった。
  イタリア人は、スパゲッティを食べながら、世界でトップレベルの健康を維持して
 いるが、日本の外食で食べるスパゲッティは、イワシのアンチョビを使わずに、化学
 調味料や酵母エキスを使うので、ミネラル不足食品になっていたのである。
  スパゲッティ・ボンゴレには貝類が使われているので、ミネラルが摂れそうに見え
 る。ところが、ファミレスなどでは水煮した貝を使うので、これもミネラルを期待し
 ない方がいい。
  粉チーズをたっぷりかけて、カルシウムだけはきちんと摂り、他のミネラルは別の
 食事で確実に摂るようにするのが、有効な自衛法である。


 そば

 
 ●マグネシウム補給には八割や十割そばを

  うどんは小麦粉が原料なので、ミネラルが基準に達するとは考えにくい。
  そばなら、もしかしたら、ということがあるので、コンビニのざるそば二種類と、
 駅の立ち食いそば▽食を混ぜて、実測した。
  結果は、五ミネラルとも基準に達しなかったが、1食当たり311kcalと、低カロ
 リーだった。大盛りにして量を増やせば、マグネシウムは基準を超える。
  また、コンビニや駅のそばは、そば粉含有率三割が標準だ。八割そばの店で、そば
 湯を飲めば、マグネシウムは基準を大きく超えるだろう。
  マグネシウムが不足すると、神経や精神に異常が出てくる。良質のそばは、それを
 防ぐいい食事である。
  だから、昼食のカツ丼や親子丼に、ミニそばを付けたメニューのある店では、必ず
 注文しよう。カロリーの摂りすぎを気にする人が多いが、マグネシウムを多く摂る方
 を優先するのがいい。
  八割そばや十割そばをよく食べるようにすれば、心身の健康を維持できる。

 ファミレスのキッズメニュー

 ●カルシウムが大幅に不足する

  主婦と会社員の食事の例を紹介したが、では、子どもはどうなのだろうか。
  ファミレスの宅配で、キッズプレート三種類を購入し、ハンバーグ、チキンピラフ、
 カレーに、ゼリーを二つ、コーンポタージュを一つ付けて、ミネラルを実測した。宅
 配だが、店で食べるのと中身は同じである。
  得られた値を、6~7歳男児の国の基準と比較すると、カリウムは目安量を大幅に
 超え、マグネシウムと亜鉛も、推奨量を超えた。
  マグネシウムは、食材を洗ったり、下ゆで、水煮したりすると大幅に減る。そうい
 う加工をしない食材を使用したから、基準を超えるミネラルが三つもあったのだろう。
  マグネシウムが174mg含まれていれば、子どもの精神は安定すると考えられる。
  問題は、カルシウムが基準を大幅に下回ったことだ。半数に健康障害が出る「推定
 平均必要量」が500mgなのに、142mgしか摂れない。こんなにカルシウムが少な
 いことを知らずに、キッズメニューを子どもに食べさせ、牛乳を飲ませないでいると、
 カルシウム不足で子どもの心身がおかしくなってしまう。

   
                                   小若順一 著 『食べるな危険!』、
PP.235-253


以上、はしおって考察してきたが、栄養学的には加工度(高級化)が高まるにつれミネ
ラル不足になる。つまり、以下の健康障害を発症しやすくなるという大きな特徴を知る
ことになった。

※ それにしても、トリチウムは水蒸気に乗っかる(とけ込む)からヤバイなぁ~!?
  大事に至らぬことをひたすら祈るしかわたしにはできないしね。


                                 この項了



●血圧が高くなった・・・ナトリウム過剰・カリウム不足

ナトリウムとカリウムは細胞内液と外液の浸透圧を均等に保つ役割がある。ナトリウム
が過剰になると、浸透圧が上がり血圧が上昇しするが、このときにカリウムが充分にあ
ると、余分なナトリウムを排出する働きをしてくれる。

●骨や歯がもろくなった・・・カルシウム・マグネシウム・ホウ素不足

カルシウムとマグネシウムのバランスが保たれると、マグネシウムのサポートでカルシ
ウム吸収が効率的に行なわれ骨や歯が形成される。しかし同様にバランスが崩れると、
骨や歯は形成されにくくなる。ホウ素は骨成長に関係する酵素を助ける働きがある。

●最近イライラしたり、怒りっぽくなった・・・カルシウム・マグネシウム不足

カルシウムとマグネシウムは 脳神経の沈静作用があります。カルシウム:マグネシウム
=2:1のときが一番効率的に働き、バランスが崩れると効果は低下する。

●味覚が変わった・・・亜鉛不足

亜鉛は新陳代謝に必要不可欠のミネラル。不足すると舌にある「味蕾(みらい)」とい
う味覚センサーが鈍ることにより、味覚障害を引き起こす。

●だるくて気力がない・・・カリウム不足

カリウムは筋肉のエネルギー生産に関係があり、不足すると脱力感をまねく。汗をかく
ことでカリウムを不足しやすくなるので、夏場はとくに注意する。


●血糖値やコレステロールが高め・・・クロム不足

クロムは糖やコレステロール代謝に欠かせないミネラル。インスリンの働きを助け、血
糖値を下げる作用があることから、糖尿病や高脂血症の抑制効果があるといわれる。



 


【ミネラル不足にはチーズサラダを摂る】

結論していえば、チーズサラダを摂ることでサプリメントするということになる。勿論、
オリーブオイルとビネガー(お酢)は欠かせない。


 


 

焦がし醤油フォンデュ

 

科沙羅は残念だった。自然現象は不運だったけれど、ジャンプ構造の差異攻略法は、組織と
して前もって入念にチェックしておくべきだったろう。現在はチーム総合力を抜きにして勝敗は語
れない。勿論、こんなことは指摘されずともある程度の対策は講じられていたとは思うのだが。

 

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チーズピザと饂飩

2014年02月12日 | 時事書評

 

 

 

【我が家のベストレシピ】

ごはん、味噌汁(大根・人参・薄揚げ)、鮭の切り身、山芋と青のり、野菜サラダ、香の物


今夜は、食べ物とその栄養・衛生学について考えてみる。上の写真は、過日、クラブ・
ハーリエ
で、麦とろ御膳を頂いたが、彼女が気に入り家で再現してみたもの。材料費は
五百円程度でできたということで、まずまずの腕前だが、これはテレビ放送の『ごちそ
うさん』の影響があるのかもしれないと思いつつ、和の"一汁三菜"とは実に合理的だと
感心しながら、欧米の牛肉食文化の反省もあり、食の日本文化の合理性の世界的な再評
価がなされている意味も再考することに。さて、福島原発事故の放射性物質汚染の内部
被爆をはじめ、ハーベスト系などの農薬や様々な食品添加物、さらには、生態系に拡散
循環する化学物質、あるいは、大豆、トウモロコシなどの遺伝子組み換え作物等々の種
類とその生産量、排出量、蓄積量とあるいは複合汚染量ということを考えると心配の種
は尽きない。またそれに対する、人間の免疫力とその疫学閾値をどのように考えればよ
いかと考え込んでしまう。そこで、池田清彦の下記の書物の第11章の要約を参考にす
る。

 

【免疫系とエイズ、アレルギー】

 

  抗原抗体反応で代表されるように、免疫系は厳密で特異的な反応によって特徴づ
 けられると考えられがちであるが、実は免疫反応を支える因子には、非特異的なも
 のが多いのである。
  たとえば細胞間相互作用因子であるサイトカインの中には、免疫細胞間での情報
 伝達に関与しているものがある。ベルパーT細胞から分泌されるサイトカインであ
 る。ヘルパーT細胞から分泌されるサイトカインであるイン夕ーロイキン類は、T細
 胞やB細胞を増殖させたり、B細胞の抗体タイプをIgMからIgGに変換させた
 りする作用をもつが、これらの反応は非特異的である。あるヘルパーT細からそれ
 に対応するB細胞にインターロイキンを使って指令を出した際に、関係ないB細胞
 が反応することがある。インターロイキンは、抗原体反応のように特異的に働くわ
 けでないので、関係ないB細胞が反応する可能性が排除できないのだ。免疫系が老
 化すると、このような間違いが多く
なり、場合によっては自己に対する抗体さえつ
 くられるようになる。
  さまざまな接着分子もまた、免疫反応を支える非特異的な因子である。T細胞の
 中には胸腺での教育(殺戮)を逃れて出てきだ自己反応タイプのものが少しだけあ
 るが、自己組織は通常、T細胞を働かせるのに必要な接着分子を持たないため、T
 細胞は自己を攻撃しない。ところが何かの加減で、この接着分子を発現させるプロ
 セスにスイッチが入ると、免疫系は自己を攻撃するようになる。
  免疫系はまた、エイズやアレルギーいった合目的とはいえない疾患とも深く関係
 する。HIV(エイズウイルス)はCD4をもつヘルパーT細胞に侵入し、T細胞
 の転写機構を利用して増殖し、ついにはT細胞を全滅させる。接着分子CD4及び
 T細胞の転写機構がなければ、増殖できないわけで、免疫機構を逆手にとっている
 といえる。
  アレルギーも矛盾した疾患だ。自己を助けるはずの免疫系が自己を傷つけること
 に加担しているからだ。アレルギーは大型のの寄生虫を排除するために進化したと
 の考えもあり、昔はそれなりに適応的な反応だったのかもしれない。近年の清潔好
 きはアレルギーの発生に拍車をかけているらしく、ヒトの生活習慣の進歩に体の進
 化が追いつかないこうれいなのだろう。

              池田清彦 著 『新しい生物学の教科書』 第11章 


確かに、人間本来の備わっているであろう復元力や耐性を、医薬品や医療機器を使い、
補助支援するだけでなく、自発的・自律的な身体の活動で免疫力を強化することも研究
課題(ダーウィン進化論)だろうけれど、免疫力維持強化する速度より、外的環境影響が
大きくなる速度が大
きいとすればどうなるのか、これも、地球温暖化人為説と同様に大
変やっかいな話にな
りそうである。つまり、これは残件扱いにならざるをえないが、下記の著書
『食べる、危険!』を読み掲載することにする。



   

【フード・ファントム・メナス(19)】 

 「おこわ弁当」

 ●旅に出るならコレがいい

  旅に出るときにおすすめなのは、駅ビルやエキナカにある「米八」の「おこわ弁
 当」だ。
  欠点は、添加物が多ことだが、ミネラル不足によって、旅先で体調を崩すより、
 この弁当でしのぐ方がいい。
  三種類の「おこわ弁当」を買って検査すると、カルシウムは基準の四倍を超え、
 マグネシウムは二倍近く、銅は六倍近く含まれていた。
  カルシウムが多いのは、水酸化カルシウムをおこわに添加しているからと、乳酸
 カルシウムを菜の煮崩れ防止に用いているからだ。
  マグネシウムが多いのは、塩化マグネシウムを豆腐加工品に用いているためだろ
 う。銅が多いのは、銅葉緑素が昆布や野菜の煮物に使われているからだ。
  しかし、豆、ぎんなん、菜に、海藻や野菜も一通り並んでいて、複数の主要・微
 量ミネラルがある程度は含まれていそうだ。
  旅先でミネラルの少ない食事を食べ続けることを考えると、他の弁当を買うより
 は、この「おこわ弁当」の方がいい。


 高齢者向け高級宅配弁当

 ●脚がつりやすくなる人もいた

   高齢者向けメニューを弁当箱に入れて届け、弁当箱を回収する高級宅配の人気が
 上
昇している。
  使い捨て容器に入れた宅配弁当よりも、はるかに健康に配慮したメニューに見え
 た
ので、一週間分を発注し、三食を検査に出した。
  結果は、驚くほど低い値が並んでいた。
  カルシウムは1~2歳児、マグネシウムは6~7歳児、亜鉛は1~2歳児の食事
 摂
取基準に達していなかったのだ。
  特に低いのは鉄で、6~11ヵ月の乳児の基準以下だった。
 「最近、両脚が同時につるんですよ」と言われる70代後半の方は、この高級宅配
 弁
当を利用していた。煮干し・飛魚・昆布の粉を調合して贈り、しばらくしてお目
 にか
かると、「そういえば、両脚ともつっていません」。
  食事の量が少なければミネラルも少なくなるが、それだけではなく、中身の抜け
 た
料理が入っていたのである。
  この弁当には、海苔を加え、煮干し粉を大さじT杯と、温泉卵をご飯にかけて食
 べ
ないと病気になってしまう。
  このような現状を何とかしようと、すべてのミネラルが足りた冷凍弁当の開発を
 進
める企業が出てきている。安全で健康な鶏と卵からスタートして、冷凍食品の販
 売を
行う企業に成長した「秋川牧園」が、ミネラルだけでなくビタミンなどの食事
 摂取基
準をすべて満たしていて、添加物を加えていない冷凍弁当の開発に取り組ん
 でいる。

  まもなくネットで全国販売するというが、どんな弁当が出てくるか楽しみだ。


 焼きそば

 ●カルシウムが基準の5%しか摂れない

  惣菜コーナーには、ソース焼きそばが必ず置かれている。
  見るからにミネラルは少なそうだが、推測ではなく、実際の数値を知りたいので、
 4種類を購入して検査に出した。
  一パック当たりの平均内容量は269gで422kcalだ。一般的な丁食分より量
 が少
ないので、5割増に計算して、400g、628kcalとして基準と比較した。
  すると、銅は基準を超えたが、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛は基準以下
 で、
カルシウムと亜鉛は驚くほど少なかった。食品添加物として炭酸カルシウムが
 使用さ
れているから、食材由来のカルシウムは、もっと少ないわけだ。
  焼きそばだけを20代男性が昼食にしたら、カルシウムは、半数の人が病気にな
 る
食事摂取基準の5%しか摂れない。
  ここまで少ないのは、「ゆでた」水煮食材を使用しているからだ。切ったままの
 生野菜、生豚肉を麺と一緒に炒めたソース焼きそばは、こんなには少なくない。
  少しでもミネラルを補うため、煮干し粉、ゴマ、青のりをたっぷりかけて食べ、
 野菜ジュースを飲んでビタミンも補ったあとで、デザートにヨーグルトを食べよう。

 ●野菜ジュースは放射性セシウム対策の切り札

  野菜ジュースは、放射能対策に用いることができる。
  原料野菜は、ほとんどが輸入物だから放射能の心配はない。まれに国産野菜も原
 料に使われるが、福島県以外の野菜からは放射能が検出されなくなっている。
  野菜には、セシウムの同族ミネラルであるカリウムが豊富に含まれている。カリ
 ウムは、野菜サラダにすると抜かれて減るが、野菜ジュースにはそのまま残ってい
 る。
  カリウムには、天然の放射能であるカリウム40も含まれている。だが、人体内の
 カリウム量はI定なので、カリウムを多く摂っても被曝量は増えない。
  カリウムを多く摂れば、セシウムを追い出す効果があるので、野菜ジュースは、
 放 射性セシウム対策の切り札にできるのだ。
 
 

 牛丼

 ●280円ではまともな栄養は摂れない

  大手牛丼チェーン三社の並盛りを混ぜ合わせて、ミネラルを実測した。

  すると、カルシウム・マグネシウム・鉄は、まったく足りなかった。カルシウム
 の
少なさは驚異的で、基準の9分の1しかなかった。280円では、まともな栄養
 は摂
れないのだ。
  食べて健康になる対策としては、まず予算を増額して、具を大盛りにしよう。
  それでもカルシウム・マグネシウム・鉄は足りないので、サイドメニューを頼む
 ことになる。
  ところが、サイドメニューもミネラルが不足したもののオンパレードだ。サラダ
 は、きざみキャベツをよく水洗いしているし、豚汁の具は水煮したものばかりだし、
 オクラやニンニクの芽も湯通ししている。きれいには見えるが、ミネラルを抜いた
 ものだから、注文してはいけない。
  カルシウムを多く摂るにはチーズをトッピングするのがいい。マグネシウムは、
 納豆か、冷やっこで補おう。鉄は、海苔を付ければ、摂取量は基準に近づく。
  これに、さらに「温たま」を追加すると、レシチンも補給できる。
  こうすると心身の状態は良くなるが、安い店でも六五〇円になってしまう。


 ピザ

 ●カルシウム不足を補うのにはピザがよい

  どんな食事を食べても不足しがちなのが、カルシウム・マグネシウム・鉄だ。
 カルシウムを摂るには、小魚を丸ごと食べるのがいい。魚の骨はすべてのミネラル
 の宝庫だからだ。ただし、小魚は産地を確かめないと、放射能で汚染されている可 
 
能性があるので注意が必要だ。
  カルシウム不足を手軽に補うのにいい食品は、チーズがたっぷりのったピザだ。
  宅配大手二社と、最大手イタリアンレストランのピザを混ぜて実測すると、カル
 シウムは基準の二倍を超えた。このくらい含まれていると、カルシウムの少ない食
 事を食べていても、ピザを食べれば補整できる。
  マグネシウムや鉄は不足しているが、それは別の食品で補おう。
  ただし、スーパーで人気の200~300円台の冷蔵ピザは、チーズが少ないの
 で、カルシウム・マグネシウム・鉄のすべてが足りない。宅配のピザとは価格は5
 ~10倍違うので、違う商品と考えた方がいい。
  スーパーではピザと一緒にチーズと粒マスタードを買い、ピザに粒マスタードと
 家庭にあるケチャップを塗った上に、チーズをのせて焼こう。これで、カルシウム
 だけでなく、他のミネラルも補強できる美味しいピザになる。

                小若順一 著 『食べるな危険!』、 PP.220-243



  



ピザは残留農薬(マラチオン)などの懸念があるものの、カルシウムを補う食品として
こここでは推奨されている。宅配ピザを滅多に口にしないが、冷凍ピザはよく出される。
なお、リン酸塩などを多く含むピザパンは逆にミネラル不足なると警告している。省エ
ネの我が家では電子レンジがフル稼働状態だが、アクリフーズがここにきて食べること
ができなくなったものの、大好評である。つまり、彼女の話を受け売りすると、兎に角
品質(味や食感など)が格段に向上してきているのだという。チーズがカルシウムの補
給源となり、副食(サイドメニュー)やトッピングを工夫すれば最強のファースト・フ
ードになる。とはえい、饂飩(うどん)もいいぞと、今日の昼は彼女が、ササット作っ
てだしてくれた。キツネ(味付け薄揚げ)やわかめとろろ、あごを加え頂ければ、寒い
冬には最高だ。

 

 

  コンパクト・スリーピング・バッグ

【原発再稼働隠しの露呈】 

東京都知事選挙を無事切り抜け、原発再稼働を早める動きがでてきたが、これはすでに
折り込み済みのこと。ところで、ここでルーム・ランニング(ルーム・ウォーキング)
の効果が出てきていることを実感している。なるほど、脳内鍛錬とことなり身体鍛錬は
具体的な変化として現れてくる分、乗めり込んでしまいそうになるねと腑に落とすとと
もに、それじゃ、もっと試してみようじゃないかと意欲も湧く。乞うご期待というわけ
だ。ところで、防災グッズとしてお勧めできそうなのが、上図像の「コンパクト・スリ
ーピング・バッグ」、つまり、軽量携帯寝袋というもの一度検討してみては如何でしょ
うか。

さて、今日は本当に久し振りに母を見舞う。ノロウイルスやインフルを心配して自主的
に足を遠ざけていたのだが、職員の方と話をして、過剰対応を改め慎重を期し普段通り
訪問することに。帰りの湖岸道路から見える琵琶湖と比良山系の冬景色は見事という他
に言葉が見つからなかった。
 

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寒風に獅子が舞う

2014年02月11日 | 日々草々

 

 


           
           囃された 獅子が舞い込み 吾を喰い 札と精霊とを残し征き  

 


随分と言葉が薄ペラになっていくようだ。そん風に考えている。短歌が書けなくなって
いるのもその所為だと。正午前、遠くから笛太鼓が寒風に舞い聞こえてくるので、急い
で祝儀袋とお金を取り出し準備する。伊勢講だ。いつものように、獅子に頭を噛ませて
玄関先で舞ってもらうが、途中でデジカメさせてもらこと承諾をえて二、三枚撮る。そ
んな今日の出来事を歌にした。荒々しい野生溢れる世界で、草庵はライオンに喰い散ら
かされた吾が血に染まっている。染まることで精霊が舞い降り、霊力がやどり、甦生
し、そして部屋には御札が舞残っている。非日常的で超現実主義的なイメージを詠うこ
とで、なんとか言葉の軽薄化に拮抗してみたかった。

 


●成熟に向かう新弥生時代(4) 

    

【油脂酵母によるバイオディーゼル生産】

ディーゼルエンジンを発明したルドルフディーゼル
は、1900年のパリ万博では植物油を
燃料としてこの
エンジンを稼働させたという。現在では、軽油がディーゼルエンジンの
燃料として使用されている
が、植物油でも利用可能らしい。軽油代替燃料として用いら
れているバイオディーゼル(BDF: Biodiesel
fuel)はそれら植物油の融点や粘度を改善し
た脂肪酸
エステル(FAME: Fatty acid methyl ester)に変換したものが主流である。国内
で見られる回収した天ぷら
油などの廃油でバスなどを動かすプロジェクトでは、このFAME
が使用される。欧州では乗用車にお
いてもディーゼル車のほうがガソリン車よりも普及
ている国が多く、BDFの生産量はバイオエタノールの生産量よりも多い。今後、再生エ
ネルギーとしてのBDF
はさらなる供給量が期待されている。植物油を原料にしたBDFを使
い続けるには、食料とし
ての油脂との競合の問題や、栽培地の問題など安定供給に対し
て解決すべき問題がある。ここではガソリ
ン代替燃料として注目されているエタノール
同様に
酵母により軽油代替燃料を発酵生産する可能性を考える

出展:正木和夫「油脂酵母によるバイオディーゼル生産
」、バイオサイエンスとインダ
   ストリー VOL.72 NO.1(2014)

●油脂酵母(oleaginous yeast)

2011年に刊行されたTHE YEAST 第5版では1,312種の酵母が記載されている。このうちの
半数以上がグルコースをエタノール発酵しない酵母であり、約半数がキシロースを資化
して生育できる酵母である。かつ
て、石油から微生物を利用してタンパク質を生産し
Single cell protein (SCP)と同様に、微生物から生
産される油脂はSingle cell oil (
SCO)と呼ばれる。微
生物が著量の油脂をその体内に蓄積することは古くから知られてい
たが、近年、油脂を蓄積する酵母に対す
る興味が急激に広がっている。

Lipomyces starkei

Lipomyces属は土壌に生息する子のう菌酵母で、菌体外に大量の多糖を分泌するため粘液
状のコロニーを形成する。一般的な酵母に多いクリーム状コロニーとは大きく異なるた
め、細菌と見間違えられることもある。これまでに16種が報告され、無性世代のMyxozyma
属を含めると関連種は28種。Lipomyceslipolipidに由来しているように、菌体内に油
脂を蓄積する性質があり、中でもLipomyces starkeyiは、菌体乾燥重量の60~80%に達する
油脂を蓄積する。この特性が注目され、食料や燃料に活用するための研究が進められて
いる。

油脂酵母の育種方法として先に述べた菌体外多糖の非生産株の育種を試みた(下図)。油
脂生産を目的とした場合、副産物である菌体外多糖の生産を抑えることで油脂生産性を
向上させることが期待できる。また、培養液の粘度を抑えることによりエアレーション
効率が向上することや培養終了時の菌体の沈降性の向上も期待できる。紫外線照射によ
り得られた菌体外多糖非生産株の油脂生産能力を調べたところ、期待通り油脂の生産量
菌体の沈降性が向上する。さらに、菌体内に著量の油脂を蓄積させた状態でできるだけ
高密度で培養には、培養液に大量の糖類を加える必要があるが、高い糖濃度による生育
阻害を回避し、生育速度を速めるためには、糖濃度を抑えるよう糖濃度をモニタリング
しながら段階的に糖を加えることが効果的である。

Rhodosporidium toruloides 赤色酵母

担子菌系酵母(Rhodosporidium toruloides 赤色酵母)は、窒素が枯渇したのちに油脂の
蓄積が行われると言われ、バッチ培養では培養開始時の炭素と窒素の割合(C/N比)の設
定が重要であり、C/N比が低いと菌体の増殖は良くなるが、油脂の蓄積は思うように進
まない。最適な値を設定することで菌体増殖と油脂の生産のバランスを確保することが
できる条件で、グルコースおよびそれ以外の糖類からの油脂生産量についても検討した
ところ、グルコース(約26 g/l より少し劣るものの、ガラクトース、マンノース、キ
シロース、アラビノースでも18~24 g/lの油脂生産能力を示す。油脂蓄積フェーズで
は、フラスコ培養で1日当たり5g/lが5Lジヤーファーメンターでは最大8g/lが程度の
生産速度を示した。

また、過去の報告ではそれ以上の生産速度も示されている。下図では、15%ダルコース
を炭素源とした場合の、油脂生産量、乾燥菌体重量の経時変化を示す。培養開始後1日
目では、菌体の増殖は進んでいるが、まだ油脂の蓄積は見られず、これら油脂酵母の培
養初期は菌体のみの増殖が進行し、遅れて油脂の蓄積が速む。これは、菌体重量当たり
の油脂合量の経時的変化からも明らかであり、生産される油脂は菌体内に蓄積されるこ
とから、菌体増殖速度と脂肪酸合成系から油脂生産までの速度が、トータルの油脂生産
速度に影響を与えそうである。ただし、酵母による油脂生産では初期の酵母の増殖後は
菌体の個数は維持したまま菌体重量が増加する。初期の菌体増殖期、それに続く油脂生
産期と考えることができ、その場合は、後者の油脂生産に関わる代謝の活性化が油脂生
産速度向上の大きな鍵となりそうだ。

酵母による油脂(トリグリセリド)の生産は、かなりの速度で生産可能である。植物油
脂で生産速度が速いパーム油では年間 0.4 kg/m2である。酵母の場合はタンクでの培養
となり同等に比較はできないが、例えば同じ単位面積の1mlで比較すると、300日稼働と
して1.5~2.4tの生産が可能である。重要なのはその原料であり、バイオマスにその原
料を求めた場合、1m2当たりどれはどの糖の収量が期待できるか?。国内でのバイオマス
原料としてエリアンサス、サトウキビ、多収穫米などいろいろな候補が挙げられる。ま
た、廃棄物系の原料も利用可能だと考えている。今後、食料と競合しない原料の利用が
重要な課題となるが、原料処理技術と連動した技術開発が望まれている。また、実用化
には、スケールアップ時の問題点、油脂の回収効率などは今後の基本的な課題だ。

酵母中の油脂含量は50~60%だとすると、その他の酵母残渣が40~50%生じる。油脂含
量を引き上げることは重要な技術課題であるが、実用的な側面からトータルに考えると、
その酵母残渣の有効利用の検討する必要である。様々な原料を組み合わせた場合の阻害
効果や、生産する油脂の性質、生産性の向上など、酵母の育種の課題解決が今後必要に
なるかもしれない。特定の遺伝子を増強することで酵母の油脂の生産性や生産する油脂
の価値を高める研究も進んでいる。最近では、油脂酵母の遺伝子解析メタボローム解
の報告も行われている。

尚、2011年度の農業白書によると、油脂のカロリーベースの自給率は3%と示されてい
る。金額ベースの自給率が37%であり、安価な油脂を輸入に頼っている現状が見られる。
安定供給源として国内での油脂生産技術に期待が寄せられている。国内の廃油の発生量
が45万t程度と見積もられており、BDFをけじめ再利用の取り組みが行われている。エネ
ルギー物質の発酵生産には厳しいコストの壁がある。

※ 特開2012-183012 油脂生産能の高い微生物株の選抜方法

   

【フード・ファントム・メナス(18)】 

 冷凍食品

 ●冷凍食品を多用すると、病気になりやすい

  一日の食事を、すべて冷凍食品ですませると、ミネラルはどうなるだろうか。
 見かけだけでもしっかり栄養が摂れそうな、若い人用のメニューを組んで、主要五
 ミネラルを実測した。
  朝食は、フライドポテト半分、ピザ1枚。昼食は、魚、一ロカツ、野菜の惣菜を
 六
種類と、エビピラフ。夕食は、枝豆、ギョーザ、鶏のから揚げ、ブロッコリーに
 五目
チャーハンというメニューだ。こんなに食べる女性は少ないだろうが、三食合
 計で1686kcal
しかないから、ダイエットメニューといえる。
  結果は全滅で、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅が、半数の人が病気に
 か
かる食事摂取基準を下回った。
  カルシウムは340mg。知らない人には多そうに見えるかもしれないが、なんと
 1
~2歳児の基準を下回っていたのである。
  ミネラル補給を特に考えず、冷凍食品を多用している人は、確実に心身を病む。

  煮干し粉、ゴマなどをたっぷりかけ、チーズ、海藻類を添えてミネラルを強化し、
 ピラフやチャーハンには、加熱後にエキストラバージン・オリーブ油をかけてレシ
 チ
ンも補給しよう。

 冷凍チャーハン

 ●ミネラル量は白米ご飯とほぼ同じ

  コンビニやスーパーにある冷凍チャーハンを六種類買い、同量ずつ混合してミネラ
 ルを実測した。一食分が300gとして摂取量を計算すると驚くべき結果になった。
 カルシウムは、半数の人が病気にかかる基準の二四分のI、マグネシウムと鉄は基
 準の3分の1、亜鉛は2分の1以下しかなかったのだ。
  冷凍チャーハンは、ミネラルの含有量が、白米のご飯とほとんど変わらない。
 「具だくさん」と表示されていても、使用されている野菜、焼豚などの、すべての
 具
が、水煮・精製されてミネラルが抜けたものだからだろう。



 カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅が少ないことは、モリブデンやリチウム
 など、人体に必須の極微量ミネラルも抜け出て少ないと考えられる。それなのに原
 材料表示を見ると、ミネラルを奪うリン酸塩を使用した商品もあった。つまり、リ
 ン酸塩に奪われ、極微量ミネラルを、まったく摂れていないことになる。冷凍チャ
 ーハンを食べるときは、ミネラルが多い煮干し粉と海苔をたっぷり加え、温泉卵や
 エキストラバージン・オリーブ油をかけてレシチンも補強しよう。


 レトルト

 ●子供には特に使ってはいけない

  一日をほぼレトルト食品だけで過ごすとどうなるかを実測してみた。
  朝は、「朝からカレー」をレトルトご飯にかけて、福神漬を添える。昼は、「か
 ぼちやのポタージュ」を飲みながらミートドリアを食べ、3時にポテトチップスを
 一袋。夕食は、「野菜を食べるどんぶり」をレトルトご飯にかけ、のりたまをふり
 かけ、仕上げにカップヌードルを食べる、という設定だ。
  メニューが豪華な割に摂取カロリーは1473kcalと低い。小学校高学年なら、
 こ
ういう食事の子どももいるだろうとして、検査結果は、8~9歳女児の基準と比
 較
した。
  銅は足りていたが、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛が基準以下だった。カ
 ル
シウはコピ啄だったので、1~2歳児の基準の3分の1以下である。成長期の子
 
どもには特に、レトルト食品を使ってはいけない。冷凍原料を解凍して、異物を取
 り除くために水洗いするレトルト食品は、冷凍食品よりミネラルやレシチンが少な
 いことが多いのである。


 冷凍「ダイエット弁当」

 ●カロリーは低いがミネラルも少ない

  ダイエットに便利と、ワンプレートの冷凍ダイエット弁当がよく売れている。冷
 凍庫からプレートを出して解凍すれば、そのまま低カロリーの食事ができるからだ。
  だが、これを利用して、健康的なダイエットができるのだろうか。
  大手スーパーで、ワンプレートの冷凍ダイエット弁当を三種類買うと、三食合計
 で1086kcalだったので、カロリーは確かに低い値だ。
  検査すると、ミネラルも少なく、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅が基
 準以下で、カルシウム・マグネシウム・鉄は、基準の三分の一にも満たなかったの
 だ。
  主要三ミネラルがこれほど少ないと、心身の健全さを維持できない。これを食べ
 続けると、数週間で確実に心身を損ねてしまうだろう。
  これを使うなら、煮干し粉とエキストラバージン・オリーブ油を各大さじ一杯か
 けて食べ、野菜ジュースを飲む必要がある。こうすれば、カロリーは少なくても、
 ミネラルとビタミンとレシチンが補給されるので、お肌も心も問題なく痩せること
 ができる。


 コンビニ弁当

 ●厚労省の食事摂取基準によれば、確実に心身を病む

  昼食をコンビニ弁当ですませる人が多いので、大手コンビ二三社の「幕の内弁当」
 を買って、それらを混ぜてミネラルの検査に出した。
  農林水産省が食育の補助事業で、コンビニの「弁当は副菜の入ったものを選びま
 しょう」と図解したパンフレットを配っている。
  国の指導どおりの中身になっている幕の内弁当なのに、カルシウム・マグネシウ
 ム・鉄・亜鉛・銅が、半数の人が病気にかかる基準の、その半分にも達しなかった。
 これとは別に、副菜の入ったコンビニ弁当に、野菜サラダ、ポテトサラダ、おしん
 こ、ヨーグルト、コーンポタージュを付けて、一日三食分の食事にし実測したが、
 やはり、5ミネラルとも基準をはるかに下回った。
  コンビニで弁当を買うときは、海苔、ゴマ、牛乳、ココア、ピーナッツ、アーモ
 ンド、チョコレート、野菜ジュースなどを買い、ミネラルだけでなく、ビタミン、
 レシチンの補給も必要だ。
  そうしないと、厚生労働省の食事摂取基準によれば、確実に心身を病むことにな
 る。


 持ち帰り弁当

 ●納豆や豆腐を足し、ご飯には煮干し粉をかけよう

  朝は「白身魚フライ入りのり弁当」、昼は「ロースカツ丼」に「わかめと蓮根の
 彩りサラダ」、夜は、鮭塩焼き・ヒレカツ・豆腐ハンバーグ・小魚佃煮・ヒジキ入
 りのかなり豪華な「幕の内」を食べれば、一日に必要なミネラルは十分に摂れてい
 そうなメニューだ。
  大手三社の弁当チェーンで、これらの弁当とサラダを購入して、一日のミネラル
 摂 取量を実測した。
  2637kcalもあるので、若い男性の食事摂取基準と比較すると、意外なことに
 カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛が基準以下だった。
  カルシウムの270mgに至っては、1~2
歳児の基準を下回っているから、絶対
 的に不足している。
  三食ともご飯で海藻入りのうえ、魚、肉、野菜もたくさん入っているのに、こん
 なにミネラルが足りないのは、原料の段階で、水煮して抜いているからだろう。
  持ち帰り弁当は、豪華に見えても、納豆や豆腐を付け、ご飯には、ゴマと煮干し
 粉を各大さじフ杯かけ、温泉卵をのせて食べるのがいい。


 宅配弁当
 
 ●カルシウムは1~2歳児の必要量も下回る

  定年退職すると、食事を作るのも、弁当を買いに行くのも面倒になって、新聞に
 折
り込まれてくる広告の宅配弁当を取るようになる人がいる。
  そこで、最大手のファミレスに「蒸し鶏」「チキン&春巻き」「ハンバーグ&白
 身魚フライ」の三弁当を注文してみた。見た目より、ずっと野菜が多く入っており、
 ご飯 にはゴマがかかっているし、味も適度に薄味で、よくできていた。
 検査に出して、その結果を60代男性の食事摂取基準に当てはめると、やはり、カ
 ルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛が基準以下だった。
  カルシウムは、三食合計で250mgと、特に低かったので、1~2歳児の基準を
 下回る。
  カルシウムは骨の主成分なので、これでは、骨量の減少、骨粗しょう症、軟骨の
 変性、変形性の関節症などを引き起こす。神経細胞や神経伝達物質を作るにもカル
 シウムが必要なので、神経過敏や、認知症などの精神疾患も起こるだろう。
  宅配弁当をよく利用している人が、理由もなくイライラしたり、物忘れがひどか
 ったりしたら、その原因はカルシウム不足かもしれない。


 タニタ弁当 

 ●タニタの弁当もミネラル不足

 「おいしく、お腹いっぱい食べていたら、おいしく、お腹いっぱい食べていたら、
 知らないうちに痩せていた」をコンセプトに社員食堂を運営していたら、大きな
 話題になって、料理本『体脂肪計タニタの社員食堂』が大ヒット。そこで「タニ
 タ食堂」をチェーン展開し始めているのが、株式会社タニタだ。
  丸の内に食堂を出す前、コンビニのナチュラルローソンでタニタ監修弁当が販
 売されていたので、二種類を買って、個別に検査した。
 「豚肉のオイスターソース炒め弁当」はカルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛が
 基準以下。
 「鶏肉ときのこのカレー」は、カルシウ・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅が基準以
 下だった。
 両弁当とも低カロリーなので、二〇代男性なら二食は食べられる。ところが、二
 食を食べても、「豚肉の弁当」はカルシウム・マグネシウムが、「カレー」はカ
 ルシウム・マグネシウム・亜鉛が足りない。
 こうなると、基準そのものが間違いなのでは、と疑いたくなるが、水に溶けやす
 いカリウムが、目安量の半分前後しか含まれていないので、水煮した原材料が用
 いられていると考えられる。
 タニタの社員食堂の食事のミネラルは、食事摂取基準を満たしていたのだろうか。
 

 

 駅弁

 ●野菜が多くても中身は抜けている

  旅に出たり、出張に行ったりするとき、健康に気をつけている人がよく買う駅
 弁は「たっぷり野菜弁当」や「三〇品目バランス弁当」だ。
  健康に良さそうなこの二つの弁当を混ぜて検査に出した。検査結果を、30~
 40代女性の食事摂取基準と比較すると、銅は基準値と同じで、カルシウム・マ
 グネシウム・鉄・亜鉛は基準以下だった。
 「たっぷり野菜弁当」には、1日に必要な量」の「野菜2分の1を盛り込みまし
 た」と書かれていたが、盛り込まれたのは、中身の抜けた野菜だった。野菜の栄
 養を期待して買った消費者にとっては、詐欺にあったようなものだ。
 この「たっぷり野菜弁当」には、春夏秋冬の四タイプがある。「秋」を買った年
 の9月中旬は、猛暑が続いていて菜は出回っていなかったのにもかかわらず、菜
 が入っていた。
  この栗は、外国で昨年秋に採れたものを水煮して冷凍し、発売時期に合わせて
 輸入し、味付けして弁当に入れたと考えられる。菜の中身は抜けていたようだが
 輸入栗なら放射能の心配がない。
  健康に良さそうな名称で、見かけは良くても、中身は抜かれていたのだから、
 駅弁にも気をつけていただきたい。
 


                         小若順一 著 『食べるな危険!』、 PP.208-219

 

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ハイブリッド型海水資源化構想

2014年02月10日 | 新弥生時代

 







【資源王国を実現する構想】

過日、次のように日本を資源王国にする構想の発案をブログ掲載した。そこで今夜はその
構想をもう少し具体的に考察してみたい。
 

 例えば、巻頭のラン藻類などの微生物を表層ディスプレイ技術など利用し、バ
 イオリアクター設備に海水を引き込み循環させながら光合成を行い、有用金属
 (物質)を吸着→濃縮・回収→バイオマス燃料(バイオプラスチック原料)→
 濾過・回収→バイオマス発電→有用金属(物質)回収行うことが可能となれば、
 エネルギー・資源枯渇問題を解消でき、併せて地球温暖化ガス排出量を削減で
 きることになる。20年後世界一の持続可能社会形成を実現した資源大国はと
 問われ時、それは日本!と誰もが答える状況になっているだろう。 

                   『成熟に向かう新弥生時代(2)



この日のブログでは、理化学研究所の研究グループがラン藻に微生物の遺伝子を導
入し、光合成だけで高効率なバイオプラスチックの生産の研究開発例を取り上げた
が、筑波大・渡辺信教授らのグループが、2012年より耕作放棄地2ヘクタールを活
用した屋外大量培養の実験に着手→つくば市内の耕作放棄地で、実規模レベルでの
開放系運輸燃料生産システムを建設、ボトリオコッカスとオーランチオキトリウム
2種類の藻類を複合した実証実験、つまり、有機物を吸収し、石油系の炭化水素を
作る「オーランチオキトリウム」に代表される藻類バイオマスを活用し、仙台市と
筑波大、東北大が取り組む次世代エネルギーの共同研究。研究施設を下水処理施設
「南蒲生浄化センター」 (宮城野区)に整備。有機物が豊富な下水をサンプルにし
た培養実験も筑波大で始めたというもの。

なお、オーランチオキトリウムは有機物を取り込むことによって増殖するという特
性を持ち、ボトリオコッカスは、低濃度の有機廃水で増殖が促進される。これら
の特性を活かし、下水処理の一次処理水にオーランチオキトリウムを投入、二次処
理水をボトリオコッカスの培養に活用させ、下水処理プロセスへ統合させる研究開
発を行うが、この
統合化により、


(1)廃棄物を使用することによるオイル生産コストの抑制
(2)二次処理水(窒素とリンの残渣)をボトリオコッカスの培養に活かすことに
  よる水域の富栄養化の防止

(3)オイル採集後の藻類残渣物の動物飼料やメタン発酵への利用の実現


ここでは、オーランチオキトリウムとボトリオコッカスの2種類の藻類を使用して
いるが、細胞表層工学で遺伝子を改変したアーミング酵母や大型藻類(macroalgae)
と微細藻類(microalgae)の海藻類、放線菌など細菌を使って、(1)オイル採集
意外にも、(2)バイオエタノール、(3)バイオプラスチック、(4)水素ガス
などの生物工学変換追加し組み込むことも視野に入れている。さらに、(3)のオ
イル採集後の類残渣物の中の有用物質の回収プロセスを追加することで、いわゆる、
下水処理をエネルギー資源化機能以外の"都市鉱山"
機能を加えることを構想してい
る。そして臨海部の下水処理システムに海水を混合の後に有価物質の回収、あるい
は、下水発生するエネルギーを海水資源化システムの動力として利用することも考
えに入れる。なお、この構想をここでは、"ハイブリッド型海水資源化システム"と
仮に呼ぶことにする。その意味では、海洋鉱山と都市鉱山の結合であり、微生物工
学と上下水処理技術と電気化学工学との結合であり、究極の"もったいない工学"で
あり、未来志向型インフラ整備事業となるだけでなく、このシステムあるいは産業
プラットフォーム事業の世界展開が約束されている。



 




【事例研究 レアメタル・リチウム・タングステンの回収】

成熟に向かう新弥生時代(2)』では、マンガン酸化細菌と基質酸化細菌をつか
って、レアメタルをバイオソープション(金属吸着・吸収)適用技術で回収する手
法を考察したが、今夜は、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由
来のWtpA遺伝子を細胞表層に発現する組換え微生物を利用してタングステンを効率
良く回収することで、タングステンを効率良く回収するトヨタ自動車の「特開2013-
252085|組換え酵母、当該組換え酵母を用いたタングステン回収方法」を考察して
みる(下図参照)。


 



以上から、実験段階から実用段階への以降には、アーミング酵母の生産コスト(回収コスト)
や生産効率あるいはシステムの堅牢性などが重要なポイントになることが伺える。次に、
リチウムの回収を以下の事例から考察してみる。

日本原子力研究開発機構の星野毅らの研究グループの、イオン伝導体をリチウム分
離膜として用い、リチウム分離過程で電気等の外部エネルギーを消費せず、電気を
発生しながらリチウムを分離する革新的な元素分離技術-核融合炉燃料製造やリチ
ウムイオン電池等の原料のリチウム資源を海水から、逆浸透膜と電気透析の2つの
技術を使って回収する技術(「特開2012-055881 リチウムの回収方法およびリチウ
ムの回収装置」)ついて考察する。この方法は、海水とリチウムを含まない回収溶
液間は、イオン伝導体をリチウム分離膜として用いて隔離するだけでなく、その間
にリチウム濃度差を生じさせることにより、海水中のリチウムが自然に回収溶液へ
選択的に移動する分離原理を発案し、さらにリチウムの移動と同時に発生する電子
を電極により捕獲することで、電気を発生しながらリチウムを回収できるため資源
回収には必ず外部からのエネルギーを必要とするが、リチウム分離過程で電気等の
外部エネルギー消費を要せず、従来の塩湖からのリチウム資源回収技術と比べ、省
スペース、短時間、さらに、電気を新たに発生することで資源回収のゼロ・エミッ
ション化を目指すことができる革新的な技術だという
(下図参照)。実験段階での
様々な裏付けデータが揃い、このシステムが実用性を担保できれば、あるいは派生
技術などで飛躍展開できれば、膨大な規模と予測されている蓄電池市場の中核技術
を担うことになると考えられる。

 





※NASICON型結晶構造のセラミックス

セラミックスは様々な結晶構造で構成されているが中でも、NASICON型、ガーネッ
ト型、ペロブスカイト型等の結晶構造は、イオン伝導性を有することで知られてい
る。ここでは、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)
、ケイ素(Si)、リン(P)、酸素(O)を含むNASICON型セラミックスをリチウム分離膜
として使用。



モーグルの上村愛子、脱原発の細川護熙 二人とも残念でしたが、明日に繋がるこ
とを信じていますよ。


                                 

 

 

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はじめてのパウダードレシング

2014年02月09日 | WE商品開発

 

 

味の素から”粉ドレ”という粉体ドレシング三種が発売されていることを知る。ドレッシ
ングは液体というのも、油性ドレシングは分離するので振るってかけるということも常識
でなくなる。ネットで見る限り、いろんなシーンで使い分け使用し、トッピングを工夫す
るなどでレシピの幅が広がるようだ。それで、加工技術な特徴はというと、α化デンプン
や食塩を使うことで(下表参照)、サラダなどの具材から水分など吸収し、具材に付着・
拡散・攪拌されドレシングに変身することが、企業技術からうかがい知ることができる。





JP 2013-13377 A α化澱粉粉含有固形調味料食品



粉体にすることで、軽量化と従来にはない広範な調味成分をブレンドできるそうだ。と、
いっても、『食べるな、危険!』を掲載してきた手前、添加剤の選択には細心の注意が必
要だと考える、添加物の使用については原則、自由という立場である。

 

 

   

【フード・ファントム・メナス(17)】 

 
 ポテトチップス

 ●水洗い・湯洗い・揚げる、で栄養素が失われている

  一番健康的なスナック菓子は、ポテトチップスだと、私は最近まで思って
いた。原
 料がジャガイモで、それを加工せず、そのままスライスして揚げただけで、味付けも
「うす塩味」のシンプルな商品と思っていたからだ。
  ジャガイモはビタミンCを多く含むので、スナック菓子の中では、体に最も良いは
 ずだった。だが、一度でいいから、自宅でポテトチップスを作ってみていただきたい。
 ポテトスライスを揚げると、くっついたり、焦げたり茶色になったりして、商品のよ
 うに白い平面にならない。
 市販品はプロの商品だが、「さすが!」と思ってはいけない。
  市販のポテトチップスは、一個のジャガイモを30~40枚にスライスし、そのス
 ライスを水洗いし、さらにお湯で洗ってから、油で揚げているのである。
  最初に水で洗うのは、デンプンを落としてくっつかないようにするため。二度目に
 お湯で洗うのは、焦げる原因になる還元糖をイモの中から取り除いて、白く見せるた
 めだ。
  1ミリのスライスジャガイモを、水洗い、湯洗い、油揚げしたら、残っている栄養
 素はどれくらいあるだろうか。
  こんなポテトチップスでも、食品成分表のミネラル値は、あまり低くはない。
  そこで、栄養士が頼りにしている食品成分表の値が、どれほど正しく、栄養の実態
 を反映しているのかを確かめてみた。
  大手二社の「うす塩昧」を混ぜて実測すると、マグネシウムは食品成分表の値より
 39%少なく、マンガンは48%少なかった。
  マグネシウムは、水に溶けやすいため、現代食品では、抜け落ちて最も不足するミ

 ネラルの一つである。これが不足すると、動悸、不整脈、神経過敏、抑うつなどの症
 状が出るが、それが39%も少なくなっていたのである。
  また鉄、亜鉛、カルシウムも少なかったが、これは誤差の範躊に入るだろう。
  銅は、43%も多かった。これは、食品工場で使われる錫メッキした銅製器具の
 メッキがはげて、そこから銅が溶け出しているのでは、と推測している。
  こんなに中身のないポテトチップスを食べても太るだけ。いいことはほとんどない。
  ミネラルの多い青のりを入れた商品を選んでも、一袋食べて0.1gほどしか青の
 りを摂れないので、気休めにすぎない。


 珍味

 ●魚介類は危ないので、木の実や海苔を

  乾き物の酒の肴「珍味」には、危険がたくさん潜んでいる。
 少し前なら、「焼めざし」がいいと言うところだが、イワシが獲れた海域を書いて
 いないので、原発事故後は怖くて手を出せなくなった。
  スルメやタコの足には、放射性セシウムが蓄積されないので、放射能の心配はない。
 だが、ミネラルを奪うリン酸塩と、腸内細菌をかく乱する合成保存料を用いた商品が
 ほとんどである。
  イカの身をやわらかくするために、たくさんの針で穴を開け、そこにリン酸塩を入
 れて保水効果を持たせ、やわらかさを保っているが、水分を多く含むので腐りやすい。
  そのため、合成保存料を入れているのだ。
  リン酸塩でミネラルを奪われると、消化酵素やアルコール分解酵素を作る能力が低
 くなる。その上、合成保存料で腸内細菌の働きが悪くなるから、胃もたれ、胸やけ、
 吐きけ、悪酔いの原因になる。
  魚介類の乾き物は、消費者がやわらかいものばかり好んで食べるようになったこと
 から、危険や不安が発生している部分もある。
  発想を変えて、少し硬いが、本の実、ピーナッツ、海苔巻せんべい、ゴマや豆人り
 せんべいなどを、酒の肴にしよう。
  人間の祖先は、もともと本の上で暮らしていたから、人間の遺伝子は、本の実と相
 性がいい。アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカデミアナッツ、クルミな
 どを酒の肴にすると、ミネラルが豊富だから肝臓が正常に働き、悪酔いしない。
  これらは、脂質が多いので、太りそうに思えるが、満腹感が出てきて、多くは食べ
 られないので、実際はミネラル不足の食品よりも太りにくい。
  本の実による満腹感を利用すれば、お酒を飲みながら健康的に痩せることが可能だ。
 他にピーナッツもいい。だが、原材料に植物油が使用されていると純粋油だから摂る
 意味がない。植物油を使っていないピーナッツを選ぼう。
  海苔巻せんべいもいいが、海苔だけをつまみにすれば、太らないですむ。
  また、豆やゴマも、ミネラルが豊富なので、つまみにはいい。
  レベルは下がるが、手軽な「海苔ピー」は、つまみでは良い方だ。海苔とピーナッ
 ツは、ミネラルが多い。あられに豆の粒が入ったものなら、なおいい。



 チョコレート

 
 ●ミネラル豊富な菓子の切り札

  甘い菓子を食べるなら、ミネラルの豊富なチョコレートがいい。
  現代食のミネラルを実測し、厚生労働省の食事摂取基準と比較して、リスクを計算
 すると、日本人の九割は心身が害されていないとおかしい。それほど食事によるミネ
 ラルの摂取量が少ないのである。
  ところが実際には、そんなに病気の人は多くない。その理由は、間食でミネラルを
 摂取しているからである。
  子どもは、食品を自由に買って食べられないので、ミネラル不足で心身を害する確
 率は、大人より高くなりそうだが、菓子でミネラルを補給しているのである。
  子どもの場合は、お菓子にチョコレートを食べるかどうかが、心身を害するかどう
 かを大きく左右する。チョコレートの主原料は、本になったカカオコ豆」なので、ミ
 ネラルは豊富だ。
  ミネラル不足で成績を落としている子には、成績を上げる効果もある。
  食べさせなかったチョコレートを、毎日一枚食べさせると、元気になり、食事の幅
 が広がって、それとともに成績が急上昇した子どももいる。
  チョコレートの消費量が多い国ほど、ノーベル賞の受賞者が多いと、アメリカの医
 学誌に出たので、チョコレートの頭脳への効用を見直す必要があるだろう。
  ただ、色のカラフルなマーブルチョコレートには、合成着色料が含まれているので、
 こういうものは食べない方がいい。
  チョコレート以外の菓子なら、黒いものがいい。
  例えば、飴を食べるなら、黒砂糖入りがいい。表示を見て、黒砂糖を多く含む飴を
 選ぼう。果物の明るい色の飴などは、果汁が入っていたとしても、砂糖、水あめに天
 然系色素で着色し、酸味料で味付けしたものなので、ミネラルはほとんど摂れない。
  焼菓子も、かりんとうや黒柿のように、黒砂糖が主原料のものがいい。
  白い焼き菓子に使われるデンプンは、小麦粉、トウモロコシ粉、ジャガイモ粉を水
 洗いして取り出したものだから、ミネラルが少ない。そこに、白砂糖を入れて焼いた
 菓子では、ミネラル不足になる。
  子どもの菓子を、白砂糖、水あめ、デンプンが主成分のきれいなものだけにすると、
 子どもがイライラし、発達障害を起こしてしまう。幼稚園児や保育園児なら、チョコ
 レートでも黒砂糖でもいいからミネラルを摂るようにし、その後で歯を磨かせるのが
 いい。そうすれば、発達障害にかかる子が減るだろう。


 プリン

 ●添加物をほとんど使っていないカスタードプリンを

  本来のプリンは牛乳、卵、砂糖で作る。ところが、ゼラチンや増粘多糖類と、リン 
 酸塩で固めるプリンが増え、さらに現在は、リン酸塩入りクリームを加えたプリンが
 主流になっている。
 大半のプリンに「リン酸塩」「メタリン酸」「ピロリン酸」「pH調整剤」などと表
 示されているのが、その証拠だ。
  こういうプリンを食べても、ミネラルを摂取できず、大るだけになる。
  しかし、スーパーには、家庭で作る本来のプリンに近い商品が売られている。それ
 は「メイトーのカスタードプリン」だ。
  生乳、卵、砂糖、バニラビーンズなどが原料で、プリンの部分には添加物が入って
 いない。「無添加」だったとき、カラメルソースがプリンに浸透し、苦情が入って、
 カラメルソースに増粘剤を加えたので、「無添加」ではなくなった。
  消費者は、「無添加がいい」と言うが、カラメルがしみ込んだプリンに文句をつけ
 たため「無添加」ではない商品になってしまったのだ。
  だが、家庭で作るのに近いプリンが生き残っているのだから、みんなで応援しよう
 ではないか。


 ロールケーキ


 ●形を維持するためにリン酸塩が使われている
 

  コンビニで大人気のロールケーキ。表示はないのに、リン酸塩が使用されている。
 「ホイップクリーム」に使われたリン酸塩の表示は免除されているので、ここに隠し
 たり、「pH調整剤」という総称にリン酸塩を隠して使用している。
  リン酸塩はクリームの形を維持する作用があるので、ロールケーキのクリームの量
 を消費期限から二日間以上保つことができる。
  名店の手作りロールケーキは、持ち帰る間にクリームの量が少し減る。それは、リ
 ン酸塩を使っていないからだが、その代わり、コンビニのより格段に美味しい。
  精製された植物油脂・砂糖と、リン酸塩入りのホイップクリームを用いたロール
 ケーキを食べると、ミネラルがないため、体内の骨などに蓄積されているミネラルが
 取り出されて、消化液を作るのに使われるから、心身の状態が低下する。


 ケーキ


 ●店の奥で作ったケーキがいい

  デパ地下、エキナカのきれいで美味しいケーキにも、リン酸塩が使われている。工
 場で作り、運んでくる輸送時間と、その間に揺られるハンデがある。それにもかかわ
 らず、ホイップクリームが見事に角だったままなのが、リン酸塩を使った証拠だ。
  ただ、材料はいいから味は美味しいし、生クリームにレシチンが入っているので、
 そこは良い点といえる。
  店舗を構えるケーキ・チェーン店は、価格が安いので、コスト面から精製した植物
 油脂を多用している。これだとレシチンもミネラルも少なく、体への負担が大きい。
  店舗の奥で作ったケーキを売っている、良い材料を使った美味しい店を探そう。リ
 ン酸塩を使用していないからミネラルを奪われず、レシチンを摂れるからお肌がきれ
 いになる。価格は高くても、体にいいケーキなので、元は取れる。

 
 白玉団子


 ●続いている窒息事故死

  2012年2月に東京都あきる野市の認可保育所で、一歳半の男児が白玉を喉に詰
 まらせて死亡した。7月にも栃木県栃木市の市立保育園で、二歳の女児がフルーツポ
 ンチに入った白玉を喉に詰まらせて死亡した。これで、白玉団子の「危険性」がク
 ーズアップされることになった。

  窒息事故で9727人が、2011年度に亡くなっている。交通事故死は7144
 人だから、今は窒息事故の方が多い。
  死亡する人の大半は65歳以上の高齢者だが、子どももモノを喉に詰まらせて死亡
 することがある。こんにゃくゼリーの危険性はよく知られているが、餅やミニトマト
 でも死亡事故が起きている。
  白玉団子の危険性だけが特に高いわけではないが、喉に詰まる可能性があるので、
 幼児と高齢者が食べるときには、小さく切ってあげよう

                 
                             小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.196-206

 
●量子スケールデバイス工学(7)

 

 【量子ドット太陽電池研究Ⅱ】  

今夜は、京セラの量子ドット太陽電池の製造方法の提案を考えてみる。量子ドット粒子は、
ナノサイズの半導体物質で量子閉じ込め効果を示す物質。このような量子ドット粒子は、
励起源から受光しエネルギー励起状態に至ると、自発的に相当するエネルギーギャップで
エネルギーを放出する大変優れた特性をもつ。従って、量子ドット粒子の大きさを調節す
ることでバンドギャップを調節することができ、様々な波長帯のエネルギーを得ることが
できるが、その製法はドライ法が多いが、ウエット法で作る方法。例えば、
量子ドット粒
子を形成する技術としては、これまで半導体薄膜を単原子層レベルで制御することができ
るという点から、MOCVD(metal organic chemical vapour deposition)や分子線エ
ピタキシー(MBE:molecular beam epitaxy)などの成膜法が試みられているが、この
ような物理的成膜法により得られた量子ドット粒子は、格子不整合やそれによる組成の不
均一が生じやすいとされている。
そこで、均一な大きさの量子ドットを製造できるという
点から、近年、ゾル-ゲル法などの化学的湿式法が提案されている。 ところが、ゾル-
ゲル法などの化学的湿式法で得られた量子ドット粒子は、合成後の熱処理では量子ドット
粒子の表面から内部にかけて酸素の濃度勾配が生じやすいことから、量子ドット粒子の表
面領域におけるバンドギャップの制御が困難
という問題があったが、表面領域のバンドギ
ャップを制御しやすい量子ドット粒子とその製造方法とそれを適用した太陽電池をについ
て提案するものである。

そこで上図2は、製造方法を示す模式図。この実施形態で量子ドット粒子を製造する場合、
まず、図(a)に示すように、殻状のタンパク質分子(図中Pxと表記)を含む水溶液を
調製し、この水溶液中に金属元素(図2中Mと表記)と過酸化水素(図中Hと表記)
を溶解させて前駆体溶液を調製する。ここで、殻状のタンパク質分子としてはフェリチン
を用いる。金属元素に、種々の金属元素を用いることが可能であるが、特には、周期表の
12族元素、13族元素、14族元素、15族元素および16族元素から選択され、少な
くとも1種の元素を主成分とする→この前駆体溶液から、殻状のタンパク質分子(フェリ
チン)の内壁に金属元素と酸素との化合物を析出させて殻状の前駆体21を調製(この場
合、タンパク質分子の殻の内壁に水溶液中から金属元素を析出できるのは、タンパク質分
子が電子を供給する機能を利用する)→タンパク質分子の内壁で水溶液中に溶解した金属
元素とタンパク質分子からの電子とが結合→水溶液中に溶解した金属元素が還元→金属元
素をタンパク質分子の表面(内壁)に析出させる。
 
ここで、タンパク質分子を含む水溶液中に金属元素とともに過酸化水素(H)を溶
解させてい
るため金属元素が還元されて析出する際に、過酸化水素からの酸素と金属元素
とが結合して殻
状のタンパク質分子の内壁に金属酸化物23を形成することができるのだ。
こうして、金属元素が
タンパク質分子の表面に析出する際に同時に酸素を取り込み、酸素
は金属の析出と同時に化合
する。金属酸化物がタンパク質分子の内壁に膜状に堆積してい
く際にも、酸素は析出する金属に
対応する量だけが逐次化合し、その結果、タンパク質分
子の内壁に形成される金属酸化物23は
厚み方向に酸素の濃度変化の少ないものとなると
いう


次に、図(b)に示すように、殻状の前駆体21を、金属元素を含み、過酸化水素を含ま
ない水溶液
中に移し、タンパク質分子の殻の中で金属の析出反応を進行させる。こうして
タンパク質分子の殻
の内部に、中空体の形で形成された金属酸化物の前駆体のその内側に
金属元素を主成分とする
球状の半導体粒子25が形成する(図(c))。この場合、過酸
化水素が水溶液中に含まれないため、
金属酸化物23からなる中空体の内側に析出する半
導体粒子25は、酸素をほとんど含まないものとなる
。 こうしてコア部3が半導体粒子
25でありシェル部5が金属酸化物23からなり、シェル部5の
厚み方向に、コア部3と
の境界からシェル部5の表面までの酸素の濃度勾配が10%以下の量子ドット粒子を得るこ
とができるという。

 

 



【夢を自由にコントロールできるツール?!】

脳波と眼球の動きのトレースで、夢がコントロールできまた、目覚まし機能も付いている
音とLED点灯で夢を知らせてくれるヘッドバンドなツールだ。誰か買ってみてモニター結果
を知らせてくれないだろうか? それにしても面白い時代で、技術がすべてでないにしろ
おそろしい程、話題に事欠くことがない今日この頃だ。
 

 

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肥満からの大脱走

2014年02月08日 | 医療健康術

 






【肥満をかなり真剣に考えている】

肥満が気になり始めたのはいつごろだろうと考えてみた。気になったきっかけは、知人の
初盆の時に奥さんから「肥えられたのね」と言われた三年前で、それまでも気にはなって
いたが、還暦に入ってデスクワーク中心になり高齢化にともなう体調の緩慢な異常体験か
らだが、特に慢性的な食品アレルギー症状が悪くなったことによる。一般的には肥満リス
クは次のようなものだ。ひょっとして、放射能汚染の影響が関係しているのだろうかと思
うがどうしょうもないと諦める。

1)心臓への負担:肥満になり体が大きくなると、毛細血管もその分長く伸びると心臓は、
今までより遠くへ血液を送らなければならなくなり、心臓に負担がかかりる。 肥満の場合、
心臓病の死亡率は普通体重の人の1.5倍の割合で高くなっている。
2)膝・腰への負担: 歩くとき、膝には体重の2~3倍の荷重がかかります。肥満は、変
形性膝関節症の原因となるなど、膝や腰への負担を大きくする。
3)睡眠時無呼吸症候群:睡眠時無呼吸症候群の原因の1つとして、首周りに脂肪がついて
気道が狭くなっていることが挙げられている。
4)生活習慣病:高血糖、高血圧、高脂血症などさまざまな生活習慣病を引き起こした状態、
「メタボリックシンドローム」の原因となる。
5)婦人科の疾患:肥満は卵巣機能の異常を引き起こし、その結果月経異常や月経不順、不
妊、子宮ガンや卵巣ガンにかかりやすくなり、肥満の人は閉経後も女性ホルモンの濃度が
あまり下がらないため、乳がんの原因になる。


実は、肥満度は25弱とギリギリで、危険水位に違いないのだが、フィットネスクラブの
鏡で己のが姿をみるにつけ、みっともないと反省し、せめて肥満度20に減らさないと唇
を噛む。それでと、肥満の2大原因は、食べすぎと運動不足だが、まず自分の食生活を見
直し、肥満につながることを避けるのが一番というわけで、一般的には次のようなことが
推奨されている。

1) 90歳、100歳といった長生きの人は、肥満や生活習慣病が少ないという特徴がみられ、
健康長寿の秘訣は、「腹八分目」や「粗食」をモットーにしていることが少なくない粗食
といっても、和食をベースに、魚、野菜、海藻類など多くの品目をバランスよく食べるが、
ただし、量はけっして多くない。つまり、腹八分目を心がけ、動物性脂肪が少ない和食を
上手にとり入れることが大切だという。
2) 野菜や豆類、キノコ類、海藻類などは、低カロリーでしかも食物繊維が多くて腹持ち
するので、内臓脂肪を増やさない最適の食品。また食物繊維には、脂質や糖質の吸収をさ
またげる機能をもち積極的にとり入れる。
3) 早食いをすると、満腹感を感じる前にたくさん食べてしまい、血糖値を急上昇させたり、
余分な脂肪分の蓄積を増やすため、ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べる食べる量を無
理なく減らすことができる。
4) 夜たくさん食べると、体内時計に関係するタンパク質(BMAL1)の働きで、脂肪細胞だ
けでなく、そのほかの細胞にまで脂質が蓄積されやすいから控える。
5) アルコールには栄養は少ないが、カロリーは少なくない。またアルコールを飲むと、お
つまみに揚げ物や炒め物など高カロリーのものを食べたくなるので、カロリー過多になる
原因。アルコールの量は、1日当たりビール大瓶1本、日本酒1合、ワイン2杯程度と飲
酒を控える。


脂肪を効率よく燃焼させる方法は、ウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、軽めのジ
ョギング、エアロバイク(固定式の自転車こぎ)などの有酸素運動だというので、いまの
フィットネスクラブのメニューを励行することでこの件は片付く。米国で開発されたサー
キット・トレーニングでは、有酸素運動と筋肉運動を30秒ごとにくり返し、これを10分間
続けるという方法もあるというし、たとえば腹筋を30秒、ウォーキングを30秒、腕立て伏
せを30秒、またウォーキングを30秒といったやり方もあるが、右上肢が具合いが悪ので腹
筋運動をルームランニングに組み込み、その後サウナに入ることにメニュー変更すること
にする。さあ、今夜から映画『大脱走』よろしく、肥満からの“大脱走計画”と気取って
みようか。


 

 

   

【フード・ファントム・メナス(17)】 

 お酒

 ●ミネラルを奪う「合成清酒」

  合成清酒は安いので、飲むだけでなく、料理酒としても使う人がいる。
  しかし、この酒は、まず表示に問題がある。優れた酒である「銘酒」と表示されて
 いるのだ。目立つところに「銘酒」と書かれ、背景に溶け込むような色で「ごうせい
 せいしゅ」と、ひらがなで書かれた酒もある。
  財務省は、税金を取ることには熱心だが、劣った安酒でも、もしかしたらいい酒か
 も、と期待させて買わせるようにすることを認めているのだ。
 「合成清酒」は、醸造用アルコールに、清酒、糖類、酸味料、アミノ酸などを加えて、
 清酒のような風味にした酒だ。米の使用割合が重量で五%を超えてはいけないので、
 うま味が少ない。そのため、糖類と添加物で日本酒に似せた味をつけている。
  合成清酒は、「酸味料」に、リン酸塩を用いるのが普通だ。リン酸塩の使用目的は、
 風味の向上と、変色の防止である。
  合成清酒を飲む人のつまみや食事は、ミネラルが少ないことが多い。現代の食品は
 ミネラル不足になりがちだが、価格の安い食品は、リン酸塩と水やデンプンで増量さ
 れ、ミネラルがさらに少ないのだ。少ないミネラルが、合成清酒のリン酸塩と結合し
 て体を素通りしてしまうので、ミネラル不足はもっと深刻になる。
  合成清酒は、化学調味料の薄っぺらなうま味に加えて、ミネラル不足を深刻化させ
 る働きがあるから、飲んでも心と体にいいことはない。悪酔いの原因になることもあ
 る料理酒として使っても、ミネラル不足を深刻化させることには変わらない。
  1リットル当たりの酒税額は、清酒が120円で、合成清酒は100円だ。このよ
 うな差をつけるのはやめて、120円に統一し、国民の心身を守るべきだろう。
  リン酸塩を含まず、びっくりするほど美味しい酒を飲めば、気分が良くなる。
  本当に美味い日本酒を飲むには、美味い酒を集めることに精力を尽くしているプロ
 の酒屋のホームページを見て、宅配便で取り寄せて飲むのがいい。呑兵衛の男性なら
 純米酒専門の「池田屋酒店」、女性にもウケる酒なら「はせがわ酒店」がおすすめだ。
  私は、この二つの酒屋から事務所に日本酒を取り寄せ、お客さんから大好評を推し
 ている。


 ビール

 ●レスチン不足を捕えるいい飲み物

 「とりあえずビール」と最近の若者は言わなくなった。これが若者の心身を一層弱く
 している一因ではないだろうか。
  ビールは、麦芽の煮汁にホップを混ぜて発酵させて飲む飲料だ。麦芽にはレシチン
 が含まれているので、煮汁にレシチンが溶け出しているのだ。
  発酵するときにレシチンが分解されていても、レシチンを合成するのに必要な材料
 がビールに残っているから、つまみに、ミネラルの多いものを食べれば、人体のレシ
 チンが不足している箇所で、材料をうまく使ってレシチンを合成することができる。
  だから、ビールは、レシチン不足を補えるいい飲み物なのだ。
  中でも「麦芽100%+ホップ」のビールと「麦芽、ホップ、大麦」が原料の「発
 泡酒」がいい。それ以外しか選べないときは、「糖類」や「スターチ」を使っていな
 いビールやビール風飲料がいい。

 コ-ヒー

 ●コーヒー豆からシロアリ駆除剤が検出された

  コーヒー豆輸入量の1、2位はブラジルとコロンビアで、3、4位はベトナムとイ
 ンドネシアだが、まろやかな酸味のモカも人気が高かった。
  ところが、モカのコーヒ大豆から、残留性の高い殺虫剤であるBHCやクロルデン
 が検出され、輸入量が激減して、ほとんど飲むことができなくなっている。
  2009年のモカ生豆輸入量は、2007年の4%しかなかったからで、モカを楽
 しむことができないと、嘆いているコーヒー好きは多い。
  コーヒー豆から農薬が検出されたことは、過去にもある。1993年に、国立医薬
 品食品衛生研究所が、ペルー産のコーヒ大兄からクロルピリホスという殺虫剤を0.19
 ppm
検出したのだ。
  これは高い値だったので、私たちが、横浜国立大学・環境科学研究センターに依頼
 して21種類のコーヒ大兄を検査すると、タンザニア産キリマンジャロから0.01ppm
 のクロルピリホスが検出された。
  だが、その他の豆からは検出されなかったので、検出された殺虫剤は、収穫後に用
 いたポストハーベスト農薬ではない。ポストハーベスト農薬なら、もう少し高い値が
 いくつものコーヒ大豆から同時に検出されるからである。
  その後のさまざまな情報から、シロアリ駆除剤として倉庫に使用されたクロルピリ
 ホスが、コーヒ大豆を汚染したと、私は推定している。




 ●コーヒーから農薬が検出されることは極めて少ない

  貧しい農家が小規模で栽培したコーヒーは、栽培中に農薬を使用していないプラン
 テー
ション農園では農薬を使うが、種類や量が管理されている。
  コーヒーを収穫するとき、サクランボのような色と大きさの実を採る。その実を取
 り除き、中にある豆を取り出して乾燥し、輸出するので、栽培中に農薬を使用してい
 ても、実を取り除くときに農薬は取り除かれてしまう。
  そのため、日本でコーヒーから検出される薬剤は、現地の倉庫で殺虫に用いられる
 燃蒸剤に限られていた。
  日本に着いて害虫が発見されたコーヒーも燃蒸されるが、燃蒸剤は変化して毒では
 ない物質に変化するので、風味は少し落ちてもコーヒーに安全性の心配はない。
  輸入時点で、有機栽培コーヒーに虫が見つかると、燃蒸される。この時点で「有
 機」ではなくなるから、「無農薬栽培」コーヒーという名称になる。無農薬で栽培し
 ているから、この表示で法的に問題はないそうだ。
  こういう状況だったのだが、2008年から突如として、エチオピア産のモカから
 有機塩素系殺虫剤が次々と検出されるようになったのだ。
  コーヒーの生豆を輸入している石光商事の研究開発室で残留農薬の検査をしている
 石脇智広室長は、2004年に発効したストックホルム条約によって、先進国では使
 用できなくなった残留性の高い農薬が、東アフリカ各国に引き取られ、安い農薬とし
 て市場に出回り、それが検出されたとしている。
  具体的な使用方法は、現地の関係者が口をつぐんだままなので、よくわかっていな
 いが、コーヒーの生豆を入れる麻袋が高濃度のクロルピリホスで汚染されていたので、
 袋からコーヒ大兄に移染したという。
  私は、袋に入れたコーヒー生豆を倉庫の中に積んでいるとき、その上から有機塩素
 系農薬をかけたのが、最初の原因だったと推定する。
  コーヒー倉庫を所有する業者は、コーヒ生豆を食べる害虫を殺したり、取り除いた
 
りするのも重要な仕事である。
 「安全だ」と言われて、安く手に入れた殺虫剤を、貯蔵倉庫の中に積み上げられてい
 るコーヒーの袋の上から散布するのは、第三世界なら、あっても不思議ではない。
  先進国の化学会社が、禁止になった有機塩素系農薬の処理費用を節約して第三世界
 に「捨てた」のが、問題の発端だ。
  その農薬が?コーヒー生豆に残留していたのを、世界一厳しい日本の検査体制が引っ
 かけて、残留農薬基準違反にしたので、モカの輸入量が激減したわけだ。
  モカを飲むのが難しくなったのは残念だが、日本の検査体制が、国際的大企業の横
 暴から国民を守った事例なので、仕方ないと思うしかない。


 純水


 ●純水
ではミネラルを摂れない


 「純水」といえば、かつては「蒸留水」のことだった。それが現在は、「逆浸透(R
 O)膜」を用いて製造したものが主流になっている。
  RO膜で仕切った水槽に、海水と真水を入れると、真水だけが海水の側に抜けてい
 く。ところが、この海水に五五気圧以上の圧力をかけると、海水がろ過されて「純水
 」
が出てくるので、これを利用した純水製造装置が、海水の淡水化プラントから、工
 場や家庭にも広がってきた。

  そして、それが健康に問題を起こすようになっている。人間は一日に1.5~2㍑ の
 水を飲む。水からもミネラルを摂取してきたが、純水にはミネラルが含まれないか
 だ。食事から摂るミネラルは、心身を病むほど少なくなっているので、家庭で純水

 造装置を買い、水からもミネラルを摂れなくなると、さらに心身を害することにな
る。

 ●高血圧・歯槽膿漏・視力減退、頭の働きが鈍り、舌がもつれる

  Iさんは、六九歳のとき、純水製造装置を購入した。すると、20年ぶりに咳が出
 始めた。それから血圧が上がり、歯も悪くなって歯槽膿漏になった。視力も急激に衰
 えて、車を駐車場でぶつけるようになり、頭もすっきりしなくなって、話すと舌がも
 つれるようになった。
  思い当たるのは、純水製造装置を設置したことだったので、装置の使用をやめてみ
 た。その後、私の『食べなきゃ、危険!』を読んで、ミネラル補給を始めた。そのと
 きは72歳になっていたが、すべての悪い症状が消え去って、体は元気になり、頭も
 すっきりして、思考力が回復した。やはり、症状の原因はミネラル不足だったのだ。
  Iさんの友人も、純水製造装置を設置したら同じような状態になったので、使用を
 やめてミネラル補給をすると、同様に心身が元のように回復した。
  純水は、工業に用いるもので、人間が飲むのにはふさわしくない水である。

  ところが、純水製造機器メーカーの宣伝は、こんな宣伝を行っている。
 「不純物を含まない水は体にやさしく、素材の味、栄養を充分に引き出せます」 
 「赤ちゃんのミルクや離乳食を作るときに使うと栄養成分を損ないません」
  このような宣伝を信じて、純水製造装置を購入すると、心身を損ねて、人生を棒に
 振りかねない。
  純水製造装置を買ってしまった人は、飲まずに、他のことに使用すればよい。例え
 ば、ワイングラスを洗ったとき、すすぎを純水で行えば白い斑点が残らない。また加
 湿器、メガネ・コンタクトレンズの洗浄にも純水は適している。
  浄水器は、RO膜を使っていない機種で、活性炭と中空糸膜を用いて、塩素と有害
 物質は除去するが、ミネラルを取り除かないタイプのものをおすすめする。

 
 ●純水を使った飲料が多くなっている

 
  かつてミネラルウォーターは、ほぼすべてが天然木だった。

  ところが今は、純水を用いた清涼飲料やビールがでてきて、コンビニでは防災用の
 純水がペットボトルで売られるようになっている。
  スーパーに設置された無料の持ち帰り用の水にも、純水が多い。「RO」とか「逆
 浸透膜」と書かれていれば、その水は純水だ。「純氷りんご」「純水ぶどう」「純水
 みかん」「純水すっきりりんご」は文字どおり統
  水を用いている。「キリンレモン」も純水使用だ。
 「桃の天然水」のように「天然水」をうたっている飲料を飲もう。
  また、お茶にも、純水が用いられている。伊藤園の「お~いお茶」も、キリンの「
 生茶」も、サントリー「伊右衛門」も純水使用だ。したがって、市販の緑茶飲料は、
 家で庵れるお茶よりミネラルが少なくなっている。
 「ビタミンウォーター」は、統水、糖類、食品添加物だけが原料で、リン酸カリウム
 が添加されているので、ミネラルはまったくといっていいほど摂れない。
  ビール系飲料では、キリンはすべて統水だ。サントリーとサッポロは「天然水」。
   アサヒは明確に答えなかったが、純水も使用しているようだ。
  缶チューハイでは、サントリー「カロリ。」、アサヒ「ハイリキ」が純水。タカラ
 「canチューハイ」、キリン「氷結」は天然水。サントリー「白角水割」、カルピ
 ス「カルピスサワー」も天然水を用いている。メーカーと商品に、天然水と統水の統
 一性はない。

                    小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.166-184

 

 

佐村河内守の作曲詐称が話題となっている。ファンを裏切る行為や多くの人達を結果とし
て、やらせ番組制作・偽装演奏に荷担させてしまったことを考えれば(最初から共同作品
にしておけば、良かったのに)、倫理上許されないと感じるひともいるだろが、聞き手(
消費者)にとって誰が作曲しようとも消費者にとってその作品に価値が有ればそれ以外の
ことは、四の五のこと。もっとも、“聴覚障害”に価値があるというのならそれは、道理
には違いないが(放送・報道の交換価値)、自分には関係ないことだ。

   HIROSIMA 第3楽章

 

 

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未来共有への合意形成

2014年02月07日 | 極東アジア経済構想

 

 








【国家の条件:未来共有と合意形成】


NHK会長に就任した籾井勝人の「(慰安婦は)戦争地域にはどこでもあった」「政府が
右ということを左というわけにはいかない」などと就任会見で発言し話題となっている。
かって、西部邁が保守論客に転向した、南京事件など一連の発言をそのまま踏襲した内容
で陳腐なもので、国家の現状維持ないしはより硬直反動に寄与するだけのもの。国家観に
ついては、このブログで掲載してきたが、この発言の背景を反復学習するために、12年
前に出版された吉本隆明著の『私の「戦争論」』を思い出してみた。この本の内容が「
戦争とは何なのだろう?国家と個人とはどちらが重い?「思想界の巨人」が素朴な疑問の
一つ一つに、ていねいに答えるように解り易い言葉で語った「戦争論」の決定版!自己の
戦争体験を冷静に語り、今日もなお繰り返される旧来の保守派と進歩派の不毛な論議を根
本からくつがえす。「戦争自体がダメだ」「エゴイズムは肯定されるべき」等々、ラジカ
ルかつ、明解な論理が展開される」と紹介されているが(紀伊国屋書店)、要約抽出する
と次のようになっている。

(1)第一章 小林よしのり『戦争論』を批判する:日本が「侵略」したことは否めない
/威張る軍人を見て、ホトホト嫌になった/他国の領土内で行う戦闘行為は「侵略」であ
る/戦争中は左翼も「戦争大肯定」だった/ウソから出発した共産党をはじめとする戦後
左翼/ウソではない「戦争の本当のくぐり抜け方」/「生き神様信仰」を見抜けない小林
よしのりの盲点/個人のほうが国家や公よりも大きい/「生き神様信仰」によって変形し
た日本の個人主義/エゴイズムは基本的に肯定されてよい/「自分を棚上げ」にする戦後
民主主義の欺瞞/日本の民主主義はいまだに付け焼刃である/小林よしのりには「新しい
事態」を見抜く視点がない

※明治から戦中にかけての国家体制を知るには、現在の北朝鮮をみれば理解しやすい(生
き仏様信仰)。

(2)第二章 「新しい歴史教科書をつくる会」を批判する:教科書をつくり直せば健全
な子供が育つというのは大間違いだ/
「東京裁判」は不公平なインチキ裁判である/GH
Qを見て、「鬼畜米英」もヘチマもなくなった/
敗戦のせいで日本人が無為無気力になっ
たというのはウソだ/
「廃藩置県」に武士たちの美しき自己犠牲を見るのは間違いだ/
本に謝罪を要求する中国も「侵略国家」にほかならない/
日本政府は元従軍慰安婦たちに
謝罪し、賠償すべきだ/
謝罪し、賠償することは逆に「国家としての名誉」になる/強制
連行の有無を問う議論の仕方は誤りだ/
南京大虐殺」における犠牲者の数は本質的な問
ではない
湾岸戦争で戦費だけ負担したのは「日本の分相応」である/司馬遼太郎の小
説に「本当の歴史」は描かれていない

(3)第三章 保守派の「思想」を批判する:西尾幹二のニーチェ読解にフーコーの凄み
はない/
「ドイツとナチスは別だ」というヴァイツゼッカーの論法は通用しない/「保守
主義とは感覚である」という江藤淳への批判点/
吉田茂が「悪い」のは”なしくずし”の
元凶だからだ/
イデオロギー不信を表明する司馬遼太郎は日本的である/保守主義の間違
いは現状を固定的に考えるところだ/
江藤淳が保守主義者に転じたきっかけとは?/西部
邁には“歴史は変化するものだ”という視点がない
国民国家を普遍的なもののように見
なす石原慎太郎の間違い/
石原慎太郎はアジアでブロック経済が成り立つと錯覚している
なぜ、石原慎太郎は都知事選で圧勝したか?”ゴミ処理”の手腕で決まる都知事の評価
「命にかけても」という福田和也の口先だけの力み/三島由紀夫の「切腹」に見る「知
行合一」の考え方を批判する

(4)第四章 私は「戦争」をこう体験した:開戦は解放感をもたらしてくれた/米沢高
等工業学校で遭遇した「嫌なこと」/
戦争中、世の中は明るく、気分は高揚していた/
争中は小林秀雄や保田輿重郎などにイカれていた/
天皇の「終戦の詔勅」を聞いて泣いた

(5)第五章 人類は「戦争」を克服できるか:「戦争自体がダメだ」という究極の戦争
観/
国家間の戦争は夫婦喧嘩とは違う/自衛隊を自警団的なものにすれば戦争をなくす方
向に近づく
日米安保条約の存続は国民の審判を仰ぐべきだ/社共とは画然と違う”独立
左翼”の「闘争の論理」/
「安保反対」をお題目のように唱えるだけでは意味がない/
核兵器が戦争の抑止力になる」というのは詭弁だ/
「北朝鮮の脅威」はタカ派たちの口実
にすぎない/
戦争を回避する道は一つだけあった/なぜ、「国家は解体すべき」なのか?
EU(欧州連合)に国民国家解体の兆しは出ている/歴史をさかのぼれば、違う「日本国」
や「日本人」が見えてくる/
過去を探求することは未来に通じる

※ここで問題となるのは中国政治体制の動向。米国の覇権主義(遅れてきた帝国主義?)
を踏襲するリスク(膨張すると内部崩壊する)。

以上、現実の局面では吉本の言う理想論とは異なる対応を余儀なくされる可能性は残るも
のの、現在起きている諸問題に対応するには「固定的国家観」を破棄し、関係国民が「未
来共有」できる「国家像」をみせ、関係国で合意形成を図ることが大切だと考える。

●併せて、アベノミクスの第三矢の成功のヒントはこの本に埋め込まれているぞ! 

 1999.09

 

 

   

【フード・ファントム・メナス(17)】 


 牛乳

 ●妊娠は北海道産を飲んでください 

  福島第一原発の事故直後は、福島県はもちろん、南は関東、北は岩手県まで、牛乳

 から高いレベルの放射能が検出されていた。
  2012年に入ると、放射能はほとんど検出されなくなったが、厚生労働省の検査
 結果を見ると、まれにだが1㎏当たり5ベクレル程度の放射性セシウムが検出される
 ので、油断はできない。だが、全体としては安全なレベルになっている。
  エサがほとんど輸入物なので、今後も牛乳の放射能が基準の50ベクレルを超える
 ことは考えられない。それでも、妊婦だけは「北海道産」を飲んでおくのが安心だ。
  問題が残るのは福島県産の牛乳で、トリチウム(三重水素)汚染を否定できない。
  福島県産の牛乳を、2012年6月から学校給食で飲ませている東京都世田谷区や
 府中市は、子どもの安全を軽視しすぎている。
  汚染水の蒸発処理をやめ、爆発した原発がシェルターで覆われるまでトリチウムは
 出続ける。消えてなくなるのは120年後だ。


 粉ミルク

 ●放射能の心配はなくなっている

  赤ちゃん用粉ミルクの原料乳をメーカーに聞いてみると「明治」「森永」「和光堂」
 「アイクレオ」「雪印メグミルク」は、北海道産か外国産の牛乳だけを使用していた。
 これらのメーカーの粉ミルクは、放射能は心配ない。
 「ビーンスターク」は、乳成分のごく一部に関東産の牛乳を使用していた。とはいえ、
 量が少ないから、この粉ミルクを赤ちゃんに飲ませていた方も心配ない。それに今は、
 関東産の牛乳もほぼ不検出になったから、放射能の心配はなくなっている。
  今は粉ミルクを溶く水や、赤ちゃんが飲む水の質を重視するのがいい。
  硝酸態窒素が、畜産廃棄物から流れ出て飲用水を汚染しているからだ。野菜中にも
 含まれる物質だが、離乳するまでの乳児は、硝酸態窒素に弱く、過去には外国で多数
 の赤ちゃんが亡くなったケースもある。活性炭とイオン交換樹脂を用いて、有害化学
 物質と硝酸態窒素を取り除ける浄水器「ラピュール」を用いるか、軟水のミネラル

 ウォーターを利用するのがいい。純水(RO水)製造装置は使わないでいただきたい。
 「やさしい赤ちゃんの水」や「ベビーのじかん赤ちゃんの純水」は、放射能だけでな
 く、ミネラルも一切含まないので、赤ちゃんの成長に悪影響が出る恐れがある。

                            -中略-

 アイスクリーム

 ●ミネラルを強化して食べている

  乳成分の多い高級アイスは、北海道産か輸入の乳製品を使用し、100円アイスは、
 輸入乳製品と、北海道産が主体の脱脂粉乳と、植物性脂肪を用いて製造している。だ
 から、最初から放射能のリスクはなかった。
  高級アイスと100円アイスとでは、本物のクリームを使っているか、植物油脂を
 使っているかの差が大きい。
  本物のクリームには皮膚や神経に必要なレシチンが含まれているが、植物油脂は精
 製されているのでレシチンが含まれていない。
  そこで、100円アイスを食べるときは、ミネラルを加えてレシチンを体内合成し
 やすいようにするのがいい。
  バニラアイスにはアーモンド、チョコアイスにはコーヒーやココア、イチゴアイス
 にはイチゴジャム、ヨーグルトアイスにはブルーベリージャム、マロンアイスにはマ
 ロンジャムを加える、というように味を強化して美味しくすれば、ミネラルも強化で
 きる。

                             -中略-


 バター

 ●エキストラバージン・オリーブ油で代用するのがおすすめ

  生乳からクリームを分離し、クリームを攪拌して脂肪球を凝集させ、バター粒にし
 て液体のバターミルクを取り除く。それから、バター粒を水で洗って塩を加えたもの
 をバターという。
  生乳にあったレシチンはクリームに集まり、そこからバターミルクに集まる。バ
 ター粒に少し残ったレシチンは、水洗いしたときに流れてしまう。バターの欠点はレ
 シチンがほとんど含まれていないことであり、これはマーガリンも同じだ。
  バターは、風味が豊かで満足感もあるので、食パンに塗るなら量が少なくてすみ、
 ムダな油を摂らなくてすむ。
  しかし、多くの人は、レシチンが不足している。レシチン不足を解消するには、朝
 食にパンを食べている人が、バターやマーガリンを付けるのをやめて、少し価格の高
 い生産者名がわかるようなエキストラバージン・オリーブ油に塩をふり、そこにパン
 を付けて食べればいい。
  これは、健康な人が世界でトップクラスに多いイタリアで、普通に行われているこ
 とだ。


 マーガリン

 ●トランス脂肪酸の問題はなくなったが

  10年ほど前まで、動脈硬化を起こしやすい飽和脂肪酸の多いバターより、植物性
 脂肪の不飽和脂肪酸の多いマーガリンが、健康にいいといわれていた。
  しかし、心臓に障害を起こすトランス脂肪酸がマーガリンに多い、とわかってきた。
 常温で液体の油を、水素添加して固体にするため、トランス脂肪酸が多く含まれてい
 たのである。
 「食品と暮らしの安全基金」が2005年に行ったトランス脂肪酸検査では、小岩井
 マーガリンだけがバターより低い値で、他社のマーガリンは高い値だった。ショック
 を受けた他社は、すぐにトランス脂肪酸を減らし始め、それから間もなく、常温で固
 体のパーム油を主成分として使ったマーガリンが主流になった。
  これで、日本のマーガリンはトランス脂肪酸の問題がほとんどなくなったのだが、
 パーム油の主成分は飽和脂肪酸なので、健康にいいという根拠もなくなった。

                  小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.186-194

 

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水の惑星の理由

2014年02月06日 | 環境工学システム論

 

 

   蛇紋石

 

【水の惑星の理由】

これまで、地球表面の水は、鉱物の構成物の一つとして地球深部に運ばれるが、深部は高
温高圧のため、鉱物が分解されて水分は蒸発してしまい、深さ1250キロを超えると水は存
在しないと考えられていたが、地球の中心核に近い地下2900キロのマントル最深部にも水
が存在する可能性があることが、愛媛大学の西真之研究員らの実験で分かり、地球表面の
水が、鉱物に取り込まれて最深部まで運ばれている可能性があるという。2月3日、イギ
リスの科学雑誌「ネイチャー・ジオサイエンス」電子版で発表された。時事ドットコムな
どが報じた。愛媛大学の研究グループは、超高圧発生装置によって、水を含む鉱物「蛇紋
石」を、深さ1400キロの場所に当たる50万気圧、1000度の状態にすることに成功。鉱物は
分解せず、水は保たれたままの状態だったという。

   マルチアンビル超高圧発生装置/住友重機械工業

西研究員らは、マルチアンビル超高圧実験技術・第一原理計算・放射光実験などを駆使し、
下部マントル深部領域において新しい高圧型含水マグネシウムケイ酸塩(DHMS)を見出し、
Phase Hと名付けた。Phase Hの存在は土屋准教授により予測されていたが、今回の発見は
その理論予測を実証し、マントル深部の水の挙動の新しい知見をもたらすものと期待され
ものだ。Phase Hは1989年に報告されたPhase E以来25年ぶりのDHMSであり、東北大学らの
グループにより報告されているδ-AlOOH相と同じ結晶構造であると考えられている。 
 


● 蛇紋石の脱水分解反応の速度論的研究

日本列島のような島弧-海溝系では、海洋プレート("スラブ")が地球深部へと沈み込んで
いる。沈み込むスラブ中には、海水と反応し含水化した鉱物が含まれており、これにより
地球深部へと水が運搬されている。含水鉱物の中で、カンラン岩が含水化した「蛇紋石」
という鉱物があり、カンラン岩はスラブの大部分を占めるので、この蛇紋石の振る舞いは
非常に重要だとされる。蛇紋石の中のある多形はあの悪名高い「アスベスト」の一種だが、
地球内部に水を運搬しているという点では非常に重要な鉱物だ。このような重要性から、
熱力学を併用した相平衡論的研究が数多く行われ、この相の安定領域やその脱水分解反応
境界が明らかにされてきた。そして、この脱水分解反応により放出された水がマントル鉱
物の融点を下げマグマを生成したり、脱水分解反応に伴い、スラブ内地震が発生している
というアイデアも提唱されてきているが、その脱水分解の反応速度の研究は皆無。この反
応は非常に低温で起こるため、放射光X線その場観察という手法を用いて研究を行なった。

放射光X線その場観察実験は、筑波にある高エネルギー加速器研究機構で行い、高圧発生装
置はMAX80というキュービック型高圧発生装置を用いる。特に今回の実験で重要なのは、反
応速度の計測を非常に短時間で効率よく脱水分解する途中のデータを取るため、脱水した
水の流出を防ぐため、完全に試料をカプセルに封入する必要がある。無水系の実験では貴
金属でできたカプセルが用いられるが、それではX線の吸収には不利で、X線に対して透過
性の優れたダイヤモンドスリーブをカプセルに用いながら、圧力を内部に伝えるために、
上下の蓋は貴金属カプセルとした。このカプセルは含水マグマの構造を求める研究にも用
いられ効果を発揮しているという。

今回得られたX線回折パターンの時系列変化の一例を上図に示す。このデータは5.2 GPa,
650℃の条件で得られた。蛇紋石が脱水していくとともに、輝石とカンラン石が晶出してい
るようすが解り、反応は約40分程度で完了するが、輝石は脱水分解反応の始まりとともに

晶出しするが、カンラン石は少し潜伏期間を経て遅れ晶出する。これは、脱水分解反応で
脱水される「水」は純粋な組成ではなく、かなりの珪酸塩成分を含んでおり、その溶解・
晶出と関係を示唆する。
 

高温高圧下における含水マグマの構造解析 

最近の地震学的観測による研究で、地球の浅い部分だけでなく深い部分、例えば地下410km
付近にもマグマ(珪酸塩液体)が存在していると示唆され、物理化学的特性の解明は地球内
部科学の分野においても大きな関心事の一つ。
高圧条件下において鉱物が融解するには何
らかの融点降下の役目を果たす物質が必要で、最も有力な候補として水が挙げられる。水
の働きによって鉱物の融点が下げられれば、一般的に考えられている地球内部の温度でも
マグマの発生は十分可能といえる。つまり、地球内部に存在するマグマには水が含まれて
いるということになる。このような高圧力下で生成された含水マグマは、無水条件のもの
と全く異なる物理化学的特性を持ち、例えば含水条件下で生成されるマグマは低圧の領域
ではSiO2成分(酸性成分)に富むことが知られていたが、最近の研究では高圧の領域では逆
にMgOやCaOといった塩基性成分を急激に溶かしこみ始めることが明らかになった。物質の
物理化学的な特性は固体、液体関係なくその構造によって支配され、その構造を読み解く
ことは物質をより理解する上で必要不可欠といえます。ところが、このような高温高圧状
態で生成された含水マグマの構造に関する直接観察実験は、実験技術的な困難さからこれ
まで皆無だった


図1:Mg2SiO4-MgSiO3-H2O18.3重量%(Mg/Si=1.5)液体のX線干渉関数。
     図中の矢印は第一ピークの位置を示す。


この研究では、MgO-SiO2-H2O系の試料で、Mg(OH)2、SiO2粉末を目的の量比で調合し、含
水の試料を準備。実験は茨城県のつくば市にある高エネル ギー加速器研究機構の放射光施
設PF-AR及び兵庫県の大型放射光施設SPring-8で行った。高圧マグマの構造解析には、両施
設で得られる強力な放射光X線を用いてX線回折法を採用しました。含水マグマの高温高圧
X線回折を行うにあたり、この実験では新たに単結晶ダイヤモンドと白金の複合カプセルを
試料の容器として使用。この実験では新たに単結晶ダイヤモンドと白金の複合カプセルを
試料の容器として使用しました。この封入法の開発により、含水マグマを完全に容器中に
閉じ込めつつ試料からの高強度の回折線を得ることが可能となり、より正確な構造データ
を得ることに成功する。


蛇紋石


   

【フード・ファントム・メナス(16)】 

 ミツバチ

 
 ●ハチの大量失踪は、農薬が原因だった

  日本各地でミツバチがいなくなり、受粉不良によって果物に品質低下が起きたり、
 特産のはちみつが採れなくなったりと、深刻な状況になっている。
 「ミツバチがこれだけ足りない事態は初めて」と「日本養蜂はちみつ協会」に加盟
 する養蜂家たちは、□をそろえて言う。
  ミツバチの大量死は、2005年夏に岩手県南部で続発したのが発端といわれる。
  カメムシ対策の殺虫剤が原因と疑われたので、岩手県が死んだミツバチを検査する
 と、ネオニコチノイド系農薬の有効成分クロチアニジンが検出された。そこで県養蜂
 組合は、稲作農家に適切な農薬使用を指導しなかった県やJA全農いわてを相手に訴
 えようとすると、500万円の和解金が支払われて幕が引かれた。
  2008年夏には中部地方で、一度に計160群、約320万匹の大量死が起きた。
 養蜂家がミツバチの死骸を検査機関に持ち込むと、ここでもクロチアニジンが検出さ
 れた。
  ネオニコチノイド系農薬は、昆虫の神経を興奮させたり、神経伝達を遮断する働き
 があるので、濃度が高ければミツバチは死ぬ。
  カメムシ対策にネオニコチノイド系農薬を散布した直後にミツバチの大量死が起き、
 散布された農薬が死んだミツバチに残留していたのだから、因果関係は明白であろう。
  低濃度で高い殺虫能力を持つネオニコチノイド系農薬は、野菜、果樹、穀物、イモ
 類、茶などに使える万能殺虫剤だ。しかも、半年ほど残留して効果を発揮する。
  ネオニコチノイド系農薬の濃度が低いと、ミツバチは死なないが、方向感覚を失っ
 て巣箱に帰ってこられなくなる。これが、全国各地で次々と起きているミツバチ失踪
 の原因だ。
  一度使うとさまざまな昆虫が田畑からいなくなるので、農村での人気は高く、ミツ
 バチがいなくなっても、多くの農家はどこ吹く風、というのが実情だ。
  養蜂家数が全国一の長野県では、農家と養蜂家が話し合う「ミツバチ危被害対策連
 絡会議」を2009年に立ち上げている。


 みりん

 ●本みりんを使おう

  みりんは、煮物を美味しくし、照り焼きの魚を美しくする和食の調味料だ。
  みりんのルーツは、室町時代の甘い「お酒」で、焼酎に、もち米と米麹を仕込んで、
 甘い高級酒として飲まれていた。
 「調味料」になるのは、江戸時代に醤油と出合ってからだ。みりんの糖分と、醤油の
 アミノ酸によって生まれる香り、つや、旨味などが重宝されるようになった。
  そして現代では、和食に不可欠の基礎調味料となっている。
 ところが、アルコール税制によって「本みりん」「みりん風調味料」「料理酒」など
 の種類ができて、どれがホンモノかがわかりにくくなってしまった。
 「本みりん」は、もち米・米麹・醸造アルコールなどを1~2ヵ月熟成させて作った、
 アルコール分を14%ほど含む「酒類」で、この中にホンモノの「みりん」がある。
 「みりん風調味料」は、水あめ・醸造調味料・化学調味料・酸味料などを混ぜたもの
 で、アルコールはI%未満。原料を発酵・熟成させて作る本みりんとはまったく別物
 で、製造コストが安く、酒税もかからないため、安価だ。
  ただし、煮汁に含まれる成分をアルコールで浸透させる力がなく、煮崩れを防ぐ効
 果もないが、アルコールを煮切る必要がないので便利だ。
 「料理酒(発酵調味料、みりんタイプ)」は、アルコールを含むが、酒類に分類され
 ないように塩を加えて飲めないようにしてある。酒税がかからないため、安いが、使
 用するときに塩分の調整が必要だ。
  味と健康を重視するなら「本みりん」がいい。中でも「純米」がいいのは、幅広い
 成分が豊富に含まれているからだ。
  本みりんでも、本格焼酎に、蒸したもち米と米麹を加えて仕込み、じっくりと熟成
 させた伝統製法の良質のものを使うと、料理の味がダンと良くなる。
 「三州三河みりん」「福来統三年熟成本みりん」「甘強昔仕込本隊淋」が、伝統製法
 の三大本みりんだ。この三本は、飲むと、「ポルトガルの宝石」と称されるポートワイ
 ンに並ぶほど美味しい。


 塩

 ●決して買ってはいけないのが「精製塩」

  さまざまなミネラルを含んでいても、「ミネラル豊富」とする表記が、不当表示で
 あるとなったのは、塩である。
  塩の主成分である「塩化ナトリウム」がミネラルなので、極微量ミネラルについて
 は、効果・効能につながることを書いてはいけないルールになったのだ。
  塩化ナトリウムの純度が高すぎて健康に良くない塩が、イオン交換膜を用いて本格
 的に製造されるようになったのは、二九七フ年である。
  当時は、日本専売公社しか塩を製造できなかったので、天下り役人の安易な考えに
 より、国民のすべてが純度九九%以上の塩を買わざるを得なくなった。
  こうして国民の健康が損ねられたので、ミネラルの重要性を訴える「自然塩を守る
 会」や「食用塩調査会」などが発足して、「公社の塩」の危険性がアピールされ「赤
 穂の天塩」「伯方の塩」「海の精」などの「自然塩」が復活していった。 
  そして、ついに塩の専売制が廃止されたのが、1997年だ。
  塩を自由に売ることができるようになったので、今は、スーパーの棚に、たくさん
 の種類の塩が並んでいて、どれを選んだらいいか迷うようになった。
  その中で、決して買ってはいけないのが、かつて「公社の塩」を独占販売していた
 財団法人「塩事業センター」の「精製塩」である。純度99.5以上だから、塩辛い
 だけで、健康に良くない。
  しかし、時代の流れは皮肉なことをするものだ。
 「公社の塩」に反対する象徴だった「自然塩」「天然塩」という名称が禁止されたの
 である。私は寂しさを感じるが、「公社」対「民間」から「民間」対「民間」の時代
 になったので、一般的なルールが塩にも適用されるようになったのだ。
  そこまではいいのだが、自然なままのミネラルを含んでいても、その微量ミネラル
 がきちんと豊富に含まれることを表示することもできなくなった。
  ミネラルの重要さがわからない役人が、表示制度で大きなミスをしたのである。
  今後、塩に問題が起こるかもしれないとしたら、放射能汚染だ。今のところは検出
 されていないが、出れば騒ぎになることは間違いないだろう。


 酢


 ●原料が「米」などのシンプルなものを選ぶ

  1970年ごろまで、合成酢の生産量は醸造酢より多かった。それが今では、合成
 酢はほとんどなくなってしまった。
  業界トップの企業姿勢がいいと、伝統食品の質が良くなり、よく保たれるという典
 型例が、酢と醤油である。
  それでも、今の時代に合う健康にいい酢を選ぶには、知識が必要だ。
  お酒が腐ると酢になるように、アルコールに酢酸菌を入れると、酢ができる。アル

 コールから酢を作ると、安上がりのうえ、ミネラルの少ないすっきりした味になるの
 で、酢の原料に、醸造用アルコールが使われることが多いのだ。
  醸造用アルコールの使用が、基本的に悪いわけではない。砂糖の項で述べたように
 人間は純度の高い食品を好む傾向があるので、自由経済の下で、醸造用アルコールが
 酢の原料に用いられるのは、必然性がある。 
  清酒では吟醸酒が好まれ、スコッチウイスキーは、味の濃いモルトに、味の薄い
 レーン
をブレンドする技術を磨いたので、世界の昧になったといわれている。
  私は、純米酒や純米吟醸酒を飲むように心がけているが、醸造用アルコールを用い
 た本醸造の安い清酒に人気があるのは仕方がないとも思う。
  酢も、米や穀物だけでなく、アルコールも原料に入れると、透明感のある酸味にな
 って料理に合わせやすくなる。
  だが、ミネラル不足になりがちな人にとっては、この酢には問題がある。おそらく
 読者の九割以上は、ミネラル不足なので、料理に使う酢にミネラルが含まれていれば、
 より健康にいい食事になる。
  いい酢を選ぶには、原材料が「米」とか「リンゴ」というようにシンプルで、アル
 コールを使っていないものがいい。
  ただ、原料にアルコールを使っていても、「酒粕」を使っていたら、安上がりなの
 に、ミネラルが多くなるから、この酢なら選んでもいい
  酢を料理に用いると、ミネラルが水に溶けやすい形に変わり、吸収率が高くなる。
  微量栄養素が多い良質な酢をたっぷり使って、あなたの健康度をアップさせよう。

 醤油・麺つゆ

 ●「調味料(アミノ酸)」の表示がないものがいい

  醤油の産地、小豆島でマルキン醤油記念館を見学したとき、出口で醤油をいただい

 た。その「本醸造醤油」には、原材料欄に「調味料(アミノ酸等)」と書かれていた。
 化学調味料を入れると本醸造醤油ではないと思っていたので、大変に驚いた。
  ネットで調べてみると、化学調味料を用いた「混合醸造」醤油を、地方の醤油蔵が
 製造し、販売していた。この醤油には「保存料(パラオキシ安息香酸)」も使われて
 いたので、衛生状態の悪いところで製造されているのだろう。
  敗戦後にGHQの指導で、脱脂大豆に塩酸をかけてアミノ酸液にし、炭酸ナトリウ
 ムで中和したものを「醤油」と称していたと聞いたことがある。当時は「新式醸造」
 と言われたが、そういう醤油が、今でも九州、四国、中国、北陸、東北に残っていた
 のだ。
  コンビニには、化学調味料を入れた本醸造醤油が置かれるようになっているが、大
 手メーカーの全国流通する醤油に、化学調味料を入れたものはない。
  だが、本物の醤油の売上は下がっている。その代わり化学調味料入り「麺つゆ」が
 伸びている。
  麺つゆは、原材料の使用量に関係なく「醤油」「風味原料」「糖類」「食塩」とい
 う順に書くことになっていたので、表示を見ても中身を推定できない、と豊水省に指
 摘した。
  そうすると、表示の見直しが始まり、2012年7月1日から、重量順の表示に改
 定されることになった。
  スーパーで麺つゆの表示を見ると、中身がわかるように改定しているのはキッコー
 マンだけで、他の大手メーカーは、まだ以前のままの表示である。
 うどんやそばを食べるとき、麺つゆの品質の良し悪しは、健康に直結している。
  なぜなら、ほとんどの人は、普段の食事でミネラルが不足しており、それに加えて、
 うどんやそばを、砂糖、塩、化学調味料が主成分の麺つゆを用いた汁で食べるので、
 炭水化物だけは摂れても、微量栄養素がほとんど摂れないからだ。

  これでは健康が悪化することはあっても、良くなることはない。
  麺を消化するときにもミネラルが必要なので、ミネラルの豊富な麺つゆでないと、
 消化酵素を作るためのミネラルを、自分の骨から取り出すことになる。いい麺つゆを
 使わないと、健康状態がさらに悪くなっていく。
  西日本産の煮干しだしを取って、醤油と、みりんで麺つゆを作ることをおすすめす
 る。そうすれば、魚、大豆、小麦、米のミネラルと微量栄養素を摂ることができるの
 で、麺類は健康にいい食事になる。
  それができない人は、いわし節、うるめ節を使っていて、「調味料(アミノ酸等)」
 の表示がない麺つゆを買うのがいい。探せば、こういう麺つゆもある。

 

 味噌

 ●化学調味料を入れた味噌はよくない

  味噌の消費量は下がり続けている。
  そこで、「だし入り」と称した化学調味料の入った味噌を市場に出した。これが人
 気を博し、伝統的な味噌より「だし入り味噌」の方が多く売れているスーパーもある。 
  味噌に入っている「だし」は、化学調味料よりも、カツオ、煮干しなどの風味原料
 を多く入れるというルールになっている。しかし、強いうま味を持つ化学調味料が、
  味噌汁の味を支配していることは間違いない。

  そういうわけで、だし入り味噌を使って味噌汁を作っている人は、煮干しでだしを
 取っている人より、ミネラルの摂取量がはるかに少なくなる。だし入り味噌汁で、不
 足したミネラルを補給することはできないのだ。
  手間を省くからミネラル不足になるのだが、だし入り味噌でも手間がかかるという
 消費者も少なくない。そこで、インスタントの味噌汁がよく売れるようになった。
  今よく売れているのは、シジミの成分のオルニチンを配合したものだ。
 「一杯でしじみ70個分」と宣伝しているが、その下に「のちから」とあるように、
 シジミから取れた成分を入れたのではない。「発酵オルニチン二25mg」を入れている
  のである。
  シジミを70個食べると、ミネラルを始め、多くの微量栄養素も摂れるが、この味
 噌汁ではオルニチンしか摂れない。本当にシジミの味噌汁を食べたときのような力が
 出るわけではないのだ。


 カツオ節

 ●天然のカツオ節を使っているから健康は大丈夫、は誤解

 「天然のカツオ節を使っているから、健康は大丈夫」という人が多い。残念ながら、
 これは誤解だ。
  カツオ節は次のように作られる。原料の冷凍カツオを解凍し、頭と内臓を取り除い
 た後、1~2時間煮てから、カツオを水につけて二つに切り、骨を取り除く。それを、
 いぶしながら乾燥したのがカツオ節だ。その「カツオ節」を削ってパックしたものが
 「カツオ削りぶし」、カビ付けして深い味を出したのが、「カツオ枯れ節」だ。
 「カツオ削りぶし」も「カツオ枯れ節」も天然だしだが、原料カツオが水煮されてい
 るので、ミネラルは意外と摂れないのである。
  ミネラルを「不純物」として抜くと、アミノ酸の味を際立たせて美味しくなるが、
 健康に良くないので、煮干しや昆布などでミネラルを補給する必要がある。
  カツオを煮た液を濃縮した「かつおエキス」にはミネラルが含まれている。


 顆粒調味料

 ●このだしを使っても、ミネラルの補給はできない

  家庭で一番よく使われる粉末だしは、カツオ風味の穎粒だしで、原材料は、多い順
 に「調味料(アミノ酸等)」「食塩」「砂糖類(砂糖、乳糖)」「風味原料(かつお
 ぶし粉末、かつおエキス)」「酵母エキス」「小麦たん白発酵調味料」である。
  この中で、食事で不足するミネラルを含むのは、「かつおエキス」だけだ。
  この「かつおエキス」は、カツオを煮た液を乾燥して粉末にしたものだが、四番目
 の「風味原料」の二番目に出てくるので、ほんの少ししか入っていない。食塩や砂糖
 類よりもずっと少ないから、ミネラル補給を期待できる量ではない。
  風味はカツオ節でも、主原料は「化学調味料」で、それに塩と砂糖で味を付け、「
 酵母エキス」「小麦たん白発酵調味料」でうま味に幅を出したのが、業界一の穎粒だ
 しである。
  このようなだしを使っていると、ミネラル不足が進行し、心身の調子が狂ってくる。

 
 水道水
 
 ●福島県の線量の高い地域では、ナチュラルウォータを

  2011年3月下旬に、関東全域で水道水から放射性ヨウ素が検出され、都県民を
 恐怖に陥れた。しかし、5月以降、放射能は「不検出」になり、福島県でも6月から
 放射性セシウムが五ベクレル/l以下の「不検出」になった。
  一見すると、水遠水に放射能の心配はなくなったようだが、福島県の水道水が安全
 になったと思うのは早計だ。
  放射線量が増減を繰り返している地域では、危険が潜んでいると考えておかねば、
  将来、被害を受けることになりかねない。
  現在でも事故を起こした原発では、むき出しになった原子炉から水蒸気が蒸発して
 いるし、汚染水を処理する蒸発濃縮装置では、水を蒸発させているからである。
  問題は、この蒸気に、トリチウム(三重水素)が含まれているということだ。トリ
 チウムは、核燃料が出す放射線によって、水原子の中の水素が、三重水素になって放
 射化したもの。水素は遺伝子DNAを構成する原子でもあるので、トリチウムを水や
 食べ物から体内に取り込むと、遺伝子の中に入ってしまう。
  遺伝子の中のトリチウムが放射線を出すと、他の部分のDNAを切断してしまう。
  そのとき、トリチウムはヘリウムに変わるので、その部分のDNAが崩壊する。遺
 伝子に、通常とは異なる傷がつくので、うまく修復できず、その結果、マウスの実験
 では、通常の放射線による発ガンより、発ガン率が高くなることがわかっている。
  アメリカで、原発の周辺に住む人がガンにかかったと訴訟が起きているのも、稼働
 中の原発から出続けるトリチウムが原因とされているからだ。
  福島第コ原発から出る水蒸気には、これからもずっとトリチウムが含まれ続ける。
 原発からの風の通り道には、トリチウムを含む雨が降るので、その地域の人は、これ
 から発ガン率が高まることになるだろう。
 「放射性セシウムは、透浸透(RO)膜を使った浄水器で、すべて取ることができ
 る」と、原子力村の専門家が保証した浄水器でも、トリチウムは水の構成元素なので、
 すべて通り抜けて出てくる。
  福島県で線量が高い地域に住む人は、ナチュラルウォーターを買って飲むのがいい。

 

                  小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.137-156


※ トリチウムについては、このブログでも掲載している(『三重水素事変前夜』)

 

 

 

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量子スケールデバイス工学(6)

2014年02月05日 | デジタル革命渦論

 

   

【フード・ファントム・メナス(16)】 

 ●放射能を防ぐミネラル補給法

  一昔前までは、味噌汁に煮干しを入れて、そのまま食べる家庭が多かった。これを
 まねて、煮干し粉を食事にかけて食べるのがいい。
  煮干しを粉末にすると、かなりの量になる。それぐらいの多さをイメージして、煮
 干し粉を汁物に入れたり、ご飯にかけるのが、ミネラル補給のコツだ。
  煮干しや煮干し粉は、西日本産を探そう。これで、カルシウムを補給すれば、同族
 ミネラルである放射性ストロンチウムを体から出す効果がある。
  煮干しは短時間だが水煮しているので、成分が少し抜けているが、焼きアゴ(飛
 魚)には、成分がそのまま含まれている。価格が高いので、本書では推薦していない
 が、無添加・焼きアゴ粉末の方がミネラルを的確に摂ることができる。
  焼きアゴ粉末、酢、塩、エキストラバージン・オリーブ油を混ぜてペースト状にし
 たものを常備し、食事にかけて使えば、ミネラルだけでなく、レシチンも補給できる。

 
 パスタ

 ●イタリア有機農業の先駆者・ジロロモーニ氏のパスタ

  福島県を中心に、かなり広い範囲が放射能で汚染された。岩手県南部から関東まで
 の小麦も、2011年産は1㎏当たり10ベクレルを超えるものが多かった。

  放射能を避けるには、国産よりも輸入品の方が安全になったのだ。
  私の友人である「イタリア有機農業の先駆者」ジーノ・ジロロモーニ氏(2012
 年3月に逝去)は、彼の有機農業とパスタについて次のように語っている。パスタを
 選ぶときの参考にしていただきたい。
 「持続可能な有機農業は、土からスタートする。
  土は能力の100%を利用してはならない。輪作して、複数の作物を栽培するのが
 基本だが、アルファルファを栽培した畑なら、窒素が土壌に戻るので、小麦を2年続
 けて植えることができる。
  私が有機農業を始めたとき、小麦は3tとれていた。隣の化学肥料を使ってでは4t
 もとれたので、『有機農業を始めたジーノはバカだ』と言われた。
  ところが、化学肥料を使っていた畑は、30年だつと土が悪くなって小麦を作れな
 くなり、今は何も作っていない。私の畑は、今でもずっと3tとれている。
  
  畜産では、飼っている動物は自由でなければならない。動物が病気になったら、医
 薬品を用いず、代替医療を行う。
  牛乳を搾るために飼われている近代畜産の牛は、年間20tも牛乳を出す。しかし、
 体が持たないので、2年たったら肉にされてしまう。私が飼っている牛は3tしか出
 さないが、15年間連続して乳を出す。
  有機農業にすれば、このように持続的に生産できる。
  有機農産物は、基本的に余分なものを加えてはいけない。
  私のところでは、収穫した小麦をタンク容器に入れた後、炭酸ガスを入れて保管す
 る。これで虫が死ぬので、冬を越すまで問題はない。翌年の春に小麦が残っていて、

 虫が見つかれば、もう一度、炭酸ガスをかける。もちろん、殺虫剤は使わない。
  この小麦を丸ごとひいて『ジロロモーニ全粒粉デュラム小麦有機栽培スパゲッ
 ティ』を作っている。世界中の全粒粉パスタのほとんどは、白い小麦粉にふすまを混
 ぜた全粒粉を使って作られている。カラメルを添加して着色することもあるが、この
 ような全粒粉パスタでも、有機農産物基準では認められているのである。
  しかし、私は、小麦を自然のままの全粒粉にすべきだと考えている。小麦と、有機
 に見合ったきれいな水を混ぜて練り、パスタの形にして乾燥させると、パスタが完成
  このときに高温の風を用いると、効率よく乾かせるし、品質の悪い小麦を用いても、
 品質がよく見えてしまう。それで、大手パスタメーカーはすべて、高温の風で乾かし
 ている。ところが、高温で乾燥させるとパスタが死んで、弾力性が失われるのだ。
  私は、最初に75℃の風でパスタの表面を乾かした後は、40℃前後で乾かす。
  これらの考えが認められて、ドイツでは私の全粒粉のパスタは人気がある。
 アメリカでは試食で圧倒的に一番うまいパスタと評価され人気が高くなっている。
  農薬残留だけを考えたら、カナダ産か、有機のパスタを選ぶのがいい。
  味は、手打ちパスタが一番うまく、次が低温乾燥パスタで、最後が高温乾燥パスタ
 になる。食べ比べてみれば、そのことがよくわかる。
  有機・低温乾燥のジロロモーニ・パスタは、日本では創健社が販売している。


 砂糖

 ●粗糖、黒砂糖、黒糖蜜がいい

  調味料は、「さしすせそ」の順で料理に使うのがいいとされている。
 この「砂糖」「塩」「酢」「せうゆ(醤油)」「味噌」が、日本の代表的な調味料で
 あ
るが、今は、そのどれにも問題があり、日本人の心身を損ねる原因になっている。
  個々に見ていこう。

  トウモロコシなどのデンプンの鎖を分解酵素で切ると、糖になる。これが異性化糖
 といわれる液糖で、甘さは砂糖とよく似ている。
  砂糖は、ブドウ糖と果糖が結合したもの。異性化粧は、ブドウ糖と果糖が混ざった
 液糖で、消化や吸収に違いはあるが、同じようなものである。
  砂糖の消費量は減り、異性化粧は増えている。この異性化糖のような液糖も含めて、
 本書では「砂糖」として書き進めることにする。
  砂糖が健康に悪いのは、ミネラルを含まないことと、量を摂りすぎているからだ。
  特に摂りすぎるのが、甘い清涼飲料で、夏に喉が渇いているとき、無果汁の甘い飲
 料なら、500mlを簡単に飲み干すことができる。
  だが、そこには砂糖が60gほど入っているのだ。
  ミルクチョコレートー枚は60gほどで、その約半分が砂糖である。一枚食べても、
 30gの砂糖を食べることにしかならない。
  スティックシュガーは、1本が3gだから、甘い清涼飲料を飲むと20本のスティ
 ックシュガーを食べることになる。砂糖を摂りすぎることは明らかだ。

 
 ●ミネラル不足だと満腹感が遅く出る

  摂りすぎていることがわかっているのに、どうして砂糖を摂りすぎてしまうのだろ
 うか。ここに、現代食品の宿命的な問題点が潜んでいる。そのことを知った上で、食
 生活を組み立てないと、心身を害することになるだろう。
  人間はもともと甘いものが好きだ。だが、現代人が特に甘いものを摂りすぎてしま
 うのには、理由がある。
  果汁100%のジュースだと、一度に500mlを飲めない人が多い。カロリーだけ
 でなく、ミネラルやビタミンなどが十分に入っていて、それが舌にシグナルを送るの
 で、「満腹感」や「満足感」が出てくるからである。
  食べ物も、ミネラルが少ない清涼飲料と同様に、ミネラルが少ないスナック菓子は、
 いつまでも食べ続けることができる。

  私の体験では、ミネラルが多い食品を摂るようになる前は、常に食欲があった。満
 腹になって豚カツ屋を出て、前に寿司屋があると、「寿司を食べたい!」と思ったも
 のだ。
  物理的にはもう食べられないのに、どうして食欲があるのか不思議だった。今は、
 そうなる原理がわかっている。
  食事を摂ると、脳の食欲中枢の神経細胞で「ネスファチン」とよばれるたんぱく質
 が増加する。食事を摂って、血中のブドウ糖とインスリンが高濃度になると、このネ
 スファチンが活性化し、「満腹感」が生じていると判明したのである。
  そのときにミネラル不足だと、ネスファチンを持つ神経細胞の活性化が不十分にな
 る。したがって、満腹感を覚えるのが遅くなり、食べたいという欲求が長く続いて、
 食べすぎることになるわけである。

                   -中略-

 ●現代食品はミネラル不足になる宿命を持っている

  チョコレートはミネラルが豊富なので、脳の食欲中枢の神経細胞は円滑に働くこと
 ができる。だから、「満腹感」が早く出て、食べすぎる人が少ない。
  ミネラル不足食品を食べると、満腹になっても、「もっと食べたい」という欲求が
 
続き、多く食べすぎて太ってしまう
  こういった「満腹感」は個人だけでなく、市場の形成にも大きな影響を与えている。
  ミネラルの豊富な食品は、食べ終えたとき、食事をストップさせる「満腹感イメー
 ジ」で終わる。だから、もう一度食べようとは思いにくくなるのだ。
  一方、ミネラル不足食品は、物理的に食べられなくなるが、満腹感がないので、次
 にその食品を見たときも、「満腹感イメージ」が浮かんでこない。そうなると、購買
 に結びつきやすい。
  したがって二度目に買われるのは、ミネラル不足食品が多くなる。
  ミネラルが多くて体にいい食品は市場では敗退し、精製度の高いミネラル不足食品
 だけが生き残ってしまうのは、現代の食品・食事マーケットの宿命といえよう。

                      小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.129-138

 

 

●量子スケールデバイス工学(6)

図1

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 下】 
 

また、図8に示したように、波長変換粒子42は、キャリア発生部41xよりも直径が小
さいキャリア発生部42xと、このキャリア発生部42xの表面を覆うように配置された
エネルギー選択移動部42yと、該エネルギー選択移動部42yの表面を覆うように配置
された半導体部42zと、を有している。キャリア発生部42x、エネルギー選択移動部
42y、及び、半導体部42zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネル
ギー選択移動部42yは、キャリア発生部42xの表面に形成された第1障壁層42ya、
この第1障壁層42yaの表面に形成された量子井戸層42yb、及び、この量子井戸層
42ybの表面に形成された第2障壁層42ycを有している。波長変換粒子42では、
その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部42x、第1障壁層42ya、量子井戸
層42yb、第2障壁層42yc、及び、半導体部42zが同心円状に配置されている。
波長変換粒子42において、第1障壁層42ya及び第2障壁層42ycは、キャリアが
トンネル伝導により通過可能な厚さとされており、半導体部42zは、キャリアがトンネ
ル伝導により通過できない厚さとされている

 図8 


図9に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部43xを構成する半導体材料
の伝導帯側に3つの離散準位が形成されており、キャリア発生部43xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部43xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部43xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1c(>Eg1b>Eg1a)
である。また、波長変換粒子43は、量子井戸層43ybを構成する半導体材料の伝導帯
側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層43ybの価電子帯側には離散準位が
形成されていない。量子井戸層43ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーEc1bは、キャリア発生部43xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も
高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。E
c1bは、半導体部43zの伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9右側に位置してい
る。また、量子井戸層43ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a及び半
導体部43zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の図右側に位置している。

また、図8に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部42xよりも直径が小
さいキャリア発生部43xと、該キャリア発生部43xの表面を覆うように配置されたエ
ネルギー選択移動部43yと、該エネルギー選択移動部43yの表面を覆うように配置さ
れた半導体部43zと、を有している。キャリア発生部43x、エネルギー選択移動部43y、
及び、半導体部43zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネルギー選択
移動部43yは、キャリア発生部43xの表面に形成された第1障壁層43ya、この第
1障壁層43yaの表面に形成された量子井戸層43yb、及び、該量子井戸層43yb
の表面に形成された第2障壁層43ycを有している。波長変換粒子43では、その中心
側から外側へ向かって、キャリア発生部43x、第1障壁層43ya、量子井戸層43yb、
第2障壁層43yc、及び、半導体部43zが同心円状に配置されている。波長変換粒子
43において、第1障壁層43ya及び第2障壁層43ycは、キャリアがトンネル伝導
により通過可能な厚さとされており、半導体部43zは、キャリアがトンネル伝導により
通過できない厚さとされている。

図9に示したように、波長変換粒子43は、キャリア発生部43xを構成する半導体材料
の伝導帯側に3つの離散準位が形成されており、キャリア発生部43xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部43xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部43xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1c(>Eg1b>Eg1a)
である。また、波長変換粒子43は、量子井戸層43ybを構成する半導体材料の伝導帯
側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層43ybの価電子帯側には離散準位が
形成されていない。量子井戸層43ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーEc1bは、キャリア発生部43xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も
高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。
Ec1bは、半導体部43zの伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9の図左側に位置
している。また、量子井戸層43ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a
及び半導体部43zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の図右上側に位置して
いる。

波長変換粒子41、42、43の中では、キャリア発生部41xのエネルギー差Eg1a
が最小であり、Eg1a<Eg1b<Eg1c<Eg2となっている。そのため、透明物
質内に波長変換粒子41、42、43が分散されて保持されている波長変換部に太陽光が
入射すると、Eg1a以上のエネルギーを有する光が吸収される。こうして光が吸収され
ると、様々なエネルギーを有する電子が、キャリア発生部41x、42x、43xを構成
する半導体材料の価電子帯から伝導帯の離散準位へと励起され、当該半導体材料の価電子
帯には正孔が形成される。

キャリア発生部41xで生成された電子は、キャリア発生部21xで生成された電子と同
様の過程を経て、量子井戸層41ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動し、キ
ャリア発生部41xで生成された正孔は、キャリア発生部16xaで生成された正孔と同
様の過程を経て、量子井戸層41ybの価電子帯へと移動する。上述のように、Eczは
Ec1bよりも図9の図右側に位置し、そのエネルギー差は、電子が乗り越えられないほ
どに大きい。また、EvzはEv1bよりも図9の図右側に位置し、そのエネルギー差は、
正孔が乗り越えられないほどに大きい。さらに、半導体部41zの厚さはキャリアがトン
ネル伝導により通過できない程度に厚い。そのため、量子井戸層41ybへと達した電子
及び正孔は、半導体部41zを通過することができず、量子井戸層41ybで結合する。
このようにして電子及び正孔が結合すると、量子井戸層41ybでエネルギーEg2の単
色光が生じる。

また、キャリア発生部42xで生成された電子は、キャリア発生部22xで生成された電
子と同様の過程を経て、量子井戸層42ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動
し、キャリア発生部42xで生成された正孔は、キャリア発生部16yaで生成された正
孔と同様の過程を経て、量子井戸層42ybの価電子帯へと移動する。波長変換粒子41
の場合と同様に、量子井戸層42ybへと達した電子及び正孔は、半導体部42zを通過
することができず、量子井戸層42ybで結合する。このようにして電子及び正孔が結合
すると、量子井戸層42ybでエネルギーEg2の単色光が生じる。

また、キャリア発生部43xで生成された電子は、キャリア発生部23xで生成された電
子と同様の過程を経て、量子井戸層43ybの伝導帯に形成されている離散準位へと移動
し、キャリア発生部43xで生成された正孔は、キャリア発生部16zaで生成された正
孔と同様の過程を経て、量子井戸層43ybの価電子帯へと移動する。波長変換粒子41、
42の場合と同様に、量子井戸層43ybへと達した電子及び正孔は、半導体部43zを
通過することができず、量子井戸層43ybで結合する。このようにして電子及び正孔が
結合すると、量子井戸層43ybでエネルギーEg2の単色光が生じる。

このように、透明物質内に波長変換粒子41、42、43が分散されて保持されている波
長変換部を用いても、単色光を発生させることができる。波長変換粒子41、42、43
は、波長変換粒子21、22、23とは異なり、量子井戸層41yb、42yb、43yb
で単色光を発生させる。ここで、図7に示したように、発光部21z、22z、23zは、
Eg2以上のエネルギーを有する光を吸収することができる。これに対し、図9に示した
ように、量子井戸層41yb、42yb、43ybの伝導帯側には離散準位が形成されて
いるので、量子井戸層41yb、42yb、43ybはEg2のエネルギーを有する光の
みを吸収することができる。すなわち、量子井戸層41yb、42yb、43ybは、発
光部21z、22z、23zと比較して、吸収可能な光が限定される。そのため、波長変
換粒子41、42、43は、波長変換粒子21、22、23よりも多くの光を、キャリア
発生部41x、42x、43xに吸収させることができ、その結果、波長変換粒子41、
42、43は、波長変換粒子21、22、23よりも多量の単色光を発生させることがで
きる。また、発光部21z、22z、23zは、量子井戸層41yb、42yb、43yb
よりも厚い。他の波長変換粒子で生成された単色光が波長変換粒子41、42、43で再
吸収される量は、他の波長変換粒子で生成された単色光が波長変換粒子21、22、23
で再吸収される量よりも少ない。加えて、波長変換粒子41、42、43では、Ev1a
とEv1bとが異なるので、量子井戸層41yb、42yb、43ybで発生させた単色
光のエネルギーが、キャリア発生部41x、42x、43xの伝導帯に形成された離散準
位と価電子帯上端とのエネルギー差に一致しない。かかる形態とすることにより、量子井
戸層41yb、42yb、43ybで生じさせた単色光が、キャリア発生部41x、42x、
43xに再吸収される事態を防ぐことが可能になるので、より多くの単色光を光電変換部
30に吸収させることが可能になる。さらにまた、波長変換粒子41、42、43では、
Ev1bがEv1aよりも図9の紙面上側に位置するように調整されているので、キャリ
ア発生部41x、42x、43xで生成された正孔が量子井戸層41yb、42yb、43yb
に移動しやすい。かかる形態とすることにより、量子井戸層41yb、42yb、43yb
で電子と正孔とを結合させやすくなるので、より多くの単色光を発生させることが可能に
なる。したがって、波長変換粒子41、42、43を有する形態の波長変換部を用いるこ
とにより、光電変換効率を高めやすくなる。

波長変換粒子41、42、43において、キャリア発生部41x、42x、43xを構成
する半導体材料のバンドギャップは、キャリア発生部21x、22x、23xを構成する
半導体材料のバンドギャップと同程度にすることができる。キャリア発生部41xの直径
及びバンドギャップは、キャリア発生部21xの直径及びバンドギャップと同程度にする
ことができ、キャリア発生部42xの直径及びバンドギャップは、キャリア発生部22x
の直径及びバンドギャップと同程度にすることができ、キャリア発生部43xの直径及び
バンドギャップは、キャリア発生部23xの直径及びバンドギャップと同程度にすること
ができる。また、キャリア発生部41x、42x、43xは、キャリア発生部21x、
22x、23xと同様の材料によって構成することができ、キャリア発生部21x、22
x、23xと同様の方法によって作製することができる。

また、第1障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層41yc、42yc、
43ycを構成する半導体材料のバンドギャップは、第1障壁層21ya、22ya、23ya
や第2障壁層21yc、22yc、23ycを構成する半導体材料のバンドギャップと同
程度にすることができる。第1障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層
41yc、42yc、43ycの厚さは、第1障壁層21ya、22ya、23yaや第
2障壁層21yc、22yc、23ycの厚さと同程度にすることができる。また、第1
障壁層41ya、42ya、43ya、及び、第2障壁層41yc、42yc、43yc
は、第1障壁層21ya、22ya、23yaや第2障壁層21yc、22yc、23yc
と同様の材料によって構成することができ、第1障壁層21ya、22ya、23yaや
第2障壁層21yc、22yc、23ycと同様の方法によって作製することができる。

また、半導体部41z、42z、43zを構成する半導体材料のバンドギャップは、例え
ば2.0eV以上5.5eV以下とすることができる。キャリアがトンネル伝導により通
過できない厚さにする等の観点から、半導体部41z、42z、43zの厚さは10nm
以上とする。また、波長変換粒子41、42、43に占めるキャリア発生部41x、42x、
43xの割合が小さくなり過ぎないようにする等の観点から、半導体部41z、42z、
43zの厚さは100nm以下とすることができる。また、半導体部41z、42z、43z
を構成可能な半導体材料としては、GaAs、CdTe、AlGaAs、GaInP、
AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe、GaN、ZnS等を例示することがで
きる。半導体部41z、42z、43zは、発光部21z、22z、23zと同様の方法
によって作製することができる。

量子井戸層で単色光を発生させる波長変換粒子に関する上記説明では、エネルギー選択移
動部の表面に半導体部が配置されている形態を例示したが、量子井戸層で単色光を発生さ
せる波長変換粒子は、当該形態に限定されない。量子井戸層で単色光を発生させる波長変
換粒子に備えられているエネルギー選択移動部の表面には、キャリアがトンネル伝導によ
り通過できない厚さの絶縁性材料が配置されていても良い。かかる形態であっても、エネ
ルギー選択移動部の表面に半導体部が配置されている形態と同様の効果を奏することが可
能になる。


また、波長変換粒子41、42、43に関する上記説明では、Ev1bが、Ev1aより
も図9の紙面上側に位置し、且つ、Ev1bとEv1aとの差が0.05eV以上0.2
eV以下程度とされている形態を例示したが、量子井戸層で単色光を発生させる波長変換
粒子は当該形態に限定されない。Ev1bがEv1aよりも下側に位置する形態とするこ
とも可能であり、Ev1aとEv1bとを等しくすることも可能である。ただし、量子井
戸層で発生させた単色光がキャリア発生部に再吸収され難い形態とすることによって光電
変換効率を高めやすくするという観点、及び、キャリア発生部で生成された正孔が量子井
戸層へと移動しやすい形態にして量子井戸層で単色光が発生しやすい形態とすることによ
って光電変換効率を高めやすくするという観点からは、Ev1bが、Ev1aよりも図9
の図右上側に位置し、且つ、Ev1bとEv1aとの差を0.05eV以上0.2eV以
下程度にすることが好ましい。

また、波長変換粒子41、42、43に関する上記説明では、量子井戸層41yb、42
yb、43ybの価電子帯側には離散準位が形成されていない形態を例示したが、量子井
戸層で単色光を発生させる波長変換粒子は当該形態に限定されない。量子井戸層で単色光
を発生させる波長変換粒子には、価電子帯側に離散準位が形成されている量子井戸層も用
いることができる。

また、本発明に関する上記説明では、粒子状のキャリア生成物質であるキャリア生成粒子
や、粒子状の波長変換物質である波長変換粒子が用いられる形態を例示したが、キャリア
生成物質や波長変換物質の形態は、粒子状に限定されない。キャリア生成物質及び波長変
換物質は、線状等の他の形態とすることも可能である。キャリア生成物質や波長変換物質
の形状を線状にする場合には、線状のキャリア発生部の直径を、粒子状のキャリア発生部
の直径と同程度にすれば良い。なお、線状のキャリア生成物質や線状の波長変換物質を用
いる場合、混合pn材料層や、波長変換物質を分散し保持する透明材料を突き破らないよ
うな長さにする等の観点から、線の軸方向長さは、例えば20nm以上500nm以下と
することが好ましい

化学的合成法を用いた線状のキャリア生成物質(以下において、「キャリア生成細線」と
いう。)の作製法の具体例として、キャリア発生部にPbSe、第1障壁層及び第2障壁
層にZnS、量子井戸層にCdTeを用いた場合について、以下に説明する。

●キャリア発生部の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第1フラスコ」と
いう。)に、溶媒となるフェニルエーテル、及び、オレイン酸と、Pb源である酢酸鉛と
を入れ、不活性ガス中で150℃程度に加熱することにより酢酸鉛を溶解した後、60℃
程度に冷却する。次いで、第1フラスコに、Se源であるセレン化トリオクチルフォスフ
ィン、及び、トリオクチルフォスフィンを加える。一方、第1フラスコとは別のフラスコ
(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第2フラスコ」という。)
に、フェニルエーテル及びテトラデシルフォスフィンを入れ、不活性ガス中で250℃程
度(注入溶液の温度)に加熱する。その後、加熱された第2フラスコへ、Se源等が加え
られた第1フラスコ中の溶液を注入し、180℃程度(反応温度)に保持する。以上の過
程を経ることにより、太さ6nm程度のキャリア発生部(PbSe細線)を生成すること
ができる。ここで、注入溶液の温度及び反応温度が高くなるほど、溶液中の原料濃度比率
Pb/Seが大きくなると、球状粒子ではなく細線を生成しやすくなる。なお、PbSe
のバンドギャップはバルクでは0.27eVであるが、量子効果により0.7eV程度と
なる。

●第1障壁層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第3フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及
び、S源であるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。そ
の後、第3フラスコの溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100
℃程度に冷却する。以上の過程を経ることにより、キャリア発生部の周囲に、厚さ3nm
程度の第1障壁層(ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS
層のバンドギャップは、3.58eVである。

●量子井戸層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第4フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、Cd源であるジメチルカドミウム、及び、
Te源であるトリオクチルフォスフィンテルルを加え、220℃程度に加熱して溶解する。
その後、第4フラスコの溶液を、240℃程度に再加熱した第2フラスコへと加える。以
上の過程を経ることにより、第1障壁層の周囲に、厚さ5nm程度の量子井戸層(CdTe
層)を形成することができる。なお、CdTeのバンドギャップはバルクでは1.44eV
であるが、量子効果により1.65eV程度となる。

●第2障壁層の合成

フラスコ(キャリア生成細線の作製法に関する以下の説明において、「第5フラスコ」と
いう。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及
び、S源であるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。そ
の後、第5フラスコの溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100
℃程度に冷却する。以上の過程を経ることにより、量子井戸層の周囲に、厚さ3nm程度
の第2障壁層(ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS層の
バンドギャップは、3.58eVである。こうして第2障壁層を形成したら、例えばメタ
ノールを用いた洗浄を行う工程を経て、キャリア生成細線を得ることができる。

このような手順で作製可能なキャリア生成細線を備える太陽電池は、キャリア生成粒子に
代えてキャリア生成細線を用いるほかは、太陽電池100と同様の方法によって作製する
ことができる。キャリア生成細線を用いる太陽電池において、混合pn材料層に含まれる、
キャリア生成細線、p型半導体材料、及び、n型半導体材料の混合比率は特に限定されず、
例えば、質量比で、キャリア生成細線:p型半導体材料:n型半導体材料=2:1:1と
することができる。キャリア生成細線、p型半導体材料、及び、n型半導体材料の混合比
率は、それぞれ、0.1倍~10倍の範囲で適宜変化させても良い。

また、線状の波長変換物質(以下において、「波長変換細線」ということがある。)は、
上記キャリア生成細線のキャリア発生部から第2障壁層までを作製する手順と同様の手順
で第2障壁層を作製した後、波長変換粒子における発光部や半導体部を作製する際の方法
と同様の方法によって発光部や半導体部を作製することにより、作製することができる。
このような手順で作製可能な波長変換細線を備える太陽電池は、波長変換粒子に代えて波
長変換細線を用いるほかは、太陽電池200と同様の方法によって作製することができる。

本発明に関する上記説明では、粒子状のキャリア生成物質若しくは粒子状の波長変換物質、
または、線状のキャリア生成物質若しくは線状の波長変換物質が用いられる形態を例示し
たが、本発明の光電変換素子は、当該形態に限定されない。本発明の光電変換素子は、キ
ャリア生成粒子及びキャリア生成細線が同一層内に分散された形態の層を有していても良
く、波長変換粒子及び波長変換細線が分散された波長変換部が用いられる形態であっても
良い。ただし、光電変換効率を高めやすい形態にする等の観点からは、キャリア生成粒子
や波長変換粒子を用いることが好ましい。


                        「
特開2014-017420 光電変換素子」 
                            株式会社 豊田中央研究所


以上、この件は上がり。これを踏まえ、量子ドット太陽電池の個々の独創的な試作アプロ
ーチ合戦がはじまる。

 

 

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量子スケールデバイス工学(5)

2014年02月04日 | デジタル革命渦論

 

 

図1

●量子スケールデバイス工学(5)

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 下】 
 

図7に示したように、エネルギー選択移動部21yは、キャリア発生部21xと発光部21z
とを繋ぐ部位であり、キャリア発生部21xで生成された様々なエネルギーを有する電子
及び正孔のうち、エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔の
みを選択的に発光部21zへと移動させる機能を有している。同様に、エネルギー選択移
動部22yは、キャリア発生部22xで生成された様々なエネルギーを有する電子及び正
孔のうち、エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔のみを選
択的に発光部22zへと移動させる機能を有している。また、エネルギー選択移動部23
yは、キャリア発生部23xで生成された様々なエネルギーを有する電子及び正孔のうち、
エネルギーがEc1bである電子とエネルギーがEv1qである正孔のみを選択的に発光
部23zへと移動させる機能を有している。キャリア発生部21x、22x、23xから
キャリア選択移動部21y、22y、23yを経て発光部21z、22z、23zへと移
動した電子及び正孔は、発光部21z、22z、23zで結合する。かかる過程を経るこ
とにより、波長変換部20は、エネルギーEg2の単色光を発生させる。

 図7

 

キャリア発生部21xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そのまま
エネルギー選択移動部21yを通過して発光部21zへと達する。また、キャリア発生部
21xで生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択
移動部21yを通過して発光部21zへと達する。そして、発光部21zで電子及び正孔
が結合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部
21xの伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互
にエネルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリ
ア発生部21xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正
孔は、相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こう
して、エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エ
ネルギー選択移動部21yを経由して発光部21zへと移動することができ、発光部21z
で結合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

また、キャリア発生部22xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そ
のままエネルギー選択移動部22yを通過して発光部22zへと達し、キャリア発生部22x
で生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択移動部
22yを通過して発光部22zへと達する。そして、発光部22zで電子及び正孔が結合
することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部22x
の伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互にエネ
ルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリア発生
部22xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正孔は、
相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こうして、
エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エネルギ
ー選択移動部22yを経由して発光部22zへと移動することができ、発光部22zで結
合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

また、キャリア発生部23xで生成された電子のうち、エネルギーEc1bの電子は、そ
のままエネルギー選択移動部23yを通過して発光部23zへと達し、キャリア発生部23x
で生成された正孔のうち、エネルギーEv1qの正孔は、そのままエネルギー選択移動部
23yを通過して発光部23zへと達する。そして、発光部23zで電子及び正孔が結合
することにより、エネルギーEg2の単色光になる。これに対し、キャリア発生部23x
の伝導帯の電子分布においてEc1bとは異なるエネルギーを有する電子は、相互にエネ
ルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。同様に、キャリア発生
部23xの価電子帯の正孔分布においてEv1qとは異なるエネルギーを有する正孔は、
相互にエネルギーの授受を行い、一部の正孔のエネルギーはEv1qになる。こうして、
エネルギーEc1bになった電子、及び、エネルギーEv1qになった正孔は、エネルギ
ー選択移動部23yを経由して発光部23zへと移動することができ、発光部23zで結
合することにより、エネルギーEg2の単色光になる。

ここで、蛍光材料を用いている従来のダウンコンバージョン型の太陽電池では、相互作用
させることが可能な電子・正孔が、飛び飛びのエネルギー準位を有する電子・正孔に限ら
れていた。これに対し、キャリア発生部21x、22x、23xは、半導体材料によって
構成されているので、様々なエネルギーを有する電子同士・正孔同士を相互作用させるこ
とにより、エネルギーEc1bの電子、及び、エネルギーEv1qの正孔を生じさせるこ
とができる。さらに、波長変換部20は、互いに異なる離散準位が形成された波長変換粒
子21、22、23を有しているので、単一形態の波長変換粒子が用いられる場合と比較
して、エネルギーがEg1a以上である様々なエネルギーの光を吸収することができる。
加えて、互いに異なる離散準位が形成された波長変換粒子21、22、23において、量
子井戸層21yb、22yb、23ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギ
ーは、すべてEc1bとされており、量子井戸層21yb、22yb、23ybの価電子
帯側に形成されている離散準位のエネルギーは、すべてEv1qとされている。このよう
な形態とすることにより、波長変換粒子21、22、23のすべてから、エネルギーEg2
の単色光を生成させることができる。こうして波長変換部20で発生させた単色光は、光
電変換部30へと向かう。

光電変換部30は、バンドギャップがEg3であるn層31及びp層32を有している。
ここで、Eg3はEg2よりも約0.1eV小さい。それゆえ、波長変換部20で発生さ
せたエネルギーEg2の単色光は、光電変換部30に吸収され、電子及び正孔が生成され
る。こうして生成された電子及び正孔は、Eg2とEg3との差が約0.1eVと小さい
ため、ほとんどエネルギーを失うことなく、pn接合33によって形成された内部電界に
より分離され、電子はn層31側へと移動し、n層31に接続されている表面電極15へ
と収集される。また、正孔はp層32側へと移動し、p層32に接続されている裏面電極
14へと収集される。

0072
このように、太陽電池200では、キャリア発生部21x、22x、23xで発生させた
キャリアを、エネルギー選択移動部21y、22y、23yを経由して発光部21z、22z、
23zへと移動させ、発光部21z、22z、23zでこれらを結合させることにより、
単色光を発生させる。かかる形態とすることにより、キャリア発生部21x、22x、23x
で高いエネルギーへと励起された電子及び正孔を、エネルギーが失われる前に発光部21z、
22z、23zへと移動させて結合させることが可能になるので、エネルギー損失を低減
することが可能になる。また、波長変換部20は、キャリア発生部21x、22x、23x
で発生させたキャリアを発光部21z、22z、23zで結合させることを目的としてお
り、発生させたキャリアをそのまま外部へ取り出すことを意図していない。それゆえ
長変換部20では、従来のホットキャリア型太陽電池のように、キャリアを電極まで移動
させる必要がないので、移動時に失われるエネルギーを大幅に低減することが可能になる
特に、キャリア発生部21x、22x、23xの大きさ・厚さを制御して、キャリア発生
部21x、22x、23xで発生させたキャリアがエネルギー選択移動部21y、22y、
23yへと達するまでの移動距離を10nm以下程度にすることにより、移動時に失われ
るエネルギーを大幅に低減することが可能になる。さらに、キャリア発生部21x、22x
23x半導体材料を用いる形態とすることにより、蛍光材料を用いている従来のダウン
コンバージョン型の太陽電池よりも、キャリアを生じさせるために利用可能な光の波長範
囲を大幅に広げることが可能になる。さらに、波長変換部20が、大きさが異なるキャリ
ア発生部21x、22x、23xを有する波長変換粒子21、22、23を有する形態と
することにより、単一形態の波長変換粒子が用いられる場合と比較して、エネルギーがEg1a
以上である幅広い帯域の光を、キャリア発生部21x、22x、23xで吸収しやすくな
る。加えて、波長変換部20に用いられている波長変換粒子21、22、23は、量子井
戸層21yb、22yb、23ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーを
等しくし、且つ、価電子帯側に形成されている離散準位のエネルギーを等しくするように
調整されている。かかる形態とすることにより、波長変換部20から発生させる単色光の
エネルギーをEg2に特定することができるので、n層31及びp層32を構成する半導
体材料のバンドギャップを、エネルギーEg2の単色光を低損失で吸収可能なように調整
することで、エネルギー損失を低減することが容易になる。したがって、本発明によれば、
光電変換効率を高めることが可能な太陽電池200を提供することができる。太陽電池200
では、光を単色光へと変換させる波長変換部20の効率を高めることにより、光電変換効
率を高めることが容易になる。また、エネルギー選択移動部21y、22y、23yや発
生部21z、22z、23zに用いる半導体材料の組成や形状を調節することにより、太
陽電池200では、波長変換部20で発生させる単色光のエネルギーを自在に調節するこ
とができる。

太陽電池200において、キャリア発生部21x、22x、23xを構成する半導体材料
のバンドギャップは、キャリア発生部16xa、16ya、16zaを構成する半導体材
料のバンドギャップと同程度にすることができる。キャリア発生部21xの直径及びバン
ドギャップは、キャリア発生部16xaの直径及びバンドギャップと同程度にすることが
でき、キャリア発生部22xの直径及びバンドギャップは、キャリア発生部16yaの
径及びバンドギャップと同程度にすることができ、キャリア発生部23xの直径及びバン
ドギャップは、キャリア発生部16zaの直径及びバンドギャップと同程度にすることが
できる。また、キャリア発生部21x、22x、23xは、キャリア発生部16xa、
16ya、16zaと同様の材料によって構成することができ、キャリア発生部16xa
16ya、16zaと同様の方法によって作製することができる。

また、第1障壁層21ya、22ya、23ya、及び、第2障壁層21yc、22yc、
23ycを構成する半導体材料のバンドギャップは、第1障壁層16xba、16yba、
16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、16zbbを構成する半導体材料のバ
ンドギャップと同程度にすることができる。第1障壁層21ya、22ya、23ya、
及び、第2障壁層21yc、22yc、23ycの厚さは、第1障壁層16xba、16
yba、16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、16zbbの厚さと同程度に
することができる。また、第1障壁層21ya、22ya、23ya、及び、第2障壁層
21yc、22yc、23ycは、第1障壁層16xba、16yba、16zbaや第
2障壁層16xbb、16ybb、16zbbと同様の材料によって構成することができ、
第1障壁層16xba、16yba、16zbaや第2障壁層16xbb、16ybb、
16zbbと同様の方法によって作製することができる。

また、発光部21z、22z、23zを構成する半導体材料のバンドギャップは、例えば、
0.6eV以上3.0eV以下とすることができ、発光部21z、22z、23zの厚さ
は、例えば2nm以上20nm以下とすることができる。発光部21z、22z、23z
を構成可能な半導体材料としては、Ge、GaSb、InPAs、GaAsSb、Ga
InAs、Si、InP、GaAs、CdTe、CdSe、AlGaAs、GaInP、
AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe等を例示することができる。発光部21z、
22z、23zを、Ge、Si等のIV族元素や、InAs、GaSb、GaAsSb、
GaInAs、InP、GaAs、AlGaAs、GaInP、AlAs、GaP等のⅢ
-V族化合物で構成する場合、発光部21z、22z、23zは有機金属気相成長法(M
OCVD)や分子線エピタキシ法(MBE)等の気相成長法によって作製することができ
る。また、発光部21z、22z、23zを、PbSe、PbS等のⅣ-Ⅵ族化合物や、
CdTe、CdSe、ZnTe、CdS、ZnSe、ZnS等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成す
る場合、発光部21z、22z、23zはイオンプレーティングを含む真空蒸着法や、ス
パッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボサーマル法等の化学的合成法によって作
製することができる。

また、光電変換部30に用いる半導体材料のバンドギャップEg3は、例えば、0.5e
V以上1.6eV以下とすることができる。光電変換部30を構成可能な半導体材料とし
ては、Ge、GaSb、GaAsSb、GaInAs、Si、InP、GaAs、CdTe
等を例示することができる。光電変換部30において、n層31は、これらの半導体材料
に公知のn型不純物を添加することによって作製することができ、p層32は、これらの
半導体材料に公知のp型不純物を添加することによって作製することができる。n層31
の厚さは例えば100nm程度とすることができ、p層32の厚さは例えば2μm程度と
することができる。また、光電変換部30を、Ge、Si等のIV族元素や、InAs、
GaSb、GaAsSb、GaInAs、InP、GaAs等のⅢ-Ⅴ族化合物で構成す
る場合、光電変換部30は有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線エピタキシ法(M
BE)等の気相成長法によって作製することができる。また、光電変換部30を、PbSe、
PbS等のⅣ-Ⅵ族化合物や、CdTe等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成する場合には、イオン
プレーティングを含む真空蒸着法や、スパッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボ
サーマル法等の化学的合成法によって作製することができる。



図8は、第2実施形態にかかる本発明の光電変換素子の、波長変換部に使用可能な波長変
換粒子41、42、43を説明する断面図であり、図9は、波長変換粒子41、42、43
のバンド構造を説明する、図7に対応した図である。


図8に示したように、波長変換粒子41は、キャリア発生部41xと、該キャリア発生部
41xの表面を覆うように配置されたエネルギー選択移動部41yと、該エネルギー選択
移動部41yの表面を覆うように配置された半導体部41zと、を有している。キャリア
発生部41x、エネルギー選択移動部41y、及び、半導体部41zは、何れも、半導体
材料によって構成されている。エネルギー選択移動部41yは、キャリア発生部41xの
表面に形成された第1障壁層41ya、該第1障壁層41yaの表面に形成された量子井
戸層41yb、及び、該量子井戸層41ybの表面に形成された第2障壁層41ycを有
している。波長変換粒子41では、その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部41x、
第1障壁層41ya、量子井戸層41yb、第2障壁層41yc、及び、半導体部41z
が同心円状に配置されている。波長変換粒子41において、第1障壁層41ya及び第2
障壁層41ycは、キャリアがトンネル伝導により通過可能な厚さとされており、半導体
部41zは、キャリアがトンネル伝導により通過できない厚さとされている

図9
図9に示したように、波長変換粒子41は、キャリア発生部41xを構成する半導体材料
の伝導帯側に6つの離散準位が形成されており、キャリア発生部41xを構成する半導体
材料の価電子帯側には離散準位が形成されていない。キャリア発生部41xの伝導帯側に
形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部41xの
価電子帯上端のエネルギーEv1aとのエネルギー差はEg1aである。また、波長変換
粒子41は、量子井戸層41ybを構成する半導体材料の伝導帯側に1つの離散準位が形
成されており、量子井戸層41ybの価電子帯側には離散準位が形成されていない。量子
井戸層41ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーEc1bは、キャリア
発生部41xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最
も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。Ec1bは、半導体部41z
の伝導帯下端のエネルギーEczよりも図9の紙面下側に位置し、EczとEc1bとの
差は、波長変換粒子41を有する光電変換素子の使用時に量子井戸層41ybに存在する
電子へと付与されるエネルギー(例えば、熱エネルギー等)よりも大きくなるように調整
されている。また、量子井戸層41ybの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1a
及び半導体部41zの価電子帯上端のエネルギーEvzよりも図9の紙面上側に位置して
いる。Ev1bとEv1aとの差は、0.05eV以上0.2eV以下程度とされており、
EvzとEv1bとの差は、波長変換粒子41を有する光電変換素子の使用時に量子井戸
層41ybに存在する正孔へと付与されるエネルギー(例えば、熱エネルギー等)よりも
大きくなるように調整されている。波長変換粒子41において、Ec1bとEv1bとの
差はEg2である。

                    「特開2014-017420 光電変換素子」 第79項まで
                            株式会社 豊田中央研究所

 

   

【フード・ファントム・メナス(15)】 

   お茶

 ●「国産茶」はやめ、西日本の銘柄茶に

  2012年4月、一般食品中の放射性セシウムは1㎏当たり500ベクレルから
 百ベクレルに規制が強化された。ところが、お茶だけは規制が緩和されていたのに、
 まったく報道されなかった。
  測定対象を「茶菓」から「飲む状態」へと変更し、その基準を10ベクレルに厳し
 くしたのだが、ここに基準緩和が隠されていたのである。
  基準どおりにお茶を俺れ、業界が主張しているように成分が抽出されると、放射性
 セシウムの濃度は茶菓の60分の1になる。ということは、お茶の液体が10ベクレ
 ルなら、茶菓は600ベクレルになる。
  つまり、お茶は、500から600ベクレルに規制が緩和されていたのである。
  2012年の新茶からは、「飲む状態」で検査されている。その結果、基準の10
 ベクレルを超え、かつ各県で最も値が高かったのは、栃木県24ベクレル、茨城県
 19ベクレル、千葉県14ベクレル、岩手県11ベクレルである。
  この水準の食事を食べ続けると、体や頭に痛みが出てくる
  飲む状態の値を茶菓に換算すると、栃木県1440ベクレル、茨城県1140ベク
 レル、千葉県840ベクレル、岩手県660ベクレルとなる。
  事故から1年経過したのに、まだあなどれない数値の放射能が出ているのだ。
  また、チェルノブイリ原発事故から13年経過して、ウクライナの南に位置するト
 ルコ産輸入紅茶で60~100ベクレル検出されている。このことからお茶は、3年
 目以降も基準を超えた放射能汚染が続く可能性がある。
  一方、三重県の「わたらい茶」は、県の調査によると、2011年の茶葉で9ベク
 レルだったが、2012年の茶菓は1ベクレルになっている。
  茶葉でこのくらいの数値なら、安心してお茶を飲んでいいだろう。
  愛知県は三重県より放射能汚染が少なかったので、愛知県から西のお茶を選べば安
 心して飲むことができる。
  2011年産でも京都府を中心とする宇治茶、福岡県のハ女茶、鹿児島県の知覧茶
 などは、この銘柄茶が100%の商品なら安心して飲んでいい。


 ●放射能汚染がついて回る静岡茶

  静岡県産のお茶は、放射能で汚染されているかどうかが、わかりにくい。
  静岡県は震災後、お茶の検査をできるだけしないようにし、少数の検査結果も「す
 べて基準をクリアしている」と言うだけで、数値の公表を拒んだ。
  そこヘパリから、静岡産の緑茶が1㎏当たり1038ベクレルだったという情報が
 入ってきた。それは、EU基準の2倍の数値だった。
  これが大問題になったので、静岡県もお茶の検査に励むようになったが、その検査
 データを基に、古いお茶や、他産地のお茶とうまくブレンドするようになったのであ
 る。
  新茶はその年にとれたものだが、それ以外は、冷蔵庫で貯蔵し、数年のうちに出荷
 しているので、古いお茶に不自由することはない。
  したがって違反は出ないが、数年たっても、放射能の量が減らない静岡茶が存在す
 ることになる。こうして、静岡茶には放射能汚染がついて回るようになったのだ。
  2012年の新茶はすべて不検出、と静岡県は公表している。この検出限界は「飲
 む状態」で2ベクレルだから、茶菓では100ベクレルを超えている可能性がある。
  放射能は、集団が取り込んだ総量に応じて、遺伝的な被害者を出す。個人のリスク
 は無視できるほど小さいが、日本人全体では将来にわたって被害者が出てくる。
  被害者は1000年たっても出続けるが、国や静岡県は、業者を守り、補償金を減
 らすように努力はしても、将来の被害者を減らすことには努力していない。それどこ
 ろか、将来に遺伝的な被害者が増えるような施策を取っているのである。 

  ●売られている茶葉を測定すると

  消費者は、市販茶の実態を知らねば自衛できない。われわれは2012年8月に
 スーパーなどで、煎茶、ほうじ茶、玄米茶など13種類を購入し、さいたま市の民間
 放射能測定所「さいたまラボ」に依頼して検査した。高い数値の茶菓があるかどうか
 を見つけるための検査なので検出限界は二〇ベクレル/㎏とした。
  その結果は上表Iのとおりだ。
 「不検出」の茶菓は、飲む状態では0.4ベクレルを下回るので、安心して飲むこと
 ができるだろう。 
  最も高かったのは静岡県産の煎茶で、211ベクレルだった。
  原発の中では、100ベクレルを超えると「低レベル放射性廃棄物」としてドラム
 缶に詰められ、許可がないと人が入れない倉庫に貯蔵されている。ところが、原発の
 外では、100ベクレルを超えた茶菓が販売されているのである。国は、国民にでき
 るだけ放射能をとらせないように、少なくとも100ベクレルを超えた茶菓は、貯蔵
 分も探し出して処分し、生産者、飲料メーカーに損害分を補償すべきだ。
  静岡県産でも「不検出」が一つあった。
 番茶は、「国産」は不検出で、「静岡県産」だと32.4ベクレルだった。
 ほうじ茶は、2種類とも「国産」で、不検出と、119ベクレルだ。この値もドラ
 ム缶に詰めて廃棄してもらいたいレベルである。
  玄米茶は、2種類とも「抹茶入り」の「国産」で、不検出と、31ベクレルだった。
 「国産」と害かれただけのお茶は産地がわからない。これでは放射能レベルを推定で
 きないため、消費者は避けるのが賢明だろう。

 ●勇気ある生産者「杉本園」

  放射能値が高かった2011年産の茶菓は、本来なら県が買い上げて処分すべき
 だったが、それを自ら率先して焼却処分した生産者を紹介しよう。
  静岡県島田市の牧ノ原台地で1993年から無農薬・無化学肥料で、お茶を有機・
 自然栽培してきた「杉本園」の杉本芳樹さん(60歳)と、その家族だ。
  2011年5月に収穫したお茶を荒茶にして検査すると152ベクレル、6月は
 85ベクレル、11月が19ベクレルだった。このときの基準は500ベクレルだ
 ったので問題はなく、数値を公表して販売を続けた。
 その後、二〇12年4月から新基準になり、お茶は飲む状態で10ベクレルと規制
 されるようになった。杉本さんのお茶は、庵れると最大でも2.5ベクレルにしかな
 らない。
  ところが、一般食品が100ベクレルで規制されるときに、152ベクレルの茶葉
 が混ざったお茶をお客さんに売ることはできないとして、杉本さんは思い切って、2
 011年に生産したお茶の二t強をすべて、焼却処分してしまったのだ。
  2012年5月のお茶は、荒茶で12ベクレルと10ベクレルだ。このお茶を淹れ
 ると、0.2ベクレル以下になる。
  7月になると、荒茶でもついに「不検出」となった。
  2011年はまた収穫を始め、販売を再開している。こういう生産者をみんなで応
 援しようではないか。「杉本園」「お茶畑からこんにちは」でネット検索すれば、ホ
 ームページがあり、そこから通信販売で購入することができる。

 
 麦茶

 ●10ベクレル/kgを超える放射能が含まれるものが多い

  麦茶の原料は六条大麦だ。生産量が多い県は、福井、富山、栃木、茨城、宮城、石
 川、新潟各県などだ。
  2011年に収穫した六条大麦は、栃木県産で1㎏当たり89ベクレル、茨城県産
 で340ベクレルだった。
  麦茶は、抽出液でなく、麦の線量が100ベクレルを超えると違反になる。規準を
 超えた麦茶は、市場に出ていない。

  全国麦茶工業協同組合による国産麦茶の検査では、2011年産から68ベクレル
 検出されている。2012年のデータが見つからなかったので、スーパーで茨城県産
 大麦を使用した麦茶を購入して検査すると、17ベクレルだった。茨城県と栃木県の
 シェアは、国産原料を用いている麦茶の3割で、これらには10ベクレル/㎏を超え
 る放射能が含まれていることが多いだろう。
  伊藤は、国産とカナダ産を原料にしていたが、震災後は、原料麦をカナダ産だけ
 にしている。カナダ産の麦なら農薬の心配もないから、安全である。

 
 ペットボトルのお茶


 ●宇治茶をベースにした「伊右衛門」はおすすめ
 

  茶菓のお茶は、産地を選んで買えば、放射能を避けることができる。
  ところが、大手ペットボトルメーカーのお茶は「国産茶葉100%」で、表示を見
 ても産地がわからない。基準を満たしているかどうかの検査はパスしているが、それ
 でも、放射能汚染ができるだけ少ない産地のお茶を選びたい。

  大手メーカーは、年間生産量の少なくとも半分以上の茶菓を確保した上で、ペット
 ボトルのお茶を生産している。
  そのため、原発事故後に新茶が生産されるようになっても、ごく一部の新茶ブラン

 ドを除けば、前年の茶菓を用いてペットボトルのお茶は生産されていた。
  ところが、お茶に放射能の不安があることが繰り返し報道されたので、ペットボト
 ルの水を飲む人が増えてお茶は売れなかった。そのため、どのメーカーも前年度の茶
 葉を年末までは用いていた。年が明けると、2011年産の茶葉に切り替えるメーカー
 が増えたが、皮肉なことに最後まで二〇一〇年産を使っていたのは静岡県産の茶菓を
 用いたペットボトルだった。震災前の一番安全な茶菓が、最も敬遠されたのである。
  だが、表示を見ても、いつ生産された茶菓かは書いていないので、消費者がこのよ
 うな行動を取るのはやむを得ない。
  すべてのペットボトル茶が震災後の茶菓になった今は、大手のペットボトルのお茶
 では、「伊右衛門」をおすすめする。真っ先に静岡茶の使用をやめて、宇治茶をべー
 スにしたお茶に切り替えたからだ。
  西日本では、産地名を冠したご当地茶を買うのがいい。

                 小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.168-177



 

【快適ライフ・マリネ】

(1)5百ミリリットル広口瓶
(2)野菜:ゆで大豆50グラム、にんじん1/2本、ピーマン1個、ミニトマト5個、
 赤カブ2個
(3)マリネ:食酢/250ミリリットル、水/75ミリリットル、砂糖/2~3杯、塩
 /小さじ 1、黒胡椒/5~10粒、クローブ/2~3個、月桂樹/1枚

●つくり方

(2)をサイコロに切る(にんじんはあらかじめボイル)→鍋に(3)を入れ沸騰し
放冷し→(1)に大豆、野菜とマリネ入れ→一晩放置
 

 

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量子スケールデバイス工学(4)

2014年02月03日 | デジタル革命渦論



 

 

   

【フード・ファントム・メナス(14)】 


3・11のように危機が迫ったとき、政府(=行政)機関が、極めて奇異な行動をとって
いた事例を、本著
書を読めばうかがい知ることができる。それが今夜の「穀物類の米」の
項で、また、次回の「緑茶」の項で知るところとなる。

  米

  ●福島県産は他県の米に化けた

  2011年10月12日、福島県で新米の放射性セシウム検査が終了し、すべての
 検体が暫定基準の500ベクレル/㎏を下回ったとして、佐藤雄平知事は「首都圏を
 中心に、安全性とおいしさを強調したい」と表明した。
  ところが、その直後に福島市のコメから630ベクレル/㎏検出されて、安全宣言
 は間違っていたことが、証明されてしまった。
  通常なら、これで販売は抑制されるだろう。しかし、その前に農林水産省が詐欺師
 のような販売を推奨していたのである。前年までに検査され、その検査証明が付いた
 空のコメ袋を売買しても違法ではないという事務連絡を、7月4日に出していたのだ。
  こういう使い古しのコメ空袋は「一空袋」といわれる。
 「福島県産米を扱っている米穀卸業者の倉庫に入ると、そこには、荷台ごとフォーク
 リフトで動かさないと歩くスペースがないほど、一空袋が山積みになっていた。すべ
  て県外のJAのもので、地元産のコメ袋は1枚もなかった」「福島県内各地のホーム

 センター、雑貨店などでも一空袋が大量に売られていて、バラ売りだと一枚18~1
 9円。一束20枚なら450~500円で、一束50枚なら1000円前後。すべて
 県外産のものだ」と、ジャーナリストの吾妻博勝氏が報告している。
  偽装の仕組みはこうである。福島県の新米は、福島県の検査証明の付いた米袋に一
 度は入れられる。それを、どこかでこっそり、前年までの他県の検査証明の付いた米
 袋に詰め替えて売るのである。
  中身が福島県のコメは、検査証明が付いている産地のコメに化けて流通し、検査の
 厳しい東京を避け、多くは関西に売られた。
  そんな実情を許せなかったので、知り合いの農業問題に詳しい活動家の岡田新一郎
 氏と一緒に、農林水産省に規制を強化するように申し入れた。
  すると、豊水省も動かざるを得ず、違反業者を探した。さらに、検査証明が付いた
 ままの一空袋を売買してはいけないと、事務連絡を事実上撤回する課長通知を出した。
  すでに福島県のコメが他県のコメに化けるように売り払われた後であることは残念
 だが、岡田氏の活躍で、2012年から改善できたことは一歩前進といえるだろう。

 ●福島県産米の安全性

 

  コメは、新基準の適用が2012年9月末まで免除されていた。
  10月からI㎏当たり100ベクレルの新基準を適用して検査が始まると、福島県
 各地で次々と基準を超えたコメが見つかった。だが、全袋検査の態勢を整えていたの
 で、一時は出荷停止になっても5~6日後には、検査をパスしたコメの出荷が認めら
 れた。
  スムーズに出荷されるようになると、佐藤雄平知事は福島県産米の安全宣言を行っ
 た。
  10月末までの検査結果を見ると、25ベクレル/㎏を超えるコメが0.2%で、
 99.8%のコメが25ベクレル/㎏以下の「不検出」だった。

  この「不検出」がくせ者で、10ベクレル/㎏だったら、体が痛む人が出てくるの
 に、25ベクレル/㎏以下は検査していないのだ。不安のある福島県産米を、なぜ、
 何とかして出荷しようとするのか。コメは余って困っているのだから、消費を減少さ
 せる施策を懸命に推進する農林水産省の姿勢は、滑稽といえる。
  コメは主食だから、汚染地での作付けを厳しく制限し、放射能を1ベクレル/㎏ま
 で検査して、それ以下を「不検出」にするのがいい。不安を徹底的に取り除かなけれ
 ば、お母さんのコメ離れが進むので、次の世代のコメ離れも進むことになる。
  小魚などの骨を食べてカルシウムを摂れば、こんなに差が開かないのだ。
  カルシウムとマグネシウムの比は二対一が望ましいので、牛乳をかけたところで、
 カルシウムの大部分は有効に働いていない可能性が高い。
  コーンフレークの多くは、栄養素を添加しているが、その栄養素は、比率のバラン
 スが悪いため、うまく働いていない可能性があるのだ。
  コーンフレークには、軽くかんでもサクサク感が出るようにメタリン酸ナトリウム
 を添加している商品もある。この添加物はミネラルを奪うので、コーンにせっかく含
 まれていた微量ミネラルを摂取できなくしてしまう。
  コーンフレークは、なるべく原材料のシンプルなものを選ぶのがいい。
  一番いいのは、「オーガニック・コーンフレーク」で、原材料は「有機コーングリ
 ッツ、有機砂糖、食塩」だ。
  複数の穀物に、何種類ものドライフルーツを入れて、人気が高まっている「グラ
 ノーラ」にすれば、コーンフレークと違って、ビタミンもミネラルもバランスがよく
 なる。これに牛乳を加えれば、かなり栄養バランスのいい食事になる。
  このグラノーラも、やはりピロリン酸ナトリウムなどのリン酸塩を添加していない
 ものを選ぶのがいい。宣伝の栄養成分表示を見ると、都合のいいものだけを抜き出し
 ているのでだまされやすいから、専門知識がある人しか見ない方がいい。


 ラーメン

 ●ラーメン・そば・うどんに年間2000tのリン酸塩

  インスタントのそば、うどんには、ミネラルを奪うリン酸塩が使われている。
  ラーメンに「リン酸塩」表示が見当たらないのは「かんすい」の中に隠しているか
 らで、袋麺には0.3g、カップ麺には0.2gぐらいリン酸塩が合まれている。
  ラーメンもそばもうどんも、同じくらいリン酸塩が使われているとすると、日本全
 体では、年間一丸億食の袋麺に570t、32億食のカップ麺に640t、合計で約
 1200tが使われている。
  この他に、生麺や業務用の麺もあり、立ち食いそば・うどんにも、保水効果を持た
 せるためにリン酸塩の使われたものがあるから、麺類全体でのリン酸塩の使用量は2
 000tを超えている。
  1000t以上使われている添加物は、化学調味料とリン酸塩だけだ。
  好みの大手メーカーのインスタントラーメンを食べたい人は、リン酸塩対策として
 煮干し粉を大さじ山盛り一杯と、半熟卵と野菜を入れて食べるのがいい
  かつては「かんすいを使っていなければラーメンではない」と言われたが、30年
 以上前に、生協や自然派の業者が、炭酸ナトリウムや重曹、卵の殼を焼いたアルカリ
 剤などを用いた「無かんすい」のインスタントラーメンを発売した。今では、自然派
 なら「無かんすい」「リン酸塩不使用」が当たり前になっている。
  プロの店の健康にいいラーメンは、ダシの煮干し、鶏がら、昆布、椎茸などから、
 ミネラルがスープに溶け出ている。いいラーメンを食べ続けていたら、ひどい手荒れ
 と、ひどい首痛が治った人がいて、彼は今、私の団体のスタッフになっている。
  残念ながら3・11以降は、いいラーメンでも、煮干し、昆布、椎茸の産地を確か
 めなければ、安心して食べることができなくなっている。
  まじめに無化学調味料に取り組んでいる「無化調」ラーメン店は、当然のように放
 射能汚染のない産地のものを選んでいるが、「無化調」店もさまざまだ。
  麺、具材、調味料のすべてが無添加であることを実現している「麺や七彩」のよう
 な店から、スープに化学調味料を直接入れないだけで、化学調味料や合成保存料入り
 の醤油で仕込んでいる店まである。評判を調べて、自ら食べ歩いて見つけるしかない。


 パン

 ●添加物の少ないパンは神戸屋やセブンーイレブン

 ●子ども食品が危ない! リン酸塩を多重使用する菓子パン

 「ミッキーマウスパン」「ポケモンパン」のような菓子パンばかりを子どもに食べさ
 せていると、ミネラル不足が促進されてしまう。
 「ミッキーマウス」のスナックサンド(タマゴ)は精製原材料がほとんどで、しかも
 「リン酸塩(隔)」が使用されている。
 「ポケモンシール入り」のピザパンには、「リン酸塩(陥)」の他にも「イーストフ
 ード」「pH調整剤」「調味料(アミノ酸等)」「酵素」など、リン酸塩を含む可能
 性のある添加物が含まれている。菓子パンを食べるときは、別の食材でミネラルを補
 給するように心がけよう。

 ●パンの添加物の臭素酸カリウムは、パーマ液の第二剤に使用される物質

  主食として歴史と伝統のあるパン。しかし、パンが健康にいいという話は聞かない
 ので、業界最大手のパンの健康度を調べてみよう。
  パン生地改良剤「臭素酸カリウム」は、パーマ液の第二剤にも使用されている。
  パーマに使う場合は、一剤でタンパク質の分子結合を切り、二剤で再結合させて、
 新たな髪の形を保っている。
  同じことをパンで行えば、少量の小麦粉をふくらませて、まるでパーマのように食
 パンの形を保つことができるのだ。
  しかし、日本で発ガン性が確認され、世界中で使用が禁止されていったのだが、日
 本では残留が確認されないことを条件にパンヘの使用が認められたままになっていた
  それをいいことに、トップメーカーが臭素酸カリウムの使用を再開したのである。
  価格が高い「芳醇」「サンロイヤル」などの食パンには、袋に臭素酸カリウムにつ
 いての注釈が書かれているから、使用しているかどうかを見分けることができる。だ
 が、業界をりIドするトップメーカーだけが、パーマ液で高級食パンのやわらかさを
 作り出している。
  添加物を控えめに使うのが、食品のトップメーカーの常識である。ところが、パン
 業界だけは「添加物は品質を向上させるために使用する」というメーカーがトップに
 君臨し、「ヴィ・ド・フランス」のようなベーカリーカフェチェーンまで展開してい
 る。このトップメーカーの安い食パン「モーニングスター」には、臭素酸カリウムを
 使用していないのが救いだが、「パンは健康にいい」という時代は来そうにない。

 ●ランチパックは、合成保存料使用

  秋葉原に専門店ができるほど人気なのが、「ランチパック」シリーズだ。年間約4

 億個も製造されている。ミミを切り落とした食パンを袋状にして具を閉じ込めたサン
 ドイッチで、種類が非常に多いのが特徴だ。
  地方の特産物を使用した地域限定品もある。具として惣菜が入っていることが多い
 のに、冷蔵ではなく常温で売られており、保存性を高める合成保存料(ソルビン酸K)
 や、リン酸塩が使用されている。
  
ハンバーガータイプの「調理パン」には、リン酸塩が使用されている。
  ソーセージやハムを使った「惣菜パン」は、品質保持のために合成保存料とリン酸
 塩を併用したものがほとんどである。
 「菓子パン」に共通しているのはホイップクリームを使用していること。ここにリン
 酸塩を入れてクリームのふわふわ感を維持しているのである。
 「ナイススティック抹茶クリーム&つぶあん」には、ソルビン酸Kが使用されていた
 が、リン酸塩が見当たらない。問い合わせると、原材料の「イーストフード」にリン
 酸塩が含まれていた。
 「pH調整剤」「膨脹剤」にもリン酸塩が隠れている。



 ●コンビニのパンではセブンイレブンが圧勝
 
  コンビニでは各社オリジナルの菓子パンを販売しており、各コンビニで似たような
 パンを購入して添加物を比べてみた。
  菓子パンは、日待ちを向上させるためにソルビン酸などの合成保存料をよく使用し
 ている。合成保存料は細菌やカビの増殖を抑えて腐敗を防ぐので、ヒトの腸内細菌へ
 の影響が心配されている。マザキには合成保存科不使用で作る技術があったわけだ。
  また、パンの大量生産や品質保持のためにリン酸塩が多用され、「イーストフード」
 「pH調整剤」「膨張剤」なども、リン酸塩を含む可能性がある。
  小麦粉、砂糖、植物油などの精製原材料を使った菓子パンに、ミネラルの吸収を阻
 害するリン酸塩を使用すると、ますますミネラル不足になる。そこで、「合成保存料」
 「リン酸塩」という観点から、コンビニの菓子パンを四段階に分けてみた。128ペ
 ージの表で商品ごとに○△×評価をお知らせしよう。
  ○は、合成保存料なし、リン酸塩なし、△は、合成保存料なし、リン酸塩使用、×
 は、合成保存料使用、リン酸塩使用である。
  リン酸塩については、使用の疑いがあるものも含めて評価している。残念ながら、
 食品添加物が無添加の菓子パンは、ほとんど見当たらなかった。
  ①白い生地にチョコを練りこんだパンだと、ヤマザキ製の商品に合成保存料が使用
 されていた。菓子パンは「保存料不使用だとリン酸塩の使用が増える」と言われるが、
 「保存料もリン酸塩も使わずに作れる」ことをセブンーイレブンの商品が示している。
  ②アップルパイ・アップルデニッシュだと、ヤマザキ製なのにサークルKサンクス
 とセブンーイレブンでは合成保存料を使用していない。消費期限に差はないから、ヤ

  ③ソーセージ惣菜パンだと、セブンーイレブンは2006年からハム・ソーセージ

 類のリン酸塩排除に取り組んでいる。神戸屋のパンは一般的には添加物が少ないが、
 ファミリーマートが売る神戸屋の惣菜パンは添加物が多いのでおすすめできない。
  ④エクレアで良かったのは、セブンーイレブンだけだ。
  コンビニのパンを添加物で評価すると、セブンーイレブンが格別に良かった。
  スーパーでは、神戸屋や敷島製パンなどの「イーストフード不使用」という表示を
 目安にすれば、添加物が少ないパンを選べる。ベーカリーでは、少々高くても、「イ
 ーストフード、乳化剤」無添加の神戸屋をおすすめする。
 

                        小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.116-128

 
●量子スケールデバイス工学(4)

図1

 


【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 下】 


昨夜のつづき。さて、昨今は、かって、『もはや、技術なし』との批判書が出版されたこ
とが嘘のよう電子デバイスのカンブリヤ紀の様相を見せているが、世界政治経済の幻想的
基軸が想定したように展開し、ある意味、将棋の終盤戦の詰め将棋状況に差しかかってい
る。そうわたし(たち)は考えていて、慎重に次の一手を読んでいる。もっともマッタ!
ありだけれど ^^;?! そのことは、さておき掲載をつづけることに。

下図4Aは、第2実施形態にかかる本発明の太陽電池200を説明する断面図であり、下図4
Bは、太陽電池200のバンド構造を説明する図である。図4Aでは、キャリア発生部2
1x、22x、23x、エネルギー選択移動部21y、22y、23y、及び、発光部2
1z、22z、23zの記載を省略している。図4Bでは、紙面上側ほど電子のエネルギ
ーが大きく、紙面下側ほど正孔のエネルギーが大きい。図4Bにおいて、「●」は電子、
「○」は正孔であり、図4A及び図4Bにおいて、太陽光は、紙面左側から右側へと進行
する。また、図5は、波長変換部20を説明する図である。図5では、波長変換粒子21、
22、23を簡略化して示している。図6は、波長変換粒子21、22、23を説明する
断面図であり、図7はバンド構造を説明する図である。図7では、右図側ほど電子のエネ
ルギーが大きく、左図側ほど正孔のエネルギーが大きい。また、図7において、「●」は
電子であり、「○」は正孔である。図4A、図4B、図5、図6、及び、図7において、
太陽電池100と同様の構成には、図1乃至図3で使用した符号と同一の符号を付し、そ
の説明を適宜省略する。



図4A及び図4Bに示したように、太陽電池200は、半導体材料を有する波長変換部20
と、半導体材料を有する光電変換部30と、を備えている。波長変換部20は、光電変換
部30よりも、太陽光の進行方向の上流側に配設されている。図5に示したように、波長
変換部20は、波長変換粒子21、21、…、波長変換粒子22、22、…、及び、波長
変換粒子23、23、…と、これらを分散させて保持する透明物質24と、を有している。

図6に示したように、波長変換粒子21は、キャリア発生部21xと、該キャリア発生部
21xの表面
を覆うように配置されたエネルギー選択移動部21yと、該エネルギー選択
移動部21yの表面を覆
うように配置された発光部21zと、を有している。キャリア発
生部21x、エネルギー選択移動部21y、及び、発光部21zは、何れも、半導体材料
によって構成されている。エネルギー選択移動部21yは、キャリア発生部21xの表面
に形成された第1障壁層21ya、該第1障壁層21yaの表面に形成された量子井戸層
21yb、及び、該量子井戸層21ybの表面に形成された第2障壁層21ycを有して
いる。波長変換粒子21では、その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部21x、
第1障壁層21ya、量子井戸層21yb、第2障壁層21yc、及び、発光部21zが
同心円状に配置されており、第1障壁層21ya及び第2障壁層21ycは、キャリアが
トンネル伝導により通過可能な厚さとされている



図7に示したように、波長変換粒子21は、キャリア発生部21xを構成する半導体材料
の伝導帯側に6つの離散準位が形成されており、キャリア発生部21xを構成する半導体
材料の価電子帯側に3つの離散準位が形成されている。キャリア発生部21xの伝導帯側
に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部21x
の価電子帯側に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位とのエネルギ
ー差はEg1aである。また、波長変換粒子21は、量子井戸層21ybを構成する半導
体材料の伝導帯側及び価電子帯側にそれぞれ1つの離散準位が形成されている。量子井戸
層21ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーEc1bは、キャリア発生
部21xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最も低
エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。Ec1bは、発光部21zの伝
導帯下端のエネルギーEc1cよりも図7の紙面上側に位置し、Ec1b-Ec1c≦
0.1eVとなるように調整されている。また、量子井戸層21ybの価電子帯側に形成
されている離散準位のエネルギーEv1qは、キャリア発生部21xの価電子帯側に形成
されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準
位のエネルギーと同一である。Ev1qは、発光部21zの価電子帯上端のエネルギーE
v1cよりも図7の紙面下側に位置し、|Ev1c-Ev1q|≦0.1eVとなるよう
に調整されている。波長変換粒子21において、Ec1cとEv1cとの差はEg2であ
る。


また、図6に示したように、波長変換粒子22は、キャリア発生部21xよりも直径が小
さいキャリア発生部22xと、該キャリア発生部22xの表面を覆うように配置されたエ
ネルギー選択移動部22yと、該エネルギー選択移動部22yの表面を覆うように配置さ
れた発光部22zと、を有している。キャリア発生部22x、エネルギー選択移動部22y、
及び、発光部22zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネルギー選択移
動部22yは、キャリア発生部22xの表面に形成された第1障壁層22ya、該第1障
壁層22yaの表面に形成された量子井戸層22yb、及び、該量子井戸層22ybの表
面に形成された第2障壁層22ycを有している。波長変換粒子22では、その中心側か
ら外側へ向かって、キャリア発生部22x、第1障壁層22ya、量子井戸層22yb、
第2障壁層22yc、及び、発光部22zが同心円状に配置されており、第1障壁層22ya
及び第2障壁層22ycは、キャリアがトンネル伝導により通過可能な厚さとされている

図7に示したように、波長変換粒子22は、キャリア発生部22xを構成する半導体材料
の伝導帯側に5つの離散準位が形成されており、キャリア発生部22xを構成する半導体
材料の価電子帯側に3つの離散準位が形成されている。キャリア発生部22xの伝導帯側
に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部22x
の価電子帯側に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位とのエネルギ
ー差はEg1b(>Eg1a)である。また、波長変換粒子22は、量子井戸層22yb
を構成する半導体材料の伝導帯側及び価電子帯側にそれぞれ1つの離散準位が形成されて
いる。量子井戸層22ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーEc1bは、
キャリア発生部22xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーで
もなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。Ec1bは、発光
部22zの伝導帯下端のエネルギーEc1cよりも図7の図右側に位置し、Ec1b-
Ec1c≦0.1eVとなるように調整されている。また、量子井戸層22ybの価電子
帯側に形成されている離散準位のエネルギーEv1qは、キャリア発生部22xの価電子
帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最も低エネルギーでも
ない離散準位のエネルギーと同一である。

また、図6に示したように、波長変換粒子23は、キャリア発生部22xよりも直径が小
さいキャリア発生部23xと、該キャリア発生部23xの表面を覆うように配置されたエ
ネルギー選択移動部23yと、該エネルギー選択移動部23yの表面を覆うように配置さ
れた発光部23zと、を有している。キャリア発生部23x、エネルギー選択移動部23y、
及び、発光部23zは、何れも、半導体材料によって構成されている。エネルギー選択移
動部23yは、キャリア発生部23xの表面に形成された第1障壁層23ya、該第1障
壁層23yaの表面に形成された量子井戸層23yb、及び、該量子井戸層23ybの表
面に形成された第2障壁層23ycを有している。波長変換粒子23では、その中心側か
ら外側へ向かって、キャリア発生部23x、第1障壁層23ya、量子井戸層23yb、
第2障壁層23yc、及び、発光部23zが同心円状に配置されており、第1障壁層23ya
及び第2障壁層23ycは、キャリアがトンネル伝導により通過可能な厚さとされている。

図7に示したように、波長変換粒子23は、キャリア発生部23xを構成する半導体材料
の伝導帯側に4つの離散準位が形成されており、キャリア発生部23xを構成する半導体
材料の価電子帯側に3つの離散準位が形成されている。キャリア発生部23xの伝導帯側
に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部23x
の価電子帯側に形成されている離散準位のうち最も低エネルギーの離散準位とのエネルギ
ー差はEg1c(>Eg1b>Eg1a)である。また、波長変換粒子23は、量子井戸
層23ybを構成する半導体材料の伝導帯側及び価電子帯側にそれぞれ1つの離散準位が
形成されている。量子井戸層23ybの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギー
Ec1bは、キャリア発生部23xの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高
エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。Ec1b
は、発光部23zの伝導帯下端のエネルギーEc1cよりも図7の図右側に位置し、Ec1b
-Ec1c≦0.1eVとなるように調整されている。また、量子井戸層23ybの価電
子帯側に形成されている離散準位のエネルギーEv1qは、キャリア発生部23xの価電
子帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーでもなく最も低エネルギーで
もない離散準位のエネルギーと同一である。

一方、図4Bに示したように、光電変換部30は、バンドギャップがEg3である半導体
材料を有している。光電変換部30は、バンドギャップがEg3であるn型半導体によっ
て構成されたn層31、及び、バンドギャップがEg3であるp型半導体によって構成さ
れたp層32を有し、n層31とp層32とが接合されることによって、pn接合33が
形成されている。図4Aに示したように、n層31には表面電極15が接続されており、
p層32には裏面電極14が接続されている。

太陽電池200へと照射された太陽光は、波長変換部20へと入射する。太陽光には様々
なエネルギーを有する光が含まれており、波長変換部20へ太陽光が入射すると、Eg1a
以上のエネルギーを有する光のみが吸収される。こうして光が吸収されると、様々なエネ
ルギーを有する電子が価電子帯から伝導帯へと励起され、価電子帯には様々なエネルギー
を有する正孔が形成される。すなわち、キャリア発生部21x、22x、23xに光が入
射すると、キャリア発生部21x、22x、23xを構成する半導体材料の伝導帯には図
4Bに示したような電子エネルギー分布が形成され、当該半導体材料の価電子帯には図4
Bに示したような正孔エネルギー分布が形成される。

                    「特開2014-017420 光電変換素子」 第65項まで
                            株式会社 豊田中央研究所

 

   Caterpyrun/キャタピラン/結ばないクツヒモ 

さて、奥州街道の仮想ローイングのこと。自治会の懇親会で、ジョキングを欠かさずやっ
てきた同年配の彼が走ることをやめて徒歩に切り替えたというので、どのぐらいの距離を
どの程度のスピードで反復しているのか尋ねたところ、毎時7キロを18キロ程度の距離
だという返事だった。そこで毎時6キロで最大斜度3°の1時間をルームランニングの設
定にすることにしたが、毎時7キロを最終目標にした。いずれ、肩の痛みがとれたなら、
上半身の筋肉トレーニングを組み込んでいこうとも思っている。

 

 

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量子スケールデバイス工学(3)

2014年02月02日 | デジタル革命渦論

 

  

 【奥州街道仮想ローイング 古河宿】




        草の戸も 住み替わる代ぞ ひなの家       松尾芭蕉

 

 月日は百代(はくだい)の過客(くわかく)にして行きかふ年もまた旅人な肌舟の上に生涯を浮か
 べ、馬の□をとらへて老いを過ふる者は日々旅にして旅をすみかとす。古人も多く旅に死せる
 あ肌子もいづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂泊の思ひやます、海浜にさすらへ、去年
 こそ)の秋、江上(かうしやう)の破屋(はおく)にもの巣を払ひで、やや年も暮れ、春立てる霞
 (
かすみ)の空に白河の関越えんと、そそる神の物につきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひ
 て
取るもの手につかす、ももひきの破れをつづり、笠の緒(を)つけ替へて、三里に灸すうるよ
 り、松島の月まづ心にかかりて、住める方(かた)は人に譲り、杉風(さんふう)が別墅(べつし
 よ)
に移るに

                              漂白の思ひ/『おくの細道』 

 


さて、今夜から奥州街道をはじめることになる。まずは古河宿(こがじゅく)から。古くは万葉集
にも登場、河川
交通の要所として、江戸時代には譜代大名の城下町、日光街道の宿場町として栄え
てきた。足利氏
とのつながりも深く、中世東国社会の政治文化において重要な位置を占めてきた古
河公方の拠点と
して知られている。

古河宿は、江戸時代の日光街道(日光道中)の宿場。下総国の古河城下に設けられ、現在は茨城県
古河市中央町・本町・横山町に相当する。日光街道の江戸・日本橋から数えて9番目の宿場。江戸
時代の全期を通じて、古河藩が管理していた古河三宿(中田・古河・野木)の一つである。天保14
年(1843年)の『日光道中宿村大概帳』によれば、本陣・脇本陣は1軒ずつ設けられ、旅籠が31軒
(大5,中6,小20)あった。宿内の家数は1,105軒、人口は3,865人であった。将軍家による日光社参
では、古河城は岩槻城・宇都宮城と並び、将軍の宿城とされており、日光街道における主要な宿場
の一つであった。日光社参のときには、従者の数が膨大になるため、通常の宿泊施設だけでは足り
ずに、城下の武家屋敷や町屋も割り当てられた。宿場は日光街道沿いの台町・一丁目・二丁目・横
町にあったが、渡良瀬川等による河川交通も発達していたことから、古河の町は日光街道から河岸
へ向けて折れ曲がった石町・江戸町等にも広がりT字型に形成されていた。大名が宿泊する本陣は
時期により異なるが、最もよく知られているのは二丁目にあったもので、現在、跡地には「本陣跡
碑」がある。脇本陣も二丁目にあったといわれる。



味が非常によく品質もすぐれた南瓜。側枝の発生が少なく密植でき、側枝かきの手間がかからない
省力品種。エビスかぼちゃと共に主流のかぼちゃである。現在はホクホク系の食味の主力は「栗系」
品種だが、一時期はホクホク系といえば「みやこ」として人気があった。

 

●カボチャ豚挽肉チーズコロッケラーメン 

このミヤコカボチャを使い、ご当地ラーメンを考えてみた。ベースを味噌ラーメンとして豚挽肉と
カボチャとチ
ーズでコロッケをこしらえ、一口大のボールコロッケを数個ラーメンにトッピングす
る。このときカボチャは皮
ごとフードプロセッサーで潰し混ぜ、塩・こしょう・チーズ(粉チーズ
でも骰子切りチーズでも自由) を加え丸め、小麦粉、卵、パン粉で衣をつくる。これをオリーブ

オイルで揚げれば完成(名前は、古河ハロウィンラーメンとしてみは?)。

 

●量子スケールデバイス工学(3)

 図1

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 中】 

昨夜に続き、今夜は具体的な量子ドット太陽電池の作製方法を注意深く掲載していくことにする。

また、太陽電池100では、p型半導体材料12aに移動した正孔とn型半導体材料12bに移動
した電子との
両者の界面における再結合を防ぐため、両者の界面に十分な幅の空乏層が形成される
ようなキャリア密度
となるように、ドーパント濃度を調整する必要がある。上述したように、太陽
電池100では、キャリア発生部16xa、16ya、16zaで生成された電子がn型半導体材
料12bへと達した後は、エネルギーがほとんど失われない。また、キャリア発生部16xa、
16ya、16zaで生成された正孔がp型半導体材料12aへと達した後は、エネルギーがほと
んど失われない。従来のホットキャリア型太陽電池では、太陽光を十分に吸収するためにキャリア
発生部の厚みが少なくとも100nm以上必要であり、キャリアがキャリア選択移動部へと達する
までの
エネルギー損失が大きく、変換効率向上の妨げとなっていた。これに対し、太陽電池100
では、キャリア発生部16xa、16ya、16zaの直径を制御して、キャリア発生部16xa、
16ya、16zaで発生させたキャリアがp型半導体材料12aやn型半導体材料12bへと達

するまでの移動距離を10nm以下程度にすることにより、移動時に失われるエネルギーを大幅に
低減することが可能になる。さらに、太陽電池100では、図7に示したように、p型半導体材料
12aの伝導帯下端がEc1bよりも紙面上側に位置し、p型半導体材料12aの伝導帯下端のエ
ネルギーと
Ec1bとの差が大きい。かかる形態とすることにより、キャリア発生部16xa、16ya、16za
で発生させた電子
がp型半導体材料12aへ移動し難くなるので、p型半導体材料12aにおいて
電子と正孔とが結合して消滅す
ることに伴うエネルギー損失を低減することができる。加えて、太
陽電池100では、図7に示したように、n型
半導体材料12bの価電子帯上端がEv1bよりも
紙面下側に位置し、n型半導体材料12bの価電子帯上端の
エネルギーとEv1bとの差が大きい。
かかる形態とすることにより、キャリア発生部16xa、16ya、16zaで発生させた正孔が
n型半導体材料12bへ移動し難くなるので、n型半導体材料12bにおいて電子と正孔とが結合
して消滅することに伴うエネルギー損失を低減することができる。したがって、本発明によれば、
光電変換効率を高めることが可能な太陽電池100を提供することができる(下図7参照)。図7

太陽電池100において、キャリア発生部16xa、16ya、16zaを構成する半導体材料の
バンドギャップは、例えば、0.4eV以上1.6eV以下とすることができる。キャリア発生部
16xaの直径は、例えば6nm以上20nm以下とすることができ、Eg1aは、例えば0.4
eV以上1.2eV以下とすることができる。また、キャリア発生部16yaの直径は、例えば4
nm以上18nm以下とすることができ、Eg1bは、例えば0.6eV以上1.4eV以下とす
ることができる。また、キャリア発生部16zaの直径は、例えば2nm以上16nm以下とする
ことができ、Eg1cは、例えば0.8eV以上1.6eV以下とすることができる。キャリア発
生部16xa、16ya、16zaの大きさを上記大きさにすると、量子効果により、キャリア発
生部16xa、16ya、16zaのバンドギャップはバルクのバンドギャップよりも大きくなる。
また、キャリア発生部16xa、16ya、16zaを構成可能な半導体材料としては、PbSe、
InAs、PbS、Ge、GaSb、GaAsSb、GaInAs、Si、InP、GaAs、
CdTe等を例示することができる。キャリア発生部16xa、16ya、16zaを、Ge、Si
等のIV族元素や、InAs、GaSb、GaAsSb、GaInAs、InP、GaAs等のⅢ-
V族化合物で構成する場合、キャリア発生部16xa、16ya、16zaは、有機金属気相成長
法(MOCVD)や分子線エピタキシ法(MBE)等の気相成長法によって作製することができる。
また、キャリア発生部16xa、16ya、16zaを、PbSe、PbS等のⅣ-Ⅵ族化合物や、
CdTe等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成する場合、キャリア発生部16xa、16ya、16zaはイ
オンプレーティングを含む真空蒸着法や、スパッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボサー
マル法
等の化学的合成法によって作製することができる。

     

この図をクリック!

また、量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqを構成する半導体材料のバンドギャップは、
例えば、0.6eV以上3.0eV以下とすることができる。また、量子井戸層16xbq、16ybq、
16zbqの厚さは、離散準位が形成される厚さにする等の観点から、例えば2nm以上10nm以下
とすることができる。量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqをこのような厚さにすると
、量子効果により、量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqのバンドギャップはバルクの
バンドギャップよりも大きくなる。また、量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqを構成
可能な半導体材料としては、Ge、GaSb、InPAs、GaAsSb、GaInAs、Si、
InP、GaAs、CdTe、CdSe、AlGaAs、GaInP、AlAs、ZnTe、Ga
P、CdS、ZnSe等を例示することができる。量子井戸層16xbq、16ybq、16
zbqを、
Ge、Si等のIV族元素や、GaSb、GaAsSb、GaInAs、InP、GaAs、Al
GaAs、GaInP、AlAs、GaP等のⅢ-V族化合物で構成する場合、量子井戸層
16xbq、
16ybq、16zbqは、有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線エピタキシ法
(MBE)
等の気相成長法によって作製することができる。また、量子井戸層16xbq、16ybq、16
zbqを、CdTe、CdSe、ZnTe、CdS、ZnSe等のⅡ-Ⅵ族化合物で構成する場合、
量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqは、イオンプレーティングを含む真空蒸着法や、
スパッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボサーマル法等の化学的合成法によって作製する
ことができる。 

化学的合成法を用いたキャリア生成粒子16xの作製法の具体例として、キャリア発生部16xa
にPbSe、第1障壁層16xba及び第2障壁層16xbbにZnS、量子井戸層16xbqに
CdTeを用いた場合について、以下に説明する。

●キャリア発生部16xaの合成

フラスコ(キャリア生成粒子16xの作製法に関する以下の説明において、「第1フラスコ」とい
う。)に、溶媒となるフェニルエーテル、オレイン酸、及び、トリオクチルフォスフィンと、Pb
源である酢酸鉛とを入れ、不活性ガス中で85℃程度に加熱することにより酢酸鉛を溶解した後、
45℃程度に冷却する。次いで、第1フラスコに、Se源であるセレン化トリオクチルフォスフィ
ンを加える。一方、第1フラスコとは別のフラスコ(キャリア生成粒子16xの作製法に関する以
下の説明において、「第2フラスコ」という。)にフェニルエーテルを入れ、不活性ガス中で200

℃程度に加熱する。その後、加熱された第2フラスコへ、Se源が加えられた第1フラスコ中の溶
液を注入し、120℃程度に冷却する。以上の過程を経ることにより、直径8nm程度のキャリア
発生部16xa(PbSe量子ドット)を生成することができる。PbSeのバンドギャップはバ
ルクでは0.27eVであるが、量子効果により0.5eV~1.2eV程度となる。なお、キャ
リア発生部16xaとは大きさが異なるキャリア発生部16yaやキャリア発生部16zaを作製
する際には、Se源が加えられた第1フラスコ中の溶液を加熱された第2フラスコへと注入した後
に冷却する際の冷却速度を速くしたり、冷却する時間や冷却完了温度を変更したりする等、作製条
件を適宜変更すれば良い。

●第1障壁層16xbaの合成

フラスコ(キャリア生成粒子16xの作製法に関する以下の説明において、「第3フラスコ」とい
う。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及び、S源で
あるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。その後、第3フラスコ
の溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100℃程度に冷却する。以上の過
程を経ることにより、キャリア発生部16xaの周囲に、厚さ3nm程度の第1障壁層16xba
(ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS層のバンドギャップは、
3.58eVである。

第2障壁層16xbbの合成

フラスコ(キャリア生成粒子16xの作製法に関する以下の説明において、「第5フラスコ」とい
う。)に、トリオクチルフォスフィンを入れ、さらに、Zn源であるジメチル亜鉛、及び、S源で
あるビストリメチルシリルサルファイドを加え、300℃程度に加熱する。その後、第5フラスコ
の溶液を、200℃程度に再加熱した第2フラスコへと加え、100℃程度に冷却する。以上の過
程を経ることにより、量子井戸層16xbqの周囲に、厚さ3nm程度の第2障壁層16xbb(
ZnS層)を形成することができる。このようにして形成したZnS層のバンドギャップは、
3.58eVである。こうして第2障壁層16xbbを形成したら、例えばメタノールを用いた洗
浄を行う工程を経て、キャリア生成粒子16xを得ることができる。


また、太陽電池100において、p型半導体材料12aとしては、ポリ3ヘキシルチオフェン(P
3HT)、ペンタセン、テトラセン、MDMO-PPV等の有機半導体を用いることができ、p型
半導体材料12aの形状は、粒子状、分子状、高分子状とすることができる。また、n型半導体材
料12bとしては、フラーレン(C60)、フラーレン誘導体(PCBM)、キノリノールアルミ
錯体等の有機半導体を用いることができ、n型半導体材料12bの形状は、粒子状、分子状、高分
子状とすることができる。また、混合pn材料層12に含まれる、キャリア生成粒子、p型半導体
材料12a、及び、n型半導体材料12bの混合比率は特に限定されず、例えば、質量比で、キャ
リア生成粒子:p型半導体材料12a:n型半導体材料12b=2:1:1とすることができる。
キャリア生成粒子、p型半導体材料12a、及び、n型半導体材料12bの混合比率は、それぞれ、
0.1倍~10倍の範囲で適宜変化させても良い。


また、p層11及びn層13を構成する半導体材料のバンドギャップは、例えば、0.9eV以上
3.0eV以下とすることができ、p層11及びn層13の厚さは例えば100nm程度とするこ
とができる。p層11は、GaAsSb、GaInAs、Si、InP、GaAs、CdTe、
CdSe、AlGaAs、GaInP、AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe等に公知
のp型不純物を添加することによって作製することができ、n層13は、ZnO、GaAsSb、
GaInAs、Si、InP、GaAs、CdTe、CdSe、AlGaAs、GaInP、
AlAs、ZnTe、GaP、CdS、ZnSe等に公知にn型不純物を添加することによって作
製することができる。このほか、p層11は、p型半導体材料12aと同様の材料によって構成す
ることも可能であり、n層13は、n型半導体材料12bと同様の材料によって構成することも可
能である。p層11やn層13に、Si等のⅣ族元素や、GaAsSb、GaInAs、InP、
GaAs、AlGaAs、GaInP、AlAs、GaP等のⅢ-Ⅴ族化合物を用いる場合、p層
11やn層13は、有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線エピタキシ法(MBE)等の気相
成長法によって作製することができる。また、p層11やn層13に、CdTe、CdSe、Zn
Te、CdS、ZnSe等のII-VI族化合物を用いる場合、p層11やn層13は、イオンプ
レーティングを含む真空蒸着法や、スパッタ法等の気相成長法や、ゾルゲル法、ソルボサーマル法
等の化学的合成法によって作製することができる。あるいは、ゾルゲル法、ソルボサーマル法等に
より粒子を合成した後、有機溶媒に混合し、スピンコート法やディップコート法等の塗布法、また
は、スクリーン印刷法やインクジェット法等の印刷法等により、p層11やn層13を形成すべき
物質の表面へ塗布した後、アニール処理を行うことによっても作製することができる。

また、表面電極15及び裏面電極14は、例えば蒸着法等の公知の方法によって作製することがで
きる。表面電極15は、例えばくし型形状のAl、Ag、Au等の金属材料、あるいは酸化インジ
ウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)
等の透明導電膜等、太陽電池の電極として使用可能な公知の材料を適宜用いることができ、裏面電
極14は、例えばAl、Ag、Au等、太陽電池の電極として使用可能な公知の材料を適宜用いる
ことができる。表面電極15及び裏面電極14の厚さは、例えば金属材料の場合は1~10μm、
透明導電膜の場合は0.1~1μm程度とすることができる。

このように構成される太陽電池100の製造方法の一形態を、以下に説明する。太陽電池100を
製造するには、まず、公知のガラスやプラスチック等の基板の上に、蒸着法等の公知の方法によっ
て、Al、Ag、Au等によって構成される裏面電極14を形成する。次いで、1~10質量%程
度となる量の、p層11を構成すべきp型半導体材料を、有機溶媒(例えば、キシレン、クロロホ
ルム、クロロベンゼン等。以下において同じ。)に混合して作製したp層用組成物を、スピンコー
ト法やディップコート法等の方法で裏面電極14の表面に塗布する。その後、室温で数十分~2時
間程度、又は、100℃程度の乾燥炉内で10分程度保持し、有機溶媒を蒸発させることにより、
p層11を形成する。こうしてp層11を形成したら、有機溶媒に、合計で1~10質量%程度と
なる量のキャリア生成粒子16x、p型半導体材料12a、及び、n型半導体材料12bを加える
ことにより、キャリア生成粒子16xを含む混合pn材料層用組成物を作製する。ここで、キャリ
ア生成粒子16xは上述の方法によって作製することができる。次いで、キャリア生成粒子16x
を含む混合pn材料層用組成物を、スピンコート法やディップコート法等の方法でp層11の表面
に塗布する。この際、p層11の表面に塗布したキャリア生成粒子16xを含む混合pn材料層用
組成物の厚さ方向に、キャリア生成粒子16x、16x、…が1つ含まれるように、キャリア生成
粒子16xを含む混合pn材料層用組成物を塗布する。p層11の表面にキャリア生成粒子16x
を含む混合pn材料層用組成物を塗布したら、乾燥させて有機溶媒を蒸発させる。有機溶媒を蒸発
させる乾燥は、例えば、室温で数十分~2時間程度、又は、100℃程度の乾燥炉内で10分程度
保持することによって行うことができる。その後、p層11の表面に、厚さ方向へ5~20個程度
のキャリア生成粒子16x、16x、…が配置されるように、キャリア生成粒子16xを含む混合
pn材料層用組成物の塗布及び乾燥を繰り返すことにより、混合pn材料層12のうち、キャリア
生成粒子16x、16x、…を配置した部位を形成する。キャリア生成粒子16x、16x、…を
配置した部位を形成したら、続いて、キャリア生成粒子16x、16x、…をキャリア生成粒子
16y、16y、…に代えるほかは、キャリア生成粒子16x、16x、…を配置した部位を形成
する方法と同様にして、キャリア生成粒子16x、16x、…を配置した部位の表面に、キャリア
生成粒子16y、16y、…を配置した部位を形成する。このようにして、キャリア生成粒子16y、
16y、…を配置した部位を形成したら、続いて、キャリア生成粒子16x、16x、…をキャリ
ア生成粒子16z、16z、…に代えるほかは、キャリア生成粒子16x、16x、…を配置した
部位を形成する方法と同様にして、キャリア生成粒子16y、16y、…を配置した部位の表面に、
キャリア生成粒子16z、16z、…を配置した部位を形成する。こうして混合pn材料層12を
形成したら、蒸着法等の公知の方法によって、混合pn材料層12の表面に、ZnO等によって構
成されるn層13を形成する。又は、1~10質量%程度となる量の、n層13を構成すべきn型
半導体材料を、有機溶媒に混合して作製したn層用組成物を、スピンコート法やディップコート法
等の方法で混合pn材料層12の表面に塗布した後、室温で数十分~2時間程度、又は、100℃
程度の乾燥炉内で10分程度保持し、有機溶媒を蒸発させることにより、n層13を形成する。こ
うしてn層13を形成したら、真空蒸着法等の公知の用法によって、くし型形状の金属材料、ある
いは透明導電膜等によって構成される表面電極15をn層13の表面に形成する。太陽電池100
は、例えばこのような過程を経ることにより、作製することができる。なお、太陽電池100を製
造する際の乾燥雰囲気は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい

太陽電池100に関する上記説明では、受光面に近い部位に、離散準位の間隔が広く且つ少数の離
散準位を有するキャリア生成粒子16z、16z、…が配置され、受光面から離れた部位に、離散
準位の間隔が狭く且つ多数の離散準位を有するキャリア生成粒子16x、16x、…が配置されて
いる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の光電変換素子が、混合pn材
料層を有する形態である場合、混合pn材料層には、離散準位の間隔及び数が異なる複数のキャリ
ア生成物質が一様に分散されている形態や、受光面側に離散準位の間隔が狭く多数の離散準位を有
するキャリア生成物質が配置され、受光面から離れた部位に離散準位の間隔が広く少数の離散準位
を有するキャリア生成物質が配置されている形態とすることも可能である。ただし、このように構
成すると、離散準位の間隔が狭く多数の離散準位を有するキャリア生成物質で多量のキャリアが生
成し、離散準位の間隔が広く少数の離散準位を有するキャリア生成物質では少量のキャリアが生成
する。このようにして、キャリア生成物質間でキャリアの濃度差が生じると、多量のキャリアが生
成したキャリア生成物質からn層やp層へキャリアが移動する途中で、少量のキャリアが生成した
キャリア生成物質へキャリアが移動し、n層やp層へ到達するキャリアの数が低減しやすい。した
がって、かかる事態を回避して光電変換効率を高めやすい形態にする等の観点から、混合pn材料
層の相対的に受光面に近い部位に配置されたキャリア生成物質のキャリア発生部は、混合pn材料
層の相対的に受光面から離れた部位に配置されたキャリア生成物質のキャリア発生部よりも、離散
準位の間隔が広く且つ少数の離散準位を有するように、複数のキャリア生成物質を配置することが
好ましい。

また、太陽電池100に関する上記説明では、価電子帯側に離散準位が形成されていない量子井戸
層16xbq、16ybq、16zbqが用いられる形態を例示したが、キャリア生成部で生じさ
せた電子及び正孔を、再結合させないようにしながらn層やp層へと移動させる形態(第1実施形
態にかかる本発明)の光電変換素子で使用可能な量子井戸層の形態は、これに限定されない。第1
実施形態にかかる本発明の光電変換素子には、伝導帯側及び価電子帯側のそれぞれに離散準位が形
成されている量子井戸層を用いることも可能である。

 

                       「特開2014-017420 光電変換素子」 第55項まで
                                株式会社 豊田中央研究所

 

 

 

複数人用救命ブイ:数人でも助けることが出来る救命ブイ。通常では丸い形だが、必要時に、それ
を細長い形に展開すれば、数人で同時に利用できる(上図クリック)。


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量子スケールデバイス工学(2)

2014年02月01日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

【遺伝と変異】


マウスの血液や皮膚などの細胞を弱酸性液(塩酸溶液:pH 5.7)に浸して刺激を与え、LIFを含
む培養液に移して培養し作成されたるだけで、人工多能性幹細胞(iPS細胞)のようにさまざま

な細胞になる万能細胞ができるSTAM(刺激惹起性多能性獲得細胞(Stimulus-Triggered Acquis-
ition of Pluripotency cells
)が
トップニュースで話題となっているが、そう簡単に商品化されるど
うか疑問符がつきまとう。まとうが、STAPを傷口に塗り込めばたちまち傷口が
縫合完治すと
なれば、それはそれでもの凄いことになるね?!と思ったりもする。同時に既成の生命細胞学の
見直しが根底から迫られる。そこで、書斎の1冊から次のサマリーを書き留めた(『もうひとつ
の万能細胞作製手法
』)。



       約38他年前に地球上に出現した生命は、以来めんめんと無生物には
      見られない、生物だけに見られる特徴を子孫に伝えてきた。親から子
      へは顔つきや背丈といった形質が遺伝されるが、遺伝されるうちで最
      も重要なのは生きていることである。この生命システムとでも呼ぶべ
      き性質を遺伝させる基本単位は細胞である。細胞が生命システムの最
      小の基本単位であることは、1個の細胞から、生物の最も高次の基本
      単位である個体がつくられることからも明らかである。
       卵細胞の中の生命システムにさまざまな情報が作用して、個体の形
      質や機能が発現する。情報は大きく分けて2づあり、ひとつは遺伝情
      報、もうひとつは環境情報である。遺伝情報をになっているのは通常
      DNAであり、この情報はシステムにくくりつけめ情報でありDNA
      の複製を通して子孫に遺伝する。一方、環境情報は外部からの偶有的
      な情報であり遺伝しない。          
       あるまとまった単位の遺伝情報をになうDNAは遺伝子と呼ぱれ、
      生命システムや環境情報が同じならば、形質の違いは遺伝子の違いに
      より決定される。したがって、DNAに突然変異が起きて遺伝子が変
      化し、これがになっている遺伝情報が変化すると形質もまた変異する。
      突然変異はシステムにくくりつけの情報の変化によるものであり、こ
      れは遺伝する。薬物や温度などの環境因子によって起こされる変異は、
      一過性の環境情報による変異で遺伝しない。
       実際の形質は、遺伝情報と環境情報がともにシステムに作用するこ
      とによって発現す発現可能な形質の範囲|を決めぐなひるめはシズテ
      ムであり、情報は可能性を限定し、形質を固定する作用をもつ。また
      システムを破壊する情報は致死因子であり、これが遺伝子に生じれば
      致死遺伝子となる。最も大きな遺伝的変異はシステム自体の変化であ
      るが、このメカニズムはまだ解明されていない。

      
                   池田清彦 著 『新しい生物学の教科書』 第2章 


そう、以前、著者である池田清彦は週刊誌の質問にこのように答えている。「iPS細胞は分化し
た細胞にいくつかの遺伝子を導入して作られるが、これらの遺伝子は他の遺伝子の活性を制御
する転写因子と呼ばれるタンパク質を作る遺伝子である。この導入された遺伝子が実際どんな
メカニズムで分化した細胞を未分化な細胞に戻しているかはブラックボックスでよくわかって
おらず、実際に分化した細胞に、初期化に必要な遺伝子を導入しても数百個に一個くらいしか
iPS細胞にならない。今のところ宝くじを当てているような状態なのだ。ES細胞由来のものに比
べがん化する確率も高く、これも究極原因は不明なため、試行錯誤でより安全なiPS細胞を開発
する必要がある。実用化にはまだ時間がかかると思う」と。

 

図1

【量子ドット太陽電池研究Ⅰ 上】 

今年になって、量子スケール電子デバイスである量子ドット太陽電池の最新技術の事例研究を行
ったので(『特開2014-017420 光電変換素子』、豊田中央研究所)、紙面の都合もあり、ここ
では3回に分け掲載してみようと思う。ところで、太陽光エネルギーを直接電力に変換できる太
陽電池は、次世代のクリーンエネルギー源として期
待されている。太陽電池設置面積は限られて
いるため、より多くの電力を得るためには光電変換
効率を向上させる必要があり、素子構造や作
製工程の最適化、主要な材料であるシリコンの高品質化
等の開発が進展している。例えば、下図
のように複数の半導体や絶縁体で構成し、光の吸収する光吸収層と電極間に設け、励起されたキ
ャリアを光吸収層側から電極側へ透過させる特定のエネルギー準位を、複数の半導体や絶縁体の
うち、片方にの半導体や絶縁体の伝導帯の下端エネルギー準位と同一のエネルギー選択性コンタ
クト準位を形成する部位を備えた光電変換装置が提案されている(図2参照)。

図2

また、可視光の波長に対応する大きさを有する面領域内に、異なるサイズの量子ドットが配置され
厚さ方向にはサイズが揃った量子ドットが配置されたキャリア発生層を有する太陽電池が提案され
ている(図3参照)。

図3

また、光を透過する材料の基体およびこれと接する波長変換層と蛍光体の発光を基体の側面から
取り出す集光装置と光電変換部から構成される光電変換装置が提案されている(図4参照)。

 図4

さらに、下図5には、規則配列した量子ドットと該量子ドットの隙間に形成された障壁層の光吸
収層の電
子取り出し端側にある第1エネルギー選択性コンタクトと、この外側に形成させた電子
取り出し電極と、光
吸収層の端側に形成された正孔取り出し電極と、光吸収層と正孔取り出し電
極との間に形成された第2
エネルギー選択性コンタクトから構成する光電変換素子が提案されて
いる。

図5

しかし、図2、図5で提案されている技術では、エネルギー選択性コンタクトを介して電子を取
り出すので、
これらの技術が提案される前の光電変換素子よりも、光電変換効率を高めることが
可能になると考えら
れるが、離散準位の数を増やすために量子ドットの形態(大きさや材料等)
を複数にする技術デザインは示されていないため、単一形態の量子ドットを用いるこれらの技術
では、生成される離散準位が限定されるため、幅広い波長範囲の光を吸収し難く、光電変換効率
の向上効果が不十分であった。これに対し図3の提案は、異なるサイズの量子ドットを用いてい
るので、幅広い波長範囲の光を吸収することが可能になると考えられるが、量子ドットを用いて
幅広い波長範囲の光を吸収しても、光吸収により生成された電子及び正孔を取り出す際のエネル
ギー損失を低減しなければ、光電変換効率の向上効果は不十分になる。図2、図5には、複数形
態の量子ドットを用いた光電変換素子において、光吸収により生成された電子及び正孔を取り出
す際のエネルギー損失を低減するための構成が開示されていず、これらの提案に示されている技
術を単に組み合わせても、光電変換効率の向上効果は不十分であった。

●問題解決案

少なくとも伝導帯側に離散的なエネルギー準位をもつキャリア発生部と、これの表面を覆うよう
に配置されたエネルギー選択移動部の構造の第1キャリア生成物質と第2キャリア生成物質をも
ち、エネルギー選択移動部は、キャリア発生部側から外側に向かい順に配置し、第1障壁層、量
子井戸層と、第2障壁層をもち、量子井戸層は少なくとも伝導帯側に、特定のエネルギーをもつ
電子の通過を許容する離散的なエネルギー準位をもち、第1キャリア生成物質のキャリア発生部
に形成される離散的なエネルギー準位と、第2キャリア生成物質のキャリア発生部に形成さする
離散的なエネルギー準位とが互いに異なり、また、第1キャリア生成物質のエネルギー選択移動
部に形成される離散的なエネルギー準位と、第2キャリア生成物質のエネルギー選択移動部に形
成される離散的なエネルギー準位とが等しいという手段にて、光電変換効率を高める(図1)。
 

●概要説明 

図1は、第1実施形態にかかる本発明の太陽電池100を説明する断面図で、p型半導体材料12a、
n型半導体材料12bと、キャリア生成粒子16x、16y、16zを簡略化して示している。下図6は、
キャリア生成粒子16x、16y、16zを説明する断面図であり、図6は、p型半導体材料12a、
n型半導体材料12bとキャリア生成粒子16x、16y、16zのバンド構造の説明図である

 図6


下図7は、p型半導体材料12a、n型半導体材料12b、及び、キャリア生成粒子16x、
16y、16zのバン
ド構造を説明する図である。図7では、右側ほど電子のエネルギーが大き
く、紙面下側ほど正孔の
エネルギーが大きい。図7における「●」は電子であり、「○」は正孔
である。

図7

なお、上図1に示したように、太陽電池100は、p層11及びn層13、並びに、p層11と
n層13との間に配設された混合pn材料層12で構成。p層11には裏面電極14が接続され、
n層13には表面電極15が接続されている。混合pn材料層12は、p型半導体材料12a、
12aと、n型半導体材料12b、12bをで構成し、さらに、p型半導体材料12a、12a
…と、n型半導体材料12b、12b…に接触しているキャリア生成粒子16x、16xとキャ
リア生成粒子16y、16y、…とキャリア生成粒子16z、16z…をもつ。混合pn材料層
12は、p型半導体材料12a、12a…の一部はp層11と接触あるいは複数のp型半導体材
料12a、12a、…の接触を介し、p層11に接触しており、p型半導体材料12a、12a
…からp層11へ正孔が移動可能なように構成されている。また、n型半導体材料12b、12b、
…の一部はn層13と接触あるいは複数のn型半導体材料12b、12b、…の接触を介しn層
13に接触し、n型半導体材料12b、12b、…からn層13へ電子が移動可能なように構成
されている。p層11を構成する半導体材料の価電子帯上端のエネルギーは、p型半導体材料
12aの価電子帯上端のエネルギーと同程度で、n層13を構成する半導体材料の伝導帯下端の
エネルギーは、n型半導体材料12bの伝導帯下端のエネルギーと同程度。混合pn材料層12
において、受光面であるn層13に近い部位にキャリア生成粒子16z、16z、…が配置され
p層11に近い部位にキャリア生成粒子16x、16x、…が配置され、キャリア生成粒子16z、
16z、…が配置されている部位とキャリア生成粒子16x、16x、…が配置されている部位
との間に、キャリア生成粒子16y、16y、…が配置される。

図6に示したように、キャリア生成粒子16xは、キャリア発生部16xaと、キャリア発生部
16xaの表面を覆うように配置されたエネルギー選択移動部16xbとで構成。キャリア発生
部16xaとエネルギー選択移動部16xbは、何れも、半導体材料によって構成されている。
エネルギー選択移動部16xbは、キャリア発生部16xaの表面に形成された第1障壁層16
xba、該第1障壁層16xbaの表面に形成された量子井戸層16xbq、及び、該量子井戸
層16xbqの表面に形成された第2障壁層16xbbを有している。キャリア生成粒子16x
では、その中心側から外側へ向かって、キャリア発生部16xa、第1障壁層16xba、量子
井戸層16xbq、及び、第2障壁層16xbbが同心円状に配置されており、第1障壁層16
xba及び第2障壁層16xbbは、キャリアがトンネル伝導により通過可能な厚さとされてい
る。

図6に示したように、キャリア生成粒子16xは、キャリア発生部16xaを構成する半導体材
料の伝導帯側に8つの離散準位が形成されており、キャリア発生部16xaの価電子帯側には離
散準位が形成されていない。キャリア発生部16xaの伝導帯側に形成されている離散準位のう
ち最も低エネルギーの離散準位と、キャリア発生部16xaの価電子帯上端のエネルギーEv1
xaとの差はEg1aである。また、キャリア生成粒子16xは、量子井戸層16xbqを構成
する半導体材料の伝導帯側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層16xbqの価電子
帯側には離散準位が形成されていない。量子井戸層16xbqの伝導帯側に形成されている離散
準位のエネルギーEc1bは、キャリア発生部16xaの伝導帯側に形成されている離散準位の
うち、最も高エネルギーでもなく最も低エネルギーでもない離散準位のエネルギーと同一である。
Ec1bは、n型半導体材料12bの伝導帯下端のエネルギーEc1cよりも図7の右側に位置
し、Ec1b-Ec1c≦0.1eVとなるように調整されている。また、量子井戸層16xbq
の価電子帯上端のエネルギーEv1bは、Ev1xaよりも図7の右側に位置し、また、p
型半導体材料12aの価電子帯上端のエネルギーEv1cよりも図7の左側に位置している。E
v1xa、Ev1b、及び、Ev1cは、それぞれ、|Ev1b-Ev1xa|≦0.1eV
また、|Ev1c-Ev1b|≦0.1eVとなるように調整されている。キャリア生成粒子16x
において、Ec1cとEv1cとの差はEg2である。

また、図7に示したように、キャリア生成粒子16yは、キャリア発生部16yaを構成する半
導体材料の伝導
帯側に6つの離散準位が形成されており、キャリア発生部16yaの価電子帯側
には離散準位が形成され
ていない。キャリア発生部16yaの伝導帯側に形成されている離散準
位の間隔は、キャリア発生部16xa
の伝導帯側に形成されている離散準位の間隔よりも広く、
キャリア発生部16xaの伝導帯側に形成されて
いる離散準位の一部、及び、キャリア発生部16
yaの伝導帯側に形成されている離散準位の一部は、互
いにエネルギーが異なっている。キャリ
ア発生部16yaの伝導帯側に形成されている離散準位のうち最も
低エネルギーの離散準位と、
キャリア発生部16yaの価電子帯上端のエネルギーEv1yaとの差はEg1b(
>Eg1a)
である。また、キャリア生成粒子16yは、量子井戸層16ybqを構成する半導体材料の伝導
側に1つの離散準位が形成されており、量子井戸層16ybqの価電子帯側には離散準位が形
成されてい
ない。量子井戸層16ybqの伝導帯側に形成されている離散準位のエネルギーEc1b
は、キャリア発生部
16yaの伝導帯側に形成されている離散準位のうち、最も高エネルギーで
もなく最も低エネルギーでもない
離散準位のエネルギーと同一である。また、量子井戸層16y
bqの価電子帯上端のエネルギーEv1bは、
Ev1yaよりも図7の右側に位置し、またp型
半導体材料12aの価電子帯上端のエネルギーEv1cよ
りも図7の左側に位置している。Ev
1ya及びEv1bは、|Ev1b-Ev1ya|≦0.1eVとなるように調整され
ている。

太陽電池100に太陽光が照射されると、太陽光の一部がn層13に吸収され、n層13に吸収
されなかった太陽光(以下において、単に「光」ということがある。)が混合pn材料層12へ
と達する。n層13のバンドギャップはn型半導体材料12bのバンドギャップと同程度、また
n層13の伝導帯下端のエネルギーはn型半導体材料12bの伝導帯下端のエネルギーと同程度
であり、n層13、n型半導体材料12b、及び、p型半導体材料12aのバンドギャップは、
太陽光に含まれている様々なエネルギーの光のうち、高エネルギーの光(例えば紫外線)のみを
吸収可能なように調整されている。それゆえ、太陽電池100に太陽光が照射されると、高エネ
ルギーの光がn層13によって吸収され、n層13で電子及び正孔が形成される。そして、n層
13によって吸収されなかった光が混合pn材料層12に吸収される。

図7に示したように、混合pn材料層12を構成する半導体材料の中では、キャリア発生部16xa
を構成する半導体材料のエネルギー差Eg1aが最小であり、Eg1a<Eg1b<Eg1c<
Eg2となっている。そのため、混合pn材料層12へ光が達すると、Eg1a以上のエネルギ
ーを有する光が吸収される。こうして光が吸収されると、様々なエネルギーを有する電子が、キ
ャリア発生部16xa、16ya、16zaを構成する半導体材料の価電子帯から伝導帯の離散
準位へと励起され、当該半導体材料の価電子帯には正孔が形成される。

キャリア発生部16xaで生成された電子のうち、量子井戸層16xbqを構成する半導体材料
の伝導帯に形
成されている離散準位のエネルギーEc1bと一致するエネルギーを有する電子は、
トンネル伝導によりエ
ネルギー選択移動部16xbを通過して、n型半導体材料12bの伝導帯
へと達することができる。ここで、
上述したように、Ec1b-Ec1c≦0.1eVとなるよ
うに調整されているので、エネルギー選択移動部16xbを通過した電子は、ほとんどエネルギ
ーを失うことなくn型半導体材料12bへと達する。こうしてn型半導体材料12bへと達した
電子は、n型半導体材料12bを移動してn層13へと移動し、n層13に接続されている表面
電極15へと収集される。

キャリア発生部16xaで生成された電子のうち、Ec1bとは異なるエネルギーを有する電子
は、相互にエネルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。こうして量子
井戸層16xbqの伝導帯側に形成されている離散準位と同じエネルギーEc1bを有すること
になった電子は、相互にエネルギーの授受を行うことなくEc1bと一致した上記電子と同様に、
トンネル伝導によりエネルギー選択移動部16xbを通過してn型半導体材料12bへと達する。
そして、n型半導体材料12bへと達した電子は、n型半導体材料12bを移動してn層13へ
と移動し、n層13に接続されている表面電極15へと収集される。


一方、キャリア発生部16xaで生成された正孔は、エネルギー選択移動部16xbを経由して、
p型半導体材料12aの価電子帯へと達することができる。ここで、上述したように、|Ev1b
-Ev1xa|≦0.1eV、また、|Ev1c-Ev1b|≦0.1eVとなるように調整さ
れているので、エネルギー選択移動部16xbを通過した正孔は、ほとんどエネルギーを失うこ
となくp型半導体材料12aへと達する。こうしてp型半導体材料12aへと達した正孔は、p
型半導体材料12aを移動してp層11へと移動し、p層11に接続されている裏面電極14へ
と収集される。


また、キャリア発生部16xaの場合と同様に、キャリア発生部16yaで生成された電子のう
ち、Ec1bと一致するエネルギーを有する電子は、トンネル伝導によりエネルギー選択移動部
16ybを通過して、n型半導体材料12bの伝導帯へと達することができる。ここで、上述し
たように、Ec1b-Ec1c≦0.1eVとなるように調整されているので、エネルギー選択
移動部16ybを通過した電子は、ほとんどエネルギーを失うことなくn型半導体材料12bへ
と達する。こうしてn型半導体材料12bへと達した電子は、n型半導体材料12bを移動して
n層13へと移動し、n層13に接続されている表面電極15へと収集される。


キャリア発生部16yaで生成された電子のうち、Ec1bとは異なるエネルギーを有する電子
は、相互にエネルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。こうして量子
井戸層16ybqの伝導帯側に形成されている離散準位と同じエネルギーEc1bを有すること
になった電子は、相互にエネルギーの授受を行うことなくEc1bと一致した上記電子と同様に
トンネル伝導によりエネルギー選択移動部16ybを通過してn型半導体材料12bへと達する。
そして、n型半導体材料12bへと達した電子は、n型半導体材料12bを移動してn層13へ
と移動し、n層13に接続されている表面電極15へと収集される。


これに対し、キャリア発生部16yaで生成された正孔は、エネルギー選択移動部16ybを経
由して、p型半導体材料12aの価電子帯へと達することができる。ここで、上述したように、
|Ev1b-Ev1ya|≦0.1eV、また、|Ev1c-Ev1b|≦0.1eVとなるよ
うに調整されているので、エネルギー選択移動部16ybを通過した正孔は、ほとんどエネルギ
ーを失うことなくp型半導体材料12aへと達する。こうしてp型半導体材料12aへと達した
正孔は、p型半導体材料12aを移動してp層11へと移動し、p層11に接続されている裏面
電極14へと収集される。


また、キャリア発生部16xaやキャリア発生部16yaの場合と同様に、キャリア発生部16
zaで生成された電子のうち、Ec1bと一致するエネルギーを有する電子は、トンネル伝導に
よりエネルギー選択移動部16zbを通過して、n型半導体材料12bの伝導帯へと達すること
ができる。ここで、上述したように、Ec1b-Ec1c≦0.1eVとなるように調整されて
いるので、エネルギー選択移動部16zbを通過した電子は、ほとんどエネルギーを失うことな
くn型半導体材料12bへと達する。こうしてn型半導体材料12bへと達した電子は、n型半
導体材料12bを移動してn層13へと移動し、n層13に接続されている表面電極15へと収
集される。


キャリア発生部16zaで生成された電子のうち、Ec1bとは異なるエネルギーを有する電子
は、相互にエネルギーの授受を行い、一部の電子のエネルギーはEc1bになる。こうして量子
井戸層16zbqの伝導帯側に形成されている離散準位と同じエネルギーEc1bを有すること
になった電子は、相互にエネルギーの授受を行うことなくEc1bと一致した上記電子と同様に、
トンネル伝導によりエネルギー選択移動部16zbを通過してn型半導体材料12bへと達する。
そして、n型半導体材料12bへと達した電子は、n型半導体材料12bを移動してn層13へ
と移動し、n層13に接続されている表面電極15へと収集される。


これに対し、キャリア発生部16zaで生成された正孔は、エネルギー選択移動部16zbを経
由して、p型半導体材料12aの価電子帯へと達することができる。ここで、上述したように、
|Ev1b-Ev1za|≦0.1eV、且つ、|Ev1c-Ev1b|≦0.1eVとなるよ
うに調整されているので、エネルギー選択移動部16zbを通過した正孔は、ほとんどエネルギ
ーを失うことなくp型半導体材料12aへと達する。こうしてp型半導体材料12aへと達した
正孔は、p型半導体材料12aを移動してp層11へと移動し、p層11に接続されている裏面
電極14へと収集される。


このように、太陽電池100では、キャリア発生部16xaで発生させた電子を、エネルギー選
択移動部16xb、n型半導体材料12b、及び、n層13を経由して表面電極15へと移動さ
せる。同様に、キャリア発生部16yaで発生させた電子を、エネルギー選択移動部16yb、
n型半導体材料12b、及び、n層13を経由して表面電極15へと移動させ、キャリア発生部
16zaで発生させた電子を、エネルギー選択移動部16zb、n型半導体材料12bと、n層
13を経由して表面電極15へと移動させる。また、キャリア発生部16xaで発生させた正孔
を、エネルギー選択移動部16xb、p型半導体材料12a、及び、p層11を経由して裏面電
極14へと移動させる。同様に、キャリア発生部16yaで発生させた正孔を、エネルギー選択
移動部16yb、p型半導体材料12a、及び、p層11を経由して裏面電極14へと移動させ、
キャリア発生部16zaで発生させた電子を、エネルギー選択移動部16zb、p型半導体材料
12a、及び、p層11を経由して裏面電極14へと移動させる。電子及び正孔をこのように移
動させることにより、電気エネルギーを得ることができる。太陽電池100には、複数種類のキ
ャリア生成粒子16x、16y、16zが含まれているので、単一形態のキャリア生成粒子が用
いられる場合と比較して、エネルギーがEg1a以上である幅広い帯域の光を吸収することがで
きる。加えて、太陽電池100では、キャリア発生部16xa、16ya、16zaの大きさを
それぞれ変えても、量子井戸層16xbq、16ybq、16zbqの伝導帯側に形成される離
散準位のエネルギーをEc1bにしている。そのため、キャリア発生部16xaから移動してき
た電子も、キャリア発生部16yaから移動してきた電子も、キャリア発生部16zaから移動
してきた電子も、エネルギーを等しくすることができる。このような形態とすることで、n型半
導体材料12bやn層13の伝導帯下端のエネルギーを、キャリア生成粒子から取り出される電
子のエネルギーに合わせやすくなり、その結果、光電変換効率を高めることが可能になる。

 
                    「特開2014-017420 光電変換素子」 第40項まで
                              株式会社 豊田中央研究所

 

 

 



                     

 

 

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