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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

大満月に吠える

2016年11月13日 | 創作料理

 

 

            詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。
            詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。

                                           萩原 朔太郎  『月に吠える』

 

      私は詩を思ふと、烈しい人間のなやみとそのよろこびとをかんずる。
      詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。
           詩を思ふとき、私は人情のいぢらしさに自然と涙ぐましくなる。


                                                                                                               
                                                                                                                  萩原朔太郎
                                                                                                         Nov. 1, 1886 - May 11, 1942






 

 

この季節になとかならずオリーブと柿の話となる。ところで、原産地が鹿児島県長島のみかんは江戸
時代には紀州みかんとよばれ、その温州ミカンは、米国ではクリスマス・オレンジとして広まり、い
までは「TVオレンジ」(炬燵みかんに由来)として親しまれているが、柿は海外でどの程度食べら
れているのだろうか。FAO(国際連合食糧農業機関)の統計では、生産量の第1位は中国、次いで
韓国で、日本は第3位、
日本に次いで第4位はブラジル、第6位がイタリア。ヨーロッパでは熟した
柿をスプーンですくって食べるというスタイルが多いという話がよく聞かれます。フランスの市場に
おいて、パーシモンではなく「KAKI」として流通していたという話もあるから日本が原産と考え
られている
欧州やアジアで伝統的に柿が食されている地域では、熟した柿をスプーンで救って食べ
るスタイルが多くみられ、米国では、先住民が在来種のアメリカガキの干し柿を保存食として食べて
いたとされており、パーシモン(persimmon)という名前も米国先住民の言葉だといわれている。 柿は
沢庵漬けに柿の皮を入れたり、なますの材料に使われたりするように、ダイコンとの相性がよく、大
根おろしに柿を使っている。


ところで、彼女は柿は値段が高いという(果物全体、他の食品と比べ高いとも)。柿、イチヂク、ビ
ワは世界的にマイナーな作物だったり、日本人しか生食しなかったりで、輸入されず――リンゴの自
給率は60%程度、40%は輸入。柑橘類も、ミカンや柚子は国産が多いが、オレンジ、レモン、グ
レープフルーツ等は輸入が多く、輸入が多い作物は連動し価格は下がらないというメカニズムが働き
も手伝って下がらない。それでは、沢山流通するようにすれば良いのでは?そのために、加工技術を
磨き、用途を広めれば良いのでは?それだけではなく、無駄のできないようにすれば良いのではない
か?とそんなことを考えていると、柿を1000種類ほどがある中、〝会津みしらず柿”――福島県
会津若松市では400年以上前から栽培されてきた―――が、たまたま、NHKの「うまいッそ」と
いう番組で今朝、紹介放送されていた。この〝会津みしらず柿”は 実は渋柿。その渋抜き法に見入
った。渋消し方法やレシピについては番組の紹介の公式HPを参照(下図ダブクリ)してもらうこと
として、番組で紹介された「渋消し法」「渋戻り防止法」の食品工学に焦点をあてる。


その種類と産地によって様々なものがあるが、大きく分けて甘と渋とに分けられている。甘
成熟した実の段階で既に渋であるタンニンが不溶性の化合物に変化していることで渋味はないが
タンニンが水溶性のまま存在するために渋味が強くそのままでは食用にはならない。甘
未成熟のものは渋味が残るが、渋味を持つは渋抜きと呼ばれる処理をして食される。


渋抜きには古来より様々な方法がとられてきた。(1)焼酎などのアルコールを吹きかけ一定期間密
封することで渋を抜く方法や、(2)収穫の前のに袋を被せて、この中の固形アルコールを封入す
る方法、あるいは二酸化炭素を使う方法、(3)皮をむいて長期間、天日や遠赤外線にさらす方法な
どがあり、いずれも渋の分子構造を変化させて不溶化し不活性にするものである。


しかし、(1)これらの方法は渋抜きに数日から数ヶ月と長期間を要することと、(2)渋を抜いて
から加工する段階で、特にジャムやプリンを製造する場合に加熱を伴うと、渋戻りという渋味が戻っ
てしまうという現象が頻繁に起こることから、食材としての加工性に少なからぬ障害がある。

(3)
また粉砕した果肉に、ゼラチンや牛乳、卵白、大豆蛋白などの蛋白質を加えて加熱攪拌する方
法も提案されているが、この方法はゲル化する性質があり、粘性が強いなど性状的に良好に混合でき
ない。添加剤としては大量に加える必要があることなどが原因となり、本来のの味が大幅に損なわ
れたり、新たに悪味を生じ、そのままでは渋味を無くす添加剤として実用には至っていない。さらに、
(4)アルコールに酢酸、アミノカルボン酸やオキシカルボン酸を加えた溶液で処理する方法も提案
されているが、この方法も加熱により渋味が戻り、後味が悪くなる問題がある(下表参照)。



表1の結果からアミノ酸や、ミルクカゼインは、悪味があり食品としては不適、またゼラチンを10
重量%添加したものは、渋味は少ないが粘性が高く混合不良。
またアルコールで脱渋した渋を加熱
した場合に、渋戻りする現象に対して、タンパク質などを添加しておいて、渋戻り防止した場合の、
残留するタンニンの量と官能評価の結果は表2となる。 

表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は1.4(mg/g)であるが、これを
加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質
、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの量が1.6~2.6(mg/g)で何
れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている


 


というわけで、上記問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに短時間で簡単な操作により渋
味を無くし、さらに 脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法が「特開2010-227068 
柿の脱渋方法」を提供されている。表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は、
1.4(mg/g)であるが、これを加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タ
ンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの
量が1.6~2.6(mg/g)で何れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。
問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに、短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さら
に脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法を提供するものである。

 特開2010-227068

【図2】実施例で説明したコラーゲンペプチドの添加量と、残留する柿タンニン量との関係を示すグラフ

【概要】

柿渋である柿タンニンを含む柿に、均分子量が3000~5000のコラーゲンペプチドを加え、
粉砕・
混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することで、少量の添加で柿
の風味を損ねずに
短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さらに脱渋後の加熱による渋戻りの現象
を防止した柿の脱渋方法
を提供する。

ここで、添加剤として使用するコラーゲンペプチドは、摂取された場合に人体に必要なコラーゲンの
原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することができるため皮膚の状態を改善する効果があ
るとされており、多く摂取したり例え未反応なものを摂取したりしても人体に安全でむしろ有益であ
る。柿の脱渋方法は、コラーゲンペプチドの平均分子量を3000~5000に規定することにより
水に溶けやすく、ゲル化せず、極めて高い安定性と保水力を有すると共に、悪味の発生を防止するこ
とができる(例えば、コラーゲン原料として豚皮などがある)。

柿渋は一般にタンニンと呼ばれる化合物の1つであり、図1のような分子構造を持っている。このタ
ンニンの性
質の1つでタンパク質と良好に反応するという特徴がある。その反応機構は、タンニンと
加えるタンパク質の組
み合わせにより様々であると考えられているが、その1つとしてタンニンのフ
ェノール性水酸基とタンパク質のア
ミノ基との間で静電的に強固な結合が生じて分子同士が絡み合う
というものがある。すなわち、図1の水酸基(-OH)が-Oとなり、タンパク質のアミノ基が-
NHとなり結合を形成するというものである。一般にタンニンの渋味はフェノール性水酸基に由

来するものとされているため、この反応により脱渋ができることとなる。 渋味を持つ柿への添加剤
として、食用となる化合物で、アミノ基を有した反応に有効な分子構造を持つコラーゲンペプチドを
用いることにより、加熱後も渋戻りせず、柿の風味を保持することができる。また、コラーゲンペプチ
ドは、近年になり酵素分解、酸分解や発酵によりタンパク質を低分子化する技術が開発され、コラーゲン、ゼ
ラチンを原料として低分子化し、余分な成分が取り除かれたものである。


柿タンニンの主成分であるShibuolの分子構造である。


般的にコラーゲンペプチドといっても様々なものがあるが、本発明で使用できるものは、タンパク質
の構成化合物であるアミノ酸が50残基以下でつながったものを指し、平均分子量が3000~50
00のものに限られる。このコラーゲンを分解して作るコラーゲンペプチドは、水に溶けやすく、ゲ
ル化せず、極めて高い安定性と保水力を有する。コラーゲンペプチドの平均分子量が3000以上と
したのは、添加剤が食用となるタンパク質由来であっても、反応に有効な分子構造を多く持ち、味に
変化を生じない程度の分子量を持つもので、アミノ酸をはじめとして分子量が小さすぎるものは化学
反応自体には優位であるが、添加剤自体が悪味となり味覚に悪影響を及ぼすからである。また分子量
が5000を超える大きいものは柿との混合操作に影響するため、化学反応に不均一が生じる上、製
造過程での操作に負担がかかり添加量も多くなるので、この範囲が好ましい。渋味を持つ柿に対する
ラーゲンペプチドの添加量は、その柿が含有する柿タンニンの量に応じて決められる。処理後の柿
に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/g以下になるようにコラーゲンペプチドで過不足
無く反応させることにより、渋味が残らず、加熱による渋戻りを防止することができる。なお、処理
後の柿に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/gを超えると、強い渋味が残るのでこの
囲に規定した。   

処理する柿は、収穫したままの渋柿でも、アルコールで渋抜きした柿を用いても良い。この原料とな
る柿に、コラーゲンペプチドを柿の重量に対して0.5~3.0%程度の少量を添加して、粉砕・混
合することにより、短時間で渋抜きすることができる。さらに、使用するコラーゲンペプチドは、摂
取された場合に人体に必要なコラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することが
できるため皮膚の状態を改善する効果があるとされており、多く摂取したり、例え未反応なものを摂
取したりしても人体に安全でむしろ有益である。

【実施例】

脱渋していない渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプチドを加えることで脱渋をする試験を行った。
コラーゲンペプチドは平均分子量3000のものを用い、柿の重量に対して0.2~2.5%まで添
加し、残留する柿タンニンの量を測定し、分析の数値では補えない微妙な渋味の判定については官能
評価を併せて行ない、その結果を表3および図2に示した。柿タンニンの定量はFolin-Denis法により
行なっている。

表3の結果からは、当初、柿タンニンを10.1mg/g含む渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプ
チドを0.7%以上添加することにより残留する柿タンニンの残留量が1.2mg/g以下となり、
やや渋味が残るが、アルコールで脱渋した渋柿の1.4mg/gに比べれば渋味が少なく、柿の風味
もほとんど変化がなかった。特にコラーゲンペプチドを1.7%以上添加したものは、ほとんど渋味
は感じられなかった。コラーゲンペプチドを0.5%以下添加した比較例のものは、残留する柿タン
ニンの量が1.5mg/g以上で、渋かった。また図2のグラフからコラーゲンペプチドを1.5%
以上添加しても柿タンニン残留量が1.1mg/g程度でほとんど効果は変わらず、本発明では柿タ
ンニンの残留量が1.2mg/g以下のものに規定する。



次に渋戻りを防止する効果についての試験をした。アルコールで脱渋した渋柿にコラーゲンペプチド
を0.5%、0.7%、1.0%添加して、粉砕した後、沸騰水中に浸漬して、中心温度が85℃に
達してから30分間保持する加熱処理を行なった。この加熱後に柿に残留する柿タンニンの量を測定
し、その結果を表4および図3に示す。

表4の結果からは、アルコール脱渋した渋味を持つ柿を加熱すると、比較例のように柿タンニンの量
が2.1mg/gに増加するが、コラーゲンペプチドを加えることにより、加熱によっても残留する
柿タンニンの量が1.2mg/g以下で渋戻りしないことが確認された。

 

柿渋対策が完了すれば、次は、調理法・保存法などの加工法を確立し新たな商品開発・販売を完成す
れば、量産効果とともに価格逓減も輸出も可能となる。安定的に生産したければ各種の植物工場方式
を導入す
ればよいことである。そう考えている。巷で流布される「資源がない?!」とのそれは「知
恵がない?!」の裏返しであ
ると常々考えるひとりである。

で、短期間であるがわたしも豚皮コラーゲン(残り物を有効活用)で感光材の基材開発に従事した経
験――例えば、写真フィルムメーカの富士フィルムが現在どの分野で活躍しているか想像してもらえ
ればわかりやすい――があるが、食品加工産業に廃棄するところ原理的にはない。

    柿のグラタン

 

     

【我が家の焚書顛末記 18:中国思想 管子】      

  軽 重    ――管仲の経済政策――  

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソ
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景を考
 えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれ
 が、人間、 心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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   重農軽商

  桓公が管子にたずねた。
 「大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおしてやりたい。よい策はないか」
 「穀物の価格があがれば諸物価はさがります。逆に諸物価があがれば穀物の価格はさがります。
 この二つは両立しません。ですから、大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおすには
 
穀物の価格を一釜三百円にあげてやることです。そうすれば農民はきっと耕作にはげむようにな
 ると思いま
す」穀物の価格をあげるにはどうするか」
 「まず諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせるのです。そのあとで諸侯や重臣には千鍾、
 上大夫には五百鍾、中大夫には百鍾、豪商には五十鍾ずつ段物を貯蔵させます。こうすれば、国
 原の貯蔵をふやすことにもなりますし、農民のふところをうるおすこともできましょう」
 「なるほど」
  桓公はすぐさま、諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせた。買い手が多くなったために
 農民は手持の穀物を高く売ることができ、価格は三倍にはねあがった。その結果、大商人は打撃
 を受け農民は莫大な利益をあげることができた。


  《穀物の価格があがれば・・・
》重要物資や生活必需品の価格が騰貴すれば、諸物価も高騰するは
 ずである。ここは、咬物の値上りの帽にくらべて他の物価はさほど値上げになっていない、とい
 う意味である。

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 桓公曰:「吾欲殺正商賈之利,而益農夫之事,為此有道乎?」管子對曰:「粟重而萬物輕,粟輕
 而萬物重,兩者不衡立,故殺正商賈之利,而益農夫之事,則請重粟之價金三百,若是,則田野大
 辟,而農夫勸其事矣。」桓公曰:「重之有道乎?」管子對曰:「請以令與大夫城藏,使卿、諸侯
 藏千鍾,令大夫藏五百鍾,列大夫藏百鍾,富商蓄賈藏五十鍾。內可以為國委,外可以益農夫之事
 。」桓公曰:「善。」下令卿諸侯、令大夫城藏;農夫辟其五穀,三倍其賈,則正商失其事,而農
 夫有百倍之利矣。

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  玉造りの計(石壁謀略)

  桓公が管子にたずねた。
 「都へのぼって局の天子に拝謁したいが、どうも献上する品物が少ないようだ。なにかよい策は
 なか」
 「こうしてはどうでしょう。まず人民に命じて陰里に新しい城を築かせるのです。その際、城壁
 は三重、城門は九重にして外部へ秘密がもれないようにします。城ができ上ったら、城内に玉造
 りの職人を住まわせて石の玉をつくらせます。直径一尺の玉は一万円、八寸の玉は八千円、七寸
 の玉は七千円それに珪玉は四千円、親玉は五百円とそれぞれ値段をきめておきます」

  こうして石の玉を十分につくらせてから、管子は都にのぽって天子に拝謁した。
 「わが君桓公は諸侯をひきつれてご先帝の廟に詣で、周室に朝貢したいと望んでおります。つき
 ましては、諸侯に『ご先帝の廟に詣で、周室に朝貢しようとする者は、必ず彤弓と石の玉を献納
 せよ。しからざる者は朝貢を許さない」と、ご命令をだしていただけませんか」

  天子はもっともだと思い、その旨を天下に布告した。
  天子の命令をうけとった諸侯は、黄金、真珠、穀物、鎔縮、貨幣を器もたせた使いを斉に出し、
 これらのものと交換に石の玉を買いとった。
  かくして、陰里特産の石の玉が諸国に輸出されるにつれて、斉には天玉下の財宝が集まった。
  おかげで斉の財政は豊かになり、八年ものあいだ人民から税金をとりたてる必要がなかった。
 それというのも、管子の考えた、陰里城の「玉造り」の政策によるものである。

 《邦》当時、周の天子は洛陽にいた。斉の国は周よりずっと東よりである。原文は「西のかた天
 子に則せん」となっている。
 《陰里》斉国の地名。
 《円》原文は「泉」。泉は銭の古字。一説にはお金は泉から湧き出る水のように瓜く流通するの
 で、銭を泉と同意義に使ったという。
 《珪玉》上が尖って下の四角な玉。祭祀や褒賞用に天子がよく便った。
 《瑗玉》辺は環、輪状をなしている玉。輪の太さと穴の径と同じくらいである。
 《彤弓》宋塗万の弓で飾りがついている。諸侯への褒賞品として彤弓と彤矢が使われていた。形
 弓は斉の特産ではない。他国の産物も献納物とさせたところに管仲の心づかいの細かさがある。
 権威の物質化今日の目からみれば。素朴なアイディアにすぎないともいえるが、時代的背景を考
 えると、興味深い。当時、すでに周王室の威信は衰え、諸侯の朝貢も形式的なものになっていた。
 諸侯のなかでも、"覇者"である最有力者・斉の桓公が、心から局王室に敬意を表わしていたわけ
  ではない。つまり、管仲は、衰えたりとはいえ天子権威と、の"覇者"としての強い発言力と
 を利用して、特産品の輸出市場拡大をはかったわけである。力を、むだしの武力として行使せず
 貿易に転化したところが、いかにも管仲らしい政策の遂行は、客観情勢の活用
よってのみ有
 効となることを教えてくれる。


 
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 桓公曰:「寡人欲西朝天子,而賀獻不足,為此有數乎」?管子對曰:「請以令城陰里。使其牆三
 重而門九襲。」因使玉人刻石而為璧。尺者萬泉,八寸者八千,七寸者七千,珪中四千,瑗中五百
 。璧之數已具,管子西見天子曰:「弊邑之君,欲率諸侯而朝先王之朝,觀於周室,請以令使天下
 諸侯,朝先王之廟,觀於周室者,不得不以彤弓石璧;不以彤弓石璧者,不得入朝。」天子許之曰
 『諾』。號令於天下,天下諸侯載黃金珠玉五穀文采布泉輸齊,以收石璧。石璧流而之天下,天下
 財物流而之齊,故國八歲而無籍,陰里之謀也。


 
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                                                                        この項つづく

 

 ● 今夜の一枚

Supermoon science: November 2016 moon biggest and brightest in 60 years

theguardian Nov.10,  2016

さあ、今宵は大満月(60年ぶりのスーパームーン)に吠えることにするが、きみはどうする。


 

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錬金術立国への夢

2016年11月12日 | ネオコンバーテック

 

 

                   未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん / 論語    
                    

              ※ 季路問事鬼神、子曰、未能事人、焉能事鬼、
              曰敢問死、曰未知生、焉知死。

               いまだ人に仕えることもできないのに、
              どうしてよく神や先祖の霊に仕えることができようか。

                                                                               
          
                                                                                                                  孔子 B.C. Sep. 28, 552 - Mar. 9, 479

    

 

 
【錬金術立国への夢:水素大量製造型酸化物ナノ複合化陽極材料】

時代は確実に、不確定な、憂鬱な、動乱色に染まりつつある。それを横目に寡黙に問題解決の任務をこなす
アドホックな技術集団がいるとすれば、それは現代の墨子であろう。さて、

9日、産業技術総合研究所の島田寛之らの研究グループは、水素社会の実現に向け、水を電気分解(電解)
て水素を合成する技術の1つである固体酸化物形電解セルSOECによる水電解で、水素製造に必要なエネ
ルギーを従来の水電解技術より20~30%削減でき、白金などの貴金属電極が不要な、セル面積あたりの
水素製造量(合成速度)が多い酸化物ナノ複合化陽極材料の開発の成功を公表。

それによると、サマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)とサマリウム添加セリア(SDC)の
一次粒
子をナノレベルで均質化させたナノ複合構造の二次粒子を設計し、噴霧熱分解法――球状で
粒子径が揃った
微粒子が合成可能2相以上からなる複合微粒子を単一プロセス――で合成する二次
粒子である酸化物ナノ複
合粒子内には電子とイオンそれぞれの伝導経路が構成、広い反応場と高い
電気伝導性を示す。この材料を用
いてSOECで高温水蒸気電解を行い、電解電流密度は2.3 A/cm2
(450 ℃、電解電圧1.3 V)であった。
また、セル面積あたりの電解水素の合成速度も、高分
子形の水電解での合成速度の2倍以上を達成し、電解
セルのコンパクト化を可能とする。

【成果】 

  • 二種類の10ナノメートルレベルの酸化物ナノ微粒子を均質に複合化した二次粒子の陽極材料を開発
  • 二次粒子内にイオンの伝導経路を構築し、電極反応点数を飛躍的に増加
  • 既存の水の電気分解技術を超える電解電流密度を酸化物形で実証し、水素社会の実現を促進 

水電解による水素製造技術としては、固体高分子形やアルカリ形があるが、作動温度が低く電解電圧が高い
ためエネルギー変換効率に限界がある。一方、SOECを用いた高温での水蒸気電解は、電解電圧が低くシス
テム内で無駄なく熱を利用できるため、高効率でエネルギーキャリアを製造できる次世代の水電解技術とし
て期待されているが、電解電流密度が低いためセル面積あたりのエネルギーキャリア合成量が十分ではなか
った。 

SOECの陽極は、電気伝導率が高く電極抵抗が小さいほど、高い電流密度が得られる。現在、SOEC陽極材料
として一般的に使用されている電子伝導性のペロブスカイト型構造材料La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSCF)では、
イオン伝導性材料のガドリウム添加セリア(酸化セリウム):GDC)と複合化して、電極内に電子とイオン
れぞれの伝導経路を形成すると同時に、反応する点を増やすことにより、電極抵抗を低減させている。

 Nov. 9, 2016

これによると、SOEC の電解電流密度を飛躍的に増加させる高性能陽極として、高電子伝導性のペロブスカ
イト型構造材料SSCと高イオン伝導性材料のSDC をナノメートルレベルの一次粒子とし、両者が均質な三次
元ネットワークを構成する酸化物ナノ複合構造の二次粒子を設計。噴霧熱分解法により、このナノ複合化構
造二次粒子を合成、この粒子からなる陽極材料を作製。

今回用いたSSCは、LSCFよりも高い電子伝導性を示す材料であり、また わずかながらイオン伝導性も併せ
持つ。しかし、このSSC自体がもつイオン伝導性のために、SDCGDC等の高イオン伝導性材料と複合化し
ても陽極性能を向上させる効果を得ることが難しかった。また、これらのイオン伝導性材料と複合化すると、
電極内のSSCのネットワークが途切れ電子伝導率が低下してしまうために、これまではSSC単体で用いられ
ていた。今回、マイクロ構造による電極内の電子伝導経路を構築して、SSC自体の電子伝導率を低下させる
ことなく、ナノ構造により二次粒子内にイオンの伝導経路を構築して電極の反応点数を大幅に拡大させた
(上図1)。これにより、SSC単体では得られなかったSDCとの複合化効果が得られるようになり、電極性
能が著しく向上する。

ナノ複合化により、これまでSOECを用いた高温水蒸気電解の最大の損失要因であった陽極の電極抵抗を大
幅に低減できた。今回開発した材料を陽極として用いたSOECの電流密度は、2.3 A/cm2750 ℃、電解電圧
1.3 V)であった(下図)。これは、既存の水電解技術であるアルカリ水電解や高分子形電解、これまでの
SOEC 高温水蒸気電解の2~10倍である。また、実用化の目安であるSOECの容積1dm3(想定電極面積
1200 cm2)あたりの水素製造量1 Nm3/hを達成するには2 A/cm2の電解電流密度が必要とされている。



今回開発した陽極を用いたSOECの電解電流密度はこれを上回っており、水素ステーション用などの水素製
造装置に適用でき、電解装置を従来よりもコンパクトにできる。また、開発した陽極材料を用いたSOEC
の電解水素の合成速度は、高分子形電解やアルカリ水電解と比べ、セル面積あたり2倍以上の水素を合成で
きた。電解熱中立点で電解することで、外部から供給する電力を従来より20~30%削減できるという
SOECによる水電解の利点に加え、今回の陽極材料により大量水素製造できることで、再生可能エネルギー
を活用した水素製造時のコストを低減、水素社会の実現を促進する。  

ここで、鍵となる「高温水蒸気電解法」と「噴霧熱分解装置」の最適と思われる特許事例の2例を以下のよう
掲載しておく。いつものことなのだが、短時間で膨大なデータから2つだけ取り出すのも「情報処理リテラシ
ー」が問われ、あれも掲載したい、これもふれておきたい拡散し、肝心なことが抜けてしまうことをおそれる
が、今日は土曜とあって湖北ドライブを楽しんできた(疲れた)こともあり、「ナノテク」は「デジタル」(
電算機)抜きには語れず、かつまた冒頭の「錬金術立国への夢」の実現できない。そんなことを踏まえ、「ネ
オコンバーテック」を駆使した環境システムの開発と未来を担えるのはわたし(たち)だと確信しつつ、今夜
は適当なところで切り上げる。

● 高温水蒸気電解法を用いるメリット 

高温水蒸気電解法を用いるメリットを具体的に説明する。水の電気分解に必要なエネルギー(ΔH)
は次式
(1)で表される。ここで、ΔGはギブスエネルギー差、TΔSは可逆反応熱を意味し、Δ
Gは電気エネル
ギーで、TΔSは熱エネルギーで与えられる。

    ΔH=ΔG+TΔS                    (1)

ΔHは温度による変化が小さいのに対し、ΔGは高温になるにつれて小さくなる。このため、高温
環境下で
水蒸気の電気分解を行うことにより、水の電気分解に比べて電気分解に必要な電気量を低
減することができ
。この性質により、室温での水の電気分解よりも30%程度少ない電力で同じ
水素製造量が得られるため、
高いエネルギー効率で水素製造を行うことができる。

さらに、原料が水であるため、二酸化炭素を生じない再生可能エネルギーによる電力と二酸化炭素を生じな
い熱源を用いれば、全く二酸化炭素を排出せずに水素製造が可能となる。また、製造した水素を一時的に貯
蔵する方法としては、(1)圧縮して高圧水素ガスにする、(2)液化水素にする、(3)水素吸蔵材料に
吸蔵する、という3つの水素貯蔵方法が知られている。これらのうち、水素吸蔵材料は一般的に水素を吸蔵
するとき発熱して、水素を放出するときに吸熱する。

このため、水素を水素吸蔵材料に吸蔵する水素貯蔵方法は、熱エネルギーが水素製造に及ぼす寄与が大きい
高温水蒸気電解法との組み合わせに適している。

下図の特許事案は、株式会社 東芝の「水素製造装置、水素製造方法及び電力貯蔵システム」で、水素製造
に係る入熱を低減して、高い水素製造効率を実現する製造装置、方法及び電力貯蔵システムである。 

【解決手段】水素製造装置10は、供給された原料水を加熱して水蒸気を発生させて、所定の温度
まで昇温
させる第1加熱部12と、水蒸気を入力して、高温水蒸気電解により水素と酸素とを生成
する電解セル17
と、生成された水素と電解未反応分の水蒸気とを入力して、水素吸蔵材料の水素
化反応に必要な温度よりも
高い温度で、水素と水蒸気とを分離する水分分離器18と、分離された
水素と水素吸蔵材料との混合物を水
素化反応させて、水素を水素吸蔵材料に吸蔵させる水素化反応
器21と、を備えている。



● 噴霧熱分解装置の最適化

噴霧熱分解装置には、セラミックス製の炉心管と、電気ヒーターとが備えられている。そして、噴
霧熱分解
装置では、炉心管を電気ヒーターにより加熱して、原材料を炉心管内部で熱処理される。
電気ヒーターによ
る加熱、熱分解処理を行うため、原材料の大量処理が困難である。また、イニシ
ャル・ランニングコストの
面においても、スケールアップが困難である。さらに、セラミックス製
の炉心管のため、昇温、降温に時間
がかかるなど作業性が低減する。炉心管としてセラミックスチ
ューブが使用されていることが一般的となっ
ている。この場合には、電気ヒーターで加熱する際に、
ヒートショックが起こり、炉心管が割れてしまう等
の不具合も生じやすい。更に、セラミックスチ
ューブ製の炉心管の一部が剥離してしまう等の問題もある。
炉心管の一部が剥離してしまうと、炉
心管の割れた破片が製品へ混入してしまい、製品の品質を著しく低下
させてしまう。

また、直火式噴霧熱分解装置では、原材料を熱分解処理する熱分解処理部で、加熱の際に、局所的
な高温部
が生じてしまい、品質低下を生じさせやすい。さらに、局所的な高温部を生じさせないよ
うにするために、
温度制御することも難しい。このため、大川原化工機株式会社の下図特許事案
「噴霧熱分解処理装置、及び
噴霧熱分解処理方法」では、噴霧熱分解装置の大型化、製品の高品質
化、及び製品の大量処理が可能となる
噴霧熱分解処理装置を提供されている。

【解決手段】原料液滴を噴霧する噴霧器9と、噴霧器9から噴霧された原料液滴を、高温雰囲気下
で加熱、
分解させる円筒状の反応炉3と、反応炉3の外周3aを、反応炉3の鉛直方向下側から上
側に向けて、熱風
を通過させる通風部7と、を備える。上記反応炉3は、金属製からなり、通風部
7を通過する熱風を反応炉
3に当てて、反応炉3内で原料液滴を加熱、分解させる噴霧熱分解処理
装置1。 


  ● 今夜の一曲 

 「イッツ・マイ・ライフ」はアメリカ合衆国のロックバンドのボン・ジョヴィの楽曲である。こ
の楽曲は、彼らの7枚目のアルバム『クラッシュ』に収録され、アルバムからの最初のシングルと
して日本では2000年5月10日にリリースされた。各国の週間シングルチャートは、ドイツ
で2位、イギリスで3位、オーストラリア、アイルランドで5位などとなった。

 


 

 

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クリックベイトの政治家

2016年11月11日 | デジタル革命渦論

 

 

              ほんとうに黙することのできる者だけが、ほんとうに語ることができ、
              ほんとうに黙することのできる者だけが、ほんとうに行動することができる。

                                               キルケゴール  『現代の批判』

 

                                                              

                                 Søren Aabye Kierkegaard
                                   May. 5, 1813 - Nov.11, 1855

 

 

  ザクースカ Zakuski :前菜

スメタナとイクラを乗せたブリン

【世界の朝食:今日はサハリン地方】

冷たい雪が降るサハリン11月。半年以上続く長くげ厳寒の冬。野菜やきのこの漬物、木の実のジャムはす
でに家庭ごとに用意され、キッチンや納屋の一角に納められ冬支度、中身は「ペリメニ」。シベリア風水餃
子と言われるロシアの国民食。豚や仔羊、牛などの肉を小麦粉の皮で包む。魚介類が豊富なサハリンでは魚、
特に鮭を使う。氷点下20℃以下になる二重式の外玄関で凍らせ、冷凍庫で保存。食べるときは塩とハーブ
を加えたスープでさっと煮る。シンプルでいて味わい深く、熱々。凍てつく冬の日の馳走。「パンの耳」と
呼ばれる愛らしい形。ペリメニや漬物の一つ一つにそんな家族の愛が詰まる。これらの料理には必ずあるず
っしり重たいライ麦パン。小麦粉を使ったさまざまなパンが手に入るようになった今でも、主食と言えばこ
れ。サハリンの大地が独特の酸味と香り豊かな味わいを醸し出す。

 ペリメニとライ麦パン

 

 


【SiCでEVカーレースを制す インバーターを30%小型化】

ロームは16年11月8日、「electronica 2016」でプレスカンファレンスを開催し、出展する商品群を
紹介。中でも、時間をかけて説明したのが、SiCパワーデバイスや同デバイスを適用する「フォーミュ
E」への取り組みである。SiCパワーデバイスに関しては同社の第3世代品をアピール。SiC MOSFET
の同世代品は、「ダブルトレンチ構造」を採用した、いわゆるトレンチ型である。従来のプレーナ―型
SiC MOSFETに比べて、同じチップサイズでオン抵抗を50%、容量成分を35%削減できるという。
耐圧650V品として、オン抵抗が17m~120mΩを、耐圧1200V品として22m~160mΩ品を用意する。

SiCショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の第3世代品も紹介。こちらは耐圧650Vで、2~10A
を用意する。
「チョッパータイプ」と呼ぶ、SiCモジュールもアピール。SiCショットキー・バリア・ダ
イオード(SBD)とSiC MOSFETを搭載する、フルSiCのモジュール。同タイプの耐圧は1200Vで、定格
電流は120A/180A/3こうしたSiCパワーデバイスの適用先として紹介したのが、電気自動車(EV)のフ
ォーミュラマシンによる世界選手権レースのフォーミュラE(国際自動車連盟が開催)への取り組みで
ある。ロームは、同レースに参戦するフランスVENTURI社のチーム「Venturi Formula E Team」と3年
間の技術パートナーシップを結んでいる。

16年10月9日に開幕したシーズン3から、インバーター部分にロームのSiCパワーデバイスを提供し
ている。この関係で、今回のプレスカンファレンスでは、Venturi Formula E TeamTEAM COORDINATOR
Frank BALDETやレーサーMaro Engelが登壇し、SiCへの期待を述べた。
シーズン3では、SiC SBD
インバーターに搭載した。シーズン2で使用していたインバーターに比べて効率が1.7%改善した上、
2kgの小型化も達成したという。加えて、放熱系の小型・軽量化によりインバーターの体積を30%小
型化したという。次のシーズン4では、インバーター内のSi IGBTSiC MOSFETに置き換える予定で、
さらなる改善を見込めるという。小型化により、配置が自由になり、フォーミュラカーの重心バランス
の調整が容易になるという。軽量化も利点がある。許容される全体の重さはほぼ一定なものの、シーズ
ンが進むごとにバッテリーの容量やモーターの出力は大きくなる。そのため、SiCパワーデバイスの適
用による高効率化での軽量化が、威力を発揮するという(出典:ローム社プレスリリース 2016.10.11
/日経テクノロジー2016.11.09)。炭化ケイ素パワー半導体はいよいよ成熟期に入った。ここ10年の
技術進化は著しい。

以下、参考に2つのローム社の炭化ケイ素パワー半導体関連の最新特許公開事例を掲載しておく。

 Aug. 25, 2016

【概要】

ソース領域13を有する半導体装置1において、ソース領域13に接するように形成されたソース配線
17を、互いに異なる導電性物質であるソース領域13に接するポリシリコン層18と当該ポリシリコ
ン層18上のメタル層20を含む積層構造とする。また、SiC基板2に接するように形成されたドレ
イン配線23を、互いに異なる導電性物質であるSiC基板2に接するポリシリコン層24と当該ポリ
シリコン層24上のメタル層26を含む積層構造とすることで、SiCの結晶欠陥の拡大を防止し、オ
ン抵抗の上昇を抑制する。


図11は、SiCが使用された従来のトレンチゲート型VDMOSFETを有する半導体装置の模式断
面図である。
半導体装置201は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配
置された構造を有している。
半導体装置201は、半導体装置201の基体をなすN型のSiC基板
202を備えている。SiC基板202のSi面(シリコン面)上には、SiC基板202よりもN型
不純物が低濃度にドーピングされたSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)からなる、N型のエ
ピタキシャル層203が積層されている。エピタキシャル層203の基層部は、エピタキシャル成長後
のままの状態が維持された、N型のドレイン領域204をなしている。また、エピタキシャル層20
3には、ドレイン領域204上に、P型のボディ領域205がドレイン領域204に接して形成されて
いる。


エピタキシャル層203には、ゲートトレンチ206がその表面217(Si面)から掘り下がって形
成されている。ゲートトレンチ206は、ボディ領域205を層厚方向に貫通し、その最深部(底面2
16)がドレイン領域204に達している。
ゲートトレンチ206内には、ゲートトレンチ206の側
面214および底面216を熱酸化させることにより、SiOからなるゲート絶縁膜207がゲート
トレンチ206の内面全域に形成されている。
そして、ゲート絶縁膜207の内側をN型不純物が高濃
度にドーピングされたポリシリコンで埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ206内にゲート電極2
08が埋設されている。
エピタキシャル層203の表層部には、ゲートトレンチ206に対してゲート
幅と直交する方向(図11における左右方向)の両側に、N型のソース領域209が形成されている。
ソース領域209は、ゲートトレンチ206に沿ってゲート幅に沿う方向に延び、その底部がエピタキ
シャル層203の表面217側からボディ領域205に接している。


また、エピタキシャル層203には、その表面217から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領
域209の中央部を貫通し、ボディ領域205に接続されるP型のボディコンタクト領域210が形
成されている。
エピタキシャル層203上には、SiOからなる層間絶縁膜211が積層されている。
層間絶縁膜211上には、ソース配線212が形成されている。ソース配線212は、層間絶縁膜21
1およびゲート絶縁膜207に形成されたコンタクトホール213を介してソース領域209およびボ
ディコンタクト領域210にコンタクトされるニッケルシリサイド層218と、ニッケルシリサイド層
218上に形成されたアルミニウム層219とを有している。
SiC基板202の裏面(カーボン面:
C面)には、ドレイン配線215が形成されている。ドレイン配線215は、SiC基板202にコン
タクトされるニッケルシリサイド層220と、ニッケルシリサイド層220上に形成されたアルミニウ
ム層221とを有している。
ソース配線212とドレイン配線215との間(ソース-ドレイン間)に
所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極208に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印
加されることにより、ゲート電極208からの電界によりボディ領域205におけるゲート絶縁膜20
7との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線212とドレイン配線215との間
に電流が流れ、VDMOSFETがオン状態となる。


【概要】

SiC電界効果トランジスタ1は、N型ソース領域15とN型ドリフト領域14とがエピタキシャ
ル層11の表面12(主面)に垂直な縦方向にP型ボディ領域13を介して離間して配置された、縦型
MISトランジスタ構造を有する。この縦型MISトランジスタ構造は、エピタキシャル層11の表面
12からソース領域15およびボディ領域13を貫通してドリフト領域14に達するソーストレンチ5
が形成されている。ソース電極26は、ソーストレンチ5内において、ソース領域15、ボディコンタ
クト領域16およびドリフト領域14に接し、ドリフト領域14との間に、ボディダイオード32の拡
散電位よりも低い接合障壁のヘテロ接合を形成している。


 

「アテンション・エコノミー時代」の憂鬱

   Nov. 9, 2016

The future entrusted to Mr. Clickbait President.

多くのメディアや分析家の予想に反して、ドナルド・トランプが大統領選で勝利を収めた。それが意味
するのは、現代が、内容の優劣よりも「注目」を集めることが支持につながる「アテンション・エコノ
ミー」――インターネットに代表される情報発信媒体(メディア)が増えたことで、情報過多の状態が
起こっており、そうした世界では人々の「アテンション(=関心・注目)」が情報量に対して稀少にな
ることで価値が生まれ、交換財となりえるという概念。 関心経済、アテンションエコノミー、Attention
 Economy
。米国の社会学者、ゴールドハーバー(Michael H. Goldhaber)が97年に提唱――の時代にあ
るという。ウェブメディア『Gawker』(日本語版記事)がつくったTwitterボットはイタリアのファシス
ト、ムッソリーニの「羊として百年生きるより、ライオンとして1日生きる方がいい」という引用がト
ランプのTwitter発信し、トランプはそれをリツイートし、千万人以上のフォロワーに拡散させる。のち
にトランプはNBCの「Meet the Press」という番組でそのことについて尋ねられ、
「いい言葉だよな」「誰の
言葉かは知らなかったが、それがムッソリーニだったからといってなんか違いはあるのか?」「いいや
むしろこ
の興味深い引用と結びつけられたいな」「だってあんたらも、この言葉に興味を引かれたんだ
ろ?」と応じている。

 

● コンテンツは「空気」になった

注目を集めることは19世紀後半以来、広告産業として行われていたが、この25年間で、それはすべ
てのデジタル経済の基盤となるものに変わる。この変革の核となったのは、驚くほど低コストでメディ
アを制作、消費できるようになった。科学技術進歩による「デフレーション効果」の計測は喫緊のテー
マであるが、例えば、出版業界は長期不況にあえいでいるが、このことへの研究論文は皆無にある。

初、人々はこの新しい時代を「情報の時代」と呼んだものの、知識を低コストでつくることができれば、
みんなが知識にアクセスできるようになると考えたのだが、実際には、いまでは情報がタダ同然でつく
られ、その相対価値が逓減する。そこで重要になってきたのが、情報を消費してもらうために注目して
もらうこということである

今日、テクノロジーおよびメディア企業は、アプリやウェブサイトの開発に時間を費やし、注目を求め
てしのぎを削っているがビジネスモデルは単純だ。注目を集め、それを広告を通してマネタイズ―「無
料のサービスで収益化する方法」という意味。もとは「金属から貨幣を生み出す」という意味で使われ
ていたが、07年ごろからIT業界で使われるようになった背景には、「当時から無料のサービスが発達
していた」というのがあり。当時は、まだまだ質の高いサービスは有料というのが当たり前という時代
で、ビジネス的に無料で使えるサービスは限られていた。IT業界ではその頃にちょうど「ブログ」や「
動画配信サービス」などといった無料で使える高クオリティなサービスを提供するビジネスの流れが発
生していた。そして、この高クオリティを維持に、自然とIT業界では収益化を意味する「マネタイズ」
が使われるようになる――
と。ほとんどの人は広告をクリックしない、ある程度の人はする(という
ことを彼らは願っている)。その意味では、YahooHotmailの受信箱を、精力剤やビタミン剤の広告で
埋めた初期のスパムメールから対して変わっていない。唯一の違いは、今日ではそのスパムが「コンテ
ンツ」と呼ばれているという。

かつて、「コンテンツ」という言葉は「役に立つ内容」という意味をもっていたが、いまでは「
のようなものだで、芸術、文学、映像、ジャーナリズムの代わりに、空気で満たされている。もはや、
それが「何を語りかけるか」は重要ではなく、大切なのは注目を集めることだけとなる
このダイナミ
クスは、インターネットの世界で勝利を収めたテック企業によって生み出されている。スマートフォン
のホーム画面にあるアプリを思い出してみてほしい。Snapchat、Facebook、Instagram、Twitter,Gmail、Tinder
彼らはあなたに通知を送るたびに、「それは善意だ」「あなたの生活を便利にするためだ」と口では説
明しても、実のところは注目を集めたいだけなのである。Tinderのスワイプ機能やInstagramのインフィニ
ティ・スクロールは、アプリにたどり着いた途端にユーザーを離さないようにするためのデザインとな
る。

● クリックベイトの政治家

トランプはコンテンツの魔術師だ。彼が使うキャッチフレーズを思い浮かべてほしい。「壁をつくる」
「ほら吹きテッド・クルーズ」「胡散臭いヒラリー」。それらは「◯◯をするための裏技」や「このあ
と何が起こるか、あなたにはわかりますか?」といったネット広告の常套句の政治版なのだ。
彼は「
リックベイトの政治家
」だ。16年の初めの2カ月、彼は広告料に換算して2億ドルに相当するメディ
ア露出を果たす。ライヴァルたちの2倍以上である。内容がよかったわけではない。それでもメディア
に出ることは彼を後押ししする。ネットでの荒らし同様に(トランプは間違いなく荒らしの類だ)、
彼は無視されるよりも「ネガティヴな注目」(主要新聞 vs.タブロイ紙)のほうがいいと了解している。

世論分析家のネイト・シルヴァーは、「トランプの人気はメディア主導によるものだ、という考えがあ
ります。その説明は完全に間違っているわけではありませんが、不完全です。それはブームや注目を生
み出すメディアと、世間や候補者の間の複雑な関連性の表層をなぞっているだけです。トランプのよう
な熟練の荒らしが、メディアをどう自分の利益になるように濫用しているかを無視しています」と述べ
ている(以上は、池田純一,
トランプ勝利が示した「アテンション・エコノミー時代」の憂鬱, WIRED,
2016.11.10 を参考に加筆掲載させてもらった)。

そうして考えてみると、一営利企業グループ経営者が、アメリカ合衆国の「国家・社会の共通利益」の
理念・ビジョン・戦略を、既存の巨大企業や団体組織や共和党などの政治家や行政官、あるいは国内外
の民間人の力を借り、集約し打ち出すことができたとしても、議会や既得権益者や国民、あるいは、諸
外国との合意形成がスムーズに行くのだろうかと考えるのは無理からぬことである。



※ クリックベイト(click bait):中身の乏しいWebページだが、ユーザにとって興味深いタイトルを付け
  てユーザを誘導する行為。タイトルと中身は一致しない。タイトルとして全く無関係の写真を付け
    る場合もある。SNSで良く使用され、スパム行為と見なされる(対策: 一部のSNSではシステム的に
    クリックベイトのリンクを検出し削除することを自動で行っている)

 池田 純一 (1965 - )

  ● 今夜の一曲

1967年6年、ポリドールから発売。ヒット曲を連発していた「六八コンビ」が満を持して世に送り出し
たもので、
菅原洋一にとっては、1965年の『知りたくない』に続くヒット曲。ラテンミュージック調(
タンゴなど)が巧くはまった仕上がりとなっている。


 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 私に芽生えたあなたへの愛

 芽生えてひよわな愛の心を
 やさしくやさしく育てる月日
 やがては私を抱きしめる愛

 その愛が私を育てた愛が
 今は私を苦しめ悩ませるの

 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 それが終わりのあなたへの愛

 その愛が私を育てた愛が
 今は私を苦しめ悩ませるの

 あなたのまつげがふるえてとじて
 なみだのしすくがつたっておちて
 それが終わりのあなたへの愛
 あなたへの愛

                                       芽生えて そして

                             
詞 永  六輔
                           作曲 中村 八大
                                                     編曲 早川  博二 

 

 

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大津から黒の革命

2016年11月10日 | ネオコンバーテック

 

                                            羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆

                                                                                                                         般若心経

                                  往き往きて、彼岸に往き   

                 全うし彼岸に到達した者こそ 

                 悟りそのものである、めでたし
                     
                     
                 ※ 真言の結び(唯識論の核心部分に相当)

 

                                                                                                                                    
                                                                                                           釈迦 abt. B.C 500 ? -

  

     

【我が家の焚書顛末記 17:中国思想 管子】      

  軽 重    ――管仲の経済政策――  

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソ
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景
を考

  えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれが、人間
  心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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   泥棒を生む社会

 「ひとりの農夫が耕作しないために、人民の中に餓死者が出ることもある。ひとりの女が機を織
 らないために、人民の中に餓死者が出ることもある。
  逆に、二人前の仕事をする者は、たとえ収入が少なかろうと、自分の子供を売るようなことは
 ないだろう。三人前の仕事をする者は、衣食にこと欠くことがないだろう。四人前の仕事をする
 者は、租税を完納できるだろう。五人前の仕事をする者は、かなりの物が買えるようになり、死
 者を葬る余裕もできるだろう。
  ところが、人民は実際には二人前の仕事もできない状態にある。にもかかわらず、人民からき
 びしく租税をとりたてるなら、追剝が跋扈して独り歩きもままならず、余財を蓄えていても守る
 べくもない。このうえ法をきびしく適用しようものなら、それは人民を殺すに等しい。
  もし、一日に三合の穀物しか食べられないとしたら、"村"ごとに、食を求めて盗みをはたらく
 泥棒が出よう。一日に二合しか食べられないとしたら、"里"ごとに泥棒が出よう。一日に一合し
 か食べらりないとしたら、家ごとに泥棒が出よう。それが道理というものだ。ところが現在、人
 民はろくな収入もないのに、、普段の四十倍もする穀物を食べなければならない。これでは盗み
 をはたらくなというほうが無理である。
  このうえ、朝にに政令を発して、その日の夕方までに納税するよう命じたとしよう。蓄財のあ
 る者はすぐ納めるだろが、ない名は衣類を売り払わなければならなくなる。農夫は穀物を、市価
 の三割で売らなけれぱならなくなる。こんな不穏な政令が出されると、せっかく生産した織物も
 すぺて他国へ流れてしまう。それでも誅求を続けるなら、人民はもはや耐えきれず、国の威令の
 及ばぬ山中へ逃げてしまう。こういう君主の下では、兵士たらもまた、大切に扱われることはな
 く、家族が誰敗して、会うことができない。人民は山にかくれ、兵士は国外に逃亡する。これこ
 大戦もしないのに内部から国が崩壊するということなのだ」

 --------------------------------------------------------------------------------------

 管子曰:「農不耕,民或為之飢。一女不織,民或為之寒;故事再其本,則無賣其子者。事三其本,
 則衣食足。事四其本,則正籍給,事五其本,則遠近通,死得藏,今事不能再其本,而上之求焉無
 止,是使姦涂不可獨行,遺財不可包止,隨之以法,則是下艾民,食三升,則鄉有正食而盜,食二
 升,則里有正食而盜。食一升,則家有正食而盜。今操不反之事,而食四十倍之粟,而求民之毋失,
 不可得矣;且君朝令而求夕具,有者出其財,無有者賣其衣屨,農夫糶其五穀,三分賈而去,是君
 朝令一怒,布帛流越而之天下。君求焉而無止,民無以待之,走亡而棲山阜。持戈之士,顧不見親,
 家族失而不分,民走於山中,而士遁於外,此不待戰而內敗。」

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     独占の排除

  「一国の支配者たるものは、問季を辿じて生産計画を円滑に行なわせ、経済を豊かにさせろよ
 う配慮しなければならない。

  物資が載寫な国には、どんなに遠くからでも人民は集まってくるし、開発が進んだ国からは、
 逃げ
だす人民はひとりもいない。日々の暮らしにも事欠くものに礼儀を説いたとてなんになろう。
 生活に
ゆとりがでみさえすれば、道徳意識はおのずと高まるものだ。
  今日、わが国は主君みずから率先して開墾事業を進め、穀物の生産を増大させた。土地は、人
 民一
人につき数畝にも達しているにもかかわらず、街には餓死する者がいる。それは穀物を独占
 してし
まう看がいるからだ。
  また、わが君は多量の貨幣を鋳造した。その貨幣はひろく流通し、人民一人につき数十枚数百
 枚に
も達している。にもかかわらず、金に困ってわが子を売る者さえいる。それは、貨幣が少数
 者の手に
握られているからだ
  されば君主たるもの、穀物・貨幣の集中を防ぎ、貧富の差をやわらげるべく手を打だなければ、
 い
かに農業を奨励し、貨幣を発行しようとも、人民はなおも貧苦にあえがなければならない」

 --------------------------------------------------------------------------------------

 管子曰:「今為國有地牧民者,務在四時,守在倉廩。國多財,則遠者來。地辟舉,則民留處。倉
 廩實,則知禮節。衣食足,則知榮辱。今君躬犁墾田,耕發草土,得其穀矣。民人之食,有人若干
 灸畝之數,然而有餓餒於衢閭者何也?穀有所藏也。今君鑄錢立幣,與民通移,人有百十之數,然
 而民有賣子者何也?財有所并也;故為人君不能散積聚,調高下,分並財,君雖彊本趣耕,發草立
 幣而無止,民猶若不足也。」

 --------------------------------------------------------------------------------------

   夷狄掌握の法

  桓公が管子にたずねた。
 「四方の夷狄を支配下にねさめないと、かれらほ天下に害毒を流し、わが覇業をも失敗させかね
 ない。
かれらを従わせるために、なにかよい方法はないか」
  管子はこうこたえた。
 「各地の特産物を利用することです。すなわち、呉や越には、真珠・象牙を、発や朝鮮には、虎
 や釣
の皮・皮ごろもを、禺氏には、白璧を、そして、崑崙虛には、璆・琳・琅玕を納めさせるの
 です。

  真珠は、手のひら口の中にも隠れるほど小さなものですが、値は千金。呉や越に、これをわが
 国への貢物とさせ、それにたいして当方が千金をむくいるならば、かれらは八千里の道をも遠し
 とせず、入朝してくるでしょう。
  虎や豹の皮は、それで金を包むと、なかの金と同じ値うちがあります。発や朝鮮に、これをわ
 が国への貢物とさせ、それにたいして当方が千金をむくいるならば、かれらは八千里の道をも遠
 しとせず入朝してくるでしょう。
  白璧もまた、懐や腋の下に隠れてしまうほど小さいむのですが、やはり千金の価値があります。
 禺氏には、これをわが国への貢物とさせ、それにたいして当方が不全をむくいるならば、かれら
 は八千里の道をも遠しとせず入朝してくるでしょう。
  さらには、璆・琳・琅玕でかんざし、耳環をつくれば、それぞれに千金の価値をもつものです。
 崑崙虛にたいし、これら宝玉をわが国への官物とさセ、当方からは千金をむくいるならば、かれ
 らもまた、八千里の道をも遠しとせず入朝してくるでしょう。
  要するに、各地の特産物を買い入れて流通を促進し、かれらの当方にたいする依存度を深めて
 ゆけば、かれらは自然に入朝してこようというものです」

 --------------------------------------------------------------------------------------

 桓公曰:「四夷不服,恐其逆政,游於天下,而傷寡人,寡人之行,為此有道乎?」管子對曰:「
 吳越不朝,珠象而以為幣乎!發朝鮮不朝,請文皮毤。服而以為幣乎!禺氏不朝,請以白璧為幣乎!
 崑崙之虛不朝,請以璆琳琅玕為幣乎!故夫握而不見於手,含而不見於口,而辟千金者,珠也,然
 後八千里之吳越可得而朝也。一豹之皮容金而金也,然後八千里之發朝鮮可得而朝也,懷而不見於
 抱,挾而不見於腋,而辟千金者,白璧也,然後八千里之禺氏可得而朝也。簪珥而辟千金者,璆琳
 琅玕也,然後八千里之崑崙虛可得而朝也;故物無主,事無接,遠近無以相因,則四夷不得而朝矣。」

 --------------------------------------------------------------------------------------

ここは管子(管仲)の温故知新ですね。

                                      この項つづく

  

大津から黒の革命:薄い黒鉛シートを開発】
 

  Nov. 10, 2016 

黒鉛の材料メーカー「日本黒鉛グループ」が、バッテリーの電極に使う製品をてこ入れする。高性能を
売りに自動車向けに売り上げを伸ばしており、来年末に完成予定の新工場で生産量を十倍に増やす。黒
鉛を細かく粉砕する工程に改良を加え、黒鉛の層を百ナノメートルほどに薄く剥がし取った「薄片化黒
」の生産に成功。電極に薄く黒鉛を塗ったシートを売り出した。硫酸などの化学薬品で溶かす他社製
品に比べ、生産工程は減らせる一方で性能は引けを取らず、環境への負荷を抑えられる利点がある。リ
チウムイオン電池向けに2012年から販売を始め、現在は塗工シートで年5トン、1千万円を売り上
げる。生産を拡大するために、現在の瀬田工場(同市栗林町)の隣接地に新工場建設に着手。17年末
の完成後は年50トンの生産を見込んでいる。

日本黒鉛工業(グループ)株式会社は、ブレーキ用材料や部品の成型に使う塗料など、自動車部品関連
の黒鉛を主力とする。ただ、伸長するハイブリッド車や電気自動車(EV)は、エンジン系をはじめ部
品が少なくなるため、部品メーカーは対応が急務になっている。
そこで同社が目を付けたのは、EVに
欠かせないバッテリーだ。リチウムイオン電池の電極にも黒鉛が使われる。黒鉛を薄くできれば、導伝
率を高められるため、電池を大型化しなくても容量を増やすのと同じ効果が得られる。独自技術で勝負
できると、10
年から開発を始めたグループの販売会社、日本黒鉛商事の松尾滋久取締役営業本部長
は「小さなメーカーだが、黒鉛の粉末から塗料まで一貫して生産できるのは弊社だけ」と胸を張る。

ループの現在の売上高は70億円。シートが占める割合はまだわずかだが、松尾取締役は「今後、EV
が普及する10~15年後には、売上高を倍増させる大きな柱の製品に成長させられる」と期待をかけ
ている(中日新聞 「薄い黒鉛シートを開発 大津の材料メーカー」2016.11.10)。

ここでは、群薄片化黒鉛製造技術に関連する新規考案を俯瞰、掲載する。まずは、薄片化黒鉛製造装置
を積水化学工業株式会社の特許を参照(下図)する。


● 特開2014-118315 薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法 積水化学工業株式会社



 
【概要】

原料としての黒鉛が貯留されている原料槽1と、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体52を供
給する流体供給源22と、第1の流路2Aを構成している第1の流路構成部材と、第1の流路2Aの下
流側に接続されており、第1の流体52を150℃以上の高温及び5MPa以上の圧力となるように加
熱する機能を備えた加熱部2と、加熱部2に接続されており、下流端が第1の流路2Aに連ねられて連
続流路を構成している第2の流路2Bと、第2の流路2Bに接続されており、加熱された黒鉛を冷却し
かつ減圧することにより剥離する冷却槽3と、薄片化黒鉛を取り出すことを可能とするように第2の流
路2Bに接続されている取出流路29とを備える、薄片化黒鉛の製造装置で積層数が少なく厚みの薄い
薄片化黒鉛を容易に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造装置の提供。

次に、日本黒鉛工業株式会社の保有特許より、恣意的に参照する。

● 特開2015-098129  円筒状メッシュシリンダ及び円筒状メッシュシリンダの製造方法



【概要】

端縁に沿って複数の穴が形成されて設けられた接合部を有するシート状部材の端縁同士を突き合わせて、
薄膜状の連結部材を押圧体により押圧しながら超音波振動を用いて接合して円筒状を形成したのち、さ
らに連結部材とその周辺部を樹脂2で覆うことにより樹脂層8を形成する円筒状メッシュシリンダで、
従来技術では、連結部材で覆われている部分でも連結部材とシート状部材の接合が不十分であると、円
筒状メッシュシリンダを一定期間使用していると、毛細管現象等でその部分からもインキやペーストが
漏れ出すという問題があり、連結部材を用いた超音波振動による接合だけでは、長期間に亘っての十分
な印刷耐久性を得られない場合があった問題を解決するというもの。新規考案としては新規性は薄い事
案である。

● 特開2015-111554
  カーボンコート層、塗料、集電体、電池及びカーボンコート層の形成方法



【概要】

リチウムイオン電池用のアルミ箔、銅箔、ステンレス箔等の集電体に内部抵抗を低減する目的等で設け
られるカーボンコート層において、このカーボンコート層用の塗料に、使用温度を超えて高温になると
ガス発生する材料を添加し、この塗料を集電体上に塗工し、カーボンコート層を作成することにより、
リチウムイオン電池内が急激に温度上昇した場合、活材と集電体との間の通電を発生ガスにより遮断で
きるようにした、カーボンコート層又はその塗料に係るものである。リチウムイオン電池の安全性対策
として、電解液の温度が急激に上昇するとガスを発生し、活材層と集電体の通電を遮ることができるカ
ーボンコート層を提供技術である。

最近のリチウムイオン二次電池の市場は、ノートパソコン、携帯電話等の民生用から電気自動車、ハイ
ブリッド自動車さらに定置用蓄電池(Energy Storage SystemESS)にも展開されている。また、リチウ
ムイオン二次電池等では、集電体の処理について検討されているが、充放電を繰り返す中で、電極にデ
ンドライトが析出し、短絡若しくは過充電等による電池の内部温度が上昇することによって発火、破裂
または爆発が発生する危険性がある。充放電を繰り返す中で、電極にデンドライトが析出し、短絡若し
くは過充電等による電池の内部温度が上昇することによって発火、破裂又は爆発が発生する危険性があ
る。また、電池組み込み工程でも、コンタミが原因で熱暴走を起こし、発火を引き起こした事例も報告
され、電池の内部温度が上昇することによる発火等の危険性を未然に防止する有効な手段がなかったが、
本事案は、リチウムイオン二次電池の集電体上に、使用温度を超えて高温になるとガスを発生する材料
を含むカーボンコート層を設け、電池内温度が使用温度を超えて上昇した場合に、電池の導通を妨げる
ガスを発生させるようにしたことを最も主要な特徴としており、重要かつ新規性に富んだ特許である(
詳細は上表1をダブクリ)。


● 特開1995-147159  一次電池 日本黒鉛工業株式会社 



【概要】

正極活物質と導電性物質とを含有する正極合剤を備えている一次電池であって、導電性物質として、厚
1μm以下、平均粒径1~50μm及び比表面積5~50m2 /gの薄片黒鉛粉末を含有している
ことを特徴とする。好ましくは、正極合剤中において、正極活物質100重量部に対して、薄片黒鉛
粉末が0.5~10重量部含有されることで、正極活物質と導電性物質とを含有する正極合剤を備えて
いる一次電池で、導電性物質を変更することによって、一次電池の性能を向上させ、特に寿命を長くで
きるようにすることであり、
一次電池の正極合剤に添加する導電性物質――薄片黒鉛粉末を使用し、
従来の黒鉛粉末と比較し、極めて有効に電子を運ぶことができ、成形性も向上、一次電池の寿命が延び、
正極合剤の生産性も高く、不良品も発生しない。また、導電性物質の添加量削減を可能とする製法であ

従来のリチウム電池に対し負荷特性、特に低温での連続放電特性及びパルス放電特性を改善するため、、
述の日本黒鉛工業株式会社の特許―――正極合剤成形体を構成する導電炭素材として、所定のサイズ
及び比表面積を有する薄片状黒鉛粉末を含有させる製法技術を踏まえ次の特許技術が提案されている。

● 特開2009-295307 
  リチウム電池用正極合剤成形体及びリチウム電池 FDKエナジー株式会社



【概要】

リチウム電池用正極合剤成形体12は、リチウム電池10の構成要素であり、正極活物質及び導電炭素
材を主構成材料として含む。このリチウム電池用正極合剤成形体12は、正極活物質である焼成二酸化
マンガンと、導電炭素材である黒鉛粉末と、バインダとを含む成形用材料を成形して得られる。焼成二
酸化マンガンの平均粒径は35μm以上40μm以下である。黒鉛粉末の平均粒径は35μm以上、見
掛け密度は0.05g/cm以下である。バインダの含有量は1重量%以下であることで、負荷特性
を向上させることができるリチウム電池用正極合剤成形体を提供するというものである。

従来においてリチウム電池用正極合剤成形体を製造するにあたり、所定の成形性及び成形体強度を得る
ためには、少なくとも数重量%程度のバインダ成分を添加する必要があった。しかし、バインダの増量
は通常電解液含浸の妨げとなり、放電特性にとってマイナスの影響を及ぼす。また、導電炭素材である
黒鉛の比率を高くすれば結着性を向上できるが、その反面で正極活物質である焼成二酸化マンガンの充
填容量が減少してしまい、同様に放電特性にとってマイナスの影響を及ぼす。

以上、足早に俯瞰してきたがこのナノグラファイト・ナノカーボン・ナノグラフェンの領域は急テンポ
で進化している、百ナノメーターを切るダウンサイジングの加工技術は未来を決定すると言っても過言
ではない世界が広がっている。
 

 

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エースか ジョーカーか

2016年11月09日 | デジタル革命渦論

 

              ヘーゲルはどこかでのべている、すべての世界史的な大事件や大人物は
         いわば二度あらわれるものだ、と。一度目は悲劇として、二度目は茶番
         とし
てと、かれは、つけくわえるのをわすれたのだ。

                      『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』
                                 カール・マルクス


                                  
                                     

                                                     Karl Heinrich Marx
                                                 May 5, 1818 - May 14, 1883
                                              


【RE100倶楽部:ソーラー屋根瓦】

16年4月14日の熊本地震、同年10月21日の鳥取中部地震にしろ瓦屋根が無惨に崩れブルーシート
が貼られているいる光景を眼のあたりにし、老朽化や耐震性に問題があるのかもしれないが日本家屋の脆
弱さを感じるられる方が多いのではないか。また、台風などの風水害に対して心配はないのだろうか?と
疑問がわいてくる。そこで、それは本当だろうか?問題があるとすればその解決法について考えてみよう
いうことになった。

その前に、日本の家屋は好きか嫌いかと聞かれれば、個人的には欧州のような、自然に対峙した幾何学的
な形状のモダンなデザインの住宅を好しするところがあり重たい粘土系瓦葺き屋根や形状はその良さは理
解できるのだが好まないところがあるが、まず、瓦葺き業者などの施工業者側からのこういった見方に対
する反論を列記すると、

  1. 瓦屋根が地震に弱いのではなく、弱いのは躯体である
  2. 強風に耐えられるよう瓦を重くすればよい
  3. 地震の揺れを相殺する制震構造にすればよい
  4. 瓦の材質は、色も落ちず、防水も切れない、半永久的で耐久性はよい
  5. 一定の角度にまで建物が揺れたとき、瓦がズレ落ちるように、わざと瓦を固定していなかったのだ
    と伝えられている

などに集約されそうだが、1.のように地震の場合、躯体に耐震性があれば瓦が崩れないかというと、震
度、振動周期、振動波形により異なりケースバイケースのように思える(要データ)。ところで、屋根材
には大きく分けて「日本瓦・粘土系」・「セメント系」・「スレート系」・「金属系」の4種類ある。ま
た、「日本瓦|粘土系」は天然の粘土を高温で焼き上げた屋根材のことで、高温多湿の気候風土にあった
古くから日本で使われてきた「粘土瓦(和瓦・日本瓦とも)」も粘土系の瓦。耐久性も抜群で、塗り替え
を行うことなく50~100年は十分に使うことができる(下地のメンテナンスや補修が必要)。釉薬を使い
色付けをした「陶器瓦」、渋い銀色の光沢が印象的な「いぶし瓦」、ナチュラルな朱色が特長の「素焼瓦」
など。粘土系の瓦は耐久性に優れるが重く、地震に対する防災・減災からその利用は減少傾向にあるとい
われれている(要データ)。

「セメント系」はセメントと砂を原料にした瓦で、「セメント瓦」や「コンクリート瓦」とも言われ「モ
ニエル瓦(洋瓦)」と
いう種類のものも含まれ、「日本瓦」のような厚みもあり重厚感があるが、表面を
塗装して使うため、長期間の
使用により色落ち変色しあり、定期的に塗り替えを行うと美しさを保つ。塗
料で着色でき、色のバリエーションが
豊富で、外壁の色や住居のデザインによりカラーコーディネートが
楽しめる。「スレート系」とは、薄い板状の素材で、「天然スレート」と「人造スレート(化粧スレート)
」の2種類があり、天然スレートは、玄昌石などの天然石を薄く加工して作る屋根材で、落ち着いた風あ
いと重厚感のある表情が魅力的だが、高価なため家庭用ではあまり使われない。家庭用の主流は、セメン
トに繊維を混ぜ強化した薄い板状の「人造スレート(化粧スレート)」で、「カラーベスト」「コロニア
ル」「フルベスト」といった商品がある。耐久性もあり、軽量で加工しやすく、重ねぶきでも使われ、色
やデザインも豊富に用意され、断熱性にも優れる。

「金属系」とは、金属系の屋根材は、軽量かつ加工のしやすさが特長で、複雑な形状の屋根にも対応でき、

金属屋根と言えば「トタン(鋼板に亜鉛メッキを施したもの)」や「銅板」が代表的だったが、近年は「
ガルバリウム鋼板」のアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板が注目され、トタンに比べて数倍の耐久性を持
つ。ベースとなる金属にガルバリウム鋼板を使い、表面を耐久性が高いフッソ樹脂塗料を塗装したものや、
表面に天然石のチップをコーティングしたものなどさまざまで、非鉄系ではアルミ合金が主流で、銅・チ
タン素材もある。

● エネルギーゼロハウスの屋根

これに対し、再生可能エネルギーの太陽光パネルを据え付けたエネルギーゼロ住宅(ZEH)を考えてみよ
う。政府のエネルギー基本計画で、「省エネ住宅の自宅でエネルギーを創って、自宅で使う」時代向けの
高効率で電気を創る「創エネ」機能を備えた架台一体型屋根システムや瓦型太陽光パネル葺き屋根の普及
が予想される。例えば、前者の一例としてのパナソニックの「架台一体型屋根システム|HITルーフ」
の耐震性評価では下図のように、重量はストレート屋根と同等厚型平板の半分の重さで、震度6強×40
秒×2回(30年間で起こりえる阪神・東日本大震災レベルの地震発生回数(波形は阪神大震災を採用)
及び震度3×3時間×1回(30年間で起こりえる震度3レベル地震の累計時間(波形は十勝沖地震を採
用)の2条件でいずれも、割れ欠け/落下/変形/ねじのゆるみはすべてなしとされている。また、耐用
年数は、モジュールとして25年の長期保証が歌われているが、架台一体としての保証については不詳(
要調査)。さて、瓦型太陽光発電モジュールはいかなるものだろうか?それを次に考えてみよう。

● 瓦葺き住宅の種類

オランダのZEP.BV社は11月2日、テスラへの対抗意識――「米テスラのマスクCEO(最高経営責任者)
は最近、ソーラー屋根瓦(solar roof tile)の発表で注目を集めた。だが、我が社はすでに昨年、開発を済ま
せ販売している」――を露わにした声明を発表(しかし、ソーラールーフの特許はすでに三洋電機(現パ
ナソニック)などの日本のメーカが特許取得しているのだが)。テスラの傘下に入るとみられる米ソーラ
ーシティがテスラ社と共同でソーラー屋根瓦を発売するのは、来年と見込まれる(「従来の屋根材より美
しい」太陽光パネル、米テスラが発表」 日経テクノロジー 2016.10.31
).。一方、ZEP.BVは、地元の
オランダに加え、ドイツ、英国、スカンジナビア半島など北欧でソーラー屋根瓦を既に販売中で、今日、
ソーラーセルを統合したオランダの特許取得済みのセラミック製ルーフは、太陽光発電を生むエネルギー
出力を持ち、すべての設置済み家庭用蓄電池に対応する。さらに、ZEP.BV社のルーフタイルは、ソーラ
ールーフタイルの下に残存する暖気から抽出する特許取得済み統合テクノロジーを内蔵しており、暖気は
ボイラーに直接保存される。この開発によってハウスオーナーは、家庭にエネルギーを供給する事業者に
対するニーズを最低限に抑えることができるので、ZEP.BVは2歩も3歩も先を行くことになる。
 

ZEP.BV社はマスク氏が生み出した世界の耳目を集めたパブリシティーを歓迎して、ZEP.BV社のヨースト・デグラ
ーフは「当社ウェブサイトへのビジターは1日当たり数千人単位で増えており、彼らはすべて当社の一体化したソ
ーラールーフタイル・ソリューションに関心を示している。われわれは、太陽光発電(PV)が将来そのものであり、
PVタイルによってハウスオーナーが多様なエネルギー用途向けの太陽光発電をできるようにしなければならない
というマスクのビジョンあふれる識見を共有している。要するに、われわれは等しく理想主義的ミッションを持ってい
る」と語った。ZEP.BV社のソーラールーフタイルは、1個1個のルーフを太陽光で発電するのに適したものにする。
しかし、昨年黒色のタイル盤を提供した後、ZEP.BV.社は最近これを自然の赤色のソーラールーフタイルを提案。
現在、都市景観保護地区にある大きなアイコン的建築物でも、発電に太陽エネルギーを利用し、同時にボイラー
を加熱することができる。

ZEP.BV社は外部からの資金供給を得て、投資家の関心を集めている。ZEP.BVは追加した資金調達を企
業の拡大と生産開発に割り当て、国際市場で高まる需要をさらに喚起し、サポートしていく。特にハウス
オーナーが赤色のソーラールーフタイルを欲しがるスカンジナビアを念頭に置いている。ZEPのデグラー
フは「この追加的な資金調達は、信頼できる投資家が当社の国際的に成長する可能性があると信頼してい
ることの証明である」と語る。

Dec. 3, 2015

前述したように、このZEP BV社の公開特許(WO2015034366)を見ると、セラミックに添加剤を加えモー
ルディングし薄膜太陽光太陽電池を貼り付け、ソーラールーフの裏側に集熱パイプを配管し熱媒体(水)
をポンプ循環させ給湯機能を付加させたハイブリット型太陽光エネルギー変換システムとなっているのが
特徴である。従って、この特集の耐震性や耐風水害性及び耐久性(20年以上)についての考案の有無も
不詳となっている(要確認)。しかしながら、テスラ社とソーラーシティー社はパナソニックとの生産提
を準備しているということであれば、高変換効率、災害対策や長期保証などの技術力やアフターケアと
いう面でパナソニックは互角以上の商機がある。
 さあ、変換効率30%超、長期間保証30年をめざし、世界に
貢献しようではないか。これは面白い。

 

  ● 今夜の一枚

トランプが勝利した。それほどまでにも、米国の勤労者はコンピュータ仕掛けの英米流金融資本主義のグ
ローバ
リズムに収奪され疲弊していたことの証でもある。それを是正するビジョンを鮮明にしなかったヒ
ラリーの敗北でもあった。この先どうなるかも、わたし(たち)はすでに予見できている。しばらく模様
眺めだ。「はたして、トランプはエースか?ジョーカーか?」と。

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2つの最新ネオコン技術事例

2016年11月08日 | ネオコンバーテック

          自分の生命を愛しても憎んでもいけない。だが生きている限りは生命を
                           大切にするがよい。長く生きるか短命に終るかは、天に委せるがよい。

                                          ミルトン 「失楽園」

                                               

                                              
                                                                                                                                    John Milton
                                                                                                                     Dec. 9, 1608 - Nov. 8, 1674
                                                                                                                              
                                              

 

  

【RE100倶楽部:人工光合成の効率を百倍以上】

● 人工光合成における太陽光のエネルギー変換反応を高効率化する新しい材料

将来に向けた持続可能な地球環境社会を構築していくためには、二酸化炭素などの温室効果ガスを低
減し
ていくことが急務であり、化石燃料に頼らない貯蔵可能なクリーンなエネルギーの創出が望まれ
ている。人
工光合成は太陽光と水と二酸化炭素を用い、酸素と水素および有機物などの貯蔵可能なエ
ネルギーを人工
的に生成する技術であり、注目を浴びている。

  Oct. 19, 2016

これまで、太陽光と水が反応する明反応の電極は、半導体材料や、比較的大きい粒子状の光励起材料
を密
度の低い構造で固めた材料が用いられていましたが、太陽光(可視光波長)の中で利用できる波
長の範囲が
狭いことから化学反応に十分な電流量を取り出すことが困難であったが、この方法では、
フレキシブル実装シ
ート上にキャパシタなどの受動素子を形成するための電子セラミックスの成膜法
(ナノパーティクルデポジショ
ン(NPD)を改良し、光励起材料の原料粉末をノズルで吹き付ける際、
原料粉末を薄い板状に破砕しながら基板上に積層させる薄膜形成プロセス技術を開発。開発した技術
の特長は以下のとおり。

尚、材料内部の構造解析は国立大学法人東京大学幾原研究室と共同で行っている。

(1)利用可能な太陽光波長域の拡大(左/下図)

光励起材料の原料粉末を、成膜後に原子レベルのひずみを持つ結晶構造となるような組成にすること
で、新技術適用前と比べて太陽光のエネルギーを吸収できる最大波長を490 nmから630 nmへと広げ、
利用可能な光の量を2倍以上に向上させることに成功。

 Nov. 7, 2016

(2)高い電子伝導特性 (右/上図)

形成された薄膜は、ミクロ・マクロな欠陥がないため結晶性が良く、材料中の粒子間の電子伝達特性
に優れた緻密な構造となっている。これにより太陽光で励起された電子を効率的に電極に伝えること
が可能となる。

(3)水との大きな反応表面積を確保するナノサイズの粒子で構成された構造体

薄膜の表面構造は、材料と水との反応表面積が大きく、また、材料結晶中の電子密度の高い結晶面が
膜表面に規則的に形成。その結果、水と光の相互反応を大幅に促進させることに成功(下図)。



今回開発した新技術により、光励起材料をそのまま用いる場合と比べて、太陽光の中で利用可能な光
の量が2倍以上に広がり、さらに、材料と水との反応表面積を50倍以上に拡大することに成功。こ
により、電子および酸素の発生効率を百倍以上に向上できることを確認。今後、光励起材料とプロ
ス技術のさらなる改良を進め、明反応の電極の特性向上を図るとともに、暗反応部(ニ酸化炭素還
元反応)・
全体システムの技術開発についても取り組み、人工光合成技術の実用化を目指す。 


※ 参考特許

・ 特許5491189  固定化装置 谷岡 明彦 他 2014年05月14日

【スーパーエンジニアリングプラスチック】

● 単層CNT添加で世界最高水準の耐熱性と機械強度を達成

  Darth Vader  Nov. 7, 2016

単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)らの研究グループは、スーパーエンジニアリングプラス
チックの一種であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)にスーパーグロース法で作製した単層カー
ボンナノチューブ(SGCNT)を加えることで、世界最高水準の耐熱性(4500℃)と機械強度(曲
げ強度1.8倍)を同時に達成し、かつ射出成形可能な新しいスーパーエンジニアリングプラスチック
PEEK/SGCNT複合材料」を開発に成功したと公表(上写真)。

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は溶融成形可能なスーパーエンジニアリングプラスチックと
しては最も高い耐熱性を有し、さらに耐疲労性、耐環境性、難燃性および成形性に優れ、金属に比べ
て軽量であるため、電気・電子分野、自動車分野および航空宇宙分野において広く用いられている樹
脂です。しかし、適用範囲の拡大のためには、さらなる高機能化、特に耐熱性の向上が求められてい
た。今回
、技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構などの研究グループ、PEEKスーパーグロ
ース法で作製した単層カーボンナノチューブを添加、世界最高水準の耐熱性(450℃で2時間でも
安定)、PEEK単体に比べ引張強度(約1.2倍)、曲げ強度(約1.8倍)の機械強度を併せ持つスー
パーエンジニアリングプラスチック「PEEK/SGCNT複合材料」を開発。
この材料はPEEKと同様に射
出成形により様々な形態を簡便に作り出すことも可能。これまで軽金属材料などを使用せざるを得な
かった種々の用途に対してPEEK/SGCNT複合材料が適用でき、特に軽量化が求められる自動車部材、
航空・宇宙産業用部材などへの適用が想定されている。この開発の特徴は以下の通り。

(1)樹脂へのSGCNT高分散化

CNTは、これまでその電気伝導性、熱伝導性、機械特性に注目した材料開発が進められていたが、近
年、CNTの添加による高分子材料の耐熱性向上効果が注目されている。特にSGCNTCNTの中でも添
加による複合材料の耐熱性向上効果が高いことが分かっている。この耐熱性向上効果の発現にSGCNT
をできるだけ均一に、かつ一本一本孤立に近い状態で高分子材料中に分散させる必要がある。これま
CNTの複合材料研究では有機溶媒にCNTを分散し、これに高分子材料を溶解させ、有機溶媒を除去
することにより複合材料を得ていたが、溶解する有機溶媒のないPEEKに対しては、新しい作製手法を
開発する必要があった。
今回、量産化可能で、SGCNTをPEEK中に連続的に解繊・分散する超高分散
技術を開発成果につながった。

(2)耐熱性
 

樹脂の耐熱性の指標として、荷重たわみ温度※6と連続使用温度※7の二つがよく知られていた。PEEK
の荷重たわみ温度は150℃、ガラス繊維や炭素繊維を添加することにより300℃まで大きく向上
させることができる一方で、連続使用温度は240℃程度であり、ガラス繊維や炭素繊維の添加で向
上させることはできないことが課題となっていた。これを荷重たわみ温度の上限値300℃まで向上させ
ることができれば、アルミニウム材料のうち、300℃以下で使用され、より軽量化が求められてい
る用途でのアルミニウムなどの代替材料となると見込まれている。
 

連続使用温度を向上させるためには、PEEKの熱分解を抑制する必要がありますが、熱に対して安定し
ており分散性に優れたSGCNTをPEEKに超高分散することで、PEEK/SGCNT複合材料では連続使用温
度をPEEKより向上させることに成功。下
図は、PEEKもしくはPEEK/SGCNT複合材料を一定温度下
で2時間保持した際の重量変化率を示しています。450℃で2時間保持した場合、PEEK単体では重
量変化率が-18%だったのに対し、PEEK/SGCNT複合材料ではSGCNTの添加量を1wt%から5wt
%まで増やすにつれ重量変化率は小さくなっていき、5wt%では、重量変化率は -0.5%まで低減
できました。重量変化はPEEKが熱分解し、発生した低分子成分の気化により生じるので、この重量変
率の低減は、SGCNTPEEKの熱分解を抑制したことを意味しています。


また、下図に熱処理前と熱処理後のPEEKおよびPEEK/SGCNT複合材料の状態を示す。図中赤枠は試
料が連続使用温度以上に達し、溶融や変形が生じたことを意味し、一方SGCNTの添加量が2wt%およ
び5wt%のPEEK/SGCNT複合材料は、450℃においても試料に溶融や変形が生じず(図中青枠)、
PEEK単体に比べ連続使用温度が向上しています。

(3)機械特性

SGCNTは他のCNTと同様に高い機械特性を有しているので、PEEK/SGCNT複合材料ではPEEK単体に
比べ引張強度と曲げ強度を向上させることができ、SGCNTを5wt%添加した場合、引張強度で約1.2
倍、曲げ強度で約1.8倍の向上が見られました。このような機械強度は、SGCNTPEEK中での分散
性や、成形条件を最適化することでさらなる向上が見込まれている。


(4)成形性

PEEK/SGCNT複合材料は、成形の条件は異なりますが、通常のPEEKと同様の形状に射出成形を行う
ことが可能です。金属材料や高耐熱性の熱硬化性樹脂はダイカスト法※8やプレス成形などによって成
形を行うことから、成形コストがかかり、また成形形状に制約が生じます。しかしながら、射出成形
可能なPEEK/SGCNT複合材料は、連続的に、かつ安価に成形を行うことができる

 May. 5, 2008

スーパーグロース法

 

   ● 今夜の一品

【シャープナーの特徴】 

従来の一般的な研ぎ器では波刃の頂点(凸)部しか研げず、凹部は全く研げません。そのまま研いでい
くと
波形状が崩れてしまい、切り刃の性能を損ねてしまう。貝印の独自の独立サスペンション構造は
刃線
に沿って砥石ユニットが可動するために、刃線を崩すことなくタッチアップする。これは便利。
おすすめだ。


 

 

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カクテル「直政 赤鬼」登場

2016年11月07日 | 近江歴史回廊

 




           知と愛とは同一の精神作用である。それで物を知るには、
           
これを愛せねばならず、物を愛するのはこれを知らねば
           ならぬ。

                                            西田 幾太郎 『善の研究』


                                                                    
                                May. 19, 1870 - Jun. 7, 1945

 

 

 【量子ドット電子デバイス工学講座】

● 色素増感型量子ドット太陽電池の特許事例

化石燃料を使用することなく再生可能エネルギーの一つである太陽エネルギーを使用する太陽光発電
技術術の色素増感型太陽電池は、クロロフィル(葉緑素)色素が行う光誘起電子移動と同様のメカニズ
ムで発電するため、安価で高性能なルーフ・トップ型の次世代を担う太陽電池の一つとして脚光を浴
びている。このような色素増感型太陽電池の一般的な構成は、基板、第一電極、増感色素が担持され
た半導体層(光電変換層)、正孔輸送層、および第二電極が順次積層から構成され、基板の外側から
光が照射されると、素子内部の光電変換層の増感色素が励起されて電子を放出する。励起された電子
は第一電極に移動し、この電子は、外部回路を通じて第二電極に移動して、正孔輸送層に供給され、
(電子を放出して)酸化された増感色素は、正孔輸送層から電子を受け取り、基底状態に戻る。この
ようなサイクルを繰り返すことで、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。

例えば、量子ドットがチタン酸化物で被覆されてなる量子ドット含有チタン化合物を増感色素として
用いる光電変換素子があるが光電変換効率が低い(下図1Aは本発明に係る被覆量子ドットを示す概
略図、図1Bは従来の量子ドット含有チタン化合物を示す概略図)。このような問題解決方法として、
特定の量子ドットを増感色素とし光電変換層に用いることで問題の解決を図る。

● 解決手段の実施例

基板1、第一電極2、半導体5および半導体として機能しかつ量子効果を有する量子ドット4を含有
する光電変換層6、正孔輸送層7、ならびに第二電極8を有する光電変換素子10。量子ドットとし
て、下記式(1)で示される半導体ナノ粒子を用いる。

 

ただし、Xは、前記半導体に吸着しうる基を表し、Yは、前記半導体ナノ粒子に配位しうる基を表し、
nは、1~5
の整数である。上式(1)において、Xは、トリアルコキシシリル基(-Si(R)3:
Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルコキシ基である)、カルボキシル基(-COO
H)、リン酸基(-OPO(OH))、シアノ酸基(-CH=C(CN)(COOH))またはス
ルホン酸基(-SOH)である、請求項2に記載の光電変換素子。
式(1)のYは、スルフィド基
(-SR’:R’は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基である)、カルボキシル基(-
COOH)、アミノ基(-NH)、ホスホン酸基(-PO(OH))、またはホスフィニル基(-
PH(O))である、

さて、正孔輸送層は、固相で、導電性高分子を含有する、光電変換素子。また、酸化剤存在下で光電
変換層
と導電性高分子前駆体とを接触した後、量子ドットに光を照射し導電性高分子前駆体を重合す
ることにより形
成。酸化剤は、過酸化水素、酸素、メタノール、金属塩または有機過酸化物。導電性
高分子前駆体は、下記式(2)である。



ただし、Zは、硫黄原子(S)、NQ、または酸素原子(O)を表し、この際、Qは水素原子または
アルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置
換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素原子数3~10のシクロアルキル
基、置換もしくは未置換の炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数2~30のポリエチレン
オキシド基、または置換もしくは未置換の炭素原子数4~30の環式化合物含有基を表す、に示され
る繰り返し単位を有する。

導電性高分子前駆体は、上記式(2)を有してポリマー化する役割を担うものであることが好ましい
が、上記式(2)を単独または複数種類の繰り返し単位が結合した多量体下表参照を用いてもよ
いし、予め上記繰り返し単位を有するモノマーを必要に応じて、単独あるいは複数種類のモノマーと
共に重合したプレポリマー(二量体以上の多量体やいわゆるオリゴマーを含む)であってもよいが、
この場合、導電性高分子前駆体がプレポリマーであり、光電変換層に導電性高分子前駆体をプレポリ
マーの形態で塗布して、電変換層上で化学重合して導電性高分子を形成する方法が簡便である。




● コアシェル半導体ナノ粒子の平均粒径の測定方法

公知の方法、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により半導体ナノ粒子の粒子観察を行い、そこか
ら粒径分布の数平均粒径として求める方法、電子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒径を求める方
法、動的光散乱法による粒径測定装置(例えば、Malven社製ZETASIZERNano Series Nano-ZS)を用い
て測定する方法、X線小角散乱法により得られたスペクトルから半導体ナノ粒子の粒径分布シミュレ
ーション計算を用いて粒径分布を導出する方法などを用いることができるが、ここでは、ランダムに
抽出した所定数の半導体ナノ粒子をTEMで観察し、体積換算した粒径の平均値をとることで算出し
た平均体積粒径で表している。実施形態で用いるコアシェル半導体ナノ粒子の平均体積粒径としては、
具体的には、1~10ナノメートルの範囲内である。

● コアシェル半導体ナノ粒子の製造方法

液相法、気相法等、従来行われている公知の任意の方法を用いることができる。液相法の製造方法に
は、沈殿法である、共沈法、ゾル-ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル
法、超臨界水熱合成法、ホットソープ法などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である。気相法
製造方法としては、対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、
減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法、電気化学的
エッチングにより、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法、レーザーアブレー
ション法などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成す
る方法も好ましく用いられるが、コアシェル半導体ナノ粒子の製造方法としては、液相法による製造
方法が好ましいとされる。


 

【光電変換素子の製造方法】

この工程事例では、第一電極を表面に備えた基板上に、半導体および上記式(1)の色素を含む光電
変換層を形成する。工程(1)は、基板上に第一電極を形成する工程(第一電極の形成工程)と、第
一電極上に電子輸送層を形成する工程(電子輸送層の形成工程)と、電子輸送層上に光電変換層を形
成する工程(光電変換層の形成工程)とに分けられる(上図3参照)。

● 工程(1)

(第一電極の形成工程)

基材の上に第一電極を形成する方法としては、第一電極の材料に応じて適当な方法を選択でき、この
うな方法として、スパッタ法やCVD法(気相成長法)、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸
着法などが挙げられる。これらの方法により、ITO、FTO、SnO2などの酸化物半導体からな
る薄膜を形成する。当該第一電極は、厚過ぎると光透過性が劣り、一方、薄過ぎると導電性が劣って
しまうことになる。このため、光透過性と導電性の機能を両立させることを考慮すると、第一電極は、
0.03~3μm程度の膜厚範囲であることが好ましい。

また、第一電極をスリット状に形成する場合は、第一電極の材料に応じて適当な方法を選択できる。
具体例としては、エキシマレーザー、YAGレーザー、CO2レーザー、エアジェット、ウォータジ
ェットによる加工、エッチング加工、機械的加工などが挙げられる。これにより、透明導電層は、複
数の領域に分離することができる。スリットのピッチは、光電変換素子のセルのサイズに応じて、適
宜設定することができる。

(電子輸送層の形成工程)

この工程は、第一電極を表面に備えた基板上に電子輸送層を形成する工程であるが、省略することが
可能である。電子輸送層を形成する方法は、電子輸送層形成成分である電子輸送層前駆体を第一電極
上に被覆させて必要により熱処理を行う方法が挙げられる。具体的には、第一電極が基板表面に形成
された透明導電性基板上に電子輸送層形成成分の(塗布)層を形成した後、CVD法または焼成法に
より反応が進行して電子輸送層を形成する方法、電子輸送層形成用の塗布液を用いたインクジェット
法やスピンコート法による塗布、原子層堆積(ALD)法が好ましい。なかでも、第一電極が基板表
面に形成された透明導電性基板上に、電子輸送層形成成分の(塗布)層を形成した後、CVD法また
は焼成法により反応が進行して電子輸送層を形成する方法がより好ましい。ここで電子輸送層形成成
分とは化学反応により電子輸送層となる化合物のことをいう。

(光電変換層の形成工程)

光電変換層の作製方法は、通常、電子輸送層上への半導体層の作製、および半導体への本発明に係る
量子ドットの担持処理に大別される。


  [半導体層の作製方法]

工程(1)における半導体層の作製方法について以下説明する。この特許の好適な光電変換層は、表
面に色素が担持された半導体を凝集したものである。


半導体層の作製方法は特に限定されず、当該半導体層の半導体が粒子状の場合には、(1)半導体の
分散液またはコロイド溶液(半導体含有塗布液)を導電性基板に塗布あるいは吹き付けて、半導体層
を作製する方法;(2)半導体微粒子の前駆体を導電性基板上に塗布し、水分(例えば、空気中の水
分)により加水分解後、縮合を行う方法(ゾル-ゲル法)などが使用する。また、半導体が膜状で、
導電性基板上に保持されない場合、半導体を導電性基板上に貼合して半導体層を作製することが好ま

しい。半導体層の作製方法の好ましい形態は、導電性基板上に半導体の微粒子を用いて焼成により形
成する方法があり、半導体層が焼成作製される場合、この半導体への色素担持処理は、焼成後に実施
するこ
とが好ましく、焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施する

●半導体微粉末での焼成形成方法

(半導体含有塗布液の調製〉
 
まず、半導体、好ましくは半導体の微粉末を含む塗布液(半導体含有塗布液)を調製する。この半導
体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は2~100nmである。半導体微
粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。ここ
で1次粒子径は顕微鏡観察により1000個の粒子を測定し平均した値を採用している。溶媒中に分
散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るもの
であればよく、特に制約されない。溶媒は、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、ポリエチレングリ
コール等の多価アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン等の炭化水素等などが用いられる。また、塗布液中には、増粘剤として、アセチ
ルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロー
ス等のセルロース誘導体を含んでいてもよい。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤、酸(酢酸、
硝酸など)、粘度調節剤、キレート剤(アセチルアセトンなど)を加えることができる。溶媒中の半
導体微粉末濃度の範囲は、0.1~30質量%である。

〈半導体含有塗布液の塗布と半導体層の焼成処理〉

このようにして得られた半導体含有塗布液を、導電性基板(電子輸送層)上に塗布または吹き付け、
乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性基板上に半導体層(半導体膜)が
形成される。ここで、塗布方法としては、特に制限されないが、ドクターブレード法、スキージ法、
スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられ、導電性基板上に半導体含有塗布液を
塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用し
た半導体微粉末の1次粒子径に対応する。

● 工程(2)

この工程では、上記工程(1)で形成された光電変換層上に、導電性高分子前駆体を重合して正孔輸
送層を形成。なお、下記工程(3)において、正孔輸送層は、この特許に係る量子ドットを担持した
半導体からなる光電変換層に侵入し、かつ、その上に存在、この正孔輸送層の上に第二電極が付着し
ていることが好ましく、この半導体層は多孔質体で、第一電極および第二電極に端子を付けて電流を
取り出すことができるものである。

ここで、導電性高分子前駆体の重合方法は、特に制限されない。具体的には、(1)光照射単独ある
いは重合触媒、加熱、電解等を組み合わせた光化学重合法、(2)化学重合法、(3)少なくとも
作用極と対極とを備えて両電極間に電圧を印加することにより反応させる電解重合法などが挙げられ
る。これらのうち、(1)(3)の方法が好ましい。この方法によれば、半導体への結合に関与して
いない量子ドットの配位子(例えば、式(1)中の置換基「X」)近傍を起点にして導電性高分子前
駆体の重合(正孔輸送層の形成)が行われる。このため、量子ドットおよび正孔輸送層の間に配位子
分の層が存在するが、特に式(1)の量子ドットでは、配位子に小分子を用いているためトンネル効
果により電荷輸送をさらに効率的に行うことが可能であり、発電電極としてより有効に作用できる。

また、上記(1)の方法によれば、得られる光電変換素子の光電変換効率や耐久性(光や熱などの刺
激に対する安定性を向上)をより向上できる。また、上記(3)の方法によると、特に光照射と組み
合わせて使用することにより、酸化チタン表面に緻密に重合体の層を形成できる。得られる光電変換
素子の光電変換効率、耐久性(光や熱などの刺激に対する安定性)のさらなる向上を考慮すると、
(1)の方法がより好ましく、酸化剤の存在下で光照射単独で導電性高分子前駆体を重合する光化学
重合法が特に好ましい。

尚、 図3Aおよび図3Bは、工程(1)~(4)を説明するための模式断面図または模式上面図。
図3Aに示すよ
うに、工程(1)において、電子輸送層3上に光電変換層6を形成させる。工程(2
-1)においては、酸化剤を第一電極2上に接触させる。これにより、第一電極2上に酸化剤が存在
する状態になる。好適な形態では、図3AおよびBに示すように、酸化剤含有液は、素子の構成部材
(電子輸送層、光電変換層)とは異なる位置の第一電極上に接触させる。このように素子の構成部分
とは別に酸化剤を配置することによって、酸化剤の素子への影響を排除することができ、また、導電
性高分子前駆体の重合後に、洗浄などによって酸化剤を容易に除去することができる。酸化剤の第一
電極上への接触位置は特に限定されるものではないが、効率的に導電性高分子前駆体の重合が行われ
ることから、素子の構成部材(電子輸送層または光電変換層)とある程度近い距離であることが好ま
しい。素子の構成部材と酸化剤との距離は、酸化剤含有溶液と第一電極との濡れ性、第一電極のシー
ト抵抗などを考慮して適宜設定すればよい。なお、酸化剤溶液が素子の構成部材に接触しないように、
第一電極上に両者の物理的接触を阻害する部材(例えば、テープ等)を設けてもよい(図3B参照)。

 ● 工程(2-1)

この本工程では、上記工程(1)で形成された第一電極上に酸化剤を接触させる。基材と相対する第
一電極
上に電子輸送層が形成されている場合には、この電子輸送層上に酸化剤を接触させてもよく、
また、酸化剤の第一電極への接触は、特に限定されるものではないが、第一電極に塗布することが好
ましい。

 ● 工程(2-2)

上記工程(1)で作製した光電変換層と、正孔輸送層を構成する導電性高分子の前駆体である導電性
高分子前駆体と、を接触させる工程である。導電性高分子前駆体を接触させる方法としては、特に限
定されるものではないが、塗布で導電性高分子前駆体を含有する溶液を塗布する形態が好ましい。電
性高分子前駆体を含有する溶液を光電変換層に塗布する場合の塗布方法としては、具体的には、ディ
ッピング、滴下、ドクターブレード、インクジェット、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロ
ールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、イン
クジェット塗布などがある。

 ● 工程(2-3)

この工程は、工程(1)、(2-1)、(2-2)の後、この特許に係る量子ドットに光を照射して
導電性高分子前駆
体を重合して正孔輸送層を形成する。具体的には、正孔輸送層の前駆体であるモノ
マーもしくはプレポリマー
(多量体)の形態で必要により溶媒や電解質などを添加した溶液に光溶液
を光電変換層上に塗布した状態で
外部から本発明に係る量子ドットに対して光を照射することが好ま
しい。


この際、酸化剤存在下で導電性高分子前駆体と光電変換層とを接触させてもよいが、正孔輸送層中に
酸化剤が残存しないと耐久性がより向上することを考慮すれば、酸化剤非存在下で導電性高分子前駆
体と光電変換層とを接触させることが好ましい。ここで、酸化剤存在下とは、光電変換層に導電性高
分子前駆体を接触させる際に導電性高分子前駆体と酸化剤とが物理的に接触している状態を意味し、
具体的には、導電性高分子前駆体および酸化剤の混合物を光電変換層に接触させる形態を指し、酸化
剤非存在下とは、導電性高分子前駆体と光電変換層とを接触させる際に導電性高分子前駆体と酸化
剤とが物理的に接触していない状態を意味し、例えば、導電性高分子前駆体の塗布液に酸化剤を含有
させない形態などが挙げられる。

● 工程(3)

この特許に係る光電変換素子の製造方法における工程(3)は、上記工程(2)の後、正孔輸送層上
に第二電
極を形成する工程である。本発明に係る第二電極形成方法は、特に制限されず、公知の方法
が適用でき、第
二電極の材料を蒸着(真空蒸着を含む)、スパッタリング、塗布、スクリーン印刷等
の方法が好ましく使用され
る。この光電変換素子は、効率よく光を吸収することができる。具体的に
は、光電変換素子の1000nmにお
ける吸光度(A1000)が、下記数式(B):

を満たすことが好ましい。上記数式(B)中、A1000は、1000nmにおける光電変換素子の
吸光度であり;FTSCは、半導体層の膜厚(μm)である

【実施例/比較例】

このの効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、この技術的範囲が以下の実
例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25
℃)で行
われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質
量部」を意味する。


 ● 合成例1

CdSe/ZnS半導体ナノ粒子をトルエンに0.6質量%の濃度になるように分散させたCdSe
/ZnS量子ドット
のトルエン溶液(NN-LABS,LLC;平均体積粒径=4nm)300μl
に、トリメトキシシリルプロピルスルフィド(
MPS)を3μl加えて、22℃で24時間撹拌して
反応を行うことによって、被覆量子ドット1を得た。得られた被覆
量子ドット1について蛍光強度測
定を行ったところ、3250であった。


尚、、蛍光強度の測定は、蛍光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「F-4500」)を用い
て行った。測定する被覆量子ドット1の分散液は、トルエンを用いて、粒子モル濃度が133nmol
/Lになるように調製した。励起波長450nm、フォトマル700Vとして、試料の蛍光極大波長
550nmにおける蛍光強度を測定した。(後略)

● 実施例1


基体としてガラス基板(光透過率:10%以上、厚さ:1.1mm)上に、第一電極としてフッ素ド
ープ酸化スズ(FTO)(光透過率:10%以上)をスパッタリングして透明導電層(FTO)(F
TOの塗布量:7g/m2基板、膜厚:1.1μm)を形成し、導電性ガラス基板(第一電極基板)
を得た。得られた導電性ガラス基板の透明電極層(FTO)上に、半導体として酸化チタン(アナタ
ーゼ型(粉末状)、1次平均粒径:18nm(電子顕微鏡により観察した平均値))を用い、ポリエ
チレングリコールの分散液(酸化チタンの濃度:10質量%)である酸化チタンペーストをスクリー
ン印刷法により塗布(塗布面積:5mm×5mm)及び乾燥(120℃で3分間)して塗膜を形成し
た。この塗膜を、200℃で10分間、次いで500℃で15分間、空気中で焼成して、厚さ2μm
の酸化チタンの半導体層(空孔率:60体積%)を透明導電膜(FTO)上に形成した(積層体1)。


上記積層体1を、上記合成例1の溶液中に室温(25℃)で3時間浸漬して、被覆量子ドット1(
感色素)の半導体への吸着処理を行い、光電変換層を形成して、半導体電極を作製した。
この半導体
電極を、正孔輸送材料の原料となるモノマー(導電性高分子前駆体)である2,2’-ビス-3,4
-エチレンジオキシチオフェン(M1-1)を1×10-3(mol/l)、及びLi[(CF3S
O2)2N]を0.1(mol/l)の割合でそれぞれ含有するアセトニトリル溶液に浸漬した。作
用極を上記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag+(AgNO3  0.01M)、保持
電圧を-0.15Vとした。半導体層方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度32
mW/cm2、520nm以下の波長をカット)、15分間電圧を保持して、重合(光電解重合)を
行い、正孔輸送層を半導体電極表面に形成した。ここで、モノマー(導電性高分子前駆体)が重合し
て導電性高分子を形成していることを確認した。その後、重合により正孔輸送層が形成された半導体
電極をアセトニトリルで洗浄した後、乾燥させた。得られた正孔輸送層は、溶媒には不溶の重合膜で
あった。


 次いで、正孔輸送層が形成された半導体電極(半導体電極/正孔輸送層)を、Li[(CF3SO
2)2N]を15×10-3(mol/l)、tert-ブチルピリジンを50×10-3(mol
/l)の割合で含有するクロロベンゼンとアセトニトリルとの混合溶液(クロロベンゼン:アセトニ
トリルの混合比=19:1(体積比)に10分間浸漬させた。
得られた半導体電極/正孔輸送層を自
然乾燥させた後、さらに真空蒸着法で金(Au)を90nm蒸着して、第二電極を形成した。これに
より、光電変換素子1を得た。(後略)

● 比較例

上記実施例1において、被覆量子ドット1の代わりに被覆量子ドット4を使用する以外は、実施例1
と同様の操作を行い、光電変換素子7を得た。

「色素増感光電変換素子の評価」

(初期光電変換効率の測定)

各光電変換素子を、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用いて、得られた光電変換素子に、キセ
ノンラ
ンプからAMフィルター(AM-1.5)を通して強度10mW/cmの擬似太陽光を照射
した。そして、
I-Vテスターを用いて、光電変換素子の室温での電流-電圧特性を測定し、短絡電
流密度(Jsc)、開
放電圧(Voc)を測定した。

Nov. 4, 2016

以上、特定の量子ドットの増感色素を用いることで変換効率を向上事例を掲載(詳細は上表ダブクリ参照)。 

 

 

  Naomasa ~The Red Ogre~ 

● 直政カクテル「赤鬼」

忍冬酒は家康公が愛飲したというお酒。その忍冬酒に、信頼を意味する花言葉を持つジンジャーを漬
け込んだスピリッツを使い、子孫繁栄の象徴ザクロの風味を合わせた。
主君・徳川家康公に忠誠を捧
げ、戦場では猛将「井伊の赤鬼」と恐れられた。
新参ながらに徳川四天王の中でも筆頭まで昇りつめ
た彦根藩祖・井伊直政公にリスペクトして創作。

   Naotora  ~女城主直虎

彦根市旭町の「サロンバー・シスル」のオーナー宮下純さんが、初代彦根藩主・井伊直政にちなんだ
オリジナルカクテル「直政 赤鬼」を創作。徳川家康を支えた「徳川四天王」の一人だった直政の功
績を表したという(2016.11.05 しが彦根新聞/中日新聞)。来年彦根城築城410年祭に合わせて、
10月24日から提供している。今年3月には直政の養母で来年のNHK大河ドラマの主人公・井伊
直虎にちなんだカクテルを創作。来年三月から始まる「国宝・彦根城築城四百十年祭」の開催が迫っ
てきており、満を持して直虎よりキレのある、直政のカクテルを10月下旬から提供。

浜松城主だった家康が愛飲したとされる「忍冬(にんどう)酒」がカクテルのベース。花言葉で「信
頼」を意味す
るジンジャーのウオッカを使い、子孫繁栄の象徴であるザクロのシロップを入れた。切
れのある少し強めのカクテルに仕上げた。井伊家の繁栄の礎となる物語を表現。
 

 Oct. 24. 2016

※ 浜松忍冬酒

忍冬は「スイカズラ」。この花弁や茎、葉から造る酒は体を暖め滋養強壮に効果があると言われ、徳
家康は数々戦い、三方原の戦いではピンチピンチの連続。そんな中で忍冬酒を口にして家康がピン
チを脱出。5月から6月に花を付けるスイカズラ自体、抗菌、抗炎症、解熱、利尿効果のある薬草の
漢方薬で関節の痛みに効くといわれている。全草の煎じ液は、のどや痔の痛みをとる民間薬に、乾燥
させたものは夏バテ、むくみ、食中毒を防ぐ「忍冬茶」や「金銀花茶」になる。葉っぱや花を上白餅
米とともに焼酎に漬け込んだ「忍冬酒」は、浜松市の名産品。不老長寿の健康薬酒と称され、徳川家
康が愛飲したことで知られている。


   Lonicera japonica Thunb.


浜松で忍冬酒が製造されたのは戦国時代の永禄元年から。家康が三河から浜松に本拠地を移した頃、
浜松で薬草の研究、忍冬酒を造っていた神谷権兵衛が家康の命を承けて本格的に製造を始まり。家康
はこの酒がことの他気に入り、その後家康が神谷家を優遇し、太刀や家屋敷を与え保護。家康愛用の
薬酒との評判をとった忍冬酒は浜松の名物の一つになる。
家康の覇権が確立されて各藩から進物用な
どに使われ注文が殺到し神谷家は地元の童歌にも歌われるほど繁盛する。明治以降も製造されたが、
第二次世界大戦の戦乱の中、1943年製造中止。1997年12月、「遠州忍冬酒」として新しく
生まれ変わり復活する。



「吸葛」という和名は、子どもたちが花を加えて、甘い蜜を吸っていたことから付けられた。「忍冬」
は、寒い冬を耐え忍ぶように緑の葉っぱを茂らせ続ける姿にちなむ。「金銀花」とは、花色が白から
黄色へと徐々に変化する姿が由来。

 

 

 

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お守りと四角皿をゲット!

2016年11月06日 | びわこ環境

 

        楚の黄金あるは、斉に菑石あるに中るなり。いやしくもこれを操りて
        工ならず、これを用いて善ならざるあれば、天下、倪して是んのみ。

                                                軽重 / 管子

 

                            
                                                     管子 Guan-zi   720–645 BC

 

  Oct. 28, 2016

【RL100倶楽部:小規模バイオマス:排熱活用とガス化で採算確保】

エネルギー関連事業を展開する洸陽電機は、このほど同社が計画中の木質バイオマス(ガス化)発電
事業に、グリーンファイナンス推進機構から、3億9千万円の出資を受ける。このプロジェクトは、
洸陽電機が地元企業などと共同により宮崎県串間市で行う、間伐材を中心とした未利用バイオマス資
源を活用した小規模(発電規模2000kW未満)な木質バイオマス(ガス化)熱電併給事業。小規模木質
バイオマス発電事業は、5000kW(キロワット)以上の木質バイオマス発電事業に比べて、スケールメ
リットが働かず十分な収益性が得られないことなどを理由として、全国的な普及が進んでいない。同
プロジェクトでは、発電時の排熱や木材加工時の端材処理により発生する熱をバイナリー発電や燃料
となるペレット加工時の乾燥に活用すること、加えて木質燃料をガス化にすることでより高効率かつ
安定的な事業を目指す。
尚、事業による二酸化炭素削減効果は年間7478トンを想定。 

 



【加速度センサーの誤差を1千兆分の1以上の精度で識別】

● 自宅や自動車の鍵、PCログイントークン、入館カードをウェアラブル端末に集約

KDDI総合研究所は16年10月、ウェアラブル機器に内蔵された加速度センサーの個体差から、固有ID
生成する技術を開発――技術は、ウェアラブル端末などに搭載されている加速度センサーを活用。加速度
センサは、X軸やY軸、Z軸などの最大値や最小値といった特性が個体により、それぞれ微妙に異なると
いうこうした個体差を利用し、複製が困難な端末機固有のIDを生成するソフトウェア技術。このような技
術開発は世界初でもある。また世界のトップ技術が市場に投入される。これは面白い。

 Oct. 12, 2016

 ● 新技術の特徴

  • 高い一意性と頑健性を実現した端末固有のIDを生成。加速度センサーを、1000兆分の1以上の精
    度の端末識別IDを生成可能。また、同一の端末でID生成を10,000回繰り返し、同一の端末識別
    IDが生成されること、高温(90℃)、低温(-18℃)、低気圧(高度2,000m)の環境下において
    も同一の端末識別IDが生成されることを確認。
  • ソフトウエアのみで高速・軽量に実現。約10キロバイトのライブラリにより、端末識別IDを約
    50ミリ秒で生成。高速・軽量な処理のみで端末識別IDを生成でき、処理能力の制約が大きいIoT
    端末でも利用可能。
  • 必要に応じてメモリ上で端末識別IDを生成し、鍵として利用。ストレージに鍵を残さない仕組
    みを実現。メモリ保護技術によりメモリ上のデータを保護することで高い安全性を確保。

 

 

 

    

 

【我が家の焚書顛末記 16:中国思想 管子】     

  軽 重    ――管仲の経済政策―― 

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソ
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景
を考
  えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれが、人間
  心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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  物価と治国

  桓公が管子にたずねた。
 「物価の高騰が著しい。抑える手段があるか」
 「物価を人為的に操作することは不可能です。物価とは、なにかがあれば動き、うわさだけでも
 動く
大変微妙なものです。したがって、為政者たるもの、一国の安泰をはかるには、物価の変動
 に対処できる
よう、ふだんから天下の物資を寄せ集め、天下の人民を招くように努めることが肝
 要かと存じます」

 「天下の物資を寄せ集めるとは、どういうことか」
 「たとえば、かの桀王の時代、宮殿では三万人もの歌い女たちが、朝からにぎやかに歌い踊り、
 その音は
城外遠くまで聞こえた。その女たちの衣裳といえば、まことにきらびやかであったとい
 われております。
伊尹は、薄地方のこのきらびやかな織物を提供しては、その代償に、桀王から
 大量の穀物を得ました。

 当時、桀王は天子、天下の主であったにもかかわらず、天下を顧みることなく、歌い女や楽器に
 大金を投
じました。それにつけこんで、伊尹は、桀王の穀物を手に入れ、本来桀王の得るべき利
 益を奪ったのです。
天下の物資を寄せ集めるとは、すなわち、このようなことを申します」
 「それでは、天下の人民を招くとは、どういうことか」
 「州ごとに一人の監督官をおき、里ごとに五つの倉庫を設置します。そのうえで、正業をもたな
 い者には資
金を貸し与え、葬式も出せない者には援勘合を与えます。こうして、衣食から死後の
 葬儀まで 保障され、困窮すれば生活資金まで貸与されるとなれば、天下の人民は流れる水のご
 とく、わが国に集まってまいります。天下の人民を招くとは、すなわち、こういうことをいうの
 です。
  このように、他国の物産を巧みに利用し、他国の人民を巧みに使用し、天下万民の心をつかむ、
 これこそ明人の方策にほかなりません」
 「
いや、よくわかった」

              《伊尹》湯の宰相として仕え、夏王桀を伐ち、湯を殷王たらしめた。


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  桓公曰:「輕重有數乎?」管子對曰:「輕重無數,物發而應之,聞聲而乘之,故為國不能來天下
 之財,致天下之民,則國不可成。」桓公曰:「何謂來天下之財?」管子對曰:「昔者桀之時,女
 樂三萬人,端譟晨樂,聞於三衢,是無不服文繡衣裳者,伊尹以薄之游女,工文繡纂組,一純得粟
 百鍾於桀之國。夫桀之國者,天子之國也,桀無天下憂,飾婦女鍾鼓之樂,故伊尹得其粟而奪之流,
 此之謂來天下之財。」桓公曰:「何謂致天下之民?」管子對曰:「請使州有一掌,里有積五窌,
 民無以與正籍者,予之長假,死而不葬者,予之長度,飢者得食,寒者得衣,死者得葬,不資者得
 振,則天下之歸我者若流水,此之謂致天下之民。故聖人善用非其有,使非其人,動言搖辭,萬民
 可得而親。」桓公曰:「善。」

 桓公問管子曰:「夫湯以七十里之薄,兼桀之天下,其故何也」?管子對曰:「桀者,冬不為杠,
 夏不束柎,以觀凍溺,弛牝虎充市,以觀其驚駭。至湯而不然,夷競而積粟,飢者食之,寒者衣之,
 不資者振之,天下歸湯若流水,此桀之所以失其天下也。」桓公曰:「桀使湯得為是,其故何也?」
 管子曰:「女華者,桀之所愛也,湯事之以千金;曲逆者,桀之所善也,湯事之以千金。內則有女
 華之陰,外則有曲逆之陽。陰陽之議合,而得成其天子,此湯之陰謀也。」

  ---------------------------------------------------------------------------------------

   遺族手当

  桓公は、戦死者の遺族に手当を与えようと思い、管子に相談をもちかけた。
 「わが国は国際的に交通要路の地に当たり、しかも食糧を他国にあおぎ、諸侯からは虎視耽耽と
 ねら
われている。このため戦が絶えず、そのたぴに多くの死傷者が出る。あとに残された子供や
 親は、仮
宮を望んでいる。手当を与えたいのはやまやまだが、なにぶんにもその手立てがない。
 どうしたらよ
いだろう」

 管子はこたえた。

 「まず国内の有力者である偵出たちの扱いからお考えください。かれらは封土からのあがりをた
 めこんでいます。そこでかれらに穀物の供出を命じ、これに応じた者を表彰するのです。また穀
 物の供出を条件に、かれらを戦争から保護する約束をします。そうすれば、穀物の値上りをはか
 ることができ、穀物の値を上げておいてから人民にほどこす、これが手立てです。こうした領主、
 豪商たらは、物資の値上りを待ち、余剰物資を大量に蓄積しています。そこでわが君は、まず喪
 服を着用して、功臣ならびに譜代の臣、それに前述の領主および豪商たちを一堂に集め、こうお
 っしゃってください。

 『およそ戦いは、城堅がもろければ突き破られ、兵糧の備えが乏しければ包囲されて苦しまねば
 ならぬ。天下に戦乱が絶えぬ今、わが斉のみが備えを怠っていては大事を招こう。されば貴公た
 ち、あまた穀物を保有している者は、この際、誠意をもって、穀物を平時の価格で誼ってもらい
 たい。ただちに納入数量を書き出して誓約せよ。枡目をごまかすことはまかりならん』と。

  この話が伝われば、人民はただでさえ食糧に不自由しているのですから、買いだめをはかるこ
 とは必至であり、遠路もいとわず先を争うでしょう。となれば、困が買い入れた穀物は、たちま
 ち四十倍に値上りいたしましょう。そこで四十倍になった穀物を故出して、その売上げで孤児や
 寡婦にほどこし、貧民や病人を保浸し、身寄りのない老人が自殺することのないように扶養する
 のです。これが実行されれば、兵士は勇躍戦場に赴いて功名にはげみ、身命を賭して国家のため
 にはたらきます。たとえ多数の死傷者が出、死者がなかばを越えようと、士気はおとろえません。
 これはなにもかれらが戦いを好み、生血を軽視するからではありません。死の重みがそれだけ評
 価されているからです」

 --------------------------------------------------------------------------------------

  桓公欲賞死事之後,曰:「吾國者,衢處之國,饋食之都,虎狼之所棲也。今每戰,輿死扶傷,如
 孤荼首之孫,仰倳戟之寶,吾無由與之,為之奈何?」管子對曰:「吾國之豪家頡封食邑而居者,
 君章之以物,則物重,不章以物,則物輕。守之以物,則物重。不守以物,則物輕。故頡封食邑,
 富商蓄賈,積餘藏羨,跱蓄之家,此吾國之豪也,故君請縞素而就士室,朝功臣世家、頡封食邑、
 積餘藏羨、跱蓄之家,曰:『城脆致衝,無委攻圍,天下有慮,齊獨不與其謀?子大夫有五穀菽粟
 者,勿敢左右,請以平賈取之子,與之定其券契之齒,釜鏂之數,不得為侈弇焉。』困窮之民,聞
 而糴之,釜鏂無止,遠通不推。國粟之粟,坐長而四十倍。君出四十倍之粟,以振孤寡,收貧病,
 視獨老。窮而無子者,靡得相鬻而養之,勿使赴於溝澮之中,若此,則士爭前戰為顏行,不偷而為
 用。輿死扶傷,死者過半,此何故也,士非好戰而輕死,輕重之分使然也。」

 ---------------------------------------------------------------------------------------

  鬼神の利用

※桓公曰く、「寡人、室屋に籍せんと欲す」。管子対えて曰く、「不可なり。これ成を毀るなり」。
「万民に籍せんと欲す」。管子曰く、「不可なり。これ情を隠すなり」。「六蓄に籍せんと欲す」。
管子対えて曰く、「不可なり。これ生を殺すなり」。「樹本に籍せんと欲す」の軽重甲篇はその簡潔
明快な表現から後世に編纂されたものであろう。国蓄篇の第七段、「凡そ五穀は高物の主なり」で始
まる一段には、室康・六畜・田畝・正人・正戸の五者によって税牧を計るのを善くないとする一文が
あるが、軽重甲篇の第六段の問答では「寡人、室屋に籍せんと欲す」という聞いを「不可なり」と退
けたあと、高民・六畜・樹木とつづき、「然らば寡人、安くに籍して可なるや」と管子に問いかける。

 「これまたなりません。せっかくの樹木を伐り倒してしまいます」
 「あれもいかん、これもいかんというなら、いったいなにに税をかければいいのだ」
 「鬼神をおかけになるがよろしいでしょう」
  桓公は顔をまっ赤にして怒鳴った。
 「人民、家屋、家畜、樹木でさえ駄目だというのに、この世ならぬ鬼神に課税できるとでもいう
 のか」
 「およそ物事は、理にかない、勢いに乗ずれば、成就するものです。策をたて、機をとらえれば、
 大なる成果が得られるものです。古来、王者は勢いに乗じ、聖人は機微に乗じて、よりよき成果
 を生み出してまいりました]
 「いったい、どうやって鬼神に課税するのか」
 「かつて帝に五人の重臣がおりました。が、こんにち、かれらの祭・祀はとだえたままになっ
 ております。そこで、まず、子孫の絶えた功労者の祭祀を復活させ、かれら五人の祭祀をとり行
 なってください。その場合、春には蘭を献じ、秋には菊を飾り、大小の魚を供え物にするのです。
 こうすれば、魚はたちまち値上りし、その税収は百倍にも達しましょう。されば、現行の税をと
 るまでもなく、国州は十分にうるおいます。このうえ人民に税を課す必要がどこにありましょう。
 これこそ、祭祀と礼成によって増収をはかるやり方と申せます

     
《鬼神》死者の霊魂

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 桓公曰:「寡人欲藉於室屋」,管子對曰:「不可,是毀成也。」「欲藉於萬民」,管子曰:「不
 可,是隱情也。」「欲籍於六畜」,管子對曰:「不可,是殺生也。」「欲藉於樹木。」管子對曰
 :「不可,是伐生也。」「然則寡人安藉而可?」管子對曰:「君請籍於鬼神。」桓公忽然作色曰
 :「萬民室屋,六畜樹木,且不可得藉,鬼神乃可得而藉夫?」管子對曰:「厭宜乘勢,事之利得
 也,計議因權,事之囿大也。王者乘勢,聖人乘幼,與物皆宜?」桓公曰:「行事奈何?」管子對
 曰:「昔堯之五吏,五官無所食,君請立五厲之祭,祭堯之五吏,春獻蘭,秋斂落原。魚以為脯,
 鯢以為殽;若此,則澤魚之正,伯倍異日,則無屋粟邦布之籍,此之謂設之以祈祥,推之以禮義也,
 然則自足,何求於民也?」

 ---------------------------------------------------------------------------------------

  
水  練

  桓公が管子にたずねた。
 「北進して孤竹、離枝の二国を伐ちたい。しかし今、北方に軍をくり出せば、天下で一番強い越
 が南
方から攻めてくるに違いない。うまい対策はないか」
 「越は舟戦が得意ですから、わが軍も水泳につとめることです。そのためには川の流れをせきと
 めて
沼をつくり、水泳を奨励するのです。そうすれば、いかに舟戦に長じた越といえども侵略で
 きますま
い」
 「具体的にはどうする?」
 「まず、領内の川の水をゼきとめて丸い大きな池をたくさんつくります。なかには深い池もつく
 っ
ておきます。そうしておいてから『水泳に秀でた者にはほうびとして十金をとらせる』と布告
 するの
です」
  桓公がこの策を実行に移したところ、千金も使わないうちに、斉の人民は以ハ越の人民に負け
 ないぐらい泳ぎが達者になった。
  そこで桓公は北進して孤竹と離枝の攻略にとりかかった。はたして越はその隙をついて斉を攻
 めた。
越軍は曲菑の水をせきとめて水攻めの策をとった。管仲はかねて鍛えておいた水練の達人
 五万人を動
員し、越軍を曲菑に迎え撃って殲滅した。これは「水練の策」といわれている。
 
      《孤竹、離枝》春秋時代の小国。

      《曲菑》菑水の湾曲した部分。

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 桓公曰:「天下之國,莫強於越,今寡人欲北舉事孤竹離枝,恐越人之至,為此有道乎?」管子對
 曰:「君請遏原流,大夫立沼池。令以矩游為樂,則越人安敢至?」桓公曰:「行事奈何?」管子
 對曰:「請以令隱三川,立員都,立大舟之都,大身之都,有深淵壘十仞。令曰:『能游者賜千金』,
 未能用金千,齊民之游水,不避吳越。桓公終北舉事於孤竹離枝,越人果至,隱曲薔以水齊,管子
 有扶身之士五萬人,以待戰於曲薔,大敗越人,此之謂水豫。」

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   貧民救済

  桓公は、城北地区の貧しい生活ぶりを憂え、町子を呼びりせた。
 「城北地区の人民は本業の野菜づくりのほかに、ぞうりなどをつくって暮らしのたしにしている
 との
こと。なんとか救済してやりたいが、方法はないか」
  
管子がこたえていうには、
 「こんな禁令を出してみたらどうでしょう。
  1、米百鍾を生産する農民は、靴をつくるな。
  2、米千鍾を生産する農民は、菜園をもつな。
  3、市場から三百歩以内の近距離に住む者は野菜をつくるな。
  こうすれば、それによって生じた空地を城北の貧民に分け与えることができます。さらに、手
 づく
りのぞうりや野菜を高く売ることができます。今までの十倍も利益をあげることができまし
 ょう」

 《ぞうりなどを……》原文は「屨縷の甿」。屨とは麻やわらでつくった靴。縷とはぼろ布。履物
 づくりを暇とする。
 《手づくりの……》原文は「手搔の功」。手細工でできたもの。ここでは履き物づくりを指すす。
  分業化 この説話は。一面では、春秋時代における分業化の進展を物語るものと見ることもで

 ---------------------------------------------------------------------------------------

 桓公憂北郭民之貧,召管子而問曰:「北郭者,盡屨縷之甿也,以唐園為本利,為此有道乎?」管
 子對曰:「請以令禁百鍾之家不得事鞽,千鍾之家不得為唐園,去市三百灸者不得樹葵菜,若此,
 則空閒有以相給資;則北郭之甿,有所讎其手搔之功,唐園之利,故有十倍之利。」

 ---------------------------------------------------------------------------------------

※ 参考:『管子』軽重篇の成立、金谷 治 1984.06.30

                                      この項つづく

  ● 庭の山茶花と柚子

秋晴れで、朝から宗安寺に墓参と三成の旗印入りお守りを頂き、帰りに永源寺のヒトミワイナリーに
立ち寄る。ここで「お守り」と「十場天伸作 四角皿」をAR・ゲットではなく
リアル・ゲットする。

  

彼女からメールが届く。庭の柚子と山茶花の花の写メールだった。
 

 

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大一大万大吉のお守り

2016年11月05日 | 近江歴史回廊

 

                                             

                                          A statesman cannot aflord to be a moralist.

                                                                             Will(iam) Durant
             
                                  ※ statesman vs. politican   

 
                           政治家は道徳家になっている余裕はない。

                         
アメリカの哲学者・教育家
                          ウィリアム・デュラント 

                                                            
                                                Dec. 8, 1861 - Mar. 18, 1947

 

【世界の朝食:今日はミヤンマー】

● もうすぐモヒンガーが世界展開する!

ミャンマーは東南アジア10ヶ国の中でインドネシアに次ぐイギリスとフランスを合わせた二番目の面積の多
民族国家。ミャンマーは農業国で、人口の約90%は農民。様々な農作物の中でも稲作が主に占める。昔から
山間部
や平地などの至るところで米が作られ、いろんな形で食されてきた。(焼く、煮る、炒める、火にさら
す)ミャンマーにあるお菓子もその一つで、米を粉にして作った麺もその一つ。この麺は太さによって3種類
に呼び名が分かれる。一番太い順にうどんより少し細いナンジー、そうめんみたいなナンティ、そしてきしめ
んみたいなナンビャー。もしナンジーの麺で作ったサラダはナンジートウと呼ばれる。モヒンガ(下写真)と
して食べる麺はナンジーの麺は使わずナンティと呼ばれる麺が使う。これらの麺を鶏肉、魚、エビ、揚げ物、
野菜等で和えてサラダとして食べる。サラダとして食べる時はスープが付き、この形をモウンティレットと呼
ぶ。このようにサラダとスープという形で食べる。

ミヤンマーとの国名の前はビルマと呼称され、多数派民族であるビルマ族の食文化を「ビルマ料理」と呼ぶの
が定着しているが、その特徴は、スパイスの使用が比較的抑えられ、油を多用する点にある。米が主食に据え
られ、1、2種類の副菜を添えて大量の米を食べるのが基本的なビルマ族の食事スタイル。シャン米、もち米
も食べられているが、ミャンマーの食卓にはインディカ米が上ることが多い。都市部では朝食を外食で済ませ
ることも珍しくなく、屋台や軽食堂では米以外にモヒンガー、オンノ・カウスェーといった麺類、ナンに油条
といった中華系やインド系の軽食も食べられている。一方昼食と夕食には米が欠かせず、米と副菜を一緒に食
べるのが一般的なミャンマーの食卓のスタイルである。

副菜は、日本では便宜上カレーと称されることもある「ヒン」という煮込み料理が中心、ヒンは「おかず」「
副菜」の同義語としても使われる。タマネギ(トマトが加わる場合もある)をベースとして煮込み、具はブタ、
ウシ、ヒツジ、ニワトリの肉と内臓、魚介類、野菜であり、調味料は具に応じて使い分けられる。その種類は、
煮込み時間によって、(1)水気の多いシーレー・イェーレー、(2)水気が無くなるまで煮込んだシービャ
ン(スィービャン)に大別される。どちらも多量の油を使って青トウガラシを多用しない点が特徴。スパイス
の種類は限られる。食材の風味とエキスを含んだ油が美味とされ、具とともに油も食される。インド風のヒン
は「カラーヒン」と呼ばれ、スパイスの種類が多いのが特徴である。ミャンマー内での健康に対する関心の高
まりから油の使用を抑える傾向もあるが、なお多くの油が料理に使われる。



食材にはヒラマメ、インゲンマメ、ヒヨコマメなどの豆が頻繁に用いられ、他の東南アジアの国に比べて種類
と調理法が豊富。ヒンの調理において、油でスパイスを炒める点が他の東南アジア大陸部の国で食べられる「
カレー」の調理法と異なり、むしろ豆の使用頻度とカレーの調理法同様インド料理と共通するが、使われるス
パイスの種類はインド料理よりも少ない。ミャンマーでは豆腐もよく食べられ、ヒヨコマメから作られること
もあり、ターメリックで黄色く着色した豆腐、厚揚げのように調理された豆腐も料理に使われる。ローゼルを
「チンバウン」といい、その葉を炒め物(ジョー)やスープにする。様々な太さや形状のライスヌードルも使
われる。

ビルマ料理では料理に塩味付けに魚醤と塩辛が使われるが、その種類は3つに大別される。(1)塩辛のペー
ストであるンガピ、(2)魚を原型のまま加工したンガピガウン、(3)魚醤のンガピーイェーである。ンガ
ピを加工したンガピジョーという、ふりかけに似たそぼろ状の副食も作られる。この魚醤はビルマ族伝統の食
文化ではなく、モン族、ピュー族など9世紀以前に上ビルマに居住していた先住民族から取り入れた食文化だ
と考えられている。また、かつては魚醤の素材は淡水魚が主であったが、19世紀以降ビルマ族による下ビル
マの開発が進むにつれて海水魚による魚醤が作られるようになり、56年より本格的な海水魚の魚醤の生産が
国営の工場によって開始される。
ニンニク、タマネギを炒める際に使用され油「スィー・ジェッ」は、広い用
途のある調味料として有名。甘味料としてサトウキビとパームヤシから作られる砂糖、タマリンドや柑橘類で
酸味を付けるが、この点は他の東南アジア諸国と共通する。

さて、モヒンガについて。モウンティという言葉が、コウンバン時代(18 -19世紀)に、この時代の演劇作家
「ウーポンシャ」が、彼の芝居の中に出てくる一つに「モウンティの汁のような丸い形」と書かれ、モウンテ
ィとモヒンガが同じだとしたら、モヒンガがこの時代に存在していたと推測されるという(モヒンガをモウン
ティと呼んでいる地方がある)。
また、米を粉にする道具や、それを水に漬けてこす道具のようなものが、近
年土の中から多量に発見され、米を作って食べていた時代から既に米で作ったお菓子やご飯の代わりになるモ
ウンティ、モヒンガ等があったのではないかと推測され、
モヒンガの起源はおそらくピュー時代(1-9世紀)と
考えられている。

モヒンガの材料は色々な種類の豆、にんにく、タマネギ、とうがらし、香菜、ザパリン、バナナの茎等です。
この地方では魚抜きで作る。ミャンマーの南部ではモヒンガを作る時には先程の材料に、ナマズ、ヒレナマズ、
ニシニゴイダマシ、という魚を入れる。因みに、これらの魚が入っていないモヒンガは精進料理として食べる。
このように、モヒンガーは、ナマズなどの魚の出汁のスープに、お米から作られた麺が入った料理で、レスト
ランや屋台
だけでなく、一般家庭でも食べられているミャンマーの国民食。お店のテーブルには、唐辛子、パ
クチー、ライムのような
カラマンシーのような柑橘系のトッピングがセットされていました。テーブルに座っ
てから、数分と待つことなく、モヒンガー
とワンタンをカリカリに揚げたようなトッピングが一緒に出くくる。

 

【テスタがパナソニックと生産提携をする理由】

先月、米電気自動車(EV)大手の米テスラ・モーターズとパナソニックは、共同で太陽電池の生産を米国で
始める検討に入ったと発表。世界トップレベルの変換効率を持つパナソニックの「HIT太陽電
池(結晶シリコ
ンと非晶質シリコンによるヘテロ接合型太陽電池)のセル製造技術を使い、17年に太陽電池
の生産開始を予
定している。生産候補地は現在、米ニューヨーク州バッファローとなっている。テスラは、こ
の夏、分散型太
陽光発電システム販売・施工において米国ナンバーワンの米ソーラーシティを
26億米ドルで買収すると発表
したばかり。実は、そのソーラーシティは数年前から年間1GWの生産
能力を持つ「ギガファクトリーと呼ばれる
太陽電池工場を、同じニューヨーク州バッファロ
ーに建設している。

ソーラーシティは、14年6月に米太陽電池ベンチャーであるシレボ社を2億米ドルで買収。同ベンチャーは、アプライ
ドマテリアズ(Applied Materials)の幹部によってカリフォルニア州シリコンバレーに設立された。結晶シリコ
ンと薄膜のハイブリッドの太陽電池セルの開発・生産を行う会社である。「トンネル接続型」という先端技術
を使用し、高効率化しつつ、製造工程を減らし低コストを達成。同社のトリックス (Triex)と呼ばれるセルテ
クノロジーの変換効率は22~23%で、世界トップレベル。
既に、カリフォルニア州フレモントでパイロッ
ト生産と、中国で量産が行われていて、24%の変換効率を目標に掲げている。ちなみにフレモントの工場は、
破綻したソリンドラ社(Solyndra)が円筒型CIGS太陽電池を製造していた施設を利用。

 Jan..25, 2016

テスラのイーロン・マスク氏の従兄弟によって設立されたソーラーシティは、太陽光発電のトータル・ソルー
ション・プロバイダーとして、住宅、商業・公共用の分散型太陽光発電システムの設計、販売、施工、ファイ
ナンス、そして運営・メインテナンス・監視など全ての工程を行う。2015年には住宅用太陽光発電市場の35
%、商業・産業・公共用市場の14%のシェアを占め、競合他社を大きく引き離した。14年といえば、米国
では中国メーカーによる太陽光パネルのダンピングとそれに伴う反ダンピング関税の適応などで、パネルの安
定的な調達に問題が生じた。ソーラーシティは、シレボ社を買収することにより、独自に生産することで、パ
ネルの確保と 競争力を高めるという戦略を掲げた。

実際、買収時に行った株主総会で、同社は、「シレボ社買収により太陽光パネルを)国内生産することで、海
外生産より競争力が高まり、(中国産パネルの購入をなくすことで)輸入税が避けられ、運送にかかるコスト
も大幅に削減できる」と発表。つまり、従来のパネルより高効率、低コストで、「導入コスト」が一番低く提
供できる。

ソーラーシティは、ニューヨーク州バファロー地域にシレボ社の技術を使用した太陽電池のギガファクトリー
工場を建設することで、7億5000万米ドルの補助金を同州から支給される。
工場の建設には約3億5000万米ドル、
そして製造機械設備に約4億米ドル費やされるという。建設中の120万平方フィートの製造施設は、同州の所有
で、ソーラーシティがリースすることになるが、なんとその月々のリース料は「1米ドル」!。
これら手厚い
待遇と引き換えにソーラーシティに求められた条件は、今後10年間に渡り、50億米ドルをキャピタル、運営、
サプライチェーンに費やし、バファローに1500、そしてニューヨーク州全体に5000人の雇用をもたらす。14
年、バッファロー地域のリバーベンドでは、大々的にソーラーシティのギガファクトリー工場の着工式が行わ
る。その際、同社は16年夏にはパネルの製造を開始すると発表。完成時には、1日1万枚のパネルを生産で
きるこの工場は、西半球で最大規模になると言われる。

 



● シレボ社の買収は失敗だった?

今年に入り、工場は、ほぼ完成したものの、ソーラーシティの財務状況が悪化したことで、生産開始は17年
に延期された。さらに、バッファローに期待された新規雇用数も1500から500人へと下げられた。生産開始の
遅れ、さらにテスラのパナソニックの選択に、「シレボ社のテクノロジーは難しすぎたのか、それともコスト
が高すぎるのか」と、ソーラーシティによるシレボ社の買収失敗説を語るメディアが増えている。ただ、10
月末にマスク氏が「ソーラールーフ・タイル」を発表したことから考えると、シレボ社のテクノロジーはこの
新製品に使われ、新築、または屋根の葺き替えを必要とする「新しい屋根」市場に搭載され、パナソニック製
のパネルは「既築の屋根」に搭載されるという使い分けになりそうだ。住宅用の2つの異なる市場にそれぞれ
に合ったテクノロジーで開拓する戦略なのかもしれないと言われている。

 

 

 

【三成の旗印入りお守り:石田地蔵尊残る宗安寺で提供】

戦国武将・石田三成の念持仏がある彦根市本町一の宗安寺(竹内眞道住職)は、三成の旗印大一犬万大吉」を
印刷したお守りの提供を始めた。宗安寺は、慶長5年(1600)の関ケ原の戦いで井伊直政が佐和山城跡の
山麓に入った際、高崎(群馬県高崎市)から移築されて、それまでの安国寺から改名されたのが始まり。慶長
8年に現在の地に移されている。関ケ原の戦い後に佐和山城が焼失し、山麓にあった瑞星マも被害にあったと
され、同寺に残されていた 地蔵菩薩像や千体佛が宗安寺の末寺だった称名院(錦町)に移され、その後、宗
安寺で保管されるようになった。地蔵菩薩像は 石田地蔵尊とも呼ばれ、
 千体俤と共に三成が大切にしていた。
宗安寺では、「一人が万民のために、万民がI一人のために・・・」の大一大万大吉の思いを広めるためにお
守りを作成。
縦9センチ×横5センチの大きさで、三成が豊臣秀吉と出会ったきっかけにもなった百獣の茶」
などにちなんで緑色を基調にし、表に
大一大万大吉、裏に宗安寺と記されている。

宗安寺で1個800円で販売。夢京橋あかり館ではお守り袋が500円で売られており、それを宗安寺に持参
して、300
円で願い事を書く紙とお札を受け取って袋の中に入れる方法もある。その際の縦覧料は無料。問
い合わせは宗安寺(
0749-22-0801。(出典:しが彦根新聞 2016.11.05) 



ところで、宗安寺に三成が関ヶ原の戦いの前に拝んでいたという千体仏、三成の念持仏として存在することが
「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日 2015.06.01 )で紹介された折り、
宗安寺住職竹内眞道
に千体仏について
「石田三成公は阿弥陀様の救いを求めていたことがひしひしと伝わりますし、時に多くの命
にご加護が行き渡ることを祈っていたのかもしれないですね」と答えている。千体仏と石田地蔵尊は、もとは
戦国時代の武将は 身代わり地蔵――危険な目に遭ったときにお地蔵さんが現れ身代わりになる――この世で
最後とする究極の美の力として耐えうるお地蔵様と崇めたものだが、これを三成が母の菩提を弔うために佐和
山の山麓に建てた瑞岳寺に安置した。また宗安寺には、淀殿が拝んた阿弥陀如来立像が井伊家の家臣所藤内に
より運ばれ安置され、さらには、大坂夏の陣のおり木村重成重成を討ち取った彦根藩士が手厚く葬った首塚も
もある。



それにしても偶然とはいえ、小学生の朝のラジオ体操の場所であった大阪の太融寺には淀君の墓が納められ、
賤ヶ岳の戦いでは、豊臣秀吉方として高山右近の部隊として参戦し、宗安寺の墓で両親が眠っているいるとは
不思議な縁を感じざるをえない。明日は、墓参り方々お守り買って帰ることにしよう。『銃士は国王のために
国王は銃士のために』(One for All, All for One.:アレクサンドル・デュマ「三銃士」)、あるいは、『ひとり
ひとりはみんなのために、みんなはひとりひとりのために』(Each foe All and All for Each:
フリードリヒ・ヴ
ィルヘルム・ライファイゼ「信用組合論」第2版序文)、そして、今夜の『皆のために、皆は一人のために
「大一大万大吉」』(石田三成)である。

  

 

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高性能PMSM時代

2016年11月04日 | 環境工学システム論

 

               自分自身の体験と思索によって到達した考えは、たいがいの場合われわれは
               おだやかにつつしみ深く口にするものである。

                                                                      美しき惑いの年 / ハンス・カロッサ



                                               

                                                                        Hans Carossa  Dec. 15, 1878 - Sep. 12, 1956

 

  Oct. 24, 2016

【水力発電ポンプ工学の此岸:永久磁石埋込型電動機の高性能化】 

先月、東京ビッグサイトで開催された展示会「第6回 水イノベーション」に三相電機とアシアティ
ック・エンジニアリング・ジャパンと共同開発・参考出展した「小型水力発電ポンプ」――ポンプ
に水を逆に流し、通常とは逆方向に回転させて発電を行う「ポンプ逆転式」の発電機で、大きさは
430×441×180ミリメートル、重さ約30キログラム。水車と発電機の一体構造で小型で、狭いス
ペースに設置しやすく大掛かりな工事不要で、最短で1日で設置可能な―――例えばビル空調の循
環水が流れる配管や工場排水設備の配管に接続することで、供給圧の残圧を利用して水力発電が行
え、こうした配管残圧が利用できる安定水源があれば有効で、さらにため池や河川から配管を通
して取水して発電を行うことも可能という、管水路用マイクロ水力発電システムの発電ポンプが話
題となっている。

 

この発電機の発電機の主な利用条件は2つ。(1)10~21メートルの有効落差を確保でき、(2)
水量が1分あたり300~450リットル確保できることである。売電機能は搭載しておらず、自立型の
独立電源システムとしての利用を想定した製品となっている。発電機の最大出力は750W(ワット)
で、最小が200ワット。未利用エネルギーを電力に変えてバッテリーに充電したり、ビルや工場内
の照明などに利用したりできる他、災害時の電源としても使用可能。なお、設置の際には整流回路
ユニットと、直流電力を交流に変換するための市販のパワコン(インバータ)も併設する。三相電
機とアシアティックは、今月をめどに小型水力発電ポンプの実証を兼ねたモニター販売を開始し、
17年の前半には一般販売開始する考え。正式価格は決まっていないが百万円以下をめざす。
 Oct. 24, 2014

これらの高性能な小型発電ポンプの進展には、(1)ポンプインペラー(あるいは、タービン、水
車)の高性能ととも、(2)ネオジウムなどのモーター磁石の高性能化が寄与があり、永久磁石の
コンパクト化(ダウンサイジング)などの研究開発が行われきている。参考までに、下記の新規考
案事例を掲載する。

● 特開2014-039355 駆動装置および駆動方法


冷蔵庫やエアコン等に設けられている圧縮機、車両、車両に搭載されている車載機器)を駆動する
駆動装置は電動機を備えている。このような電動機として、下図のような、永久磁石を有する回転
子を備える電動機が用いられている。軸方向に直角な断面図で示されている電動機は、固定子と回
転子から構成され、固定子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って配置されている複数の
ティース532、隣接するティースで成される複数のスロット535に挿入されている各相の固定
子巻線540で構成。回転子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って交互に配置されてい
る主磁極部と補助磁極部をもつ。主磁極部には、磁石挿入孔561が設けられ、磁石挿入孔は、永
久磁石が挿入され、磁石挿入孔と永久磁石、主磁極部の外周面の周方向中心と回転子の中心Oを結
ぶd軸に直交する方向に沿って直線状に延る。永久磁石には、保持力が大きい希土類磁石が用いて
磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の回転子を備える電動機は、永久磁石埋込型電動機Perma-
nent Magnet Synchronous Motor:
PMSM)と呼ばれ、(1)誘導電動機・電磁石同期電動機などより
高効率、(2)整流子・ブラシ・界磁励磁回路・スリップリングがなく、保守が容易である、(3)
界磁の損失による温度上昇がなく、界磁温度上昇に対する保護が不要などの特徴をもつ。  
Feb. 27, 2014

近年、このような電動機(永久磁石埋込型電動機)に電力を供給する電力供給装置として、インバ
ータ装置が用いられている。インバータ装置は、回転子550が回転方向Rの方向に回転するよう
に、回転子550の位置に基づいて制御される。さらに、電動機のトルクを高めるために、各相の
固定子巻線540に誘起される誘起電圧より設定角度αだけ進んだ時点で各相の固定子巻線540
に電圧が印加されるように制御される(「進角制御」と呼ばれている)。例えば、図10に示され
ているように、回転子550の主磁極部のd軸が、固定子巻線540により形成される磁極の中心
Zより設定角度(「進角」と呼ばれている)αだけ進んだ位置に達した時点で固定子巻線540に
電圧が印加されるようにインバータ装置が制御される。

ここで、電動機500を進角制御する場合、図10に矢印で示されているように、固定子巻線54
0により発生する磁界が、回転子550の永久磁石571に、永久磁石571の着磁方向と逆向き
に印加される。このように、永久磁石571の着磁方向と逆向きの外部磁界が永久磁石571に印
加されると、永久磁石571が減磁されて電動機の特性が低下する。 永久磁石571の減磁を抑
制する方法としては、永久磁石571の厚さを大きくする方法が考えられる。しかしながら、永久
磁石571の厚さを大きくすると、永久磁石の使用量が増大する。

このため、永久磁石の減磁を抑制しながら永久磁石の使用量を低減することができる技術が要望さ
れている。特に、希土類磁石は価格が高いため、永久磁石として希土類磁石を使用する場合には強
く要望される。なお、特開2004-350345号公報には、最大トルクの低下を抑制しながら
トルク脈動を抑制するために、永久磁石と回転子の外周面の間に、径方向に沿って延びているスリ
ットを設ける技術が開示されている。しかしながら、特開2004-350345号公報には、永久磁石の減
磁を抑制しながら永久磁石の使用量を抑制
するための技術は開示されていない。本発明は、この
ような点に鑑みて創案されたものであり、永久磁石の減磁を抑制し、また、永久磁石の使用量を
低減しながら電動機を進角制御することができる技術を提供することを目的とする。

● 特開2012-114970 永久磁石埋込型電動機

回転軸9の方向に永久磁石収容孔8が複数形成された回転子鉄心7と、回転軸9に直角な面におい
て、永久磁石収容孔8に回転子6の周方向で隣り合う永久磁石10の長手方向の端面どうしが同極
どうしとなるように挿入した永久磁石10を備えた回転子6からなり、磁極数の個数に対して永久
磁石収容孔8の個数が同数であり、回転軸9に直角な面において、全ての永久磁石収容孔8の長手
面が、回転子6の内周側から外周側へと延びる方向で、かつ、隣り合う永久磁石収容孔8が干渉し
ない範囲で、回転子外周側8aを径方向に対して同一周方向へ傾けることで永久磁石量を増やすこ
とが可能な形状とし、永久磁石収容孔8に永久磁石10を有する永久磁石埋込型電動機であること
で、永久磁石の個数を磁極数と同一としながら、性能面を改善した永久磁石埋込型電動機を提供す
る。

 

 

【発電機を搭載した電気自動車が登場】 

高性能でコンパクトな電動機の進化は、小型発電ポンプのような再生可能エネルギー分野だけでな
いこ
とは当然。今月2日、日産自動車が新しいタイプの5人乗り電気自動車を発売。発電専用のガ
ソリンエンジン
で作った電力をバッテリーに蓄えながら、モーターだけで走る仕組みになっている。
従来の電気自動車のように充電する必要がなく、しかも同型のガソリン車と比べて燃費を約1.4
倍に改善するという。これは電気自動車なのか、それともハイブリッド車なのか。しかし内部の構
造はどちらとも違う。ただしガソリンエンジンでは走らずに、エンジンを回して電力を作ってモー
ターだけで走る。エンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車ではなくて、ガソリンエ
ンジン発電機を搭載した電気自動車である(上図参照)。バッテリーだけを搭載した電気自動車と
違い、充電を必要としない点が最大の特徴。ガソリンを補充しながら長距離を走るというもの。発
電専用のエンジンには発電モーターが組み込まれ、ガソリンを燃料にエンジンが回転して、モータ
ーで発電した電力を駆動用バッテリーに蓄電する仕組みは、前述した水力をここではガソリン燃料
の内燃機関を置き換えたモーター発電方式。モーターの最高出力は80kW(キロワット)を発揮。駆
動用バッテリーも同様にリチウムイオン電池を採用したが、リーフのように大量の電力を蓄えてお
く必要がないために小さな容量で済む。



高価なリチウムイオン電池が小容量で済んだことで価格を安く抑えることができた。本体価格はグ
レードによって139万円~224万円と手ごろな範囲だ。一方の日産リーフは247万円~40
7万円の価格帯。新発売の「NOTE e-POWER」には4種類の電力供給モードで、平坦な道を走って
いる状態では、バッテリーの残量によってエンジンをON/OFF。電力の残量が多ければ、通常の電
気自動車と同様にバッテリーから駆動モーターに電力を供給して走行する。エンジンが停止してい
るため走行音は極めて小さい。



電力の残量が少なくなるとエンジンを動かして発電する。発電モーターからバッテリーに電力を送
り充電
しながら、バッテリーの電力を駆動モーターに供給して走る。エンジンの最高出力は58kW
通常の走行状態であれば駆動モーターが消費する電力よりも多くの電力を作ってバッテリーに蓄え
る。
急な加速や坂道を登る時には、発電モーターから駆動モーターに電力を直接送って、バッテリ
ーからの電力と合わせてモーターをフル回転させる。逆に減速時や坂道を下る時には、駆動モータ
ーの回転に逆らう作用で回生エネルギーが発生する。そのエネルギーで駆動用モーターが電力を作
ってバッテリーの充電量を増やすことができる。こうした4つの電力供給モードを組み合わせてガ
ソリンの消費量を抑える。「NOTE e-POWER」の燃費はJC08モードで34.0~37.2キロメート
ル/リットル)になる。ガソリン車の「NOTE」の燃費は23.4~26.2km/lで、約30%の燃費節減と
なり、因みに、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の標準モデルの燃費は37.2km/l
電力供給モード切り替えがあっての燃費削減の実現である。ここでも、第5次産業革命の『デジタ
ル革命渦論』の真価が発揮されるというわけである。

 

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デタッチと道灌と天こ盛り

2016年11月02日 | 近江歴史回廊

 

                                           我庵は松原つづき海近く 富士の高嶺を軒端にぞ見る


                                                             太田 道灌

                             

           

 

  Nov. 2, 2016

気象衛星「ひまわり9号」を搭載したH2Aロケット31号機打ち上げ成功!

 

   Oct. 14, 2016

【日本/アメリカ 新時代:デタッチとは何か】

なにげなくというか、昨夜ネット検索していると、「デタッチ( detach )」という言葉に漂着する。意味は、分離する、
切り離す、取り外す、派遣する、などの意味を持つ英単語。対義語は「アタッチ」(attach)。特に、ソフトウェア開発
で、デバッガなどが監視・制御の対象としていた(アタッチしていた)実行中のプログラム(プロセス)を監視下から
外すことを「デタッチする」という。データベース管理システムなどで、管理しているデータベースファイルをシステ
ムの管理下から切り離すことをデタッチという。特定の形式のデータベースをファイルの形でコピー・配布したい
場合などに用いる。ファイルの形で手に入れたデータベースをシステムの管理下に置く操作はアタッチという。ア
タッチの対義語は映画やTVでお馴染みの「アンタッチブル」。

 一言で言えば、村上文学はノーベル賞を受けてもいい、機は熟した、そのように思うのです。今回
 はダメでしたが、受賞にはかなり近づいているのではないかと思います。そこには、2つ理由があ
 ります。

 1つ目は、この世界に距離を置く「デタッチメント」という生き方の意味です。村上文学が日本で
 読まれ始めた1980年代から、人気が世界に拡大した2010年代までというのは、経済成長の結果とし
 て生まれた「豊かな世代」が、経済成長に「コミット」して上の世代が作ってきた世界への違和感
 を持ちはじめた時代でした。

 その違和感が、村上文学の持つ「この世界への違和感」とシンクロする中で、世界的に爆発的な人
 気を獲得してきたのだと思います。ですが、そうした読まれ方は悪く言えば「豊かさの帰結」とし
 ての貴族性であり、一歩間違えば高等遊民の思想に近いものとなる危険をはらんでいました。

              『ボブ・ディラン受賞の驚きと、村上春樹の機が熟した2つの理由』
              冷泉彰彦、ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト、2016.10.14


このコラムの執筆者の冷泉彰彦(れいぜい あきひこ 1959.06.22 - )は、アメリカ合衆国の教員、作
家、翻訳家、鉄道評論家。東京大学文学部卒業。コロンビア大学修士課程修了。プリンストン日本語学
校高等部主任で本名、前田文夫である。その彼はこのコラムで、日本のある時代においては「就活」の
中で、「村上春樹のファン」を自称する学生は「評価しない」という会社があったそうですが、その良
し悪しは別として、経済成長へのコミットという生き方とは、村上文学の持つ「デタッチメント」とい
うのは、相性は悪かったわけです。村上文学の本質がそうかという点は別として、そのような読まれ方
がされた時代だったのでした。と書いた上で村上のを次のよう評価する。


 ですが、現代は違います。日米欧をはじめとした先進国では、その経済は新しい段階、すなわち知
 的な創造力が求められる時代になってきています。企業共同体などの集団に「コミット」するよう
 な前世紀的な思想ではなく、一人ひとりが世界の現状と変化に距離を置きつつ冷静な見通しを持っ
 ていく、そのような生き方が実現されなくては、全体の成長も不可能という時代に突入しているの
 です。部分的には中国の社会もその段階に入りつつあります。

 それは村上文学が保守本流になり、時代に追いつかれたということではありません。村上文学は、
 さらにその先へと走り続けています。ですが、村上文学の持っている「デタッチメント」すなわち、
 この世界に距離を置くことから生まれる、個人の自立した姿、無自覚な依存を拒否する生き方とい
 うのが、現代はますます重要な考え方になっている、そのことは間違いないと思うのです。

 第2の理由は、紛争とその解決という問題です。2009年にイスラエルで行われたエルサレム賞の受
 賞式で、村上春樹氏は「卵と壁」というスピーチを行いました。また、2011年の福島第一原発事故
 以降は、村上氏は原子力の平和利用への反対という立場を明確にしています。

              『ボブ・ディラン受賞の驚きと、村上春樹の機が熟した2つの理由』
              冷泉彰彦、ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト、2016.10.14


このように述べ、あらゆる対象に「デタッチメント」を貫いてきた村上が、パレスチナや反原発運動に
連帯するという、単純な「コミットメント」の立場ではなく、イスラエルの「壁」は、これは万里の長
城や、ベルリンの壁、あるいはトランプの夢想する「メキシコ国境の壁」とは根本的に違い、イスラエ
ルのそれは、複雑な「入れ子構造となっている」その入植地をテロから守ると称して作られた複雑な壁
であり、その撤去を行うには西岸地区における両民族の共存を可能にする厳格な法体系と、共生のルー
がなくては成立しないとし、また「卵」というのも単純な話ではなく、パレスチナ人が卵や石を投げ
る平和的な抗議とではなく、火炎瓶や自爆テロも伴い、イスラエル側の行動も実弾射撃から戦車隊の投
入へとエスカレートし、そのような複雑な紛争を解決に導くには、「一方が善で他方が悪」だというよ
うな原理主義的な思想ではなく、粘り強いリアリズムを前提としている(はず)だ。あるいは、エネル
ギー政策も同様で、原発に対して最初から否定する態度も、また依存を前提に行動する態度もどちらも
合意形成能力には乏しく、目に見えない放射線に対して人間が本能的に抱く危機回避行動を甘く見ない
一方で、絶望的に資源のない国家が、温室効果ガスの排出抑制という地球規模の使命を果たすためには、
どんなエネルギーの「ミックス」が適正なのかは、極めて複雑な議論を要求するとと援用し、現代の社
会的課題、国際的な紛争、「複雑系」として存在するがゆえ、「一方の立場にコミット」してしまう態
度では、もう問題解決が不可能で、世界に対して距離を置くデタッチメント」の思想というのは、別
の意味での重要な価値が出てきていると結ぶ。ここで、その思想が、「デコンストラクション」(脱構
)や「ポストモダン」の思想とどこが異なるのか?あるいは、「絶望的に資源のない国家」という先
入観で思考停止せず「再生可能エネルギー技術」で突破を試みるわたし(たち)の考え方と
 どのよう
に違うのか違わないのか明確でないという疑問を払拭させるには不十分である。ともあれ「デタッチメ
ント」が「アドホックなキルケゴール」の思想と相似していると認めるならこの蟠りは消失するであろ
う。

                              
  冷泉彰彦 

   マンガだけじゃない! 日本の子どもの読書量は多い

 

 Oct. 30, 2016

【RE100倶楽部】

● テスラ「発電する屋根」を開発

いよいよ、電気自動車ベンチャーのテスラが、16年10月28日(現地時間)、住宅用の屋根タイル
と一体化した太陽光パネル「Solar Roof」を発表。同社が買収手続きを進める米国の太陽光パネルメーカ
ーソーラーシティと共同開発した製品で、17年夏から米国で生産を開始する。最も、瓦型ソーラーパ
ネルは旧三洋電機(現在、パナソニック)が世界で初めて開発しているが、テスラの説明では下図の価
格別商品シリーズを準備――
Solar Roofの最大の特徴は太陽光パネルに見えないという点。主に強化ガラ
ス、ルーバーフィルム、高効率太陽電池セルの3
層で構成されており、屋根に設置しても遠目からだと
一般的な屋根タイルのように見える。現時点では4種類のデザインを公開(下図)。尚、変換効率は、
22%と高性能。

テスラはSolar Roofとともに、新型の定置型蓄電池を発表した。家庭用の蓄電池「Tesla Powerwall」、業
務用蓄電池システム「Tesla Powerpack」のそれぞれについて新型モデルを用意。
新型の「Tesla Powerwall
2
」は容量14kWh(キロワット時)のリチウムイオンバッテリーパックを搭載。従来モデルの容量は 6.4
kWh 
で、容量は2倍以上に増加した。さらに温度管理システム、統合型インバーターなども統合、価格
5500米ドル、日本円で617000円。同年8月にソーラーシティとの合併の合意に関する声明の中でも
この戦略を強調している。今回発表したSolar Roof
と新型蓄電池が住宅向け市場を開拓していく上での主
力製
品となっていく。さらに既存事業の電気自動車を組み合わせ、「太陽光パネル・蓄電池・電気自動
車」の3つをセットにした、統合的なエネルギーソリューションの提供を武器に市場開拓を進める狙い
をもつ。
 

 Oct. 28, 2016

こうしたテスラの戦略の中で、重要なパートナー企業となっているのがパナソニック。両社はリチウム
イオン電池の生産について既に提携を進めているが、さらに16年10月18日には、テスラがソーラ
ーシティを通して傘下に置くバッファロー工場での太陽電池セル・モジュールの生産についても協業の
検討を開始すると発表。
パナソニックは結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独
自のヘテロ接合型の高効率太陽電池「HIT」シリーズを強みとして持つ。こうした技術がSolar Roofに直
接適用されるかは不明だが、パナソニックの技術力とテスラの販売力を組み合わせたシナジーによる市
場開拓に向け、着実に提携領域は拡大するとみられる。

ただし、この太陽電池生産における提携については、テスラによるソーラーシティの買収が完了するこ
とが条件となり、テスラはソーラシティ買収で製品販売におけるコストを最初の1年間で1億5000万ドル
削減できると見込むる。今後の事業収支や販売ネットワークの強化などにも影響するものであり、テス
ラとしては早期にこの買収を完了したい考え。買収が遅れれば、製品開発や生産計画に影響が出る可能
性もある
一方、この買収については株主から疑問視する声も挙がっている。今回の新製品の発表は、ソ
ーラーシティの株主に両社のシナジーをアピールし、買収手続きを前進させる狙いもある。この買収に
関する投票を行うソーラーシティの株主総会は、16年11月17日(現地時間)に予定している。

 Oct. 20, 2016

● 東芝 光で二酸化炭素をエチレングリコールに変換

東芝は、光で二酸化炭素をエチレングリコールに変換する光電気化学システムを開発し、エネルギー変
換効率0
.48%を達成。電気化学的に二酸化炭素をエチレングリコールに還元する分子触媒の開発
進め、今回、光起電力素子としてシリコン系太陽電池を用い、光で二酸化炭素をエチレングリコール
に変換する光電
気化学システム。

分子触媒は金属表面上にイミダゾリウム塩誘導体を高密度に吸着させたものです。金属表面に吸着した
イミダゾリウム塩誘導体が分子上で二酸化炭素分子と相互作用をすることで、従来実現できなかった反
応を可能にしました。これは、分子触媒が、二酸化炭素の反応を促進するとともに、2電子還元反応よ
りも複雑な多電子還元反応の反応場としての役割を果たしているからと考えている。得られたエチレン
グリコールは、PETボトルやポリエステル繊維・樹脂の原料にも使用できる汎用性の高い工業原料。分子
触媒の吸着方法を見直して二酸化炭素還元の性能を向上させた電極を利用し、触媒が最も効率的に作用
するように光電気化学システムを制御した事により、光によるエチレングリコール生成が可能となる
(特許出願中)。

  道灌物語

【琵琶湖ワイナリーへGO!:道灌物語を紐解く】

葡萄栽培に最適な土壌づくりを目指して、滋賀県栗東市浅柄野の広大な荒蕪地を開墾し、表土と底地を
取り替える天地返しの大工事を成し遂げた結果、見事完成した理想的な葡萄園が当、琵琶湖ワイナ
リー。
昼夜の温度差が激しく日照の良いブドウ畑で、除草剤をいっさい使わずに徹底した有機農法によリ丹精
こめた栽培している。琵琶湖ワイナリーとして数多くのワインを現在までに世に送り出している。ここ
で生み出されるワインは一流ホテルをはじめ、各方面から高い評価を受けているという。

永源寺のヒトミワイナリーにつづき、今度は琵琶湖ワイナリーを訪れよう彼女が提案。即決で明日現地
に出かける予定に。

 
ところで、ここの経営太田酒造で大田道灌(1432-1487)――室町時代中期の武将。資清の子。幼名は鶴
千代麿。源六郎と称し、持資、のち資長と改名。左衛門大夫,備中守,正五位下に任じ,入道して春苑
道灌と号した。父資清は武蔵国都築郡太田郷に住み,扇谷上杉氏に仕えた―――の末裔が営むというか
ら面白いではないか。


● 米原ルート4000億円で最安 北陸新幹線


● 木曽駒ヶ岳残照記 

ホテル千畳敷まで下山し、喫煙にデッキへでて、富士を眺望しながら、ケントメントールを吸っていた
時、年
格好が60歳を超え五郎丸歩並み大柄の男性と今日の体験や計画のいきさつをわたしの方から話
しかけ、これで冥土への良い土産ができましたと結んだ。暫くするその方の奥様が来られたが、そのバ
ックパックがあまりにもベストヒットしている様を見て、よくお似合いですね、自分にぴったりしたバ
ックパックは疲労を感じさせないといいますが、よくお似合いですねと話かけると、彼女はでもここが
(背中とバックパックの間)空いているのよ。こうすることで汗を外部発散させているのようねと説明
してくれた。最近のスポーツ用品はハイクオリティーだと感心しホテル内に戻り、ロープウェイとバス
を乗り継ぎ下山し、管の台バスセンターに戻り、駐車場から出ようとすると、先ほどの男性が、窓越し
に、それ
は優しく微笑みかけ、別れの会釈を交わし駐車場を後にした。話はそれだけで終わらない。翌
朝、眼をさますと
その男性の「優し微笑み」が心臓から五臓六腑に染み渡るかのように感じられ、目頭
が熱くなる。山を愛するひとたちはかくも優しく素敵なのかと初めての体験に感嘆し涙する。

                                            

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昔の名前と学習能力

2016年11月01日 | 医療健康術

 

             悪魔でも聖書を引くことができる。身勝な目的のために。

                        『ヴェニスの商人』

         The devil can cite Scripture for his purpose.  
                                                                                               
                                                                                        The Merchant of Venice      
   
                             Watch out, Bassanio. The devil can quote Scripture for his own use.
                             An evil soul using a holy story is like a criminal who smiles at you.
                             He looks like a good apple but he’s rotten at the core.
                             Oh, liars can look so honest!

                                                                                                 Act 1, Scene 3, Page 5

                                   
                                 
ウィリアム・シェイクスピア                                                      
                                                                    
Apr. 26, 1564 - Apr. 23, 1616

 

 

【百名山踏破記:大乱調の巻 木曽駒ヶ岳】

体調が戻らないまま弾丸登山へ。午前4時に出発、7時過ぎに管の台バスセンターに到着、
12分のバスに乗り込みしらび平に到着。ロープウェイに乗り込み日本一高い千畳敷駅到着。
紅葉も終わり晩秋の季節、氷点下6℃という寒さという。天候も予定通り快晴。ところで、
中央アルプスの最高峰で、木曽駒などと呼ばれる木曽駒ヶ岳。伊那谷を挟んで東側に甲斐駒
ヶ岳、西側に木曽駒ヶ岳があることから、西駒ヶ岳と呼ぶこともある。雪解け時期には伊那
市の高遠付近から馬の雪型が表れることから山名が付いた。高山植物の豊富な場所で、2600
メートル付近の千畳敷カールまでロープウェイでいけるので観光客も多く訪れる行楽場所で
もあり、9月から10月にかけての紅葉の季節には大勢の観光客が訪れる。ちなみに、山小
屋が充実し、周囲に宝剣山荘頂上山荘天狗荘があり、千畳敷駅もホテル千畳敷という宿
があるのでそれも合わせて四箇所ある。



千畳敷駅(せんじょうじき)は、長野県駒ヶ根市にある中央アルプス観光駒ヶ岳ロープウェ
イの索道駅で、麓のしらび平駅(標高1661.5メートルから高低差950メートルを昇った標高
2611.5メートルの位置(実際は2640メートル台)にある。索道を鉄道に含めれば室堂駅(立
山黒部貫光無軌条電車線、標高2450メートル)を上回り、標高日本一の駅となる。なお、駒
ヶ岳ロープウェイは、通年運行である。14年12月15日、駒ヶ岳山中で発生した雪崩や
雪による倒木で制御用通信線の支柱が倒壊。電源供給が行えなくなり、運行を停止した。雪
の影響から復旧工事に着手できず、15年3月23日に通信線を迂回させる仮設工事を完了
させ仮復旧、約3ヶ月ぶりに運行再開させている。

尚、ホテル千畳敷が併設され、駅同様、日本で最も標高の高い場所にあるホテル。客室は全
室和室で、16部屋あり、食堂、お風呂などを完備されている。また、千畳敷駅周には信州
駒ケ岳神社が奉られ、大山祇大神(オオヤマツミノオオカミ)と、天照大神をロープウェイ
開通時に設置され、ロープウェイの安全を祈願する。大山祇大神は、天照大神の兄神であり、
山の守護神である。

 駒ヶ岳神社/千畳敷カール/長野県駒ヶ根市

 千畳敷カール


  Yamakei Online / 山と溪谷社

駒ヶ岳神社で参拝をすませ予定通り、千畳敷からカール壁を北側へ登って主稜線に出たとこ
ろの乗越浄土(のっこしじょうど)に登るが、50分の距離のところだが、少しする全身が
だるく、呼吸も乱れ風邪と高山病(altitude sickness) の合併症――咳き込みが数日間続き、
扁桃腺も腫れていた
ところに、高山病、正確には高度障害、俗的には山酔いともいうが、高
い山のような気圧の低いところへいくと、体に様々な変化がおき、ごく初期の症状としては
心拍数があがったり、呼吸数が増えたりする(この程度なら自覚症状がない)が、3000メー
トルを超えるあたりでは、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気(めまい)、他に、顔や手足のむくみ、
眠気やあくびなどの睡眠障害、運動失調、低圧と消化器官の機能低下からくる放屁などが現
れることもある。一般には低酸素状態において数時間で発症し、1日~数日後には自然消失
するが、重症の場合は高地脳浮腫(High-Altitude Cerebral Edema; HACE) や高地肺水腫(High-
Altitude Pulmonary Edema; HAPE
) を起こし、死に至ることもある――と判断、用意していた
小形酸素供給器から酸素を供給しつつ休憩を取りながら登るそれでも埒があがらす、風邪薬
を通常の半分量を服用。それでも埒があがらない場合は、ウィスキーを服用し、少しずつ、
少しずつ登っていたが、もう駄目かなと思うときがあり、10時半過ぎに携帯電話(圏内)
に彼女に連絡し、駄目だったたら下山するが6時頃に帰宅するよと伝える(頑張れ!という
激励が返ってくる)。

   乗越浄土-宝剣荘

やっとの思いで乗越浄土に到着。ここで、駒ヶ岳方面、駒飼ノ池方面、伊那前岳方面、宝剣
岳方面
への4つの登山道に分岐し、曇り空に一転し山風が吹くなか稜線を一路宝剣荘に向か
い休憩する。
昼食にと考え買っていたセブンイレブンおにぎりを、サンドイッチを取り出し
食べようとするが、ご飯粒がボロボロと床こぼれ落ちるではないか、さすがのわたしも腹を
立て、ローソンのおにぎりにすべきだったと悔やむ。残りも食べず、仕方がなしに同じメー
カのビーフジャージを口にするがこれも品質にばらつきあり固くて食べることができないも
のを残し、伊藤園の「お~いお茶」といっしょに腹のたしにする。酸素が効いたのか、ベン
ザブロックが効いたのか、はたまたウィスキーが複合的に効いたのか、嘘のようにすこぶる
体調回復する。山小屋の係員に礼を述べ退出し、登山を続行するため、乗越浄土に戻り、よ
く登山する女性の方に相談すると、こんなに風が強くなれば、宝剣岳は登らず、駒ヶ岳と伊
那前岳がベターだという結論に落ち着いた。



  伊那前岳

乗越浄土に立つ指導標と伊那前岳へ伸びる尾根。一番高いところは和合山で、伊那前岳はその向
こう側になる。 

  宝剣岳

  

  宝剣岳

  木曽駒ケ岳

  

宝剣山荘からなだらかな道を登ると巨岩の立ち並ぶ中岳。中岳から木曽駒ヶ岳を望む。鞍部
に見え
るのは駒ヶ岳頂上山荘。山荘の左右の斜面に「駒」の名が付いた特産の高山植物、コ
マウスユキソ
ウが群落を作る。山頂には、古来からの神社が木曽側と伊那側のふたつの神社
ある、木曽側と伊
那側叉それぞれ里宮があり、氏子もいて祭典も行われ、神社庁にも登録さ
れている。

このように、山頂での休憩を含め、急速な単調回復もあり、順調に2つのコースを足早でこ

なし下山し、午後2時半には千畳敷駅へ到着し管の台バスセンターへ無事戻ってこれ、予定
時間通り6時ごろ帰宅できた。山中、山風にあったが概ね秋晴れの登山日よりであったが、
ある意味、生死を少し考えさせられたり、あるいは、「焦りは禁物」と戒める機会ともなる。

● 韓国・朴槿恵大統領支持率急低下

彼女が韓国の大変なことになっているよという。そうみたいだねと応えるが、本当にわから
ないので、ネット検索をすることにする。「韓国検察は31日夜、朴槿恵大統領の友人で、法
に反して機密文書を受け取っていた民間人女性の崔順実(チェ・スンシル)氏を緊急逮捕し
た。崔氏は国政介入などの疑惑の中心人物で、検察が真相解明に本腰を入れれば、朴氏は弾
劾や辞任などの厳しい選択を迫られる可能性が高まる。崔氏の国政介入は、対北朝鮮関係に
も及んでいたと見られている」((親友の愛人らが指図!?  朴槿恵大統領は「操り人形」だ
ったのか | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト, 2016.
11.01) という記事に目がとまるが複雑というか陰謀論のようであるよな筋書きである。

その1つが、崔氏と親しい財閥夫人や広告プロデューサー、彼女の愛人とされる元ホストが
居並ぶ「素人利権集団」が、大統領にどのように指図するかを秘密裏に話し合って、朴槿恵
大統領を操っていたというのだがそうだとすれば、今回のスキャンダルが、韓国社会に今後
長きにわたる混乱をもたらすのは間違いない。朝鮮半島はいま、南北分断のみならず、なん
の求心力もなくバラバラになってしまう危機に直面しているとこの記事は伝えているが、処
理を誤れば朝鮮半島は混乱きたし引いては極東の不安定リスクは増すことになるぐらいは、
わたしのような素人もわかることだが如何に?

● 昔の名前と学習能力


最近、民進党代議士の野田佳彦や自民党代議士の竹中平蔵の名前や露出が多くなったように
に思える。というのは、わたし(たち)にはすでに”終わった人”とおもっていたからだ。
例えば、「結婚したい、子供を欲しいと思う20代の割合が大きく低下している」(時事通
信, 2016,11、01)という。それによると、国立青少年教育振興機構が実施した2015年の
調査結果を、08年度調査と比較した。同機構の明石要一青少年教育研究センター長は「
済格差や貧困の問題などが、新しい家族をつくる足を引っ張っているのではないか」と分析。
今回の調査は15年12月、インターネットを通じて全国の20~30代の男女に実施(調
査対象人数:4000人)。前回08年度調査は18~29歳の男女2400人)。

15年度調査で未婚者に結婚願望を聞いたところ、全体では「早くしたい」が16.9
%「
したくない」が20.3%だったが、20代は「早くしたい」18.0%(08年度調査20
.2%)、「したくない」17.8%(同10.1%)で、「したくない」が急増。子供がい
ない人への質問では、子供を「結婚したらすぐにでも欲しい」が全体で18.2
%だった。
一方、「欲しくない」は24.8%。20代は「すぐにでも欲しい」が16.
5%(同17.0
%)で微減だったが、「欲しくない」は21.9%(同11.1%)と倍近くになった。未婚
者で交際相手がいる人に結婚しない理由を尋ねると、「とても」と「やや」当てはまると答
えた合計割合の多い順に、「経済的に難しい」63.8%、「一人が楽」50.4%、「仕事
が忙しい」48.3%だった。というものである。つまり、「デフレと格差拡大」の進行に
歯止めがかからない状況下にあり、これらの責任がすべてにないにしても無関係でないと考
えてきた。それが、学習能力を欠如したゾンビのごとくリサージェンスしているようでは、
日本の未来は暗いと言わざるをえない。

 

 

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