極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ジョージと呼んでくれないか

2017年03月11日 | 時事書評

  

    

         47  臥薪嘗胆 / 沢水困(たくすいこん) 


                                          

        ※ 困という字は、かこいの中にある木で、伸びようとして妨げられ、
          苦しみ悩む状態を示している。卦の形も、満々と水をたたえるほず
          の沼沢(兌)が、涸れはてている(坎=水が下にある)姿をあらわし
          ている。また、三つある剛爻(一)がみな陰爻(--)におおわれて
            苦しんでいる譬えである。つまぬ連中に妨げられて思うにまかせぬ、
          資金難に見舞われる、何を言っても信じてもらえぬなど八方塞がり
          の時である。しかし試練の時にこそ人間の真価がわかる。越王勾践
          が、自分は呉王の家来になり、妻は呉王の婢になるという逆境にあ
          りながら、臥薪嘗胆して志を果たした故事を思うべきである。

 

 

   1.もし表面が曇っているようであれば


  その年の五月から翌年の初めにかけて、私は挟い谷間の入り口近くの山の上に往んでいた。夏
 には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた。海から南西の
 風が吹いてくるせいだ。その風が運んできた湿った雲が谷間に入って、山の斜面を上がっていく
 ときに雨を降らせるのだ。家はちょうどその境界線あたりに建っていたので、家の表側は晴れて
 いるのに、裏庭では強い雨が降っているということもしばしばあった。最初のうちはずいぶん不
 思議な気がしたが、やがて慣れてむしろ当たり前のことになってしまった。

  まわりの山には低く切れ切れに雲がかかった。風が吹くとそんな雲の切れ端が、過去から迷い
 込んできた魂のように、失われた記憶を求めてふらふらと山肌を漂った。細かい雪のように見え
 る真っ白な雨が、音もなく風に舞うこともあった。だいたいいつも風が吹いているせいで、エア
 コンがなくてもほぼ快適に夏を過ごすことができた。

  家は小さくて古かったが、庭はずいぶん広かった。放っておくと庭には線の雑草が高く繁り、
 そこに隠れるように猫の一家が往み着いたが、庭師がやってきて草を刈ると、どこかに移動して
 いった。たぶん居心地が悪かったのだろう。三匹の子供たちを抱えた縞柄の雌猫だった。きつい
 顔をして、生きていくのがやっとというように痩せていた。

  家は山のてっぺんに建っており、南西向きのテラスに出ると、雑木林の間に海が少しばかり見
 えた。見えるのは洗面器に張った水くらいのサイズの海だ。巨大な太平洋のちっぽけなかけらだ。
 知り合いの不動産業者によれば、たとえそれくらいの大きさでも海が見えるのと見えないのと
 では、土地の価値がかなり追ってくるということだったが、私としては海が見えても見えなくて
 もどうでもよかった。遠くから見るとその海の断片は、くすんだ色合いの鉛の塊みたいにしか見
 えなかった。なぜそれほど人々が海を見たがるのか、私には理解できなかった。私はむしろまわ
 りの山の様子を眺めている方が好きだった。谷間の向かい側に見える山は季節によって、天候に
 よって、生き生きと表情を変えていく。その日々の変化を心にとめるだけで飽きなかった。

  その当時、私と妻は結婚生活をいったん解消しており、正式な離婚届に署名捺印もしたのだが、
 そのあといろいろあって、結局もう一度結婚生活をやり直すことになった。
  どのような意味合いにおいてもわかりやすくないし、原因と結果との結びつきが当事者にさえ
 うまく把握できないその経緯をあえてひとことで表現するなら、「元の鞘に収まった」というあ
 まりにありきたりの表現に行き着くわけだが、その二度の結婚生活(言うなれば前期と後期)の
 あいだには、九ケ月あまりの歳月が、まるで切り立った地峡に掘られた運河のように、ぽっかり
 と深く口を開けている。

  九ケ月あまり――それが別離の期間として長かったのか、それとも短かったのか、自分ではう
 もし表面が曇っているようであればまく判断できない。あとになって振り返ると、それは永遠に
 近い時間だったようにも思えるし、逆に意外にあっという間に過ぎてしまったようにも思える。
 印象は日によって変わる。よく写真に写された物休のわきに、実寸をわかりやすくするために煙
 草の箱が置いてあったりするが、私の記憶の映像のわきに置かれた煙草の箱は、そのときの気分
 次第で好き勝手に伸び縮みするみたいだ。私の記憶の枠の内側ではどうやら、事物や事象が休み
 なく動き変化しているのと同じように、あるいはそれに対抗するかのように、一定不変であるべ
 き物差しもまた動き変化しているらしい。
 
  といっても、すべての私の記憶がそのように出鱈目に移勤し、勝手に伸び縮みしているわけで
 はない。私の人生は基本的には、穏やかで整合的でおおむね理屈の通ったものとして機能してき
 た。ただこの九ケ月ほどに限っていえば、それはどうにも説明のつかない混乱状態に陥っていた
 ということだ。その期間は私にとってあらゆる意昧合いにおいて例外的な、普通ではない期間だ
 った。そこでの私は、静かな海の真ん中を泳いでいる最中に、出し抜けに正体不明の大禍に巻き
 込まれた泳ぎ手のようなものだった。

  この時期のできごとを思い返すとき(そう、私は今から何年か前に起こった一連の出来事の記
 憶を辿りながら、この文章を書き記している)、ものごとの軽重や遠近や繋がり具合が往々にし
 て揺らぎ、不破かなものになってしまうのも、またほんの少し目を離した隙に論理の順序が素早
 く入れ替わってしまうのも、おそらくはそのせいだ。それでも私は全力を尽くし、能力の許す限
 り系統的に論理的に話を連めたいと考えている。あるいは所詮は無駄な試みなのかもしれないが
 自分なりにこしらえた仮設的な物差しに懸命にしがみついていたいと私は思う。無力な泳ぎ手が
 たまたま流れてきた本ぎれにしがみつくみたいに。

  その家に越して最初にやったのは、安価な中古車を手に入れることだった。それまで乗ってい
 た車は、少し前に乗りつぶして廃車処分にしていたので、新たに車を購入する必要があった。地
 方都市では、とりわけ山の上に一人で往んでいるような場合には、日々の買い物をするのに車は
 必需品になる。小田原市郊外のトヨタの中古車センターに行って、格安のカローラ・ワゴンを見
 つけた。セールスマンはパウダーブルーと言ったが、病気をしてやつれた人の頻のような色合い
 の車たった。走行距離はまだ三万六千キロだが、過去に事故歴があるということで大幅な値引き
 があった。試乗してみたが、ブレーキとタイヤには問題はなさそうだった。高速道路を頻繁に利
 用することもないだろうから、それでじゆうぷんだった。

  家を貸してくれたのは、雨田政彦。彼とは美大でクラスが同じだった。私より二歳年上だが、
 私にとって数少ない気が合う友人の一人であり、大学を出てからもときどき頻を合わせていた。
 彼は卒業後は画作をあきらめて広告代理店に就職し、グラフィック・デザインの仕事をしていた。
 私が妻と別れて一人で家を出て、とりあえず行き場がないことを知り、父親の持ち家が空いてい
 るんだが、留守番みたいなかたちで住んでみないかと声をかけてくれたのだ。彼の父親は雨田典
 彦という高名な日本画家で、小田原郊外の山中にアトリエを兼ねた家を持ち、夫人を亡くしてか
 ら十年ばかり、そこで気楽な一人暮らしを続けていた。しかし最近になって認知症が進行してい
 ることが判明し、伊豆高原にある高級養護施設に入ることになり、その家は数ケ月前から空き家
 になっていた。

 「なにしろ山のてっぺんにぽつんと建っていて、便利な場所とはとても言えないけど、静かなこ
 とにかけては百パーセント保証するよ。絵を描くにはまさに理想的な環境だ。気を散らすような
 ものもまったくないし」と雨田は言った。

  家賃はほとんど名目だけのものだった。

 「誰も住んでいないと家が荒れるし、空き巣や火事のことも心配たしな。誰かが定住してくれて
 いるだけで、こちらも安心できるんだ。でもまったくただというのでは、おまえも気分的に落ち
 着かないだろう。そのかおりこちらの都合で、短い通告で出てもらうことになるかもしれない」

  私に異存はなかった。もともと小型車の荷台に積み込める程度の荷物しか所有していない。引
 っ越してくれといわれれば、翌日にでも引っ越せる。
  私がその家にやってきたのは五月の連休明けだった。家はコテージと呼べそうなこぢんまりと
 した洋風の平屋建てだったが、一人暮らしには十分な広さがあった。小高い山の上にあり、まわ
 りを雑木林に囲まれていて、正確にどこまでが敷地なのか、雨田もよく知らなかった。庭には大
 きな松の木が生えていて、大い枝を四方に伸ばしていた。ところどころに庭石が置かれ、灯龍の
 脇には立派な芭蕉の木が生えていた。

  雨田が言ったように、静かなことは間違いなく静かだった。しかし今から振り連ってみれば、
 気を散らすものがまったくなかったとはとても言えない。
  妻と別れてその谷間に往んでいる八ケ月ほどのあいだに、私は二人の女性と肉体の関係を持っ
 た。どちらも人妻だった。一人は年下で一人は年上だった。どちらも私か敢えていた絵画教室の
 生徒だった。

  私は機会をつかまえて、彼女たちに声をかけて誘い(普通の状況であればまずやらないことだ。
 私は人見知りをする性格で、そういうことにもともと馴れていない)、彼女たちはその誘いをこ
 とわらなかった。なぜかはわからないが、そのときの私には、彼女たちをベッドに誘うことはと
 ても簡単で、理にかなったことのように思えた。白分か教えている相手を性的に誘惑することに
 ついて、やましさをほとんど感じなかった。彼女だちと肉体関係を持つことは、道路でたまたま
 すれ違った人に時刻を尋ねるのと同じくらい普通のことのように思えたのだ。

  最初に関係を待ったのは、二十代後半の背の高い、黒目の大きな女性だった。乳房は小さく、
 腰は細かった。顔が広く、髪がまっすぐで美しく、体つきに比べて耳が大きかった。一般的な美
 人とはいえないかもしれないが、画家ならちょっと絵に描いてみたくなるような、特徴のある興
 味深い顔立ちをしていた(実際に私は画家であり、実際に何度か校女をスケッチしてみたことが
 ある)。子供はいない。夫は私立高校の歴史の教師で、家では妻を殴った。学校で暴力を振るう
 ことができず、そのぷんの鬱屈を家で晴らしているようだった。でもさすがに顔は段らなかった。
 彼女を裸にすると、身体のあちこちにアザや傷跡があることがわかった。彼女はそれを見られる
 のを嫌がって、服を説いで抱き合うときにはいつも部屋の照明を真っ暗にした。

  彼女はセックスにほとんど興味を待っていなかった。いつも性器の湿り気が足りず、挿入しよ
 うとすると痛みを訴えた。時間をかけて丁寧に前戯をし、潤滑ゼリーを使っても効果はなかった。
 痛みは激しく、なかなか収まらなかった。痛みのためにときどき大きな声を上げた。
  それでも彼女は私とセックスをしたがった。少なくともそうすることを嫌がらなかった。どう
 してだろう? あるいは彼女は痛みを求めていたのかもしれない。あるいは快感のなさを求めて
 いたのかもしれない。あるいは彼女は何らかのかたちで自分か罰されることを求めていたのかも
 しれない。人は自らの人生に実にいろんなものを求めるものだから。でも彼女がそこに求めてい
 ないものがひとつだけあった。それは親密さだ。

  彼女は私の家に来ることを、あるいは私が彼女の家に行くことをいやがったので、我々はいつ
 も私の車で、少し離れた海岸沿いにあるカップル用のホテルまで行って、そこでセックスをした。
 ファミリー・レストランの広い駐車場で待ち合わせをし、だいたい午後の一時過ぎにホテルに入
 り、三時前に出てきた。そういうとき彼女はいつも大きなサングラスをかけていた。曇っていて
 も雨が降っていても。でもあるとき彼女は待ち合わせの場所にやってこなかった。教室にも顔を
 見せなくなった。それが彼女との短い、ほとんど盛り上がりのない情事の終わりだった。彼女と
 性的な交渉を待ったのは、全部で四回か五回だったと思う。’

                    村上春樹 『騎士団長殺し』Ⅰ部 顕れるイデア編


「家の表側は晴れているのに、裏庭では強い雨が降っているということもしばしばあった」「人は自
らの人生に実にいろんなものを求めるものだから。でも彼女がそこに求めてい
ないものがひとつだけ
あった。それは親密さだ」という箇所が今夜の特徴ある残像である。前者は、「生きることの陰影」
の隠喩、後者は「性的関係」の不可避性の暗示であろう。

【鍵語】顔のない男

 

  ● 今夜の一曲

チャイコフスキー: ピアノ三重奏曲 Piano Trio偉大な芸術家の思いで, in a, Op.50

チャイコフスキーのピアノ三重奏曲イ短調作品50は、1881年から1882年にかけて作曲された。旧友ニ
コライ・ルビンシテインへの追悼音楽であるため、全般的に悲痛で荘重な調子が支配的である。作品
に付された献辞にちなんで『偉大な芸術家の思い出に』(いだいなげいじゅつかのおもいでに)とい
う副題ないしは通称で知られている。楽器編成は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ。
本作品、とりわ
け第2楽章は、ピアノに高度な演奏技巧が要求され、ピアノを用いるあらゆるチャイコフスキー作品
のなかで、おそらく最も演奏が至難である。50分近い演奏時間にもかかわらず、息を呑むような抒情
美や、壮大かつ決然たる終曲によって今なお人気が高い。それでは、ゆるり堪能することに。

 ● 今夜の一枚

ジュブリルタンで、昼を済ませ、伊吹山が綺麗ので写真を撮るということで、絶景アングルスポット
があるので、開出今の湖岸に案内する。天気はいいのだが霞んでいるため惜しい。そこは編集でなん
とかする。ところが、吹きつける強風でさすがに薄着では寒い。急いで車に乗り込む。ムッシュ・ス
カタンもたまには実力を発揮するのねと同乗する彼女が言うので、マダム・スカタン、今後は、わた
しのことを、ジョージ・スカタン、否、ジョージと呼んでくれないかと返事する。そんな会話を交わ
し帰宅する。

※ 定義:ジョージ・スカタンとは、常時失敗をしでかすジャージをこよなく愛用する日本の年金受
     給高齢男性(単数形/複数形)をさす。
 

  

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黒猫 そして本が届いた。

2017年03月10日 | デジタル革命渦論

  

    

         46  伸びゆく若芽 / 地風升(ちふうしょう) 


                                          

        ※ 升とは、のぽりゆくこと、地(坤)の下に芽を出した若木(巽)が、
          天をめざしてすくすくと伸びゆく姿を示す卦である。
上昇を示す卦
          は三つある(晋、升、漸)が、順調な成長という面
ではこの卦が最
          高である。勢いから言えば、旭日昇天の「晋」が最も
盛んだが、ど
          うしても危険とひずみをともなうのである。こ
の卦は、堅実に、し
          かも自信をもって向上するものを表わしてい
る。「彖(たん)伝
          にはその時の心構えとして、時を得ること、実力を
養うこと、後援
          者を得ること、の三つをあげている。若芽には、
春の季節と強烈な
          生命力と豊かな養分とが必要なのである。



 Mar. 9, 2017

● ペロブスカイト太陽電池をR2Rで量産性を証明 12.6% 

9日、薄膜太陽電池の研究開発に関するメーカーのコンソーシアムであるSolliance 社は、ローツ・
ツー・ロール(R2R)方式でペロブスカイト太陽電池(PSC)を作製し、その変換効率が面積0.1cm2
のエリアで最大12
.6%だったことを発表。この変換効率は、PSCに限らず、R2R方式で作製した
太陽電池として最高水準である。 PSCは結晶Si系太陽電池を超える高い変換効率を、結晶シリコ
ン系の1/5のコストで実現できる可能性がある次世代太陽電池。現時点で、単接合PSCのセル変
換効率の最高値は22.1%だが、多くがスピンコートという方式で作製されており、量産に向い
R2R方式での作製例はほとんどない。今回の成果により、特に、低コストでの量産可能性を確認
できたと担当者は話す。

同社は今回、30cm幅のPETフィルム上に透明導電膜のITO層を形成した市販のシートの上に室温、
大気圧下でペロブスカイト層や電子輸送層(ETL)をR2Rで積層し、乾燥、焼成した。その製造ス
ループットは、1分間で5メートルと速い。焼成プロセスの温度は120℃以下。今後、作製した
性能バラつきを抑え、同時にさらなる高効率化を図っていき、近い将来に、より大きな測定エリア
で変換効率15%をめざす。これは楽しみだ。
 

 Mar. 10, 2017

● 初の金メダル デュアルモールで西島行真

中京大)が日本男子史上初の金メダルを獲得。積極的な滑りで頂点に立つ。世界選手権で男子の日
本勢は非五輪種目のデュアルモーグルで03年に附田雄剛、09年に西伸幸が銀メダル獲得してい
るが、そのモーグルでは初の金メダル快挙となる。岐阜県揖斐郡池田町出身。生後1年でスキー好
きの両親の影響を受けスキーを始める。小学校4年生でモーグルを始める。岐阜第一から中京大に
進学。W杯の最高成績は15年12月のW杯ルカ大会(フィンランド)デュアルモーグル3位。2
月の札幌冬季アジア大会でモーグルとデュアルモーグルの2冠。166センチ、54キロと小柄。
すごいぞ!

 Mar. 24, 2016

【ZW倶楽部:竹のバイオマス発電の原料化に成功】

日本国内に豊富に存在するものの、ボイラーで燃焼させると炉内に「クリンカ」という溶岩を生成
してしまうなどの特性から、バイオマス発電の燃料には不向きとされている竹。日立製作所はこう
した竹の性質を、一般的なバイオマス燃料と同等の品質に改質する技術の開発に成功した(スマー
トジャパン 2017.03.10)。

竹はカリウムを多量に含んでおり、灰の軟化温度が680~900度と低く、大型のボイラーで燃焼させ
ると炉内に「クリンカ」という溶岩を生成する特性がある。さらに塩素濃度も高いため耐火物や伝
熱管を腐食させやすい。そのため、一般にはバイオマス発電などの燃料としては不向きとされてい
る。 竹は国内に豊富に存在するバイオマス資源であり、成長力が非常に強い。根が森林へ拡大す
るとそこに生育する樹木の成長を阻害してしまうため、放置竹林の拡大防止や、資源としての有効
活用策の確立も課題となっている。燃料に適さないという課題を解決し、竹をバイオマス発電に活
用できるようになれば、林業と発電事業者の双方にメリットが生まれる。

  Mar. 9, 2017

脱水後の粉末で作ったペレットを燃焼させたところ、灰の軟化温度は1100度以上に向上した。塩素
濃度も人体に影響のないダイオキシン類レベルとされる木質バイオマスペレット燃料の規格レベル
まで抑えることができた。さらにこの手法を、孟宗竹、真竹、淡竹、笹や雑草類、未利用の杉の皮
にも適用したところ、同様の効果が得られることが分かったという。

同社はこうしたニーズに応える技術の開発に成功する。竹類から「燃料に不向き」の原因である
リウムと
塩素を溶出除去、一般的な木質バイオマス燃料と同等の品質に改質する技術。


● 木質燃焼灰は産業廃棄物か

Apr. 14, 2017

ところで、木質バイオマス燃料はをエネルギー変換する方法は大きく分けて次の2つがある。

  1. 木質バイオマスを発酵しガス化し、①燃焼ボイラー、②ガスタービン発電、③燃料電池にて
    変換するする方法 ※ 排熱を交換機や熱電変換素子で改修する方法。
  2. 木質バイオマスを燃焼ガス化した後、第1項と同様にエネルギー変換する方法。

このとき排熱は徹底的に回収利用するとともに、この工程で発生する廃棄物を回収し、①土壌改質
剤(肥料)、②コンクリートなどの窯業増量剤として徹底利用する。



いま、この滋賀県での木質バイオマス燃料事業(「湖の碧い四つの古城」Azure quatre vieux château
sur le lac
) を構想しており、折りをみて掲載していく。

 

 Mar. 9, 2017

黒猫 そして本が届いた。

わたしの作業場は角地の南西側向きに掃き出し窓があり、いぶきの生け垣越しに車の往来がみえる。

この間などは、彼女が溝掃除をしていて、車が住宅街だというのにスピードをだして、視界を横切
るので事故が起こると直感し、しばらくすると案の定、大きな衝突音とともに衝突事故が2件も発
生する。いずれも、その被害者は町内の知り合いの方である。彼女は事故とは関係ないのだが、地
元の中小零細のデベロッパーが宅地開発した道路幅狭まく消防車が通行するのもやっとという貧相
な住宅街なのだが、今朝もヤマト運輸のトラックを室内ウォーキング中、視界を走行音とともに確
認し、今回も直感通り、玄関チャイムが鳴り、声がするのでドアを開けると、若いドライバーが宅
配物を届けてくれた。受け取り領収のサインをしながら、最近なにかと話題になっているんだねと
声をかけると、評判になっていると微笑みながら応じてくれる彼の顔をみると何とも頼もしそうな
男前の若者であった。宅配ドライバーの低賃金で、苦労が多い話(上写真)は、何もヤマトだけで
なく、この日午後に、竹馬の友から突然電話が入り、宅配ドライバーをやっている苦労(低賃金で、
顧客の対応の悪さ、大阪南の中国人観光客が歩行マナーの悪さなどの苦労や、ドライバー不足によ
る慢性的な過重労働、それだけでない、零細の宅配会社の経営継続危機に追い込まれている実情等
々)聞かされる羽目となり、長時間の電話となってしまった。もはやこれは社会問題なのだ、そう、
これが平和時の「富収奪の経路依存性」におけるところの、「常在戦場」なのだろう、「蟻の一穴」
(体制崩壊の序章)となりかねないと妄想する。それにしても、わたしは、「アマゾン」を利用す
ることをやめている。その理由は唯拝金主義の経営精神のニオイを感じてのこと、これが世間で言
われる外資系企業特有のドライさ加減なのだろう。

兎も角も、黒猫が紀伊国屋書店に発注した村上春樹の近著『騎士団長殺し』――旋回する物語そし
て返送する言葉――を届けてくれた。


 

● プロローグ

 
  今日、短い午睡から目覚めたとき、〈顔のない男〉が私の前にいた。私の眠っていたソフ
 ァの向かいにある椅子に披は腰掛け、顔を持だない一対の架空の目で、私をまっすぐ見つめ
 ていた。
  男は背が高く、前に見たときと同じかっこうをしていた。広いつばのついた黒い帽子をか
 ぶって顔のない顔を半分隠し、やはり暗い色合いの丈の長いコートを着ていた。

 「肖像を描いてもらいにきたのだ」、顔のない男は私がしっかり目覚めたのを確かめてから
 そう言った。彼の声は低く、抑揚と潤いを欠いていた。「おまえはそのことをわたしに約束
 した。覚えているかね?」

 「覚えています。でもそのときは紙がどこにもなかったから、あなたを描くことはできませ 
 んでした」と私は言った。私の声も同じように抑揚と潤いを欠いていた。「そのかおり代価

 として、あなたにペンギンのお守り渡しました」

  「ああ、それを今ここに持ってきたよ」

  彼はそう言って右手をまっすぐ前に差し出した。彼はとても長い于を持っていた。手の中
 にはプラスチックのペンギンの人形が握られていた。お守りとして携帯電話にストラップで
 つけられていたものだ。彼はそれをガラスのコーヒー・テーブルの上に落とした。ことんと
 いう小さな音がした。

 「これは返そう。おまえはおそらくこれを必要としているだろう。この小さなペンギンがお
 守りとなって、まわりの大事な人々をまもってくれるはずだ。ただしそのかわりに、おまえ
 にわたしの肖像を描いてもらいたい」

  私は戸惑った。「しかし、急にそう言われても、ぼくはまだ顔を持だない人の肖像という
 ものを描いたことかありません」

  私の喉はからからに渇いていた。

  「おまえは優れた肖像画家だと聞いている。そしてまたなにごとにも最初というものはあ
 る」と顔のない男は言った。そう言ってから笑った。おそらく笑ったのだと思う。その笑い
 声らしきものは、洞窟のずっと奥から聞こえてくる、虚ろな風音に似ていた。
  彼は半分顔を隠していた黒い帽子をとった。顔があるべきところには顔がなく、そこには
 乳白色の霧がゆっくり渦巻いていた。

  私は立ち上がり、仕事場からスケッチブックと柔らかい鉛筆をとってきた。そしてソフア
 に腰掛けて、顔のない男の肖像を描こうとした。でもどこから始めればいいのか、どこに発
 端を見つければいいのか、それがわからなかった。なにしろそこにあるのはただの無なのだ。
 何もないものをいったいどのように造形すればいいのだろう? そして無を色んだ乳白色の
 霧は、そのかたちを休みなく変え続けていた。

 「急いだ方がいい」と顔のない男は言った。「わたしはそれほど長くこの場所に留まること
 はできない」

  胸の中で心臓が乾いた音を立てていた。時間はあまりない。急がなくてはならない。しか
 し鉛筆を握った私の指は宙にとどまったまま、どうしても動こうとはしなかった。まるで手
 首から先が痺れてしまったように。彼が言ったように、私にはまもらなくてはならない何人
 かの人たちがいる。そして私にできることといえば、絵を描くことだけだった。それなのに
 どうしてもその〈顔のない男〉の顔を描くことができなかった。私はなすすべもなく、そこ
 にある霧の動きをにらんでいた。「悪いが、もう時間が切れた」と顔のない男は少し後で言
 った。そして顔のない口から白い川霧の息を大きく吐いた。

 「待ってください。あと少しすれば


  男は黒い帽子をかぶり直し、また顔を半分隠した。「いつか再び、おまえのもとを訪れよ
 う。そのときにはおまえにも、わたしの姿を描けるようになっているかもしれない。そのと
 きが来るまで、このペンギンのお守りは預かっておこう
  そして顔のない男は姿を消した。賞が突然の疾風に吹き払われるように、一瞬にして空中
 に消えた。あとには無人の椅子とガラスのテーブルだけが残った。ガラスのテーブルの上に
 はペンギンのお守りは残されていなかった。
  それはただの短い夢のように思えた。しかしそれが夢でないことは私にはよくわかってい
 た。もしそれが夢であるのなら、私の生きているこの世界そのものがそっくり夢になってし
 まうはずだ。

  いつかは無の肖像を描くことができるようになるかもしれない。ある一人の画家が『騎士
 団長殺し』という絵を描きあげることができたように。しかしそれまでに私は時間を必要
 している。私は時間を味方につけなくてはならない。

                  村上春樹 『騎士団長殺し』Ⅰ部 顕れるイデア編


と、ここまで読んで、トリス・クラッシックのホット・ウイスキーを作るためにブログ打ち込みを
終える。


  

 

 

 

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ランチタイムがヤバイ

2017年03月09日 | デジタル革命渦論

  

 

    

        45  砂漠のオアシス / 沢地萃(たくちすい) 


                                          

        ※ 萃の原義は草が群生していることで、転じて、人や物が集まるとい
          う意味に用いられる。地(坤)上
沢水(兌)が集まり、草木が茂り、
          人が集まり、交易が行なわれる。ちょうど砂漠のオア
シスである。
          旅行く者はオアシスに遇って、天の恵みに感謝する。この卦は、現
          在の繁栄は天や祖先
の霊の恩寵である、それに感謝することを忘れ
          て自分の力を過信してはならぬ、と戒めるのである。
また沢水が地
          上に集まる形から、洪水あれども農作、あるいは湖・温泉を示すと
          考えることもできる
。昔から「鯉、竜門に登るの象」とも言われ、
          入試・就職・人事異動などには大吉の卦である。

● ランチタイムがヤバイ

 
正午前、食事の準備がちょっと問題になっている。というより、冷凍食品を解凍し電子レンジで頂
くにしても、
即席ラーメンに湯を注いで頂くにしても、その動作、作業がいらつくのだが、その原
因が、体調不良からくるのと、構想づくり作業のダブルに効いてのこともわかっている。兎に角、
具材の準備や、キャベツをざく切りやフライパンで炒め物をする時も、出来上がったもの食べると
きも、いらつき、面倒くさい。今日はまだましで、構想がまとまれば自ずと復調すると確信する。
それというのも、自分では料理は元来、上手い方だと思っているのだが、今日は、手の掛からない、
冷凍たこ焼きとキャベツとベーコンの炒め物とホットミルク。いずれも電子レンジで加熱するだけ
のもの。この日も面倒くさく感じながらも、キャベツを切り、市販のベーコンと混ぜ合わせ、醤油、
オリーブ油、塩こしょうし、お気に入りの有田焼のタジン鍋に蒸し野菜にし、たこ焼きと合わせ頂
いたが申し分ない(同封のたこ焼きソースは不使用)。こんな体験初めて、自分でも不思議だ。

 

 

 May. 20, 2016

携帯可能な電子レンジ、NXPRFパワートランジスタで実現 ↑

電子レンジ正しくは電子レンジオーブンが家庭調理器具が定着して久しいが、前記のように、加工
食品技術の進歩と相まって、安全で栄養バランスの良く、なによりも衛生的で、安価で手軽に、本
格的な調理に近い食事が手早く美味しく頂けるようになったことに感謝しなければならない。また、
電子レンジは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店にも設置され、このよう
な店舗では、食品を購入したひとが、レジにて精算した後、この食品を電子レンジに入れて温めて
から持ち帰ったり、店員のひとが食品を電子レンジで温めてから購入したひとに渡すサービスが行
なわれている。 

ところが、電子レンジは、レンジ内の食品などにマイクロ波を照射して誘電加熱するのだが、マイ

クロ波を発生させる機器には、従来からマグネトロンが用いられてきた。このマグネトロンから出
力されたマイクロ波は、導波管内を伝播して、電子レンジの加熱室内へ供給される構造だが、マグ
ネトロンから出力されるマイクロ波は、指向性が低い。このため、加熱対象全体を加熱することは
できても、部分的に加熱することができない。

例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでお弁当が販売されているが、通常、複
数の食品が収容され、ご飯や煮物などのように温めた方がよいものもあれば、果物や漬物などのよ
うに温めない方がよいものもごちゃ混ぜされていることから問題がある。このブログでもこのこと
を取り上げてきた。この「特開2016-110750
マイクロ波加熱方法及びマイクロ波加熱装置」(下図)
は、この問題解決ために、①加熱する部分の情報を容器から取得する工程→②要加熱部の位置を特
定する工程→③半導体素子で構成したマイクロ波発生部がマイクロ波を発生する工程→④加熱室内
にマイクロ波を供給する工程→⑤マイクロ波の位相を変化させることで、要加熱部を加熱する加熱
工程とを有した方法が提案されている。

Jun. 20, 2016

 

また、このマイクロ波加熱装置は、半導体素子を用い、マイクロ波発生部と、マイクロ波の位相を
制御する位相制御部と、加熱室内にマイクロ波を供給する給電部と、要加熱部に関する情報を加熱
部特定情報として容器から取得する情報取得部と、要加熱部の位置を特定する情報制御部と、位相
制御部を制御してマイクロ波の位相を変化させることで、加熱制御部とを備えた構成である。

【実施例1】

電子レンジ1は、上図2に示すように、マイクロ波を発生させて加熱室13の内部に供給するマイ
クロ波供給手段20の構成として、半導体素子を用いたマイクロ波発生部21(21a、21c)
と、マイクロ波発生部21の出力を2分配する電力分配部22(22a、22c)と、電力分配部
22(22a、22c)のそれぞれの出力から任意の位相ずれを発生させる位相制御部23(23
a~23d)と、位相制御部23の出力を増幅する増幅部24(24a~24d)と、増幅部24
により増幅されたマイクロ波出力を加熱室13内に放射する給電部25(25a~25d)と、増
幅部24と給電部25とを接続するマイクロ波伝送路に挿入され給電部25から反射する電力を検
出する電力検出部26(26a~26d)と、操作パネル15を構成する複数のボタンやダイヤル、
タッチパネルなどの操作部151が操作されたことを検知する操作検知部27と、電力検出部26
により検出される反射電力に応じ、マイクロ波発生部21の発振周波数と、位相制御部23の位相
調整量と、増幅部24の増幅量を制御する加熱制御部28と、加熱室13に収納された加熱対象物
の容器40から情報を取得する情報取得部31と、取得された情報にもとづいて加熱対象物の加熱
部分を特定する情報制御部32とを備える。

マイクロ波発生部21は、例えば、トランジスタなどの半導体増幅素子と、タンク回路などの共振
回路で構成されている。このマイクロ波発生部21には、例えば、ハートレー型発振回路または
ルピッツ型発振回路
などを用いることができる。電力分配部22は、例えばウィルキンソン型分配
器であってもよく、あるいは、ブランチライン型やラットレース型のような出力間に位相差を生じ
る分配器であってもよい。この電力分配部22によって各々の出力には、マイクロ波発生部21か
ら入力されたマイクロ波電力の略1/2の電力が伝送される。位相制御部23は、印加電圧に応じ
て容量が変化する容量可変素子を用いて構成し、電力分配部22(22a、22c)から各々出力
されるマイクロ波電力の位相差を0度から±180度の範囲で制御することができる。 増幅部24
は、位相制御部23から出力されたマイクロ波を増幅する機能を有した素子又は回路である。

この増幅部24には、例えば、窒化ガリウム(GaN)を半導体材料として用いて形成されたトラ
ンジスタなどの半導体素子を使用することができる。GaN材料は、一般に広く知られている半導
体材料のシリコン(Si)と比べると、エネルギーバンドギャップが広い。また、GaN材料は、
Si半導体素子に比べると、高耐圧、高速動作、低損失に素子を構成することが可能となる。この
ため、GaN半導体素子を増幅部24に用いることによって、その駆動電圧を高めることができ、
駆動電流の軽減を図ることができる。



また、増幅部24は、低誘電損失材料から構成した誘電体基板の片面に形成した誘電体パターンに
て回路を構成し、各増幅部24の増幅素子である半導体素子を良好に動作させる整合回路を配置す
ることができる。 給電部25は、加熱室13を構成する内ケース12の壁部16a、天面部16b、
底面部16cに設けられており、増幅部24によって増幅されたマイクロ波出力を加熱室13内に
放射する。この給電部25には、例えば、アレーアンテナを用いることができる。アレーアンテナ
は、複数配置された放射素子(給電素子)251のそれぞれの給電電力と位相を制御することで、
近接場の電場強度を変化させ、マイクロ波の所望の指向性を実現する。これにより、加熱対象物の
部分加熱が可能となる。  アレーアンテナの放射素子251には、例えば、マイクロストリップア
ンテナ(パッチアンテナ)、スロットアンテナ、ダイポールアンテナなどを用いることができる。

また、給電部25には、例えば、平面アレーアンテナを用いることができる。平面アレーアンテナ
は、複数の放射素子251を平面状に配置したプレーナアレー(Planer array)である。配列方法と
しては、例えば、放射素子251をマトリックス状に並べる4角配列や、千鳥状に並べる3角配列
がある。
さらに、給電部25は、放射素子251の励振係数の相対位相によってマイクロ波のビー
ム方向や放射パターンの制御を行うフェーズドアレーアンテナ(位相走査アンテナ)を用いること
ができる。フェーズドアレーアンテナは、下図左上3に示すように、増幅部24から送られてきた
マイクロ波を分配する分配・合成回路252と、分配・合成回路252から放射素子251への給
電線路のそれぞれに位相制御部として挿入された移相器253とを備えており、各放射素子251
の励振位相を変化させるものである。これにより、マイクロ波の指向性の高い方向を加熱対象物に
おける所望の部分に向けて、この部分を集中して加熱することができる。

なお、図2は、給電部25を4つ配置する構成を示しているが、給電部25の数は、4つに限るも
のではなく、1つまたは2つ以上であってもよい。
給電部25の数を2つとする場合、これらは、
内ケース12の各面のうち対向する二つの面、例えば、天面部16bと底面部16c、対向する2
つの壁部16aのそれぞれに1つずつ配置することができる。これにより、要加熱部を上下または
左右の各方向から加熱することができる。
また、給電部25の数を複数とする場合において、要加
熱部の数が複数あるとき、1つの給電部25が1つの要加熱部を加熱し、他の給電部25が他の要
加熱部を加熱するようにすることができる。


電力検出部26は、電力検出回路(検波回路)を有しており、加熱室13から給電部25及び増幅
部24にそれぞれ伝送するいわゆる反射波の電力を抽出する。この電力検出部26は、例えば、電
力結合度を約40dBとし、反射電力の約1/10000の電力量を抽出する。抽出した電力量を
示す電力信号は、それぞれ、検波ダイオード(図示せず)で整流し、コンデンサ(図示せず)で平
滑処理し、その出力信号を加熱制御部28に入力させている。
電力検出部26は、抽出した反射波
の電力を示す検出情報を加熱制御部28へ送る。


これらマイクロ波発生部21、電力分配部22、位相制御部23、増幅部24、給電部25、電力
検出部26の各々を接続するマイクロ波伝送路は、誘電体基板の片面に設けた導電体パターンの伝
送回路や、同軸ケーブルなどで形成することができる。
操作検知部27は、操作パネル15を構成
する操作部151のいずれかが操作されたことを検知すると、操作された操作部151又は操作に
より指定された内容(加熱時間、加熱対象物の種類、加熱対象物の数量、料理名、各種モード、加
熱または調理開始の指示等)を示す検知信号を加熱制御部28へ送る。

加熱制御部28は、検知信号を入力すると、操作された操作部151または操作により指定された
内容を特定し、加熱対象物の加熱処理条件を設定する。また、操作により指定された内容が料理開
始の指示であるときは、加熱制御部28は、加熱を開始するように、マイクロ波供給手段20の構
成各部を制御する。
操作部151には、例えば、加熱対象物の部分加熱を行うモードである部分加
熱モードを設定するための「部分加熱モード設定ボタン」や、加熱又は調理を開始するときに操作
する「加熱開始ボタン」などを含むことができる。

加熱制御部28は、操作検知部27からの検知信号と電力検出部26からの検出情報にもとづいて、
給電部25から放射するマイクロ波の励振電界の制御および、マイクロ波発生部21と増幅部24
のそれぞれに供給する駆動電力や、位相制御部23に供給する電圧を励振方向の制御と関連付けて
制御し、加熱室13内に収納された加熱対象物を最適に加熱処理する。
情報取得部31は、加熱対
象物のうち加熱する部分を要加熱部とし、加熱しない部分を非加熱部としたときに、要加熱部に関
する情報又は非加熱部に関する情報の一方又は双方を加熱部特定情報として容器40から取得する。

ここで、本実施形態において、情報取得部31は、カラーセンサであり、容器40の色を加熱部特
定情報として取得する。
容器40は、上図左下4に示すように、食品などの加熱対象物が収容され
る容器本体41と、容器本体41の上部を覆う蓋部材42とを備えている。
容器本体41には、加
熱対象物を構成する複数の食品を区分けして収容するための複数の収容凹部411が形成されてい
る。


蓋部材42は、上面部421が着色可能となっており、この上面部421において複数の収容凹部
411のそれぞれに対応する範囲内に、所定の色が着色されている。
この着色される色は、収容凹
部411ごとに、収容される食品が加熱するものであるか否かによって決められる。例えば、収容
される食品が加熱するものであるときは、この食品を要加熱部とし、蓋部材42の上面部421に
おいて対応する範囲(この食品が収容される収容凹部411に対応する範囲)に、要加熱部である
ことを示す色(例えば赤色422a)が着色される。また、収容される食品が加熱しないものであ
るときは、この食品を非加熱部とし、蓋部材42の上面部421において対応する範囲に、非加熱
部であることを示す色(例えば青色422b)が着色される。
このように、蓋部材42の上面部
421に着色される色は、要加熱部に関する情報又は非加熱部に関する情報となっている。

なお、着色は、蓋部材42の上面部421において、一つの収容凹部411に対応する範囲の全体
を塗りつぶすようにして施してもよく、あるいは、この範囲の一部(範囲の周縁や、この範囲の中
央部分など)にのみ施すようにしてもよい。また、要加熱部であることを示す色と非加熱部である
ことを示す色は、両方を蓋部材42の上面部421に施してもよく、あるいは、一方のみを施して
もよい。要加熱部であることを示す色を施しているが、非加熱部であることを示す色を施していな
い場合は、前者の色が施された範囲に対応する収容凹部411に収容された食品のみを加熱し、他
の食品を加熱しないようにする。また、要加熱部であることを示す色を施していないが、非加熱部
であることを示す色を施している場合は、後者の色が施された範囲に対応する収容凹部411に収
容された食品を加熱せず、他の食品を加熱する。

情報取得部31を構成するカラーセンサは、RGBの三つの色フィルタと、それぞれに対応する3
つのフォトダイオードと、色特定部とを備えている。フォトダイオードは、対応する色フィルタを
透過してきた光を受光すると、この光の強さに応じた信号(電流)を出力する。色特定部は、各フ
ォトダイオードから出力された信号を入力すると、これら信号の示す光の強さにもとづいて色を特
定する。

情報取得部31は、カラーセンサを一つのみ備えたものであってもよく、あるいは、複数のカラー
センサを線状に配置したものや、多数のカラーセンサをマトリックス状(行列状)に配置したもの
であってもよい。カラーセンサを一つのみ備えた情報取得部31、及び、複数のカラーセンサを線
状に配置した情報取得部31は、加熱室13の内部の所定範囲であって加熱対象物及び容器40を
含む範囲を走査し、走査線上の色を、所定間隔で多数取得する。そして、色を取得した位置の座標
とこの取得した色とを関連付け、これを加熱部特定情報として、情報制御部32へ送る。

また、多数のカラーセンサをマトリックス状に配置した情報取得部31は、加熱室13の内部の所
定範囲であって加熱対象物及び容器40を含む範囲を撮像して二次元画像を取得し、この二次元画
像の画素ごと(あるいは、複数の画素ごと)に、色を特定する。そして、各画素(あるいは複数の
画素)の座標とこの画素における色とを関連付け、これを加熱部特定情報として、情報制御部32
へ送る。

情報制御部32は、情報取得部31から加熱部特定情報を取得すると、この加熱部特定情報にもと
づいて加熱対象物における要加熱部と非加熱部とを特定する。
例えば、加熱部特定情報が位置座標
と色で構成されている場合において、ある位置座標における色が赤色であるとき、この赤色に関連
付けられた位置座標に対応する加熱対象物のこの位置を要加熱部として特定する。また、ある位置
座標における色が青色であるとき、この青色に関連付けられた位置座標に対応する加熱対象物の位
置を非加熱部として特定する。加熱部特定情報が画素の座標と色とで構成されている場合も同様で
ある。

情報制御部32は、位置座標ごとに又は画素の座標ごとに、要加熱部又は非加熱部のいずれか一方
を特定すると、これら位置座標等を示す情報と要加熱部又は非加熱部を示す情報と関連付け、これ
を新たな加熱部特定情報として、加熱制御部28へ送る。なお、蓋部材42の上面部421におい
て、1
つの収容凹部411に対応する範囲の周縁のみを着色している場合は、この周縁で囲まれた
範囲内にある位置座標のすべてにおいて、周縁に付された色と同じ色が付されているものとして、
要加熱部または非加熱部の別を特定することができる。

また、蓋部材42の上面部421において、1つの収容凹部411に対応する範囲の一部のみを着
色している場合は、この着色された部分を含む所定面積の範囲内に、その色と同じ色が付されてい
るものとして、要加熱部又は非加熱部の別を特定することができる。さらに、蓋部材42の上面部
421において、1つの収容凹部411に対応する範囲の一部(その範囲のうちの1/2や1/3
の範囲)のみを着色している場合は、着色された部分に対応する加熱対象物の当該部分を要加熱部
(または非加熱部)とし、これ以外の部分を非加熱部(または要加熱部)として特定することがで
きる。これにより、1つの収容凹部411の中に加熱する食品と加熱しない食品が収容されている
場合に、前者を加熱し、後者を加熱しないようにすることができる。


 なお、蓋部材42の上面部421において、1つの収容凹部411に対応する範囲の周縁のみを着
色している場合は、この周縁で囲まれた範囲内にある位置座標のすべてにおいて、周縁に付された
色と同じ色が付されているものとして、要加熱部又は非加熱部の別を特定することができる。また、
蓋部材42の上面部421において、1つの収容凹部411に対応する範囲の一部のみを着色して
いる場合は、この着色された部分を含む所定面積の範囲内に、その色と同じ色が付されているもの
として、要加熱部又は非加熱部の別を特定することができる。

さらに、蓋部材42の上面部421において、一つの収容凹部411に対応する範囲の一部(その
範囲のうちの1/2や1/3の範囲)のみを着色している場合は、着色された部分に対応する加熱
対象物のこの部分を要加熱部とし、これ以外の部分を非加熱部として特定することができる。これ
により、一つの収容凹部411の中に加熱する食品と加熱しない食品が収容されている場合に、前
者を加熱し、後者を加熱しないようにすることができる。

加熱制御部28は、情報制御部32から送られてきた加熱部特定情報にもとづいて、位置座標ごと
にまたは画素の座標ごとに、要加熱部又は非加熱部のいずれか一方を特定する。そして、加熱制御
部28は、位相制御部23又は給電部25の移相器(位相制御部)253を制御してマイクロ波の
位相を変化させるとともに放射指向性の高い方向を加熱対象物の要加熱部に向けることで、特定し
た要加熱部を加熱し、非加熱部を加熱しないようにする。

ここで、ある位置座標と、この位置座標に対応する加熱対象物の位置を加熱するときのマイクロ波
の位相とマイクロ波の位相がこの位相となるように位相制御部23また給電部25の移相器253
を制御するための位相調整量は、予め記憶部29に記憶されている。また、給電部25が四つ設け
られているが、これら4つの給電部25に接続された位相制御部23のそれぞれについて、座標と
調整すべき位相と位相制御部23の位相調整量が記憶部29に記憶されている。さらに給電部25
に移相器253を設ける構成とすることができるが、これら移相器253のそれぞれについて、座
標と調整すべき位相と当該移相器253の位相調整量とを記憶部29に記憶させることができる。

加熱制御部28は、加熱部特定情報と記憶部29に記憶された位相調整量等の情報とにもとづいて、
要加熱部であると特定された位置座標等に対応する加熱対象物のこの部分が加熱されるように、位
相制御部23又は給電部25の移相器253を制御する。これにより、要加熱部を示す色が付され
た上面部421のこの部分に対応する加熱対象物の部分のみが加熱される。また、非加熱部を示す
色が付された上面部421の当該部分に対応する加熱対象物の当該部分の加熱が防止される。

なお、給電部25の放射素子251が、例えば、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)、
スロットアンテナ、ダイポールアンテナなどを用いて構成されているときは、加熱制御部28は、
位相制御部23を制御することにより、マイクロ波の位相を制御する。また、給電部25がフェー
ズドアレーアンテナ(位相走査アンテナ)を用いて構成されているときは、加熱制御部28は、そ
のフェーズドアレーアンテナに備えられた移相器253を制御することにより、マイクロ波の位相
を制御する。

また、上図左下4においては、容器40の蓋部材42の上面部421に加熱部特定情報である色を
付する構成を示したが、容器40において色を付する箇所は、蓋部材42の上面部421に限るも
のではなく、容器本体41であってもよい。容器本体41に色を付した例を、図右5に示す。容
器本体41には、食品を入れるための収容凹部411が複数形成されており、加熱部特定情報であ
る色(図5に示す赤色412aや青色412b)は、収容凹部411の周縁413に沿って施され
る。

収容凹部411は、凹状に形成されており、凹状の底面や側面に色を施すことも可能であるが、食
品を入れるとその色が隠れてしまう。そこで、収容凹部411の周縁413に沿って色を施すこと
で、食品による隠ぺいを回避し、情報取得部31による当該色の取得を可能としている。また、色
は、複数の収容凹部411のそれぞれの周縁413に施すことができるが、例えば、1の収容凹部
411と隣の収容凹部411がいずれも要加熱部である食品を収容するものであるときは、これら
2つの収容凹部411の周縁413を一周するように色を施し、これら二つの収容凹部411の間
に位置する仕切り部分には色を施さないようにすることもできる。

さらに、容器本体41に施された色を情報取得部31が取得可能とするために、蓋部材42の全体、
または、少なくとも蓋部材42の上面部421を透明423の材料で形成するのが望ましい。次に、
マイクロ波加熱装置である電子レンジの動作について、図6を参照して説明する。



同図は、電子レンジの動作の手順を示すフローチャートである。電子レンジ1の利用者により、電
子レンジ1の扉14が開けられ、加熱室13の内部に、加熱対象物が収容された容器40が載置さ
れ、扉14が閉められる。利用者が操作パネル15の部分加熱モード設定ボタンを操作すると、操
作検知部27は、この操作を検知して、検知信号を加熱制御部28へ送る(S10)。加熱制御部
28は、入力した検知信号にもとづいて部分加熱モードを設定する(S11)。

また、利用者が操作パネル15の加熱開始ボタンを操作すると、操作検知部27は、この操作を検
知、検知信号を加熱制御部28へ送る(S12)。加熱制御部28は、入力した検知信号にもとづ
いて加熱を開始するために、マイクロ波供給手段20の構成各部を制御する。情報取得部31は、
容器40から加熱部特定情報を取得する(S13、情報取得工程)。具体的には、情報取得部31
であるカラーセンサが、容器40の蓋部材42の上面部421に付された色を加熱部特定情報とし
て取得する。

情報制御部32は、情報取得部31から加熱部特定情報を取得し、この加熱部特定情報にもとづい
て、容器40に収容された加熱対象物における要加熱部と非加熱部を特定する(S14、要加熱部
特定工程)。
マイクロ波発生部21がマイクロ波を発生し(S15、マイクロ波発生工程)、加熱
室13内に供給される(S16、マイクロ波供給工程)。このとき、加熱制御部28は、位相制御
部23又は給電部25の移相器253を制御してマイクロ波の位相を変化させることで、加熱対象
物の要加熱部を部分加熱する(S17、加熱工程)。

以上説明したように、本実施形態のマイクロ波加熱方法及びマイクロ波加熱装置によれば、半導体
素子を用いて構成したマイクロ波発生部を採用することで、指向性の高いマイクロ波を対象物に照
射できる。これにより、電子レンジの加熱室内に載置された加熱対象物の部分加熱を簡易な構成で
実現できる。また、ISMバンドに沿った周波数範囲内で、照射周波数を変化させることができる
ため、位相をコントロールさせ、加熱対象物の部分加熱や均一加熱を行うことができる。

さらに、マイクロ波供給手段は、マグネトロン発振器に比べ、小型化及び低消費電力化を達成でき、
しかも、ほとんど故障しないので、寿命を著しく伸ばすことができる。また、加熱制御部が位相制
御部と給電部の移相器を制御してマイクロ波の位相を変化させる構成としたので、加熱対象物の要
加熱部を部分的に加熱するとともに、非加熱部の加熱を防止できる。

さらに、マイクロ波加熱装置が自動的に容器から情報を取得して加熱対象物における要加熱部と非
加熱部とを特定し、要加熱部のみを部分的に加熱するので、このマイクロ波加熱装置の利用者が面
倒な作業を行うことなく、加熱対象物の部分加熱を実現できる。しかも、本実施形態においては、
容器に付された色を加熱部特定情報とするので、マイクロ波加熱装置に入れるときの容器の向きが
どのような向きであっても、情報取得部が確実にその色と位置情報とを取得し、要加熱部を示す色
が付された部分に対応する加熱対象物の当該部分のみを加熱できる。

JP 2016-110750 A 2016.6.20


カラーでなくても、モノクロパターンなどでもいい感じがするが、それはさておき、電子レンジ(
マイクロウエーブ)技術とその対象(食品・医療などの加熱装置)と絡んで創意工夫されてきそう
だ。これは楽しい。

 

   

NTNは「WIND EXPO 2017」に出展し、農業・工業用水路などに設置できる小水力発電機や、開発
中の小型風力発
電機などを参考出展。小水力発電機は春頃から、小型風力発電機は年内にNK認証を
取得する計画NTNの新機軸、小さな風と水路を生かせる発電機スマートジャパン 2017.03.08)。
小水力発電機の他、開発中の小形の風力発電機のカットモデルも参考出展。2枚の尾翼を使った垂
直軸型の風車で、出力は10kW 級。稼働時の静謐性が特徴。17年中にNK認証を取得する予定で「18
年の早いうちに販売を開始したい」とのこと(同上)。これは面白い。

※ NK認証:風のエネルギーを利用し、発電機を回して発電する方法。小型の定義は出力20kw
  満、風を受ける羽根の面積が計200平方メートル未満の場合、小型に分類される
一般財団法
   日本海事協会が、国内・国際規格の基準(JSWTA国内業界規格、
IEC、JIS等)を基に性能及び安定
  性についての適合性を評価しており、日本の厳しい気候への耐性や長期間の安定した操業を資
  するために第三者認証制度が必要とのことで出来た制度のこと。
これは小形風車だけではなく、
  大型や浮体式洋上風車の検査も実施。
NK認証の内容としては、小形風車の発電機、タワー(支
  柱)、基礎、ケーブル、制御回路(整流回路)、パワーコンディショナ、ブレーカ、そして取
  り扱い説明書を含めた発電設備の適合性の判断をしている。

   Mar. 9, 2017

● テスラ、カウアイ島に大規模な太陽発電事業を展開

カウアイ島ユーティリティ協同組合(KIUC)はテスラとの間で13.9セント(15.9 円)/キロワット時
太陽光発電る20年購入する契約を結んだ。 KIUCの社長兼CEOのDavid Bisselによると、世界最大の
太陽光貯蔵施設。テスラとKIUCは、このプロジェクトにより化石燃料の使用量が年間160万ガロン
削減されると試算している。

 

  

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今宵も技術がてんこ盛り

2017年03月08日 | デジタル革命渦論

    

      44   女王蜂のような女 / 天風后(てんぷうこう) 


                                   

        ※ 后とは、邂逅の遁と同じで、偶然の出会いのことである。「夬」に
          おいて小人の勢力を駆逐して、平和な時代がおとずれたと思ってい
          ると、思いがけぬところで災禍に見舞われることを意味する。卦の
          形は、一本の陰気--が、五本の陽気を乗せている、つまり一人の女
          が五人の男を相手にしている形、水商売ふうの女でしかも相当なや
          り手である。そういう方面には良い卦であるが、結婚の相手として
          は良くない。「女を取るに用いることなかれ」とある。それはそれ
          として、この卦を悪い面からばかり見てはいけない。偶然の出会い
          は、美しい人間模様を生むこともあるのだ。

 




【極寒の大地にワンディ・ビルトイン】

● 日本で誕生した3Dプリンタ技術で一日で家一軒が完成

築物を3Dプリンターで出力する試みがオランダをはじめとして世界中で行われている。このほど、
ロシアの建設用3Dプリンタ開発企業「Apis Cor」は、建設現場にプリンタを持ち込み、全自動無人
でわずか1日で建物を3Dプリントすることに成功する。

※ 「スリーディプリンタとは」 閲覧室|548 情報工学

 





The first on-site house has been printed in Russia | Apis Cor. We print buildings  fEB. 20, 2017

モバイル3Dプリンタ技術を使用した最初の家は、モスクワのStupinoの町に建設。 Apis Cor社PIK
、昨年12月にこのプロジェクトを完了している。建設に掛かった時間はわずか24時間という驚
異的な時間でプリント完了させ、
壁構造完成後、クレーンマニピュレータを用いてプリンタを建物か
ら取り
外した。建物面積はすべてで38平方メートル。このプロジェクトの主な目的の1つが、機器
の柔軟性と利用可能なフォームの多様性を示すことで、今回の単層住宅の設計は珍しいケースである。

重要なことは印刷インクであるコンクリートが5℃以下では印刷できないため、建設物全体をテント
で覆蓋し5℃以上を保持しながらの印刷作業のため複雑を極めたことにあるが無事完遂させることに
成功する。協力企業の1つ三星電子は湾曲の壁を建設の制御カメラなどのハイテク機器を担当、また、
テクノニコル株式会社は、信頼性の高い効率的な建築資材メーカーの1つ。 1992年以来市場で活動し
ている同社は、屋根材、ハイドロアコースティック断熱材、輸送および道路建設のソリューションの
豊富な製造に関する企業技術を保有し、独自の製品と技術を提供してきている。ドイツの
Bitex Reibep-
utz 社は50
年以上にわたり、ペイントや補強材の開発、製造、マーケティングビジネスをリードして
きているが、同社の
鉱物性装飾石膏(Reibeputz)である高い接着性と蒸気透過性とファサードペイント
を備えたKOROEDは、耐久性と耐候性に優れる。最後に、
Fabrika Okon社は、気候制御機能を備えた断
熱/保温
二重窓を設置。

【主な仕様】

①幅:76ミリメートル、②チャンバー数:6、③防音設備:クラス4、④耐寒性:-60℃以上、
⑤製品の寿命:50年以上、⑥不法侵入防止システム、⑦内空調制御システム、⑧
内部インテリア什
器類の
バスルーム、リビングルーム、コンパクトな機能的なキッチンなどは下写真参照。⑨建設費:
275ドル/平方メートル(約2万8千円/平方メートル)、⑩その他:従来の構造技術と比較し
て、最大70%のコスト削減、さらに、従来、工期は2ヶ月程度掛かるが1/60に短縮。

 

 


 doi: http://dx.doi.org/10.1104/pp.16.01814

● ダイコンの辛み成分を作り出す遺伝子を発見

ダイコンの食味を特徴付ける辛み、たくあんの黄色やにおいは、グルコシノレート(カラシ油配糖
体)の一種であるグルコラファサチン(4-メチルチオ-3-ブテニルグルコシノレート:4MTB-GSL)の
分解産物により生成することや、グルコラファサチンを全く含まず辛み成分の質が変化した突然変
異体の存在がこれまで知られていたが、この成分を合成する鍵酵素は不詳であった。

2014年に東北大学の北柴大泰准教授らがダイコンのドラフトゲノム情報を発表したことから、グル
コラファサチン合成酵素の同定に向けた研究が加速し、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機
構)らの研究グループは、今月3日、グルコラファサチン合成酵素遺伝子を発見したことを公表。
この研究の詳細は米国植物生物学会誌「Plant Physiology」に掲載された。

今回の研究成果を利用して、農研機構野菜花き研究部門では原因遺伝子の塩基配列情報をもとに開
発したDNAマーカーを利用し、種苗会社と共同で、グルコラファサチンが合成されず辛み成分の組成
が変化したダイコン品種である「悠白」と「サラホワイト」を育成。これらの品種は、保存中にた
くあん臭や黄変が生じないため、フレッシュ感のあるダイコン加工品の開発が進められている




 
● 近接場結合を用いた3D集積、電力効率の1桁改善を

積層メモリを革新するTCIHDSV

 Nov. 30, 2012

 「ムーアの法則が死んだといわれているが、果たして本当に死んだのだろうか」、冒頭、芝浦工業大
学グリーンイノベーション研究センターが、2017年2月に開催した「第4回グリーンイノベーション
シンポジウム」で、黒田忠広慶應義塾大学教授がかく語る(EE Times Japan 2017.03.01

それによると、
ムーアの法則は、性能コスト比改善できなくなったときに終わる。コストはリソグ
ラフィ技術で決まり、性能は電力効率で決まる。リソグラフィ技術に関しては限界に近づくと、トラ
ンジスタの単価は上がる。事実16nmからトランジスタの単価が上昇しているが、EUV(極端紫外線)
の導入で解決することが期待されている。
つまり、本質的な問題は、電力が上限に達して集積を妨げ
ること」であり、電力効率(=処理性能/電力)の改善なくして、性能改善なしということである。
それでは、
電力効率が重要なのは、電力が上限に達してしまい集積しても電源を投入できないトラン
ジスタ「ダークシリコン」の問題からも分かる。28nmプロセスでは、ダークシリコンの比率はゼロ、
だが、集積化が進むほどその比率は増加する。20nmでは33%、16nmで45%、10nmで56%、7nmで75%
5nmになると80%と跳ね上がる。



電力が増加する要因は、スケーリングの副作用による。1980~1990年代にかけて、電圧一定のスケー
リングで動作速度を優先した結果、デバイス内部の電界は非常に高くなった。1995年以降は電界一定
のスケーリングに切り替えたが、高電界でキャリアが速度飽和し、電圧を下げたとしても電力が効果
的に減らなかった。

そこで、低電力化への方策として、①低電圧化、②低容量化、③低活性化があるが、③の低活性化は、
スイッチングの回数を減らすために、代わりに、効率の高いアルゴリズムを見いだすことが必要なた
め、現実的でなく、①②の低電圧化と低容量化に期待が掛かる。

①低電圧化に向けて立ちはだかる課題はリーク電流。トランジスタが微細になればなるほど、ゲート
の支配力が低下するため、リーク電流が増加する。全体の電力における約20%がリーク電流になる電
源電圧よりも下げてしまうと、消費電力は全体としてかえって増えてしまう。

Mar. 1,  2017


● 低電圧化に向けた3つの方法

そこで、リーク電流を減少させる方法として、①トランジスタの構造を変えることである。これまで
にも①Ultra Thin Bodyや②FinFET、③ナノワイヤによる新しい構造が検討されてきた。④トンネルFE
T(T-FET)も期待されているが、トンネル現象を利用するためオン電流が小さく、FinFETに比べて実
用化が難しい。現在、電源電圧0.3Vに向けて研究が進んでいる。0.3V以下になると、素子のばらつき
が多くなるため、誤り検出、誤り訂正といった“回復力に富む機能”が求められるなど、設計が困難。
理論的に電源電圧の限界値は、0.036Vであが、そのため低電圧化による電力低減の余地は、あと2桁
E=CV2のため)残る。



● 積層メモリを革新するTCIHDSV

黒田教授の電力効率の改善へ提案は、チップやモジュールの接続をTSVやコネクターなどの機械式から
電子式の「近接場結合」による3D集積へと変えることにある。「Suica」など電子マネーに用いられ
ている近接場は、移動通信などに用いられる遠方場と比較して、少し距離が離れると急激にエネルギ
ーが減衰するため通信距離が短い。しかし、あまり飛ばないために混信せず、見えない配線があるか
のように対象へ届く特長を持つ。
黒田教授らの研究グループは、近接場結合を用いた集積技術の開発
を行ってきたのが①「TCI:ThruChip Interface」と②「TLC:Transmission Line Coupler」となる

①は、磁界結合を用いた積層チップ間通信である。磁界は、配線や基板があったとしても、チップの
中をきれいにすり抜ける。①はウエハー工程の中で、標準CMOSチップの多層配線を巻くだけのため、
追加のプロセスが必要なTSV(シリコン貫通ビア)と比べてコストメリットが高い。設置場所にも制
約がなく、転送速度もTSVの2倍以上とする512Gバイト/秒、通信電力も低いとメリットを強調する
が、
電源はどうするのか?の疑問に貫通電源をインプラで低コストに作る『HDSV:Highly Doped Silic-
on Via
』の実現性を検証しているとのこと。HDSVでは高濃度で深い不純物ウェルを用いて積層チップ
に給電する。シリコン基板を十分に薄くすると、不純物ウェルが高濃度のまま裏面に到達するため、
裏面側のチップとオーミック接合ができる。TCIHDSVを組み合わせることで、メモリが容易に積層
可能となり、電力の大幅な削減が期待できる見通しと同教授はいう。

TLCとは、電磁界結合を用いた非接触のコネクターとなる。隣接した並行する信号の影響で発生する
クロストークノイズを活用することで、非接触のコネクターを実現。伝送速度は、最大12Gビット/秒
を超えるという。通信距離の増加や、インピーダンスの整合が取れるため広帯域であるといった特長
を持つ。非接触にしたことで、防水や防じんなどの耐性も強くなり、ディペンダビリティ(自立的自
己修復的な動作:dependabilityを損なわないる。電力効率の改善なくして、性能の改善はない。その
ためには、低電圧化と低容量化が求められる。最先端の研究では、低リークなデバイスとディペンダ
ブルな回路システムで0.3Vを目指し。加えて、TCITLCを用いたチップとモジュールの3D集積により
電力効率の1
桁改善を目指すという。




なるほど、「新しいコンピュータと集積回路を求めて――コンピュータとICの短い歴史と一つの未来
」ということですか!?短時間で理解するには骨の折れることだが、近接場接続を手がけたのが2000
年前後だから、早いもので20年近くなるのかと進歩のスピードを改めて確認する(いつものこと
で"スカタン"でも繰り返し学習すればわかってくる
と割り切りここは前を進むことに)

   
DOI: 10.1109/IRMMW-THz.2013.6665821 THz.2013.6665821

● 光波長変換によりテラヘルツ波を高感度に検出

近年、電波と光波の中間の周波数帯であるテラヘルツ波領域の研究開発が進み、基礎科学だけでな
く産業利用への応用開発が進む。テラヘルツ波領域には指紋スペクトルと呼ばれる物質固有の吸収
ピークが数多く存在しているため、この特性を利用した非破壊センシング・イメージング技術は、
安心・安全な社会を実現するための基盤技術の一つとして注目されているが、これまでは必要な性
能を得るため光源や計測装置の冷却が必要だった。そこで、生活環境で使用可能な非破壊センシン
グ・イメージング技術を実現に、室温で動作する高性能なテラヘルツ波光源およびテラヘルツ波計
測技術の開発が急がれている。今月3日、浅田雅洋東京工業大学教授らのグループは、光波長変換
技術による小型・室温動作・高感度テラヘルツ波検出装置を用いて、東工大が開発した共鳴トンネ
ルダイオードからのテラヘルツ波放射を高感度に検出することに成功いたことを公表。



それによると、
共鳴トンネルダイオード(RTD)から発生したテラヘルツ波を、光波長変換により
検出する実験。その結果、RTDから放射されたテラヘルツ波を近赤外光に光波長変換して検出する
ことに成功し、周波数1.14テラヘルツ(THz、1THzは1兆ヘルツ)のとき最小検出可能パワーとして、
約5ナノワット(nW、1 nWは10億分の1ワット)の高感度検出を実現。これは、従来の光波長変換に
よる検出と比較して100倍以上高い感度。また、光波長変換技術を用いることで、RTDの発振周波数
および出力を測定できることを示す。
今回用いた実験装置はすべて室温で動作するため、生活環境
で使用可能な、テラヘルツ波領域の小型非破壊検査装置の実用化につながると期待される。

  ● 今夜の一曲

 シェーンベルク: 弦楽六重奏曲 Verklarte Nacht , Op.4

《浄められた夜》(きよめられたよる)または《浄夜》(独語:Verklärte Nacht)作品4は、1899年
にシェーンベルクがウィーンで作曲した弦楽六重奏曲。シェーンベルクの初期作品の中では、《グ
レの歌》と並んで最も有名かつ最も重要な作品の一つであり、その後たびたび弦楽合奏用に編曲や
改訂が繰り返され、シェーンベルクの主な収入源となった。リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄
夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっている。室内楽のための音詩という、きわめて特
異なジャンルを開拓したことでも有名である。1902年にウィーンで、ロゼー弦楽四重奏団とフラン
ツ・イェリネク、フランツ・シュミットによる初演が行われた際、半音階を多用した当時としては
斬新な響きや、調性の浮遊するパッセージ、さらには、あけすけに性を主題とするデーメル作品を
出典に作曲する姿勢をめぐって、波紋を呼んだ。

当初弦楽六重奏曲として作ったものを作者自身が弦楽合奏化したものだが、「浄夜」というと通常
こちらの編
成を指すことが多い後期ロマン派の最後を飾る有名作品。デーメルの詩に基づく表題音
楽であり、月夜の
晩の恋人たちの散歩で、女性が別の男性の子供を宿していることを告白し、男性
がそれを受け止め自分た
ちの子供として育てようと2人の強い愛を語る、というもの。 

Zwei Menschen gehn durch kahlen, kalten Hain;
der Mond läuft mit, sie schaun hinein.
Der Mond läuft über hohe Eichen;
kein Wölkchen trübt das Himmelslicht,
in das die schwarzen Zacken reichen.
Die Stimme eines Weibes spricht:

Ich trag ein Kind, und nit von Dir,
ich geh in Sünde neben Dir.
Ich hab mich schwer an mir vergangen.
Ich glaubte nicht mehr an ein Glück
und hatte doch ein schwer Verlangen
nach Lebensinhalt, nach Mutterglück

und Pflicht; da hab ich mich erfrecht,
da ließ ich schaudernd mein Geschlecht
von einem fremden Mann umfangen,
und hab mich noch dafür gesegnet.
Nun hat das Leben sich gerächt:
nun bin ich Dir, o Dir, begegnet.

Sie geht mit ungelenkem Schritt.
Sie schaut empor; der Mond läuft mit.
Ihr dunkler Blick ertrinkt in Licht.
Die Stimme eines Mannes spricht:

Das Kind, das Du empfangen hast,
sei Deiner Seele keine Last,
o sieh, wie klar das Weltall schimmert!
Es ist ein Glanz um alles her;
Du treibst mit mir auf kaltem Meer,
doch eine eigne Wärme flimmert
von Dir in mich, von mir in Dich.

Die wird das fremde Kind verklären,
Du wirst es mir, von mir gebären;
Du hast den Glanz in mich gebracht,
Du hast mich selbst zum Kind gemacht.
Er faßt sie um die starken Hüften.
Ihr Atem küßt sich in den Lüften.
Zwei Menschen gehn durch hohe, helle Nacht.

日本語訳例 URL:http://blog.livedoor.jp/audimax1/archives/50705587.html

  

 

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デュアルな季節病

2017年03月06日 | 医療健康術

    

      43   独裁者を断罪する / 沢天夬(たくてんかい) 


                                   

        ※ 夬とは、決潰、決裂の決にあたる言葉で、切り開く、垂大事を決行
          することである。いちばん上に陰爻があり、5つの陽爻を抑えつけ
          ている,独裁者が世論を無視して圧政を布いている
形である。たと
          い危険はともなっても、また非常手段に訴えても、この独裁汗を排
          除(夬)しなけれ
ぽならぬ。剛毅な精神(乾)でそれを行なってこ
          そ、人々は悦び(兌)和らぐのである。それにほ不
純な動機があっ
          てはならない。私利私欲を去って正義を貫くこと、また自己の足場
          を固めてから行な
うこと、暴力はできるだけ避けることが大切であ
          る。

 

 78 782 Track field athleticsfield athletics2 Track field athletics

【寒暖差アレルギーと花粉症】

季節の変わり目である3月は気温の差が激しく、「寒暖差アレルギー」が発症しやすい時期です。寒
暖差アレルギーは通常のアレルギーとは異なり、自律神経の不調によって起こるといわれ、生活習慣
の改善とともに、体を温める漢方薬が効果的ともいわれる。吾が家でも、家族皆な症状はそれぞれ異
なるものの不調を訴える。病院に行くもの(彼女)、これから行こうとするもの(息子)、そして、
病院に行こうともしないもの(僕)というふうに。それにしても、くしゃみ、偏頭痛、鼻炎と、精神
的な騒鬱感は収まりそうにない。

寒い場所から温かい屋内に移動したとき、体がかゆくなったりするのは、暑さのために体の血管が急
激に拡張し、周囲の細胞からアレルギー反応を引き起こすヒスタミンや好酸球などが放出されるため
体は寒さで体温が低下すると自律神経の働きにより、熱を逃さないよう、血管が収縮。逆に暑くなる
と血管が拡張して熱を逃がす。しかし、急激に体が冷やされたり、逆に温められたりする環境下では
この切り替えがうまくいかない、そのために起こる過敏な反応が寒暖差アレルギー。体のかゆみのほ
か、鼻炎の症状、せき、食欲不振や下痢など消化管の症状などが表れる。

すぐにできる対策としては、①衣服による調整。こまめに脱ぎ着をして、急激な温度変化にできるだ
け体をさらさないようにする。寒い日は洋服を着込むだけでなく、帽子やマフラーで首から上を保護
し、足元はレッグウォーマーで覆い、熱を逃がさない。③鼻や喉が弱い人は粘膜への刺激を避けるた
めにマスクがよい。③漢方薬で身体を温め、血流を良くする――寒暖差アレルギーの起きやすい人は
筋肉が少なく、痩せ形で冷え症タイプが多い。こうした人は血流が悪いため、血管の収縮、拡張とい
った自律神経の働きがうまくいかないというので、高齢者なども含まれるのだろうが?、そこで体を
温め、血流をよくする働きのある当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくり
ょうがん)の処方を薦められる。また、これらの漢方薬に五苓散(ごれいさん)を併用すると、さら
に効果がアップするというが、その作用機序についてはいまいち理解できないでいるが、①室内運動
の励行、②入浴、③夜更かしや過剰作業や不節制をやめ、④最適な空調環境を作り出すことに努める。

 

それにしても、「寒暖差アレルギー」と「花粉症」のデュアルな季節病とはややこしい。

 

 

Wind turbine Fluid performance analysis

  

Design of a contra-rotating propeller type turbine

【革命的風力タービン補考Ⅰ】

しばらくハルバッハ配列磁力特性のことを調べていたら、磁石形状そのサイズと磁力強度と3次元配
置のデータ入力すれば、その「磁界支配強度図表示できるプログラムソフト」があれば便利いいなと
思ってもみたが、もう既に上梓されているのだろうけれど面倒くさいので、思考停止し、「SWT
に関する代わりに、設計ベース思考に関する包括的な特許事例を検索する。

● 特許5521120 垂直軸タービン及びこれを備える両方向積層式垂直軸タービン

この事例は韓国のファシン マシーナリ カンパニー リミテッドの垂直型風力発電システムかんするも
のだが、金本敏明佐賀大学教授らのの「特開平10-201197 相逆転二段羽根車と内外二重回転子からな
発電装置」の相反転方式を模した上下二段タービン(下図)で、その他、二重(複合)ブレード方
式を特徴とする。
 

 

【要約】

複合ブレードユニット、複合ブレードユニットに連結されるアーム、アームが連結される回転軸、及
び回転軸を支持する支持体を含む垂直軸タービンを提供し、ここで、複合ブレードユニットは、アー
ムに連結されるカセットと、カセットに回転可能に結合する遠心回転軸と、遠心回転軸に回転可能に
結合する第1ブレードと、第1ブレードに結合する遠心力対応装置と、カセットに結合する第2ブレ
ードとを備え、第1ブレードは、回転軸の回転時の遠心力に対応して遠心力対応装置で生成される力
によって遠心回転軸を中心に自体回転運動することで、低風速、低回転で有効なエネルギーを抽出す
ることができる垂直軸タービン及びこれを備える両方向積層式垂直軸タービンの構造・構成の特許で
ある。

尚、「カセット」という用語に面食らうがここでは「ケース(収納体)」と理解する。下記にこの事
例の特許請求項目を掲載する。

  1. 複合ブレードユニット、前記複合ブレードユニットに連結されるアーム、前記アームが連結さ
    れる回転軸、
    及び前記回転軸を支持する支持体を含み、前記複合ブレードユニットは、前記ア
    ームに連結される
    セット;前記カセットに回転可能に結合する遠心回転軸;前記遠心回転軸
    に回転可能に結合する第1ブレ
    ード;前記第1ブレードに結合する遠心力対応装置;及び 前記
    カセットに結合する第2ブレードを備え、

    前記第1ブレードは、前記回転軸の回転の際、遠心力に対応して前記遠心力対応装置から加わ
    る力に
    よって前記遠心回転軸を中心に自体回転運動することを特徴とする、垂直軸タービン。
  2. 前記第1ブレードの後縁または前縁に設置される重りをさらに含むことを特徴とする、請求項
    1に記載
    の垂直軸タービン。
  3. 前記第2ブレードは、前記回転軸を中心に回転するとき、回転方向において前記第1ブレード
    より先立つ位相を持つことを特徴とする、請求項2に記載の垂直軸タービン。
  4. 前記第1ブレードは、前記回転軸を中心に回転するとき、回転方向において前記第2ブレード
    より先立つ位相を持つことを特徴とする、請求項2に記載の垂直軸タービン。
  5. 前記遠心力対応装置は、圧縮スプリング、圧縮ダンパー、油圧装置、電磁弁、モーター、永久
    磁石の応力装置、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タ
    ービン。
  6. 前記遠心回転軸を中心に回転する前記第1または第2ブレードの回転角を制限するように、前
    記カセット、前記第1または第2ブレード、またはこれらのすべてに設置されるエンドストッ
    パーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  7. 前記第1ブレードまたは前記第2ブレードは、対称型、非対称型、揚力型、抗力型、またはこ
    れらの組合型の翼形を備えることを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  8. 前記回転軸を中心にした回転方向において前記第1ブレードの位相が前記第2ブレードの位相
    より先立つとき、前記第1ブレードの初期入射角は前記第2ブレードの初期入射角より大きい
    ことを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  9. 前記第1ブレードの入射角は少なくとも2個の特定角に固定されることを特徴とする、請求項
    8に記載の垂直軸タービン。
  10. 前記第1ブレードの初期入射角は前記第2ブレードの最大キャンバーより大きいことを特徴と
    する、請求項8に記載の垂直軸タービン。
  11. 前記回転軸に対する前記第1ブレードの回転半径は前記第2ブレードより小さいことを特徴と
    する、請求項10に記載の垂直軸タービン。
  12. 前記複合ブレードユニットは、3列、4列、5列、及び6列のいずれか一つが等間隔の形態で
    前記回転軸に結合することを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  13. 前記第2ブレードに対する前記第1ブレードの先立つ距離は前記第2ブレードの翼弦線長の2
    %以上であることを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  14. 前記回転軸からの前記第1ブレードと前記第2ブレードの距離の差は前記第1または第2ブレ
    ードの最大キャンバーの1倍より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の垂直軸タービン。
  15. 請求項1~14のいずれか一項の垂直軸タービンとして、第1方向に回転する第1垂直軸ター
    ビン、及び前記第1方向の反対方向である第2方向に回転する第2垂直軸タービンを備える第
    1両方向垂直軸タービンを含むことを特徴とする、両方向積層式垂直軸タービン。
  16. 前記垂直軸タービンとして、前記第1方向に回転する第3垂直軸タービン、及び前記第2方向
    に回転する第4垂直軸タービンを備える第2両方向垂直軸タービンをさらに含み、前記第1及
    び第2両方向垂直軸タービンは、前記第1、第2、第3、及び第4垂直軸タービンがこの記載
    順に垂直方向に積層されることを特徴とする、請求項15に記載の両方向積層式垂直軸タービ
    ン。
  17. 前記第1及び第2垂直軸タービンの回転軸の間で前記第1垂直軸タービンに隣接して設置され
    る上部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセット;及び 前記回転軸の間で前記第2垂直軸タ
    ービンに隣接して設置される下部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセットをさらに含むこ
    とを特徴とする、請求項15に記載の両方向積層式垂直軸タービン。
  18. 前記上部及び下部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセットの間に設置される発電機モジュ
    ール部;及び 前記発電機モジュール部と前記上部または下部ワンウェイクラッチ及び電磁クラ
    ッチセットの間に設置される出力スリップリングをさらに含むことを特徴とする、請求項17
    に記載の両方向積層式垂直軸タービン
  19. 前記第1垂直軸タービン及び前記第2垂直側タービンにそれぞれ備えられる複合ブレードユニ
    ットは、前記第1または第2ブレードが回転方向または前記回転方向の反対方向に一定角だけ
    傾いた形態、または連続曲線形態を備えるか、あるいは遠心力方向または前記遠心力方向の反
    対方向である回転軸方向に一定角だけ傾いた形態を備えることを特徴とする、請求項15に記
    載の両方向積層式垂直軸タービン。


以上のように、この事例は垂直軸風力タービンのダリウス型タービンの初期起動問題を解消するため
に、低風
速、低回転で有効なエネルギーを抽出するためのタービンブレードの多重迎え角を具現する
垂直軸タービンの
提供にあり、また、都心の間歇的な風に速かに反応して定速度に到逹することがで
きる構造を持つことにより、高効率及び高稼働率を提供することができる両方向積層式垂直軸タービ
ンを提供することになどを目的としている。

①つまり、多重迎え角を具現する二重ブレード構造のタービンブレードを用いることにより、第1方
向に回転するブレードを備えた上部タービンと第1方向の反対方向である第2方向に回転するブレー
ドを備えた下部タービンの自己起動性を向上させることができ、

②さらに、上部タービンと下部タービンが自体回転速度を増加させることができ、規定風速以上の風
速で停止(カットアウト)速度とならなくて一定の速度で定着して安定して回転するようにすること
ができる特徴をもち、

③また、大型風力発電に適用されるピッチ制御及びストール制御を機械的な要素だけで具現すること
ができ、精密運転制御のための別途のプログラムや装置を設置しなくても優れた発電効率及び利用率
を得ることができる。

● 複合ブレードユニットの特徴

本事例の複合ブレードユニットを備えた垂直軸タービンは、単純構造の二重ブレードを備えた既存の
垂直軸タービンに比べ、次のような利点を持つ。このような違いは垂直軸タービンの性能及び効率の
違いを伴う。


  1.ブレード配列において、外側の翼(第2ブレードに対応)より内側の翼(第1ブレードに対応)
  が回転軸中心から回転方向に一定角だけ先立つ位相を持つ配列を備える。
  2.外側の翼を基準として内側翼の位置または半径は最大キャンバーの約1倍以上の距離を持つ。
  3.外側翼と内側翼は機械構造学的入射角が違うので、内側翼は外側翼より大きな角を形成する。
  4.内側翼と外側翼によって形成される入射角が違う。
  5.入射角が違うので、内側翼と外側翼のベクターが違って同一方位角で迎え角が同じになる。
  6.全区間で干渉部位がない。
  7.B地域とD地域で入射角が“0”であるとき、理想的な迎え角が小さいが、入射角がある場合、
  B地域とD地域で迎え角が改善して出力が向上する。
  8.内側翼または外側翼のフラップ(Flap)の機能によって上限速度制御機能を持つ。
  9.2個以上のブレードを組み合わせる(複合ブレードユニットに対応)場合、回転半径の回転面
  方向に配列されるので、ブレードの有効面積を広げることができる。

  10.前後の配列による内側翼の後流が外側翼の引入側で空気密度を高くし、一部層流で剥離される
  後流のベクターは後端の外側翼の迎え角改善に役立ち、前端から流れた流動が後端の外側翼の層
  流につながって全体的に表面積が大きい効果を発生させて揚力特性を改善させる。

  11.初期回転方向に前進して配置された、つまり位相が先立つ内側翼の位置及び入射角によって抗
    力ベクターが増加して初期起動及び低風速で卓越した性能を示す。

● 両方向積層式垂直軸タービンの特徴

発電機において電気を誘導するための方法には、コイルを持つ回転子を固定し、磁石を有する界磁石
を回転させる方法と、その反対に界磁石を固定し、回転子を回転させる方法の二通りがある。ところ
で、両方向発電機においては、この回転子及び界磁石を互いに反対方向に回転させて、導体であるコ
イルと磁束が分布されている磁界内の導体との相対速度を2倍に増加させて誘起起電力を2倍以上に
発生させる原理を用いる(下図17、18参照)

例えば、水平軸の両方向発電機1700は、図17に示すように、水平型タービンの翼に相当する仮
想の空気流動管内に流入する空気の総エネルギーを前端のブレードで1次電気エネルギー(V)に
変換し、その後流のエネルギーを後端のブレードでエネルギー(V)を吸収する方式で構成されて
いる。ここで、流入風速の総エネルギーを1次及び2次ブレードで分散吸収するため、結局1個のブ
レードで得たエネルギー総量と同量のエネルギーを生産するようになり、よってこのような両方向発
電機ではブレードの相互逆回転だけで効率を2倍に増大させることはできない。

例えば、Vの無限風速が流入するとき、V、Vのブレードで吸収することができる理論的エネル
ギーの最大値は、損失を無視した場合、ベッツ理論またはベッツ係数によって無限風速のエネルギー
(V)の59.3%に過ぎなく、Vの値は結局Vの40.7%となる。すなわち、V=V-(
59.3%)となる。したがって、VとVから吸収するエネルギーは理論的最大値59.3%を両
分してエネルギーを発生させる。

 

一方、図18に示すように、両方向垂直型タービン1800は、それぞれのタービンに無限風速エネ
ルギー(V1、V1’)が作用し、一定の面積を持つタービンの機械的出力によるトルクが各タービ
ンを介して回転子及び界磁石に回転運動エネルギーとして伝達されて出力を2倍以上増加させること
ができる。


すなわち、上部及び下部タービンに独立してエネルギーが流入して回転子及び界磁石に同等な回転ト
ルクが発生すれば、2倍以上の電気的出力を発生することができる。

これを式で示すと、数式1及び数式2の通りである。

  [数式1]  V2=V1×59.3
  [数式2]  V2’=V1’×59.3

しかし、垂直型両方向タービンの起動(カットイン)の際、回転子コイルに電流が流れると同時にそ
の電流によって磁束が発生し、回転子は瞬間的に電動機の回転子と同様な状態となり、相対的逆トル
クによって反対側界磁石を引き寄せる力を発生させる。このような現象を電気子反作用と言う。
した
がって、両方向発電機の初期起動の際、上部タービンの一部が例えば時計方向に回転するとき、下部
タービンが固定装置によって固定されない場合、前記のような現象によって下部タービンも同一方向
に引かれて行く現象が発生し、このような現象は風が流入する全区間で連続的に現れ、結局両方向発
電機の役目ができなくなる。


また、垂直軸において時間の経過につれて上部または下部のいずれか一方にだけ作用する力によって
タービンが回転するとき、必ず反対側タービンは逆回転することができる受風領域にあるか固
定され
ていなければならなく、そうではない場合、むしろ独立タービン(シングル)発電機より劣る形状となることもあ
り、このように、水平軸両方向発電機に比べ、垂直軸両方向発電機はエネルギー発生効率が高いにも
かか
わらず、両方向駆動を具現するための構造的問題によって実用化が遅くなっている。

図19は垂直軸タービンを備える両方向積層式垂直軸タービンの概略斜視図で、図20は図19の両
方向積層
式垂直軸タービンの部分拡大斜視図。図19に示したように、両方向積層型垂直軸タービン
1900は、多重迎
え角機能がある複合ブレードユニットをそれぞれ備える複数の垂直軸タービン
1910~1960、それぞれの垂
直軸タービンの上下側でそれぞれの垂直軸タービンを支持する支
持三脚1904a、1904b、それぞれの垂直
軸タービンの一対の支持三脚1904a、1904
bを連結する支持棒1906、それぞれの垂直軸タービンの支持
棒1906を連結するカップリング
部材、及び両方向垂直軸タービンの下部を支持する
支持台1902を含む。支持三脚、支持棒、カッ
プリング部材、及び支持台のそれぞれは説明の便宜上簡単に
支持体と言うことができる。複数の垂直
軸タービン1910~1960は二個ずつ対をなしてほぼ垂直方向に3列積層された構造を備える。

各対の垂直軸タービンは、第1方向に回転する複合ブレードユニットを備えた上部タービンと、第1
方向の反対
方向である第2方向に回転する複合ブレードユニットを備えた下部タービンとからなる。
言い替えれば、3個の
両方向垂直軸タービンは実質的に同一の構成及び形態を備えるので、その中で
いずれか一対の垂直軸ター
ビン、例えば上部タービン1940及び下部タービン1930を中心とし
て説明する。


発電機は、回転子または界磁石のいずれか一方が固定され、外部の機械的回転動力によって磁界内の
導体を移動させて磁束を切る速度によって誘起起電力を発生させる装置である。発電機の出力を決定
する要素は、磁束密度、導体有効長、導体が磁束を断続させる速度によって決まる。ここで、磁束密
度と導体の長さは製作当時に定格設計値によって一定の値に決まり、磁束を切る導体の回転速度は結
局発電機の可変的出力に起因する。一方向発電機とは異なり、両方向発電機は、回転子と界磁石の回
転を独立的にして相互に逆方向に回転した加速の力で速度を倍加させる結果として発電機の出力特性
を向上させる。

両方向垂直軸タービン1900は、副タービン回転軸2004に結合される上部複合タービンカセッ
トユニット
2000d、上部タービン下部ベアリングハウジング2010、上部ワンウェイクラッチ
及び電磁クラッチセット2020
、発電機モジュール部2030、出力スリップリング2040、下
部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセット2050、
支持体1904a、1904b、1906、
及び他の副タービン回転軸2003に結合する下部複合タービンカセットユニ
ット2000cを備え
る。上部及び下部複合タービンカセットユニット2000d、2000dのそれぞれは前述した複合

ブレードユニットに対応する。

回転子と同一の回転軸に結合された上部連結カップリングによって上部タービン1940が時計方向
に回転するとき、下部タービン1930がフリー(Free)状態にある場合、つまり受風領域では
ない場合、電気子の反作用によって同一方向に引かれて行く現象を防止するために、下部タービン
1930の回転軸2003から伸びた同一回転軸に下部タービン1930の回転を円滑にする上部ベ
アリング及び下部ベアリング(下部タービンの上下部ベアリング)とは別に下部タービン1930の
上部ベアリングの上端回転体支持三脚(支持体)1904a上にワンウェイクラッチを挿入設置する。
ワンウェイクラッチは一方向にだけ回転し、反対方向の力によってはロック機能を果たす。


このような構造によれば、上部タービン1940が時計方向に回転するとき、ワンウェイクラッチの
ベアリングによってワンウェイクラッチの外輪が支持体に固定され、内側は発電機の界磁石側に連結
され、電気子の反作用による発電機界磁石が回転子である上部タービン1940の時計方向回転に対
してロック機能を果たすことで、界磁石側回転軸が支持体に固定されたように作動することができる。


その後、下部タービン1930が受風領域に入れば、ワンウェイクラッチのベアリングは順風向(例えば、反時計
方向)に回転することができることにより、両方向発電機の起動問題を解決することができる。上部ワンウェイ
クラッチまたは下部ワンウェイクラッチはそれぞれ電磁クラッチとともに上部または下部ワンウェイクラッチ及び
電磁クラッチセット2020、2050内に一体的に構成されている。電磁クラッチは一般的に採用される装置であ
る。

上部タービン1940と下部タービン1930の間に上部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセッ
ト2020と下部
ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセット2050を設置し、上部ワンウェイク
ラッチ及び電磁クラッチセット2020
と下部ワンウェイクラッチ及び電磁クラッチセット2050
の間に発電機モジュール部2030と出力スリップリング
2040を設置する。両方向垂直軸タービ
ンにおいて、上部及び下部のそれぞれの電磁クラッチは、両方向発電機の特性上、一方向発電機に比
べ、電気子と界磁石が交差する相対速度が2倍となるので一定の速度で回転速度(RPM)を制御す
る必要があり、上部と下部を同時にまたは別個に作動することができるように電気制御的プログラム
コントローラを含むことができる。すなわち、上部及び下部のそれぞれの電磁クラッチには、上部と
下部を同時に制御する機能、上部を単独で制御する機能、下部を単独で制御する機能などを含むこと
ができる。


上部と下部タービン1940、1930は機械構造学的に複合ブレードユニットにおいて停止(カッ
トアウト)なしに一定の速度で制御されることができるが、機械的欠陥ないし破損の発生時、非常装
置により電気的にブレイキングさせる機能を備えることができる。
このように、前述した実施例によ
れば、複合ブレードユニットを備えた両方向風力発電機が2個以上複層に積層された両方向積層式垂
直軸タービンを提供することができる。


以上、この事例はわたし(たち)がめざす革命的風力タービンに近いものとなっているようにみえる
が(比較デ
ータがないので要確認)、後は最適化のための詰めが残る。「ブレードとアーム」の可変
については絶対的な
設計条件でなく、ローカルな設計条件と考える。

                                        この項了

  ● 今夜の一曲

ラヴェル : ピアノ三重奏  Piano Trio  M.67 

ピアノ三重奏曲イ短調は、モーリス・ラヴェルが1914年の夏に作曲した室内楽曲。ピアノ三重奏曲を
作曲するにあたって、ラヴェルはこのジャンル自体が作曲上の困難を持っていることを意識していた。
どうやってピアノと弦楽器の対照的な音色を調和させるか、またどうやって3つの楽器のバランスを
取るか、特にチェロを聴き取りやすくするためにはどう他の楽器と対置すればいいかという点である。
音色の調和については、ラヴェルは管弦楽的な書法を持ち込むことで対処した。各楽器をきわめて広
い音域において大胆に用いることで、通常室内楽には見られないような豊かなテクスチュアを作り出
したのである。また彼はトリル、トレモロ、ハーモニクス、グリッサンド、アルペジオといった色彩
効果を自由に用いているが、これは3人の奏者に高い技術を要求することになった。一方、テクスチ
ュアの明快さと各楽器のバランスを保つためラヴェルは、ヴァイオリンとチェロを2オクターヴ間隔
で配置し、その間にピアノの右手のパッセージを挟む書法を頻繁に用いている。『三重奏曲』の音楽
素材の着想は、バスクの舞踏からマレーシアの詩に至るまで幅広い分野から得られている。

イ短調、全4楽章。楽章構成は、ソナタ形式とロンド形式の第1楽章・第4楽章を挟んだ古典的なも
のであるのに対し、調性については旋法や五音音階の使用も目立ち、調という枠組みで括りきれない
面も多い。第1楽章や第4楽章に現れる混合拍子、第2楽章の小節線とややずれたアクセント、第3
楽章のオクターブによる単純な伴奏が、この作品の民謡的な性格や異国趣味/古代趣味的な情緒を醸
し出している。

  

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ハルバッハ配列な日々

2017年03月04日 | 環境工学システム論

    

     41   損して得とれ / 山沢損(さんたくそん)

 

                                  

  
        ※ 損とは、損減、損失のことであるが、単なる損害ではなく、
          むしろ奉仕という言葉に近い。
自分の力をさいて、他人に
          与える。社会に奉仕することである。一文の得にもならぬ
          ぬことをと、まわ
りから嘲笑されながらも、一念を貫き通
          す、これが「損」の道である。それを単なる損失と見るか、

          喜びを見出すかは、その人間の精神にかかかる問題である。
          大目的のために小欲を捨てる、損して得をとる
、愛するも
          ののために自己を犠牲にする。つまり目先の利益を捨てて、
          遠い未来をからとること
が大切である。卦の形は、山(艮)
          のふもとの沢(兌)、沢がおのれを低くしてこそ、山はよ
          り高く
なる。

 

【ハルバッハ配列磁界の応用展開】

今夜は、風見鶏ならぬ風力翼Wind Vane)の制動システムへのハルバッハ配列磁界の応用展開として、下記
特許事例を考察する。これにより、突然の強風や風向変化や凍結による、主に垂直型風力発電システムのリ
スクを回避回避し、高性能なスマート風力タービンの実現に役立てる。



● 特許事例:US 9291637B2 System and method for damping a wind vane
                 風力翼を減衰させるためのシステムおよび方法

風身鳥とも呼ばれる風力翼Wind Vane)は、一般的に、風の方向を決定するように構成される。全
てではないが、大部分のタイプの風車は共通の構成要素を共有し、風向きを決定する際に同様の方法
で動作する。例えば、風車は、回転部分と静止部分とで構成される。回転部分は、尾部に結合された
ヘッドで構成、静止部分は、基部で構成、頭部および尾部は、基部に対して垂直な回転軸を中心に(
すなわち、垂直な平面に平行な方向回転軸に対し)回転する。

風力翼は、空気力学的に風と整列し構成する。特に、回転部は風向きの変化に応じ移動(例えば、回
転)するように構成。静止部分と回転部分との間の角度位置の差は風向に対応する。風車は様々な用
途に使用できる。例えば、風力エネルギー分野では、風力タービン制御システムに含まれる。これら
のタイプの風車は、タービン制御風車と呼ばれ、風力タービンは、風力の強い地域で使用され、瞬時
に方向を変える強風の影響を受ける。風力タービンが常に最大風力を受けるために、風力タービンの
運動は、タービン制御システムで制御でき、タービンの最も効率的な最大エネルギーを得る位置の決
定の際に、例えば風速および風向などの様々な風力パラメータを考慮する。

このように、タービン制御システムは、風力タービンの最適配置決定に、風向表示のための1つ以上
のタービン制御ベーンから構成される。タービン制御翼を含む風力翼の共通の特徴は、風向きが変化
したときに、回転部分が風向きを指す前に、回転軸が垂直軸を中心に数回振動する。さらに、乱気流
は、回転部分が風ベクトルに対しオフラインに位置付けされ、ある時間ずれを生じる。

例えば、運転中、タービン制御ベーンは、突風、風向の突然の変化などにより妨害され、タービン制
御ベーンを揺動させ制御不能に状態に陥る可能性がある。例えば、タービン制御ベーンは、風力ター
ビン上に配置しても、風力タービンロータの後流で動作させてもよい。このように、タービン制御ベ
ーンは、風速および方向が著しく迅速に変化し得る乱流にさらされ得る。その結果、激しく揺動し、
時には1回転することもある。タービン制御風力翼に結合され通信するタービン制御システムは、風
力タービンの適切な位置決めに、タービン制御風力翼からの指向性データに依存させもよい。

タービン制御風力翼が制御不能な場合、風力翼は、タービン制御システムにある許容誤差を超えて出
力誤
差を与える可能性があり、そのデータの受信により、制御システムは、安全対策として風車を停
止す
るように構成されてもよい。より具体的には、タービン制御ベーンの制御不能な揺れには、風車
が現
在の位置で動作し続けることが許される場合、風車を損傷させる可能性のある強風、風力翼の制
御不
能な回転は、摩耗を増加させ、ベーン寿命を低下させる。

このように、タービン制御風力翼を含むいくつかの風力翼が、突風、風向変化などの外乱に対処する
めの減衰手段を有することができるが、現在の減衰手段にはいくつかの欠点――例えば、いくつか
風車は、強風時に著しく減衰する場合があり、また微風状態で風車が応答しなくなる場合がある。
らに、風力翼に組み込まれた加熱システムを無効にし、風力翼および風力タービンを氷結させる。

従って、この特許事例では、風力翼制動システムが、風車の少なくとも一部の回転運動を減衰させ、
渦電流が利用できる減衰構造体を有す。減衰構造体は、風速が急激に変化するのに対応するために、
風車の減衰を提供する。一方、風速が低風条件では正確な測定と応答が維持できるようにする。減衰
構造体は、風力翼の振動に対する感受性を低減し、風力翼の精度を向上する構成・構造及びその方法
を提示する。
 

【実施形態】



この新規考案は、風車制動システムとその方法に関するものである。より具体的には、①風向を決定
し、②風向に対応する出力を風力タービン制御システムに伝達するように構成された風力翼を有し、
風力翼は、風力翼の少なくとも一部の回転運動を減衰させるように渦電流を誘導するように構成され
た減衰アセンブリを含む。本事例
一致する減衰構造体は、風向きの急激な変化に対応するために風車
の減衰を提供する一方で、風向きが低風条件で正確な測定および応答を維持することを可能にする。
さらに、本開示と一致する減衰構造体は、風力翼の振動に対する感受性を低減し、それによって風力
翼の精度を改善することができる。

図1は、本開示に従う風力翼の図である。一般に、風力翼10は、静止部材14(以下、「ベース14」と
いう)に連結された回転可能な部材12を含むことができる。回転可能な部材12は、そこから延びる尾
部18を有する頭部16を有す。頭部及び尾部16,18は、基部14に対して、垂直軸線Aの周りに回転するよ
うに(垂直軸線Aに垂直な平面に平行な方向に回転)構成する。図示のように、垂直軸線Aは、頭部16
の中心を通って延びる。

また、動作中、回転可能部材12(頭部および尾部16,18)は、風向変化に応答して軸Aを中心として時
計回りおよび/または反時計回りの方向に移動(回転)するようにしてもよく、特に、回転可能な部
材12は、0°の範囲内で自由に回転できる。 360度 (すなわち、完全な回転)。ベース14と回転部材
12との間の角度位置の差は、風向きに対応し得る。

また、下図2及び図3は、上図1の風向羽根10の一部の分解図である。図示されているようにベース14
は、回転可能な部材12を支持するように構成された本体22を有す。本体22は、回転可能なヘッド12の
回転運動に基づいて風向を決定し、(例えば、風力タービン制御装置、プログラマブル論理制御装置
PLC)、データロガーなど)に適用できる。特に、シャフト部材24は、本体22から垂直軸Aに沿っ
て延在してもよく、シャフト部材24は、回転部材12のヘッド部分16の一部分(すなわちボア25)をさ
らに貫通しこれに連結してもよい。
図示の実施形態では、基部14は、本体22の一部分に結合された
ーター要素26
をさらに含むこともできる。ヒーター要素26は、回転部材12および/または基部14を加
熱する(熱エネルギーを提供する)風力翼10が低温状態(すなわち、凍結温度以下の温度にさらされ
た風力翼10)で動作するように、風力翼10を配置することができる。回転部材12、具体的には頭部16
は、ベース14に隣接する底部に形成されたキャビティ28を含むことができる。キャビティ28は、風力
翼が組み立てられたときにベース14の一部を受けるように構成してもよい(基部14に結合された部材
12)。

特に、キャビティ28は、本体22のヒータ要素26およびシャフト部材24を受け入れるような形状および
/またはサイズにすることができる。
加熱風車は、加熱風車の建設のために、加熱されていない風車
よりも高い慣性及びより低い空力減衰を有する。これらの特性は、アンダーダンピング(不足減衰・
制動)を悪化させる傾向がある。例えば、加熱された風力翼10の回転可能な部材12は、(相対的に高
い熱伝達率を有する)比較的高い密度を有する材料で構成されてもよい。回転部材12は、熱源から例
えば尾羽のような空力要素までの材料に沿った比較的短い距離で、厚い部分(すなわち、伝熱のため
の断面積がより大きい)とさらに構成してもよい。

その結果、加熱された風力翼は、平衡位置から所定の角度距離だけ比較的低いトルクを生成すること
がある。回転する構成要素の摩擦抵抗と組み合わせると、風の弱い状況では、加熱された風力翼が不
正確でありかつ/または応答しないことがある。さらに、比較的重いおよび/または回転軸と空気力学
的要素との間の比較的短い距離を有する風力翼は、微弱な空気力学的減衰特性を有す。

したがって、風向き羽根10は、低風条件での精度および応答性を犠牲にすることなく、回転可能な部
材12の回転運動を減衰させるように構成された減衰構造体30をさらに有すことができる。図示するよ
うに、減衰構造体は、第1の磁石アレイ32Aと、第1の磁気アレイアレイに対向する第2の磁石アレイ32B
とを有すことができる。
図示されるように、磁石の第1のアレイは通常の位置(すなわち、本明細書
で詳細に説明されるハルバッハ配列)で示され、磁石32Bの第2のアレイは、第2のアレイ32Bに含まれ
る個々の磁石を示すために離間して描かれている。

減衰構造体30は、第1および第2の磁石アレイ32A、32Bがそれぞれの磁界を投影する固定導電体部材26
をさらに含むことができる。 図示された実施形態では、加熱素子26は導電性材料を含むことができ、
したがって、導電部材26(以下、「導電体26」という)として機能する。 他の実施形態によれば、
この開示と一致する風力翼は、加熱器部材から分離した導電性部材を有することもある。 さらに、
いくつかの実施形態によれば、本開示と一致する風力翼は、加熱素子を含まなくてもよい。

現在および第2の磁石および磁石のアレイ32A、32Bは、回転可能な部材12のヘッド部分16内で調整で
きる。
特に、第1および第2のアレイ32A、32Bは、回転部材12のキャビティ16の内周に沿って画定され
た対応する凹部33A、33B内で決定されてもよい。
減衰構造体30 30は、第1および第2の磁石アレイ32A、
32Bをリング部材34などの追加の凹部33A、33B内に保持する手段をさらに含むことができる。
図示さ
れているように、第1および第2のアレイ32A、32Bは、頭部16の内周の少なくとも一部に分布していて
もよい。
第1および第2のアレイ32A、32B内の各磁石は、円周方向導体26に対して垂直であり、渦電流
減衰
を生じさせるための所与の回転量に対して導体26の導体材料のサイズより大きい長さLを有する
ことができる 詳細については、ここで説明する。

電界強度を高めるために、磁石32A、32Bのの数および/または第1および第2の磁石配列磁石の大きさ
を増加することで調整することができる。また、磁性材料には、ネオジミウム鉄ホウ素、サマリウム
コバルトおよびアルニコが含まれ得るが、これらに限定されない。磁石材料は、少なくとも部分的に
は、磁場強度、耐食性、コスト、温度抵抗、組み立ての容易さおよび/または入手可能性に関して選
択することができる。

減衰構造体30は、風向計10に低風状態での正確な測定と応答の維持のために、一方風向の急激な変化
に適応するように回転部材12の回転運動を減衰するために、渦電流を利用できるように構成されても
よい。十分に渦電流を使用し減衰制動するには、できるだけ多くの導電性材料に強い磁場生成できる
することが望ましい。(低磁場で)磁場を導体26の中に及び/又は導体26を通して(磁場を形成)投射
するおとも有す。運動の大きさ(回転)の変化を作り出すことが望ましいことがある。また、旋回す
る、近くのデバイスからの風力翼10への影響を最小限に影響を最小限にするように風力翼10に少し磁
場を生成することが望ましい場合もある。

これは、導体26の周りの1回転の間に磁場強度および極性を実質的に変化させるように構成された磁
場パターンにより達成し得る。
適切な断面(例えば、厚さ)の高導電性材料を使用し、中断されてい
ない電気経路を用いて、導体26の導電率を最大にすることがに望ましいことがある。例えば、導電性
材料は、アルミニウム、銅、銀及び金を含むことができるが、これらに限定されない。


比較的強い磁場は、例えば、風力翼10の外側の強磁場が、風力翼センサに磁性材料を引き寄せ、回転
部材12内またはその上に位置するセンサ磁石を、近くの他の品物に引き付けることもできる。
このよ
うな引力は、センサが風ではなくこれらの他の品目に応答している可能性があるため、センサの精度
を低下させる可能性がある。
シールドはこれらの影響を低減できるが、比較的大量のシールドを使用
しなければ効果的ではない場合がある。さらに、
構成に応じて、回転部材12への熱伝達は、これらの
設計選択肢のうちの1つ以上によって損なわれる可能性もある。


上図4は、本開示に一致する磁石のハルバッハ配列の一実施形態の斜視図である。また、上図5、図
1の磁石の円形ハルバッハ配列の磁束パターンを示す図である(図2を参照)。図4に示すように、
ハルバッハ配列40は、所望の磁場形成の提供に利用され、風力翼10の外部の磁場を制限することがで
きる。前述したように、例えば、磁石32A、32Bの第1及び第2配列は、ハルバッハ(Halbach)配列に
配置されてもよい。
当業者によって一般に理解されるように、ハルバッハ配列は、アレイの反対側に
不等磁界を提供するように構成することもできる。ハルバッハ配列は、アレイの一方の側でそのフィ
ールドを制限するので、反対側のアレイに垂直な強いフィールドを投影しながら一方の側で遮蔽する
必要性を排除することもできる。例えば、図5に示すように、図4では、磁石41(1)-41(n)のハ
ルバッハ配列40がリング形態で示されている。しかしながら、本開示と一致するハルバッハ配列、例
えば、半円形、曲線状、棒状、シート状など、用途に応じて様々な形状および/または寸法を有すこ
もできることを留意すべきである。

図示されているように、配列内の各磁石41(1)-41(n)(以下、説明の便宜上、「磁石41」と呼ぶ

)の磁気配向は矢印で示されている。 矢印の頭はN極を示し、矢印の尾は各磁石41のS極を示す。図
示のように、アレイ内の各磁石41は、各磁石の向きがアレイ内の隣接する磁石41の向きと直角になる
ように配置することができる。図示された磁石41の向きによれば、リングの中心Cに向かって、矢印
(インナー)によって示されるように、比較的強い磁場が内半径方向に生成され得る。

リングの外面から矢印(外)で示されるように、比較的弱い磁場が、半径方向の外側に生成され得る。
図2を参照する。 図5に示すリングハルバッハ配列40の磁束パターンは、図4に示す。前述したよう
に、第1および第2の磁石アレイ32A、32Bは、 図4および図5に示すように、ハルバッハ配列であっ
てもよく、導体14がベース14(静止部分)上に配置された状態で、風力翼10の回転可能な部材12に配
置されてもよい。

別の実施形態では、ハルバッハ配列40の磁石41のいくつかの向きを逆転させ、ハルバッハ配列40の内
側および外側半径方向の磁場の強度を逆転させることができる。特に、図1のハルバッハ配列40に関
して、図4に示すように、円周方向に磁化された各磁石(例えば、41(1)および41(3))の磁場の
向きが逆転している間に、ハルバッハ配列40の各半径方向に磁化された磁石(例えば41(2)および
41 )は、変化しない。 第1および第2のアレイ32A、32Bにおける放射状に磁化された各磁石の向き
が逆転すると、比較的弱い磁界が内側半径方向に生成され、比較的強い磁界が外側半径方向に生成さ
れ得る。この実施例(半径方向に磁化された各磁石の向きを反転させる)によれば、磁石32A、32Bの
第1および第2のアレイは、風羽根10のベース14(静止部材)の一部に配置されてもよく、導体26は、
回転部材12の一部に配置されている。

この例を続けると、導体26が第1および第2のアレイ32A、32Bと磁極片との間に位置するように、磁極
片(図示せず)を配置することができる。磁極片は、外部磁場を低減および/または最小にするように
構成されてもよい。


上図6は、図4の風力翼の部分断面斜視図である。図示のように、第1および第2の磁石アレイ32A、
32Bは、頭部16の空洞28の内周の一部に沿って配置されてもよい。 第1および第2のアレイ32A、32B
の磁石のそれぞれは、永久磁石であってもよく、ベース14上に配置された導体26に関連する磁界を投
影するように構成されてもよい。前述したように、磁石の第1および第2のアレイ32A、32Bはハルバッ
ハ配列であってもよい。

少なくとも第1のアレイ32Aの各磁石の磁化方向が示されている。 他の実施形態では、第1および第
2のアレイ32A、32Bをベース14(固定部材)上に配置し、導体26を回転可能部材12上に配置すること
ができることに留意されたい。ベース14上に配置された固定された第1および第2の磁石アレイ32A、
32Bの周りを回転する。したがって、上述したように、第1および/または第2のアレイ32A、32Bの磁石
のうちのいくつかの磁石の向きは、逆転されてもよい。より具体的には、半径方向に磁化された磁石
の磁場の向きは、周方向に磁化された磁石の磁場の向きが同じままである間に逆転されてもよい。

上図7は、図3の風力翼10の回転可能な部材12およびベース14の部分断面斜視図である。図1には、
減衰アセンブリ30によって供給される磁束36および渦電流38が示されている。図示のように、回転部
材12のヘッド部分16が基部14に対して回転すると(矢印20で示す)、第1および第2の磁石アレイ32A、
32Bにより生成された磁界(磁束36)によって、導電性材料26の一部の磁界強度および方向を変化さ
せる。変化する磁場は、導体26内に流れる電流(矢印38で示す渦電流)を誘起することができる。

より具体的には、渦電流38は、第1および第2のアレイ32A、32Bの磁石(Lenz 'Law)の磁場(すなわち
磁束36)に対抗する第2の磁場(図示せず)を生成することができる。これにより、第2の磁界は、第1
及び第2のアレイ32A、32Bの磁石の運動に対抗し、回転部材12のヘッド部分16の運動に対抗し、渦電
流ダンピングを生じ得る。 誘導された渦電流38は、ベース14に対するヘッド部分16の回転に対抗し、
それによりベース14に対するヘッド部分の角速度に比例する減衰を提供する。言い換えれば、減衰に
より提供される減衰組立体30は、ベース14に対する回転部材12の回転速度に比例する。 渦電流38に
よりて生成される「抗力」は、回転部材12の回転速度に比例し、零回転速度でゼロに減少するように
構成される。従って、回転速度依存抗力は、低風速方向感知精度に影響を及ぼさず、比較的高い風速
で羽根旋回を減衰させる可能性がある。

また、上図8Aおよび図8Bは、所与の風速において従来の風車(ハルバッハ・アレイを有さない風車)
の減衰を示す大きさおよび位相対周波数のプロットである。また、図9Aおよび9Bは、下図9の風力翼
の減衰を示す大きさおよび位相対周波数のプロットである。 (ハルバッハ配列を有する)図1の従
来の風羽根と同じ風速で、図8Aおよび図8B。この事例と一致する減衰構造体のない従来の風力翼は、
約18dBの共鳴ピークを有する0.5と1Hzとの間の固有共振をもたらす。本開示と一致する減衰構造体
を有する風ベーンは、約5dBの共鳴ピークを生じる。他の風速でも同様の利点が生じる。


上記のいくつかの実施形態では、回転可能部材のヘッド部分にハルバッハ配列を配置し、導体をベー
スに配置したことに留意されたい。他の実施形態では、ハルバッハ配列をベースに配置し、導体を回
転可能部材のヘッド部分に配置した。ヘッド部分に配置されたハルバッハ配列を有する実施形態では、
外部磁場は、一般に、磁極片を使用せずに低減および/または除去された。しかし、この実施形態は、
風ベーンの非回転部分上の磁性材料に敏感であり得る。

換言すれば、磁石は磁性材料と整列する傾向があり、そのような整列傾向は低風速精度に悪影響を及
ぼすことがある。ベース内の磁石を回転部材内の導体材料で位置決めすることにより、磁性材料に対
する感度を低下させることができる。 しかしながら、ベースに配置されたハルバッハ配列は、磁極
が使用されない場合には比較的減衰が少ない。このように、外部磁場を低減および/または排除す
るために、磁極片を有することができる。磁極片を使用することにより、導体の電場強度を高めるこ
とができ、および/または漂遊磁場を低減することができる

 

  ● 今夜の一曲

 モーツァルト: フルート四重奏曲 Flute Quartet, in D, K.285

フルート四重奏曲は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した室内楽曲で、全部で4
曲残されているフルート四重奏曲のうち3曲はマンハイムで書かれている。第1番が有名。1777年9
月、21歳のモーツァルトは職探しの目的でパリへの旅行へ、その途次、長期間滞在したマンハイムに
は、当時のヨーロッパで有数の宮廷オーケストラ。モーツァルトはこのオーケストラへの就職を希望
したが、成功せず、このオーケストラの名フルート奏者ヨハン・バプティスト・ヴェンドリングとい
う人物と親交を結ぶが、ヴェンドリングは、オランダの裕福な商人フェルディナント・ドゥジャン(
ド・ジャンとも)をモーツァルトに紹介する。音楽愛好家で、自身もフルートを吹くというドゥジャ
ンは、モーツァルトに200フローリンで「小さくて軽く短い協奏曲を3曲と四重奏曲を何曲か、フルー
トのために作って」くれるように注文。少しでも収入が欲しかったモーツァルト。これに応じ、結局
出来上がったのはフルート協奏曲第1番、第2番と3曲のフルート四重奏曲であった。しかし約束が
違うということで、報酬は当初の話の半分以下の96フローリンにされている。

【楽曲構成】

ドゥジャンのための3曲の四重奏曲の最初のもので、1777年12日25日に完成された。4曲中最も有名
な作品である。

  • 第1楽章  アレグロ:ニ長調、4分の4拍子、ソナタ形式、フルートが輝かしく縦横無尽に活躍。
  • 第2楽章  アダージョ:ロ短調、4分の3拍子、3部形式、弦のピッツィカートの上にフルート
         の
    情緒纏綿たる悲歌が流れる。そのまま次の楽章に移行する。
  • 第3楽章  ロンド:ニ長調、4分の2拍子、ロンド形式。精力的な楽想が連続する楽章。


● 常在戦場時代:スウェーデン再徴兵制に

 Mar. 3, 2017 CNN

 

スウェーデン政府は2日、2010年に廃止していた徴兵制を復活させると発表した。18歳の男女を対象
に来年から兵役に就かせる。ロシアがバルト海(Baltic Sea)周辺で活動を活発化させるなど、世界
的な安全保障環境の変化に対応する。
 

ペーテル・フルトクビスト(Peter Hultqvist)国防相はAFPに対し「ロシアが(ウクライナの)クリミ
ア(Crimea)を併合した現状がある」と指摘。さらに「ロシアはわが国のごく近傍での演習を増やし
ている」と警戒感を示した。
スウェーデンは現代的な軍に必要な条件を満たせないとみて2010年に
徴兵制を廃止。志願制に切り替えていた。
 

今年7月1日から、1999年以降に生まれた男女全員が徴兵対象となる。スウェーデンで徴兵制が女性に
も適用されるのは初めて。兵役に就くのは来年1月1日からで期間は11か月。
 7月1日以降、1999年以
降生まれの国民は全員連絡を受け、質問票への回答を求められる。回答内容に基づいて1万3000人が
招集され、毎年4000人ずつ徴集される(AFP Mar. 3.,2017)。
 

 

 

 

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昆布茶をティーカップで

2017年03月03日 | デジタル革命渦論

    

      40  雪解け / 雷水解(らいすいかい)

 

                                  

        ※ 解は、文字どおり、解ける、解決すること。季節にあては
          めれば春分の頃にあたり、堅い氷
が解け、万物一斉に目覚
          めるとき。そして、これまで苦しみ悩んだ難問も解決して
          新しい出発のとき
が来たのである。この機会を逃がしては
          いけない。すぼやく好機をつかむこと。ぐずぐずしている
          と
機を逸することになる。卦の形は春雷(震)と春雨(坎)
          を表わす。まさに春耕播種のときである。
怠けて日を送っ
          たのでは、一年の収穫がフイになる。厳冬を脱け出た鮮放
          感にひたるのもよいが、こ
こで気をゆるめてはいけない。


   ● 今夜の一曲

ハイドン: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.76 「五度」 in D minor Op.76-2

ハイドンの弦楽四重奏曲の創作の頂点を成すともみなされることの多い作品。俗称は冒頭の五度の主
題から。各主題を関連させる構成感と自由闊達な筆致の融合が見事。「冒頭ソナタ楽章、メヌエット
楽章、途中の緩徐楽章が対照的に優美な長調曲で、終楽章は切迫感のある短調」という古典派・ロマ
ン派の短調曲の王道を行く形態であるが、実はハイドンとしては珍しいパターンとされる。

【楽曲構成】

  • 第1楽章:Allegro、冒頭で五度の主題が示されるが、楽章全体の様々なところに五度の音型が
         ちりばめられている
  • 第2楽章:Andante o più tosto Allegretto
  • 第3楽章:Menuet: Presto 主部は完全なカノンになっており、異様な雰囲気を持つ。トリオへのつな
            ぎでは大胆な転調が行われる
  • 第4楽章:Finale: Allegro ma non troppo 途中で転調しニ長調で終わる

 ● お茶しませんか 四方山話(一)

休憩に、インスタント・コーヒー(メイカー不詳)を小さめのティーカップを用意し、いつものよ
うに、食器棚を開けコーヒーの瓶に手をかけたとのとき、そのすぐ奥の昆布茶(粉末)の缶が目に
入り、気分転換にと、用意したティーカップに専用のスプーンで1杯をすくい取り、そのままカッ
プ入れ、電気ケルトのお湯を注ぎ、テーブルに運びで飲むことに。彼女がずいぶん昔に買ったティ
ーカップセットなのだが、小さすぎて使うことなく、食棚に積まれていたものを、その愛くるしい
フォルムに惹かれ最近使うようになる。後日、どこで買ったのかとたずねると、彦根銀座街の「こ
いで」という店で二人で買ったのよというわれたものの、すっかりと記憶から消えてしまっている。
その店のご主人とは、同年配で知り合いなのだが、いまは店はなく、キャッスルロード夢京橋へ移
転。雰囲気を変えてみるのもなかなかいいものだが、紅茶やジャスミン(花茶)は茶こしで入れる
ので、上写真のようにもやとした感じ眼に入り、ドリップ、もしくは、微粉末(平均粒子径など)
を最適化し見た目をすっきりさせた方が良いのではと思って、ブレイク・ブレスする。

そこで、昆布もムチンが含まれているのかとネットサーフで確認すると、納豆、オクラ、モロヘイ
ヤ、つるむらさき、里芋、山芋、なめこなどに含まれるヌルヌル成分と同じで、多糖類のガラクタ
ンやマンナンなどが、タンパク質と結合したもので、このムチン、分子量が100万-1000万で、熱に
は弱い性質があり、含有されるタンパク質分解酵素が破壊されるらしいので、胃の粘膜をうるおし
保護する働きがあり、肝臓や腎臓の機能を高める作用もあり、細胞を活性化し、老化の防止に役立
ち、また。消化を促す作用もあり、便秘改善する、そして、タンパク質を無駄なく活用させる働き
によりスタミナの増強に効果があると記されている(この作用機序:mechanism of action, mode of
action, MOA
に関する情報不詳)。そういえば、深海魚のムラサキヌタウナギは、危険を察知すると
体外にこのムチを放出し海水と反応し、大量のスライムを放出し、深海鮫などの外敵から身を守る
というが、人間の髪の毛の百倍以上も細い小さな繊維が含まれ、この繊維は同サイズのナイロン繊
維やケブラー繊維よりも丈夫だということで、すでに研究開発の対象となっているという。断念!
ティーカップ一杯の昆布茶からムラサキムタウナギのムチンのこぼれ話でした。

 

  

【ハルバッハ配列モータ考】

● 特許事例:最新ハルバッハ配列電動機技術

昨夜につづき、ハルバッハ配列モータの最新技術例を特許事例から掲載する。件のモータ開発技術
者の諸君も参考にしてもらいえば幸甚。

1.特開2015-039270 発電機

この発電機は、回転方向に配列された複数の永久磁石3,4を含むロータ1と、複数の永久磁石3、
4に対向して設けられ、各々がロータ1の回転時に交流電圧を発生する複数のコイル13を含むス
テータ10と、それぞれ複数のコイル13内に設けられた複数の磁性体12とを備え、コイル13
の中心軸方向において磁性体12の長さLmはコイル13の長さLよりも短く設定されている。
したがって、コアレス構造よりも発電量が大きくなることで、コギングトルクが小さく、発電効率
が高い発電機を提供すものである。


【図1】本発明の実施の形態1による発電機の構成を示す図
【図2】図1に示した磁性体の長さとコイルの長さとの比と、誘起電圧およびコギングトルクとの
    関係を示す図
【図3】図2に示した磁性体の長さとコイルの長さとの比を説明するための図
【図4】実施の形態1の比較例を示す図
【図6】図5に示したハルバッハ配列の効果を説明するための図

【技術背景】

水力発電や風力発電のような自然エネルギー源が入力となる場合、その変動に無駄なく追従できる
発電能力が求められる。水力発電の場合では一日を通してほぼ一定の水量が得られる場合が多いが、
風量は途絶えることが幾度とあり、発電機のコギングトルクが大きい場合は、次に回転起動できる
ための風量が発生するまで発電できない。言い換えれば、回転起動できるための風量以下の小さな
風のエネルギーは全て無駄になってしまう。

小さな水量・風量からすぐにロータが再起動することができれば、一日を通して発電機の停止時間
は短くなり、総じて発電量を上げられる。特にマイクロ水力発電には、非常時や緊急時に流水量の
小さな身近な水路に発電装置を設置した場合でも、電力を確保できることが求められる。

このように小さな水力、風力によってロータを起動させるためには、発電機のコギングトルクを低
減することが有効である。しかし、特許文献1,2では、コギングトルクを十分に小さくすること
ができなかった。また、特許文献3,4では、コアレス構造を採用したので、コギイングトルクを
ゼロにすることができるが、界磁磁束が大きく漏れ、コイルを効率よく縦断する磁束が著しく減少
するため、発電効率が大幅に低下するという問題がある。この問題を軽減する方法として、永久磁
石の使用量を増加する方法、永久磁石の磁力を強化する方法、コイル巻数を増やす方法などが考えら
れるが、いずれの方法も装置の大型化や高コスト化を招いてしまう。なので、この発明の主たる目
的は、コギングトルクが小さく、発電効率が高い発電機を提供することである。

2.US9567053B2 Outboard propulsion system for vessels:船舶の船外機推進システム

これは、ハルバッハ配列電動機の船舶への応用展開事案だ。琵琶湖の小型、船舶はこの方式を採用すれ
ば、環境への配慮や静粛性や安全性を重視した船舶の主流になるかも。

船舶の船外推進システムは、船舶のトランサム壁(5)に固定される支持構造(4)と、支持構造
(4)によって支持される複数のプロペラ(3)とを含み、格プロペラ(3)は、環状ステータ(S)
内で回転可能で環状のロータ(R)を有し、中央開口部(A)を画定するトロイド形状を有する電気
モータ(6)、ローター(R)に支持されて中心開口(A)まで延在するプロペラ(3)のブレード(
3A)である。

3.特開2016-200598 検体の検出のためのNMRシステムおよび方法

医療分野への応用展開もありそうだ。その程度かはやってみなければわからないが。

(a)溶液と磁性粒子を接触させて、液体試料1ミリリットルあたり、1×10^6~1×10^13個の磁性
粒子を含む液体試料106を生成する工程;(b)液体試料をデバイスに入れる工程であ^って、デ
バイスは、磁性粒子、多価結合剤、および検体を含む液体試料を保持するウェルを画定し、かつ、
ウェルの周囲に配置されたRFコイル110を有する、支持体を含み、該RFコイルは、1つまたは複
数の磁石およびRFパルスシーケンスを使用して生じたバイアス磁界に液体試料を曝露させることに
より生成されるシグナルを検出するように構成されている、工程;(c)バイアス磁界およびRFパ
ルスシーケンスに試料を曝露させる工程;(d)工程(c)に続いて、シグナルを測定する工程;お
よび(e)工程(d)の結果に基づいて、検体を検出する工程、を含む方法で、液体試料中の検体の
存在を検出するための方法を提供する。

 4.US9479038B2 Air gap control systems and methods :エアギャップ制御システムおよび方法

非接触で回転させるためにはエアーギャップの最適化と安定制御は、堅牢・信頼性や出力の安定にはか
かせない。この事案は、複雑で、高級である。

一実施形態において、装置は、磁束伝達部材を支持する第1の部材と、第1の部材に対して移動す
るように配置された磁束発生部材を支持する第2の部材とを含む。エアギャップ制御システムは、
第1の部材または第2の部材の少なくとも1つに結合され、第1の部材と第2の部材との間に形成
される1次磁束回路とは別個のエアギャップ制御装置を含む。エアギャップ制御装置は、第1及び
第2部材のうちの他方に、第1及び第2部材の間の距離を減少させる方向に移動することに応じて、
第1及び第2部材の一方に力を加えて、 第1の部材と第2の部材との間に第1の部材および第2の部
材の一方を実質的に中心に置く。

 【技術背景】

典型的な電磁機械は、ステータの導電性巻線を回転ロータに取り付けられた磁石によって生成され
る磁場に曝すことによって機能する。ステータとロータとの間のエアギャップの大きさは、エアギ
ャップのサイズが小さくなるにつれて、このような機械の電磁効率が向上する傾向があるため、重
要な設計変数である。一定のエアギャップサイズを維持することも、ロータとステータとの衝突を
回避し、エアギャップ内の偏心によって生じる望ましくない電流、磁束の影響および他の負荷関連
の損失を回避するために重要である。

エアーギャップサイズの一貫性は、典型的には、機械の固定子およびローター(および任意の支持
構造)が、組み立ておよび操作中に予想される外力に耐えるのに十分な剛性を有することによって
達成される。エアギャップがほぼ閉鎖されている、または閉鎖されているなど、エアギャップの大
きさに著しい違反があると、特に電磁気機械の動作中にエアギャップが損なわれた場合、装置およ
び人員にとって危険または破壊的となる。

電磁機械のサイズが増大するにつれて、最小の空隙クリアランスが維持されることを確実にするた
めの構造的剛性への依存は、必要な構造体の重量およびコストのために実用的でなくなる可能性が
ある。したがって、一定のエアギャップを維持するための代替的なアプローチが必要とされている。
増大する構造的剛性を含む既知の従来の方法と比較して、必要なギャップクリアランスを比較的低
い重量およびコストで提供する代替案を提供する必要性も存在する。

5.特開2017-005878 回転電機および非接触発電機

磁気効率がよく、磁束の漏れも少ない回転電機および非接触発電機の提案事例。

回転電機1は、第1回転軸周りに回転自在で、回転または移動する移動体の一主面から離隔して対
向配置され、かつ外周面に連なる一側面の少なくとも一部が移動体の一主面に対向して配置される
永久磁石2を備える。永久磁石2は、周状に離隔して配置され、周方向に沿って交互に異なる向き
に磁化された複数の磁極2bと、複数の磁極の間に配置され、周方向に隣接する2つの磁極からの
磁束を集中させて、移動体5の方向またはその反対方向に向ける磁束集中部材2gと、を有する。
永久磁石2は、移動体の一主面上に磁束集中部材からの磁束の変化を妨げる方向に発生される渦電
流に基づいて磁束集中部材に働く反力により、第1回転軸周りに回転し、永久磁石の前記移動体に
対向配置される前記一側面の表面速度は、対向配置される移動体の一主面の表面速度よりも遅い,
磁気効率がよく、磁束の漏れも少ない回転電機および非接触発電機を提供する。

【符号の説明】

1 非接触発電機、2 永久磁石、2b 磁極、2g 磁束集中部材、3 コイル、4 ヨーク、5 回
転体、7 フロントヨーク、8 移動体、11 ティース、12 キャリア、21 コンバータ、22
コントローラ、23 負荷

【技術背景】

特許文献(米国特許公開公報 2014/0132155号)には、非接触で発電する自転車用ダイナモが開示
されている。特許文献1の自転車用ダイナモは、自転車のホイールの回転軸と直交する方向に延び
る回転軸周りに回転する円環状の永久磁石の外周面を、ホイールの外周面に連なる一側面から離隔
して配置している。

永久磁石は、複数の磁極を周方向に並べて配置したものであり、隣接する磁極では、磁化方向が逆
になっている。例えば、永久磁石のN極がホイールの一側面に対向配置された状態でホイールが回
転すると、永久磁石からの磁束の変化を妨げる方向に、ホイールの一側面に渦電流が発生する。

この渦電流による磁束と永久磁石からの磁束との反発力および誘引力により、永久磁石は、ホイー
ルの回転方向に回転する。よって、永久磁石の周囲をコイルで巻回して、永久磁石からの磁束がコ
イルを鎖交するようにすれば、コイルから誘導電力を取り出すことができる。
しかしながら、特許文献1に開示された自転車用ダイナモには、以下の課題がある。

1.ホイールの一側面に対向配置される永久磁石の面積が限られているため、ホイールと永久磁石
 との磁気結合量を大きくできない。よって、ホイールに発生する渦電流が小さくなり、永久磁石
 の回転力も弱くなる。

2.特許文献では、永久磁石に単一相のコイルを巻回しているが、単一相のコイルでは、コイルが
 巻回していない部分の永久磁石の磁束を有効利用できないため、鎖交磁束量を増やすことはでき
 ない。また、コイルが巻回している部分の永久磁石の極性の向きが、回転軸を中心に対称である
 場合、常にコイルを鎖交する磁束の総量が打ち消し合ってしまうため、発電できないという問題
 がある。

3.永久磁石からの磁束は、空気中を伝搬するため、大きな磁気抵抗を受けることになり、磁気効
 率がよいとはいえない。

4.ヨークを用いていないため、磁束の漏れが生じやすく、また周囲に導電材料があると、磁路が
 変化してしまい、発電量に影響を与えてしまうおそれがある。


6.特表2013-509535 エネルギー変換システムおよび方法 

エアーギャップの最適化と安定制御でもこの事案はシンプルである。

エネルギー変換システムは、静止構造体と、静止構造体に対し回転するよう構成され、回転軸を規
定する
回転可能な構造体とを含んでもよい。システムは、さらに、少なくとも一つのブレード部材
と、少なくとも一つの軸受機構とを含んでもよい。少なくとも一つのブレード部材は、回転可能な
構造体に取り付けられ、回転可能な構造体から半径方向外側に延び、回転軸と実質的に平行な方向
に流れる流体流と相互作用し、回転可能な構造体を回転軸の回りに回転させるよう構成される。少
なくとも一つの軸受機構は、回転可能な構造体が静止構造体の周りを回転するとき、回転可能な構
造体および静止構造体の間の半径方向支持および軸方向支持の少なくとも一方を提供するよう、配
置される。システムは、回転可能な構造体の回転を、電気および水素生成の少なくとも一つに変換
するよう構成されてもよい。
 
※ http://windofweef.jp/library/patent_room_1/370.html

                                                        この考つづく

  Mar. 1, 2017

● 世界初・米バージニア州でロボット宅配を許可する法律制定

バージニア州はロボット工学の歴史を切り開いた。宅配ロボットが歩道や横断歩道上を操作できる
法律を制定した最初の州になる。新法は昨年7月1日に施行され、先週金曜日に法律が施行。法案
を提出した2人のバージニア州の議員が、エストニアの地上宅配ロボット製造会社のStarship techn-
ologies
社と提携、法案の草案を作成。新しい法律に基づいて動作するロボットは、毎時10マイルを
超えることはできないか、50ポンド(約22.7キログラム)を上回る重量で、自律的に移動すること
が許可される。この法律では、ロボットは操作者の視線内に留まる必要がないが、ロボットを少な
くとも遠隔監視し、異常が発生すればすぐさま対処する責任がある。ロボットは、横断歩道の通り
でのみ許可され、州の市町村では、市議会がより厳しい制限を課すか、または全面禁止する場合な
ど、ロボットをどのように動作させるかを規制することもできる。

また、S
tarship technologies 社はすでに、ワシントンDCのポストマス市、加州はレッドウッドシティ
ーで実証試験を実施、さらに、アイダホ州やフロリダ州でバージニア州と同様の法律が提案されて
いる(下写真ダブクリ参照)。すばらしいことだと思う反面、巻頭の「雷水解(らいすいかい)」
(易経)ではないが、ここは、安全・安心への配慮を十全に行うことが肝要である。

  Jan. 18, 2017

 

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ハルバッハ配列モータ

2017年03月02日 | 環境工学システム論

    

      39  行き悩む / 水山蹇(すいざんけん)

 

                                  

         ※ 蹇とは、足なえ、ビッコのことで、行き悩む意味になる。
          前も後ろも「危険ががいっばい」、八
方塞がりで二進も三
          進もいかない状態である。卦の形も、険阻な山(艮)と危
               険な大河(坎)を示す。
こういう時はなるべく無理をせず
          平易な道を選び、見識ある人の意見に耳を傾けることが大
          切である。
それでも苦難が続くのは、どうしようもない運
          命である。「険を見てよく止まる、知なるかな」
徒(いた
          ずら)に進むことなく静かにわが身をふりかえり、
人徳を
          磨いて危難の時が過ぎるのを待つべきである。

 

【ルームランニング記 Ⅶ】

● さらに、ギアーアップ

 

三月に入り、ギヤーアップ。最大斜度10度、最大時速7キロメートルの1キロをマニュアルモードでウォ
ーキング開始する。それにしても、1週間が猛烈に早い。早すぎる。と言う感じ。モーニングユニットをあ
わただしく終わったら、すぐにランチ(デイタイム)ユニット、そして、イーブニングユニット。特にラン
チユニットは忘れていることが多い。適当にやるしかない。

 

 Halbach Array Electric Motor

【ハルバッハ配列モータ考】

昨夜の「回転する反発磁石力で空中浮遊するクアッドコプター」(「地震予知複合解析考」2017.03.01)で、
風力発電向けハルバッハ配列モータの応用」に触れたので、今夜は、ハルバッハ配列モータ技術の現況を
ネット検索する。「永久磁石ハルバッハ配列界磁の特徴と電気機器への応用 」(森下明平工学院大学教授.
2013.06.14
)などをもとに素描してみる。前記の研究成果(下図)によると、この「デュアルハルバッハ配
列コアレスリニア同期モータ」は以下の特徴があるという。

  1. 従来のコアレスモータ/発電機との比較――同じサイズ、同じ電圧でおよそ2倍の出力が得られる。
  2. 従来の埋め込み磁石同期モータとの比較――①同じサイズで同等の出力値が得られる。②同じサイズ
    で重量が20~30%軽くなる。③コギングがない。④トルクリップルが数10分の1に低減。⑤巻線
    の自己インダクタンスLが数百分の1。⑥製造時に金型が不要。⑦鉄芯が無いためコイルスペースが広
    い ⇒ 巻線損失の低減。

以上のような特徴をふまえ、想定用途として、

  1. 小形風力発電機:コギングトルクがない ⇒ 微風からでも発電可能
  2. 低音域スピーカ用ボイスコイルモータ:①Lが小さい ⇒ 信号に遅れが無い、②トルクリップルが
    ない ⇒ 高調波ノイズが発生しない。
  3. インホイールモータ:重量が軽い ⇒ ばね下重量の低減。
  4. サーボモータ:トルクリップル、コギングがない ⇒ 高精度位置決めが容易。

さらに、下記の実用化のに向けての課題が示されている。

  1. ハルバッハ配列の製作性が良くない。量産に適した 製作方法がまだ見つかっていない。
  2. 界磁を回転させる場合、遠心力に対する対策が必 要。永久磁石を円環で固定する場合、コイルスペー
    スが狭くなる。
  3. 永久磁石が高価:国産ブランド牛肉程度:1.5~2.0千円/100 g

また、「デュアルハルバッハ磁石配列を採用した高効率発電機」は、株式会社アテックと工学院大学と共同
開発している(「デュアルハルバッハ磁石配列の高効率発電機」株式会社アテック 2016.05.13)。それによ
ると、①出力1㌔㍗の発電機で、② 96.6%の高効率発電を実現。200㍗~1㌔㍗クラスの小型発電機は東日
本大震災後、非常用などとして需要が高まったものの、発電効率は70~80%程度にとどまっており、高効率
発電機に対する社会的ニーズにこたえている。ハルバッハ配列は一般的な磁石配列に比べて一方向に磁界が
集中する特性がある。ローター(回転子)内部は、ハルバッハ配列の磁石を外輪と内輪の2列(デュアル)
にリング状に並べて磁束密度を高める。

リングの隙間にはコアレスコイルを組み込んだ。コイルの中に鉄芯が入っていないコアレス構造なので、発
電機の回転を妨げるコギングが発生しない。これにより電気損を3%以下に抑え、損失が少ないため温度上
昇が50℃℃以下になる。毎分50回転の低回転から増速機構なしで発電を始める。同社は工学院大学とデ
ュアルハルバッハ磁石配列の設計、効率解析などで連携し、製品化することに成功。順次、最大20㌔㍗まで
の製品化を予定しており、幅広い用途に対応する。今後の課題は生産コストの引き下げと軽量化。現状はサ
ンプル販売の段階だが、価格は他社製品と比べて6割程度が高いという。量産化にあたっては原材料、製造
方法などを改めて総点検するという。




● 事例研究:特開2015-027208  電磁誘導装置 株式会社アテック

次に、国内の関連特許を例示してみよう。

【要約】

本発明の電磁誘導装置は、永久磁石23、27の着磁方向に平行な面内において、界磁空隙24の中心線Ⅱ
と永久磁石列22との間の空隙断面積aと界磁空隙24の中心線Ⅱと永久磁石列26との間の空隙断面積
との比が、永久磁石列22の断面積Aと永久磁石列26の断面積Aの比と略等しい関係を有する。好
ましくは、空隙24の断面積(a+a)が、永久磁石列22の断面積Aと永久磁石列26の断面積A
平均値の1.2倍以上~2.0倍以下であることが望ましいく、電機子コイルに鎖交する磁束数を大きくでき
るようにする。
JP 2015-27208 A 2015.2.5
【符号の説明】

112  永久磁石 111  永久磁石配列 116  永久磁石 115  永久磁石配列 131  電機子コイル

【技術背景】

電動機(モータ)または発電機の磁場を高めるのに、ハルバッハ配列という永久磁石の配列方法がある。永
久磁石をN極とS極とが交互になるように配置した構造だと、磁場が磁石配列の表側と裏側の両方に発生して
しまい、磁場を有効に利用できない。これに対し、ハルバッハ配列では、永久磁石の磁極を90°ずつ回転
させながら配列しているので、磁石配列の一方の側の磁場が弱まり、その磁石配列の他方の側では、その分
磁場が強くなって、永久磁石の配列の片側に強い磁場を発生させることができる。それぞれハルバッハ配列
された2列の永久磁石配列(デュアルハルバッハ配列)の間に電機子コイルを配置した永久磁石回転電機や
リニア電動機が提案されている。そこで、永久磁石デュアルハルバッハ配列界磁を用いたコアレスモータや
コアレス発電機では、電機子コイルに鎖交する磁束数をできるだけ大きくすることが望ましいが、従来の構
造では、鎖交磁束数が最適化されておらず、さらに大きくすることが望まれている。

【実施形態】

磁極を90度ずつ回転して構成されるデュアルハルバッハ界磁について、磁極間ギャップ中央部の平均磁束
密度を等価磁気回路を用いて求めた。デュアルハルバッハ配列界磁では永久磁石列の外側で磁束密度が極端
に低くなる。また、永久磁石の比透磁率はほぼ空気と同じである。鉄などの強磁性材料を使用しなければ、
磁束集中による磁気飽和も発生しない。このため、等価磁気回路で必要な磁束密度を得ることができる。

図1は、等価磁気回路法を適用するデュアルハルバッハ配列界磁10の断面図である。デュアルハルバッハ
配列界磁10は、永久磁石13の磁極を第1の直線方向に90度ずつ回転してハルバッハ配列された永久磁
石配列12と、永久磁石17の磁極を第1の直線と平行な第2の直線方向に90度ずつ回転してハルバッハ
配列された永久磁石配列16とを備えている。

永久磁石配列12では、永久磁石配列16側の磁場が強めあい、永久磁石配列16側と反対側の磁場が弱め
あうように永久磁石13が配列されている。永久磁石配列16では、永久磁石配列12側の磁場が強めあい
永久磁石配列12側と反対側の磁場が弱めあうように永久磁石17が配列されている。

JP 2015-27208 A 2015.2.5

図1は、永久磁石13、17の着磁方向に平行な面での断面図である。永久磁石13、17は、永久磁石
13、17の着磁方向に平行な面(紙面に平行な面)内において、共に正方形の形状を有し、同じ断面積を
有している。永久磁石13、17の着磁方向に平行な面(紙面に平行な面)内における永久磁石13、17
の断面積の平方根を1として規格化する。断面積の平方根が1なので、永久磁石13、17の断面積も1で
ある。また、永久磁石13、17は、永久磁石13、17の着磁方向に平行な面内において、共に正方形の
形状を有しているので、永久磁石13、17の一辺の長さも1となる。永久磁石配列12と永久磁石配列
16との間14の間隔(ギャップ長)をaとする。

図1に示す閉曲線は磁束線である。磁束線の形状から極ピッチ毎に同一の磁束経路が存在することがわかる。
この磁束経路を点線で示している。図1に示すデュアルハルバッハ界磁の等価磁気回路の主磁束は図1の磁
束経路を通る。また、磁気回路は磁極中心線XXについて対称に存在するので、一つの経路に係る磁気回路
は磁極ごとに線対称に連続する。今、一つの磁気回路を図2のように定義する。図2中、Rは永久磁石13、
17の磁気抵抗であり、磁極に垂直な永久磁石の断面積をS、永久磁石の磁極方向の長さをl、真空の透
磁率をμとして次式で表される。

数式については、上図をダブクリック参照とし省略。

図3は、等価磁気回路法を適用する他のデュアルハルバッハ配列界磁20の断面図である。デュアルハルバ
ッハ配列

界磁20は、永久磁石23の磁極を周方向に略90度ずつ回転してハルバッハ配列された永久磁石配列22
と、永久磁
石27の磁極を周方向に略90度ずつ回転してハルバッハ配列された永久磁石配列26とを備え
ている。


永久磁石配列22では、永久磁石配列26側の磁場が強めあい、永久磁石配列26側と反対側の磁場が弱め
あうよう
に永久磁石23が配列されている。永久磁石配列26では、永久磁石配列22側の磁場が強めあい、
永久磁石配列22
側と反対側の磁場が弱めあうように永久磁石27が配列されている。

図3は、永久磁石23、27の着磁方向に平行な面での断面図である。永久磁石23、27は、永久磁石23、
27の着磁
方向に平行な面(紙面に平行な面)内において、共に台形である。永久磁石23の数と永久磁石
27の数は同じである
。永久磁石23の数および永久磁石27の数が、例えば、64個であると、隣り合う
永久磁石23同士、または隣り合う永
久磁石27同士は、180度に近い略174度の角度で接合すること
になる。従って、永久磁石23と、永久磁石27は略
正方形であるとみなすことができる。

そこで、図1の場合と同様に、永久磁石23、27の着磁方向に平行な面(紙面に平行な面)内における永
久磁石23、
27の断面積の平方根を1として規格化する。断面積の平方根が1なので、永久磁石23、
27の断面積も1である。ま
た、永久磁石23、27は、永久磁石23、27の着磁方向に平行な面内にお
いて、共に略正方形の形状を有していると
みなすことができるので、永久磁石23、27の一辺の長さも1
と近似することができる。永久磁石配列22と永久磁石
配列26との間の間隔(ギャップ長)をaとする。

このように、図3に示すように、永久磁石23、27の磁極を周方向に略90度ずつそれぞれ回転してリン
グ状にハルバッハ配列した永久磁石配列22、26を使用した場合も、近似的に図2の等価磁気回路となり
上述の議論をそのまま当てはめることも可能ではある。(ただし後述するように、図1に基づいて図3の電
磁誘導装置を論ずる場合、外側と内側の永久磁石配列22,26のそれぞれの永久磁石量を、界磁空隙24
の中心線Ⅱの外側と内側の空隙の体積比と一致させるのが望ましい。)


ギャップ長aを0.25、0.5、1.0、1.5、2.0とした場合の直線YY上のy方向磁束密度B
の磁極間平均値B、γお
よびδをパラメータとして(4)式より得られたBavの値を下表1に示す。

1中、γ=0.25、δ=0.25は幾何学的な中心を磁気回路の経路として選択した場合である。また、γ
=0.10、δ=0.25はBとBavの誤差を最小にする値、Bτは2次元有限要素法磁界解析による解析値
でBの極ピッチ間平均値である。ここで、極ピッチ間の磁束密度が正弦波状に分布していると仮定すると、
その磁束密度平均値BavτはBavの1/√2倍である。BτとBavτの誤差はγ=0.20、δ=0.22で最
小となる。

図1に示すように、永久磁石13の磁極を第1の直線方向に90度ずつ回転してハルバッハ配列された永久
磁石配列12と、永久磁石17の磁極を第1の直線と平行な第2の直線方向に90度ずつ回転してハルバッ
ハ配列された永久磁石配列16とを備え、永久磁石13と永久磁石17は正方形の形状を有し、同じ断面積
を有しているデュアルハルバッハ配列界磁10および、図3に示すように、永久磁石23の磁極を周方向に
90度ずつ回転してハルバッハ配列された永久磁石配列22と、永久磁石27の磁極を周方向に90度ずつ
回転してハルバッハ配列された永久磁石配列26とを備え、永久磁石23と永久磁石27は略正方形の形状
を有し、同じ断面積を有しているデュアルハルバッハ配列界磁20では、上述のように、ギャップ中心線Y
Y上のNS極ピッチ間の平均磁束密度Bavτは、

となる。ここで、Bは永久磁石の残留磁束密度であり、αは

 

である。デュアルハルバッハ界磁のギャップ中に配置される電機子コイルの鎖交磁束数Φは極ピッチあたり
の磁路断面積をS、コイル巻回数をNとすれば



となる。以下の数式は省略するが、最終的には、次のように集約される。

このように、デュアルハルバッハ配列界磁のギャップ長を、着磁方向に平行な面内における永久磁石の断面
の面積の平方根の1.2~1.5倍、永久磁石が正方形の場合には、正方形の一辺の長さの1.2~1.5
倍、永久磁石が略正方形であり、正方形であると近似できる場合には、近似した正方形の一辺の長さの1.2
~1.5倍に設定すると、電機子コイルにおいて大きな鎖交磁束数を得ることができる。

さらに、図1の空隙が直線状であるのに対し、界磁空隙24は湾曲しており、当該空隙に外形が直方体のコ
イルを挿入して電機子を形成する場合、コイルの角が界磁20に接触してはならず、また、仮に接触させた
場合でもコイルと当該界磁間に隙間が発生する。
このため、デュアルハルバッハ配列界磁のギャップ長を、
着磁方向に平行な面内における永久磁石の断面の面積の平方根の1.2~2.0倍、永久磁石が正方形の場
合には、正方形の一辺の長さの1.2~2.0倍、永久磁石が略正方形であり、正方形であると近似できる
場合には、近似した正方形の一辺の長さの1.2~2.0倍に設定すると、電機子コイルにおいて大きな鎖
交磁束数を得ることができる。


しかし、図3にも示されているように円形の永久磁石列を用いると、リング状の界磁空隙24の中心線Ⅱよ
り外側の空隙と内側の空隙では、外側の空隙のほうが、断面積(奥行きを考えれば体積)が大きくなる。一
方、図1では空隙の中心線YYより上半分の空隙と下半分の空隙の断面積は等しくなる。したがって、図1
に基づいて図3の電磁誘導装置を論ずる場合、外側と内側の永久磁石列22,26のそれぞれの永久磁石量
を、界磁空隙24の中心線IIの外側と内側の空隙の体積比と一致させることが望ましい。


具体的には本発明の電磁誘導装置では、図3に示すような永久磁石23,27の着磁方向に平行な面(紙面
に平行な面)内において、
界磁空隙24の中心線Ⅱと永久磁石列22との間の空隙断面積aと界磁空隙24
の中心線Ⅱと永久磁石列26との間の空隙断面積aとの比が、
永久磁石列22の断面積Aと永久磁石列26
の断面積Aの比と略等しい関係を有する。
この場合、界磁空隙24の断面積(a+a)が、永久磁石列
22の断面積Aと永久磁石列26の断面積Aの平均値の1.2倍以上2.0倍以下であることが望ましい。


 

図6 第1の実施の形態の円筒型3相リニア同期モータ100

 図10 第2の実施の形態の三相同期発電機200を説明するための概略斜視図

以上、端折りみてきた。この懸案(スマート風力タービン)設計については、シリーズ『革命的な風力ター
ビン』の続編として、タイトルを新たに掲載していくが、当面、外国特許などの関連情報の集約作業を続け
る。

   




バルトーク: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.4, Sz.91 

バルトークの弦楽四重奏曲第4番Sz.91は、1928年に作曲された弦楽四重奏曲。前作が単一楽章で、A-B-A'-
(B')という形のゆるやかな統合であったのに対し、本作は5つの楽章をもち、第1楽章と第5楽章、第2楽
章と第4楽章とが速度・拍子・形式の上で類似しており、さらに中間の第3楽章は三部形式でその第1部と第
3部がそれぞれ第1楽章・第5楽章と動機上の関連を持つ、いわゆるアーチ構造のシンメトリカルな構成と
なっている。また、打楽器的奏法や和声法では前作で示された方法論が一層徹底的に追求され、荒々しいリ
ズムと不協和な和声とをより先鋭化する特殊奏法が第3番以上に多用されており、演奏技巧上、弦楽四重奏
曲中屈指の難曲とされている。



まずは月へ!SpaceXが2018年に2人の乗客を乗せて月周回旅行を実施すると発表。嘘!?来年じゃないか。
まさか、成功すればそれを眼にする(テレビ放送などで)。何て、エライ時代に生きているんだ?!

SpaceX to Fly Two Tourists to the Moon in 2018

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地震予知複合解析考

2017年03月01日 | デジタル革命渦論

 

    

     38  嫁と小姑 / 火沢眹(かたくけい) 

 

                                 

 
    ※ 眹とは、そむく、反目すること。前項「家人」の卦をさかさまにした
      もので、家庭の不和、意見の食い違い、矛盾相剋を示す。上卦の離は
      火・少女、下卦の兌は沢・中女である。火は上に、水は下にと、向か
      うところが正反対であり、しかも女同士のジメジメした陰性ないがみ
      あいである。嫁と小姑の睨み合いそんな感じの卦象だ。こんな時には
      大問題にとりくんではいけない。小さなことをコツコツやる心がけが
      必要である,嫁も小姑も一家のなくてはならね成員であるように、万
      物すべて相互に矛盾する中にこそ、統一があり、進歩がある。矛盾を
      活きた形でとらえることが大切。

 

 

【世界初の完全栄養食パスタ販売】

22日、フード系スタートアップのベースフード株式会社が世界初の完全栄養食パスタ「
BASE PASTA(ベースパスタ)」を販売を開始。それによると、3
食分で厚生労働省が定め
た「日本人が1日に必要な栄養素」すべて含む。パスタは、あまり健康に良いイメージが浮かばない
かもしれないが、「BASE PASTA」は通常の小麦粉よりも栄養価の高い小麦全粒粉や、話題のスー
パーフード、チアシードなどを練り込んむ。それも、栄養素はしっかり計算されていて、「BAS-
E PASTA
食分で厚生労働省が制定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に基づく
「日本人が1日に必要な栄養素」をすべて含む。さらに、従来のパスタと比べて糖質50
%オフ、カロリーは20%オフとなっている点も、ダイエットなどで食べ物に気を使ってい
る(「ライフハッカー|Lifehacker)」2017.02.22



なぜパスタにしたかの理由について、スタートアップ、ベースフード株式会社(橋本舜代表
取締
役)によれば「健康を当たり前にするため」と語っている。つまり、サプリメントのよ
うな栄養補助食品をとるには、意識して摂取するという意識付けが必要だが、主食であるパ
スタを変えることで、健康意識の低い人でも摂取する栄養を簡単に底上げすることができる。
2種類のパスタ料理が美味しく、麺自体にもほんのり小麦の香りがするとの評判をえている。


(左)TAGLIOLINI CACIO E PEPE(羊のチーズと黒胡椒のパスタ)、(右)TAGLIOLINI ALLA
GENOVESE
(羊のチーズのジェノベーゼソースのパスタ)。

特許申請中ということであり、ベースフード株式会社というが、製麺は小林生麺株式会社に
て製造していることで、現時点では不詳。そこで下記の「特開2014-000072  グルテンフリー
麺の製造方法」を参照掲載しておく。目論見通り普及していくかどうかは、嗜好品のために
判断し難く、また、規定された栄養価)の担保も不詳である。

 【符号の説明】
10:包装容器、11:シール部、12:開口、13:シール部、14:収容空間 30:
単位麺線、31:麺
線、H:(単位麺線の)最大厚み寸法

【要約】

原料調製工程では主原料粉としての米粉に加水して混合原料を調製し、混練工程では混合原
料を混練して混練物を形成し、圧延工程では混練物を圧延して麺帯を形成し、切り出し工程
では麺帯を所定の麺線形状に切り出して単位麺線を得て、包装工程では単位麺線を袋状の耐
熱性包装容器に収容して密封包装することで包装済み単位麺線を得るが、これらの工程では
単位麺線中の米粉成分の未アルファ化状態を維持する。加熱アルファ化工程では、包装容器
内の単位麺線を単位麺線中の米粉成分がアルファ化する所定温度以上の温度で1回のみ加熱
することにより包装容器内の単位麺線中の米粉成分をアルファ化すると同時に単位麺線中の
細菌類の殺菌を行う。

   Feb. 28, 2017

【地震予知複合解析考】

● 巨大地震発生の前兆か“大気に異変”

地震予知の新たな手がかりになるのでしょうか。巨大地震の前兆が上空300キロで起きて
いた、
という研究結果を京都大学の研究グループが発表。京大の梅野健教授らの研究グルー
プは、去年4月の熊本地震発生前後でGPSを使い、大気よりも上の上空約300キロにあ
る電離圏と呼ばれる層を分析。これが結果を示した動画です。地震が発生する1時間ほど前
から、熊本付近の電離圏で電子の数に異変が起きていることを示しています。同様の結果は
2011年の東日本大震災でも観測されていました(MBS NEWS, 2017.02.28)。

「地震に関する予測は今はないが、そういった予測につながって防災・減災に役立てばと考
える」(京都大学 梅野健教授)、一方、去年10月に起きた鳥取での地震では、このよう
な現象は観測されておらず、マグニチュード7以上の巨大地震特有のものだとみられていた。
地震予知の新たな手がかりとなるのか。すでに企業などから共同研究の依頼も入っていると
いうことである。
 

Dec. 14, 2017

Pre-seismic ionospheric anomalies detected before the 2016 Kumamoto earthquake 
Takuya Iwata, Ken Umeno  Geophysics  arXiv:1612.05667

この「電離層の電子量変動観測予知法」(「地震予知工学の此岸」2017.10.01)で掲載済み
あるが、鳥取地震では予知信号を観測できなかったというから、本法での現状限界という
ことであろ
う。今後は、検出精度(S/N比)を上げる方法の有無、あるいは、地震科学探
索気候(JESEA)のGPSを使った3次元定点位置変動観測法などの複合的的連携の模索な
どでさらに精度を高めるなどが考えられる、うまく行くかどうかわからないが。

 

※ Ionospheric Anomalies Detected Before 2016 Kumamoto Quakes (News) Sci-tech,  2017.03.01

 

EVgo社 加州でABB社製150キロワット直流高速給電所を開設】

EVgo社、米国初のカリフォルニア州でABB(Asea Brown Boveri)社製の150kW DC給電所開設。
同社は、 ABB社を新しい高出力事業のDC高速給電器供給者として採用。カリフォルニア州
フリーモントにあるラッキースーパーマーケットにMowry AvenueJ1772 Combo(別名CCS
Combo
)プラグを装備した国内初の 150kW充電装置を開設。現在900台以上のDC高速充電装
置を搭載。通常、通常、CCSコンボチャージャー(およびCHAdeMO)はわずか50kWなので、
150kWは3倍速い。しかし、ABB社製プロトタイプは非開。ベータ機として機能。 プレスリ
リースによると、ABBはこれらの種類の充電器を世界市場向けに開発。 必要に応じて出力を
350kWにアップグレードの付加を検討中。

  

チャージャーは、次世代の電気自動車の充電に関する調査を支援し、初めに150kWEV研究
展示場で実証試験し、その後最大350kWの充電速度にチャレンジする。 自動車メーカーが将
来のハードウェアおよびサービス規格に適合すると、給電所は業界モデルとなる。EVgo社
ステーション(給電所)を利用し、ユーティリティーの影響、設置基準、許可、建築および
安全の要件を調査。また、電気認証委員会や建築基準担当者向けの模擬展示場の提供予定。

EVgo社とABB社は、EVの進化における重要な次のステップとしてHigh-Power急速充電の実施
を検討。自動車メーカーは、バッテリ容量と長距離の新しい電気自動車を導入。 既に、2社
の自動車メーカーは、2年以内に大幅に高い料金を請求する米国での車両販売計画を発表。
さらに、5つの自動車メーカーは、ヨーロッパ全土に400台のハイパワー充電ステーション(
350kW)を建設するための協力を発表。
現在市販されている最も速い利用可能な公衆充電器
50kWで、1分あたり約3マイル(4.8キロメートル)の充電が可能。  150kWの充電器
は毎分9マイル(14.5キロメートル)、350kWの充電器は毎分50マイル以上の充電を
提供。 新しい充電ステーションは、要求に応じて自動車研究用車両に利用できるようにな
り、今後の電気自動車の開発、範囲、容量、充電速度の向上に役立つことを目的とする。充
電器は、カリフォルニア州フリーモントにある国で最も忙しい公衆高速充電サイトにありま
すが、一般に公開されることはない。
 オバマ路線からトランプ路線へのUターンが起きなけれ
ば順調に電気自動車立国をリードすることになる。これは見物だ。

  Feb. 28, 2017

【回転する反発磁石力で空中浮遊するクアッドコプター】

「回転翼」ではなく「回転磁石」によって空中浮遊するクアッドコプターが生み出された。
この仕
組みは時速1200キロメートルで走る「ハイパーループ構想」にも用いられている
もので、高く
飛ぶのではないが、浮かんだ状態でしっかりと安定していることを確認する。
とても浮かぶとは思えない形状の機械物体。重さは47.6kgもあり頑張って持ち上げているハ
イパーループのCasey Handmer氏だという。

回転体の中には磁石がいくつも設置され、台の上に敷かれた銅板に渦電流が生まれる。回転
数が十分であれば、この反発作用により、空中浮遊が実現。ちなみに、このとき銅板は熱を
帯びる。この仕組みを利用したのが電磁調理器。磁石が固定され、その上に良導体であるア
ルミニウム板を置いたとき、浮かぶ力は強く、重りを置いてもなお浮かんでいます。このと
き、アルミニウム板の温度は、水をかけると水蒸気に変わってしまうほどに熱くなる。しか
し、単純に磁石を並べて回転させても、浮上するだけの力を生み出すことはできない。これ
をハルバッハ配列(Halbach array)で磁場強度を最大化すれば大丈夫。設置されている磁石は
12個。ハルバッハ配列で、それぞれの磁極の向きはこのように組み替える。この磁気浮上
の仕組みは鉄道技術としての利用も考えられ、2005年の愛知万博の際にはリニモとして営業
が行われている。ハイパーループも、同じ仕組みの応用が考えられている。

因みに、わたし(たち)はこれを革命的な風力タービンシステムに応用展開し微風でも高速
回転を実現しようとしている。




【経済界のトリックスターが大統領議会演説】

28日、トランプ新大統領は、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及した
ほか、中間層向けの大
幅な税負担軽減を打ち出した。移民制度については、議会の共和・民
主党が妥協すれば、幅広い
改革が可能と述べた。演説では不規則発言はみられなかったもの
の、市場が期待したような減税の具体策も出てこなかった。経済政策に関しては、従来から
の主張をなぞったに過ぎないという(東京 ロイター、2017.03.01)。奇しくも、NHKの
「BS世界のドキュメンタリー」は「強欲時代のスーパースター・ドナルドトランプ」を再
放送をみて驚いた。1991年に制作お蔵入りなった番組。この「経済界のトリックスター」
のタイトル通り、わたしがイメージしていたトランプ像がそっくり映像化されていることに。
少し米国の現代史を知っているなら容易に番組内容が理解できるはずだ。だから、「アホ丸
出し」とは言わぬ、その代わり、「資本主義(=負債)に追い立てられるカチカチ山の狸」
とだけ言っておこう。そして、日米両国民のリスクをできる限り少なくする手だてを考え出
していこうと思う。
                                     

 

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