A Challenge To Fate

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【JazzTokyo#226更新】『山口正顯・渡辺生死 duo / 砂山』+書き下ろしアナザーレビュー

2017年02月01日 01時59分41秒 | 素晴らしき変態音楽

#1369 『山口正顯・渡辺生死 duo / 砂山』
聖地・高円寺グッドマンから現れたリード&ドラム・デュオによる叙情曲集は、パンドラの箱からフリージャズの精霊たちを解放し、ギミック無しの生のジャズのパワーを世に知らしめるパラレル・モーションである。


●Another Disk Reviewアナザーレビュー


『山口正顯・渡辺生死 duo / 砂山』

Bishop Records EXJP023  1,800 円 +税

山口正顯 Yamaguchi Schoken (ts, cl, b-cl)
渡辺生死 Watanabe Shouji (ds, perc)

1. 砂山 tenor saxophone version (中山晋平)
2. Danny Boy (Traditional)
3. Grandfather’s Clock (Henry Clay Work)
4. 渓流(たにがは) (齊藤コメゾウ)
5. 赤蜻蛉 (山田耕筰)
6. 音叉 (渡辺生死)
7. You don’t know what love is (Don Raye and Gene DePaul)
8. Summer Time (George Gershwin)
9. 砂山 bass clarinet version (中山晋平)

2016.10.13 at Knuttel Hosue, Tokyo
recorded, mixed and mastered by Kondo Hideaki
photos by Tanikawa Takuo
directed by Yamaguchi Schoken and Watanabe Shouji
produced by Kondo Hideaki

楽曲解説ストーリー

砂山(テナーサックス)
童謡メロディーを長く引き伸ばされたロングトーンで吹くうちに次第に激するテナーに、不穏な連打のドラムが木霊して、ハンターの血が騒ぎだし逸るテナーへの放置プレイが享楽へ導く。

Danny Boy
ドラムが先鞭を切って朝日の中へ飛び出してく。後を追うクラリネットは歓喜の雄叫びを上げるが、つれないドラムに我に帰り、心地よい風の乗ってジャンプする。

Grandfather’s Clock
逞しさを誇示するテナーが太いメロディを奏でる。後半でしゃくりあげるブロウに骨太なドラミングが加わり祝祭の始まりを告げる。お花摘みで席を外したテナーが、砂が零れるような細かいドラムロールに召喚されて加えるハイトーンは夢に魘され昼寝から目を覚ました猛禽類の呻き声。

渓流(たにがは)
再び眠りに落ちた暗闇の中、テナーの低い声で子守唄が囁く。パーカッションが遠い野鳥のざわめきを模倣する。寝ぼけ眼の子守歌は次第に覚醒するかのように、森の住人を脅かす。

赤蜻蛉
突然の赤い曙光に狂ったような雄叫びを上げる。大地を震動させるドラムの連打に、ペリカンのようなバスクラが忘我の境地で狂女の歌声を奏でる。低音が抜けて拉げた声に驚いて戸惑うドラムの彷徨。我関せずと鼻歌謳うバスクラの泥酔。

音叉
雲の割れ目から光が射し、天上の玩具ピアノのチャイムがひと時の気の迷いを諌め癒すように降り注ぐ。

You don’t know what love is
手の声に刺激され酔いから覚めたバスクラとドラムが睦みあう。遅く起きた朝への夕刻からのレクイエム。

Summertime
キーの高いテナーで奏でる夏のメロディーは、やはり夏の暑さではなく、森の中のひんやりした木陰でまどろむ動物の鳴き声のよう。突然狂いだしたのは発情期にパートナー選びに乗り遅れたことを思い出したのであろうか。荒れ狂うテナーをクールに見守るドラムの慈しみ。マーチのビートに釣られて歩調を合わせようと努力する健気さに心和む。

砂山(バスクラリネット)
エンディングはバスクラがタイトル・ナンバーでリベンジ。オープニングと同じ鈴の音で焦らそうとするドラムが夜の訪れを告げ、ふたりの意識は生まれる前の微睡の中へ沈殿していく。明日はどんな物語を語り合おうかと考えながら。

CD "Yamaguchi Schoken & Watanabe Shouji duo / sunayama" PV


精霊の
還る先には
グッドマン

●NY撮って出し動画
Makoto Kawashima solo @ Downtown Music Gallery 1-29-17

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