●ヒッピー音楽フェスティバル
1969年8月パリで濃厚な創造の一週間が行われていた頃、アメリカではウッドストック・フェスティバル(1969年8月15日~17日)が開催され大きな話題になった。BYGとActuel誌はフランスでも同様のフェスティバルを企画した。『アクチュアル・フェスティバル Festival Actuel』と銘打ちパリ近郊での開催を目論んでいたが、フランス当局に拒否され、1969年10月24~28日にベルギーのAmougiesという小さな町で開催された(そのため『Festival d'Amougies』とも呼ばれる)。アート・アンサンブル・オブ・シカゴやアーチー・シェップ、ドン・チェリーやサニー・マレイ等のフリージャズだけではなく、フランク・ザッパ、ピンク・フロイド、キャプテン・ビーフハート、ソフト・マシーン、イエス、テン・イヤーズ・アフター、ナイスといった進歩的なロックバンドも多数出演し、5日間で20000人を集め成功を収めた。
その翌年1970年7月5日にフランスのBiotで『ポパナリア・フェスティバル Popanalia Festival』を開催。ジョーン・バエズ、ピンク・フロイド、エリック・クラプトン、ゴング、ソフト・マシーン、ムーディ・ブルース、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、アーチー・シェップ、ソニー・シャーロック、ドン・チェリー等が出演。ヨーロッパ中から観客が集まった。
●財政破綻と契約問題
ヨーロッパ中のヒッピーが集まり、カウンター・カルチャーの象徴としては成功したが、金銭面では大赤字で、BYGの財政は圧迫され、1973年には遂に破産してしまった(後に創設者のJean GeorgakarakosはCelluloid、Jean Luc YoungはCharlyという自主レーベルを設立)。BYG活動当時から、契約の不備により、アーティストの非公認の音源リリースや印税不払い問題が発生していた為に、カタログ再発に当たって再発を許可しないアーティストもいる。そのため、再発元の都合でジャケットのカタログNoやデザイン/写真が変更されたり、別々の作品がカップリングされたりして、全容が判りにくい状態になっている(それがこのブログに全カタログをまとめた動機でもある)。
●非ジャズ・アーティストたち
BYG Actuelのユニークな点は、フリージャズに混じってロックや実験音楽の作品をリリースしたことである。前衛レーベルの先達であるESP Diskがファッグスやゴッズ、パールス・ビフォア・スワイン、クロマニヨンなど実験的なロック/フォーク系作品をリリースしたことを思い出させる。
ゴング Gong/デヴィッド・アレン Daevid Allen
1967年にオーストラリア生まれのデヴィッド・アレンを中心にフランスで結成されたプログレッシブ/サイケデリック・ロック・バンド。英米ではスペース・ロックというジャンルで括られることが多い。1968年、フランス五月革命において、アレンとパートナーのジリ・スマイスは学生側に加担するパフォーマンスを行った。このことにより公安警察に追われる身となり、スペインのマヨルカ島デヤに潜伏。ここでディディエ・マレルブと知り合い、バンドの原形が作られる。その後、フランスに戻り「ゴング」を結成した。1969年にフランスBYG・レーベルからファースト・アルバム『マジック・ブラザー』を発表。1971年、アレンのソロアルバム『バナナ・ムーン』発表をはさみ、2nd『カマンベール・エレクトリック』を発表。このアルバムからエンジニア兼エレクトロニクス奏者のヴヌー・ドゥ・ルクスが参加し、サウンド面での飛躍的な進歩をみせている。73年にゴングを脱退するリーダーのデヴィッド・アレンは、ゴング時代からよりパーソナルな世界を追求したソロ作品をリリースしている。
アム・ソン Ame Son
1967年にデヴィッド・アレンがフランスで結成したバナナムーン・バンド(ゴングの原型)のメンバーだったマーク・ブラン(vo,ds)とパトリック・フォンテーヌ(b)が1969年にフランソワ・ガレル(fl)とベルナール・ラヴェイユ(g)と結成したプログレッシヴ・ロック・バンド。70年にBYGから『Catalyse』でデビューし、「アクチュアル・フェステュバル」「レ・アール」「ル・プルジェ」等数々の音楽フェスに出演し人気を博すが、71年に解散。73年に再結成し76年にアルバムをリリース。その後も解散・再結成を何度か繰り返す。 79年にNurse with Wound listにリストアップされ世界中の好事家の興味を惹いた。
ムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァ Musica Elettronica Viva; MEV
イタリアのローマに拠点を置く即興音楽家集団。1966年に結成された。長年に渡り、アルヴィン・カラン、リチャード・タイテルバウム、フレデリック・ジェフスキ、アラン・ブライアント、キャロル・プランタムラ、イヴァン・ヴァンダー、スティーブ・レイシー、ジョン・フェットプレイスなどがメンバーを務めている。
シンセサイザーを使って音の加工をいち早く行った実験音楽家集団であった。1967年にベルリンで行われた演奏会では、ジョン・ケージのSolo for Voice 2を、プランタムラがモーグ・シンセサイザーを用いて自分の声を変換し演奏した。また、窓ガラスやオリーブ油の缶といった「非音楽的な物体」から発せられる音を増幅し演奏に用いたが、これが原因となってイタリアでは暴動が起きたため、同国内では悪名高き存在となった。構成メンバーは個々が作曲家として活動しているが、今日までグループとしての活動も積極的に行っている。
フリーダム Freedom
プロコル・ハルムを脱退した(追い出された)ボビー・ハリソン(vo,ds)とロレイ・ロイヤー(g)を中心に1967年に結成されたイギリスのロックバンド。結成当時はサイケポップだったが、68年にハリソン以外のメンバーを一新し、ブルース/ハードロック色を強め、ブラック・サバス、ジェスロ・タル、ジェームス・ギャング等とツアーし名を挙げる。70年の2ndアルバム『フリーダム・アット・ラスト』(BYG)に収録のビートルズのカヴァー「クライ・ベイビー・クライ」で知られる。5枚のアルバムを残して72年に解散。ハリソンはSnafuを結成。
Freedom.Cry Baby Cry
●actuel 26 - 53
acteul 26 Musica Elettronica Viva / The Sound Pool
acteul 27 Pierre Marietan and Terry Riley / Germ: Keyboard Study 2
acteul 28 Art Ensemble of Chicago / Message to Our Folks
acteul 29 Art Ensemble of Chicago / Reese and the Smooth Ones
acteul 30 Dave Burrell / La Vie de Bohème
acteul 31 Don Cherry / Mu, Second Part
acteul 32 Sunny Murray / (Never Give a Sucker) An Even Break
acteul 33 Grachan Moncur III / Aco Dei de Madrugada
acteul 34 Dewey Redman / Tarik
acteul 35 Musica Elettronica Viva / Leave the City
acteul 36 Frank Wright / One For John
acteul 37 Sonny Sharrock / Monkey-Pockie-Boo
acteul 38 Archie Shepp / Full Moon Ensemble Live in Antibes, Volume 1
acteul 39 Archie Shepp / Full Moon Ensemble Live in Antibes, Volume 2
acteul 40 Sun Ra / The Solar-Myth Approach, Volume 1
acteul 41 Sun Ra / The Solar-Myth Approach, Volume 2
acteul 42-4 Alan Silva / Celestial Communications Orchestra - Seasons
acteul 45 Daevid Allen / Banana Moon
acteul 46 Joachim Kühn / Paris is Wonderful
acteul 47 Anthony Braxton / This Time
acteul 48 Sunny Murray / Sunshine
acteul 49 Jacques Coursil / Black Suite
acteul 50 Arthur Jones / Scorpio
acteul 51 Archie Shepp / Live at the Pan-African Festival
acteul 52 Steve Lacy / Moon
acteul 53 Gong / Camembert Electrique
MEV ムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァ
MBV マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン
MBG メゾン・ブック・ガール
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