都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
川村記念美術館 「ロバート・ライマン」展

「ロバートライマン-至福の絵画-」
2004/7/10~10/24
こんにちは。
今日はちょっと足を伸ばしまして、千葉県の佐倉市にある川村記念美術館へ行ってきました。ロバート・ライマンは、1930年のアメリカ生まれで、ニューヨークの美術館の監視員から画家へ転じたという、異色のアーティストです。彼の作品の殆どはいわゆる抽象画でして、白の絵の具を様々な素材に塗り上げるという実にシンプルなものが多く見られます。実際に、会場で並んでいる作品を目にすると、あちらこちらから「白」という色が飛びこんで来ます。ですから、どうも「白」の持つ意味を考えてしまいそうになりますが、彼によれば「白」を描いているのではなく、「白」を使うことで絵から出てくる要素を描いている、つまり「白」によって絵の他の部分が見えてくるから「白」を使うのだそうです。
確かに「白」が作品の主体になると、その中の微細な部分の表現が穏やかに自己主張してくるのがわかります。「白」の裏にある素材の存在感や、カンヴァス上の「白」の動きや光の当り具合による変化、バターをパンに塗ったような「白」絵具の筆跡の力感・・・、勿論作品の形状(正方形なのかとか大きさはとか。)も気になってきますが、カンヴァス上の「白」を通して得られる絵の構造が色々と感じられるのです。
作品全体を見つめると、大変に静の要素が強くて、確かに「至福」とかそのような言葉で言い表されるような充足感がじわじわ湧いてきますが、それを暫く眺めているとその中(構造)がゆっくりとゆっくりと動き出して見えてくるので、静と動の対比、または全体と細部の揺らぎ、そのようなものも感じられるのではないかと思いました。
ところで、川村記念美術館というのは、大日本インキ化学工業の持つ私設美術館でして、JRの佐倉駅から無料送迎バスで20~30分という田園地帯にあります。レンブラントやシャガールなどの所蔵品もありまして、そちらも常設展で展示されていました。敷地は広く、大きなグランドや池や芝生(ただしあくまでも企業の所有だからか、立ち入り禁止の場所が多い。)などもありました。周囲も千葉県特有の一大丘陵地帯ですので、まあ、大自然というところまではいかないものの、都市郊外の自然の中で、ゆっくりと美術に浸れる空間だと思います。ただ、場所がそういう所ですので、交通の便はよくありません。駅(JR、京成佐倉駅)からの無料送迎バスもありますが、上にも書いた通り、駅からはかなりの時間がかかります。車をお持ち方はそれで行った方が良いかもしれませんね。(無料駐車場あり。)
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