「コレクション展」 目黒区美術館 6/4

目黒区美術館(目黒区目黒)
「目黒区美術館コレクション展 -新収蔵品を中心に- 」
5/28~6/26

目黒区美術館で開催中の「コレクション展」を見てきました。近代日本において欧米と関わりをもった作家や、目黒ゆかりの作家を中心として、約70点程の作品が展示された展覧会です。

エントランスホールで私を出迎えてくれたのは、兎の耳が連なったような大きな彫刻作品、青木野枝の「Untitled」(1994年)でした。丸い支えを下に持った耳の型をした鉄製の彫刻が、天井近くまで勢いを感じさせながら伸びています。このスペースに合わせて制作された作品だそうですが、鉄のもつ温かい質感に加え、造形の面白さに魅せられました。

岡田謙三の「銀」(1954-1955年)はとても心に残りました。カンヴァスに油彩の抽象画ですが、和を思わせるような「銀」や「竹」の色の味わい深さに加えて、形同士の微妙な隙間が作品に揺らぎを与えています。西欧で「幽玄主義」と呼ばれて高く評価されていたのにも頷けました。今まであまり意識して拝見したことのない作家でしたが、他の作品も気になりました。

長谷川潔や駒井哲郎、それに浜口陽三の版画作品も、僅かながら展示されていました。中でも浜口陽三の「パリの屋根」(1956年)の美しさには何度見ても惹かれます。ザラッとした感触の画面に、幾何学的ながらも温かみのある模様が点々と…。この美しさはやはりカラーメゾチント独特のものかもしれません。

油絵でありながら日本画のような味わいがある藤田嗣治の「動物群」(1924年)や、一見金属のような質感を見せながらも実は陶製であるという山田光の彫刻作品「銀泥」(1995年)、それに光を美しく画面に取り込んでいた小林孝亘の一連の版画などが印象に残りました。もう少しボリュームがあっても良いかとは思いましたが、目黒川沿いを散歩しながらぶらっと立ち寄るには良い雰囲気です。意外な出会いがある展覧会かもしれません。
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