都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
第37回サントリー音楽賞 受賞記念コンサート 「鈴木秀美」
第37回サントリー音楽賞 受賞記念コンサート 「鈴木秀美」
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007
シューベルト アルペッジョーネ・ソナタ D821
ハイドン 交響曲第60番「うかつ者」 Hob.I-60
チェロ・指揮 鈴木秀美
フォルテピアノ 平井千絵
演奏 オーケストラ・リベラ・クラシカ
2007/1/31 19:00 サントリーホール2階
2005年度のサントリー音楽賞受賞記念コンサートです。チェロ奏者の鈴木秀美が、バッハの無伴奏チェロ組曲や、主宰するオーケストラ・リベラ・クラシカ(以下、OLC)とのハイドンの交響曲などを披露します。会場はかなり賑わっていました。8、9割ほどは入っていたかもしれません。

愉悦感に満ちたチェロ組曲でした。某評論家ではありませんが、まさに「チャーミング」という表現がぴったりの演奏です。技巧へ過度に走ることなく、バッハの小宇宙を心地良く彷徨します。有名な前奏曲は控えめに入り、徐々に調子を上げながらテンポ良く曲をまとめ上げていきました。それにしても、時に思弁的にも思えるこの曲が、これほど人懐っこく聴こえてきたのは初めてです。チェロと格闘して大バッハの偉大な音楽を奏でるというよりも、さながら一吟遊詩人となって楽しそうに音楽と戯れているような印象を与えていました。もちろんそれでいて、古楽器をかの大ホールにて朗々と響かせる力強さも持ち合わせています。見事です。
フォルテピアノに平井千絵の迎えたアルペッジョーネ・ソナタでは、平井のピアノにやや重さが感じられたものの、鈴木の温かみのあるチェロを存分に楽しめる演奏だったと思います。歌心にも溢れた鈴木のチェロが、シューベルトのセンチメンタルな旋律を美しくなぞっていきます。もう一歩、ワルツを奏でるかのようなリズム感があれば、より魅惑的な音楽が出来ていたようにも感じました。
OCLは初めて聴きましたが、私にはその表現する音楽が窮屈に思えてなりませんでした。BCJのメンバーの方も多いということで、その技術などには確かなものが感じられましたが、力強い響きであれこそその厚みはいささか乏しく、出来上がった音楽の表情も平板になっていたように感じます。ただし、音楽の強弱、緩急などは非常に強調された演奏です。全6楽章という変わった構成から、途中でいきなりヴァイオリンが調弦をし始めるなどという、仕掛けに凝ったハイドンの面白さは味わえたと思います。
アンコールも2曲演奏され、記念コンサートに相応しい盛り上がりも見せていました。ちなみにそのうちの1曲は、チェロ独奏が曲をリードするハイドンの交響曲第13番から第2楽章です。(もう1曲は、プログラムでも演奏された第60番から第3楽章した。)次回は鈴木のチェロにじっくりと耳を傾けてみたいです。
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007
シューベルト アルペッジョーネ・ソナタ D821
ハイドン 交響曲第60番「うかつ者」 Hob.I-60
チェロ・指揮 鈴木秀美
フォルテピアノ 平井千絵
演奏 オーケストラ・リベラ・クラシカ
2007/1/31 19:00 サントリーホール2階
2005年度のサントリー音楽賞受賞記念コンサートです。チェロ奏者の鈴木秀美が、バッハの無伴奏チェロ組曲や、主宰するオーケストラ・リベラ・クラシカ(以下、OLC)とのハイドンの交響曲などを披露します。会場はかなり賑わっていました。8、9割ほどは入っていたかもしれません。

愉悦感に満ちたチェロ組曲でした。某評論家ではありませんが、まさに「チャーミング」という表現がぴったりの演奏です。技巧へ過度に走ることなく、バッハの小宇宙を心地良く彷徨します。有名な前奏曲は控えめに入り、徐々に調子を上げながらテンポ良く曲をまとめ上げていきました。それにしても、時に思弁的にも思えるこの曲が、これほど人懐っこく聴こえてきたのは初めてです。チェロと格闘して大バッハの偉大な音楽を奏でるというよりも、さながら一吟遊詩人となって楽しそうに音楽と戯れているような印象を与えていました。もちろんそれでいて、古楽器をかの大ホールにて朗々と響かせる力強さも持ち合わせています。見事です。
フォルテピアノに平井千絵の迎えたアルペッジョーネ・ソナタでは、平井のピアノにやや重さが感じられたものの、鈴木の温かみのあるチェロを存分に楽しめる演奏だったと思います。歌心にも溢れた鈴木のチェロが、シューベルトのセンチメンタルな旋律を美しくなぞっていきます。もう一歩、ワルツを奏でるかのようなリズム感があれば、より魅惑的な音楽が出来ていたようにも感じました。
OCLは初めて聴きましたが、私にはその表現する音楽が窮屈に思えてなりませんでした。BCJのメンバーの方も多いということで、その技術などには確かなものが感じられましたが、力強い響きであれこそその厚みはいささか乏しく、出来上がった音楽の表情も平板になっていたように感じます。ただし、音楽の強弱、緩急などは非常に強調された演奏です。全6楽章という変わった構成から、途中でいきなりヴァイオリンが調弦をし始めるなどという、仕掛けに凝ったハイドンの面白さは味わえたと思います。
アンコールも2曲演奏され、記念コンサートに相応しい盛り上がりも見せていました。ちなみにそのうちの1曲は、チェロ独奏が曲をリードするハイドンの交響曲第13番から第2楽章です。(もう1曲は、プログラムでも演奏された第60番から第3楽章した。)次回は鈴木のチェロにじっくりと耳を傾けてみたいです。
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