「織物以前 タパとフェルト」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「織物以前 タパとフェルト」 
2017/12/7~2018/2/24



リクシルギャラリーで開催中の「織物以前 タパとフェルト」を見てきました。

南太平洋の島々に伝わる樹皮布のタパや、東西アジアのフェルトは、織物の技術が開発される以前から、人々が作り、また利用してきた布の1つでした。



冒頭、入口を飾るのが、パプアニューギニアのタパで、熱帯雨林の恵みの元、各部族は、祭の衣装や日常着の腰巻、それに敷物や壁掛けに使うために生産してきました。


「西ニューギニア イリアンジャヤ州センタニ湖地方のタパ」(インドネシア)

染料は黒と赤褐色の2種類あり、文様は家系などで定められてきました。また部族内の伝説や神話に基づくタパも少なくなく、意味を外部へ他言しない掟も存在しました。


「ラウ群島モゼ島の花嫁のれん」(フィジー)

タパの製法が最も発達したのがフィジーで、いくつかの皮をつなぎ合わせては、巨大なタパを作ることもありました。中でも美しいのが「花嫁のれん」で、母が娘の結婚に際して制作し、新居に4日間展示しては、祝宴が行われました。20枚余りを貼り合わせるタパもあったそうです。


「ノーザン州マイシン族のタパ」(パプアニューギニア) ほか

現在、最も多くタパを生産しているのがトンガで、女性たちが作業小屋に集まり、日々の共同の作業で作られています。そしてサモアにも、フィジーやトンガからタパの製法が伝わりました。しかし透かし模様など、タパの優れた製法を持っていたハワイは、西洋文明の影響を受け、作られなくなりました。


「ガトゥ」(トンガ)

トンガでは樹皮布をガトゥと呼び、寝具としても利用されています。今でも毛布よりも暖かいとして珍重しているそうです。


赤色顔料「エレ」(サモア)、「タパを束ねた刷毛」(トンガ)ほか

会場では、タパの原料である木の皮を剥ぐ貝や、皮の繊維を叩いて伸ばす道具のほか、顔料や色見本、さらに型紙や摺り見本なども展示し、タパの製法を紹介していました。


「イケ」(フィジー)、「イエ」(サモア) ほか

フィジーやトンガでは叩き棒をイケと呼び、サモアではイエと呼んでいます。いずれも木製ですが、地域によっては石製の叩き棒も用いられるそうです。丸みを帯びた柄の部分も実用的で、おそらく手によく馴染むのではないでしょうか。



一方でのフェルトとは、絨毛の縮絨性を利用した不燃布で、毛を重ね、水分や熱に圧などを加え、圧縮してシート状に加工して使用します。特に原初的なのが、圧縮フェルトで、おそらくは自然に縮絨した獣毛の状態を見た人々が、発展させたと考えられているそうです。会場では、新疆ウイグル自治区と、トルコで制作されたフェルトが展示されていました。


「蒙古絞氈」

そうしたフェルトは江戸時代以降、日本へ輸入され、蒙古絞氈と呼ばれました。十字と花をあしらった模様も可愛らしいのではないでしょうか。茶室の敷物などに利用されました。


「編袋」(パプアニューギニア) ほか
 
ほかには南太平洋の島々の編布や織布についての展示もありました。知られざるタパとフェストの世界。プリミティブでかつ力強さを持ち得たデザインも印象に残りました。


2018年2月24日まで開催されています。

「織物以前 タパとフェルト」 LIXILギャラリー
会期:2017年12月7日(木)~2018年2月24日(土)
休廊:水曜日。年末年始(12/29〜1/4)
時間:10:00~18:00
料金:無料
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA1、2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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