『女性画家たちの大阪』 大阪中之島美術館

大阪中之島美術館
『決定版! 女性画家たちの大阪』
2023/12/23〜2024/2/25



約100年前の大阪では多くの女性の日本画家が存在し、東京や京都での男性が中心を担っていた当時の美術界においても、女性日本画家の活躍の観点からは他都市に引けを取ることがありませんでした。

そうした近代大阪での女性の日本画家の活動に焦点を当てたのが『決定版! 女性画家たちの大阪』で、59名の画家による約150点の作品と関連資料が公開されていました。

冒頭に並ぶのは大阪の女性画家の先駆けとなった島成園の作品で、島の成功に触発されて活動した木谷千種や生田花朝らの作品も充実していました。

また美人画や歴史風俗画に加えて、南画(文人画)の分野においても、河邊青蘭や融紅鸞らが実力を発揮していて、成功を収めた画家らは後進を育成するため画塾を開くと、門下生も競って公募展などに作品を出展するようになりました。

第5章「新たな時代を拓く女性たち」の展示作品のみ撮影ができました。


吉岡美枝『樋口一葉』 昭和17年

まずここで目を引くのは大阪の院展作家として活動を続けた吉岡美枝の『樋口一葉』で、作品名が示す通り文学者一葉が筆をとりながら机に向かう様子を描いていました。構図からして清方作の『一葉』を参考にしたと指摘されていますが、一葉の凛とした佇まいも伝わる作品といえるかもしれません。


三露千鈴『殉教者の娘』 大正15年

わずか22歳で病で亡くなった三露千鈴の『殉教者の娘』も魅惑的な作品でした。ここでは赤いロザリオを手にした黒い着物姿の女性が目を伏しては瞑想する様子を描いていて、帯びなどの意匠も精緻に表されていました。


石田千春『めんない』 昭和2年

木谷千種に師事し、三露千鈴の葬儀の際は弔辞を読んだという石田千春の『めんない』にも心を惹かれました。めんないとは古くからめんないちどりと呼ばれていた鬼ごっこが簡略化して呼ばれたもので、枝垂れ桜の下で三人の少女が楽しげに鬼ごっこをする光景を描いていました。


橋本花乃『七夕』 昭和5〜6年頃

10代にて北野恒富の弟子となり、第二次世界大戦後も大阪で活動した橋本花乃の『七夕』がハイライトを飾っていたかもしれません。おかっぱ頭の7名の少女が七夕の笹飾りを準備する光景を左右に描いた作品で、鮮やかな着物や画面を彩る明るい色彩などからはどことない多幸感も感じられました。


島成園『自画像』 大正13年

最後に展示替えの情報です。会期中、前後期で約50点ほどの作品が入れ替わります。

『決定版! 女性画家たちの大阪』出品リスト(PDF)
前期:2023年12月23日(土) 〜2024年1月21日(日)
後期:2024年1月23日(火) 〜2月25日(日)


鳥居道枝『燈芯』 大正時代

すでに1月後半に展示替えが行われました。これ以降の入れ替えはありません。


2月25日まで開催されています。

『決定版! 女性画家たちの大阪』(@wosaka2023) 大阪中之島美術館@nakkaart2022
会期:2023年12月23日(土) 〜2024年2月25日(日)
 前期:12月23日(土) 〜2024年1月21日(日)、後期:1月23日(火) 〜2月25日(日)
休館:月曜日(1/8、2/12を除く)。
料金:一般1800円、高校・大学生1000円、中学生以下無料。
時間:10:00~17:00。
 *2月10日〜2月25日の期間は10:00〜18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
住所:大阪市北区中之島4-3-1
交通:京阪中之島線渡辺橋駅2番出口より徒歩約5分。Osaka Metro四つ橋線肥後橋駅4番出口より徒歩約10分。
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