『若冲激レア展』 福田美術館

福田美術館
『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展)
2024/10/12~2025/1/19


伊藤若冲『鶏図押絵貼屏風』 1797年

ヨーロッパで新たに発見された伊藤若冲の『果蔬図巻』が、京都・嵐山の福田美術館にて公開されています。

それが『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展)で、会場では『果蔬図巻』など若冲の作品約30点をはじめ、影響関係にあった画家など約50点の作品が展示されていました。


沈南蘋『花鳥図』 1731年

まずはじめは若冲、および影響の受けた中国の画家の作品が並んでいて、とりわけ沈南蘋や宋紫石、熊斐などに優品が少なくありませんでした。


熊斐『松竹梅鶴亀図』 18世紀

このうち沈南蘋の直弟子で長崎にて活動した熊斐の『松竹梅鶴亀図』とは、3幅の画面に松や竹、それに鶴や亀など吉祥主題のモチーフを描いた作品で、精緻でかつ立体感のある描写は師の沈南蘋の画風を思わせるものがありました。


伊藤若冲『蕪に双鶏図』 18世紀

若冲では30代の最初期に描いた『蕪に双鶏図』が充実していて、蕪畑の中でうずくまる雌鶏と、まるでポーズをとるように頭部を下に捻った雄鶏を巧みに描いていました。穴のたくさん空いた蕪の葉の描写なども若冲ならではの表現と言えるかもしれません。


伊藤若冲 画 梅荘顕常(大典) 跋『果蔬図巻』 1790年以前

『果蔬図巻』とは若冲76歳の時に描いた全長3メートル余りの図巻で、ウドやクワイ、瓜に茄子、苦瓜や葡萄、それに柘榴やスモモといったさまざまな野菜や果物を淡く美しい色彩にて表していました。


伊藤若冲 画 梅荘顕常(大典) 跋『果蔬図巻』 1790年以前

巻末には若冲と親しかった相国寺の僧・大典の直筆の跋文が添えられていて、野菜などのモチーフも共通することから、翌年に描いた『菜蟲譜』との関係も指摘されていました。


『乗興舟』展示風景

今回の『若冲激レア展』で特に感銘を受けたのは、若冲が大典とともに京都から大阪へと舟で下った時の風景を版画にした『乗興舟』の展示でした。


伊藤若冲 下絵 梅荘顕常(大典) 短辞『乗興舟』 1767年頃

ここでは『乗興舟』(一部欠落)そのものとともに、大典の詩の読み下しと訳文、さらに当時の風景を伝える浮世絵や現代の写真を掲載したパネルを展示していて、若冲と大典が淀川の舟旅で何を感じ、また表したのかを臨場感のあるかたちで見ることができました。


『乗興舟』解説パネル

これまでも何度か『乗興舟』を見る機会がありましたが、今回ほど面白く、また興味を持って見たことはなかったかもしれません。大変に充実した展示でした。


12月3日に一部の屏風において、右隻と左隻の入れ替えが行われます。

展示室内の撮影もできました。2025年1月19日まで開かれています。

『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展) 福田美術館@ArtFukuda
会期:2024年10月12日(土)~2025年1月19日(日)
休館:12月3日(火)、12月30日(月)~1月1日(水)
時間:10:00~17:00。最終入館は16時半まで。
料金:一般・大学生1500(1400)円、高校生900(800)円、小中学生500(400)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
交通:嵐電(京福電鉄)嵐山駅下車、徒歩4分。阪急嵐山線嵐山駅下車、徒歩11分。JR山陰本線(嵯峨野線)嵯峨嵐山駅下車、徒歩12分。
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