『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』 あべのハルカス美術館

あべのハルカス美術館
『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』
2023/4/22〜6/18


『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』展示風景

幕末から明治初期にかけて現在の高知県で活動した絵師、金蔵は、数多くの芝居絵屏風などを残し、「絵金さん」の愛称で地元の人々に親しまれてきました。

その絵金の高知県外では半世紀ぶりとなる展覧会が『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』で、会場では屏風絵や絵馬提灯など約100点の作品が公開されていました。

まず冒頭に並ぶのが絵金の代表作といえる芝居絵屏風で、いずれも絵金が30代にして野に下って以降、町絵師として描いたものでした。

いずれの芝居絵屏風もほぼ二曲一隻のかたちをしていて、歌舞伎の一場面などを極めて劇的な構図とビビッドな色彩によって表していました。

またこの他にも『力士図』や『常盤御前図』といった掛け軸の小品をはじめ、四季の風物を軽妙な筆致で描いた『土佐年中風俗絵巻』なども展示されていて、いわゆる血みどろや劇画的だけでない絵金の多様な作風を見ることができました。


第2章『高知の夏祭り』展示風景。手前は左から『船弁慶』、『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』。ともに高知市朝倉 倉・前田町内会。

高知の夏祭りをイメージした展示が殊更に魅力的だったかもしれません。ここでは高知市朝倉の朝倉神社の山門型の絵馬台をはじめ、香美市土佐山田町の八王子宮に伝わる「手長足長絵馬台」を設置し、絵金の芝居絵屏風を並べていて、まるで同地の「絵金祭り」に出かけているような気分を味わうことができました。


第2章『高知の夏祭り』展示風景

この芝居絵屏風は江戸末期頃には夏祭りに飾られたとされていて、今でも高知県内の約10箇所の神社にて昔ながらに屏風を絵馬台に飾る風習が残されました。


左から『敵討優曇華亀山 赤堀屋敷』、『蝶花形名歌島台 小坂部館』。ともに芳原下西組。

また夏祭りにて提灯や蝋燭の灯りで浮かび上がらせている芝居絵屏風を、炎のゆらめく蝋燭をイメージした照明によって追体験できるような工夫も面白いのではないでしょうか。

「友竹」の隠し落款を探しながら芝居絵屏風を見るのも楽しいかもしれません。その類まれなる個性に改めて感じ入るものがありました。



会期中に展示替えが行われます。

『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』目録(PDF)
前期:4月22日(土)〜5月21日(日)
後期:5月23日(火)〜6月18日(日)

前期の会期は明日21日までです。その後、芝居絵屏風を中心に入れ替えがあり、23日より後期がスタートします。


絵馬提灯『釡淵双級巴(かまがふちふたつどもえ)』展示風景。創造広場「アクトランド」

第2章「高知の夏祭り」の展示スペースは撮影が可能でした。


幕末の土佐が生んだ天才絵師、絵金。その恐るべき魅力に酔いしれる。『幕末土佐の天才絵師 絵金』が開催中|Pen Online

6月18日まで開催されています。おすすめします。

『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』@ekinten_osaka) あべのハルカス美術館@harukas_museum
会期:2023年4月22日(土)〜6月18日(日)
 *前期:4月22日(土)〜5月21日(日)、後期:5月23日(火)〜6月18日(日)
時間:10:00~20:00(火〜金)、10:00〜18:00(月、土、日、祝)
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:4月24日(月)、5月8日(月)、5月22日(月)
料金:一般1600円、大学・高校生1200円、中学・小学生500円。
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
交通:近鉄線大阪阿部野橋駅西改札、およびJR線天王寺駅中央改札より徒歩3分。地下鉄御堂筋線天王寺駅西改札より徒歩2分。*それぞれシャトルエレベーターまでの所要時間。
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