都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』 広島市現代美術館
広島市現代美術館
『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』
2023/3/18~6/18
2020年12月からの改修工事を終え、今年3月にリニューアルオープンを果たした広島市現代美術館にて、『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』が開かれています。
多目的スペース「モカモカ」
これはリニューアルに際していくつもの箇所が生まれ変わったように、なにかが切っ掛けになって生じるさまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目し、国内外の現代美術を紹介するもので、広島県にゆかりのある和田礼治郎や石内都をはじめ、オノ・ヨーコやシリン・ネシャットといった45組のアーティストによる新作を含めた約100点が公開されていました。
展示室A-1 会場風景
まず冒頭で展開するのは、改修工事の図面や記録写真をはじめ、役目を終えた照明器具といったかつての美術館の備品で、中には古いエレベーターの部品などが並んでいました。
展示室A-1 会場風景
また休館中にSNS投稿された「#ゲンビの工事日記」の写真も細かく紹介されていて、工事中の進行の様子や作業内容、また働く人々のすがたなどを見ることができました。
高橋銑 作品展示風景
続く現代美術では田中功起のインスタレーションや平田尚也の彫刻などが展示されていて、地下の展示室では若林奮や竹村京をはじめ、コウミユキや高橋銑といったアーティストの作品が並んでいました。
コウミユキ『Stand Up!』シリーズより 2023年
このうち動物をモチーフとした彫刻を手がけるコウミユキは、すでに人の手に渡ったものや壊れてしまった犬の置き物などで作った『Stand Up!』シリーズを展示していて、犬と思しきすがたを見せながらも、さまざまな動物が融合したようなユニークなかたちを生み出していました。
竹村京『修復』シリーズより 2022年
竹村京の『修復』シリーズも目を引いたかもしれません。ここでは美術館にて使われて役目を果たした電球や学芸員の私物などを蛍光シルクの布で包んでいて、ブルーライトによって淡い光を放っていました。
今回の展示のハイライトを飾るのは、2005年に第6回ヒロシマ賞を受賞し、16年ぶりの新規購入作品となったイラン生まれのアーティスト、シリン・ネシャットの『Land of Dreams』でした。
これはアメリカ、ニューメキシコ州の地元住民を被写体とした26点の肖像写真と、若いイラン人の美術学生を主人公としたふたつの映像にて構成されていて、映像では広島の被爆者の言葉を引用しつつ、アメリカの差別や偏見、貧困の問題や核政策の不条理の危険性などを住民の夢を通して描いていました。
和田礼治郎『FORBIDDEN FRUIT』 2022年
中庭を舞台とした和田礼治郎の『FORBIDDEN FRUIT』も魅惑的だったかもしれません。葡萄の木などが植えられた空間へフルーツが投げ入れられて、あたりにはほのかに甘い匂いが漂っていました。
石内都『The Drowned』シリーズより 2020年〜
このほか、横山奈美や石内都、毒山凡太朗の作品なども見どころではないでしょうか。また細かな章立てを行わず、劣化、変質、修復、原子力、爆発、夢、治癒といったキーワードを「#(ハッシュタグ)」として提示し、展示のテーマを伝えているのもユニークに思えました。
毒山凡太朗『Let There Be Light』 2023年 『Long Way Home』 2022年
全館スペースの展示ゆえか質量ともにかなり見応えがありました。時間に余裕を持って出かけられることをおすすめします。
この春、リニューアルオープン!広島市現代美術館の特別展『Before/After』が見逃せない|Pen Online
一部の展示作品の撮影も可能です。
6月18日まで開催されています。
『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』 広島市現代美術館(@HiroshimaMOCA)
会期:2023年3月18日(土)~6月18日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00
*入場は閉館の30分前まで
料金:無料。
住所:広島市南区比治山公園1-1
交通:広電(市内路面電車)比治山下駅より徒歩10分。広島駅及び紙屋町より広電・広島バスにて段原中央下車。動く歩道「比治山スカイウォーク」経由にて約700m。
『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』
2023/3/18~6/18
2020年12月からの改修工事を終え、今年3月にリニューアルオープンを果たした広島市現代美術館にて、『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』が開かれています。
多目的スペース「モカモカ」
これはリニューアルに際していくつもの箇所が生まれ変わったように、なにかが切っ掛けになって生じるさまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目し、国内外の現代美術を紹介するもので、広島県にゆかりのある和田礼治郎や石内都をはじめ、オノ・ヨーコやシリン・ネシャットといった45組のアーティストによる新作を含めた約100点が公開されていました。
展示室A-1 会場風景
まず冒頭で展開するのは、改修工事の図面や記録写真をはじめ、役目を終えた照明器具といったかつての美術館の備品で、中には古いエレベーターの部品などが並んでいました。
展示室A-1 会場風景
また休館中にSNS投稿された「#ゲンビの工事日記」の写真も細かく紹介されていて、工事中の進行の様子や作業内容、また働く人々のすがたなどを見ることができました。
高橋銑 作品展示風景
続く現代美術では田中功起のインスタレーションや平田尚也の彫刻などが展示されていて、地下の展示室では若林奮や竹村京をはじめ、コウミユキや高橋銑といったアーティストの作品が並んでいました。
コウミユキ『Stand Up!』シリーズより 2023年
このうち動物をモチーフとした彫刻を手がけるコウミユキは、すでに人の手に渡ったものや壊れてしまった犬の置き物などで作った『Stand Up!』シリーズを展示していて、犬と思しきすがたを見せながらも、さまざまな動物が融合したようなユニークなかたちを生み出していました。
竹村京『修復』シリーズより 2022年
竹村京の『修復』シリーズも目を引いたかもしれません。ここでは美術館にて使われて役目を果たした電球や学芸員の私物などを蛍光シルクの布で包んでいて、ブルーライトによって淡い光を放っていました。
今回の展示のハイライトを飾るのは、2005年に第6回ヒロシマ賞を受賞し、16年ぶりの新規購入作品となったイラン生まれのアーティスト、シリン・ネシャットの『Land of Dreams』でした。
これはアメリカ、ニューメキシコ州の地元住民を被写体とした26点の肖像写真と、若いイラン人の美術学生を主人公としたふたつの映像にて構成されていて、映像では広島の被爆者の言葉を引用しつつ、アメリカの差別や偏見、貧困の問題や核政策の不条理の危険性などを住民の夢を通して描いていました。
和田礼治郎『FORBIDDEN FRUIT』 2022年
中庭を舞台とした和田礼治郎の『FORBIDDEN FRUIT』も魅惑的だったかもしれません。葡萄の木などが植えられた空間へフルーツが投げ入れられて、あたりにはほのかに甘い匂いが漂っていました。
石内都『The Drowned』シリーズより 2020年〜
このほか、横山奈美や石内都、毒山凡太朗の作品なども見どころではないでしょうか。また細かな章立てを行わず、劣化、変質、修復、原子力、爆発、夢、治癒といったキーワードを「#(ハッシュタグ)」として提示し、展示のテーマを伝えているのもユニークに思えました。
毒山凡太朗『Let There Be Light』 2023年 『Long Way Home』 2022年
全館スペースの展示ゆえか質量ともにかなり見応えがありました。時間に余裕を持って出かけられることをおすすめします。
【新着】この春、リニューアルオープン!広島市現代美術館の特別展『Before/After』が見逃せない https://t.co/r6kdFOZjjp
— Pen Magazine (@Pen_magazine) April 15, 2023
この春、リニューアルオープン!広島市現代美術館の特別展『Before/After』が見逃せない|Pen Online
一部の展示作品の撮影も可能です。
6月18日まで開催されています。
『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』 広島市現代美術館(@HiroshimaMOCA)
会期:2023年3月18日(土)~6月18日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00
*入場は閉館の30分前まで
料金:無料。
住所:広島市南区比治山公園1-1
交通:広電(市内路面電車)比治山下駅より徒歩10分。広島駅及び紙屋町より広電・広島バスにて段原中央下車。動く歩道「比治山スカイウォーク」経由にて約700m。
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