都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「和田誠展」 東京オペラシティアートギャラリー
東京オペラシティアートギャラリー
「和田誠展」
2021/10/9~12/19
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「和田誠展」を見てきました。
2019年に逝去したイラストレーターの和田誠は、映画監督やエッセイスト、アニメーション作家、作詞、作曲家などでも活動し、各方面にて大きな業績を残しました。
その和田の仕事の全貌を振り返るのが今回の展覧会で、会場には800点の書籍と原画に加え、和田がライフワークとしていた週刊文春の原画2000点が紹介されていました。
まず最初の柱が並ぶスペースには、幼少期から晩年への作品と資料が並んでいて、和田の仕事とともに人生そのものを振り返ることができました。
またそれぞれの柱には年代と和田の年齢、そしてその年に手掛けた仕事がテキストで紹介されていて、さながら和田のビジュアル立体年表とでも言えるような構成となっていました。1960年、実に24歳にして制作したタバコのハイライトのデザインなどは今も多くの人が知る作品ではないでしょうか。
今回の回顧展で私が目を引いたのは、絵本や挿絵といった子どもたち向けの仕事でした。そもそも子どもの頃から絵本を作ることを夢見ていて、小学生の時にマザー・グースに親しむなど、言葉遊びを好んでいました。
そしてそれは大人になって星新一のショートショートの挿絵のみならず、谷川俊太郎との絵本の制作に結実していて、マザー・グースに至っては自ら翻訳した作品も出版しました。
一連の膨大の和田の仕事は、「絵本」や「装丁」、「似顔絵」、「映画監督」、「漫画」、「著書200冊」といった30ものトピックに分けて紹介されていて、いかに和田が幅広いジャンルにて活躍していたのかを目の当たりにすることができました。
そのうち装丁の仕事で興味深いのは、和田自身による書き文字を入れていることでした。和田は映画のタイトルバックやポスターなどのロゴタイプを参考に、独自のスタイル、通称「和田文字」を生み出していて、手書きの風合いを活かしつつ、時に既存の活字をデフォルメさせるなど、さまざまな文字を作り上げていました。
また和田の記したエッセイでは直筆の原稿も出品されていて、文章を直しつつ、エッセイに仕上げていくプロセスを垣間見ることもできました。またアニメや映画に関しても一部に抜粋映像が公開されていて、内容について追うことも可能でした。
週刊文春の表紙展示も圧巻だったかもしれません。1977年からはじまった週刊文春の表紙を実に40年以上にわたって手がけた和田は、民芸や植物、風景などのモチーフを描いていて、現在もアンコール企画として過去の作品が採用されてきました。
ともかく多種多様な表紙ながらも、誰もが和田と分かるようなテイストで統一されているのも特徴で、その制作年数や販売数を鑑みれば、もはや国民的イラストと呼んでも差し支えないかもしれません。
この他、料理愛好家で妻の平野レミとの仕事や、妻のためにデザインしたセーターなども、どこか和田の人となりを伝えるような資料ではないでしょうか。会場を埋め尽くすように展示された総計2800点の作品資料に不足はまったくありませんでした。
タイミングよく平日の夕方に出かけてきましたが、それでも場内は幅広い世代の方で思いの外に賑わっていました。
すでに土日を中心にかなり混み合ってきていますが、今後、会期末に向けてさらなる混雑や入場規制も予想されます。そもそも作品数からして膨大です。時間に余裕を持って出かけられることをおすすめします。
撮影が可能でした。12月19日まで開催されています。なお東京での展示を終えると、熊本市現代美術館(2022年春)、新潟(調整中、2022年夏)、北九州市立美術館分館(2022年冬)、愛知(2023年秋)へと巡回(スケジュールは予定)します。
「和田誠展」 東京オペラシティアートギャラリー(@TOC_ArtGallery)
会期:2021年10月9日(土)~12月19日(日)
休館:月曜日。
時間:11:00~19:00
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般1200(1000)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
*同時開催中の「収蔵品展072難波田史男 線と色彩」、「project N 84 山下紘加」の入場料を含む。
*( )内は各種割引料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
「和田誠展」
2021/10/9~12/19
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「和田誠展」を見てきました。
2019年に逝去したイラストレーターの和田誠は、映画監督やエッセイスト、アニメーション作家、作詞、作曲家などでも活動し、各方面にて大きな業績を残しました。
その和田の仕事の全貌を振り返るのが今回の展覧会で、会場には800点の書籍と原画に加え、和田がライフワークとしていた週刊文春の原画2000点が紹介されていました。
まず最初の柱が並ぶスペースには、幼少期から晩年への作品と資料が並んでいて、和田の仕事とともに人生そのものを振り返ることができました。
またそれぞれの柱には年代と和田の年齢、そしてその年に手掛けた仕事がテキストで紹介されていて、さながら和田のビジュアル立体年表とでも言えるような構成となっていました。1960年、実に24歳にして制作したタバコのハイライトのデザインなどは今も多くの人が知る作品ではないでしょうか。
今回の回顧展で私が目を引いたのは、絵本や挿絵といった子どもたち向けの仕事でした。そもそも子どもの頃から絵本を作ることを夢見ていて、小学生の時にマザー・グースに親しむなど、言葉遊びを好んでいました。
そしてそれは大人になって星新一のショートショートの挿絵のみならず、谷川俊太郎との絵本の制作に結実していて、マザー・グースに至っては自ら翻訳した作品も出版しました。
一連の膨大の和田の仕事は、「絵本」や「装丁」、「似顔絵」、「映画監督」、「漫画」、「著書200冊」といった30ものトピックに分けて紹介されていて、いかに和田が幅広いジャンルにて活躍していたのかを目の当たりにすることができました。
そのうち装丁の仕事で興味深いのは、和田自身による書き文字を入れていることでした。和田は映画のタイトルバックやポスターなどのロゴタイプを参考に、独自のスタイル、通称「和田文字」を生み出していて、手書きの風合いを活かしつつ、時に既存の活字をデフォルメさせるなど、さまざまな文字を作り上げていました。
また和田の記したエッセイでは直筆の原稿も出品されていて、文章を直しつつ、エッセイに仕上げていくプロセスを垣間見ることもできました。またアニメや映画に関しても一部に抜粋映像が公開されていて、内容について追うことも可能でした。
週刊文春の表紙展示も圧巻だったかもしれません。1977年からはじまった週刊文春の表紙を実に40年以上にわたって手がけた和田は、民芸や植物、風景などのモチーフを描いていて、現在もアンコール企画として過去の作品が採用されてきました。
ともかく多種多様な表紙ながらも、誰もが和田と分かるようなテイストで統一されているのも特徴で、その制作年数や販売数を鑑みれば、もはや国民的イラストと呼んでも差し支えないかもしれません。
この他、料理愛好家で妻の平野レミとの仕事や、妻のためにデザインしたセーターなども、どこか和田の人となりを伝えるような資料ではないでしょうか。会場を埋め尽くすように展示された総計2800点の作品資料に不足はまったくありませんでした。
タイミングよく平日の夕方に出かけてきましたが、それでも場内は幅広い世代の方で思いの外に賑わっていました。
【新着】出品総数2800点!希代のクリエイター・和田誠の仕事を空前のスケールの回顧展で追いかける https://t.co/nR0yGKSaN7
— Pen Magazine (@Pen_magazine) November 12, 2021
すでに土日を中心にかなり混み合ってきていますが、今後、会期末に向けてさらなる混雑や入場規制も予想されます。そもそも作品数からして膨大です。時間に余裕を持って出かけられることをおすすめします。
撮影が可能でした。12月19日まで開催されています。なお東京での展示を終えると、熊本市現代美術館(2022年春)、新潟(調整中、2022年夏)、北九州市立美術館分館(2022年冬)、愛知(2023年秋)へと巡回(スケジュールは予定)します。
「和田誠展」 東京オペラシティアートギャラリー(@TOC_ArtGallery)
会期:2021年10月9日(土)~12月19日(日)
休館:月曜日。
時間:11:00~19:00
*入場は閉館30分前まで。
料金:一般1200(1000)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
*同時開催中の「収蔵品展072難波田史男 線と色彩」、「project N 84 山下紘加」の入場料を含む。
*( )内は各種割引料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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なんと!
ちょうど関東に行くときにまだやってますね!
これは時間を作って観に行きたいです!!
(。・_・。)ノ