『橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU』 福田美術館・嵯峨嵐山文華館

福田美術館・嵯峨嵐山文華館
『橋本関雪 生誕140周年記念 KANSETSU 入神の技・非凡の画』
2023/4/19~7/3


橋本関雪『麗日図』 1934年 個人蔵

日本画家、橋本関雪の生誕140年を期し、福田美術館、嵯峨嵐山文華館、白沙村荘橋本関雪記念館の3館にて『橋本関雪 生誕140周年記念 KANSETSU 入神の技・非凡の画』展が開かれています。

まず嵐山第1会場である福田美術館では、82年ぶりに公開される『俊翼』をはじめ、代表作『木蘭』といった文展出品の作品が公開されていて、関雪の画家としての歩みや到達点を追っていました。

神戸生まれの関雪は儒学者の父の薫陶を受けて育つと、詩文の教養を身につけ、京都で四条派に学び、写実せいと装飾性を持ち得た作品を制作しました。


橋本関雪『仙姐図』 1923年 福田美術館

そして南画や中国絵画の要素を加えて独自の画風を確立すると、モナリザといった西洋絵画の影響を思わせるような『仙姐図』なども描きました。


橋本関雪『木蘭』 1918年 白沙村荘橋本関雪記念館

『木蘭』は中国、北魏の物語「木蘭詩」に登場する少女を主題とした作品で、梅に水を飲ませる戦友のそばにて、故郷に想いを寄せながら休憩する戦いに赴いた男装の少女を描いていました。


橋本関雪『俊翼』 1941年 福田美術館

翼を広げて飛ぶ猛禽のすがたを描いた『俊翼』とは、橋本関雪聖戦記念画展に出品されたもので、鷹に戦闘機のイメージを投影した寓意的な作品でした。


橋本関雪『春山遊猿』 1942年 個人蔵

このほか、狸や狐、それに猿などの動物をモチーフとした作品も魅惑的だったかもしれません。


橋本関雪『芍薬白猫」 1930年 福田美術館

また芍薬の花の咲く中、陽の光を浴びて佇む『芍薬白描』の瀟洒な味わいにも心を惹かれました。


橋本関雪『閑適』 1918年 白沙村荘橋本関雪記念館

これ続く嵐山第2会場の嵯峨嵐山文華館では、『狗子』に『梅渓漁夫』、また『閑適』など白沙村荘橋本関雪記念館の作品が紹介されていて、花鳥に人物、風景などを巧みに描き分ける関雪の高い画技を見ることができました。


橋本関雪『前田又吉追善茶会画巻』 1901年 白沙村荘橋本関雪記念館

18歳の時に描いたという『前田又吉追善茶会画巻』も目を引くのではないでしょうか。前田の遺族が没後7年に遺愛の品を展観して供養した時の様子を表したもので、盆栽などの品々を端正に写しとっていました。


橋本関雪『梅渓漁夫』 1924年 白沙村荘橋本関雪記念館

展示替えの情報です。会期中作品が入れ替わります。

『橋本関雪 生誕140周年記念 KANSETSU 入神の技・非凡の画』作品リスト(PDF)
前期:4月19日(水)~5月29日(月)
後期:5月31日(水)~7月3日(月)


5月29日に前期展示が終わり、展示替えののち、5月31日より後期展示がスタートします。


橋本関雪『狗子』 1942年頃 白沙村荘橋本関雪記念館

今回はスケジュールの都合上、白沙村荘橋本関雪記念館の展示を見ることはできませんでしたが、福田美術館と嵯峨嵐山文華館の2館の内容だけでも想像以上に充実していました。まさに関雪の回顧展の決定版と捉えて差し支えありません。



7月3日まで開催されています。

『橋本関雪 生誕140周年記念 KANSETSU 入神の技・非凡の画』 福田美術館@ArtFukuda
会期:2023年4月19日(水)~ 7月3日(月)
 *前期:4月19日(水)~5月29日(月)、後期:5月31日(水)~7月3日(月)
休館:5月30日(火)
時間:10:00~17:00。最終入館は16時半まで。
料金:一般・大学生1500(1400)円、高校生900(800)円、小中学生500(400)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *嵯峨嵐山文華館両館共通券あり。
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
交通:嵐電(京福電鉄)嵐山駅下車、徒歩4分。阪急嵐山線嵐山駅下車、徒歩11分。JR山陰本線(嵯峨野線)嵯峨嵐山駅下車、徒歩12分。
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