「木組 分解してみました」 国立科学博物館

国立科学博物館
「木組 分解してみました」
2021/10/13~11/24



国立科学博物館で開催中の「木組 分解してみました」を見てきました。

接着したり金物で接合することなく木と木を組み合わせる木組は、日本でも木造建築などに利用され、職人たちがさまざまな技を駆使してきました。

その木組に着目したのが「木組 分解してみました」で、タイトルにもあるように木組をあえて分解し、内部の精緻な構造を紹介していました。



まず正面で目を引くのが、木組の基本的な技法である「継手」と「仕口」に関した展示で、16世紀に建てられた京都の大仙院本堂の木組の再現模型が公開されていました。

部材同士を同じ方向に延長する接合方法を継手、また直角などの角度をなして接合する方法を仕口と呼び、室町時代の後期の建築においても、化粧材などに見た目を意識した繊細な継手や仕口が用いられました。



木組の原初的な形態は丸太をそのまま紐や縄で縛る技術で、のちに組み合わせる技術が発達すると、曲面においても密着できるような加工方法が生み出されました。


「円覚寺舎利殿組物模型」 2019年

寺社建築に使われる組物を解体して紹介したのが「円覚寺舎利殿組物模型」で、実に60点を超える木組のが積み上がる様子を映像やパネルを交えて紹介していました。

今回の「木組」展では、職人らの技術を紹介する解説映像が極めて充実していて、ともすれば身近とはいえない木組の技術を分かりやすいかたちにて学べました。


「錦帯橋部分模型」 2019年 竹中大工道具館

会場にて一際目立っていたのが、山口県岩国市にある錦帯橋の部分模型でした。錦帯橋では柱を用いず、実に36メートルの長さをアーチ構造にて支えていて、桁や梁、鞍木などの構造部分を模型を通して見ることができました。


「組子屏風」 2019年

建具に使われる組み木細工の組子を用いたのが「組子屏風」で、霞がたなびく山々の景色を驚くほど精巧に表現していました。



いずれも小さな部材を細かに組んでは景色を描いていて、色のグラデーションも彩色を用いず、天然技の色彩によって表していました。


「木組パズルX本組」

また「不思議な木組」として紹介された「球体組子」や「木組パズルX本組」も大変に精巧で、一見しただけではどのような構造であるか分からないほど複雑に作られていました。もはやそれ自体が作品として自立したオブジェと呼べるかもしれません。



このほか、フランス式架台やバルコニーやポーチの屋根に用いられるギタードなど、西洋の木組に関する資料も展示されていました。日本や西洋のさまざまな木組を見比べるのも楽しいかもしれません。


「屋根の木組」(原型:青葉園三重塔) 1980年頃 国立科学博物館

展覧会は神戸市の竹中大工道具館との共同企画で、同館を皮切りに、約2年をかけて名古屋、広島、札幌へ巡回して開催されてきました。ここ国立科学博物館が最後の開催地となります。



オンラインでの事前予約が必要です。また常設展入館料にて観覧できます。


WEBメディア「イロハニ・アート」でも展示の様子を紹介しました。

日本の建築を支える木組の技術が一堂に! 国立科学博物館の『木組 分解してみました』展レポート(イロハニアート)

撮影も可能でした。(動画作品は撮影不可)11月24日まで行われています。

「木組 分解してみました」 国立科学博物館@museum_kahaku
会期:2021年10月13日(水)~11月24日(水)
休館:月曜日
時間:9:00~17:00。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般・大学生630円、高校生以下および65歳以上無料。
 *常設展入館料で観覧可
住所:台東区上野公園7-20
交通:JR線上野駅公園口徒歩5分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成線京成上野駅徒歩10分。
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