都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「神宮の杜芸術祝祭」 明治神宮(内苑各所・明治神宮ミュージアム)
明治神宮(内苑各所・明治神宮ミュージアム)
「神宮の杜芸術祝祭」
2020/3/20〜12/13(天空海闊)、2020/7/10〜9/27(紫幹翠葉)
今年創建100年を迎えた明治神宮が、「祭る。祈る。創る。」をテーマとした芸術と文化の祭典、「神宮の杜芸術祝祭」を開催しています。
その1つが明治神宮ミュージアムで行われている「紫幹翠葉(しかんすいよう)−百年の杜のアート」で、40名の現代アーティストが、明治神宮からインスピレーションを受けて制作した作品などを展示していました。
それらは屏風や掛け軸、衝立など、日本の伝統的な様式に基づいていて、例えば画家の品川亮は、神宮の菖蒲田をモチーフにした金屏風を出展していました。また神宮の木立を金属箔で表し、木漏れ日のように光の広がる能條雅由の衝立や、八咫烏を大胆にも抽象表現に落とし込んだ天明屋尚の屏風も印象に深いかもしれません。
明治神宮ミュージアム2階。展示室内は撮影不可。
「紫幹翠葉」展のハイライトと言えるのが、30名のアーティストが参加した扇面の作品でした。ここでは神宮の森に現れる蝙蝠をモチーフとしたミヤケマイや、美しい線で人の腕を描いた町田久美などの創意工夫を凝らした作品が並んでいて、互いに見比べることができました。お気に入りの1点を探すのも面白いのではないでしょうか。
さて明治神宮ミュージアムの屋内とは別に、神宮内苑の屋外に展開するのが、もう1つの現代美術展である「天空海闊(てんくうかいかつ)」でした。
これは原宿側の南参道から明治神宮ミュージアム、そして代々木口に近い北参道から宝物殿方面へと至る苑内4カ所において、名和晃平、船井美佐、松山智一、三沢厚彦の4名のアーティストが作品を公開するもので、明治神宮としては初の野外彫刻展でした。
松山智一「Wheels of Fortune」 2020年
まず目を引いたのは、南参道に設置された松山智一の「Wheels of Fortune」で、鹿の角とも燃え上がる炎を思わせるモチーフと車輪とが、複雑に絡み合うかのような姿をしていました。
名和晃平「White Deer (Meiji Jingu)」 2020年
少し先のミュージアムの前では、名和晃平の「White Deer(Meiji Jingu)」があり、大きな角を四方に伸ばした鹿が堂々たる姿で立っていました。ちょうど空を眺めるように首をあげる仕草には威厳も感じられて、4点の彫刻の中でも特に目立っていました。
一転して神宮の森の中に溶け込むように展示されたのが、三沢厚彦の「Animal 2012-01B」と船井美佐の「Paradise/Boundary-SINME-」でした。
三沢厚彦「Animal 2012-01B」 2012/2019年
三沢厚彦の「Animal 2012-01B」は北参道からやや離れた森の中に設置されていて、あたかも人を避けてはじっと息を潜めているかのようでした。
船井美佐「Paradise/Boundary-SINME-」 2020年
そして円い鏡に馬の姿を象った船井美佐の「Paradise/Boundary-SINME-」は、もはや森の中の景色と一体化していて、うっかりすれば通り過ぎてしまうほどでした。ただ表面へ写り込む森の緑は殊更に美しく、角度を変えて見ると、異なった景色が開けるのも魅力的に思えました。
最後に新型コロナウイルス感染症対策に伴う情報です。神宮へのお参り、及び野外彫刻展の「天空海闊」の観覧に際しては特に制限はありませんが、「紫幹翠葉」の行われている明治神宮ミュージアムの入場に際しては、マスクの着用、手指の消毒が求められています。
また「神宮の杜芸術祝祭」で、3つ目の美術展として宝物殿で企画されていた「気韻生動−平櫛田中から名和晃平まで」は、当初の7月15日から2021年初頭に開催が延期されました。
私が出向いた日は涼しい曇天だったため、木立を抜ける冷ややかな風を感じつつ作品を鑑賞しては、お参りをすることができました。
ただ野外彫刻展は苑内の広域で行われているため、思ったよりも歩く必要があります。これからの時期は、暑さ対策に留意して出かけられることをおすすめします。
なお「紫幹翠葉 −百年の杜のアート」の9月27日まで、「天空海闊」は12月13日までと会期が異なります。あらかじめご注意下さい。
「野外彫刻展 天空海闊」
会場:明治神宮 内苑各所
会期:2020年3月20日(金・祝)〜2020年12月13日(日)
休館:会期中無休
時間:明治神宮の開門・閉門時間に準じます。
入場:無料
「紫幹翠葉 −百年の杜のアート」
会場:明治神宮ミュージアム(明治神宮内苑)
会期:2020年7月10日(金)〜 2020年9月27日(日)
休館:木曜日。但し7/23、7/30は開館。
時間:10:00~16:30 *最終入館は閉館時間の30分前まで。
入場:一般1000円、高校生以下900円、団体(20名以上)900円。 *明治神宮ミュージアムの入館料。宝物展示室なども観覧可。
「神宮の杜芸術祝祭」 (@jingu_artfest)
住所:渋谷区代々木神園町1-1
交通:JR原宿駅表参道口から徒歩5分。東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2出入口より徒歩5分。 *明治神宮ミュージアムへのアクセス
「神宮の杜芸術祝祭」
2020/3/20〜12/13(天空海闊)、2020/7/10〜9/27(紫幹翠葉)
今年創建100年を迎えた明治神宮が、「祭る。祈る。創る。」をテーマとした芸術と文化の祭典、「神宮の杜芸術祝祭」を開催しています。
その1つが明治神宮ミュージアムで行われている「紫幹翠葉(しかんすいよう)−百年の杜のアート」で、40名の現代アーティストが、明治神宮からインスピレーションを受けて制作した作品などを展示していました。
それらは屏風や掛け軸、衝立など、日本の伝統的な様式に基づいていて、例えば画家の品川亮は、神宮の菖蒲田をモチーフにした金屏風を出展していました。また神宮の木立を金属箔で表し、木漏れ日のように光の広がる能條雅由の衝立や、八咫烏を大胆にも抽象表現に落とし込んだ天明屋尚の屏風も印象に深いかもしれません。
明治神宮ミュージアム2階。展示室内は撮影不可。
「紫幹翠葉」展のハイライトと言えるのが、30名のアーティストが参加した扇面の作品でした。ここでは神宮の森に現れる蝙蝠をモチーフとしたミヤケマイや、美しい線で人の腕を描いた町田久美などの創意工夫を凝らした作品が並んでいて、互いに見比べることができました。お気に入りの1点を探すのも面白いのではないでしょうか。
さて明治神宮ミュージアムの屋内とは別に、神宮内苑の屋外に展開するのが、もう1つの現代美術展である「天空海闊(てんくうかいかつ)」でした。
これは原宿側の南参道から明治神宮ミュージアム、そして代々木口に近い北参道から宝物殿方面へと至る苑内4カ所において、名和晃平、船井美佐、松山智一、三沢厚彦の4名のアーティストが作品を公開するもので、明治神宮としては初の野外彫刻展でした。
松山智一「Wheels of Fortune」 2020年
まず目を引いたのは、南参道に設置された松山智一の「Wheels of Fortune」で、鹿の角とも燃え上がる炎を思わせるモチーフと車輪とが、複雑に絡み合うかのような姿をしていました。
名和晃平「White Deer (Meiji Jingu)」 2020年
少し先のミュージアムの前では、名和晃平の「White Deer(Meiji Jingu)」があり、大きな角を四方に伸ばした鹿が堂々たる姿で立っていました。ちょうど空を眺めるように首をあげる仕草には威厳も感じられて、4点の彫刻の中でも特に目立っていました。
一転して神宮の森の中に溶け込むように展示されたのが、三沢厚彦の「Animal 2012-01B」と船井美佐の「Paradise/Boundary-SINME-」でした。
三沢厚彦「Animal 2012-01B」 2012/2019年
三沢厚彦の「Animal 2012-01B」は北参道からやや離れた森の中に設置されていて、あたかも人を避けてはじっと息を潜めているかのようでした。
船井美佐「Paradise/Boundary-SINME-」 2020年
そして円い鏡に馬の姿を象った船井美佐の「Paradise/Boundary-SINME-」は、もはや森の中の景色と一体化していて、うっかりすれば通り過ぎてしまうほどでした。ただ表面へ写り込む森の緑は殊更に美しく、角度を変えて見ると、異なった景色が開けるのも魅力的に思えました。
最後に新型コロナウイルス感染症対策に伴う情報です。神宮へのお参り、及び野外彫刻展の「天空海闊」の観覧に際しては特に制限はありませんが、「紫幹翠葉」の行われている明治神宮ミュージアムの入場に際しては、マスクの着用、手指の消毒が求められています。
また「神宮の杜芸術祝祭」で、3つ目の美術展として宝物殿で企画されていた「気韻生動−平櫛田中から名和晃平まで」は、当初の7月15日から2021年初頭に開催が延期されました。
私が出向いた日は涼しい曇天だったため、木立を抜ける冷ややかな風を感じつつ作品を鑑賞しては、お参りをすることができました。
ただ野外彫刻展は苑内の広域で行われているため、思ったよりも歩く必要があります。これからの時期は、暑さ対策に留意して出かけられることをおすすめします。
なお「紫幹翠葉 −百年の杜のアート」の9月27日まで、「天空海闊」は12月13日までと会期が異なります。あらかじめご注意下さい。
「野外彫刻展 天空海闊」
会場:明治神宮 内苑各所
会期:2020年3月20日(金・祝)〜2020年12月13日(日)
休館:会期中無休
時間:明治神宮の開門・閉門時間に準じます。
入場:無料
「紫幹翠葉 −百年の杜のアート」
会場:明治神宮ミュージアム(明治神宮内苑)
会期:2020年7月10日(金)〜 2020年9月27日(日)
休館:木曜日。但し7/23、7/30は開館。
時間:10:00~16:30 *最終入館は閉館時間の30分前まで。
入場:一般1000円、高校生以下900円、団体(20名以上)900円。 *明治神宮ミュージアムの入館料。宝物展示室なども観覧可。
「神宮の杜芸術祝祭」 (@jingu_artfest)
住所:渋谷区代々木神園町1-1
交通:JR原宿駅表参道口から徒歩5分。東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2出入口より徒歩5分。 *明治神宮ミュージアムへのアクセス
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「古典×現代20... | 「Cosmo- Eggs... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません |