2020年2月に見たい展覧会【森田恒友/津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和/ピーター・ドイグ】

関東では年が明けても暖かく、あまり冬らしい日がありませんでしたが、ここに来て冷えてきました。風邪のひきやすい時期でもありますが、変わりなくお過ごしでしょうか。

1月に見た展示では、全面新装オープンし、コレクションも充実したアーティゾン美術館の「見えてくる光景 コレクションの現在地」、東京の美術館では初の回顧展となったオペラシティアートギャラリーの「白髪一雄展」、そして会期中の突然の訃報にも驚かされた世田谷美術館の「奈良原一高のスペイン―約束の旅」などが強く印象に残りました。

2月の興味深い展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「たば塩コレクションに見る ポスター黄金時代」 たばこと塩の博物館(~2/16)
・「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」 国立新美術館(~2/16)
・「千田泰広―イメージからの解放」 武蔵野市立吉祥寺美術館(~2/23)
・「あざみ野フォト・アニュアル 田附勝 KAKERA きこえてこなかった、私たちの声展」 横浜市民ギャラリーあざみ野(~2020/2/23)
・「第12回恵比寿映像祭 時間を想像する」 東京都写真美術館(2/7~2/23)
・「上村松園と美人画の世界」 山種美術館(~3/1)
・「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」 東京国立近代美術館工芸館(~3/8)
・「何必館コレクション ロベール・ドアノー展」 そごう美術館(2/1~3/15)
・「FACE展 2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(2/15~3/15)
・「祈りの造形 沖縄の厨子甕を中心に」 日本民藝館(~3/22)
・「生誕120年・没後100年 関根正二展」 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館(2/1~3/22)
・「森田恒友展 自然と共に生きて行かう」 埼玉県立近代美術館(2/1~3/22)
・「狩野派―画壇を制した眼と手」 出光美術館(2/11~3/22)
・「鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵―朝日智雄コレクション」 太田記念美術館(2/15~3/22)
・「虎屋のおひなさま」 根津美術館(2/22~3/29)
・「シュルレアリスムと絵画―ダリ、エルンストと日本の『シュール』」 ポーラ美術館(~4/5)
・「江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る-」 江戸東京博物館(2/8~4/5)
・「奇蹟の芸術都市バルセロナ」 東京ステーションギャラリー(2/8~4/5)
・「村井正誠 あそびのアトリエ」 世田谷美術館(2/8~4/5)
・「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」 原美術館(~4/12)
・「第23回岡本太郎現代芸術賞」 川崎市岡本太郎美術館(2/14~4/12)
・「生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」 練馬区立美術館(2/21~4/12)
・「森英恵 世界にはばたく蝶」 水戸芸術館(2/22~5/6)
・「澄川喜一 そりとむくり」 横浜美術館(2/15~5/24)
・「画家が見たこども展」 三菱一号館美術館(2/15~6/7)
・「ピーター・ドイグ展」 東京国立近代美術館(2/26~6/14)

ギャラリー

・「西野達 やめられない習慣の本当の理由とその対処法」 ANOMALY(~2/22)
・「ものいう仕口―白山麓で集めた民家のかけら」 LIXILギャラリー(~2/22)
・「サーニャ・カンタロフスキー  Paradise」 タカ・イシイギャラリー 東京(~2/22)
・「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命」 ギャラリーA4(~2/27)
・「ジェームス・リー・バイヤース 奇想詩」 SCAI THE BATHHOUSE(~2/29)
・「ベンジャミン・バトラー 二色、単彩、そしてそれ以外の風景」 小山登美夫ギャラリー(2/1~2/29)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2020 前期展示」 ポーラ ミュージアム アネックス(2/21~3/14)
・「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~3/19)
・「増田信吾+大坪克亘展」 TOTOギャラリー・間(~3/22)
・「記憶の珍味 諏訪綾子展」 資生堂ギャラリー(~3/22)
・「師岡清高写真展」 キヤノンギャラリー S(2/13~3/28)
・「コズミック・ガーデン サンドラ・シント展」 メゾンエルメス(2/11~5/10)

今月は明治から昭和にかけて活動した2人の画家に注目したいと思います。まずは埼玉県立近代美術館です。「森田恒友展 自然と共に生きて行かう」が開催されます。



「森田恒友展 自然と共に生きて行かう」@ 埼玉県立近代美術館(2/1~3/22)

1881年、埼玉県の熊谷に生まれた森田恒友は、大学で洋画を学び、渡仏してはセザンヌに感銘を受けて画家としてキャリアを築くも、後に国内の風景を捉えた「清澄」(解説より)な日本画を描くようになりました。


その森田の洋画、日本画、及び書簡やスケッチなど250点もの作品資料が一堂に公開される回顧展で、初期から晩年までの足跡を時間を追って辿っていきます。実のところ私は森田の作品を殆ど知らず、チラシ表紙の「緑野」にて初めて興味を覚えましたが、ご当地の埼玉での展示でもあり、画家を再評価する切っ掛けになるかもしれません。

奇しくも森田と1歳違いでした。練馬区立美術館にて画家、津田青楓の回顧展が行われます。



「生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」@ 練馬区立美術館(2/21~4/12)

1880年生まれの津田青楓は、森田と同様に渡仏したのち、アカデミーで学んでは洋画を描くものの、後に離れては文人画風の作品を手がけました。また青楓は夏目漱石との関わりながら本の装釘を担ったり、私淑した良寛の研究の他、随筆や画論の文筆でも幅広く活動してきました。

その青楓の初のまとまった回顧展で、交友のあった漱石と経済学者の河上肇、それに良寛の3人を軸に、青楓の生涯を振り返っていきます。

ラストはイギリスの現代画家の日本初個展です。東京国立近代美術館で「ピーター・ドイグ展」が開かれます。



「ピーター・ドイグ展」@ 東京国立近代美術館(2/26~6/14)

エジンバラで生まれ、「ロマンティックかつミステリアスな風景を描く」(公式サイトより)ピーター・ドイグは、世界のアートシーンでも注目を集め、近年、テートやパリ市立近代美術館などで個展を重ねるなどして活動してきました。

そのドイグの画業を日本で初めて本格的に紹介する展覧会で、初期から現在の最新作までの約70点が公開されます。必ずしも国内ではまだ一般によく知られた画家でもないかもしれませんが、ともすると今回の個展で大いに人気を博すかもしれません。

中国では新型肺炎が猛威をふるい、日本でも感染拡大が懸念されています。今のところ展覧会などは通常通り行われていますが、今後の状況次第では何らかの影響を与えてくるかもしれません。病気に罹った方の回復をお祈りするとともに、1日も早い収束を願ってやみません。

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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