『隔週刊 古寺行こう』刊行記念 オンライン配信「興福寺 寺宝をめぐる旅」

3月8日に1号『法隆寺』と2号『東寺』が同時発売された小学館『隔週刊 古寺行こう』(全40巻)。その刊行を記念した文化講演会「興福寺 寺宝をめぐる旅」が、YouTubeの小学館チャンネルにて動画配信されています。



文化講演会「興福寺 寺宝をめぐる旅」オンライン配信
第1回「奈良時代の建築」編
第2回「奈良時代の仏像」編
第3回「鎌倉時代の建築」編
第4回「鎌倉時代の仏像」編
https://dps.shogakukan.co.jp/jihowomegurutabikofukuji

案内役をつとめるのは、『隔週刊 古寺行こう』でもコラム「寺院建築の見方」を連載中の橋本麻里さん。動画は全部で4本で、各回約10分ほどの内容です。いずれもYouTubeより無料にて視聴できました。



まず第1回の「奈良時代の建築」では、2018年に再建された中金堂を背景に、興福寺寺務老院の多川俊映さんを迎え、すべての自然や肉体といった存在も心の現れであるという唯心、つまり法相の教えについて紹介していました。また五重塔の調査や西金堂の発掘など、今後の再建事業についても触れていて、天平のすがたを取り戻そうとする興福寺の取り組みについて知ることができました。



第2回の「奈良時代の仏像」は、食堂の跡地に建てられた国宝館へと場所を移し、創建時の奈良時代に作られた『八部衆』や『十大弟子』の性格や構造について、橋本さんが分かりやすく解説していました。

また興福寺の代名詞である『阿修羅像』についても触れていて、顔の特徴や細かな胸飾りなどにも注目した臨場感のある映像とともに、仏像をつぶさに鑑賞することもできました。私も興福寺へは何度も訪ねたことがありますが、当時の記憶が蘇るような内容だったかもしれません。



南都焼き討ちによって伽藍の大半を焼失し、復興のなされた鎌倉時代の建築や仏像について解説する、第3回と「鎌倉時代の建築」と第4回「鎌倉時代の仏像」も興味深い内容ではないでしょうか。



そのうち第4回「鎌倉時代の仏像」では、再び国宝館へと移動し、食堂時代から同じ位置に立つ『千手観音菩薩立像』や力強い造形を見せる『金剛力士像』の来歴や造形の特徴について紹介していて、銅版を切り抜いて眉を作ったという『龍燈鬼・天燈鬼立像』のユーモラスなすがたにも魅せられました。

またかつて西金堂が炎上した際、首から上のみを切り取って救い出したという『仏頭』のエピソードも印象に深いかもしれません。いずれの映像を通して見ると、創建者の藤原不比等の時代にさかのぼり、焼き討ちによって灰燼に帰すも、その後、現在に至るまで再建を続ける興福寺の歴史そのものが浮き彫りになるようでした。

すべての映像とも登録は不要で、簡単に視聴できるのも嬉しいポイントでした。また各10分の内容も程よく、気軽に楽しむことができました。



なお『隔週刊 古寺行こう』は創刊号に続き、3月29日には第3号「東大寺」が発売されました。興福寺については4月12日発売予定の第4号にて特集されるとのことで、そちらも楽しみにしたいと思います。


『隔週刊 古寺行こう』刊行記念 文化講演会オンライン配信「興福寺 寺宝をめぐる旅」は、2023年3月31日まで無料で配信されています。

『隔週刊 古寺行こう』
公式サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/koji/
Twitter:https://twitter.com/koji_ikou
Facebook:https://www.facebook.com/kojiikou
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