都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」 齋田記念館
齋田記念館
「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」
2021/4/1~5/22
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近年、人気が高まり、東京藝術大学大学美術館をはじめとした全国巡回展でも話題の日本画家、渡邊省亭の作品が、東京・世田谷の齋田美術館にて公開されています。
齋田記念館とは江戸時代初期、代田村開発の中心となった齋田家ゆかりの文化的資料を公開する施設で、1997年に齋田茶文化振興財団のもとに開館しました。齋田家は幕末から長く茶業を営んでいたことから、茶に関する資料が多く保存されていて、今も研究や調査活動が行われています。
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最寄駅の小田急線の世田谷代田駅を降り、西口から車の往来の激しい環七通りを南へ歩いて、しばらくすると右手に白壁に囲まれた建物が見えてきました。それが齋田記念館で、所要時間は駅から約7〜8分ほどでした。
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敷地内へと足を進めると手入れの行き届いた樹木が生い茂っていて、喧騒に包まれた環七通りとは一変した落ち着いた空間が広がっていました。
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立派な門を構えるのが齋田家の屋敷で、記念館は手前の白い建物でした。中に入ると左手に受付があり、その奥の小さな展示室にて「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」が行われていました。
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これは同館所蔵の省亭の作品18点と、谷文晁が摸写した「佐竹本三十六歌仙絵巻」を合わせ見る内容で、全部で19点の作品が公開されていました。なお省亭の18点のうち実に12点が初公開でした。
今回の省亭展で私が特に惹かれたのが、雨の風景を描いた作品でした。そのうち「春雨」と「雨中渡舟」はいずれも雨の中、笠をかぶりながら隅田川の渡し舟に乗る人々を描いていて、いずれも朦朦とした湿り気までも情感豊かに表していました。また本作に加えて「雪の渡し舟」も同様に隅田川の渡しをモチーフとしていて、浅草で亡くなった省亭の同地に対する愛情を感じるかのようでした。
省亭をはじめ、荒木寛畝、川端玉章、酒井道一らがともに描いた「花鳥図」も魅惑的な作品でした。手前の道一による色彩鮮やかな菖蒲が目立つ中、省亭は可愛らしい小さな雀を中央の下の方へ控えめに描いていました。解説によると省亭は絵師の中で3番目に若かったと記されていましたが、どこか先輩絵師に対しての遠慮があったのかもしれません。
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20点弱の作品数ゆえに量は多くありませんが、ともかく粒揃いの作品ばかりで、思いがけないほどに充実していました。この他、備前香合と取り合わせた「あやめ」の露出展示も見どころかもしれません。床の間を飾るような設えにも魅了されました。
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残念ながら東京藝術大学大学美術館での省亭展は事実上、会期半ばで打ち切りとなってしまいましたが、また一つ省亭の優美な花鳥世界に心惹かれました。*「渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画」は東京展以降、岡崎市美術博物館(5月29日~7月11日)と佐野美術館(7月17日~8月29日)へ巡回予定。
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会期末の駆け込みになってしまいました。5月22日まで開催されています。なお最終日は混雑が予想されるため、状況によっては整理券の配布などの入場制限が行われる場合があるそうです。お出かけの際はご注意ください。
「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」 齋田記念館
会期:2021年4月1日 (木) ~5月22日 (土)
休館:土曜(但し第4土曜日4/24・5/22は開館)、日曜、祝日。
時間:10:00~16:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300円
住所:世田谷区代田3-23-35
交通:小田急線世田谷代田駅より徒歩7分。東急世田谷線若林駅より徒歩10分。
「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」
2021/4/1~5/22
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近年、人気が高まり、東京藝術大学大学美術館をはじめとした全国巡回展でも話題の日本画家、渡邊省亭の作品が、東京・世田谷の齋田美術館にて公開されています。
齋田記念館とは江戸時代初期、代田村開発の中心となった齋田家ゆかりの文化的資料を公開する施設で、1997年に齋田茶文化振興財団のもとに開館しました。齋田家は幕末から長く茶業を営んでいたことから、茶に関する資料が多く保存されていて、今も研究や調査活動が行われています。
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最寄駅の小田急線の世田谷代田駅を降り、西口から車の往来の激しい環七通りを南へ歩いて、しばらくすると右手に白壁に囲まれた建物が見えてきました。それが齋田記念館で、所要時間は駅から約7〜8分ほどでした。
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敷地内へと足を進めると手入れの行き届いた樹木が生い茂っていて、喧騒に包まれた環七通りとは一変した落ち着いた空間が広がっていました。
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立派な門を構えるのが齋田家の屋敷で、記念館は手前の白い建物でした。中に入ると左手に受付があり、その奥の小さな展示室にて「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」が行われていました。
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これは同館所蔵の省亭の作品18点と、谷文晁が摸写した「佐竹本三十六歌仙絵巻」を合わせ見る内容で、全部で19点の作品が公開されていました。なお省亭の18点のうち実に12点が初公開でした。
今回の省亭展で私が特に惹かれたのが、雨の風景を描いた作品でした。そのうち「春雨」と「雨中渡舟」はいずれも雨の中、笠をかぶりながら隅田川の渡し舟に乗る人々を描いていて、いずれも朦朦とした湿り気までも情感豊かに表していました。また本作に加えて「雪の渡し舟」も同様に隅田川の渡しをモチーフとしていて、浅草で亡くなった省亭の同地に対する愛情を感じるかのようでした。
省亭をはじめ、荒木寛畝、川端玉章、酒井道一らがともに描いた「花鳥図」も魅惑的な作品でした。手前の道一による色彩鮮やかな菖蒲が目立つ中、省亭は可愛らしい小さな雀を中央の下の方へ控えめに描いていました。解説によると省亭は絵師の中で3番目に若かったと記されていましたが、どこか先輩絵師に対しての遠慮があったのかもしれません。
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20点弱の作品数ゆえに量は多くありませんが、ともかく粒揃いの作品ばかりで、思いがけないほどに充実していました。この他、備前香合と取り合わせた「あやめ」の露出展示も見どころかもしれません。床の間を飾るような設えにも魅了されました。
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残念ながら東京藝術大学大学美術館での省亭展は事実上、会期半ばで打ち切りとなってしまいましたが、また一つ省亭の優美な花鳥世界に心惹かれました。*「渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画」は東京展以降、岡崎市美術博物館(5月29日~7月11日)と佐野美術館(7月17日~8月29日)へ巡回予定。
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会期末の駆け込みになってしまいました。5月22日まで開催されています。なお最終日は混雑が予想されるため、状況によっては整理券の配布などの入場制限が行われる場合があるそうです。お出かけの際はご注意ください。
「古き良き日本の美 渡邊省亭と谷文晁摸写《佐竹本三十六歌仙絵巻》」 齋田記念館
会期:2021年4月1日 (木) ~5月22日 (土)
休館:土曜(但し第4土曜日4/24・5/22は開館)、日曜、祝日。
時間:10:00~16:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300円
住所:世田谷区代田3-23-35
交通:小田急線世田谷代田駅より徒歩7分。東急世田谷線若林駅より徒歩10分。
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