高木晴光の 『田舎と都市との ・ 日々こうかい記』

「新田舎づくり」を個人ミッションとし、田舎と都市とを行き来する人生・仕事のこうかい(公開・後悔・航海)日記

オーガニック農場と自然学校

2013-09-18 23:09:27 | いろいろシゴト

上海ミーティング二日目の午後はエクスカーション(視察)でした。 湿地帯の半島部にある農村集落を訪れました。平野が続く都市郊外の農村風景は、山が見える中で生活している私にとっては、身を隠すところがないようで、少しばかり精神的に不安になります。

 訪問した集落で見たもの、見たことはオーガニック農業と自然学校の意外な展開のコラボでした。 都市生活をしていた人がここ2、3年、農村集落に移住をしてきて地域農民と一緒に約3haの有機栽培と自然学校を展開しているのです。

移住した農場スタッフが住んでいたコンクリート船の上のコンクリートの家。 つまり浮かんでいます。                               

農場長さんは、元中国空軍で20年軍人生活、その後外国自動車ディーラー・アウディの役員をして車の営業を(軍関係者に売ってたんでしょうな)7年か8年やって、3年前に脱サラ。 ご自慢の電動三輪車バイク型。 一般交通手段として中国には電気バイクがたくさん走っています。

自然教室を展開しているNGO(非政府系ということで、中国ではNPOではなくNGOと自称カテゴライズしています)が三団体入っており、農業チームは別に組織化されており、「生き物がたくさん棲む農業」をコンセプトに地域(つまるところは国家ですが)から畑と田んぼを借りて有機農業を始めています。それらが連携しながら協同・共同体を創りだそうとしているのです。 まだまだ土作りには時間がかかるということでしたがいろいろな野菜を生産、特に地域独自の種の保存も心がけている、生き物が住める環境を創り出す努力をしている、さらには1300羽もの合鴨農法の水稲づくりも展開していました。既存の農業者は離農しているようで、日本同様、都市周辺の農業は高齢化しており、地域の農民のお年寄りたちが生産に協力をしています。

                            

役目を終えて田んぼから離れ、肥育中のみなさん。 これから肉へと出荷されてしまいます。

話は元へ戻して・・、自然学校や農場は、子ども、親子を対象にした有料の自然体験活動、土にふれることを目的にした大都会上海にある企業研修にも農業・自然体験活動を実施しているとのこと。もちろん、作物も出荷しています。 農業型の自然学校を進めていました。出資者は都市生活者であり、やればできるんだなと、むしろ、私の方が参考になりました。 

ただ、社会主義国ですから、土地の個人所有はできないので、一応は10年契約で土地利用をしています。しかし、急速に人口が増えている上海、すでに2000万人、新興住宅のような同じ設計の住宅も農場の近くには建てられており、研修会の会場付近には高層アパートも建てられていました。土地利用の政策がいつ変わるともしれないことには不安があるようでした。

 一方、ミーティングの参加者の中には、自然生活・児童自然教育をテーマに掲げ、日本の大地の会のような安全安心の農産物などの宅配システムを行い、その収益をつぎ込んで親子自然教室を展開している人のプレゼンもありました。ドイツに研修にも行き学んできたそうですが、ヨーロッパ型の自然学校しか知らなかったと言い、スタッフの確保、研修等運営上の悩みの相談を受けました。事業と成り立っている、スタッフさえいればもっと拡大できるという話にも、私の方が驚きました。

億の単位の貧困層と億の単位の超裕福層、そして数億の中間層が台頭している中国です。 既存企業への就職がままならないなか、20から30代の若者の社会起業へのモチベーションも高まっていると感じました。

う~~ん、中国市民社会の進展はあなどれず。

私達日本人、そして中国人も 対中、対日報道は、政府報道だけに頼っています。 日本の大手TVも新聞ももうひとつの本当の中国の姿を伝えていません。日本の本当の姿は中国の多くの人が知らないと同様に、日本人の多くも中国の一般生活者のことを知らないと思います。 中国では日本の右傾化ばかりがクローズアップされ、日本でも中国市民社会の様子はまったくと言っていいほど紹介されません。 これではお互いの溝が深まるばかりです。 

しかし、両国の社会システムはかなり違います。 それを含んだ上で、市民同士の友好な関係を産んでゆくのは、両国の次世代にとって、とてもとても重要なことだと思います。 

 

 

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中国自然学校・上海ネットワーク会議

2013-09-18 22:52:59 | いろいろシゴト

二日間上海郊外のネット環境のないところにいました。 只今、市街地のホテルに着・・・。 疲れたなあ・・。やっぱり。 当初はもう一週間あり私は途中より合流したのですが、先発の三人(森さん、梅崎さん、Fancy)は2週間の旅。なんでも往復20Kmの自然保護区の山中トレッキング、それも雨にあたった旅程もあったそうで、私が参加していたら、確実に体力的に持たなかったな。 

****

上海市街地から車で小一時間郊外に出た大千庄意示園の会場に30名を超える人が集まりました。ここは湿地帯の中にある宿泊ロッジが併設の自然遊園でした。 私は日本の自然学校・自然体験型環境教育の今、歴史について、ねおすや黒松内ぶなの森自然学校の活動について報告させてもらいました。 参加者はすでに自然教育の実践活動をしている人が多く、事例発表もかなり具体的で質問の運営に関わる課題がいくつもだされました。 

 参加者負担、日本円にして3000円位のワンデイプログラムから2、3万円の宿泊体験活動まで、農業体験、キャンプ活動、竹を材料に子ども達と大きな基地(天空のラピュタをイメージ)づくりなど多彩な報告がありました。 2010年位に設立された団体が多くあるようで、急速に中国で自然教育・自然学校の動きが始まっています。

日本の私たちの参加料について、「安いね」という感想も出るほどです。 都市部での物価は、交通機関などはとても安いですが、消費財や食費については日本に比べて多少安いという程度です。人口の一割は億万長者と言われる社会で、格差は広がっているが中間裕福層も急速に増えている社会ですから、参加者負担によって運営を成り立たせる自然学校が数多く設立される可能性はとても高いと言えます。 

一方では、同じ組織内で作られたプログラムに対して、作った人に毎回使用料を払っているという、日本ゆではちょっと信じられないような著作権問題もありました。活動を悪意に真似、利用されることに対しての心配は強いようです。  

ここに集う人々は、公正・公平が行動理念そして、態度にも現れており協働ネットワークの意識は高いです。今後はいかにして、明確に自然体験活動・自然学校のネットワークを立ち上げるか、そのうえで共通の理念をより多くの人、団体と共有してゆけるかが鍵でしょう。

このプロジェクトリーダーでもある市民ネットワークの代表のYanYan先生を北海道に招いて中国市民社会についての座談会を札幌で10月に予定しています。 この案内は帰国後にアップします。

中国で一番古い独立系の新聞に取材されましたので、ねおすのことが中国の新聞に載るようです。

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