今、八朔の赤ちゃんたちががんばって、この秋がたのしみ・・・
りーん!りーん
「はい、ありがとうございます。いや明日です・・・
ちょっとかわりますから・・・」
夫が笑って受話器をわたしに。
「今日は誕生日、おめでとう!」
母からの一日はやい誕生祝の電話。
「ありがとう。でも明日よ」去年も前日この電話をもらった。
「あら、明日やったかねぇ・・・」
六人の子沢山の母は今年九十一才。六人の子それぞれの誕生日を
むかえるたびにこの電話コールを忘れない。
「あんたが生まれたときは、嫁入り道具も少ししかなくて、
近所の桶屋さんにとうちゃんがたのんでいたタライと桶を走ってとりにいって
もらって産湯を使わせたよ。
とうちゃんがよろこんであんたをはだかのまま新聞紙にのせて近所に
見せて回ったつよ」
昨夜はその時のことを思い出して眠れんやったと
母はうれしそうに元気な声ではなしてくれた。
・・・五十一才で夫に旅立たれた母はそれでも六人の子供たちと共に
がんばって生きてきた。
昨年、三女を病で亡くしたときは、大丈夫だろうかと知らせるのを躊躇し、
弟妹で案じたものであったが、
涙を流したあとの立ち直りは 私たちよりも早かった。
今こうして私は
六十余年も元気で生きてこられた。暖かい家庭もあります。幸せな人生も。
ありがとうございます。
「かあちゃん、また来年も一日早い誕生日の電話をください・・・」