

結婚後はおたがいに職場がはなれて、年賀状の交換も時の経過と共に薄くなってはいたが、忘れることはなかった
「S君は元気やろか・・・」なんて時折 夫と話してはいたが・・・
やっと夫が帰ってきた
え? S君が?
本棚の隅から 同級生名簿をさがしてきた
あれ、無い、無い !載っとらん !
夫は眼鏡をかけるのを忘れている
わたしがようやく名前を見つけた すぐにダイヤルした
『モシモシ S君、S君?』 (これは夫です)
「・・・・・・はい・・・ A君か」
『そうたい、Aたい・・・どげんしょっと?』涙声だ
「・・・なんか わからんやった・・・ ほんとに A君か?」
あとで夫から聞いた話だが
『おまえの声が上品に聞こえたので、分からんやったて S君が言うたたい』
え?上品だって? 70才前のおっちゃんに、いやもう おじいちゃんにだ
これは可笑しかったけど・・・
でもその後がいけない


S君が 奥さんは元気か?と聞いたらしくて 夫は
『うん、ヨボヨボは しとるばってんが ・・・』と答えていた



S君は
「腸の手術を3回繰り返した
いまは毎月 K市の病院に検査にいっている・・・
○☆新聞で おまえが囲碁大会で優勝!の記事ば見て、
ひとことお祝いを言おうと思って 電話したったい
おまえ、囲碁が強よなったばいね・・・」
『いやぁ、おまえには キッと今も勝たんよ・・・』と夫がいっている
うれしそうに話が続いている・・・


なんだか とても昔のS君の声じゃなかったバイ』
受話器をおいて 肩をおとした夫の声は小さかった。
しかし
夫はS君に約束をしていた
『元気ば ださんと でけんたい・・・
今度、いっしょに囲碁ばするけん、待っとけよ』・・・