ある日暮れ時のこと、 玄関のチャイムが鳴った。
「ハ~イ」と答えると遠慮がちな ご婦人の声とお顔がモニターに・・・
「はて、だれかな?」
あまり見知らぬお方だったけど、丁寧に頭をさげられて???
『毎朝、犬の散歩中に畑仕事のご主人さまを拝見いたしています、◎▽でございます』
「・・・あ~、あの犬をおつれの・・・失礼しました」
私は、ぎこちない挨拶をコチコチ状態でやっとできた、舌をかみそうで・・・
よく見ると、かなりのご年配のご婦人のようだが、
両手に大事そうに包みをもって
『これはアメリカに住む娘からの送りものですが、お裾わけをと思いまして』・・・
いい香りがしている。
『アメリカン・チェリーでございます』
スーパーで見かけることはあっても、高値かもと思い つい通り過ぎていた果実売り場の
それであった。
「どうも夜更けにおいでいだだき、珍しいものをありがとうございました」
手には小型の懐中電気を携帯されて、夜道をしっかりした足取りで帰っていかれるのを見送った。
畑で出来る野菜類を少しだけお分けしていたが、そのお礼だといってあった。
ありがたいことやねと、夫と一緒に包みをあけると濃い紫色した大粒のチェリーが現われた。
量があまり多いので計ってみたら、ちょうど500グラム。
夫がうれしそうに、「はよ食べてみろか」と目を細めた。
「うん、こらぁうまかばい!!」
初めて口にした アメリカン・チェリーはとても肉厚で甘かった・・・