「杏子ちゃん、電動自転車はいらん?」
1月半ばに Mちゃんから久しぶりに電話があった。
「もう、危なくて自転車に乗れんようになってねぇ、3年ぐらい乗った中古だけど
もし、ご主人が乗られるならと思ってね」
「え?それはいいね。貰おうかな」実に渡りに船であった。
最近のことだった。「今のっとる自転車はペタルが重くてね、買い換えようとおもうとる」爺やがこぼしたばかりだった。
善は急げと、すぐに爺やを連れてMちゃんの家にいってみた。
Mちゃんのご主人が物置に入れてある自転車を出してきて
「充電していますから、ちょっと乗ってみてください」
Mちゃんとは家族ぐるみのお付き合いも長いので
男同士ですぐに話がはずんでいる。
ハンドルをにぎって、使いかたを聞いている爺やはにこにこ顔だ。
玄関前の緩い坂道を用心して押して登り、自転車にまたがった。す~いと走り出し近くを一回りして戻ってきた。
「うん、これはよかねぇ。遠慮せんでもらおうか」とうれしそうな声。
ようやくMちゃんが顔をみせた。
「Mちゃん、お早う」と言いかけて、Mちゃんの顔を見て私は愕然となった。
「どげんしたとッ?!」
Mちゃんの顔は左瞼が大きく腫れあがり、目元は上下の瞼が合わさるように膨れて瞳が見えないほどになっていて・・・
(コメント欄は、とじさせていただきました)