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今の人に『百軒店』と言っても中々通じないかもしれない。元は関東大震災後に西武の堤康次郎が渋谷に人を呼ぼうと銀座や下町の名店を呼んで名店街を作ったのが嚆矢。
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銀座などが復興した後は名店は居なくなったが、カフェなどが流行り、戦火では焼け落ちたが、 その後西武がデパートを持ってくるなど再興、ただ、現在はラブホテル街となりつつある。しかし、昔の名店は今も残り、そのうちの1店が本日お邪魔するカレーの店『ムルギー』である。
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前置きが長くなったが、この店、かなり以前から目を付けてはいたが、何しろ営業時間が11時30分〜15時と昼のみ営業。しかも駅からはなれているということもあり、漸く訪問することができた。
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店は道玄坂を上がり、百軒店のゲートをくぐり、少し坂を登って、道頓堀劇場を左に行ったところ。
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平日の1時半なのに満員で少し待つ。何しろ昭和26年創業でもう68年にもなる老舗である。注文は卵入りカレー(税込1050円)に決めていて、初めてのため、辛さは標準にしてみる。
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注文して7、8分で登場。ここのカレーは山のようにご飯を固め、その前にルーを入れ、ゆで卵がスライスして1個分が乗っているというもの。付け合わせは紅生姜入り福神漬と沢庵、赤と黄色のコントラストが鮮やか。
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カレールーはというと粘度は普通の日本のカレー、味はスパイシーでルーの中に溶け込んでいる野菜やひき肉が合わさり、ちょうど良い味となっている。最近は甘く、後味が辛い系のカレーが多いが、そういう奇をてらっていない王道のルー。
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固めのご飯によく合う、付け合わせやゆで卵が味に起伏を作りながら食べる。辛味は初めは弱い気がしたが、だんだんと食べ進むに連れ、辛いなあと思う程度。しかし、複雑な風味や香りを楽しむならあまり辛くしないほうがよいかもしれない。ルーとライスのバランスもよく、10分程度で完食、さすが老舗。大変美味しかった、ご馳走さまでした。
ムルギー
渋谷区道玄坂2ー19ー2
0334618809