だんだんと夏が近づくにつれて高木にも花をつけるものが増えてくる。住んでいる久我山にも保存樹は数多くあるが、5月になると駅からほど近いピーコックストアの駐車場に生えているユリノキにも黄色い花を見つけることができる。
ユリノキはモクレン科の落葉高木で45mくらいまで達する大きな木である。久我山のユリノキも20m以上ある威風堂々とした樹木である。学名は『tulipfera』即ちチューリップのような花を付けるという意味だが、日本にやってきた明治時代にはチューリップがポピュラーでなかったため、ギリシャ語由来の学名である『Liriodendron tulipfera』の最初の部分を取ってユリノキと訳したものである。
高い木であり、花を付けるのも上の方で、しかも5月には葉が茂っているため、花が咲いたことに気づかない人が殆どだが、まさに今黄色いチューリップに似た可愛らしい花をつけている。
久我山の象徴のような木は地面に根が張り、上の舗装が波打つほどの力強さもあり、クリスマスの頃には電球で飾られ、葉が落ちた寂しい樹を賑やかにしてくれる。秋に葉が落ちると駐車場の管理人さんは大変そうだが、毎朝仕事に行く時横を通る大木を見るとこの季節は楽しくなる。
国立博物館にも巨木があり、こちらは明治14年から博物館の歴史を見守り続けている。