Bunkamuraオーチャードホールに森山良子コンサートに出掛けてきた。
昨年の3月に日本武道館で観たジョイントコンサート「あの素晴らしい歌をもう一度」で初めて森山良子の生の歌を聞いた。よく歌手にとって喉は楽器という言い方をするが、森山良子には、たしかにこの人にとって喉は楽器なんだろうなと思わせるところがある。ひとりだけ他の歌手とは一線を画していたように感じた。もはや歌手というより歌のモンスターといった感じで、是非もう一度聞きたいと思った。
そこでコンサートのチケットを探したが、随分と地方でのコンサートが多い人で、漸く取れたチケットは年明けのオーチャードホールだったという訳だ。
聞いたことのない歌が何曲かあったが、大方は馴染みのある曲で、代表曲の「涙そうそう」「さとうきび畑」「この広い野原いっぱい」も含めて、沢山の歌をもう一度歌ってくれた。特にヴェルディの「乾杯の歌」(オペラ「椿姫」より)は見事だった。
そして「さとうきび畑」。亡き寺島尚彦が1967年に作った歌で、以来50年に亘って森山良子をはじめ、たくさんの歌手が歌ってきた。沖縄戦の悲劇を歌った歌だ。早くこの歌が歌われなくなる時代が来ればいいと森山良子は言う。しかしまだそんな時代は来ず、これからも歌い続けなければならないとも言う。今回初めてこの長い歌(8分ちょっと)を最初から最後まで生で聴くことができて、本当によかったと思う。聞いていて、途中から涙が止まらなくなってしまった。
アンコールは「聖者の行進」である。途中からのスキャットはルイ・アームストロングのトランペット、ソニー・ロリンズのサックスなど、演奏者と楽器のセットの真似をしながらで、これが延々と続く。まさに圧巻であった。この人は本当に歌のモンスターだ。次のコンサートは3月の大田区民ホールで、既に予約済みである。今から楽しみだ。