三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「NO選挙,NO LIFE」

2023年11月20日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「NO選挙,NO LIFE」を観た。
映画『NO 選挙,NO LIFE』公式サイト

映画『NO 選挙,NO LIFE』公式サイト

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 フィーチャーされた畠山理仁(はたけやまみちよし)さんは、映画「センキョナンデス」の続編で沖縄知事選を扱った「シン・ちむどんどん」に一瞬登場した。もしかしたら「センキョナンデス」にも出ていたかもしれない。見逃した可能性はある。本作品の冒頭で、畠山さんが着ていたTシャツに「センキョナンデス」のロゴがあった。
 畠山さんは夕刊紙「日刊ゲンダイ」にも寄稿していて、フリーランスのジャーナリストを差別する参政党に対する怒りの下りは、昨年読んだ記憶がある。

 舞台挨拶で前田亜紀監督が言っていたのが、畠山さんは普段はとても穏やかな方で、長野まで蓮舫に話を聞きに行って、たった20秒でも話を聞けたことが大きな収穫だったとにこやかに笑うほど屈託のない人だという話だが、その畠山さんがただひとつ、怒りを露わにするのは、アンフェアに対してらしい。参政党に対する怒りはもっともだ。

 選挙のたびにすべての候補者をもれなく取材していたら、運動期間が限られていることもあって、スケジュールはタイトで殺人的にならざるを得ない。身を削ってまですべての候補者を取材するのも、根っからのアンフェア嫌いに由来するのだろう。有力候補も泡沫候補も、同じように取材する。畠山さんは泡沫候補という言葉は使わない。無頼系独立候補だ。よく考えられたネーミングであり、立候補する人々への尊敬の念が表れている。

 選挙のたびに自民党が大勝して、その度に貧しい人はより貧しく、困っている人はさらに困る状況に落とされる。日本の有権者に絶望してもいい話だが、畠山さんは絶望せず、選挙に希望を持っている。それが殺人的スケジュールをこなすバイタリティにも通じるのだろう。いやはや、頭が下がる。

映画「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」

2023年11月20日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」を観た。
映画『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』オフィシャルサイト

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11.17 Fri ROADSHOW|最後の謎を、あなたは目撃する―。世界を震撼させた第35代アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディ暗殺事件から60年-。新たに解禁された機密文書から真相を...

映画『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』オフィシャルサイト

 前半では、ケネディ大統領の暗殺事件そのものに関わる事実を、新しく公開された資料や、人々の証言をもとに追及する。犯人がリー・ハーベイ・オズワルドでないことや、暗殺の首謀者が政府機関であることなどは、既に一般的に知られているが、本作品では、どのようにして事実が隠蔽され、証言が捻じ曲げられてきたか、その恐ろしい実態を明らかにする。
 オズワルドが海兵隊で厚木基地に勤務していたことは、今回初めて知った。ロシア語を勉強して、話せたそうだ。マルクス主義に傾倒していたらしい。軍はオズワルドを共産主義者だと認識していた。
 後半では、ケネディがなぜ暗殺されたのか、その動機を持つ人物たちに迫る。キーワードは反共だ。反共の組織として誕生したCIAと当時の長官であるアレン・ウェルシュ・ダレス。本作品では限りなく黒に近いグレーとして紹介される。
 2019年製作で2020年日本公開のスウェーデン映画「誰がハマーショルドを殺したか」でも、同じようにCIAの陰謀を示唆している。ケネディの暗殺が1963年11月22日、ハマーショルドの航空機事故は1961年9月18日だ。ダレスの在任期間は1961年11月までだが、その後もCIAに対して影響力を及ぼし続けている。ハマーショルドもケネディも共産主義を含む多様性を受け入れて、世界の安定的な平和を目指していた。そしてダレスは強硬な反共主義者だ。

 実はケネディ大統領について、誤解していた。就任演説の「国が何をしてくれるかではなく、国のために何ができるかを考えてほしい」というフレーズから、愚かな全体主義者ではないかと思っていた。しかし本作品の最後に紹介される国民向けの反差別メッセージで、本意が別にあることがわかった。
 ケネディはリンカーンが奴隷解放してから100年経っても、まだ肌の色で差別する人々が多く存在することを嘆き、国民は不断の努力によって寛容を獲得し、差別をなくさなければならないと言いたかったようだ。つまりそれが、国のために何ができるかを考えてほしいという問いかけの答えである。
 白人限定の学校に有色人種を受け入れさせ、ソ連を認め、キューバを認め、平和的な共存を望んだ理想主義者が、ケネディであったという訳だ。日本の総理大臣で言えば、鳩山由紀夫に似ている。ふたりとも金持ちの家に生まれ、ケネディはハーバード大学、鳩山は東大からスタンフォード大学大学院を出て、博士号を取得している。鳩山は普天間基地の移転先を最低でも沖縄県外と主張したが、CIAの脅しによって総理の座を明け渡した。

 世界は理想主義を拒否して、戦争への道を再び歩みだした。ウクライナ戦争も、イスラエルハマス戦争も、終わりの兆しを見せない。イスラエルは核兵器使用の可能性にさえ言及している。G7の外相会議は、停戦を議決しなかった。人類は平和の努力を放棄したのだ。人類の絶滅の日はそれほど遠くないのかもしれない。

映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

2023年11月20日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」を観た。
映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』公式サイト - 11月17日公開

映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』公式サイト - 11月17日公開

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞ノミネート! ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他全国ロードショー

映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』公式サイト - 11月17日公開

 ニューオーリンズはいつもこう。騒がしい街なのよと笑って見せるグランドスタッフの女性のシーンが凄くいい。たとえ異常な犯罪が発生していようとも、所詮は人間のすること、大したことはない、世はいつもなべてこともなしといった泰然自若ぶりが愉快だ。
 映画サイトには、人を操る能力とあったが、心まで操る訳ではなく、本人の意思を無視して身体を操るだけだ。謂わば人間を使う傀儡師である。暴力は嫌いのようだが、暴力を振るう相手には容赦しない。人を操るのは利益よりも被害妄想の補完のためなのだろう。そういう意味では痛快な部分もある。

 警官との会話で、ヒロインが実はまともであることが分かる。ではどうして精神病院に10年も幽閉されていたのか。そのあたりは謎のままだ。もしかしたら続編があるのかもしれない。

 面白かったのは、警官への質問だ。人間が好きなのか?と尋ねると、警官は好きだと答える。しかしそれが嘘であることはすぐに分かる。
 このやりとりから、分かったことがある。人間嫌いは警官になればいいのだ。情け容赦のない取り調べができる。何故か妙に納得した。