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定年後の雇い止めは無効「雇用継続期待できる」 京都地裁

2010-12-03 05:15:47 | Weblog
定年後の雇い止めは無効「雇用継続期待できる」 京都地裁 2010年11月26日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101126/biz1011261938020-n1.htm
 定年後の再雇用で業績不振を理由に雇い止めされたのは、解雇権の乱用に当たるとして、大津市の男性(62)が東京都江東区の倉庫会社「エフプロダクト」に賃金支払いと雇用継続を求めた訴訟で、京都地裁は26日、雇い止めを無効とし男性側の請求を認めた。
 原告の代理人弁護士は「定年後の再雇用で雇用継続の期待権を認めたのは画期的で、全国初とみられる」と話した。
 大島真一裁判官は「業績不振で人員削減の必要性は認められるが、新卒も雇用するなど、雇い止めを回避する義務を尽くしていない」と述べた。
 判決によると、男性は平成20年6月に京都府向日市の営業所を60歳で定年退職。定年後の雇用確保措置を義務付けた高年齢者雇用安定法に基づき再雇用されたが、21年6月、契約更新されずに解雇された。

再雇用契約:「期待権」初認定--京都地裁判決 2010年11月27日 毎日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040045000c.html
 京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後に継続雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服として地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「雇用継続への期待には合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と述べ、請求を認めた。男性の代理人弁護士は、再雇用後の雇い止めを巡る訴訟で「期待権」を認めた初の判決としている。
 判決によると、65歳までの雇用確保に努めるよう義務付けた06年施行の改正高齢者雇用安定法を受け、同社は08年2月に就業規則を改定。体力面など一定の条件を満たせば再雇用後も契約更新することにした。しかし同年6月に再雇用された男性は業績不振を理由に1年で打ち切られた。
 大島裁判官は、同社が他の再雇用者の契約は更新していることなどから「雇い止めを回避する努力を尽くしたとは言えない」と判断。更に男性が定年まで勤め上げたことを踏まえ「再雇用は実質的に期間の定めのない雇用契約に類似する」と述べた。

「65歳まで雇え」判決の衝撃 団塊世代との戦いは終わらない 2010年12月1日 J-CAST
 先日、京都地裁で画期的な判決が出た。定年後再雇用となった嘱託契約の従業員も、本人が希望する限りは65歳まで雇えというものだ。少なくとも、年金支給開始まで職が保障されることとなった団塊世代の正社員は大喜びだろう。

若者の期待権はどうでもいいのか
 でも、仕事の後から予算がついてくるのはお役所だけで、普通の会社は「最初に予算ありき」である。つまり、誰かの職を保証するということは、別の誰かを切らないといけない。
 というわけで、ババを引くのは誰なのか。経営者になったつもりで考えてみよう。
・非正規雇用
 まあ嘱託も非正規なのだけど、65歳まで雇えとのことなので仕方ない。その他の契約社員や派遣社員を切ることで対応するしかない。特に直接契約ではない派遣は、もっとも切りやすいソフトターゲットだ。

・下請け企業への支払いカット
 ITゼネコンからテレビ局まで、困った時に下の身分から絞り取るというのは、江戸幕府以来の日本の伝統文化である。日本は企業規模でみた賃金格差が先進国中最大であるが、これは大手が弾よけ代わりに下請けを使っているからだ。
 「大企業の経営者が悪い」なんてことを脊髄反射的に言う人がいるが、今回の件を見ても明らかなように、こと雇用に関しては「大手の労働組合が悪い」と言うべきだろう。

・新卒採用の抑制
 それでも、コスト増加分をカバーできない企業は、新卒採用を抑制するしかない。なんといっても頭数の多い団塊世代の実質的な定年延長なので、相当な負のインパクトがあると思われる。
 ついでに言うと、これからは「65歳まで雇うに値する人材かどうか」で判断されるわけだから、新卒採用自体のハードルも引き上げられることになる。団塊世代の期待権は大事に守ってもらえるけど、これから社会に出る人の期待権はどうでもいいってことだろう




 う~ん。こちらは、私達庶民やサラリーマンにとっては嬉しい判決、使用者陣営にとっては厳しい判決が出てしまいましたね…(滝汗 
 そもそも、一旦定年後に半年あるいは1年契約で契約の更新を行うというのは、人件費の削減もさながら、働き手本人の能力低下や仕事への取り組み姿勢の低下などを機に円満に契約を打ち切るための、解雇規制の厳しい日本では合法的に使用者陣営が契約を打ち切る数少ない手段だったのですが、もし同様の判決が続くようだと、今度は企業の側が高齢者の再雇用そのものに慎重になり、ひいては60歳以降の高齢者雇用そのものを脅かすという 裁判所側が期待する効果とは正反対のデメリットも発生しかねないと思いますし、若者への雇用抑制という別の形でのデメリットも発生しかねないように思います。
 今回の判決で、今後同様の争いが続々と裁判に持ち込まれるケースが増えそうですが、今後労働判例がどのように蓄積されていくのか、企業側から見ればどこまで配慮すれば合法的に契約を解除できるのか その動きを巡って使用者陣営を中心に注目を集めることになりそうな気がします。

JAL希望退職応募は10人前後のみ スカイマークはJAL退職者470人採用へ

2010-12-03 05:08:54 | Weblog
JAL希望退職10人前後のみ、募集期間延長 2010年12月1日  読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101201-OYT1T01030.htm
 経営再建中の日本航空が、パイロットと客室乗務員を対象に11月30日まで募集していた希望退職への応募が10人前後にとどまったことが1日わかった。
 依然として削減目標を最大約240人下回っていることから、日航は1日、希望退職の募集期間を同日から9日まで延長すると発表した。退職日は12月31日となる。
 日航は最終的に整理解雇を実施する構えを崩していない。ただ、整理解雇に反発して一部の労働組合がストライキの実施を決めるなど、労使間の対立も強まっており、引き続き協議の場を設けて退職を促す選択肢を残すことで組合に一定の配慮をみせたとみられる。
 日航は9月以降、3回にわたって希望退職の募集を実施し、11月9日に締め切った。ただ、目標には約250人届かず、15日に整理解雇に踏み切る方針を決め、並行して希望退職も受け付けていた。

スカイマーク、JAL退職者470人採用へ 2010年12月1日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101201-OYT1T01031.htm
 スカイマークは1日、経営再建中の日本航空の退職者を対象に、2013年までに計約470人を採用する計画を発表した。
 日航は更生計画で今年度中に約1万6000人の削減を盛り込んでおり、再就職先を求める退職者にとって有力な受け皿になりそうだ。
 スカイマークはパイロット約120人、客室乗務員約300人、整備士約50人を採用する。専門知識が必要な職種で経験豊かな人材を採用し、即戦力にする考えだ。14年度をめどに国際定期便の参入を目指し、12年中に国内線の航空機を現行の1・5倍に増やすなど、将来の事業拡大に備える。
 採用したパイロットの一部は、4年後をめどに導入を計画する仏エアバス社の世界最大級の旅客機「A380」に振り向ける予定だ。




 これまで3回にもわたって募集してきたJALの希望退職ですが、応募したのは今回もわずか10人前後に留まり、いよいよ整理解雇という伝家の宝刀を切ることが現実味を帯びてきました。
 う~ん。ここまで来ると、事実上の退職勧奨を受けている方も『辞めたくても辞められない』といった経済的事情を抱えている方が大半なのでしょうが、さすがに既に一度経営破綻している会社で、かといってこのままお取り潰しにする(会社そのものを消滅させる)ことも事実上不可能で、とはいえ人件費総額が高いままだと、税金投入という国民負担が増大することが目に見えているだけに、予定人数分お辞め頂くことは避けられないと思いますが、日本航空は希望退職の応募期間をさらに9日まで延長。
 実質、裁判になった時に『整理解雇をする前に、最大限の努力を行った』というポーズを見せたいためだけの形式的な手順なのかな…とも思うのですが、果たしてどれだけの方が考え直して希望退職に応募するのでしょうか…。

 一方、今回の日本航空の人員削減問題を人材獲得の格好のチャンスとして、スカイマークが470人のJAL退職者を採用する計画を発表。
 お給料という一番大切な労働条件の格差がかなり少さくなってきていますし、一見『ちょうどいい。整理解雇候補の人員をそのまま引き取ってもらえばいいじゃん!』とも思わなくもないのですが、問題は日本航空側の辞めさせたい人間の大半が、高齢か、長期休職あるいはや家庭的事情を抱えて出勤日数の少なく、たとえ実働期間が短い方でも一定の保証給を得られる、職場にとってコスト的にペイしない方だということ。
 スカイマーク側としては、当然ながら即戦力になるコストパフォーマンスの高い方が欲しいわけで、日本航空とスカイマークの人材の質の差が大きいとはいえ、果たして退職者のうちどれだけの方がスカイマークの採用基準に達するでしょうか…。
 スカイマークの経営体力を考慮すると、『本当に、470人も採用できるのか???』ということ自体にもいささか疑問があり、宣伝的要素も強いように感じ 実際の採用人数は発表よりも大幅に少なくなると考える方が妥当でしょうし、実際にどれだけの方がスカイマークに無事? 円満着陸できるのか 非常に注目を集めることになるのではないかと思います。