定年後の雇い止めは無効「雇用継続期待できる」 京都地裁 2010年11月26日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101126/biz1011261938020-n1.htm
定年後の再雇用で業績不振を理由に雇い止めされたのは、解雇権の乱用に当たるとして、大津市の男性(62)が東京都江東区の倉庫会社「エフプロダクト」に賃金支払いと雇用継続を求めた訴訟で、京都地裁は26日、雇い止めを無効とし男性側の請求を認めた。
原告の代理人弁護士は「定年後の再雇用で雇用継続の期待権を認めたのは画期的で、全国初とみられる」と話した。
大島真一裁判官は「業績不振で人員削減の必要性は認められるが、新卒も雇用するなど、雇い止めを回避する義務を尽くしていない」と述べた。
判決によると、男性は平成20年6月に京都府向日市の営業所を60歳で定年退職。定年後の雇用確保措置を義務付けた高年齢者雇用安定法に基づき再雇用されたが、21年6月、契約更新されずに解雇された。
再雇用契約:「期待権」初認定--京都地裁判決 2010年11月27日 毎日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040045000c.html
京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後に継続雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服として地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「雇用継続への期待には合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と述べ、請求を認めた。男性の代理人弁護士は、再雇用後の雇い止めを巡る訴訟で「期待権」を認めた初の判決としている。
判決によると、65歳までの雇用確保に努めるよう義務付けた06年施行の改正高齢者雇用安定法を受け、同社は08年2月に就業規則を改定。体力面など一定の条件を満たせば再雇用後も契約更新することにした。しかし同年6月に再雇用された男性は業績不振を理由に1年で打ち切られた。
大島裁判官は、同社が他の再雇用者の契約は更新していることなどから「雇い止めを回避する努力を尽くしたとは言えない」と判断。更に男性が定年まで勤め上げたことを踏まえ「再雇用は実質的に期間の定めのない雇用契約に類似する」と述べた。
「65歳まで雇え」判決の衝撃 団塊世代との戦いは終わらない 2010年12月1日 J-CAST
先日、京都地裁で画期的な判決が出た。定年後再雇用となった嘱託契約の従業員も、本人が希望する限りは65歳まで雇えというものだ。少なくとも、年金支給開始まで職が保障されることとなった団塊世代の正社員は大喜びだろう。
若者の期待権はどうでもいいのか
でも、仕事の後から予算がついてくるのはお役所だけで、普通の会社は「最初に予算ありき」である。つまり、誰かの職を保証するということは、別の誰かを切らないといけない。
というわけで、ババを引くのは誰なのか。経営者になったつもりで考えてみよう。
・非正規雇用
まあ嘱託も非正規なのだけど、65歳まで雇えとのことなので仕方ない。その他の契約社員や派遣社員を切ることで対応するしかない。特に直接契約ではない派遣は、もっとも切りやすいソフトターゲットだ。
・下請け企業への支払いカット
ITゼネコンからテレビ局まで、困った時に下の身分から絞り取るというのは、江戸幕府以来の日本の伝統文化である。日本は企業規模でみた賃金格差が先進国中最大であるが、これは大手が弾よけ代わりに下請けを使っているからだ。
「大企業の経営者が悪い」なんてことを脊髄反射的に言う人がいるが、今回の件を見ても明らかなように、こと雇用に関しては「大手の労働組合が悪い」と言うべきだろう。
・新卒採用の抑制
それでも、コスト増加分をカバーできない企業は、新卒採用を抑制するしかない。なんといっても頭数の多い団塊世代の実質的な定年延長なので、相当な負のインパクトがあると思われる。
ついでに言うと、これからは「65歳まで雇うに値する人材かどうか」で判断されるわけだから、新卒採用自体のハードルも引き上げられることになる。団塊世代の期待権は大事に守ってもらえるけど、これから社会に出る人の期待権はどうでもいいってことだろう
う~ん。こちらは、私達庶民やサラリーマンにとっては嬉しい判決、使用者陣営にとっては厳しい判決が出てしまいましたね…(滝汗
そもそも、一旦定年後に半年あるいは1年契約で契約の更新を行うというのは、人件費の削減もさながら、働き手本人の能力低下や仕事への取り組み姿勢の低下などを機に円満に契約を打ち切るための、解雇規制の厳しい日本では合法的に使用者陣営が契約を打ち切る数少ない手段だったのですが、もし同様の判決が続くようだと、今度は企業の側が高齢者の再雇用そのものに慎重になり、ひいては60歳以降の高齢者雇用そのものを脅かすという 裁判所側が期待する効果とは正反対のデメリットも発生しかねないと思いますし、若者への雇用抑制という別の形でのデメリットも発生しかねないように思います。
今回の判決で、今後同様の争いが続々と裁判に持ち込まれるケースが増えそうですが、今後労働判例がどのように蓄積されていくのか、企業側から見ればどこまで配慮すれば合法的に契約を解除できるのか その動きを巡って使用者陣営を中心に注目を集めることになりそうな気がします。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101126/biz1011261938020-n1.htm
定年後の再雇用で業績不振を理由に雇い止めされたのは、解雇権の乱用に当たるとして、大津市の男性(62)が東京都江東区の倉庫会社「エフプロダクト」に賃金支払いと雇用継続を求めた訴訟で、京都地裁は26日、雇い止めを無効とし男性側の請求を認めた。
原告の代理人弁護士は「定年後の再雇用で雇用継続の期待権を認めたのは画期的で、全国初とみられる」と話した。
大島真一裁判官は「業績不振で人員削減の必要性は認められるが、新卒も雇用するなど、雇い止めを回避する義務を尽くしていない」と述べた。
判決によると、男性は平成20年6月に京都府向日市の営業所を60歳で定年退職。定年後の雇用確保措置を義務付けた高年齢者雇用安定法に基づき再雇用されたが、21年6月、契約更新されずに解雇された。
再雇用契約:「期待権」初認定--京都地裁判決 2010年11月27日 毎日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040045000c.html
京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後に継続雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服として地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「雇用継続への期待には合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と述べ、請求を認めた。男性の代理人弁護士は、再雇用後の雇い止めを巡る訴訟で「期待権」を認めた初の判決としている。
判決によると、65歳までの雇用確保に努めるよう義務付けた06年施行の改正高齢者雇用安定法を受け、同社は08年2月に就業規則を改定。体力面など一定の条件を満たせば再雇用後も契約更新することにした。しかし同年6月に再雇用された男性は業績不振を理由に1年で打ち切られた。
大島裁判官は、同社が他の再雇用者の契約は更新していることなどから「雇い止めを回避する努力を尽くしたとは言えない」と判断。更に男性が定年まで勤め上げたことを踏まえ「再雇用は実質的に期間の定めのない雇用契約に類似する」と述べた。
「65歳まで雇え」判決の衝撃 団塊世代との戦いは終わらない 2010年12月1日 J-CAST
先日、京都地裁で画期的な判決が出た。定年後再雇用となった嘱託契約の従業員も、本人が希望する限りは65歳まで雇えというものだ。少なくとも、年金支給開始まで職が保障されることとなった団塊世代の正社員は大喜びだろう。
若者の期待権はどうでもいいのか
でも、仕事の後から予算がついてくるのはお役所だけで、普通の会社は「最初に予算ありき」である。つまり、誰かの職を保証するということは、別の誰かを切らないといけない。
というわけで、ババを引くのは誰なのか。経営者になったつもりで考えてみよう。
・非正規雇用
まあ嘱託も非正規なのだけど、65歳まで雇えとのことなので仕方ない。その他の契約社員や派遣社員を切ることで対応するしかない。特に直接契約ではない派遣は、もっとも切りやすいソフトターゲットだ。
・下請け企業への支払いカット
ITゼネコンからテレビ局まで、困った時に下の身分から絞り取るというのは、江戸幕府以来の日本の伝統文化である。日本は企業規模でみた賃金格差が先進国中最大であるが、これは大手が弾よけ代わりに下請けを使っているからだ。
「大企業の経営者が悪い」なんてことを脊髄反射的に言う人がいるが、今回の件を見ても明らかなように、こと雇用に関しては「大手の労働組合が悪い」と言うべきだろう。
・新卒採用の抑制
それでも、コスト増加分をカバーできない企業は、新卒採用を抑制するしかない。なんといっても頭数の多い団塊世代の実質的な定年延長なので、相当な負のインパクトがあると思われる。
ついでに言うと、これからは「65歳まで雇うに値する人材かどうか」で判断されるわけだから、新卒採用自体のハードルも引き上げられることになる。団塊世代の期待権は大事に守ってもらえるけど、これから社会に出る人の期待権はどうでもいいってことだろう
う~ん。こちらは、私達庶民やサラリーマンにとっては嬉しい判決、使用者陣営にとっては厳しい判決が出てしまいましたね…(滝汗
そもそも、一旦定年後に半年あるいは1年契約で契約の更新を行うというのは、人件費の削減もさながら、働き手本人の能力低下や仕事への取り組み姿勢の低下などを機に円満に契約を打ち切るための、解雇規制の厳しい日本では合法的に使用者陣営が契約を打ち切る数少ない手段だったのですが、もし同様の判決が続くようだと、今度は企業の側が高齢者の再雇用そのものに慎重になり、ひいては60歳以降の高齢者雇用そのものを脅かすという 裁判所側が期待する効果とは正反対のデメリットも発生しかねないと思いますし、若者への雇用抑制という別の形でのデメリットも発生しかねないように思います。
今回の判決で、今後同様の争いが続々と裁判に持ち込まれるケースが増えそうですが、今後労働判例がどのように蓄積されていくのか、企業側から見ればどこまで配慮すれば合法的に契約を解除できるのか その動きを巡って使用者陣営を中心に注目を集めることになりそうな気がします。