どんな人間でも過ちは犯す。それをいちいち荒立てるつもりはないが、岡田克也外務大臣の弁解は酷すぎる。普天間基地の県外、国外移設は難しくなったこともあり、鳩山由紀夫政権はほぼ県内移設の線で固まったようだ。「鳩山首相が例え先の総選挙で訴えたとしても、マニフェストには書いてなかった」ということだけで、岡田外相が押し切ろうとするのは、あまりにも大人気ない。ここまできたならば、責任をとって外務大臣を辞すべきだろう。沖縄県民に向かって、できもしない御託を並べ立てたことは、打ち消せないからだ。今こそ岡田外相は、会津っぽ政治家であった伊東正義の身の処し方に学ぶべきなのである。鈴木善幸内閣で伊東は外務大臣を務めたが、日米首脳会談の共同声明で、鈴木首相が「日米同盟は軍事同盟ではない」というようないい加減な発言をしたことに反発し、会津人の「ならぬことはならぬ」という精神で、辞表を出したことで知られる。その潔さが買われて、一時は総理大臣候補にもなったのである。同じようにすれば、岡田株が上がり、一国の総理として担がれることになるはずだ。このままでは、不甲斐ない鳩山内閣の閣僚として、名前をとどめるだけで終わってしまう。岡田外相は団塊の世代のすぐ後であり、戦後の民主主義の教育を受けた最後の世代だ。同じ年代の者として、国家意識が乏しいのはよく分かる。しかし、国の外交を担うにあたっては、国益を優先させるべきであり、それに反するような首相であれば、毅然として、たもとを分かつべきなのである。
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