草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

減らず口たたいて慌てる民主党

2010年03月09日 | 政局

 米国を舐めたらしっぺ返しがくるというのを、民主党は知らないらしい。日本のために米国があると思ったらば、大間違いである。鳩山由紀夫首相は、オバマ政権になったから、日本のわがままが許されると思ったらしいが、そんなわけにはいかないのである。沖縄に米軍の基地があるのも、一番の目的は、日本が軍事増強をしないように、目を光らせることだ。だからこそ、歴代の自民党政府は忍耐を重ねてきたのである。米国の言いなりになるのに嫌気がさした佐藤栄作首相は、日本独自の核開発すら検討したともいわれている。真意のほどは定かではないにせよ、それほど悔しい思いをしたのだ。そんな厳しさも知らずに、勝手なことを言い立てて問題になっているのが、民主党の藤田幸久国際局長である。現職の参議院議員であるにもかかわらず、9・11テロはテロリストの仕業ではなく、アメリカ政府のでっちあげとまで言ったんだから、ワシントンポストが怒るのもあたりまえだ。いくら弁明したとしても、米国の有力紙に書かれてしまった責任は大きい。そうでなくても、普天間基地の移設問題をめぐって、鳩山首相の評判は最悪なわけだから、日米同盟の深化どころではなく、亀裂が深まるばかりである。先の戦争にしても、日本は米国を脅かすほどの軍備はなかった。しかし、戦いを挑むことになったのは、石油がストップされたことで、日本が追い詰められたからだ。米国を侮ってはならないのである。鳩山政権が誕生して、同盟国としての務めを日本が放棄したところから、どんどん誤解を招くことになったのではないか。インド洋での給油活動を継続してさえいれば、こんなことになりはしなかったと思う。鳩山政権は海上自衛隊の艦艇を撤収させてしまっただけでなく、アフガニスタンに対するその支援活動を、無意味だったとまで酷評したのだ。米国と一戦を交える度胸もないのに、減らず口をたたくだけの民主党に、この国を任せきってしまっていいはずがない。これ以上日米関係を荒立てることだけは、御免こうむりたい。

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小沢一郎とファシズムの定義

2010年03月09日 | 思想家

 鳩山政権や小沢一郎民主党幹事長を擁護する人たちは、一切の批判を許そうとしない。批判する者がいれば、寄ってたかって罵詈雑言を浴びせるのが常である。それでいて、彼らの思想的な遍歴を調べてみると、左翼崩れが多いのには驚いてしまう。そもそも、ファシズムと左翼とは同根なのである。それを教えてくれるのが、廣松渉の「全体主義的イデオロギーの陥穽」である。廣松は、ファシズムを侮るべきではないという立場をとる。ドイツでは、ハイデッカーやカール・シュッミットを始めとして、錚々たる思想家がナチズムに協力したという事実は、消し去ることができないからだ。ファシズムを非合理な狂気の支配とか、「大衆ヒステリーの一種」とか決め付けるのは、表面上の難癖に過ぎないのである。廣松はファッシズムの内在的なアプローチとして、ムッソリーニもヒットラーも社会主義者として出発したことを重視する。時には共産党とも共同歩調をとったのである。皇室を絶対視するような日本の右翼とは違って、二人とも近代的なイデオロギーの持ち主であったのだ。廣松は「ファシズムの全体主義は、社会というものが諸個人の代数和ではないことを主張する限りでは正しいにしても、マルクスを援用していえば、社会というものを諸個人の現実的な関わり合いの機能的連関の総体として把握せず、それを自存的な実体に仕立て上げるという物象化的錯視に陥ってしまっている」と論評している。新左翼の思想家として、マルクスを持ち上げていることはさておくとしても、国家や社会を実体化したということであれば、その通りだと思う。しかも、新たにつくりあげられたイメージとしての国家であり、永年培われた社稷(土地の神と五穀の神)を前提とした国家とは無縁なのである。ただ、実体化したということであれば、スターリン主義も、ファシズムと同列に置かれるべきだ。民主党が政権を手にし、左右の違いを超えて小沢を擁護する勢力が一定の力を持っているのは、ファシズムへの傾斜という、それなりの理由があるからだろう。

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