菅直人首相が駄目なのは、日本という国家がどうあるべきかについて、明確なビジョンがないことだ。米国と中国にペコペコするのが外交だと勘違いしている。所信表明で訴えたのは「強い経済、強い財政、強い社会保障」ということだけで、日本が国際社会でどのような位置を占めるかに関しては、まったく言及されていない。嗤ってしまうのは、センターレフトのわりには、理想を語らないことだ。世の中全て金次第というのは、間違った偏見でしかない。高坂正堯は政治が目指すべき国家目標として、「利益の体系」「力の体系」「価値の体系」の三つを挙げている。菅首相が問題にしているのは、「利益の体系」だけである。国の安全保障に関する「力の体系」ついては、米国任せでよいと思っているようだ。米国が日本の領土問題を後押ししてくれないのに、どこまで日本人は信じればいいいのだろうか。本当に日本のために血を流してくれるのだろうか。はなはだ疑問である。国民の生命と財産を守るには、やっぱり自主防衛力の整備が不可欠なのである。さらに、もっとも大事なのは「価値の体系」であるが、菅首相は真剣に考えたことがあるのだろうか。そこでは、日本人がこれまで培ってきた文化や伝統が意味を持ってくるのである。中国や米国の命令に唯々諾々と服するのではなく、「国を売りたもうことなかれ」という国民の声にも、今こそ菅首相は耳を傾けるべきなのである。
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