ゴールデン連休が近づいているが、会津の見所と言えば、やはり復元された慧日寺ではなかろうか。都から遠く離れた会津の地にありながら、最澄や空海に論争を挑んだ徳一を知るには、金堂や中門の前に立って、しばし瞑想に耽ってみればいい。心が洗われるようで、きっと意味のある休日になるはずだ。磐梯山の麓に位置するために、山岳寺院特有のおもむきをたたえており、そこには俗世とは隔絶された世界がある。不思議でならないのは、中門から金堂を囲むようにしてあるはずの回廊がないことだ。慧日寺が自然の一部であれば、ことさらこだわる必要などないのだろう。念仏を唱えたり、禅をくんだりすれば、誰もが成仏するという信仰に対して、真っ向から挑戦状を叩きつけたのが徳一だ。馴れ合いで全てを認めてしまうことだけは、断じて許せなかったのである。奈良の興福寺や東大寺で修行したともいわれるが、その辺は謎に包まれている。しかし、空海が徳一にあてた手紙などから、会津にいたことだけは確実視されている。福島第一原発の事故の影響は甚大で、観光客も会津から遠のいてしまっている。首都圏から日帰りができるはずだから、ぜひ足を延ばして欲しいと思う。ここ近年もったいぶった法相唯識の信仰が注目されているが、慧日寺の背後にはどっしりとした磐梯山も控えていることだし、百聞は一見にしかずなのである。
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