福島県民はそれほど愚かではない。何もなかったかのように暮らしているわけではない。国道49号線を利用して、昨日、郡山市に出かけてきた。会津から中山峠のトンネルを抜けると、そこは旅館街が軒を連ねた磐梯熱海だが、空気中の放射線量は、わずかに会津を上回る程度。1時間あたり0・3マイクロシーベルトを超えて、車内の線量計がピーピー鳴り出したのは、郡山市の市街地に入ってからだ。それは阿武隈川を越えるまで続いた。とくに高い数字を記録したのは、開成山公園から五百渕公園にかけて。1時間あたり0・6マイクロシーベルト以上の、放射線管理区域に該当するのではないか。街を行き交う人々も、マスクをつけている人が目立った。国や県が本当のことを教えてくれないというのは、福島県民であれば、じゅうじゅう承知している。しかし、ようやく手にしたマイホームや、今の仕事を捨てるわけにはいかないのだろう。それをドラスチックに変えることができるのは、国家権力だけである。戒厳令が布告され、その場所から退去を命じられれば、それに従うしかないからだ。また、一口に郡山市と言っても、放射線量にバラつきがある。それを考慮した街づくりは考えられないものだろうか。小中学校を移転すれば、除染よりも経費がかからずにすむはずだ。確率から言えば、癌で死ぬ人は一握りかもしれない。それでも、このまま放置しておけば、後悔先に立たずということになりはしないか。その意味からも、国や県の責任は重大なのである。
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