八坂神社で手を合わせた後に、私も一度だけ祇園に足を運んだことがある。1年ほど前のことで、狭い道路に飲み屋街が張り付いていた。一見さんにもかかわらず、ほろ酔い機嫌になるまでスナックで、ママさん相手に時間をつぶしたことがあった。そこの近くで事故が起きたのを知って、背筋がぞっとした。30歳のサラリーマンが、軽ワゴン車を運転し、次々と人をはねて7人を死亡させ、自分も電柱に衝突して、即死したのである。死人に口なしで、どうしてそんなことをしたのか、追及するすべはなくなった。最初にタクシーに衝突したとしても、そこまで暴走する必要があるのだろうか。無差別殺人を強行したのであれば、声明文があってもよさそうだが、それもまだ出てきていない。現段階ではてんかんなどの病気の可能性が取り沙汰されている。ただ、今の日本には、死への衝動を持つ人が多いように思えてならない。その巻き添えで関係もない人たちの命が虫けらのように扱われるのであれば、それは問題ではなかろうか。警察庁が把握しているだけでも、1年間に約3万人以上が自殺しており、電車に飛び込むという人身事故も、日常茶飯事になっている。そんなニュースに接しても、誰も心を痛めなくなっている。ありふれた出来事となってしまったのだ。そして、刃が己ではなく、他者に向けられると、惨劇と化すのではないか。今回のこととは直接結びつかなくても、死に急ぐ人を減らさなければ、惨劇を防ぐ抜本的な解決策にはならないのである。
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