いくら既定の路線であっても、それが自滅の道であれば、ためらうのは当然である。10月の消費増税を断念すべきである。安倍首相はなぜ決断できないのだろうか。ウォールストリート・ジャーナルの5日付社説では「安倍首相は増税によって、景気を悪化させようと決心しているように見える」と酷評した。共同通信はその社説を引用して報道しているが、同じ過ちは繰り返すべきではなく、ここは先送りすべきなのである▼日本経済がゼロ成長から脱却するためには、今ブレーキをかけるべきではない。日本の景気は明らかに後退局面にきている。このままでいけば安倍内閣は退陣を余儀なくされるだろう。ヨーロッパ、中共などの世界経済も深刻な事態になっており、その影響も無視できない。国が金融政策だけを先行させ、財政政策がともなわなければ、需給ギャップが拡大するだけだ。実質消費がマイナスになっているにもかかわらず、ここでまた消費税増税をするようでは、安倍内閣が持つわけはない▼デフレから脱却できないのに、そこで景気の減速を促すような政策を選択してよいのだろうか。それよりは積極的な財政政策ではないだろうか。国が支出を切り詰めれば、経済が拡大するわけはない。それを一方でやっておきながら、いくら金融を緩和しても効果はたかが知れている。アベノミクスの二本目の矢である財政出動をなおざりにしてきた結果が、このざまなのである。
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