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停雲思親友也。友を想う! 【一茶庵稽古追想】

2021-06-11 13:00:35 | 文化想造塾「煎茶」

コロナ禍で仲間や友人に会うこともままならない。また、好きなところに出かけるのも控えている。

こんな時期だから改めて、以前に体験したことや教えていただいたことを思い起こすと、

その時は感じ取れなかったものが、不思議と見えたり感じたりする。

 

煎茶稽古も、その一つ。

毎回、稽古に行く前にいつもながら頭を巡らすことがあった。

それは、どんなお軸がかけられているのだろうか。またどんなお茶が楽しめるのだろうか、と。

その時は、氷水で淹れる玉露。玉露は喉を下るほどの量はないが、

口の中にキレのある玉露独特の味が広がる。夏の夜に、ひとりで想いにふけるのには堪らないお茶である。

その想いに合わせたかのような、この水墨画。中国の険しい山々の景色が描かれている。

山から流れ下る川沿いの家では人の営みが見える。

この画を見ていると、陶淵明(とうえんめい)の「停雲」の詩に引き寄せられていく。

 

 

停雲思親友也 

樽湛新醪園列初栄 

願言不従歎息弥襟

 

という一節がある。

雲たちこめて懐かしき友を思う 樽には新酒が満ち庭の花は咲きそめている。

君と会い語ろうと思うが叶わない、ため息で胸がいっぱいだ…

という訳になる。

 

停雲靄靄 時雨濛濛 八表同昏 平陸成江 

有酒有酒 閒飲東窓 願言懐人 舟車靡従

 

たちこむる雲は靄靄(あいあい) 春の雨は濛濛(もうもう) 八方すべて暗く 

平地は川となって水があふれる 酒がある、酒があるではないか 

東の窓にもたれてゆったりと杯を傾ける 友と旧交を温めたいと願っても 

(この雨では)舟も止まってしまっているだろう

 

 

これらの詩が今週の稽古の題目だった。

遠くの友がどうしているだろう、と思いを馳せるが、この雨では会いにいくのもままならない。

その心情を詠んでいる。

目の前の爽やかな冷たい玉露が、苦く渋い味に一変してしまいそう。

 


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