轆轤(ロクロ)の前に座り、前かがみになってじっとしていると、腰骨と腰骨の間の椎間板が圧迫されてお腹の方向に飛び出し、足先まで通っている神経を刺激するのが椎間板ヘルニアと言われている。
平成元年、朝起きて腰が痛いので、午前中休めば大丈夫だろうと思っていたが、とんでもない。次第に痛みが増していき、起きても痛い、腰掛けても痛い、寝ても痛い、右足がしびれて来て、車の運転さえできなくなり、とうとう入院となった。
入院してみると、同病がいること、いること。ヘルニアには腰の他に頸椎があり、患者の割合は半々か。「手術が上手く行かなくて、首以下が麻痺した人がいる」などという噂もあった。
私は「牽引」という治療法で、なんとか40日で退院となったが、完治したわけではなく、「今度入院したら、手術だぞ」と脅されたので、絶対それだけは避けねば、と自分に誓ったものだ。
最近は、優れた治療法があるらしく、私の友人などは入院からわずか10日ほどで退院し、痛くも痒くもない様子、まさに驚きである。
掲句は、患者の中に柔道が原因で入院していた少年がいて、同室6人の中では最長老だった。明るく礼儀正しい彼が、ようやく晴れて退院となり、病室が急にさみしくなった。
ドクダミ(蕺)、ジュウヤク(十薬)とも